● あなたが絶対介入棺から目覚め、身体を起こしたところに声をかけられた。 「お疲れ様です。いかがでしたか? まるで高性能なシミュレーションゲームのようだったでしょう。人によっては『長い夢を見ていたようだ』などと言う方もいますが、実際夢で間違いありません。この世に何の影響も無い、空想で架空で空虚な『よそ事』ですからね」 笑いもせず、眉一つ動かすこと無く、どころか声にろくな抑揚もつけずに彼は言った。 「『物語』のリピートが始まります。リピートを許せば、これまでにない数のバグホールがこじ開けられるでしょう。つまり」 眼鏡をかけた男性フォーチュナは、パイプ椅子に腰掛け、こう言ったのだ。 「世界ごと、殺しましょう」 おさらいと説明をする。 名称不明の『物語世界』はこちらの世界にある常識を吸収し、自らを拡大し続けていた。 吸収作業の影響によって生じたバグホールは他世界からの神秘流入はおろか、危険なアザーバイドの流入や世界の崩壊を招くある意味致命的な傷となるのだ。 我々の世界が、他の世界に食いちぎられているのだ。 その状況を止めるため、あなたを含めた十人のリベリスタは他世界介入機械を通じて世界に介入、同調した。それが前々回での作業である。 世界の同調したあなたの介入体は物語世界をリードする存在となり、彼らなくして世界を回せないまでに成長させることが出来たのだ。 物語は一端の収束を得て、次なる物語の生成に向けて世界は順調に回っている。 リピートが始まるのだ。 通常ならば『世界の流動』など止めようが無い。 だが。 今のあなたであれば可能だ。 今のあなたと、あなたの介入体であれば可能なのだ。 「介入体と介入元はそれぞれ他世界における同一存在ですが、本来それらは世界の壁を隔てて存在するものであり、互いに一切の影響を起こすことはありません。しかし、世界の壁を越え、『致命的な影響』を及ぼしたとき、世界に少なからぬ変動を起こすことが可能となるでしょう。それが世界をリードする程の存在であれば尚のこと」 つまり。 つまりである。 「物語世界に本体ごと介入し、介入体を殺してください」 ● 殺すべき存在のリストと補足を説明します。 尚、このうち殺さなければならない人数は『八名』です。 ・『勇者のなれはて』イデア 元勇者。二十年にわたる荒野での暮らしに加え、聖剣セラフィーナの復活、まっすぐな心の獲得などの要素を備え、非常に強力なリベリスタに育っています。 人間単体ではトップクラスの実力を備えているはずです。 ・『弱きもの』エイス 非常に弱い人間ですが、『弱さは強さ』の法則にそってあらゆる存在に守られています。 まずシィンの加護を受けているので簡単に死にませんし、世界をリードする実力者に擁護されているので社会的にも殺せません。ある意味での無敵存在です。しかし殺せないことはありません。 ・『ミルキーウェイの無法者』星川・天乃 フリーの存在で今も世界中をフラフラしています。イデアと行動を共にしてない時のほうが実は多いようです。 非常に注意深く、俊敏で、異常なまでに危機察知能力と危険回避能力が高くなっています。 同等かそれ以上の能力を持った人間でなければ討ち取ることは難しいでしょう。 ・『壁外調査団の英雄』真雁・光 人類が泥沼の戦争状態に陥ったことで、英雄視されていた光もまた戦争と政治の道具に組み込まれていきます。 戦争の後ろ側でマスコットやアイドルのように扱われ、国家によって強靱に擁護されています。 彼女自身もまたシィンの加護をうけた剣を所有しているため、彼女自身もひたすらに強いです。 もし殺害を狙うなら最低でも一個師団と恐ろしいまでの政治力が阻みに来るでしょう。 ・『騎士の忘れ形見』ディス 立場的には完全なフリーです。シィンのかけらから作られた黒剣を所有しているので手強いですが、単体の強さを劇中であまりあげていなかったので彼女自身はそこまで強くありません。 ただし常にイデアのそばについているので、ネックになるとすればそこでしょう。 ・『神のぬけがら』白雪・陽菜 ほぼ一般人に近いところまで弱体化しています。 本来ならシィンの加護を蓄積していて怪我をおわせるだけでも一苦労の相手でしたが、今はそれらを絞り尽くしてしまったので殺害は容易になるはずです。 ただしイデアとべったりなので、やはり彼がネックになります。 ・『情報屋』遠野・結唯 情報屋という職業柄やたら影に隠れており、見つけ出すことが一番難しいキャラクターです。 一応リベリスタ十人を相手に勝てるくらいの強化がされる予定だったようですが、劇中で戦闘したシーンが無かったため強化の度合いは一般リベリスタよりちょっと強い程度に収まっています。 つまり『本当は強いけど実力を出せない』の設定が働いていている状態です。 ・『フリージャーナリスト』雪白・桐 ほぼ一般人レベルの実力ですが、彼女の保有している情報の重さがネックになってあらゆる国家に保護されています。彼女が『生きている』ことで保たれている国家が複数存在します。 恨みを買いやすいので命もよく狙われますが、狙った相手はほぼ確実に死んでいます。そういう『影からの擁護』を受けている存在でもあるのです。 ちなみにこの世界では女性として扱われていますが、事実のところは不明です。 ・『元ノーフェイシス帝国皇帝』鋼・剛毅 本来ならラスボスクラスに強かった筈なのですが、物語終盤で浄化され一般リベリスタ程度にまで弱体化した経緯があります。 シィンの加護を受ければ死ぬほど強くなるのですが、今のところは普通レベルのままです。 行く当てがアテがないからという理由でイデアにくっついていますが、単独行動をしていることもあるようです。 あと劇中で一回も言ってませんでしたが、彼の本体は鎧です。中身のないエリューションです。 ・『聖剣』セラフィーナ そもそも生命体ではないので死にません。が、消滅することはあります。 ただしイデアの身に危機が迫ったときに自爆する、くらいの方法でしか消滅できません。 逆に言うと、イデアが死にかけた時がイコールでセラフィーナ消滅のときです。 ・『仮定架空存在のハードケース』シィン この子だけ扱いが複雑なので詳しく説明します。 まずこの子の身体が『シィンのかけら』という大きな憑依体でできています。しかしこれを破壊しても死亡・消滅させることはできません。 この世界にあるかけら『エイスの肉体』『勇者の剣(光死亡時に自己消滅)』『黒剣(ディス死亡時に自己消滅)』『鋼剛毅』そして今使っているハードケースボディを破壊することでやっとこの世との接続を切り、実質消滅させることができます。 ただしひとつのかけらを破壊すると別のかけらにエネルギーが移動する仕組みになっているので、たとえばエイス一人殺すと光、ディス、剛毅がいきなり強化されます。しかも殺した情報が超次元的にバレます。 それぞれが保有しているエネルギーの大きさは『シィンボディ>エイス>剛毅>光>ディス』です。順番をよく考えましょう。 ・『浄化の巫女』フィティ この世界に悪や憎しみが増えれば増えるほど強くなる仕組みになっている巫女です。 今は世界から忘れられており、行くアテがないからと剛毅と一緒に行動しています。イデアといることが多いですが、たまに剛毅と一緒に仕事をこなしたりもします。 今のところ普通のリベリスタ程度の強さしか持っていませんが、一応ドラゴン形態に変化できます。どっちが本来の姿かと言われるとちょっとわかりません。本人もわかっていません。 つながりが強くなっているイデアやエイスたち主要メンバーが一人殺されるたびに一段階ずつ強くなる仕組みがあります。最後まで残していくと無理ゲーと化しますが、まあその段階でクリアなので別に放置しちゃっても大丈夫な子です。 ● あなたは今からあなたのままで物語世界へ入り込み、これら十二名を殺害しなければならない。 自らの手で、である。 「他世界同一存在による自分殺しは世界の致命的欠陥となります。やり方は単純で、あなたがあなたの介入体を殺すだけです。『あなたが殺した』という事実が存在するならばいかなる手段をとっても構いませんし、協力者がどれだけいても構いません。更に物語の主人格を破壊することができれば、世界の破壊は確実なものになるでしょう」 男は眼鏡をなおし、抑揚なく言った。 「所詮はあなたが生み出した存在です。それを殺すこともまた、簡単なことでしょう」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ EXタイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年04月11日(金)22:54 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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