●様式美を大切にする姿勢 『イクリプス・オブ・ザ・デッド』! ゾンビ映画界の巨匠が、遂にあの世界を股にかける大スター、ハム・クルーズを主演に迎え、超大作ゾンビアクション・ムービーの製作に乗り出す! 最初のロケ地は、日本となる模様! 「ふっふっふ。すごいことになりそうじゃあないか、この映画は! なあ監督!(英語)」 「あ、ああ。そうだなハム! ……俺が言うのもナンだけど、大丈夫かな、この映画……(英語)」 ●野暮なツッコミはナシにしようか 「……というB級ゾンビ映画の撮影が、今度、とある地方都市で行われるんだが」 手元の資料をつまらなさそうに眺めつつ、『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)は、ぽりぽりと頭をかきながら言います。 B級、とばっさり彼が切り捨ててしまうだけあり、読み上げられる出演俳優や監督の名前は、正直に言いまして、申し訳ないことに、全くもって聞き覚えの無いものばかりです。 ……いえ、正確に言いますと、どこかで聞いたような名前ではあったりなんだりするのですけれど……たぶん違う人ですよね、これ。 「で。バッドタイミングと言うべきか、あるいはグッドと言ってもいいものか……この撮影の現場を、E・アンデッドの集団が襲うらしい。……ああ、どっから沸いて出てくるのか、なんてクエスチョンにはノーアンサーだぜ?」 伸暁くんにも、そこのところは分からないんだそうです。映画でも、どっから入ってきたのアンタらは!? なんてところから襲ってきたりしますよね、ゾンビって。全く、空気の読めるE・アンデッドたちです。 「撮影場所は、中心街にある交差点だ。撮影されるシーンは、映画の一番最初の導入部で、突然ゾンビたちに襲われ混乱する街の中を逃げ惑う主人公が、自衛隊だか軍隊だかに保護されて、ひとまず難を逃れる……って場面らしい。その後は、追い詰められた主人公が銃を取って、ゾンビども相手にキル・オア・ダイ。って展開らしいが……それはまあ、いいや。ともかく、お前たちは、エキストラとして撮影に潜り込んで、このシーンで登場するE・アンデッドたちをこっそり始末してきてくれ。スタッフには、これは撮影なんだって思い込ませたままで」 さらりと無茶を付け加えてくれます。それはまあ、バレたらマズイのは確かなのですけれど。 「なんかこー、それっぽい格好してりゃ、アクターとして使ってもらえるだろ。どうせ、洋ムービーに出てくる日本のイメージなんて、そりゃあもうフリーキーでエキセントリックかつアメイジングで……」 ……と、いったわけで。 『俳優とか監督とかスタッフさんに撮影だと思わせたまま襲ってくるゾンビをこっそり全部やっつけてね』作戦の行方は、集まったリベリスタの皆さんの手に、まるっと委ねられたのでした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:墨谷幽 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年02月28日(金)23:04 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●クランク・イン 「……ファンタスティィイイック!! そうだ、これだよ! 俺が日本に求めていたのは、まさにッ! これだったんだ……ッ!!(英語)」 鼻息荒くそう高らかに叫んだのは、本作の総監督を務めます、ジョージ・B・富野氏その人でありました。 鎧兜に陣羽織、戦国武将のような出で立ちの『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)の晴れ姿は、地方とはいえそれなりに都会な町並みの交差点の中にあって、浮きに浮きまくっておりましたが。監督さんはもう大喜びです。 「まさに、『戦極自衛隊』って感じ? 何だかウケてるみたいで良かった」 「アナタ! コノ、えー、KANJI? スバラシデース! コレゾじゃぱにーず・サムラアアアイッ!!(日本語)」 快の兜に燦然と輝く、『愛』! の前立に大興奮の監督は、続いて、その両脇に立つ二人にもきらきらとした熱視線を注ぎます。 「に、に、ニンジャ! じゃぱにーず・ニンジャネコレ!! オウ、いっつあみらくる……ッ(日本語)」 目頭を押さえ、涙すら流して感動してます。まあ、最近少なくなりましたものね。忍者。 「いやぁ、喜んでもらえて良かったね。ニンニン(意訳)って説明する必要も無かったな」 「いいのかしらこれ。何だか間違った方向に進めちゃってる気がするけど……責任取れないわよ、私」 黒ずくめで、なぜか覆面にティアドロップのごっついサングラスをかけた『終極粉砕機構』富永・喜平(BNE000939)は、表情が全くもって見えないものの、どうやらこの扮装を楽しんでいただけているご様子。隣の『氷の仮面』青島 沙希(BNE004419)も、監督の子供のようなはしゃぎようにちょっぴり罪悪感を覚えつつも、何だかんだで露出度高めのセクシーくのいちコスチュームを颯爽と着こなし、このテの映画には欠かせないお色気要素もバッチリです。 甲冑に陣羽織を羽織りながらライフルを担いだ、自称・自衛隊員の『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)は、 「監督、私、ハム・クルーズさん主演の『ワーストサムライ』、大好きなんです! リスペクト捧げてるんですよ!(英語)」 「え、ああ、そうかい? それは光栄だな……そんな映画撮ったかな。撮ったかもしれないな、うん(英語)」 ジョージ監督に尊敬のマナザシを向けつつ言いますが、これは彼女なりのリップサービスとでも言いましょうか。実際そんな映画は無かったりするんですが、監督は満更でもない様子。数多くの映画を手がけてらっしゃいますからね、思い出せないのも無理はありませんよね。 さて。 ここで満を持して登場するのが、数々の素晴らしい映画に出演し続ける、あの大スター! ハム・クルーズ! そう、世界をまたにかける、この俺さ!(英語)」 途中から自分で言ってたみたい。 「わ、わ、ワァーオ!! こいつはイカスぜ、これぞ日本!! ブシドー! ニンジャ! ハラキリー!!(英語)」 和装でキメた面々に、やってきたハムさんもジョージ監督と手を取り合って大感動です。 主演のハムさんが現場入りし、撮影陣は慌しく動き始めます。 そんなこんなで、撮影開始の時間が近づいてきた頃。 「オーッ、スゴイネアナタ! スバラシイめいくネ!(日本語) よーし、主役のゾンビも準備万端だな、そろそろ始めるぞー!(英語)」 「おいおいジョージ、主役はこの俺だろー? はっはっは(英語)」 「こいつは一本取られたなぁ、はっはっは(英語)」 (……ふむ。ドラマと言う物にも、興味が無かった訳ではないからな。やってみるに越した事はない) こちらはゾンビ役として参加の『Dr.Tricks』オーウェン・ロザイク(BNE000638)、そのリベリスタならではの変装スキルを用いての超絶ゾンビメイクに、ハム&ジョージのテンションもマックスにヒートアップ。 いよいよ、『イクリプス・オブ・ザ・デッド』の撮影が開始されるようです。 ●よーい、アクション! カチンコがぱちんと鳴り、カメラが回り始めた、ちょうどその時でした。 わーっ、きゃーっ! という悲鳴が、エキストラさんたちの間から上がります。おお、迫真の演技……と思いましたら。 (現れたみたい。映画の撮影なんて、少し恥ずかしいけど……人命第一で頑張らなきゃね) 『魔法少女マジカル☆ふたば』羽柴 双葉(BNE003837)の視線の先には、わらわらわら。うぅぅおお……なんてくぐもったうなり声を上げ、ゆらゆらと左右に身体を揺らしながら、おぼつかない足取りで歩いてくるわくるわ。大量のE・アンデッドたちが、こちらへ向かってくるのです。 「きゃーっ、きゃーっ! ……ていうか、情報より数が多いような……」 逃げ惑う一般市民の演技をしつつも、首をひねる双葉の疑問は、その通り。ゾンビたちは、早くもそこらの哀れなエキストラさんたちにかぶりつき、既に仲間を増やしつつあったのです。 「な゛、な゛ん゛な゛ん゛た゛よ゛お゛お゛こ゛れ゛は゛あ゛あ゛!」 『合縁奇縁』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)の、何ていうかこう、すごいダミ声での叫びが、周りのエキストラさんたちの肩をびくりとさせたりしつつ。ちょっと転んだりしながら、走って逃げ出す竜也……じゃない竜一のほうへ、ゾンビたちはわらわらと群がって行きます。 「おおっ、いいぞ! 今回のゾンビは、リアルで迫力があるじゃないか! よーし、ハム、出番だぜ!」 ゾンビたちのかもし出すモノホン感に、興奮した様子で腕を振り回すジョージの合図で、ついに登場! 主役のハムさんを、カメラが中央に収めます。 「腕利き軍人の俺が、休暇で日本へ旅行に来たら、ゾンビが現れただって!? 一体どうなっているんだ、これはー!(英語)」 皮のジャケットにジーンズというラフな出で立ちの、主演俳優ハム・クルーズ。ちょっと説明っぽいセリフと共に現れると、芝居がかった大げさなモーションで、せっせと逃げ始めます。 「Heyハム、こっちよ! お姉ちゃんに、ついてきなさ~い☆(英語)」 「あ、ああ!」 銃を構えて颯爽と現れた『Eyes on Sight』メリュジーヌ・シズウェル(BNE001185)の豊満なボディを、カメラはなぜか執拗に、足元から胸元へと舐めるように映していきます。セクシーくのいちの沙希さんとの二本柱、これでサービスシーンもバッチリです! 「ヘイ、ジャパニーズガール、アンドボーイ! ソッチハキケンダヨ、ツイテキナサーイ!(ニホンゴ)」 「は、はい!」 「と゛、と゛う゛し゛て゛お゛っ゛か゛け゛て゛く゛る゛ん゛た゛よ゛お゛お゛お゛!」 ていうか、役名もハムなの? とかそういう瑣末な疑問は風のように置き去りにしつつ、たまたま合流した双葉と竜也、じゃなくて竜一と共に、ハムはメリュジーヌの揺れるお尻について行きます。 が、しかし。彼らの行く手には、先の無い袋小路。身を寄せ合って怯える(演技をする)彼らの前に、ずるり、ずるりと足を引きずりつつ、ゾンビたちが集まってきます。ていうか増えてる、もう大分増えてるっ。 「や゛め゛ろ゛よ゛お゛お゛! し゛に゛た゛く゛ね゛え゛よ゛お゛お゛!」 メリュジーヌの放つ銃弾がゾンビの身体にびしばしとめり込みますが、彼らは一瞬怯みはするものの倒れることは無く。哀れ、竜一はゾンビの群れに飲み込まれ……。 という、まさにその時。 「……待たせたな!」 ぽん。ぽん。ぽんぽんぽんぽんぽんぽん。ぽぽん。 音響係さんの奏でる、優雅な鼓の調べに乗せて。快、喜平、沙希、ユウの戦極自衛隊、華麗に参上! 実にカッコイイタイミングで登場した彼らは果敢にゾンビたちへと切り込み、撃つ、斬る、蹴倒してまた撃つ、と丁々発止の大活躍。 しかし、数を増やしたゾンビたちの群れに、さしもの彼らも完全に押さえることができません。 「ハム、ここは任せて先へ行け!」 「すまない、カイ!」 ハムさん、快と友情の視線っぽいのをクドく絡ませてから、仲間たちと共に再び走り出します。 ●世界へ届け、ヤマトダマシイ 「グラ影推参! とうっ」 喜平は、覆面とごっついサングラスの下で瞳をぎらりときらめかせると、巨大な散弾銃を振りかぶってゾンビをブン殴ったり、 「忍法・シュリケーンッ!!」 とか言いつつ景気良く散弾銃をぶっぱなしたり。普段は渋い傭兵の喜平さん、実はなかなかノリの良いお方です。 「ゾンビ殿、お相手いたします」 乱れ飛ぶ手裏剣にジョージ監督大喜びの中、沙希は背中の大業物をぞろりと抜き放ち、 「自衛隊に代々伝わる、呪われし銘刀・九条葱。人々の危機とあらば、私はこれを振るいましょう……っきゃああああー!?」 いわくつき、呪いの日本刀などというシロモノまで飛び出し、スタッフは撮影もそこそこに、呪いに振り回される沙希の演技に大盛り上がり。 「くそう、急所に当たったはずだぞ! どうして倒れないんだ!(英語)」 一方ユウは、流暢な英語で定番のセリフを挟みつつ、ゾンビたちの足や胸をあえて狙って撃ち抜きます。倒れこむゾンビ、しかし彼らはすぐに起き上がったり、しぶとく這って迫ってきたり。実にセオリー通りなその展開に、後方でジョージ監督も、うむ。と力強く頷きます。 とはいえ。 手近なゾンビを、適度な加減を加えつつナイフで斬り倒しながら、快は内心で歯噛みします。屈強、歴戦のリベリスタたちのこと、走りもしなければ跳びもしないゾンビごときは、あっという間に殲滅してしまえる力をお持ちのはずなのですが。ことはそう簡単にはいきません。何せこれは映画の撮影、下手を打てば、神秘の存在が白日の下にこれでもかと晒されてしまうのですから。 と、その時。 「あ、あれはまさかー!?」 喜平が突然、前方を指差しわざとらしい口調で叫びます。 指の先には、ステロタイプなゾンビたちに混ざりつつ歩いてくる、一味違う、一体のゾンビ。 それを見た沙希が、 「知っているの!?」 「あ、あれは! 敏捷な動き、多彩な攻撃を駆使する強敵でありながら、倒すと大爆発を起こして周囲を巻き込む難敵として知られる……変異種の、『ブロウアッパー』だー!」 解説役押し付けてごめんね、ありがとう喜平さん。 そう、名前付きの特別なゾンビを演じるのは、オーウェン・ロザイクその人。怪盗スキルを生かしたその精緻なメイクは、なんと周囲のゾンビたちにすら仲間と認識されている様子で、彼らを従えるようにしてずんずんとこちらへ歩いてきます。 ちなみに、もともとそんな設定は無かったはずの脚本は、オーウェン自身によって事前に書き換えられていたりしたのですが、監督を始めスタッフたちは、そもそもあんまり脚本読んでなかったりして。 頑張った脚本家には同情の念が絶えませんが、ともかく、快はオーウェンの姿を認めると、 「よし。お前たちは撤退しろ! 俺はこのまま、奴らに斬り込む……カミカゼだ!」 きりり、と顔を引き締めて言い放つ快。部下たちは口々に、 「そんな、隊長!」 「隊長、あなたのことは忘れない……!」 「ありがとう、隊長! みんな、隊長の死を無駄にするな!」 あ、割とあっさり。彼らは撤退を開始します。 それを見送ってから、快はゾンビたちの群れへ、猛然と走り出します。隊長、最後の特攻です。 「人間をなめるなよ、ゾンビども! サムラァァァアーイッ!」 群れの中心へと飛び込み、ばったばったとゾンビを薙ぎ倒していく快。ここぞとばかりに革醒者としての力を行使し、数を減らしていきます。 が、さしもの彼も、最後は力尽き……。 「ぶ、ブシドーウ……サム、ラァァァァイ…………!」 愛の文字を掲げた前立てが、ひとつきらりと輝きを残し。その姿は、あえなくゾンビの海へと沈んでいくのでした。 監督とスタッフ、大号泣。 ●イッツ・ジャパニメーション 場面は移って、逃げるハムさん一行へとカメラは戻ります。 「な゛ん゛て゛……な゛ん゛て゛こ゛ん゛な゛こ゛と゛に゛な゛っ゛ち゛ゃ゛う゛ん゛た゛よ゛お゛お゛お゛!」 血まみれの竜yいや竜一は、あらかじめ置いておいた大刀を手にして、ずばずばとゾンビを斬り捨てて行きますが。 どうやらゾンビに噛まれてしまったらしく、やがてふらふら、ハムへと近づいていきます。 「ハム、彼はもうダメよ。トドメを刺してあげるのが人情ってものだわ、はいっ銃!」 「えっ、俺がやるのかい」 「んふふ、だってお姉ちゃん、Japanのアイドルだもの☆」 汚れ役はノーサンキュウ、とばかりにぽいと拳銃を投げ渡したかと思うと、迷彩服と帽子をばばっと脱ぎ捨て。身体のラインぴっちりの赤いスーツを惜しげもなくご披露してくれるメリュジーヌさん、ばりばりとライフルを放ち、押し寄せるゾンビたちを薙ぎ払います。 ハムさんは、しばし揺れるメリュジーヌのおっぱいに視線釘付けでしたが、 「ん゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛!゛!゛!゛!゛」 「うぉわああああー! す、すまないリューイチ!」 ぱーん! 竜一は鬼気迫る演技で、ハムにへっぴり腰ながらも発砲を促し。感染した仲間をやむなく射殺するという、物悲しく切ないシーンを見事に演出してみせたのでした。グッジョブ! 切ない死に顔を晒す竜一を踏み越えて、ゾンビたちが更に迫ります。彼らはまた数を増やしていて、オーウェンことブロウアッパーに率いられ、ハムさん一行へと小波のように押し寄せてきます。 追い込まれた状況、息を呑んで見守るスタッフたち……ここで、沈黙を保っていた双葉が、ついに動きます。 アクセス・ファンタズムが光を放ち、身に纏うは、可愛らしいワンド。風に翻るマント。フリルのついたコスチューム! 目を丸くするハムさん、スタッフを前に、 「……木漏れ日浴びて育つ、清らかな新緑。魔法少女、マジカル☆ふたば! ただいま参上!!」 びしっ! ここで、突然の! 魔法少女! 登場!! 監督以下、並んで座っていた外国人四人組、思わず両手でガッツポーズ! 「魔弾よ、指し示すがままに敵を撃て! 穿ち、貫けーっ!」 うなる光弾、弾ける肉片。高々と跳躍し襲い掛かるブロウアッパー。地を砕き、ゾンビたちを薙ぎ倒しながらあたりを飛びまわり、アニメさながらのバトルアクションを繰り広げる、ブロウアッパーとマジカル☆ふたば。 今回は走らないゾンビ、のコンセプトはどこへやら、スタッフの一人が戸惑いがちに監督へ、 「あ、あの、これはさすがに……」 「……いや。このまま、カメラを回し続けるんだ!!」 往年のドラマのようなセリフを口走り、微動だにしない監督。いいそうです、これで。 そんなこんなで、目まぐるしい戦いは続き。 (オーウェンさん、今だよ!) 展開する魔方陣から放たれた黒い鎖が、ブロウアッパーを貫くと。ゾンビたちの群れ、その中へとゆるやかに落下したオーウェンは、 (ふむ、そろそろだな) 周囲にエキストラなどがいないことを確認し、パチリと片目をつぶると、思考を集中。そして。 ……どっかーん!! 自爆するブロウアッパー! を装い、強烈な爆発を巻き起こし。殺到するゾンビたちを、まとめて吹き飛ばしてしまいました。 ●撮影終了。 「頭だ、頭を狙えー! 撃て撃てーっ!」 頼れる狙撃手、ユウが放った銃弾が狙い違わず頭を撃ち抜き。 「走らないゾンビたち、安心感すら覚えるね。日向ぼっこしている猫と同じくらいに」 「自衛隊は第七隠密師団・第四部隊所属。光画流の忍び、サキ! 参ります!」 喜平は散弾をぶちかまし、沙希は呪いの刀を振り回し。 爆発によってほとんどが消し飛ばされつつも、ちらほらと残ったゾンビたちを、着実に処理していきます。 「ハム、ここは任せて、先に行け!」 「お、お前は、さっき死んだはずじゃ……!」 「ああ、それは俺の兄貴、ぎゃああー!!」 ……ちゃっかり再登場を果たした快を、さくっと噛み殺したゾンビへ、 「新人アイドル、メリュジーヌ・シズウェル、華形彩るにゃっ☆ ふふ、こんなに手早く映画に出られるなんてかんどー! 次のオファーも、待ってまーす☆」 にっこりスマイル、営業もしっかり入れながらメリュジーヌがばしっと弾丸を撃ち込んだり。 とまあ、そんなこんなありまして。やがてE・アンデッドたちは、リベリスタたちの密かなる活躍のおかげで、その存在が明るみに出ることもなくひっそりまるっと処理され。 「世界はこれから、一体、どうなってしまうんだッ……!」 ハムさんの締めのセリフと共に、撮影は無事終了となりました。 「カアアーットッ!! お疲れさん、いやあ、最高の映像が撮れた! この映画は、当たるぜ!」 「ああ、完成が楽しみだな! それはそうと、女の子たちは連絡先教えてくんない?」 撮影陣はほっと安堵の表情を浮かべ、ジョージ監督はほくほく顔でご満悦。ハムさんも、共演者たちと仲良く談笑などしてから、現場は撤収と相なったのでした。 ●28週くらい後... 全ての撮影を終えて完成、公開された『イクリプス・オブ・ザ・デッド』は、冒頭のド派手な戦闘シーンが話題となり予想外のヒットを飛ばしたものの、それ以外のシーンは概ねヒドかった。とコアな映画ファンの間で語り草となり、ハム&ジョージの名前は、ちょっとばかり知られることとなったそうな。 「……次はオール日本ロケだな、ハム!(英語)」 「……OK、ジョージ!(英語)」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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