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リベリスタ対ダイオウイカ

●海の中からこんにちは
 ざばーん! と波飛沫が砕けて、漁船は大きく船体を傾けますが。そこは、乗り込んでいらっしゃる漁師の人たちはみな、この道ウン十年のツワモノ揃い。ちょっとやそっとの波でうろたえたりはせず、もくもくと、ただ自分のお仕事をこなすのみです。
 ここは、駿河湾。三高平市の海の玄関口。港湾地区へ、ひいては皆さんのもとへと美味しいお魚を届けるため、漁師の人たちは、今日も荒波の中へ、せっせと船を漕ぎ出すのです。

 ところで。
 最近チマタを騒がせているという、こんなニュース、ご存知ですか?

『今年は、ダイオウイカが大漁!』
『天変地異の前触れ!? またしてもダイオウイカ捕獲!』

 などなど。
 何でも、あのイカの王様ことダイオウイカが、今年はやけに獲れてしまうというのです。
 ながーい触腕を含めれば、その全長は最大で18メートルに達するとも言われておりまして、船を沈めてしまった! とか、巨大なマッコウクジラと死闘を繰り広げていた! とか、とにかく何かと、話題や興味、ロマンの尽きないダイオウイカさん。
 いつもは深海をゆったり泳いでいて、めったに浅い海ではお目にかかれないという彼らが、今年は何だか、ぞくぞくと水揚げ報告が上がっているというのですから。何かの予兆だと思ってしまう人たちがいたとしても、それは、無理も無いことかもしれませんね。
 本当に、どうなってるんでしょうね、地球。

 とまあ、そんなわけでして。
 どうやら、世にはばかります神秘の影が、そんな巨大なイカキングにも、影響を与えてしまったようでして……。
「ありゃあ、こりゃまた、でっけえイカだなやこりゃあ!」
「あんれまあ、おらっちの船に、取り付きよったでよ! ひええええっ」
 などと、そんなドギツイ方言で言ったどうかはさておき。
 漁師の人たちの大事な船に、長い長い触手をぐるりと絡みつかせると、うっかり革醒してしまった超・巨大ダイオウイカは、めきめき、ばきり! と船を真っ二つに折り、海中深くへとひきずりこんでしまったのでした。

●救え! 漁師の人たち
「イカを、退治してきてください」
 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)が、大真面目に、そんなことを言ったのです。そりゃあ、リベリスタの皆さんも、思わず目をぱちくりとさせてしまうわけです。
「ダイオウイカの大量発生、ご存知ですか? 理由は分かりませんけれど、今年はダイオウイカがたくさん獲れるらしくて……」
 と、改めて、キッチリ用意してくれたニュース映像など紹介してくれる和泉ちゃん。
 ともかく、つまりは、彼女の語るところによりますと。
 深い海の中で革醒してしまった1匹のダイオウイカが、お仕事に励んでいる漁師の人たちを襲い、船を沈めてしまう……なんて、恐ろしい未来が見えてしまったというのです。
「革醒したダイオウイカは、全長30メートルくらいはあるみたいで……」
 更に恐ろしいことを、さらりと報告してくれる和泉ちゃん。
「三高平市漁業組合のご好意で、漁船を一隻チャーターできることになっています。イカが現れる海域は分かっているので、恐らく遭遇するのは容易ですが……触手で絡みつかれて、船を沈められてしまったら大変ですし、色々と。そうならないように、気をつけてくださいね?」
 それは、リベリスタたちの身を案じて言ってくれてるの? それとも、お借りした船を沈めてしまった時の、賠償額やら諸々のほうを心配しているの? なんて、にっこり笑顔の和泉ちゃんの、真意は分かりませんけれど。
 リベリスタたちは、それぞれにフクザツそうな表情をたたえたまま、出かけてゆくのでありました。

 ちなみに……彼らが出てゆく間際、和泉ちゃんがぽつりと漏らした一言。これは、ちょっぴり、余計だったかもしれません。
「ダイオウイカって、食べても美味しくないみたいですけど……革醒したイカだったら、どうなんでしょうね?」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:墨谷幽  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年04月18日(金)22:36
 墨谷幽です、よろしくお願いいたしますー!
 昨今話題のダイオウイカと戦ったり何だり。という感じであります。



●作戦目標
・E・ビースト、ウィッチハンターの撃破


●失敗条件
・船が沈んじゃう


●ロケーション
・駿河湾の沖合い、チャーターした漁船の船上での戦いになります。時刻は夜の12時頃。
・船はイカ釣り用の大型の漁船で、大量の集魚灯が備え付けられています。
・E・ビーストは、船上のリベリスタたちを攻撃しつつ、船も沈めようとします。戦いが長引くと大変。


●敵性キャラクター
○ウィッチハンター
・革醒したダイオウイカのE・ビースト(フェーズ1)。全長約30メートルとかなり巨大です。
・10本の長い触手を持ち、船に絡みつかせたり、獲物を捕えたりします。
・本体、10本の触手それぞれが別々の行動判定を持ちます。つまり、1ターンに最大11回行動。
・まぁ、言いましてもこれ、イージーですし。
・【びしばし】物/近/単
・【墨ぴゅー】神/遠/複/ショック
・【にゅるるるるん(EX)】付/近/範/虚脱/触手が絡み付いてごにょごにょにょ。不自然に服が破れたりもするかもしれないよ、プレイング次第だよ


●友好キャラクター
○船長
・チャーターした漁船の持ち主である、屈強な海の男でリベリスタ。
・積極的に登場したり戦闘には加わりませんが、船の操縦、倒したE・ビーストの回収などを行ってくれます。


●その他備考
・撃破し回収したダイオウイカは、臭い! とか言って捨ててしまってもいいですし、持ち帰って、そーとーマズイと言われるその身をどうにかこうにか調理にチャレンジしてみたり、諸々ご自由にどうぞ。
・ダイオウイカの攻撃で船が沈んでしまった場合、海中に引きずり込まれる……ということはありませんが、それ以降は、三高平市港湾地区まで泳いで帰る様子が延々と描写されます。



 気楽なお気持ちでご参加くださいませー。
 それでは、皆様のお越しをお待ちしておりますー!
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
アウトサイドレイザータクト
レイチェル・ガーネット(BNE002439)
フライダークホーリーメイガス
メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)
ビーストハーフソードミラージュ
喜連川 秋火(BNE003597)
フュリエミステラン
シェラザード・ミストール(BNE004427)
ジーニアスソードミラージュ
ベオウルフ・ハイウインド(BNE004938)
ビーストハーフアークリベリオン
藤代 レイカ(BNE004942)
ジーニアスアークリベリオン
二十六木 華(BNE004943)
フュリエアークリベリオン
スォウ・メモロスト(BNE004952)

●イカ退治!
 ざざーん! 深夜、日も変わる時刻の駿河湾の闇の中を、吊るされた無数の集魚灯が織り成すまばゆいばかりの光を武器に、荒い波を切り分けながら、イカ釣り漁船はざんぶと進んでいきます。
「私、海、はじめて!」
 『空色の飢獣』スォウ・メモロスト(BNE004952)は、船縁に身を乗り出し、興味深げにあたりを見回しています。彼女は海を見るのも、船に乗るのも初めてということで、どこかはしゃぎがち。見ていて微笑ましいのですが、ああ、そんなに乗り出したら危ないですよ!
「ダイオウイカか、確かにここ最近、良く水揚げされてるよな。まぁ、食べてもあまり美味くは無いらしいが」
 ベオウルフ・ハイウインド(BNE004938)の言葉に、スォウは、ええ、そうなの? と残念そうな表情。
 傷だらけの屈強な肉体を包む着流しが、はたはたと潮風になびき。夜闇の中へ眼光鋭く警戒の視線を投げるベオウルフの立ち姿は、レトロな雰囲気をかもしだす漁船の上にあって、実に様になっておりました。
 さて。今回のイカ退治には、昨今、徐々にその姿を目にする機会も増えてきました、アークリベリオンの方々も何名か同行いただいております。
 そんな彼らへと熱い視線を注ぎつつ、何やらハンディカメラを構えて撮影に勤しんでいるのは、ぴっちりとスクール水着を身に着け準備も万端、『NonStarter』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)でありました。
「アークリベリオンの人たちの実戦映像が撮れれば、ベテランの人たちが一緒になった時にも、新人の人たちがお仕事に行くときにも、きっと役に立つよね?」
 と言うのが、いちおうの彼女の建前であり、また本心でもあるようなのですが。あざとい水着のチョイスは、どうやらナチュラルに無自覚な様子。メイちゃん、あなどれない幼女です。
「あ、あと。果敢に突っ込んでいって、触手に捕まって拘束されちゃっても、最後には諦めずに勝つ! みたいな、カッコイイシーンが撮れたらいいよね。ね、秋火ちゃん?」
「おいやめろ、ヘンなフラグ立てるな!」
 艶やかな着物に身を包んだ『双刃飛閃』喜連川 秋火(BNE003597)は、メイのフリに何かを感じたのでしょうか、思わずツッコミを入れます。スピードが信条の彼女、触手なぞに捕まるつもりは毛頭無いながら、万一そうなってしまった時の備えは万全だったりするのです。
 と、そんな船上のリベリスタたちへ。
 どっぱーん! 突然、大きな波が降りかかったかと思いましたら……。
「……ダイオウイカってのは、でかいとは聞いてたが。ここまで大きいとは」
 呆れたようにつぶやく秋火の言葉は、船上の誰しもが思ったことでしょう。
 ぬうっ、と集魚灯の明かりの中へと浮かび上がる、巨大な影。ぬるぬる、ぬめぬめとうごめく、10本の触手。
 件の革醒巨大ダイオウイカが、リベリスタたちの前に姿を現したのです!
 秋火の言う通り、こんなお化けイカがどんどこ現れてしまった日には、もう天変地異どころの騒ぎではありませんよね。リベリスタたちは、早速船へとぬめる触手を絡みつかせ始めたイカへ、敢然と立ち向かってゆくのです。

●戦闘開始!
「……ほう。これは」
 早速の戦闘開始……となったはずなのですが。『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)は、船の中央にある操縦室の影に隠れながら、何やら巨大イカを観察しているようです。あの、戦わなくていいんですか?
「10本の触手が織り成す、有機的な連携。それぞれが意思を持つかのように、獲物を追い詰めていく……実に見事ですね、この動きは。参考になります」
 一体、何の参考にするというのでしょうか。楕円形の眼鏡がきらり、のんびりと見学しているように見えるレイチェルですが、その実、裏では超直観など発動しつつ、触手たちの動きを寸分もらさず目に焼き付けんとしています。
 一体、何の参考にするというのでしょうか……恐ろしい!
「シャルマ、お願いしますね? さあ、行きますよ」
 と、そんな底知れないレイチェルさんの視線の先で、フィアキィと一緒に奮闘中なのは、シェラザード・ミストール(BNE004427)です。火炎弾をいくつも放つと、船体へぎりぎりと絡みつく触手へびしばしとブツけ、引き剥がしにかかります。
「神秘の力による巨大化。こちらの世界では、巨獣とはこのようにして生まれるものなのですね。とても勉強になります」
 巨大イカを眺めつつ、シェラザードは生真面目な感想を述べます。まあ、彼女をして巨獣と言わしめるほどの大きなエリューションが、あまり頻繁に目撃されるようになってしまっても、正直言って困ってしまうのですけれど。
 眼前の巨獣ことダイオウイカは、船体のあちこちへと触手を這わせつつ、リベリスタたちを捕らえようとうねうねと迫ってきます。
「……俺は、リベリスタだ」
 あ、はい。うん?
「世界を護るため、俺みたいな不幸な人間を、これ以上出さないため……! 例えどんな強敵が現れようと、乗り越えなくてはならないんだッ!」
 ぐぐぐ、と拳を握り締め、熱く語る『咢』二十六木 華(BNE004943)、21歳男性。仰っていることは、とても立派なのです。確かに。
「よおおおし、皆、覚悟は決めたな? 行くぞ、俺たちの明日のためにッ! うおおお、俺の心が熱く燃える、燃え上がるッ! 何だか今日は、一段とやる気に満ち溢れているぜー!!」
 天を突くように拳を振り上げ、うおーっアクセルクラッシューっ!! っと果敢に突っ込んでいく華さん。とても勇ましいのです。でも。
(これは、リベリスタの使命なんだ! だから、ここで女の子たちが何かこう、あんなことやこんなことになったとしても、事故だ、事故なんだ仕方ないんだ! そして俺が、図らずもそんなシーンを直視してしまったとしても仕方ないんだ! 思わずガッツポーズ決めちゃったとしても仕方ないんだ! 事故だから!)
 ……うん。実に、男の子なのでした、彼。気持ちはとっても分かりますけれど!
 そんな健全な男子の思考をよそに、スォウは大きなアックスを振り上げ、ずんばらりと触手を切り裂いています。
 ふと、ぞくり。背筋に走る嫌な予感に振り向くと、そこには、巨大なガラス玉のような、ダイオウイカの目玉が。何となく、いやらしーく笑っているように、見えなくも無い? その目に、スォウは思わずアクセルバスター! がしーん!
 と。巨大イカは、怒ったように目を吊り上げると、
「ぷわ……!?」
 ぴゅぴゅっ、と飛び出した真っ黒なスミが、スォウにびしゃりと叩きつけられ。彼女はスミまみれになってしまいました。
「うう。この服、洗濯、大変なのに……」
 イカのスミは粘性が高く、べったりと全身に張り付いたそれを見下ろし、スォウはしょんぼり。
「ちょっと、大丈夫!? もう、リベリスタって、こんなヨゴレ系女芸人みたいな仕事だったっけ……?」
 気の毒そうにスォウを気遣いながらも、藤代 レイカ(BNE004942)はちょっとげんなりとした顔でぼやき、炎を身に纏った強烈な体当たりで、触手の1本を跳ね飛ばします。
「……まぁ。バブル期のオヤジどものセクハラに比べたら、ね。遠慮なくブッ殺せるだけマシよね」
 何だか年輪を感じさせるセリフを口走るレイカさん。彼女も新人リベリスタのアークリベリオンではありましたが、なかなかどうして、肝が据わっていらっしゃるようで。これが、実に頼もしいのでした。
 ……しかしながら。
 イカくん、今まではどこか、様子見というか品定めと言いましょうか。そんな感じだったのかもしれません。
 恐怖の触手責めは、ここからが本番だったのです……。
 するり、ぬるぬる。レイカの背後から忍び寄った一本の触手が、彼女のスタイル抜群な肢体へ、ぬるりと絡みつき。這い回りながら、無遠慮にも服の中へと入り込みます。
「あっ、ちょっと、やっ、何これ……や、やめなさいよ、触手とか、あたしそういうの好きじゃないんだからっ! やっやめて、やめてったら、いやーーー!?」

●にゅるるるるん!
 さー、全国の華さんお待ちかねの、触手のターンですよ! 妙な言い回しですけれど、要するにそういうことなのですよ!
 そして、手始めににゅるるるるんされてしまったのは……秋火ちゃん!
「くっ……ま、まさか、ボクが捕まるとは……っ」
 素早い動きで翻弄していた彼女、船からイカの注意を引き剥がすべく、派手に動き回っていたのが仇となった様子。足元から忍び寄った触手が、一気に彼女の和装へと絡みつきます。
「だが、この程度……すぐに抜け出して……はぅっ? ちょ、こら、変なトコ触ん、やっバカ!」
 びびびび! と、綺麗なお着物が触手によって引き裂かれていき、やがてあらわになる乙女の柔肌……と思いましたら。あっ、スクール水着です! そう、こんなときのために、彼女、ちゃあんと仕込みを入れてあったのでした。
 まあ、とは言いましても、触手はお構いなしに、彼女のぴちぴちスクール水着姿の上を、ぬるぬるぬるんと這い回るのですけれど。
「あッ、や、やめ……いやっ、だめぇっ……ばかぁぁぁん……っ!」
 や、実に眼ぷkいえ、大ピンチ。大ピンチです!
「そうっそこだよ! そこから華麗に脱出しての勝利だよ、秋火ちゃん!」
「撮る前に助けろーっ! ひィんッ!?」
 この映像が、新人リベリスタたちへの宣材として役に立つんだから! と、思い込んだら一直線。メイはカメラを片手に、秋火のキツネ耳ににゅるんと触手の先端が入り込むのを、ばっちり撮影中でありました。ブリーフィングルームでこんな映像が流れてしまった日には、大目玉を食ってしまうこと間違いなしだと思うのですけれど。
 と、そんなメイちゃんの肩を、ふいに、つんつくと叩く者がありました。振り向くと、
「……あっあれ? みゃー!!」
 触手と目があった(?)途端。メイ自身もまた、あっという間ににゅるんと絡め取られてしまいました。
「ぬっぬるぬるするー! あッ、だめ、そんな……中に、中に入ってこないで~ッ!!」
 水着の、ですよ。水着の中。
 すぐ近くで、じいいいい、という音がして、何かと思いましたら。あっ、このイカ、ちゃっかりメイちゃんの手から離れたカメラを触手の上に乗っけて、にゅるるるるんされるところを撮影してる!
「やッ、ぼ、ボクは撮らなくてもいいのにっ、撮らないで~!」
 このイカ、やはり……!
「……あら? 捕まってしまいました」
 そんな中、にゅるるるるんされながらも、どこかのんびりと言ってのけたのは、シェラザードお姉さんです。触手は、彼女の身に着けた服の中にもにゅるんと入り込み、びりりと破いてしまうのですが、
「まあ。服が破かれてしまうのは、厄介ですね。防具の性能が落ちてしまいます」
 なんともご無体な、このお言葉。鋼の精神力をお持ちなのか、今だボトム・チャンネルの慣習に馴染んでいないからなのか、ともかく彼女、動じません。
 何だか焦ったように、シェラザードの身体を忙しく這い回る触手を、華は、剣を差し込んで斬り離そう試みます。
 さすが男の子、女の子のピンチを黙って見てはいられません!
「よおし、今助けるぞ! 助けるぞ……あれ、斬れないな。うん、頑張ってるんだ、全力で頑張ってるんだけど。斬れないなこれ、うん、斬れないんじゃ仕方ないよな、頑張ってるんだけど、いろいろ見えちゃっても仕方ないよなーってうおおおお!?」
 どーん! 突然、彼の鼻先で、ブチ込まれた火炎弾が弾けて、触手をフッ飛ばしました。ちょっぴり焦げた前髪に、びくりと身を固める華さん。
「あら……? ごめんなさい、何だか、邪な気配を感じたもので……お怪我はありませんでしたか?」
 申し訳なさそうなシェラザードに、こくこく、頷く華さん。
 ……それでも、女の子のために身体を張るのが、男の子。頑張って!
 さて、変わって船外の水上では、絡み付かれて持ち上げられたスォウを救出すべく、ベオウルフが揺れる波間の上を駆けておりました。
「うぇ……隙間から入ってきて……べとべと、ぬるぬるするよぉ」
「今、助ける……ッ!」
 もともと露出の多いスォウの格好もあり、ベオウルフの視線の先では、大変な光景が繰り広げられているのですが。
「あッちょっと、入ってきちゃ、ダメ……んっ、あん、やめてよぉ……」
 ふいっ、と彼は、そんなスォウの痴態から視線を反らしました。だって彼、紳士ですから。
 なんて思いましたら、
(うん。だって、命は惜しいしな)
 そんな理由だったみたい。確かに、どなたかのように、間近でじっくりたっぷり観察していたりしたら、後でどんな報復を受けたものか分かりませんものね!
 ベオウルフは水面を蹴って跳躍し、ぱちり、刀の鯉口を切ると。抜き打ちからの猛連撃で、触手の1本をなます切りに切り裂いてしまいました。
 解放され、ちょうど良く船上へと落ちたスォウが、彼へと感謝を込めて手を振ります。
 けれど。それに応えたのが、仇となってしまったようです。
「!? お、おいちょっと、俺は……!」
 触手は、彼にも、例外なく絡みつくのです。ぞわぞわと身体を撫でる触手が、着流しの裾を徐々に、徐々にとめくれあがらせていき……にゅるるるるん!
「ちょっと待てー! 俺がこんな目にあっても、誰も喜ぶやつは……!」
 いえいえ。そんなことも無いようですよ?
 助けを求めるように船上を見れば、きらきらと輝く瞳のスォウちゃん。どうも彼女、自身の痩せぎすな体型を気にしているようで、逞しいベオウルフの披露してくれる艶姿を、半ば羨ましそうに眺めつつも、びしっとサムズアップ。
「アナタ、いい、肉付きだね……!」
「ふっ、服の中に……ぬるぬるして気持ち悪い!?」
 需要というものは、ちゃあんとあるものなのですね!

●反撃、そして……
「くっ臭い! お願い、やめて、においうつっちゃうからぁ……! あッ、やだ、ちょっと……! ダメッ!」
 びりびりと、レイカの服がちりぢりに破かれていくと。実は彼女も、こんな事態を想定しまして、中に着込んできていたのです!
 全身ぴっちりと繋がった、ダイビング用のウェットスーツを。
 …………。
「いっいやあああああ!?」
 びびびーっ! 何か、イカさん的に、その色気の無いのが気に食わなかったんでしょうか。触手は、ウェットスーツまであっという間に剥ぎ取ってしまいました。
「も、もお、お嫁にいけないぃぃ……」
 しくしくしく。あわや、レイカさんの乙女の柔肌が、夜気のもとにこれでもかと晒されてしまう……そんな時でした。
 ふわさっ、レイカに真白いシーツがかけられます。
「……オイ、このイカ野郎ッ! いい加減にしろよッ!!」
 あまりにあまりな女の子たちへの仕打ちに、彼の中の男が、ついに立ち上がったのでしょうか。はたまた、もう十分堪能したしそろそろやっつけてやるかなー、くらいの感じだったのかも知れませんが。ともかく、アクセス・ファンタズムへ仕舞い込んでいたシーツを女の子たちへと優しくかけてあげると、男・二十六木 華は、ついに反撃の狼煙を上げるのです。
 炎巻き上げ、強烈なタックルを巨大イカの本体へとぶちかます華の背後から、
「さて、大体の動きは見極めましたし。そろそろ、仕留めてしまいましょうか?」
 余裕しゃくしゃくのレイチェルさん、眼鏡をくいっ。どうやら、触手の猛攻は、残念なことに……いえ、見事、全て跳ね除けてしまったようです。ちぇっ、ちぇっ。
 ともかく、巨大なガラス玉のようなダイオウイカの瞳を、レイチェルは凍りつくような視線を放って射抜き。
「イカごときに捕まるとは……ボクとしたことが、油断した。でも、ここからが本番だぜ!!」
 ぼろぼろになってしまった着物の残骸を、ばっ! と自ら破り捨て。明かりをつやつやと照り返すスクール水着に身を包み、秋火は戦いに決着をつけるべく、しゅばばっと駆けていくのでした。

 ……そんなこんなで。
 巨大イカとの激闘が終結したのは、もう日も昇りかけた、朝方になってからのことでした。
 開口一番、ひどいめにあった。とは、思わずへたり込んだスォウの談。
 色んな意味で、皆さん、お疲れさまでした!
 さて、一息ついたところで、息絶えた巨大イカの残骸の処理へとかかるリベリスタたち。一般に、ダイオウイカはアンモニアの匂いがかなりキツく、調理をしても美味しくないそうなのですが……。
 まあ、やるだけやってみよう、ということで。秋火が腕を振るい、船上の卓の上に並びましたのは、ダイオウイカ刺、ダイオウイカ飯、ダイオウイカ墨パスタ……などなど、数々の、大量のダイオウイカ料理。
「……食べませんからね?」
 というレイチェルをよそに、一同、思い思いのイカ料理を手に取ると……ぱくり。
「……これが、ダイオウイカの味……!」
 結論。
 ダメなものはダメだった、ということです。残念!

 そして。
 この戦いにおいて、様々な窮地に見舞われ、あられもない痴態をさらしながらも何とか乙女の大切なものは守り切った、勇敢なるリベリスタの女の子たち。
 彼女たちは、ダイオウイカ料理のガツンとくるインパクトに流され、忘れてしまったのでした。
 こみあげるアンモニア臭に思わず涙目なメイちゃん、その懐に、しっかと抱かれた、それ。
 全てを映像へと収めた、ビデオカメラの存在を……ッ!!

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 お疲れさまでした! 『リベリスタ対ダイオウイカ』のリプレイをお届けします。

 しょくしゅでにゅるるるん! なんて、実は初めて書かせていただきましたわたくしです。
 合言葉は、社会的フェイト不使用!
 また一つ、びーえぬいーの深淵を知った墨谷でした。

 それでは、今回はご参加ありがとうございました!
 またの機会にお目にかかれますこと、お待ちしております~っ。