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To increase the light. (灯火消えんとして――)

●To increase the light as light.
(灯火消えんとして光を増す)
 ――世界各地に伝わることわざ
 
●ファイアスターター・セットアップ・トゥ・ファイナルバトル

 2014年 4月某日 某所
 
「とうとうこの日が来た、か」
 
 とある建物の一室。
 一人の青年が静かに呟いた一言には、万感の思いがこもっていた。
 
 白い燕尾のドレスシャツ。
 対照的に黒いジーンズ。
 そして、シャギーの入った顎までの髪。
 ――三宅令児。
 
 種々雑多なアーティファクトの蒐集。
 それを目的とするフィクサードの組織。
 ――キュレーターズ・ギルド。
 彼はその一員であり、炎を操る異能者だ。
 
 今、彼が立っているのはベッドの傍。
 そのベッドに横たわるのは一人の少女。
 長い黒髪が目を引く、十代と思しき少女だ。
 ――三宅静。
 
 令児の妹にして、彼がフィクサードとして戦う理由。
 眠り続けている彼女を目覚めさせる為。
 令児はとあるアーティファクトを探し続けていた。
 ――『トールツィア』。
 三ヶ月前、彼は遂にそのアーティファクトを手に入れた。
 
 そのおかげか静は順調に快方へと向かって行った。
 
 細い紐が結ばれた小さな石という形をしたこのアーティファクトは、持つ者の心に力を与える。
 湧き起こる勇気。
 絶望の中に見出せる希望。
 そして、静を救うには、『心に力を与える』という力が必要なのだ。
 
 紆余曲折の後、リベリスタ達と共闘した令児。
 彼等の協力のおかげで令児は無事『トールツィア』を手に入れた。
 
 枕元にトールツィアを置いてから二ヶ月。
 今まではまるで彫像のように微動だにしなかった静の表情。
 それが、微かではあるが動き始めている。
 しかも喜ばしいことに、僅かに形作られる表情は安らかだ。
 どこか笑みのようにも見えるその表情を見て、令児の顔にも自然と笑みが浮かぶ。
 
 令児が優しげな笑みを浮かべた時だった。
 控えめにドアがノックされる。
「令児、いるかい?」
 
 ドア越しに聞こえる中性的な声。
 それで令児はすぐに声の主が誰であるかを察した。
「ああ。そンな所に突っ立ってないで入ってこいよ」
 
 令児が上機嫌で言うと、ドアの向こうの相手も上機嫌な声音で返す。
「それじゃあ、遠慮なく」
 間髪入れず入ってきたのは令児と同年代と思しき青年だ。
 ほっそりした体躯。
 肩まで露出した上衣。
 顎までの髪。
 そして、可愛らしい顔立ち。
 ――三鷹来人。
 彼も令児と同じく組織の構成員にして異能者だ。
 
「静ちゃん、よくなってきたみたいだね」
 壁り寄りかかった来人がそう言うと、令児は目を細める。
「ああ。こればっかりはリベリスタの連中に感謝しないとな」
 来人も目を細めると、静を見つめる。
 
 静を見つめたまま、二人はしばし沈黙を守る。
 ややあって先に口を開いたのは、来人だった。
 
「令児は凄いよ。妹を守る為に、ずっと戦い続けてきたんだから」
 純粋な尊敬のこもった来人の言葉。
 一方、令児は特に誇るでも謙遜するでもなく、淡々と返す。
「別にそんなご大層なモンじゃねェ」
「そんなことはない。僕が君から聞いた限りでは、君は静ちゃんをたった一人で守り続けてきたんだから」
 再び尊敬の念を向ける来人。
 すると令児は、ふと思い出したように問いかけた。
「そういや、お前にはどこまで話したっけか?」
「君が『ギルド』に入った頃のこと」
 即答する来人。
「ああ。そういやそうだったな」
 小さく頷く令児。
 そして彼はゆっくりと口を開いた。
「せっかくだ。お前には話しておくか」
 
 令児の申し出に、来人は無言で先を促す。
 
「かつて……俺がこの力を手に入れた時のこと――『ギルド』に入る前のことを、な」
 ゆっくりと語り始める令児。
「ある時、俺の家族は神秘の世界の存在に遭遇した。それで、両親はこの世を去って、生き残ったのは俺と静だけだ」
 来人はやはり無言で先を促す。
「その時だ、俺と静が神秘の力を手に入れたのは。そして静はその影響からか、眠り続けてる」
 様々な感情が入り混じった目で自分の手を見つめる令児。
 彼はふと、手に炎を灯す。
 それをじっと見つめながら、令児はぽつりと呟いた。
「後はお前も知っての通りだ。思い出してみりゃあ、お前と出会えたことも含めて、いろいろあったな――」
 
 数日後
 
 令児はこの日も静のもとを訪れていた。
 件の建物の玄関を通り、件の部屋へと向かう令児。
 
 静の眠る部屋の前へと来た令児。
 彼はそこで異変を目の当たりにすることになった。
 
「来人ッ!?」
 
 静が待つ部屋はのドアは半開き。
 そのすぐ近くには来人が座り込んでいる。
 壁に上体を寄りかからせて脱力している来人。
 うなだれるような姿勢のせいか、彼は表情は窺えない。
 
 令児に気付いて顔を上げた来人の表情は憔悴しているようだ。
「どうしたッ!? 一体何がッ!」
 咄嗟に来人を助け起こそうとする令児。
 だが、来人はそれを遮る。
「それよりも……静ちゃんが――」
 その言葉に令児の表情が驚愕から焦燥に変わる。
 
 なりふり構わず半開きのドアを開ける令児。
 彼が部屋に飛び込もうとした時だった。
 それより早く、中から声がする。
 
「心配は」
「いらないわ」
 
 一人が喋っているようにしか聞こえない声。
 変な区切り方をした喋りに感じられるかもしれないが、それを除けば別に変わった所はないように思える。
 だが、令児は知っている。
 声の主は一人ではなく、二人であるということ。
 そして、その二人がここに来ているということは、ろくでもないことになっているということを。
 
 令児が部屋に踏み込むと、そこにいたのは二人の若い女性。
 歳の頃は令児や来人と同じくらい。
 顔も背丈も全く同じ。
 纏っているチャイナドレスのデザインも揃いだ。
 
 違いがあるとすれば、チャイナドレスの色。
 加えて、それと同じにしたアイシャドウの色だけだけだろう。
 
 一人はメタリックグリーン。
 もう一人はシャンパンゴールド。
 ドレスとアイシャドウの色の違い。
 それだけが今の所、二人を見分ける手段だ。
 
「妹のことが」
「心配なのは」
「わかるけれど」
「でも」
「そんな怖い顔」
「しないで頂戴な」
 
 二人は阿吽の呼吸で交互に喋る。
 その様は、まるで言葉を分け合うようだ。
 切り替えを合図一つなくやってのけるおかげか。
 あたかも一人が喋っているように聞こえる。
 
「メイフォン、メイレイ……お前等が来たってこたァ――」
 一方、声こそ静かながら、令児の言葉には凄まじい威圧感がある。
 しかしながら二人は威圧感を柳に風と受け流した。
 
「今、ここで」
「私達とやり合っても」
「貴方が得する」
「わけではないわ」
 
 穏やかな物腰で言うと、二人は同時に横へと退く。
 二人がどいた先には、無人になったベッドが見える。
 
「ブッ倒されてェみたいだな――」
 先程よりも更に静かな声を発する令児。
 それと同時に彼の手には凄まじい業炎が灯る。
 まるで爆ぜるように一瞬で最大火力に迫る業炎。
 彼の意思を代弁するかのごとし火炎を見ても、やはり二人は平然としている。
 
「貴方まで」
「来人くんのように」
「痛い目を」
「見ることはないと」
「思うけど?」
 
 すると令児は打って変わって激しい殺気を剥き出しにする。
「お前等なんぞに俺が殺せるかよッ!」
 流石に二人も闘志を剥き出しにしてそれに抗する。
 一触即発の状況の中、沈黙が訪れる。
 それを破ったの二人の方だ。
 
「たとえ私達を」
「ここで倒しても」
「妹が戻ってくる」
「わけではないわ」
 確かにそれは二人の言う通りだ。
 令児は殺気を放ったまま問いかける。
「誰の差し金だ? まさか『キュレーター』か? それともそれ以外の上の連中の誰かか?」
 一拍置くと、令児は最も知りたい問いを投げた。
「静はどこにいる?」
 
 その問いに、まず緑色のドレスの女性――メイフォンが答える。
「最初の質問は『だれか』とだけ答えておくわ」
 次の問いに、すぐ金色のドレスの女性――メイレイが答える。
「最後の質問は『どこか』とだけ答えておくわ」
 そして二人はそのまま令児に告げる。
「貴方はもちろん」
「貴方の妹も」
「上の方々は」
「『お気に入り』として」
「手元に置いて」
「おきたがっているのよ」
「けれど貴方は」
「もうすぐ目的を」
「達しようとしている」

 そこまで聞き、令児は理解した。
「汚ねェぞ……」
 怒りのあまり手に炎が自然と生まれる令児。
 しかし、二人はあくまで平然と令児を見つめ続ける。
 そしてメイレイは小さなアタッシュケースを取り出した。
 それを開けるメイレイ。
 そのままメイレイは中に収められていた一通の封筒を取り出す。
 
「何のつもりだ……!」
 怒気も露わに問いかける令児。
 彼に対し、メイレイは封筒を掲げながら答えた。
「『だれか』はこうも言っているわ」
 やはりその言葉はメイフォンによって引き継がれる。
「貴方の成果次第では、妹を返しても良いと」

 怪訝な顔をする令児。
「ンだと……?」
 彼に向け、二人はペースを崩さずに続ける。
「『ビート・ビートル』、『ヴァイタル・ヴァーチャル』、『フレシェ』、『巣穴を統べる資格』、『ラプサス』」
「かつてアークと交戦し、捕縛された『ギルド』のメンバー」
「彼等が愛用し、押収されたアーティファクトの数々」
「一所にまとめて保管されている」
「それらすべての奪還」
「これに成功すれば」
「『ギルド』は妹にはもちろん、貴方にも干渉しない」
 
 それを聞かされ、令児は握った拳を下ろした。
 同時に何かを悟ったような、穏やかな表情を見せる。

 名前の挙がったアーティファクトはどれも、キュレーターズ・ギルドの異能者が武器として愛用したもの。
 即ち、危険な使い方もできる代物である以上、保管場所の警備も生半可ではないだろう。
 それにアークは力のある組織だ。
 この動きを掴んでいる可能性がないとも言い切れない。
 
 そして、もしそうなら。
 相手は万全の準備で令児を待ち受けているだろう。
 
 きっと、その可能性の方が高い。
 それでも――。
 
「本当なんだな?」
「私達の言葉が」
「という意味かしら?」
「ああ。そうだよ。本当なんだな? 俺がアイツのアーティファクトを奪り返してくれば、本当に静を返してくれて、俺達にも変な手出しはしないってのも」

「ええ」
「もちろん」
「本当よ」
「ただし」
「貴方にそれが」
「できればの」
「話だけどね」
「まあ、たった一人で戦えとは」
「流石に言わないわ」
 
 すると今度はメイフォンが小さなアタッシュケースを取り出す。
 彼女がそれを開けると、中に収められていたのは十個のリング。
 すべてのリングは同一の形状だ。
 リングには宝石の代わりに小さな皿が嵌められている。
 もっとも、その皿は小さいなりに深さを持たせてあるおかげで、皿というよりは『杯』にも見えるが。
 
「タッツァ――」
 令児が口にすると、姉妹は同時に頷く。
 
「長いこと使い込まないと」
「いけないから」
「今回は、私たちが」
「手伝うわ」
 
 そう言って姉妹は令児にリングを十指それぞれに嵌めるよう促す。
 それが済んだ後、姉妹はそれぞれ令児の左手と右手に触れる。
 姉妹が目を閉じて集中した後、リングの『杯』が淡い暖色の光を放った。
 
「これで戦力は揃ったわ」
「けれど、できるかできないかは」
「なんとも言えないわね」
 
 姉妹との奇妙な問答の後、令児は再び先程の悟ったような表情を見せた。
 そして、炎を灯した手を軽く振るいながら、静かな調子で言う。
 
「できるできないなんざ関係ねェよ。男には退けねェ時がある、それだけだ」
 そして令児はひらひらと手を振ると、部屋を後にした。
 
●ファイアスターター・バーニン・アップ・アズ・ネヴァー・ビフォーア
 
 数時間後 某所
 
 アークの私有する施設。
 その前に令児はいた。
 眼前には集められたリベリスタたち。
 どうやら、既に令児が訪れるのは知られていたらしい。
 
 半ば予想していたおかげか、令児は思いの外落ち着いている。
 リベリスタたちの前で足を止める令児。
 彼は異能の力をその右手に集める。
 
「とうとうコイツを――」
 そして令児は握った拳を自らの胸へと叩き付ける。
 
「――使う時が来た、か……!」
 叩き付けた拳から異能の力が流れ込む。
 本来ならば地面や敵に向けて流し込む力。
 それを自らに流し込んだことで、彼の身体の奥底から爆発的な力が湧き起こる。
 
 さながら燃え上がる炎のように、あるいは噴火する火山のように。
 凄まじい勢いで湧き起こる力は令児の身体から溢れ出し、彼の周囲に幾つもの炎が舞い、そして瞬く。
 
 ――爆心血火山砲(グラウンドゼロ・ヴォルカノン)。
 令児の奥の手にして禁じ手。
 最後の最後まで使わないと決めていた技。
 これを今、彼は使ったという事実。
 
 それが、彼が『最後』を覚悟していることを何よりも雄弁に物語っていた。
 このままいけば、彼はもうじき『最後』の時を迎えるだろう。
 だが、是非もない。
 令児はリベリスタたちの眼前へと一歩一歩進んでいく。
 
 今思えば奇妙な縁だった。
 アーティファクトやアザーバイド絡みの事件で幾度となく遭遇し、戦った相手。
 時には敵である筈の自分を助け、妹の為に『トールツィア』を手に入れるべく一緒に戦ってくれたお人好しども。
 その恩に報いるべく、なんだかんだと理由を付けて助けに行ったこともあった。
 だが、それも今日で終わりだ。
 
 リングを嵌めた両手を軽く振るう令児。
 その動きに呼応して、令児の周囲に都合十個の火球が出現する。
 バスケットボール大の火球たちは令児を守るように彼の周囲を浮遊する。
 
「男には――」
 火球たちを従え、遂に令児はリベリスタたちの眼前へと辿り着く。
「――退けねェ時があンだよ!」
 そして令児は、最後の戦いに挑む。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:常盤イツキ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 4人 ■シナリオ終了日時
 2014年04月26日(土)23:21
●情報まとめ
 舞台はアーク私有の施設前。
 敵は三宅令児と彼が従えるE・エレメント十体です。
 敵のスペックとスキルは以下の通り。
 
・スペック
 
『三宅令児』
 そこそこの強さを持つフィクサードです。
 異世界の一つである『喧乱業火なる炎界フィアンマ』からの影響に由来する異能を持ち、炎を操ります。
 今回に限り、『火球』と呼ばれるE・エレメントを十体従えています。
 更に今回、新技をひっさけげての登場です。

・スキル

『火山砲(ヴォルカノン)』
 神遠単
 拳で地面を殴り異能の力を地中に伝導させ、火柱を立てます。
 一定確率で【業炎】のバッドステータスが発生します。
 
『火速するぜ猛牛のごとく(ブレイジングブル)』
 物近単
 炎をジェット噴射して繰り出すダッシュストレートです。
 
『燃天せし者達の輪(エンジェルパイロゥ)』
 物近範
 炎をジェット噴射してジャンプ。
 空中で回転して繰り出すアッパーカットです。
【射程:近】ですが、飛行状態の相手に攻撃可能。
 なお、地上にいる相手に使用すると一定確率で相手を1ターンの間、飛行状態にします。
(空中に吹き飛ばして打ち上げます)
 また、攻撃時には彼を中心に炎輪が発生。
 炎輪にもダメージ判定がありますが、拳と炎輪のどちらかを避けられればダメージは半分で済みます。
 
『急降火の一撃(ダイブレイズ)』
 物近単
 ジェット噴射によるジャンプから、同じくジェット噴射によるパンチを振り下ろします。
 飛行状態の相手にはダメージが増加します。
 
『零距離火山砲(ゼロ・ディスタンス・ヴォルカノン)』
 神近単
 零距離で火山砲を叩き込む技です。
 一定確率で【獄炎】のバッドステータスが発生します。
 
『六連発火山砲(リヴォルカノン)』
 神遠貫
 六連発の火山砲を叩き込む技です。
 一定確率で【獄炎】のバッドステータスが発生します。
 ただし、一度使用すると一定時間の再チャージが必要です。
 
『爆心血火山砲(グラウンドゼロ・ヴォルカノン)』
 任意発動(A)自
 自らに異能の力を流し込み、一時的に戦闘力を一定量増大させます。
 ただし、戦闘不能になった瞬間に効果は終了します。
 また、一定時間経過すると令児は燃え尽きてしまい、死亡します。
 よって、防御専念の安全策でも、一定時間持ちこたえれば令児を撃破することが可能です。
 
『究極火山砲(ファイナルヴォルカノン)』
 神遠単
 ブレイジングブルで突撃し、エンジェルパイロゥで打ち上げ、ダイブレイズで追撃。
 標的が落下した所にリヴォルカノンを叩き込む連続技です。
 命中率が低い代わりに威力が高い『魅せ技』です。
 HPが残り少なくなった時、1シナリオ1回のみ使用可能。
 
・スペック
 
『火球』
 アーティファクト――『力ある者のタッツァ』によって生み出されたE・エレメントです。
 E・エレメントは長年のアーティファクト使用により引き出した力で生成されます。
 ですが、今回は長年使い込んだフィクサードが手伝っている為、例外的に生成可能です。
 今回は十体登場します。
 
・スキル

『火山砲(ヴォルカノン)』
 神遠単
 接地して異能の力を地中に伝導させ、火柱を立てます。
 一定確率で【業炎】のバッドステータスが発生します。
 
『火速するぜ猛牛のごとく(ブレイジングブル)』
 物近単
 炎をジェット噴射して繰り出す体当たりです。
 
・備考
 今回は『火山砲(ヴォルカノン)』をラーニングできる可能性があります。
 
●シナリオ解説
 初登場からもうすぐ三年。
 遂に三宅令児、最後の戦いです。
 今回の任務は三宅令児の迎撃が目的です。
 今までとは違い、ある程度までダメージを与えても令児は撤退していきません。
 彼を撃破するか、生かして捕縛するかは皆様次第。
 どちらでもシナリオは成功となります。
 今回のシナリオも、クリア条件を満たす方法は一つではありません。
 リプレイを面白くしてくれるアイディアは大歓迎ですので、積極的に採用する方針ですから、ここで提示した方法以外にも何か良いアイディアがあれば、積極的に出してください。一緒にリプレイを面白くしましょう!
 今回も厄介な相手が出てくる依頼ですが、ガンバってみてください。
 皆様に楽しんでいただけるよう、私も力一杯頑張りますので、よろしくお願いします。

 常盤イツキ
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ナイトバロン覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ジーニアスソードミラージュ
★MVP
戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)
ギガントフレームデュランダル
富永・喜平(BNE000939)
アウトサイドナイトクリーク
リル・リトル・リトル(BNE001146)
ジーニアスデュランダル
羽柴 壱也(BNE002639)
ハイジーニアスホーリーメイガス
エルヴィン・ガーネット(BNE002792)
ハイジーニアスクリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
ジーニアス覇界闘士
ミリー・ゴールド(BNE003737)
■サポート参加者 4人■
フライダークマグメイガス
シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)
アウトサイドレイザータクト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)
フライダークホーリーメイガス
リサリサ・J・丸田(BNE002558)
フライエンジェアークリベリオン
害獣谷 羽海(BNE004957)

●ファイアスターター・ブレイジス・アップ!

「やはり貴方は来るんですね。たとえ、自分が燃え尽きるとわかっていても」
 『戦姫』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫(BNE000932)。
 令児の前に立ちはだかり、彼女はそう語りかける。
 かつてアークが最初にキュレーターズ・ギルド、もとい令児と遭遇した時。
 その時からずっと彼女と令児の因縁は続いてきた。
「ああ。とっとと始めるか。これが最後だ――いくぞ」

 手に灯した炎を更に強く燃え上がらせる令児。
 対する舞姫も愛刀――黒曜を抜き放つ。

 令児が舞姫とのやり取りを済ませると、今度は『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)が彼に言葉をかける。

「覚悟を決めたって言えば聞こえは良いが。結局ヤケクソで突っ込んできてるだけじゃねぇのかよ。悪いがアンタの要求に応えることはできない」
「それはこっちも同じなんでね。要求を呑めねェのも、退けねェのも互いに同じ。トールツィアを取りにいく時は世話になったが――」
「こっちこそフロステューンの時は世話になった。だけどな――」
 そして、自然と重なり合うように二人は言い放った。
「「ぶちのめさせてもらうぜ」」

 その様子を近くで見つめる『足らずの』晦 烏(BNE002858)は静かに呟く。
「困ったもんだな、あれじゃ死に逝く者の目だ。だが、ここで死なすわけにも行くまいさ。捕まっちまってる妹さんの為にもね」
 口調はいつもとさほど変わらず。
 されど確かな決意を込めた言葉とともに、烏は紫煙を吐き出す。

 烏の言葉に相槌を打つかのように『揺蕩う想い』シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)と『Nameless Raven』害獣谷 羽海(BNE004957)もこう口にする。
「何が「退けない時がある」よ。男って馬鹿ね。けれど、その馬鹿さ加減は嫌いじゃないわ」
「令児さんいくらなんでも無謀すぎない? うみにはよくわからないけど妹さん大事なんだね。令児さんが死んでもうみには関係ないけど、できれば死んでほしくないと思うよ」

「ま、それが男ってもの……もとい、特別な何かを守ろうとする奴ってものだよ。君達にも、いずれわかる時が来るさね」
 諭すように言い、再び紫煙を吐き出す烏。
 その横で兄の姿をじっと見つめる『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)。
 彼女は心配そうに兄を見つめた後、そのまま令児へと視線を移す。
「妹の為に命を投げ出す兄、か。もし私が同じように……いえ、今はこの状況に集中しましょうか」
「そうさな。それが兄貴ってもんさね」
 レイチェルの肩をそっと叩く烏。
 そして烏は、くわえていた煙草をそっと携帯灰皿に落とし込み、臨戦態勢へと入る。

 リベリスタ達の闘志に反応し、令児の周囲に控えていた火球が一斉に襲いかかった。
 そのすべてに対し、リベリスタ達は真っ向から相対する――。
 
●ゴー! リベリスタ!
「よう……余計な御託は無しだ。進みたければ倒すしかないよ」
 火球の群れに向けて『終極粉砕機構』富永・喜平(BNE000939)は打撃系散弾銃「SUICIDAL/echo」のトリガーを引き続けていた。
 彼を始めとするリベリスタ達は三人の仲間――『小さな侵食者』リル・リトル・リトル(BNE001146)と『腐敗の王』羽柴 壱也(BNE002639)、そして『ベビーマム』ミリー・ゴールド(BNE003737)を令児の元へと行かせるべく、総力を結集していた。
 目的は令児への接近を阻む火球達の排除。
 令児を救う為、仲間達を令児の元へと辿り着かせるべく。
 今、喜平達は火球の群れと総力戦を繰り広げていた。

 喜平は、彼や仲間達が作り出した好機を活かすべく令児へと突撃する三人――『小さな侵食者』リル・リトル・リトル(BNE001146)と『腐敗の王』羽柴 壱也(BNE002639)、そして『ベビーマム』ミリー・ゴールド(BNE003737)に言葉をかける。

「ここは任せな。リル、羽柴、ミリー。とっとと三宅を止めてやれ」
 言いながらトリガーを引く喜平。
 火球の方も黙ってはいない。
 痛烈な反撃を受け、喜平は思わず倒れかける。

 彼を始めとした、火球をくいとめる役割を担う面々だけではない。
 令児へと突撃する三人も既に傷だらけだった。
 たとえ一体一体はそれほどでも、火球の数は少なくない。
 喜平達が善戦したおかけげで、何とか立っていられるものの。
 もしかしたら、突撃役の三人も既に倒れていたかもしれないのだ。

「行け。言ったろ? ここは任せな、ってな。心配するな。俺達は俺達の、リル達はリル達のすべきことを果たそうぜ」
 力強くそう言い切ると、喜平は再びトリガーを引いた。
 その銃声を合図としたように、三人は令児の元へと走り出す。

●ヴォルカノン・レイジス
「初めましてだね、令児くん。意外とイケメン。わたしの大事なもの、守らせてもらうよ」
 仲間達の援護を受け、壱也達は令児と至近距離で相対していた。

「そっちこそ割と可愛い姉ちゃんじゃねェか。随分とボロボロなのが勿体ねェがよォ」
 令児の言う通り。
 既に三人は満身創痍だ。
 けれど、壱也達三人の瞳の光は揺るがない。

 幅広の太刀――羽柴ギガントを抜き放つ壱也。
「既に立ってるのもキツいだろ? できればそんな相手を殴りたくねェ。ここは退いちゃくれねェか?」
「そうもいかないんだよ。令児くんが退けないのと同じで、私達も退けないんだ」
「そうだな」
「男には退けない時があるって、わかってるよそんなこと。だって女にも退けない時ってあるもん――それが、今ってこと」

 並々ならぬ決意が感じられる壱也の言葉。
 それに応えるように、令児は裂帛の気合とともに炎を噴射して加速。
 ダッシュストレートを壱也へと叩き込む。

 覚悟を決め、壱也は令児の拳を正面からガードする。
 凄まじい衝撃が全身を駆け巡るが、彼女はぐっと堪える。
 次いで壱也は太刀の刃を反し、渾身の力で令児に叩き付けた。

「そうまでしてアーティファクトを守りてェかよ……!」
「わたしはアーティファクトなんて守ってないよ。守ってるのは、令児くんの命。そっちの方が大切なものなんだもの! わたしたちにとっても、静ちゃんにとってもね」
「……!」
 その言葉で一瞬、令児に同様が走る。
「わたしは嫌だけどね。目が覚めたときに大切な人が自分のせいでいないなんてこと。そんなの妹にとっては令児くんのエゴだよ」

 壱也の言葉に続き、ミリーも声をかけた。
「妹さんの為に出来る事はまだあるはずでしょ。こんなところで命を投げ捨ててなにが引けないってのよ。頭冷やせないなら燃え尽きさせてやるってのよ。導火線に火がついたってなら爆発する前に食い千切ってあげるんだから。ミリーの前で簡単に死ねると思うんじゃないってのよ!」
 咄嗟に振り返る令児。
 ほぼ同時、炎を纏うミリーの拳が叩き込まれる。
「さぁ、燃えていきましょ!」
 かろうじて拳を避ける令児。
 すぐに令児は火柱を立ててミリーへと反撃する。

 直後、そんな彼の前にリルが立ちはだかった。

「ネズミっ娘。これで最後だ。どいちゃあ、くれねェか?」
「これで終わり? 逆ッスね。ここからもう一度始めるんスよ! それに、譲れないのは同じッスよ。ここまで来て、退く道理なんてどこにあるッスか!!」
「そうか。なら最後まで……相手に、なってやる」
「勝負ッスよ。お互い、拳で語る方が早そうッスしね」

 リルが繰り出すのは氷の拳。
 それは即ち、初めて令児と拳を交えた時と同じ技。

「男なら死ぬ気で目的果たせよ、アンタが妹さんの希望の灯なんじゃないッスかッ!!」
 拳とともに言葉も叩きつけながら、リルは更に苛烈な攻撃をしかける。

 次いで繰り出すのは、質量を持った分身による多重同時攻撃。
 それは即ち、初めて令児と共闘した時と同じ技。
「ここでくたばるなんて、許さねぇッス!」

 避けきれない何発かの攻撃が令児を捉える。
 されど、それでも令児は立ちあがる。
「だったら……どうする……ッ!」
「アンタも助けて妹さんも助ける。退けないのがアンタだけと思うな! リルはアンタを止めて嫌でも会わせるッスからね!」

 特大の思いととともに氷の拳を叩き込むリル。
 彼女が懐へと入ってきた瞬間。
 令児は炎の噴射で跳躍。
 その勢いを乗せ、アッパーカットをリルへと叩き込む。
「吹っ飛び、なァ!」
 拳はもちろん、炎の噴射により彼の周囲へと発生した炎輪もリルを捉える。
 それだけではない。
 令児は空中で再度炎を噴射して加速。
「……オラァッ!」
 急降下の態勢に入るとともに、その勢いを乗せて拳を振り下ろす。
 空中へと打ち上げられたリルは拳の直撃を受け、地面へと叩きつけられる。

 令児が着地した瞬間、ミリーが渾身の一撃を放つ。
「さっきの炎、熱かったわよ。けどね、炎に関することなら誰にも負けたくない!」
 ミリーが放つは呪力で生み出された魔的な炎。
 術者の意思の元に龍の形を成して暴れまくるそれが、令児へと襲いかかる。
 それに合わせ、壱也とリルも令児へとしかけた。

「くらい……やがれッ!」
 対する令児も渾身の力を拳に込め、地面へと叩き付けた。
 今まで幾度となく見せてきた火山砲。
 だが、この火山砲によって立つ火柱はそれを凌駕した。
 立つ火柱は実に六つ。
 縦一直線に並ぶそれらは、炎の龍と正面からぶつかり合い、見事にかき消す。

 炎の龍をかき消してもなお火柱の威力は削がれない。
 勢いの衰えぬまま、ミリーと壱也、そしてリルに命中する。
 
 三人が怯んでいるうちに令児はアーティファクト奪取へと向かおうとする。
 突如として背後で響く、連続した爆音。
 咄嗟に振り返った令児は、その先にある光景を目の当たりにして、思わず息を呑むのだった――。

●ザ・フィスト・ピアーセズ・ファイアーボールズ
 同時刻。

「皆様、もう少しです」
 『青い目のヤマトナデシコ』リサリサ・J・丸田(BNE002558)は言葉で勇気づけるとともに、癒しの息吹として具現化した力により仲間を癒す。
 リサリサ達は今も、火球の群れをくいとめる為に戦っていた。

「もう一度、立ち上がれたら。こいつらをどうにかできそうか?」
 エルヴィンが一緒に戦う『覇界闘士<アンブレイカブル>』(BNE000004)御厨・夏栖斗へと問いかける。

「ああ。奥の手なら、ある」
「だったら、俺はそれに賭けさせてもらうぜ――こいつが俺の奥の手だ!」
 
 そうはさせまいと火球がエルヴィンに襲いかかった。
 だがそれも、烏の絶妙な銃撃によって阻止される。
「おじさんを忘れてもらっちゃ困るさね」

 このチャンスに、エルヴィンは切り札を切った。
 ――『全ての救い』と称される大魔術。
 その力により、仲間の傷はたちどころに回復していく。

「助かったよ、エルヴィン。おかげで、この瞬間まで持ちこたえられた――」
 拳を振り抜き、夏栖斗は目にも止まらぬ武技を繰り出す。
 それは『飛翔する武技』。
 痛みに耐え、ずっと待ち続けた瞬間。
 ――すべての火球が一直線に並ぶ千載一遇のこの瞬間に放たれた一撃。
 この一撃は火球を次々に貫通し、遂にはすべての火球が砕ける。

 直後、倒れ込む夏栖斗を烏が支える。
「速く行きな。三宅くんにはもう時間がない――若者が後悔で辛い思いをするのを見るのは、おじさんには辛いさね」
 烏から言葉をかけられ、夏栖斗は頷く。

「ごめん。それと、ありがと」
 それだけ言うと、夏栖斗は令児の前へと駆け出していった。

●ファイアスターターズ・ラストブレイジング
「因縁に身動き取れないほど雁字搦めにされて、それでも退けないときってあるよな。ご機嫌麗しゅう、レイジ」

 火球を連続撃破され驚愕する令児。
 彼の前に夏栖斗が歩み出る。

「夏栖斗か」
「不思議なもんだね。この前も、その前も、一緒に戦ったのに」
「神秘の世界は何が起こるかわからねェ。そういうもんだろ。だがよ――」
 あえて夏栖斗は黙り、令児の言葉を待つ。

「――できればお前とは命の奪り合いなんざしたかァなかった、ぜ」
「けど、退けないんだろう?」
「ああ」

 まるで意思表示の如く、再び手に炎を灯す令児。
 それに応ずるかの如く、自らも手に炎を灯す夏栖斗。

「なら、決着をつけるか。夏栖斗」
「そうだね。全力でいくよ」
 二人はどちらからともなく、炎を握り込むようにして拳を作る。

「「いくぜ――」」

 互いの声が重なると同時。
 二人は動いた。

 業火を制するものは更なる業火だけ。
 令児が火を使うなら、それ以上の火と熱さでもって。
 夏栖斗は全身全霊をかけた業火を纏う拳を令児の胸板へと叩き込む。

「君が燃え尽きたあとの静ちゃんはどうなる? そんなことすら考えれないようなバカじゃないはずだ。お前はアークに『負ける』ためにここにきている。最後にすることで諦めることを望んでいる。ふざけんな。命懸けで守ってきたものをこんなところで捨てるな!」

 思いを拳と言葉に乗せて。
「諦めるなよ! 何のためにお前は戦ってきたんだよ!」
 夏栖斗は叩き込み続ける。
「静ちゃんを諦めて、自分は死んだら、そりゃ楽だろうな! 僕はお前に勝つためにきたんじゃない! お前のそんなズルを邪魔しにきた!」

 幾つもの拳と言葉を受けても。
 まだ、令児は倒れない。

「それでも……命を燃やさなきゃならねェ、時がある……ッ!」
 もはや立っているのが不思議な状態。
「これで……終わりだッ!」
 そこから令児は噴射による加速で夏栖斗に拳を叩き込む。
 更に噴射による跳躍でアッパーカット。
 次いで、空中に打ち上げた夏栖斗を、急降下から叩き付けた拳で追撃。
 最後は夏栖斗が落下するのに合わせ、急降下から拳を地面に叩き付ける。
 夏栖斗の落下と見事に重なったタイミングで立つ六連発の火柱。

 それらすべてを受け、倒れる夏栖斗。
 彼を踏み越えて、令児が建物内へと入ろうとした時だ。

 最後の最後で立ちはだかったのは一人の少女――舞姫だ。
「舞姫……」
「かかってきなさいよ。貴方の技は、「零距離火山砲(とっておき)」まで全部知っています」

 その言葉だけで十分だった。
 もはや命も顧みず、令児は六連発の火山砲を放つ。
 既に令児の身体から吹き出す炎は先程と比べ物にならないほど激しい。
 この一撃を放ってすぐ、令児は燃え尽きるだろう。

 迫る六つの火柱。
 対する舞姫はそれを避けも防ぎもしない。
 真っ向から突っ込んだのだ。

 舞姫がずっと磨き続けてきた武技。
 その一つの到達点である超神速を以て、舞姫は火柱が自らを焼くよりも早く駆け抜ける。

 予想外の形で懐へと飛び込まれながらも、令児は咄嗟に零距離火山砲を繰り出す。
 予想していた舞姫は、あえてその拳を受ける。
 体内を燃やす異能の炎に耐えながら、舞姫は黒曜の刃を反した。
「なんて無茶しやがる……!」
「こうでもしないと……貴方が燃え尽きる前に、決定的な一撃を叩き込めない……!」
「こんなバカ野郎一人のために、運命を燃やし尽くしたらどうするんだ。まだお前を必要としている奴等は山ほどいるはず。俺との因縁や意地なんでモンの為に簡単に命を投げ出すなんて欺瞞だ。勝手に死ぬんじゃねェよ!」
「……前にも言いましたよね。あなたのためじゃない、静さんのためです」

 そして舞姫は黒曜の峰を令児の胸板へと叩き込んだ。

●ファイアスターター・イズ・セーブド・バイ・リベリスタズ
 決定的な一撃を受けた令児。
 それでも令児は、もはや無意識のうちに立ち続けようとする。
「俺は……俺は……ッ!」

 そんな令児の頬を平手で打つ舞姫。
 自分の目にも涙を浮かべながら、舞姫はまくし立てる。
 
「彼女を、守るんじゃなかったんですか? 「男には」だの、「退けない時」だの、巫山戯るなッ! やることやったなんて言い訳にして死んでいくなんて、かっこつけてるだけです」
「舞姫……」
「這いつくばっても泥にまみれても、貴方も生きて、静さんも助けるその方法を考えなさいよ!」
「俺は……」
「それなら、わたしも手伝います。あなたと、静さんのために」
 
 令児が目を向けると、その先ではリベリスタ達が笑顔で頷いている。
『焦って命を粗末にするような事だけは避けて欲しい。我慢比べになるが信じてくれやしないか? アークなら静君の痕跡を今後のギルドの行動から追う事も可能だ。アークに静君の救助を任せてくれるかい? 救助の成功報酬として情報提供してくれればアークとしては動ける』
 監視役を懸念して、念話で烏が令児に問いかける。
『目を覚ました静君の前に三宅君を連れて行く。今できる約束はこれだけだがね』

「俺も、妹のためなら命も仲間も何もかもぶっちぎって、死に物狂いで助けに走ると思う。だからって訳じゃないがな。アンタの妹を助ける事を、俺にも手伝わせてくれないか?」
 真摯な顔と声でエルヴィンも言う。
「ねえ、妹ってアークと一緒に助けるってのは無理なの?」
「わたしたちがいるじゃん! 妹助けにいこ!」
 ミリーと壱也も笑顔で言う。
 
 目線をすぐ眼前へと戻す令児。
 その先では舞姫も笑顔で頷いている。
 
「ッたく、どこまでもオメデタくてお人よしな連中だぜ……」
 そう、呟いた瞬間。
 緊張の糸が切れたのか、令児は気を失って倒れ込む。
 
 咄嗟に舞姫が抱きとめた令児に駆け寄るエルヴィン。
「絶対に死なせはしねぇ!」
 彼はすぐに令児を回復しにかかる。
 
 2014年 4月某日 三宅令児 捕縛。
 
 なお、彼の命は燃え尽きていなかったという。

■シナリオ結果■
大成功
■あとがき■
参加者各位

 この度はご参加ありがとうございました。STの常盤イツキです。
 気が付けば、令児が登場してもうすぐ三年。
 早いものですね。
 
 初登場のシナリオでは予約を頂けなかった令児も、二度、三度と登場するうちに、お客様からのご予約を頂けるようになりました。
 
 その結果として、今回のシナリオでもご予約を頂きましたのはもちろん。
 何より、ご参加くださいました皆様が令児の命を救うというプレイングをかけてくださったこと。
 STとして、とても嬉しく思います。
 また、当初はここまでストーリーが展開される予定はなかった三宅令児というキャラクターが、ここまで成長できたのは、ひとえに皆様のおかげです。
 
 令児がここまで皆様にご愛顧頂けましたこと。
 ならびに、そのおかげでキャラクターとしてここまで成長できましたこと。
 STとして心より感謝致します。
 
 今回のMVPですが、『厳しい時間制限の中、特にリスクの高いアッパー役を担い』。
 加えて、『令児への的確な説得も行い』。
 そして、『第一回目の登場から一回も欠かさず令児との絡みがあるシナリオにご参加くださり、その因縁を見事にやり遂げた』戦場ヶ原・ブリュンヒルデ・舞姫さんに決定致します。
 
 そしてご参加頂きましたリベリスタの皆様、今回も本当にお疲れ様でした。
 どうぞごゆっくりお休みください。

 それでは、次の依頼でお会いしましょう。
 
 重ねまして、約三年間、誠にありがとうございました。

常盤イツキ

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ラーニング成功!
EXスキル:『火山砲(EX)』
取得者:リル・リトル・リトル(BNE001146)