●出会いは突然 春――。出逢いの季節。 春から男子高校生となった銅田・兼一は、高校からの帰宅途中にふらふらと寄り道をした。部活に入る気もなく、かといって、すぐに家に帰る気にもなれず、ただなんとなく、あてもなく歩く。 はぁ……。 兼一から漏れる溜息。高校生活とはもっと活気に溢れたものではなかったのか。 アニメや漫画で彩られた高校生活に憧れていた彼だったが、実際には高校に入った彼には色あせた、面白くもない学校生活が待っていた。 どこかに、自分を待つ何かがないものか。彼はそぞろに学校の裏山へと足を運ぶ。 ボーッとして空を仰ぐ兼一。ふと、彼は頭上に何か小さな穴のようなものを発見する。遥か上空に開いた……穴。兼一は目を凝らしてそれをもう一度見ると、穴は落下物に遮られて見えなくなっていた。 「……落下物?」 上空から何かが落ちてくる。彼はそれを避ける間もなく、それに押し潰されてしまう! どーん。 「ここは……?」 兼一の上に覆いかぶさったのは、ピンク色の服を身に纏い、ステッキを持ってきょとんとした少女だった。その肩には、赤いトカゲのような物体がちょこんと乗っかっている。 「な……!」 下敷きになった兼一は少女と目が合う。彼はこれ以上になく、胸の高まりを感じずにはいられないのであった。 ●魔法少女って、いい男が語ると照れくさいものらしい 「なんで俺がこの依頼のアナウンスを……」 リベリスタ達が集まる中、『駆ける黒猫』将門 伸暁(nBNE000006)は頭を掻きつつ文句を垂れる。いいから説明をとリベリスタにせかされ、彼はようやく説明を始める。 「……魔法少女ってやつを知っているか?」 言いにくそうに語る伸暁。まあ、この手の話ならば、イヴや和泉の方が似合いそうな気もする。まあ、それはそれとして、魔法少女に関するリベリスタ達の反応は様々だ。 「どうやらそれが現れる。そして、それに出くわした少年が運悪くノーフェイスになる。アンラッキーなことにな」 春に高校生となったばかりの少年、銅田・兼一(どうだ・けんいち)は、成績もさほどよくなく、部活にも入っておらず、見た目はパッとしない男の子だ。 彼はある日、なんとなく行った高校の裏庭で魔法少女に出くわす。全身をピンク色のひらひらした衣装に身を包む、ほぼ同世代の女の子だ。 「このアザーバイドは、日本語は理解できるらしいから、コミュニケーションの心配はない。しかし……」 この魔法少女、どうやらリベリスタを直感で敵とみなして襲い掛かってくる。自分がアザーバイドだということをお付きの精霊が吹き込んでいるようなのだ。 「あれだ。魔法少女は戦う宿命を持っているってヤツらしい」 異世界の地で出会う者全てに敵意を持っているわけではないようだが、自分の世界を守る為、自分を捨ててまで戦わねばならない。そんなふうに考えながら、彼女達は戦っているようだ。 「あと、同じように裏山にはブルーとイエローの少女、そして、お付の精霊も現れる。ピンクの仲間だ。対処してくれ」 魔法少女達は基本的に、手にするステッキから魔法を放って攻撃を行う。お付の精霊は攻撃を行わないが、回避力が非常に高い。精霊を倒すことで状況が変わるかもしれないが……。その当たりは不透明だ。 基本的には、魔法少女を無力化し、バグホールを使って送還する方法が無難だろう。 伸暁はそこまで説明すると、後は書類を渡して目を通しておいてくれと語った。書類には、敵の詳細データや、場所、 バグホールの概要などが書かれてある。 「まあ、よろしく頼む。物事はスマートに、な」 ところで、説明を終えた彼は、なぜかリベリスタ達の方を見ようとしなかった。……よほどこの依頼の説明を行うのが照れくさかったのだろう。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:なちゅい | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年04月14日(月)23:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●未知なる者との遭遇 春の陽射しを浴びながら、リベリスタ達はとある高校の裏山を登っていく。 『』五十川 夜桜(BNE004729)は異世界からの来訪者に、嫌な胸騒ぎを感じていた。 「まほーしょうじょ……アニメで見たことがあるけどこういう形で目の当たりにするなんて」 「魔法少女……ね。成程、あるんですね、そういう世界」 『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)はアニメの世界が存在する事実に驚く。 「こんな年端もいかない少女達が、戦う宿命を背負う。なんか胡散臭いよなあ」 「自分達の世界を守る……のはいいとして、他所にまで攻め込んでくるアグレッシブな魔法少女ってどうなんだろうねー」 今回現れるという魔法少女の存在意義に関して、『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)は疑問を抱き、『魔法少女マジカル☆ふたば』羽柴 双葉(BNE003837) はその在り方に首を傾げる。 「基本的に私達とそう姿が変わらない……。彼女等は、此方における私達と同じよう存在なのかもしれませんね」 リセリアはそんな仮説を立てていた。 「流石異世界というべきか、本当に何でも有りだな」 その存在に、『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)も驚きを隠せない。 ところで、魔法少女に憧れを持つリベリスタは少なくない。夜桜もその一人で、今回はおめかしをしてこの依頼へと当たっている。 「魔法少女の格好してるリベリスタやフィクサードではなくて、本物の魔法少女ってことでいいのかしらね」 『そらせん』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)は、伸暁にそう尋ねようとしたが、とりつく島もなかったらしく、その疑問を解消できずにいた。彼女もまた、魔法少女っぽい衣装を防具の上に着込んでいる。『防具が水着っていうのはね、上にイロイロ着れるから便利なのよ』とは、彼女の弁だ。 櫻霞はぼんやりと、『ODD EYE LOVERS』二階堂 櫻子(BNE000438)の衣装を眺める。櫻子はAFに仕舞っていた魔法少女風の服装に着替えていた。とても愛らしい衣装に、彼女の顔は思わず綻んでしまっている。 「魔法少女ってとっても愛らしいですよね♪」 視線を感じた櫻子は、櫻霞に黒いマントを取り出して差し出す。 「せ、折角ですから……櫻霞様も一緒に……ダメでしょうか……?」 櫻子の差し出すマントを暫く見つめた彼。 「着ろと、俺に?」 こくりと頷き、じっと見つめる櫻子。櫻霞はやや葛藤した後で手を伸ばしてマントを受け取る。 「いいか今回だけだからな。次はないと思え」 念を押しつつ、櫻霞はそのマントを羽織って見せた。嬉しそうにする櫻子に、彼は釘をさす。 「はしゃぐのは良いが、本来の仕事は忘れてくれるなよ?」 「………お、お仕事だって事は忘れてないですのよ?! 本当に忘れてませんにゃっ!」 思わぬ指摘に焦りながら、彼女は目的の場所へ向かう。 程なく、高校から授業終了のチャイムが聞こえてくる。高校生達の声が聞こえる中、山を登って来る兼一の姿がリベリスタ達にも確認できた。 「兼一ちゃんって、あれかな? 『空から女の子が降ってきた!』で、そこから始まるドキドキワクワク冒険の旅みたいなのを期待してるのかな?」 ぼんやりと歩く彼の姿に、『NonStarter』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)は思う。だが、現実の冒険など、楽しくもなければ甘いものでもない。リベリスタはその身を持って、思い知っている。 そこで不意に上空でバグホールが開く。兼一の頭上へとピンク色の衣装を纏った少女が舞い落ちてきた。 どーん。 兼一の上に覆い被さり、きょろきょろとしていた魔法少女。 そこに義衛郎が駆け込んで彼女を押しのける。下敷きになった兼一に、義衛郎が頭を下げた。 「巻き込んでしまって、ごめんね。怪我は無かった?」 ハンディカメラを手にした男性から声をかけられ、少年ははいと小さく返事をして立ち上がった。 ●魔法少女は何を思う。 「ここは、どこ……?」 義衛郎に押しのけられたピンク色の衣装を纏った少女は、周囲をきょろきょろと見回す。そこに、赤く小さなトカゲが現れた。 「ここは、君達の世界、違う空間」 カタコトで語るトカゲは、彼女達がこの世界におけるアザーバイトだと言っているのだろう。 「えっ、ウソ……!」 ただ、その事実はピンクを混乱させるに余りあった。気づけばここにいた彼女は、なぜこんな場所まで飛ばされたのか、理解ができないでいた。 「ここ来た、偶然。でも」 集まる現地の人間の姿に、トカゲは警戒心を強める。 そこへ、ピンクと同じような服装の少女が2人降ってくる。ほぼ同じ柄で青い衣装、そして、黄色い衣装を来た少女達だ。青い衣装の子は少し背が高く、他の2人よりも年上に見える。一方、黄色い衣装の子は逆に幼く見える。背丈も少し小さいようだ。 そこにリセリアが近づき、少女達へと声をかける。 「――提案です。巻き込まない様に場所を変える、というのは?」 仲間が少年の説得するのには、まだ時間がかかるようだ。できれば、こちらから移動をとリセリアは提案を持ち掛ける。 その提案に戸惑うピンクに、トカゲは厳しい声で言い放つ。 「止めろ。何考えているか、分からない」 この世界の住人は、自分達の世界に害成す存在。ならば、戦うべきだとトカゲが語る。 「分かったよ、ニョロ。行くよ、皆!」 呼びかけには応じず、ステッキを抜く魔法少女。やはり説得は無駄かと、リベリスタ達もAFから武器を取り出す。 そこで、逆光になりつつ、現れる新たな少女達。兼一少年はぽかーんと口を開けたままだ。 「木漏れ日浴びて育つ清らかな新緑――魔法少女マジカル☆ふたば参上!」 声高々に名乗りを上げたのは双葉だ。その隣ではメイが魔法少女っぽく振る舞っていた。 「彼女達は悪い魔法少女じゃないんだ。でもちょっと勘違いをしててね。 これからちょっと危険になるから逃げて欲しいの」 ピンクを指差す双葉の言葉を聞く兼一は、状況がいまいち理解できずに首を傾げる。 そこで、義衛郎が魔法少女の自主制作映画を撮っていることを説明する。説明の合間も、彼は夜桜へと撮影の指示出しを行うことを忘れない。 「ここで撮影するから、申し訳ないけれど離れてくれないかなー。いらないかもしれないけど、サインもあげちゃおう!」 しゃなりしゃなりと歩く夜桜も一緒になって、兼一へとお願いをする。彼女は色紙を手に取り、さらさらとサインを描いて見せた。最後がちょっとだけ線が変な方向に曲がってしまったのは、素で失敗したらしい。 サインを受け取った兼一はそれでも撮影に興味を示していたが、義衛郎が苛立つ様子を見せると、それ以上残ることもなく山を下りて行った。 ●リベリスタvs魔法少女 こちらの言葉を理解しながらも、魔法少女達は会話には応じずに一行へと襲いかかる。 「紅き血の織り成す黒鎖の響き其が奏でし葬送曲。我が血よ、黒き流れとなり疾く走れ……いけっ、戒めの鎖!」 体力の高いリセリア、夜桜が前衛として少女へと突っ込む中、双葉は自身の血を幾本もの鎖と化してブルーへと伸ばす。濁流のように押し寄せる血での攻撃に耐える彼女へソラが敵陣に突っ込み、高速の動きで氷刃の霧を生み出す。それらがブルーを切り刻む間、彼女は後ろへと下がる。 「まぁ……殺さずに済むならそっちの方が良いわね」 別世界のとはいえ、相手は少女。可能ならば、生きたままで元の世界へと返してあげたいと一行は考える。 さりとて、敵はそれほど甘い敵ではない。彼女達がステッキを振るえば、オーラが、雷が、水の本流が生み出されてリベリスタ達に押し寄せてくる。それらを前衛のリセリア、夜桜が受け止めていた。 リベリスタ一行の狙いは、回復を行うというブルーへと集中していた。 遠距離から義衛郎とメイも、ブルーを狙う。高速で移動する義衛郎は木々を蹴り、ブルーを強襲する。鋭い刃がブルーを貫けば、メイが翼で羽ばたき、魔力の舞う風の渦を起こして少女達全員を巻き込む。 「うう、狙われていますの?」 立て続けに攻撃を受けて呻くブルー。仲間が集中的に攻撃されて、ピンクとイエローも黙ってはいない。 「今、助けるよ!」 イエローは光を纏って、自分達の回りに防壁としてそれを展開する。その間に、ピンクは宙へと飛び立って翼を大きく上下させる。 「食らえっ!」 巻き起こる風がリベリスタへと強く吹き付け、その体力を奪い取っていく。 それに耐えきった夜桜は、生命力をエネルギーに変えた。 「こんな格好で剣を振り回すとか何か言われそうだけど……、それもまた魔法だよ!」 下部がカットされた服を着て、お腹も背中も露出している夜桜。彼女はオーラを電撃に変え、ブルーへと突撃して渾身の一撃をブルーへと繰り出す! 「雷飛ばしたり風を起こしたりだけが魔法じゃないもんね」 夜桜はにっこりと笑みを浮かべていた。 リセリアも電光を纏って敵へと迫り、舞い散る光の飛沫と共に刺突を幾度も突き出していく。ブルーは顔を引きつらせつつ、流れる水の流れで自身の傷を癒していた。 ところで、リベリスタとて、魔法少女の魔力は脅威だ。前衛の2人は攻撃の矢面になり、かなりの傷を負っている。 味方の援護、そして、自身の能力の向上を行っていた櫻子は、早くも仲間に訪れたピンチを察し、詠唱を始める。 「痛みを癒し……その枷を外しましょう……」 癒しの風がリセリアと夜桜に優しく吹き付ける。2人は活力を得たことで少女達のさらなる猛攻に立ち向かう。 櫻子の手前側にいる櫻霞は両手の銃を敵に向け、発砲を行う。しかしながら、彼の狙いは少女ではなく、精霊ニョロだった。 「そのまま、まず、前衛攻める」 トカゲは少女達にカタコトで指示を与えていたのだ。 (あの精霊はよくないものの気がする……) 少女を相手にしていた夜桜は、肌で精霊の危険性をなんとなく感じ取る。 飛んでくる銃弾をトカゲはひらりと躱し、さらなる指示を少女達に飛ばす。 「前衛攻めろピンク、後衛から攻撃が……」 「黙っていろ、貴様が居るとややこしくなる」 櫻霞は躊躇うことなく引き金を引く。月の女神より加護を受けていたその一発は、トカゲの体の中心を穿つ。まさかと逡巡したトカゲに、彼の弾丸は再度命中した。トカゲを包む炎が急激に勢いを弱めていく。 「ボク、倒しても、無駄……」 意味深な言葉と笑みを残し、その精霊はフッと掻き消えていった。 ●魔法少女の宿命 「ニョロ!」 消えた精霊を捕まえようとピンクが宙から手を伸ばすが、つかむことができない。 「ソレの言うことを鵜呑みにされても面倒なんでな」 櫻霞の言葉に体を震わせる少女達。とりわけ、ピンクの体の震え方は顕著だった。 「オレ達は君達の世界を脅かす心算も無いし、むしろ君達の存在が此方の世界の脅威なんだよ」 義衛郎が魔法少女達へと叫びかけると、少女達の表情がこわばる。少しだけ、悩んでいたかにも見えたが。ピンクが迷いを振り切って叫ぶ。 「私達は戦うしかないんだっ!」 それが、魔法少女と宿命と言わんばかりに。全身をオーラに包んだ彼女は、迷いを生じる櫻霞の言葉を振り切ろうと、彼目がけて突撃する。 「まあ大人しく話を聞いてくれる訳がないか」 嗚咽を吐く櫻霞は、やはりかとフォーム・アルテミスをかけ直して呟く。 「うっ……」 その時、リベリスタの集中攻撃を受けていたブルーが膝をついた。 「とばしていくよっ!」 戒めの鎖を飛ばした双葉がさらにブルーを攻めたてる。 「我願うは星辰の一欠片。その煌めきを以て戦鎚と成す。指し示す導きのままに敵を打ち、討ち、滅ぼせ!」 空より降る、鉄槌の星。それを頭上から浴びたブルーが山の傾斜に身を沈めていった。 続いて、ソラはイエローへと狙いを定める。四色の魔光を放ち、少女達へと呼びかけた。 「宿命ね……何か違う感じがするのよね」 「自分の世界を護る為戦うってのは判るけど、わざわざ他の世界に来るのは何か変じゃない?」 メイの問いは裁きの光と共に放たれて。少女達を纏う光を拡散して焼き尽くす。 「――貴女達の世界に異世界の侵略者でもやってきて、それがこの世界からだとでも?」 リセリアが静かに少女へ語りかける。宿命に縛られた少女達に少しばかり浮かぶ疑問。 しかし、イエローはリベリスタへと両手を突き出して立ち塞がる。彼女は両手に膨大なエネルギーを篭めていた。 「分かんない、気づいたらここにいたんだよ!」 彼女の両手は光に包まれ、そして。 「いっけー、ライトニングアタッーク!」 高圧の電撃が飛び散る。敵の貫通攻撃を配慮してか、できる限り仲間と一直線上にならないよう、陣形に配慮していたリベリスタ達。しかしそれは、遠距離攻撃ならば誰でも的となる可能性があるということ。その電撃に焼かれたリセリアは意識が遠のきそうになったが、フェイトを犠牲にすることで強引に意識を取り戻す。 「セリカちゃんが、ニョロが倒されて黙っていられない!」 セリカとは、ブルーの名だろうか。ピンクの瞳はリベリスタに対する敵意に満ちていた。両者の道は交わらぬのか。 激昂したピンクはリベリスタへと自在に動くオーラを飛ばす。メイを狙った一撃を、義衛郎が盾となって受け止めて見せた。 しばし、言葉なく両者の技が裏山を飛び交う。 イエローは力の限りに雷を撃ち放つ。双葉の体を包んでいた障壁が消し飛び、その身を焦がす。運命に頼ることこそなかったが、双葉の体力もかなり削られてしまっている。 もちろん、双葉だけではない。リベリスタ達の傷は深い。櫻子の詠唱で癒しの風が戦場に巻き起こり、リベリスタの体力を癒す。 ただ、広範囲の攻撃を受けていたイエロー。全力の一撃を放つ彼女もまた、肩で息をしまっている。 そこに櫻霞の連続攻撃が浴びせかけられる。ピンクを、そして、イエローの体を銃弾が貫くと、イエローの小さな体が崩れ落ちた。 「ミナちゃん!」 仲間を失い、ピンクが叫ぶ。その体が小さく震えていた。 追い打ちをかけるように、リベリスタの攻撃は続く。ソラが放つ雷は、拡散しながらピンクへと飛んでいく。その身に走る電撃で、彼女は戦いの最中であることを思い出す。 「魔法少女ってのは、他から与えられた宿命やら運命をぶち壊してなんぼじゃないかしら……。宿命なんか無視して己を貫いて奇跡を起こすのが魔法少女よ」 震えるピンクの体から、ものすごいオーラの圧力が放たれた。 「……知ったようなこと、言わないで!」 怒りに満ちた彼女はオーラで自分の体を包み込む。ソラを目がけて飛んだピンク。ソラは運命を代償にして、なんとかその一撃を耐えきった。 「魔法少女の宿命……なんかよりも、あなた達個人が何をしたいか何をすべきかを考えるべきだわ」 しかし、もはやピンクは言葉に耳を貸さない。オーラをフルブーストさせ、リベリスタへと突撃を繰り出すのみだ。夜桜はその重たい攻撃に悲鳴を上げる。 一人になった魔法少女は、リベリスタ全員の的にもなっていた。 「追い詰められた時に最大の効果を発揮するんだから。魔力解放!」 包み込む電撃のオーラ。夜桜はそれを渾身の力でピンクへとぶつける! 宙を舞うピンクは少しだけ落下するが、まだ体力を残しているのか、翼を上下させ始める。 「――貴女達の世界に異世界の侵略者でもやってきて、それがこの世界からだとでも?」 ……もし本当にそういう話なら、冗談ではない。リセリアが冷たく言い放つ。すでに姿を消した精霊こそが黒幕で、異世界からやってきた何某かなのではないか。 「異界の存在はこの世界を壊す――ですから、お帰り願います」 華麗にして瀟洒なる刺突がピンクの体を貫く。ピンクの目が見開かれると、オーラの翼が動きを止め、真っ逆さまに地面へと落ちていった。 ●少女達の行く末は リベリスタ達の活躍もあって、魔法少女達はその動きを止めた。ただ、リベリスタの配慮もあり、3人とも息があるようだ。 「彼女達はなぜ、この世界に来たのだろうな」 櫻霞は思う。どうやら、この世界に来てしまったのは、彼女達の本意ではないようだ。だとしたら、どうして。意識を失った魔法少女達は何も語らない。いや、例えあったとしても、こちらにステッキを向けてくるだけだろうが。 「バグホールって、ずっと上だっけ……」 任務を遂行せねばと、一行は頭上に開いたバグホールへと少女達を運ぶ。その際、フライダークのメイは泣きそうになりながら必死になっていた。 「もう会う事は無いでしょうけど……バイバイ」 ブレイクゲートで破壊されるバグホールを見て、ソラが呟いた。彼女達の行く末を案じて。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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