●『いい悪代官』緑狸・呑兵衛 VS 『おしかけ侍』苦牛・中兵衛 世は平成所は田舎。とある代官屋敷のことである。 でっぷりとした、狸が化けたかのようなビーストハーフの男が居た。 彼は座布団にどっかりと腰を下ろし、『一日一悪』の掛け軸を背にぐふぐふと笑っていた。 「して商人、例の計画は滞りなく進んでおるんじゃろうな」 向かいに座った商人の男は両手をにぎにぎと合わせると、嫌らしい笑みを浮かべた。 「はいお代官さま。土地を無理矢理に買い上げショッピングセンターを建て元の地元店舗を高い使用料をとりつつハコモノへ納め高利を荒稼ぎ――しておりました連中をリベリスタパワーでけちょんけちょんにしてやりました」 「ぐっふっふ! 奴め生活に困った老人たちに高い利子で金を貸す詐欺まがいの契約まで結んでおったからのう。手打ちにして正解じゃったわい。してそのショッピングセンターは」 「はいお代官様のお申し付け通り……土地を返還してタダ同然で元いた住民に引き渡しつつ、余ったスペースにオシャレなカフェやファッションショップを入れ地域経済を活性化させてございます」 「ほほう、おぬしもワルよのお」 「お代官様こそ」 「「ぐーっふっふっふ!」」 「おっと、そろそろ腹が空いてきたのう。『アレ』が欲しくなってきたところじゃ」 「ほう、『アレ』でございますね。お代官さまの好きな山吹色のお菓子でございましょう。さ、ここに」 商人は風呂敷の包みから桐の箱を取り出し、代官へと手渡した。 「おうこれじゃこれじゃあ!」 箱を開く代官。 中には……。 「うまい棒コーンポタージュ味じゃ! 山吹色に染め上げたこの菓子がわしは大好物なんじゃ!」 「代官様、例の託児所大増設計画の件、どうぞよしなに」 「わかっておるわかっておる!」 「「ぐーっふっふっふ!」」 と、そこへ! 「くせものー! くせものでございますー!」 襖が開き、丁稚奉公の若者が飛び込んできた。 「なに、どうしたのじゃ!」 「この代官屋敷に、例の『おしかけ侍』がやって参りました!」 「なんじゃとう!?」 一方その頃代官屋敷入り口では。 「一つ人の世でフェイトを授かり、二つ不埒な神秘商売、三つ淫らな団地妻モノのDVD五本を即日返却で借りたら店員がこちらを二度見してきた――人呼んで、おしかけ侍!」 刀を垂直に構え、ずずいとにじり寄る侍。 その周囲には若者たちが囲んでいたが、彼らはまるで最初からそういう風に仕込んでるんじゃないかなってくらいの勢いでポンポン切り捨てられていった。 「おのれおしかけ侍めい!」 「ややっ!」 襖を開き、刀を手に飛び出してくる代官。 侍はびしりと刀を構え、二人は円を描くようにゆっくりと歩いた。 「理由はどうあれ神秘を一般人商売に用いることまかり成らぬ。世の理にそむく貴様の悪行、このリベリスタ苦牛・中兵衛が成敗いたす!」 「ええい黙れ黙れい! わしの野望を邪魔するものは切り捨ててくれるわあ! でやあああ――」 「せいやああああ!」 「ぐわあああああ!」 斬りかかった代官……が、しかし素早く横一文字斬りを繰り出した侍によって脇腹を切りつけられ、あわれ代官は血の海に沈むのであった。 ● 「ということが、起ころうとしているのです」 「え、あ、うん」 それリベリスタとリベリスタの小競り合いだよね、と思ったが、ここで突っ込みを入れたら空気が読めてないことがバレる。 「つまりどうしろと」 「ええまあ、どちらが死んでも困るっちゃ困るので、できれば円満にこの場をしのいでおきたいのです」 「でも絶対この人たち説得とかに応じないですよね」 「応じないですね」 「斬りかかってきますよね」 「そういうセオリーですからね」 「ですよね」 と、なれば。 「やはりセオリーにそってこの場をやり過ごす……ほか、あるまいて。丁度侍と商人の両方に加勢する準備が整っている。どちらについてどのように場を動かすかは、皆に任せるとしましょう。なんとかして、この場を納めて頂きたい」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年03月27日(木)22:26 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●無頼法人ダイカーン3 時は平成神秘の時代。悪の栄える動乱の世に、刃を交えるリベリスタたちがいた。 「悪代官よ、貴様の悪事ももはやこれまで。お命頂戴つかまつる!」 「おしかけ侍め、いつもいつもわしの邪魔をしおって……!」 鍔迫り合いがおこり、二人の間にエネルギーの火花が散る。 そこへ。 「助けてください、助けてくださいましぃ!」 よたよたとした足取りで雪白 桐(BNE000185)という女装した男が……えっ、男? え? あ、ホントだ! 桐は二人の間にずずいと割り込むと、けっこう無理矢理な感じで引きはがした。 「ええい邪魔をするでない! であえであえい! この者をつまみ出すのじゃ!」 「いいえつまみ出す前にせめてお話を!」 袴の裾にがっしりとしがみつく桐。 おしかけ侍こと苦牛中兵衛とて嫌がる女(女じゃないけどさ)を無視して敵を斬り殺せる程空気の読めない男では無い。 「女、邪魔でござる! 一体何用か!」 「はいお侍様。そしてお代官様。お二人に助けを請いに参った次第でございます」 居住まいを正した女(女じゃないらしいけどね)によれば、彼女の運営していた煩悩団地妻茶屋が悪質な地上げに遭っているという。 「なにぃ、地上げとな!?」 「ナァニィ? 団地妻とな!?」 同時に別々の所に食いつく侍アンド代官。 どうでもいい話を挟むけど、この代官って何の官職を代行してるんだろう。知らんけど。 かくして引っ張られるように連れてこられた長屋には、一人の男が寝転んでいた。 「おとっちゃん、お侍様とお代官様を連れてきたよ」 「ごっほごほ! すまんなあお桐や、ごっほごほごふぉえっほ!」 なんかジョージ・タナカの声をした老け顔の男がせんべい布団から身体を起こした。 っていうか『俺は人のために死ねるか』犬吠埼 守(BNE003268)だった。 膝立ちで問いかける中兵衛。 「おい男、貴様が煩悩団地妻茶屋の経営者か」 同じく膝立ちで問いかける呑兵衛。 「その店は風営法にひかっかってるんじゃないの?」 「あ、メイド喫茶的なやつなんで」 「貴様呑兵衛! 『メイド喫茶は風俗じゃ無いにゃん☆』という言葉を知らんのか! 叩ききってくれる!」 「望むところじゃ。カモーン、この人妻趣味の男を斬り殺せい!」 「待ってく出されええええ!」 飛びかかろうとした中兵衛の足にすがりつく守。当然中兵衛は顔から倒れる。 「ワタシがビデオの返却日を忘れたばっかりに凄まじい額の延滞金を請求されてしもうたのですじゃ」 「詳しく」 「十年前に某洗濯屋Kを」 「なるほどケン好きに悪い奴はおらぬ」 「しかも十年も放って置いてから請求するとは悪質な販売方法じゃ。いくつかの法律に抵触するおそれがあるのう」 「ううっ、そのせいでわしらは逃亡生活を……強いられているんじゃあ!」 カッと集中線を入れる守。 これいれないとこの台詞言っちゃいけない決まりでもあるんだろうか。イワさんは罪なことをしたよね。 呑兵衛と中兵衛はその場にどっかりと腰を下ろすと、それぞれ顎や膝をさすり始めた。 「ううむ。しかしビデオの延滞金となると払い逃れは難しいぞ。きっと契約を盾に取られよう」 「一般のトラブルとなると神秘の力でたたっ切るわけにもいかぬ。これは八方手がふさがったか……?」 と、そこへ。 「ひかえろうひかえおろう!」 カカンッという拍子木の音がしたかと思うと、障子戸の向こうから光が差した。 人型の影と共に現われたそれに、一斉に振り向く。 「やや、この声は!?」 「この紋所が……目にはいらぬかー!」 障子が両開きになり、なんかこう……ご老公的な、あれっぽい人が現われた。 いきなりNPCが増えたのでは無い。『究極健全ロリ』キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)が化けた姿である。 キンバレイあらためご老公様はセルフで後光を放ちつつ、ずずいと長屋の中に踏み込んできた。 入って貰って分かったが、なんか既に満身創痍というか、松葉杖ついてフラッフラの血まみれだった。 桃太郎で例えるとキジと桃太郎とイヌが一撃でやられた時のサルって感じである。なんか喉をヒューヒュー慣らしてたし、時折『しぬぅ、しぬぅ……』って呟いていた。 「奴ら借金取りどもは神秘の力をフル活用してくるのです。わしご老公ですが、スケもカクもおらんのでもう一方的にボコられてこの通り」 「ナァァニィィッ!?」 「ヤッチマッタナァ!」 中兵衛と呑兵衛が同時にぐいっと振り向いた。 「世間一般の皆様に神秘の力を行使するなど言語道断!」 「資金取り立てに際し暴行を働くなど犯罪行為極まりない!」 と、二人同時に立ち上がったところでこんな声が聞こえた。 「きゃーいやー、こないでくださいー!」 ついでにガラスがガシャーンする音と、なんか椅子とかテーブルとかががしゃーって倒れる音である。 急いで飛び出してきた彼らが見たものとは……! 「たすけてー!」 乙女座り(足を人魚みたく投げだし身体を斜めに傾け太ももと腰のラインを妙に強調する弱々しくも女らしい座り方である解説終わり)した『被虐思考』フェリシー・フールドラン(BNE004701)が目から流した滴をキランとさせつつ振り向いた。あと足下に目薬。 「助けてください! 私は猛烈団鬼六喫茶の店員ですが借金取りが神秘の力でこう、営業妨害を! きっと私のこと食べるつもりなんです! 鰹だしで上手に煮込んで生姜と山葵で頂く気なんです!」 「え、悩殺団地妻茶屋では」 「そうですその煩悩肉屋カフェです! そこに被害者をフィクサードで借金取りが!」 「ええいよくわからんがとにかく、営業妨害は悪であるぞ! 即刻立ち去れい!」 「ククク、誰かと思えば侍と代官じゃねーか」 奥のテーブルをわざとなぎ倒しつつ、篠ヶ瀬 杏香(BNE004601)が鬼の棍棒みたいなやつを担いでやってきた。 「緑狸呑兵衛に苦牛中兵衛。ここで会ったが百年目、まとめてぶっ潰してやんよ!」 「え、お会いしたことありましたっけ?」 「細かいことを気にするんじゃねえ。邪魔するぜ!」 ガラッと戸をあけて入ってくる蒼嶺 龍星(BNE004603)。 なんか杏香の隣に背中合わせにして立つと、眼鏡をクイクイってやりながら咳払いした。 片手にはお桐さんが『きゃーやめてー』とか言いながら手首を引かれていた。 「ンッンー……手こずらせたがって。お前は俺らの映像作品に出演するって決まったんだよ」 「いやー! 『野獣と化した先輩』はいやー!」 「へっ、観念してタッチペンで服を脱がされる実写映像になりな!」 嫌がる桐を見て、呑兵衛がすらりと刀を抜いた。 「その娘を離すのじゃ! そんな映像作品、CEROが黙っておらんぞ!」 「くふふ、それだけやないで!」 全員の後ろから声がした。 ばっと振り返る。 「貴様は!」 「あたしの名前は……赤狐!」 キリッとした顔(一応仮面を翳しております)でポージングする『もうだめ駄狐いつ』明覚 すず(BNE004811)。 「誰だお前!」 「だから赤狐ゆーたやん!」 仮面を放り投げるとすずは地団駄を踏んだ。 「この淫乱人妻旅館はぶっ壊して、若い男子を生かさず殺さずするショタリョナシアターに改造するんや。当然ショタたちは誘拐してきたコやでえ!」 垂れる涎を手首でぬぐうすずたん。 「ナニィ!? そんなニッチなマニア向けハプニングバーなど、法治国家で作らせはせんぞ! あと誘拐は犯罪じゃ!」 「しかも生かさず殺さず(不殺)でお手軽に済まそうという魂胆が気に喰わん! リョナは構わんが自力でやれい!」 「え、リョナはいいの? 可哀想じゃない?」 「お代官様ここはちょっと黙ってもらって」 すずたんはまたくふくふーと釘宮声で笑うと、ビシッと謎のポーズをとった。 「ついでに近くの浄水場を占領して『惚もれ薬』を生活水に混ぜてやるんや。この町をボーイズラブシティにしてやる計画も進行中や。楽しみやねえ!」 「なんという絶対悪! 許せん!」 「なんとでもいいや! 死人に口なし。おしかけ侍も悪代官も、この場で抹殺してま――んぎゃ!」 「ゆらり……」 すずたんを押しのけ、胸にさらしを巻いた『朱蛇』テレザ・ファルスキー(BNE004875)が、ゆったりとしたペースで現われた。 「あらあら、捨て駒の悪徳不動産を緑狸様が討ちたくなるように仕向けてそれを理由に苦牛様が緑狸様を始末してくださるように仕掛けようと思っておりましたがその最中に鼠どもが現場へ逃げ込んでしまうとはとんだ手違いですわ。私の計画を知ったからには生かして置くわけにはまいりませんhんし今ここでまとめて死んでいただきます」 「なんじゃこやつ、すごい長さの説明区長で自分の計画を一気に述べよったぞ」 「登場するタイミングを計っていたらいつのまにか全員出てしまったので慌てて立場を確保した感じですじゃごっほごほ」 思い出したようにぬっと窓の隙間から現われる守。 「しかし今は非常時。侍と悪代官が一時的に手を取り合うことを……強いられているんじゃあ!」 効果線と共に自己主張を始めた守を背に、苦牛中兵衛と緑狸呑兵衛はきまずげに顔を見合わせた。 「ううむ、ここは利害の一致。勝負は一旦預ける他あるまいて」 「よいよい。かかる火の粉を、己で払うがこの世の定め。返り討ちにしてくれるわ!」 と、そろそろBGMが戦闘用のやつに変わって、カキーンカキーンって剣戟シーンに突入するタイミングだと思うんだけど、なんかどうしてもカメラさんがお風呂写したいっていうから入浴シーンを挟むことにしたい。 「ふーあわあわ。きんばれいはもうすこししたらあわのひめになれるのですね。おとーさんがよろこぶのです」 キンバレイを20禁……じゃなかった20歳にしたかんじの子がお風呂で無駄に片足とか上げていた。 泡がすごい勢いで飛び上がり、彼方から謎の光が明確な線になって挟まり、ついでに湯気がめっちゃ上がっていた。 このシーンにおける泡と光と湯気はBL・DVD版で解除されます。あと挿絵申請お待ちしております。 あとそろそろ彼女の社会的フェイトが底を突いて社会的ノーフェイスになりそうなんですがそれはどうしましょうね。おとーさんに地下王国でのペリカ暮らしを強いる感じでどうですかね。 20禁ばれいはカッと効果線入れつつ振り向くと、ここぞとばかりに胸の谷間を強調しにかかった。 「時代劇では入浴シーンが必要って……教わりました!」 ちなみに時代劇で必ずユミさんが入浴してたのは時間またぎのタイミングでチャンネルを変えちゃうお父さんたちをとどめさせるためのもので、サスペンスとかで無駄に湯煙がアレしてたのもそういう事情である。十年くらい前は平気で乳晒してたもんだが、最近じゃできないんだねああいうの。 などとチャプターまたぎでブラウザバックしちゃいそうなお父さんを引き留めた所で、戦闘シーンである。 「そこの嬢ちゃんには、すぐに旦那の後を追わせてやんぜ!」 殺意満点の速度で突っ込む杏香。 彼女の棍棒(アルミと段ボール製)は空を引き裂き風を鳴らし、苦牛中兵衛の顔面へと迫った。 「この練度……ただ者では無い。だがしかし!」 苦牛は世界をねっとりとした蜜飴のようにすると、全ての力を刀に集めた。 急激なパワーでもって繰り出されるテラーズクラッシュ。杏香は即座に防御に転じたが、その時には身体が宙に浮いていた。 テーブルや椅子や入浴中のキンバレイを飛び越し、壁を突き破り、空中を回転しながら家屋の外へと飛び出した。 「人妻かつ未亡人をてにかけるなど捨て置けん」 「ボディがお留守だぜ緑狸!」 眼鏡をクイクイしながら悪代官の背後にスウェー移動してくる龍星。 が、しかし。 「ふっ、かかったな!」 緑狸の背後にいつのまにか設置されていたトラバサミが作動し、龍星の足をとらえた。そこへどこからともなく転がってきた岩石がぶつかり、ついでに足下に設置されていた油壺が割れ、更に燭台が倒れ、落ちてきた爆弾と合わさり大炎上した。 「うおおお熱ィ!」 そうこうしている間に。 「いやー! やめてくださいましー!」 「私を食べてもおいしくないですー!」 とかいいつつ、桐とフェリシーとですずを両側から羽交い締めにし。 「強いられているんじゃ! 強いられているんじゃあ!」 などと言いつつ守あつあつのジャスティスキャノンの食わせるというコンボを決めていた。 「熱っ! あっつ、むりそれ、餅巾着はむりや!」 「あらあら、地上げ屋のなさけないこと……」 いつのまにか居なくなっていたご老公的な人はスルーして、テレザは苦牛たちへ銃を向けた。 「来るぞ悪代官!」 「知っておるわ、かかれい!」 豪速で突っ込む苦牛中兵衛。彼の剣がテレザを打ち、更に高く跳躍した緑狸呑兵衛が物理法則を色々無視した跳び蹴りを繰り出した。 「ダイカーンクラーッシュ!」 「ぐっ!」 すれ違いざまに巻いていたサラシを高速で引っ張り抜く悪代官。 「ダイカーンナッパー!」 テレザはあーれーといわんばかりに回転させられ、またたくまにさらしを抜かれてしまった。あ、下にちゃんと着てるんで。そういう修正をしたんで。あと光もさしたんで。 「くっ、強ええ。こうなりゃ死なばもろとも……!」 眼鏡を高速かつ小刻みにクイックイしながら起き上がった龍星……が、しかし。 「そこまでです。この紋所が目に入りますか?」 フェリシーがアークのロゴが入ったAFを周りに翳した。 「なっ、アークだって!?」 焦り汗を流してたじろぐ杏香。 「あのバロックナイツを指先一つでダウンさせ裏野部をも穴あきチーズにしてやったというあのアークや! もうだめや……殺される……!」 「おしまいだ……勝てるわけが無い……!」 なんかベジっさんみたいなことを言って膝を突くすずたんや龍星たち。 テレザさんもああそういう空気なのねって顔をして膝を突いていたのだった。 サイレンのついてない車に縄つけて押し込まれるすずたんたち。 その姿を、桐や守たちは静かに見送っていた。夕日をバックに。なんかのギターミュージックと共に。 フェリシーは車に乗り込むと、ちゃっと手を翳して言った。 「彼らの身柄は私たちが預かります。そしてお二人はフィクサードと戦うという志は同じなので悪しき一般人に神秘の力を使うも同志を問答無用で殺すもリベリスタの正しい姿とは思えませんし力を合わせて妥協点をみつけていくのが世のため人のためではありませんか」 「「アッハイ!」」 すごい勢いで事件が強制解決したからか、中兵衛も呑兵衛もその場の空気に呑まれていた。 「あ、それと。私はおびえてばっかりで仕事の出来ないフランエンジェなので。今後もそのつもりでお願いしますね。東京湾の排水量を増やしたくなければ」 「「ハッハイ!」」 「では失礼」 遠のく車のバックライト。 中兵衛と呑兵衛は、二人並んでそれを見送った。 「フッ、あのおなごの言うとおりやもしれん。リベリスタっていうのがなんなのか拙者よく知らんが……佳いか悪いかでいったら悪いでござるな」 「山吹色のお菓子と帯回しさえできればわしはそれでいいが……一般人に無双するのはやり過ぎたかもしれん。今後は出来るだけ金と権力で無双することにしてやろうぞ」 「はっはっはっはっは!」 「ふはははははははは!」 「うふふふふふふ!」 「ははははごっほごほごほ!」 とりあえず締めとけって感じで笑い合う一同。あと風呂上がりの20禁バレイ。 かくして煩悩人妻茶屋の聞きは救われ、世に一握りの平和が訪れた。 しかしおしかけ侍と悪代官の戦いがこれで終わったわけでは無い。 今後はお互いの妥協点を競り合うという微妙に陰湿な戦いが待っているのだ。 だがそこに血が流れることは無いだろう。 今日はそれを、一旦の解決としたい。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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