●ブルーベリー色の腕の巨人 その日は『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)の誕生日であった。 プレゼントは何が欲しい? と聞かれたので機械男は考え込む。基本的に物欲はないし、今これといって特に欲しいものはないし、どうしたものか。そうやって。考えて。 閃いた。 「皆々様と戦ってみたいのですぞ!」 でもメルクリィはフォーチュナ、非戦闘員だ。どうやってリベリスタと戦うのか? 「VTS――ヴァーチャル空間の中でなら、私だって皆々様と戦えますぞ」 システムをいじって強くすれば、フォーチュナだって戦える筈。フィクションだとしても、戦える。戦えるのだ。 という訳で。 「フフフ! フゥーハハハハハハハハハ!!」 大量のメルクリィ、メルクリィ、メルクリィ……武装していたり、魔法を唱えたり、深化していたり、巨大だったり、合体ロボだったり、文字通り戦闘用だ。 「さぁ、参りますぞ皆々様ー!」 勝つのは名古屋か、リベリスタか。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年04月12日(土)22:11 |
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■メイン参加者 23人■ | |||||
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●VS758 ですぞーですぞーですぞー。仮想空間内は名古屋でした。地名的な意味ではない。 「ほぉ……? ここにきて戦闘用か……」 強ければ大歓迎。虎鐵は斬魔・獅子護兼久を抜き放つと同時に己が闘気も解き放つ。さて実力は如何なるものか。 「すまねぇが……負の餌食になってもらうぜ?」 振りぬけば暗黒。リベリスタVSメルクリィ。秋火はそんな光景に「一体なんだ」という感想を抱く。 「まあいい、ボクはボクでボクなりに祝わせてもらおうか――メルクリィ、誕生日おめでとう!」 祝う気持ちも忘れない。双刃を構え、虎鐵と同じくベースタイプを狙う。音速の刃。疾風の如く切り裂いて――ガキン、と刃がぶつかった。彼女と同じソードミラージュ型メルクリィが構えた斧だ。搗ち合う視線。上等だ、秋火は口角を吊った。 「どこまでやれるか分からないけど、ボクなんかの相手で楽しんで貰えたなら幸いだな!」 「いざ尋常に勝負ですぞ!」 響く響く、剣戟の音。大業物を構えるレイカの眼前にも、覇界闘士メルクリィが拳を構えている。 「訓練は大切よね。いくらやられてもとりあえず死にはしないし、それでいて経験を積むことはできるもの」 「うむうむ。何事も積み重ねですな」 「嫌いじゃないわ、訓練。という訳でそこの名古屋さん、お手合わせお願いしていい?」 勿論ですぞ! そんな返事と共に炎の拳を繰り出してくる機械男。割と負けそうな気がするけど、なんて思いながらもレイカは立ち向かう。まぁ仮想空間内はどれだけボロボロになっても大丈夫。回数をこなせる、つまり攻め方を無尽に出来るというメリットがある。アクセルバスター。インパクトボール。アクセルクラッシュ。持てる技を全て使い、立ち回りも変えつつもその使い心地を記憶する。きっと実戦でも役立つだろう――なんて、体育会系のノリは実はそんなに好きじゃないけれど。 「こうやって努力して身につける、って部分だけは性に合ってる気がするのよね。変かもだけど?」 「いえいえ。努力とは遍く美しいものですぞ」 名古屋・T・メルクリィとやらが居ると聞いた。どうやらその男は、フォーチュナでありながら超重厚装備であり、尚且つメタルフレームでありながらギガントフレームであると聞く。 (本当に覚醒者なのか?) 仮想空間の中、華は思った。そう彼は真相を見に来ただけ、決してメルクリイに会ってロボ大好きとか言いたい訳じゃうずうずしてきたぜロボ大好きだ。 そんな時である。 「ちわっす名古屋さん! 誕生日おめでとうございます! 噂は聞き及んでますよ! アークの最終兵器なんすよね! 先輩方が言ってんの聞きました! 胸を借りるつもりで模擬戦やらせてもらいますね!」 響いたアイカの声と「おめありですぞーさぁこの最終兵器758にかかってきなさい」という低い声に、華は反射的に振り返る。そこにメルクリィが、居た。 「な!? お前が、アークの最終兵器メルクリィとやらか!!」 「ですぞー」 「なんだその青色は! 青色リスペクトなのかァ!?」 「ですぞー」 「なんだその真空管は!! 電気点くのか!? 暗い場所でもぴかぴか光って進めるとかお手軽商品なのかァ!? 誕生日プレゼントはLEDがいいのか!!?」 「頑張れば光るかもしれないと最近思い始めましたぞ!」 「なんっ……ツッコミが追いつかない、だと! ロボ大好き!」 「して、貴方は?」 「俺は二十六木華……アベリオンだ。以後宜しくして欲しいロボ大好き」 「ですぞ!」 漢の握手! だが次の瞬間、そんなメルクリィにドーンと突撃する者一つ! 「メルクリィさーん!!!」 「グフッ(訳:ルア様ー!」 現実世界では減速しているが、今日のルアは全速力。そしてメルクリィもそれに耐えられるボディなのだ。むぎゅむぎゅ、目一杯の力で抱き付いて、くるくる、目一杯の力でぶん回して、きゃっきゃっ、目一杯の力で放り投げて。 それだけじゃない。 「ほら! メルクリィさん! 私のグラスフォッグ綺麗でしょ?」 一度、近くで見せたかったんだよ。そう言って双刃Otto VeritaとNettare Luccicanteを抜き放つと、踊る様にルアが回った。銀世界を駆る雪風が、花弁の様な雪の結晶が、双つの剣から生み出されキラキラ二人を包み込む。 「いやはや、春に雪が見れるとは!」 美しい、と手を叩くメルクリィ。 を、壁からぶらんと狙うのはまおである。 「そういえば、VTSってこういう使い方も出来るんですね。まおも、いつか使える時があったら真似したいと思いました」 と言う訳で今日はアークの皆が考えたとっておきの力を早速使ってみよう。たくさんいるメルクリィの胸を借りる気持ちで、掌に収束するのは衝撃波。 おおきく振りかぶって たくましい玉になるように…… んーとイメージ大変ですね。 じっと投げる方向を見つめて よーく狙いを定めたら うんと深呼吸をした後に びびっとくるタイミングで おなじように振りかぶります。 めつぶししちゃうとボークなので でっどぼーる狙いでいきます。 とうっ! うさぎさん大好きです。 「ひんとはたてよみグワアアアアアリガトウゴザイマスゾー」 ナイスシュート、ストライク。 「さて、反動で疲れちまったし攻撃方法を変えるか」 ぶっ飛んだメルクリィへ間合いを詰めるのは虎鐵。暗黒による蹂躙から、一点撃破に切り替える。 「こう野球みてぇな感じでフルスイングすればいいんだよな? 純粋な火力で負ける訳にはいかねぇんだよ」 メガクラッシュホームラン。ぱりーん。 それらに加勢するのは、拓真が構えるガンブレードBroken Justiceより吐き出される破壊の嵐である。 「うえーい、あの前に行くのはおっかねぇっす」 彼の後方にはケイティーが、打ち漏らしのメルクリィの頭部にがんがんヘッドショットを決めてゆく。銃声の中、彼女は独り言つ様に言葉を漏らした。 「あー、人の生き死に関係ねぇドンパチは楽っす。こういうのは遊びだけで十分っす。つーかどっこもかしこも死にすぎっすよマジで。死んじまったら、何もかんも終わりでクチナシでまじでだりぃしメイヨも糞食らえっす。もーちょい命大事にしやがれっつーのに、死に急ぐ奴が神秘有り無しでうようよ増えやがるし……」 「……人の生死、か。中々難しい事を考えているんだな。俺は剣士だ、意味ある剣戟の中で果てる事に関しては悪くは無いと思う」 苛立たしく柳眉を吊り上げていたケイティーに、応えたのは背を向けたままの拓真だった。銃声は、止めない。口調も、変わらない。ただ機能的に弾丸が吐き出される銃の様に、彼は淡々と続けた。 「死ねばそこで終わりだと言うのは同意するがね。どれだけ強かろうと、死ねば自身に先は無い。故に俺は繋げる生き方をしたい。命は有限で、消費物だ。ならば、長くとも短くとも己が正しいと考える生き様を貫きたい」 誰が為か、何が為かと問われようとも。嗤われようとも。これが己だ。どうしようもなく己なのだ。であるならば、己として生きる他に道も術も在る筈がなく。 あー、とケイティーは溜息ともつかない声を漏らした。実際息を吐いている。 「やべ聞かれたっすか。遊ぶ場で言うことじゃねぇっすね、サーセン。つーわけでとっとと忘れて欲しいっす」 「遊びで真面目ぶるのも良いさ、俺もお堅い人種だからな。……さて、何時までもお喋りをしていたらやられてしまうな。そろそろ本腰を入れるとしよう」 「んじゃ、楽しい内に狩り尽くすっす」 激しい戦闘。 一方、キリエはメルクリィサイドとして回復サポートを行っていた。 「いくら数が増えたところで、全て貴方の分身だから、一人で戦っているのと変わらないでしょう? でも貴方の本当の願いは……リベリスタの皆と共に戦うことなんじゃないかなと思って。私達だって、いつも孤独に戦ってるわけじゃないから」 パワーバランスにおいて必要がない事も、単純にはっちゃけたいだけな事も、分かっている。放っておいたほうが良いのかもとも思ったけれど、「寂しくないのかな」と、気になってしまったのだ。 そんなキリエの優しさに、メルクリィがニッコリ微笑む。背中合わせ。現実には有り得ない光景。 「それでは、共に頑張りましょうぞ!」 敢えて多くを語る事無く、預けた背中に全てを込めて。キリエも微かに、微笑んだ。「うん」と頷き、「よろしく」と続けた。背中に体温を感じながら。 「すごーい。おっきーい。あおーい」 顔色的な意味で、とメリュジーヌは一面のメルクリィに目をぱちくりさせた。取り敢えず透視によって捕捉したメルクリィの位置を味方に伝達、同時に大型神秘合成体ディグニティコアより神秘糸を大量に発射する。 攻撃だけではない。仲間を見付けりゃプロジェクトシグマ。ダブルアクションシグマシグマ。 「すごくない? そんだけ! さぁばりばり回復するよー!」 そんなドカーンバゴーンを背景に、アズマは斧を構えたデュランダルメルクリィと相対する。 「オレの名はアズマ、姓はウィンドリスタ。新米のリベリスタの身ではあるが……メルクリィ殿、いざ尋常に勝負っ!」 言下、懐に飛び込み仕掛ける居合い一閃。メルクリィが斧で受け止める。瞬間、アズマはするりと剣を手放し全身に力を漲らせ、組み手で挑みかかった。組み合い、拮抗。 「やはり外見通り、力強いな! だがアークリベリオンの力、まだ理解していないだろう。その身をもってどういうものか理解するといい!」 「フフフ……よろしい、アークが誇るロボフォーチュナの力をお見せしましょうぞ。全砲門、開け!」 ウィーンガッシャン。肩から砲門。 「なっ!?」 「撃ッ」 どかーんどかーん。 「くっ……このような力が……! これが歴戦のフォーチュナ、新米リベリスタでは叶わぬか……さすがメルクリィ殿……益荒男であるな!」 「フハハハハーどうもですぞ!」 「やはり、まだ未熟な身であったが……手合わせに感謝する。ああ、それと、お誕生日おめでとうであるぞ、メルクリィ!」 「ですぞ!」 「ひゃっはー! 758狩りだッ!! お誕生日を祝ってやんよ♪」 アズマに微笑みかけたメルクリィに容赦のないバックアタックを仕掛けたのは舞姫。群からはぐれた子が狙い目だ、と生かさぬように殺さぬようにアル・シャンパーニュ。 「うわらばっ」 「……あ、やばっ、なんか断末魔的な痙攣が……ドンマイ☆わたし! さー、いっぱいいるから、次、次だよ!」 マジキチ(マジ鬼畜)。 メルクリィ、御年40だそうで。 「『40にて惑わず 不惑』……って奴だな。いい歳になってきた訳だしそろそろ落ち着きの一つや二つ……」 ふ、と笑んだ火車の真横でドワォと爆発が起きた。ですぞーですぞーと名古屋祭り。火車は表情を変えないまま、手近なメルクリィを引っ掴む。 「よぉメルクリィ座れ 良いから な? とりあえず座れって 話でもするべ」 これ記憶は全部一つに統合されるのか、まぁいいかと火車は話を始めた。 「そもそも戦いってのは無けりゃ無いに越した事ぁーねぇっつーシロモンで……」 ☆中略☆ 「……で、VTS内は安全とかそういうんは差し置いてだな……」 ♪中略♪ 「火車様……」 「あ?」 「足が痺れてきましたぞ……」 うーん、と火車は思案した。 (目の前でガキに死なれた事もある以上、あんまり言う事もねぇか) それに何が役立つかも分からない。まぁいっか、と呟いて。 「んじゃヤっか。ホレ立った立ったー始めるぞー」 右手は肩で♪ 左手はグーで♪ 業 炎 撃!(と云う名の腹パン) ●VS巨大758 ガシャーン! ジャキーン! ズゴゴゴゴ……ギュピシィイーーーン! という訳で合体ロボ758光臨である。 やんやパチパチ、拍手を送るのは正座して観賞していたアンジェリカと疾風。 「合体シーンは待つのはお約束なんだろうか」 「うん、ちゃんと見てあげないとね。それにしても日本人ってなんでこんな足が痺れる座り方するんだろう」 という訳で本番スタート。 「完成していたのか758シリーズ! 真空管が弱点なのは割れている、真空管だけにな! 変身ッ!」 疾風が特撮ヒーロー風全身鎧を身に纏う。地を滑る様に駆け、巨大758に躍りかかる――が、迎撃のミサイルに極太ビーム。疾風は回避したが、彼と共に突撃していた夏栖斗が「ぐわあーっ」とぶっ飛ばされる。南無三。 「うおりゃー!」 壁に身を隠していたメリュジーヌが上半身だけ乗り出し超神秘糸を放つ。それらを硝煙の中で見、シルフィアは何とも言えない表情を浮かべていた。 「フォーチュナでも見た目戦えそうな人って多いのよね。……アシュレイはホントにフォーチュナなのか疑問だけど」 それはさておき、巨大758。最近こんな漫画あったよね。進撃の何とかとか、立体ナントカ装置とか…… 「ヰヱーーガァアアーーー!!」 言っちゃったよ。版権的な意味でセウトな発言と共に、建物の屋根から助走を付けて跳び出したのは快だった。 「今の俺達は、758を屠る狩人だ! 巨大ロボ758! 勝負だ!」 空中。振り被る蛇の刃に総ゆる邪を逃さぬ光を纏わせて。狙う先は弱点である首筋――ではなく、真空管。 「ハッピーバースデー! 758さーん! ぱりーん。 *<|;´w`|>∩ <ギャアアアアア 更に飛び出した疾風が最大限の一撃を巨大758の膝裏に叩き込む。膝カックンだ! 「膝に零式羅刹を受けてしまってなーーー!」 「まだまだ――これでトドメだ!」 ぱりーん。 *<|;´w`|>* <ウッギャアアアアア 因みに快は立体ピー装置を持ってないのでそのまま地面にボトッと落下するのであった。でも自慢の防御力でなんともないぜなので再び屋根に登り始めて跳び出す快なのであった さて自分も負けていられないとシルフィアは攻撃の為の準備を始めていた。マナサイクル、魔陣展開。初めて試す火力偏重構成。 「最大ブーストよ、喰らいなさい!」 死を奏でる脅威の鎖。更に続けて詠唱、今度は巨大ビーム(マジックブラスト)。制圧力と殲滅力。実はサブカルにハマっておりロボとか大好き。 「大艦巨砲主義……私の目指す先はそこ、なのかしらね……。あ、スタイルのことじゃないわよ?」 スタイルは既に大艦巨砲主義な気がする。 一方でアンジェリカは踊る様に巨大758の攻撃を交わしつつ、その非戦能力を活かしメルクリィの身体を駆け上がっていた。飛び出す。メルクリィの頭部。 「お誕生日おめでとう!」 メカ頬に、祝福のキス。しかし勝負は別なので、直後に振るうは冥府の鎌。狙うのは合体の接合部。螺子を外していく感じで。 「グワアー」 ばらばらぼろぼろ。 「いい勝負だったね」 少女がニッコリ微笑み、YOU WIN. 実はついさっきまで758が己の弟子だった事をすっかり忘れていたが、「折角だし祝ってやらねーとな」とランディは見る限り一番大きなメルクリィの前に立っていた。 「力は対等のはずだ、お前の戦闘センスを魅せてみな! 師匠の威厳として受け止めるぜ、来ォい!」 「往きますぞ、先生!」 ドジャキーンとでっかい斧をその手に持ち、巨大758がランディに挑みかかる。ランディもグレイヴディガーをその手に、超巨大斧を受け止める。ぶつかり合うだけで、凄まじい衝撃波。 「そう、斧だ! 1! 2! 3! ……あっ」 ファンブル。つるっと滑る足。さくっと頭部に刺さるメルクリィの斧。びゅーっと噴出す鮮血。 「……ティク2、ダメ?」 「か、構いませんぞ」 「OK。……ふ、やるじゃねぇか758、危うく許容ダメージ越えて退場するトコだった……俺も本気で行く、行くぞぉぉぉぉ! ツインアルティメットキャノン!」 ぱりーん。 *<|;´w`|>∩ <ギャアアアアア ●VSはぐれメタルフレーム 「なんか増えた上に大型タイプまで……そりゃ気軽には動かせないわけっすね……」 脅威の光景にアイカはゴクリと息を飲む。それでも、自分に出来る事を。 狙うははぐれメタルフレーム。 「くっそ、みつかんねぇなあ」 夏栖斗は街のゴミ箱をひっくり返したり路地裏や建物の影を覗き込んだりしていた。メザシを持ってみたがこれは猫の探し方だった。 「おーいメルクリィー!」 今日だからこそ見つけないとだし。呼んで見渡し、斯くして視界の隅に映るメカメカしい何か。反射運動。勢い良く突撃。GETとガッツポーズ。 「っし! つかまえたー! って、あれ?」 そのはぐれメタフレは既に真空管が割られた。幻想殺し持ちの快に見つかって行き掛けの駄賃に割られたのである。 「メルクリィイーー! 誕生日おめでとー! レアなのにいうのがなんかレアな感じでいいかなーって思ってたのに! うわああーー!」 悲劇! 「仲間に会えるといーね。よしよし」 そんなメルクリィに、メリュジーヌはそっと赤いリボンを手渡した。そしてメルクリィがふらつき立ち上がった所で、 「今だーーー!!!」 容赦のないピンスペ。夏栖斗も巻き込む。 「あーでも面白いにゃあ。こんなヘンなこともできちゃうんだ! ほんと、たっのしーいっ☆ あ、誕生日おめでとっ☆」 んふふ、と微笑む。こーゆーのは祝わなきゃ。ねっ☆ そんな様子を、物陰からアイカは見遣る、狙う。 (隙は難しいですが……弱点は多分……あの部分……見えました、水のひとしずく……!) つーか皆狙ってるけど気にしない、突撃! 「メタルフレーム斬り!」 つまりアクセルバスター。真空管部位狙い。この部分メタルじゃないがまぁいいか。無機質だし。 ぱりーん。 *<|;´w`|>* <ウッギャアアアアア 「なんかいい感じの感触っすね! 楽しくなってきたぞお」 一方、別の場所ではリリが別固体のはぐれメタルフレームを建物の上から狙っていた。幻想を殺す目。 夢の中なら何でも叶う、素敵な事だ。 (さあ、今日は名古屋様の為に。『お祈り』を始めましょう) 重ねに重ねた集中。ゆっくり、落ち着き、静かに向ける双銃。込めるのは、持てる中で最高精度の弾丸。 「一切合切、有象無象を蒼の魔弾が逃がしはしません」 ぱりーん。 *<|;´w`|>∩ <ギャアアアアア 「お誕生日おめでとうございます。名古屋様のこれから先1年が良いものでありますよう。心よりお祈り申し上げます」 ニコリ、微笑んだ。 ●お祝いケーキ どさどさどさっ。 舞姫が拉致(物理)ってきた簀巻き状態のベースタイプ3体。ランディが仕留めた巨人タイプ1体。そしてとらがうんせこらせと拾ってきた(正しく言うなら引き摺って来た)大量のメルクリィ達。 「サイバーアダムVerは丸くて(当社比)大人の男なのかな?」 起きてー、ととらがスリムリィを揺する。目を覚ますメルクリィ達。 「おはようメリクリさん、一緒に誕生日お祝いしよ☆」 「ほほう、バースディパーチーという奴ですな!」 「うん! とらはメリクリさんと戦いたくないし、メリクリさんも別にとらと戦いたい訳じゃないだろうなって」 そういう訳で、折り紙やちり紙の花で飾られたパーティ会場。カップ麺とバタークリームとアボカドクリームの2種のカップケーキとシャンメリー。ホールケーキ。お酒。機械男を祝うのは、とらと舞姫と疾風とランディと快とルア。 「誕生日おめでとー♪」 「ハッピーバースデイ♪」 「折角の誕生日だしな、おめでとう名古屋。今後とも宜しく頼むぜ」 「ハッピーバースディ 758!」 「お誕生日おめでとう乾杯! いえーい!」 「お誕生日おめでとうなの、メルクリィさん!」 クラッカーの代わりは、ルアが上空に向けて舞うキラキラのグラスフォッグ。とらは早速ケーキをフォークで取ると、メルクリィへ。 「はい、あ~ん☆」 「ですぞー♪」 絵面はキニシナイ。空になったカップは割られた真空管の代わりにリサイクル。やんやと拍手。 「よっ、イケメン!」 「じゃ俺からもプレゼントやるよ、昔使ってたガスマスク仮面のガスマスクだ」 「ねーねー、昼白色と昼光色、どっちがいい?」 ランディがメルクリィにぼふっとガスマスクを被せ、更に舞姫が真空管をロストしたメルクリィの為に電球を埋め込んで修理を行う。因みに先程の問いは「左右2カラーで」だった。 「そいえば、マッサージチェアに変形できるって、ホントです?」 「膝枕なら……」 「うわあ……拷問具にしかみえな見えな……、いや、ナンデモナイデス」 「メルクリィさん、アトリエで帽子を取った姿を見たよ!」 にゅっと顔を出したのはルアである。 「あんな風になってたんだね。すっごく新鮮なの!」 「フフ、イケメンでしょう~」 「しっかし、お祝いに来たはずなのに何で戦う羽目になったんですかね」 震え声で苦笑する疾風。 「フフ……それは浪漫」 なんて、皆に「はい、あ~ん」をしながら微笑むメルクリィ。彼はほぼいつも笑顔だけれど、その時の笑顔はいっそう楽しそうで幸せそうだった。 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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