●プラモバトル! グワッシャアァァァ! 激しい破壊音が玩具屋の店内に響く。 「ああっ! 俺のプラモが!」 破壊音の元となる、プラモ……否、元プラモというべきか。ソレの持ち主と思われる少年が大げさに天を仰いで絶叫し、膝から崩れ落ちる。 元は人型ロボットの形をしていたそのプラモデルは、今はぼろぼろになって地面に転がっている。どのようにしたらこのように破損するというのか。 その全身は焼け焦げ、おおよそプラモが通常受けるダメージには見えない。だが、そのダメージを発生させる要因がここにはあった。 「ハッハッハッ! 弱すぎる、弱すぎるネ! ユーに僕のラ・ーヴォ足る資格はないネ!」 破壊されたプラモの前で崩れ落ちる少年の眼前で高笑いをあげるのは一人の人物であった。 身なりのいい服装に特徴的なスネオヘアー。独特な言い回しを行う身なりのいいその人物こそジャッキー梅田を名乗るプラモチャンピオンである。 プラモチャンピオンというのがそもそもよくわからないのだが、彼がそのように名乗っているのだから仕方ない。そして彼が手当たり次第に挑んでいる玩具同士によるバトル……それがプラモファイトだ。 玩具同士による壮絶な格闘戦、射撃戦。ビームも飛び交う臨場感あふれるバトル。それを可能にするのがジャッキーの持つアーティファクト……『クラフトシステム』だ。 この力によって玩具達は自立し、モデラーの意思のままに戦い、敗者は破壊される。 「やはり最強はこの僕。並び立つのは三四郎に……タツジンぐらいネ!」 共に戦い、時に競う宿命のライバル達の姿を瞼に浮かべ、ジャッキーは再び敵を求めて彷徨う。 プラモチャンピオンの戦いはまだまだ続くのだ。 ●ブリーフィングルーム 「……といえば聞こえはいいのですが」 アークのブリーフィングルーム。まるでプロモーションムービーのような予知の映像をモニターに映し出した『黒服』馳辺 四郎 (nBNE000206)は言葉を続ける。 「この彼の目的なのですが、最強のプラモファイターというものではなく。このファイトによってプラモを破壊することにより、さらにプラモの普及と販売を企んでいるらしいのですよ」 ひどく遠まわしな販促である。だが、気の抜ける事態とは別の側面もこの件には存在するわけで。 「実のところ、この事件の本質は玩具業界の暗躍ではなく。フィクサードによるアーティファクトの悪用事件と言えるものなのですよ」 そう。ジャッキー梅田はフィクサードなのだ。そして手にしたアーティファクトを利用して利益を稼ごうとする、立派な神秘事件なのだ。 彼の持つ『クラフトシステム』は玩具を動かす理想のアイテム。ただし革醒者にしかその恩恵を与えることはないのだが、それ故によりファイトは苛烈なものとなる。 だが、それはそれとして。 「ともかく、彼のようなやり方をアークとして……いや、少年時代を過ごした者として見過ごすわけにはいかないでしょう?」 そうなのだ。四郎とて少年であった頃がある。そして少年はファイトに憧れ、ホビー漫画のような戦いに憧れることも決して少なくはないのだ。 「ジャッキーには仲間がいて、同様に破壊的バトルを繰り広げています。彼らフィクサードモデラーを見事に撃退してください。その為の準備はここにあります。ほら、ばっちりと」 そう言って四郎が指した方向には……大量のプラモやホビーが積み上げられていた。 「さあ、ぼくのかんがえた最強のユニットを作り上げるのです。そして彼らを倒して手に入れるのです、プラモチャンピオンの称号を!」 ――途中から目的が変わっていた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:都 | ||||
■難易度:EASY | ■ リクエストシナリオ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年04月21日(月)22:40 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●FIGHT 出会ったのは町のジオラマフィールドであった。 出会った、というのは正確ではない。れっきとした依頼のもとにここまでやってきて、彼らを見つけたのだから。 だが、出会ってから言葉はいらない。お互いが持っているプラモを見た以上は。 彼らもファイターでこちらもファイター。六人と三人。この場所で出会い、お互いを認識したからには後は戦うだけ。 さあはじめようぜ、プラモバトルを! ●プラキチ三四郎 街中を進む一機のプラモがいた。 ジミ、と名づけられたそのプラモは機動ロボガンディルというアニメ作品において、主人公側が所属する連合軍の有する量産機であった。 それを自分が扱いやすいように、独自のカスタムを行ったディフェンス向けの機体。それが『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)の扱う『ジミ・ガードカスタム』であった。 「なんて射程と威力だ……!」 シールドを構えた快は歯噛みする。長い道、真っ直ぐに広がる射線。だが、それは相手にとっても同じで。相手はその所持した射程を遺憾なく発揮してジミへと砲撃を浴びせているのだ。 「へへっ、ジミがガンディルに勝てるもんか!」 プラキチ三四郎。プラモ界に新星のように現れたファイターで、使用するプラモは機動ロボガンディルの主役機であるガンディルを改造したパーフェクトガンディルである。 そして、今使用している武装。それは戦艦系キットである戦艦大和に搭載されている主砲だった。 大戦中においても艦砲において圧倒的威力を誇った大和の砲門。実際の大戦において活かされることはなかったが、今その性能を発揮していた。 凄まじい火力が快のジミの盾へ叩きつけられ、プラモが軋む。快も反撃するが、あたった銃弾は弾かれていた。 「あれは、FRPからフルスクラッチした装甲か……!」 元の部品から型を取り、作り直したその装甲は普通にビルドしたプラモとは比較にならない強度なのだ。 「おっと、ここにいるのはニッキだけじゃないぜ?」 三四郎の背後に忍び寄っていたのは最近アルバムも出したらしい(?)『SHOGO』靖邦・Z・翔護(BNE003820)であった。 その機体は三四郎と同じく、ガンディルをベースにしたもの。だが、コンセプトはまるで別物である。 その姿はまるで忍者。ニンジャナンデ。それもそのはず、ガンディルという作品には多数の外伝が存在する。よりホビー要素を強めたもの、リアリティを追求したもの。その中でも特に異彩を誇っていた作品のひとつ、それが『Dの陰忍』である。異質な作品だったが、それ故に常識に捕らわれない発想のコンセプトとなる。 その速度、隠密性を活かして密かに背後に忍び寄っていた翔護が手にした手裏剣型の刃で三四郎へと攻撃を加える。 装甲の隙間を狙い、相手の耐久力を確実に削る一撃。何よりスピードによっての撹乱によって、三四郎の注意をひきつける効果がある。 「くそっ、凄いスピードだな! さすがガンディルベースだぜ!」 何故かガンディルを褒めている三四郎。どんだけ好きなのか。それはともかく、迫る翔護へとサーベルを振り回す。それを避け、再び距離を取りヒット&アウェイを繰り返していく。 だが三四郎を撃破するのは容易ではない。真っ向から戦う形となっている二人にとって、戦局は楽ではなかった。 「くそっ……衝撃に駆動系が耐えられない!」 やがて、ガンディルの主砲は快のジミのシールドを歪め、その衝撃は他の部位に比べると脆い脚ジョイントを破砕した。 機動力を奪われた以上、まともな手段での勝利は危うい。……よって快は、一か八かの勝負に出る。 「SHOGO! この直線上に敵を誘導してくれ、俺に考えがある!」 「オッケー、ニッキ!」 快の要請を受け、翔護が駆ける。 陰忍はその機動力により、トリッキーな動きをすることが可能だ。そしてなにより間合いをつめることに関しては最適な性能を誇っている。当然そうなると……。 「くそっ、なんてスピードだ!」 巨大なガンディルの主砲は性能を発揮できない。肉薄した相手と戦うには白兵戦を行うことになる。近接距離をさらに上回る間合いとなるとサーベルではまだ不向き。 「ガンディルは伊達じゃない! 食らえ、ガンディルパンチ!」 増加装甲は機体の重量を増やし、それはそのまま格闘戦の攻撃力へと転化され、相手のプラモを破壊するだけの威力を持っている。だが……。 「今だ! 奥義・イモフスキー返しの術!」 キット内部に仕込まれたゴム人形が相手の打撃に合わせ放たれる。柔軟性に富んだその人形は、見事にガンディルの打撃を反射させ、相手の装甲を逆に砕いた! 「な、なんだって!?」 「自由な発想を謳う割に敵を倒すことに拘ってない?」 ニヤリ、とニヒルな笑みを浮かべ翔護が宣言する。 「ガンディルは兵器じゃない! 俺達のプラモなんだ!」 反射された衝撃にのけぞったガンディル。その立ち位置は要請どおりの直線で…… 「今だ! アーマーパージ!」 快のジミがまとっていた装甲が爆竹を利用した炸裂ボルトによって排除される。その手に持った装備は……シールドの内部に収納されていた武装。ドリル状の鉄芯にリボルバー状に装着されたネジは一種独特の禍々しさを発揮している。 「な、なんだそれ!?」 「独立した電力とモーターを持つデストロイグラインダーだ!」 叫ぶと同時にスラスターを全力で吹かし、一気にガンディルへと肉薄するガードカスタム。陰忍の奥義に体勢を崩されたガンディルは一撃をかわす術もなく、その凶器を深く突き刺される。 同時にモーターが唸りをあげ、シリンダーが高速回転を始める。ギシ、とフルスクラッチされた装甲は一瞬の抵抗を見せるが、全パーツ金属で組み上げられたグラインダーへは抵抗する術もなくそのボディは粉砕された。 「うわあああ! おいらのガンディルがぁ!」 「これはプラモファイトではない! 戦争だ!」 ガンディルと共に自らの右腕も砕いたグラインダー。だが、大きな犠牲と引き換えに手にしたのは、勝利。それを決めたのはビルドに容赦しない、財力。 世界よ、これが大人気ない、だ。 「プラモの次はセンドーシャファイトもしようぜ!」 そして決めポーズを取る翔護。世界よ、これがステマだ。 ●ジャッキー梅田 「デュランディル、耐えろ! まだ戦いは始まったばかりだ!」 『折れぬ剣』楠神 風斗(BNE001434)が歯を食いしばりながら耐えている。 「フフフ、なかなか良く作られたプラモ。だが、ライーヴォ、三四郎のガンディルに比べれば非力!」 ジャッキー梅田が膝をついた風斗のプラモ、デュランディルを見下ろして言う。 風斗のデュランディルはジャッキーが言った通り、ガンディルをベースにした機体である。だがその武装はシンプルで、汎用性に富んでいるといえば聞こえはいいが、貧弱とも取れる。 一方、ジャッキーの駆るパーフェクトジダングは巨大な機動ロボである。宇宙での運用が前提であったジダング。それを地上でも操れるように脚部を増設したそれは、このジオラマのような市街地においても戦闘力を発揮する。 そして有線操作で遠隔稼動することが可能な腕部に装着されたレーザーが、オールレンジに相手を攻撃して逃げ場を奪いつつ撃破するのだ。 「状況危険。援護します」 その状況を打開すべく、『イマチュア』街野・イド(BNE003880)の駆るガイノライザーがレーザーを撃ち込んでいく。 「フッ、小賢しい!」 そのレーザーを受けるも、大きな損傷を受けるわけでもなく。逆にジャッキーのジダングはビームを空中のガイノライザーへ向けてばら撒いていく。それらのレーザーをかいくぐりイドのガイノライザーは回避する。 ガイノライザーは、機動ロボガンディルに登場するサポートメカである戦闘機を改造したものである。多数のギミックを仕込んであるそのユニットではあるが、特筆すべき特徴は、光る。とにかく光る点がある。 内部に仕込まれたLEDは同様に仕込まれたバッテリーによって光る。それらはレーザーの出力を高める設定にも一役買っている。 だが、何より重要な特徴は……。 「こうなったらアレを使うしかない!」 イドが牽制している間に離脱した風斗。彼の渾身のギミックが今、発動する。 「イド、ドッキングだ!」 「エンゲージ……コネクト。Y、デュランディルライザー、システム移行」 そう、これこそが風斗がイドに付き合わせる形で組み上げたギミック。合体機構である。 主にデュランディルの背面に装着されるような形でドッキングし、各種パーツが運用しやすい形に、そしてデュランディルの性能を引き上げる形でセットされていく。 一方内部のコックピットは副座式となり、前で風斗が操縦を、後ろでイドが射撃と管制を勤める形となるのだ。 合体が完了したデュランディル。それは先ほどまでの特徴のない機体ではない。大型の実体剣を備えた、オンリーワンのユニットなのだ。 「なるほど、平凡なカスタムではなかったようだ! だがユーと僕の実力差はその程度で埋められるものではない!」 合体というギミックは確かに強力なものである。だが、曲がりなりにもジャッキーはプラモチャンピオンだ。ビルドも、ファイトも、すべてにおいて高い実力者なのだ。 「わかっている! だから俺は……一瞬に賭ける!」 風斗の狙い。それは合体後に発動出来るモードであった。 「イド、Dモード起動!」 「READY」 Dモード。デュランディルに搭載された切り札である。 デュランディルのリミッターを解除し、瞬間的に最大の力を発揮するモード。 ガイノライザーに搭載されたバッテリーとデュランディルが直接パイプで接続され、エネルギーの供給が始まる。 「ん……」 イドが一瞬悩ましげな声を上げる。接続のフィードバックが、彼女の感覚を刺激したのだろう。 接続が完了すると同時にデュランディルに施されていた赤いラインと、カメラアイが猛烈に発光を始める。デュランディルの持つエネルギーが溢れ、ラインより発光現象を引き起こしているのだ。本当は仕込んでいたLEDなのだ。流れが変わったな。 「稼働時間は百秒しかない……やれるか!?」 活動限界があるという事実に緊張を増した風斗がギリ、と歯をかみ締める。その後ろから、イドが風斗の頭を抱きしめるようにして、目を塞いだ。 「やれます。――口頭での説明には遅延が生じますので共有します」 イドが自らの持つ特性とガイノライザーのサポートユニットとしての特性をリンクさせ、風斗へと視覚を共有させる。後頭部に柔らかい何かがあたる感覚もあったが。 「お、おい」 「心拍数増大。落ち着いて操縦して下さい」 思春期の少年には少々刺激が強い状況かもしれない。と注釈をつけようかと思ったがこいつもうじきハタチじゃねーか、おい。 「ええい、ファイト中にふしだらな!」 そう言って襲い掛かるジャッキーであったが……Dモードは伊達ではなかった。 凄まじいまでの速度と出力の一撃。実体剣より放たれたビームの刃はジャッキーのジダングを見事に切断する。 「まだだ! まだ終わらん!」 そう叫び、デュランディルへと放たれたジダングの頭部による最後の一撃たるヘッドバット。だがそれもまた……刃によって切断されたのであった。 ●タツジンヤマグチ 「……間違いない、あいつはフッケBだ!」 眼前に捉えた機体。『合縁奇縁』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)はその機体について、よく知っている。というか最初に相手が説明していた。 ゲームにおけるコラボレーション。その中で生まれたものがフッケBである。 オリジナルの設定を組むにあたって、同時に参戦していたガンディルの設定を盛り込んだ。それがフッケBの不幸の始まりであった。 設定を盛り込むということは、コラボした場でしか使えないということだったのだ。何故ならばそこに立ちふさがるのは権利という壁。 商売である以上、その壁を乗り越えるのは容易いことではない。フッケBはその結果、設定だけ残して別の機体にされてしまうという悲劇を生んだ機体なのだ。 その為、この機体について細かく描写することはできない。権利というものは本当に怖いのだ。 「あいつをやればタツジンの称号はこの俺が!」 欲しいのか、それ。 「ザキオカが? プラモ戦争に? 来るぅ~~~!」 名乗り、決めポーズ。岡崎 時生(BNE004545)がプラモバトルに今現れる。その機体は……三二(さんに)四駆? え? なんで? そもそもその格好も三二四駆プリントシャツに赤いサンバイザー。ポケットだらけのベストには大量のパーツ、そして下にはジーンズの短パン。 そう、彼こそ三二BOYザキオカ! っておい! だが別にガンディルのプラモである必要があるなんて誰も言っていなかったのである。問題ない。そんなことはどうだっていいいんだ。重要なことじゃない。霧が濃い。 だがその設定は立派にガンディルに合わせているという、変なこだわりがあった。コスト面で許可がおりなかった戦闘車両。それがザキオカイザーDMZだ! 「なるほど、確かに大した発想だ。ビルドも丁寧に行われているね」 フッケBを操るタツジンヤマグチは、ザキオカイザーを高く評価する。そう語るヤマグチは人当たりの良いおじさんといった感じである。だが、何故彼がこのような悪事に手を貸しているのか。 彼は社会人である。ジャッキーみたいな金持ちや三四郎みたいなプラモいじってればいいやつとは違うのだ。働かないといけないのだ。 そしてタツジンとは、広告塔である。プラモが売れなければ広告ではない。すると生活出来ないのだ。社会人だから。 そう、ヤマグチは敵の中では尤も切羽詰った現実と戦っているのだ。 「丁寧だけれど……でも、最大の欠点があるね。それは……」 ヤマグチの語る弱点、それは……。 「――三二四駆は、一緒に走ってこそ真の力を発揮するってことだ」 そういうものなのか。 実際、時生の駆るザキオカイザー、そして竜一の駆るリューガンディルは見事な性能を発揮している。コンセプトも万全だ。だが、それを凌駕するのもまたヤマグチのビルドであった。 「明るく楽しいプラモファイトを目指す! それを教えてくれたのは初代タツジンだったはずですよ!」 リューガンディル。最強の強化パイロット専用の機体であるそれを、敵であるネオナオンが鹵獲して完成させたという設定のその機体。光の羽を生み出せるドライブユニットによって亜高速戦闘すら可能なその機体をもってして、ヤマグチのフッケBと交戦しつつ竜一は叫ぶ。 「大人になるってのはそういうことじゃないでしょう!? 子供のプラモを壊すのが、大人のやる事ですか!? あなたほどの男が、なんて小さい!」 竜一の魂の叫び。タツジンに憧れた少年の慟哭である。 「竜一君……大人になるとは悲しいことなんだ」 おいやめろ。 動機がアレでもタツジンの強さが衰えるわけではない。 フッケBの戦闘力は凄まじく、細かく描写できないカメラアイの発光、細かく描写できないブラックホール的な砲撃、細かく描写できない念動兵器などが二人を攻撃する。 だが、二人も全力で応戦する。並の手段ではタツジンを出し抜くことは出来ない。だからこそ、賭けにでたのだ。 「やるぞ、ザキオカ!」 「オッケー! 行くぞ、リアルバニシングトルーパー!」 合図と共にザキオカイザーへリューガンディルがライディングする。そのまま竜一は所持する武装の全てを……発射する! 「へえ、そうくるかい! でも、少々強引すぎないかな?」 ヤマグチは発射された攻撃をかわしきることは出来ない。弾数が凄まじいが為に。だが致命的な一撃だけは的確に避けていく。 ――だが、それで終わりではなかったのだ。 「――理論上は亜高速に達する加速性能を見せてやる!」 「何!?」 竜一はそのまま、ザキオカイザーの加速も載せたままドライブを全開にし、フッケBへと突撃したのだ。 亜高速に達する機体は、そのまま凶器と化す。凄まじい衝突音と共に、フッケBとリューガンディルの両方の装甲が砕け、撒き散らされる。 大きくフッケBはバランスを崩す。が、撃破には至らない。 「今だ! 僕と……僕と燃えろ! ザキオカイザー!」 その時、時生が――叫んだ。 プラモファイターだけではない。当然三二BOYもまた、燃やす魂があるのだ。 「ザキオカ……トルネーーーーードッ!!」 叫びと共に、ザキオカイザーが……跳んだ。 竜巻のごとく回転し、ザキオカイザーがフッケBへと突撃する。レースであればショートカットに使うこの技だが、いざこのような場面で使うと……強力な攻撃へと変化する事もあるのだ。 「これが若さか……!」 いや、ザキオカ全然若くないけど。発想の若さ、ということなのかもしれない。 そしてザキオカイザーはフッケBの装甲を抉り――粉砕した。 ●祭りの後 かくしてプラモバトルはここに終わったのだ。 プラモファイトだったりプラモバトルだったり表記が一致しないが、ともかく魂のぶつかり合いがそこにはあった。 そして少年の夢と浪漫も、そこにあったのだ。それは今、守られたのだ。 ありがとう、プラモファイター! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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