● カラフルスライム それは突然降ってきた。ぷるぷるとしたゼリー状の何かだ。大きさは1メートル近いだろうか。赤、青、黄、緑と色は4色。地面に落下し、ぷにゅんと柔らかく形を変える。 否、正確に言うと降ってきたという表現は正しくない。小高い丘の展望台から、真下の谷に架かった長い橋へと撃ち出されているのだ。撃ち出しているのは、2メートル近いサイズの巨大な黒い壷である。壷の中に、何かが いるらしい。10秒に1〜2体ほどの頻度だろうか。現在の段階で、既に30近い。数十メートルほどの長さの橋の上で、ぽよぽよと揺れながらひしめき合っているのである。 特に何をするでもなく、ぽよぽよと震えている。少しずつだが、移動しているようにも見える。移動しているとした場合、果たしてどこへ向かうつもりなのか。そもそも意識や感覚があるのかも不明だ。 そんなカラフルなスライム達で埋め尽くされた橋は、当然ながら通ることができない。橋の手前では、トラックを含む10数台の車が渋滞を形成していた。 皆、謎のスライムに困惑し、どうすればいいのか分からないのだ。 運悪く、橋を通過中にスライムに降ってこられた車も4台。橋の中程で停車し、スライムに覆われてしまっている。車内にはまだ、人が乗っているようだ。 困惑の果てに、渋滞の列を抜けてトラックが一台、橋へと進行を開始した。スライムを引き潰し、そのまま強引に橋を通り抜けるつもりらしい。 しかし、その目論みは失敗に終わる。タイヤに絡まったスライム達が、トラックの動きを止めてしまったのである。 停車したトラックにスライムが群がる。運転席のフロントガラスに4体、緑色のスライムがへばりつく。瞬間、4体のスライムが1体に合体。その直後に、今度は内側から弾けるようにして爆散した。 スライムから、緑色の液体が飛び散る。飛び散った液体は、トラックの全面に降り注いだ。液体の触れた部分が煙をあげて溶けていく。 ガラスが溶け切ってしまうのも時間の問題だろう。溶解液か毒液か、生身で浴びては命はあるまい。そう悟って、運転手は悲鳴をあげる。 運転手だけではない。現場全体で悲鳴が上がる。混乱が起きる。その場から逃げ出そうとする車が、後続の車とぶつかるなどの事故が連鎖する。中には車を捨てて走ってその場を逃げ出す者もいた。運転手のいなくなった車が邪魔になって、先頭付近に居た車は後退できない。 どうやらスライム達はある程度同じ色が纏まると、爆散して何かしらの影響を周囲に及ぼすようである。 丘の上では、黒い壷が、そんなスライム達を撃ち出し続けていた。 ● スライム殲滅作戦 「黒い壷の中にはアザーバイドが潜んでいるみたい。詳しいパラメータ等不明だけど、それを撃破しないことにはスライムの増殖は止まらない」 現場は2カ所、とモニターに映った地形図を指差し『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は言う。地図によれば、丘と橋を繋ぐ道があるようだ。距離にして僅か100メートルほどか。 「だけど、黒い壷のアザーバイドを倒してもスライムが消える訳ではない。スライム達は各個撃破するか、同色同士を3体以上ぶつけ合って爆ぜさせるしかない」 スライム達の蠢く橋の上には、まだ数名の一般人が取り残されている。特にトラックの運転手は迅速に助け出す必要があるだろう。 時間の猶予はあまりない。幸い、スライム達は動作が鈍く、積極的に襲いかかるという性質でもないようだ。 ただ、同色同士で集まるか、一定以上のダメージを受けると爆散して周囲に何かしらの影響を及ぼすだけである。 攻撃をしなければ基本的に無害。しかし、攻撃をせねば倒せない。 「黒い壷の正体、攻撃方法などは不明。とりあえず、放置してはおけないし、Dホールも見当たらないから殲滅してきて」 そういってイヴはモニターを消した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:病み月 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年03月15日(土)22:40 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
●混乱の橋 渓谷に架かる長い橋の上は、大混乱、という言葉がピッタリの有様であった。 停車した車に、車内に取り残されて泣き喚く運転手達。橋の上や、その手前で叫び声をあげる人々。その原因は、次々と空から降ってくる色とりどりのスライム達が原因だった。 丘の上から発射され続けるスライム達は、時折複数体で集まり、爆散しては災害を振り撒く。 赤、青、黄、緑の4色。どうやら、同色のスライムが集まると、合体し、爆発するようだ。 「ふむ、パズルゲームかぇ? 何とも珍妙なアザーバイドじゃのぅ」 混乱の最中を突っ切って『陰陽狂』宵咲 瑠琵(BNE000129)が橋へと足を踏み入れた。 「ゲームほど、暢気な状況でもないけど」 続いて『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000129)も橋へと踏み込む。足元を蠢くスライムを避けながら、目指すは橋の中央で停車したトラックだ。 トラックの中には、逃げ遅れた運転手が居る。おまけに、爆散したスライムを浴びてしまい、時間的な余裕もない。 「やることはたくさんですががんばりましょうっ」 混乱し、逃げる事さえ出来ないでいる者達を離宮院 三郎太(BNE003381)が誘導し、橋から遠ざける。冷静ではない者達を誘導するのは骨が折れるが、しかし一般人の居る中での戦闘は避けたい。 結界を展開しているので、これ以上この場に一般人が来ることはないだろうが、それでも万が一を考えれば、さほどのんびりしてもいられないのだ。 「そっちはよろしく。あたしは一般人の救助を最優先させてもらうから」 三郎太の肩を叩いて、『六芒星の魔術師』六城 雛乃(BNE004267)が橋へと駆け込んだ。まっすぐに、トラックへと走って行く。優先順位はすでに決まっているのだろう。その足取りに迷いはない。 「スライム……大量生産中?」 三郎太と共に、一般人の避難誘導を行う『トライアル・ウィッチ』シエナ・ローリエ(BNE004839)が、橋を見て呟く。見慣れない光景、見た事のないアザ―バイドに興味があるようだ。 6人がかりで最前を尽くしているが、橋の混乱が収まるまで、まだまだ時間がかかりそうだ。 ●カラフルスライムとリベリスタ 叫び声が、渓谷に木霊する。原因は、丘の上に陣取った謎の黒い壺である。どうやら正体はアザ―バイドのようだが、目的も、本性も不明のままだ。 それを討伐するために、橋の混乱に対処するのとは別行動で、3名のリベリスタが丘へと向かう。 「一昔前にはやったパズルゲームみたいなものでしょうか?」 低空飛行で丘を登りつつ『モ女メガネ』イスタルテ・セイジ(BNE002937)がそう呟いた。全速力で移動するイスタルテの頭上を、また1体、新たなスライムが飛んでいった。 「壺の中身をぶち殺すっ」 イスタルテに続いて飛ぶのは『断罪狂』宵咲 灯璃(BNE004317)だ。風に舞う、白い羽が美しい。 イスタルテや灯璃から僅かに遅れ深崎 冬弥(BNE004620)もまた、翼の加護で得た羽で移動している。頭上を飛んでいったスライムを尻目に、短い呻き声をあげた。 「何が潜んでいるかは知らんが、爆発するスライムだけでも被害は馬鹿にならん。早急に処理させてもらうぞ」 腰の刀に手をかけて、冬弥は加速し、丘へと急ぐのだった。 トラックのドアを開け、瑠琵は怯える運転手に顔を近づけた。 「車から降りて“あれ”を刺激せぬよう避難するのじゃ。車と心中したいかぇ?」 意地の悪い笑みを浮かべて、そう問いかけた。強張った表情を浮かべたまま、運転手は何度も頷いた。緑のスライムが、少しずつこちらへ這い寄ってくる。悲鳴を上げながらも、運転手は震える足で、橋の外へと逃げていった。 「さぁ」 瑠琵の元から、フィアキィが飛び立つ。降り注ぐのは、緑のオーロラ。スライムの撒き散らした被害や、仲間の受けたダメージを癒す。 「なんか、母と妹がよくやっていたゲームを思い出すな」 トラックから逃げ出した運転手を背負い、義衛郎が駆ける。片手に持った刀でスライム達を退けながら、橋の袂へと戻って行く。橋の袂のスライムはすでに殲滅済みだ。そうでなくとも、三郎太やシエナの元まで辿り着ければ、後は2人が上手く避難させてくれるだろう。 「飛ばしますよ」 義衛郎は、ハイスピードで加速する。 車内に取り残された者達を助け出し、スライム蠢く橋の中を雛乃は進む。空から次々降ってくるスライムを回避しながら、遅々とした歩みながらも、確実に橋の袂へ。 仲間達の活躍により、橋の混乱は加速度的に収束へ向かっていた。 橋の袂で混乱、立ち往生していた者達は三郎太とシエナによって、八割ほどは避難済みだ。 橋上で身動きの取れなかった者たちも、残るは雛乃の連れた数名のみ。 しかし、安全圏まで十数メートル、といった段階になってすぐ傍で爆発が起こった。 バン、と弾けるような音。赤いスライムが融合し、爆散したのだ。 燃えさかるスライムが周囲に飛び散る。降り注ぐ火炎を、雛乃が受け止めた。 杖を振り回し、火の粉を払うが間に合わない。 「あたしあんまり頑丈じゃないからできたら控えたいけどね~」 杖を放り捨て、体で火の粉を受け止めた。皮膚の焦げる嫌な臭いが周囲に漂う。それでも、ガードできたのは一部だけだ。 「は、走って!!」 雛乃が叫ぶ。それを合図に、避難中の一般人達が駆け出した。橋の袂まで、まだまだ距離がある。進路上にいたスライムが這い寄ってくるが、それは瑠琵が追い払う。 全員が避難したのを見届けて、雛乃は急いで、乗り捨てられた車の中へと逃げ込んだ。 「えっと、ここだと危ない……かも?」 橋の上で蠢くスライムを、好奇の眼差しで眺めていた子供達に向けてシエナは語りかける。 子供の手を引き、橋から離れる。どうやら迷子のようだ。きっと今頃、親が探していることだろう。 そんなシエナの頭上を、スライムが飛んでいく。超直感でそれを察知しながらも、しかし今はそちらに対処している暇はない。 先ずは一般人の避難が先だ。 トラックの運転手は、橋から出ると同時に気絶していた。 彼の身柄を受け取り、三郎太はそれを安全圏へと引き摺って行く。その様子を見届けてから、義衛郎は橋へと駆けもどって行った。 取り残されていた者達の避難は完了だ。後はスライムの殲滅だけ。未だにスライムは飛んできているが、それも直に止まるだろう。 スライムを止める為に、仲間達が丘へと向かっている。 トラックの運転手を、橋から幾分離れた道路の橋へと寝かせ、三郎太は頷く。 「さてと……ボクの行動不能はありませんから、後は一手ずつミッションをこなしていくのみですっ」 魔導書を開き、踵を返す。金の髪が風に揺れた。 スキルを発動する為に集中を重ねながらも、彼の頭は高速で今後の手順を整えていく。 高速演算。これから行われるのは、スライムの掃討。 「よしっ」 気糸の束が、三郎太の全身から解き放たれた。 橋では、スライムの掃討が開始されたようだ。 その気配を感じながら、イスタルテ、灯璃、冬弥の3人は丘の上へと辿り着いていた。 そこにいたのは、というかあったのは、真っ黒い壺だ。1メートルほどの巨大な壺が、次々にスライムを撃ち出しているのだ。 「スライムを出したり、打ち出したりするのを止めて、元の世界に帰っていただけませんか?」 そう問いかけたのはイスタルテだった。壺からの返事はない。 無言のまま数秒。壺が大きく震えて、青いスライムを撃ち出した。 「大体、なんでこんなもの橋に撃ち続けてるのさ?」 灯璃が訊ねるが、返事はない。仲間の誰も、その答えをしらない。壺は相変わらずに、スライムを撃ち出し続けている。 鎖で繋がれた双剣を振りあげ、灯璃は跳んだ。鋭い一閃が、壺を切り付ける。火花が散って、壺が揺れたが、それだけだ。恐ろしく固い。 壺が震えて、緑のスライムを撃ち出す。 「一応、攻撃なりスライムをぶつけてくるなりに備え警戒はしておくか……」 刀を掲げ、冬弥が飛んだ。今し方放たれたばかりの緑スライムを、空中で斬り捨てる。緑スライムが爆発し、周囲に毒液を撒き散らせた。 「ぐっ……」 毒液を浴び、冬弥が地面に落下した。スライムの付着した部分が、ドス黒く変色していた。 毒によるダメージが、冬弥の身体を浸食する。 しかし、冬弥は動きを止めない。素早く起き上がると、そのまま壺へ向けて、刀を振り抜く。真空の刃が壺を襲う。 「瑠琵ねーさまのお願いだから手加減しないよ!」 禍々しいオーラを纏った大剣が、壺の口へと叩きつけられた。灯璃と冬弥の攻撃で、壺が倒れる。ビシ、と鈍い音がして壺に罅が走るが、まだ壊れそうにはない。 壺の口から、青いスライムが這いだして来た。青だけではない。赤、緑、黄と次々にスライムが這いだしてくる。 「排除します」 イスタルテの放った眩い閃光が、スライム達を焼き払う。爆発し、飛び散るスライムと、撒き散らされる状態異常が、リベリスタ達を襲った。 黄色いスライムの破片を浴びて、イスタルテは苦痛に顔をしかめる。感電したのか、その身を震わせ、その場に膝をついた。 イスタルテを庇うように前へ出る灯璃と冬弥の視線が、壺へと集中している。その間に、イスタルテは回復スキルを使用。飛び散る燐光が、自身と仲間の傷を癒す。 ゴトン、と壺が揺れる。 壺の中から何かが這いだしてくる。 張り詰めた空気の中、真黒い腕のようなものが、地面を掻いた。 いつの間にか、新たなスライムが降ってくることはなくなっていた。それでも今だに数十体のスライムが橋の上を蠢いているのだが、これ以上増えないのなら、大幅に楽になる。 「同色同士を一箇所に集めるようにっ」 車の上を跳びまわりながら、瑠琵は言う。 直後、彼女の頭上に魔方陣が浮いた。次々と降り注ぐのは火炎弾だ。地面を蠢くスライムを弾き飛ばし、橋の内側へと弾き飛ばしていく。 「爆散を利用するのもいいですね」 高速で橋上を駆けまわりながら、同色のスライム同士をぶつける義衛郎。刀で斬りあげ空中を舞うスライムと、瑠琵の弾き飛ばしたスライムとがぶつかり、爆散した。 飛び散るのは冷気。義衛郎の全身を冷気が襲うが、彼には効果がない。 もっともダメージだけは防げないようで、スライムが爆散する度に蓄積したダメージは、そろそろ無視できないレベルになっている。 「敵の行動パターンは決まっています、あせらず確実に行きましょうっ」 三郎太の周囲に、淡い燐光が浮かび上がる。風に流されるように、燐光は飛び散って、仲間達の元へ。その傷を癒し、体力を回復させる。 スライムの量に疲弊していた仲間達が、勢いを取り戻した。 瑠琵と義衛郎が、同色同士ぶつかると爆散する、というスライムの性質を利用して討伐を続けるのに対し、雛乃は被害の拡大を防ぐ方向で掃討を進めていた。 同色同士で集まりそうになるのを阻止しながら、スライムを倒している。 「遠慮なくスライムを排除しまくっちゃうよ」 黒鎖が放たれる。鎖の束は、まるで暗黒の波のようだ。 それが、片っ端からスライム達を飲み込み、消していく。爆散するも、鎖に飲まれていては被害が周囲に飛び散ることもない。 「チェーン阻止させてもらうよー」 雛乃は喜々としてスライムを消していく。黒鎖の中から、緑のスライムが飛び出してくる。空中を舞い、雛乃の元へと降ってくるその体を、黒い鎌が刺し貫いた。 「灰空の月鎌――composition」 シエナの放ったマグメッシスだ。仲間の撃ち漏らしたスライムを狙い、遠距離からの攻撃で撃破数を稼いでいる。 ぼんやりとした表情は相変わらず。しかしその行動の的確さには、目を見張るものがある。 スライムが全滅するのも、時間の問題だろう。 ●壺の中から 黒い壺の中から現れたのは、真っ黒い体をした人型の何かだった。スライム状の身体。腕が異様に長い。下半身は壺の中に入れたまま、腕で這うようにして移動する。 壺を背負った、人型の蝸牛のようだ。 そう思った直後、ソイツは跳ねた。腕を使って、壺ごと跳んだのだ。空中で再度、壺の中に身を仕舞う。飛んでくる壺を避けきれず、冬弥と灯璃は直撃を受けて、その場に倒れた。 ドロリ、と這いだして来た緑のスライムが弾け飛ぶ。 撒き散らされた毒が、リベリスタ達を襲った。 「回復役は私がっ……」 イスタルテが言う。再度、燐光が飛び散って、仲間達の傷を癒した。 次のスライムが溢れだす前に、イスタルテは壺を蹴飛ばし、その場から遠ざける。 ゴロゴロと、丘を転がり落ちていく壺。その途中、件の黒い腕が壺から突き出し、回転を止めた。 両手に剣を構え、集中を重ねる灯璃と、腰に差した刀に手を添えた冬弥が前へ。 壺が大きく震え、赤いスライムを撃ち出した。 「あれが、スライムを吐き出している本体か」 どうやら、自分の身体をスライムとして切り離し、遠くへ移動しようとしていたようだ。赤、青、緑、黄を混ぜれば、色も黒に近くなるだろう。 腰の刀を一閃。真空の刃が、空中でスライムを切り落とす。火炎が散るが、こちらにまでは届かない。次のスライムが撃ち出される前に、もう一撃、真空の刃を壺に当てた。 罅が広がり、壺の口が欠ける。 「もう一度っ」 冬弥は、真空の刃を壺へと放つ。 「一・刀・両・断ッ! 行っくよーっ!!」 真空の刃と並走するように、灯璃が飛んだ。壺の撃ち出した黄色いスライムを、刃が切り裂く。飛び散る雷を回避しつつ、灯璃は壺の正面へ。 大上段に振りかぶった2本の剣に、禍々しいオーラが集中する。 それを、叩きつけるようにして壺へと振り下ろした。 壺が砕け、破片が飛び散る。灯璃の剣が壺の中身を、斬り裂いた。飛び散ったスライム状の身体が、灯璃の全身に振りかかった。 毒が、炎が、冷気と雷が、灯璃の身体を襲う。 苦痛に顔をしかめながらも、灯璃は剣を振り抜いた。 それを最後に、スライムの動きは止まる。巻き散らかされた災害も、収束していった。 異世界から来た、壺に潜むソレの討伐は、これで完了したのだろう。 今頃、橋の上のスライム達も殲滅された頃だろうか。 「ぶち殺したよーっ! 褒めて褒めてーっ♪」 体中に傷を負いながら、敬愛する姉の元へ急ぐ。灯璃は喜び勇んで丘を駆けおりていくのだった……。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|