● 「刻むのは、手伝ったわよね? あとは湯煎して、混ぜて、型に入れて、冷やすだけなのだわって」 「はい」 「で、それがどーやったら、こうなるの?」 「えー、湯煎って鍋に湯を沸かしてボール入れてその中で溶かすわけだよな」 「……既に何か不安だけどまあ概ね間違ってはないのだわ。それで?」 「ボールに入れて、鍋に入れた時点で、まずボールがひっくり返ってだな」 「で?」 「イラッときてだな、もう一気に溶かせばいいだろって思ってだな」 「……それがどうして金属製のボールごと電子レンジに入れることに繋がるの……?」 しかもラップがないからアルミホイルかぶせただと? その時呼び鈴が鳴ったから適当にぐいっと大きくひねったまま離れていただと? ――わかるような気がするけどけどわかりたくない。 がくりと肩を落とした『深謀浅慮』梅子・エインズワース(nBNE000013)は、正座させた『まやかし占い』揚羽 菫(nBNE000243)の背後に広がる阿鼻叫喚図にもう一度目を向ける。 刃の欠けた包丁。どこにぶつけた。 血の滴る床。どれだけ自分の指切ってるんだ。 電子レンジ爆発。どうしよう、これ。 菫は片付けも苦手なようで、他にもまあ掃除を考えるだけでうんざりする状況なのである。 はああ、と大きくため息を吐いた梅子に、菫があぐらをかいて居直った。 「だがな梅よ。今年も今年とてチョコを作っても、渡す相手もいないだろうが」 「うっ……だ、誰が梅よ」 「去年も作ってたな? 結局全部一人で食べてただろ? それでどうして怒ることがある」 「いやそれは怒るから。台所道具何一つないから貸してくれって言われた結果が大破とか普通怒るから」 「梅之助。悔しくないのか。燃えたくないのか。もっと熱くなれよ! できるできる、お前ならチョコを渡す相手のひとりやふたりくらいすぐできるだろ、ネバーギブアップだ!」 「誰が梅之助よ」 「梅之介梅太郎でお梅ブラザーズとして正月を席巻しろよ!」 「意味がわからないのだわ、いい加減ごまかさないの!」 話をそらそうとしたのを見ぬかれた菫が、ち、と舌打ちする。 「だいたい、アンタこそどうして急にチョコつくろうとか思ったのよ。菫こそ配る相手はいないはずでしょ」 「いやそれがだな」 諦めた顔で、菫はごそごそと荷物を取り出す。ほれ、と示されたのは、徳用の割れチョコの袋。 「チョコというのはな、カロリーとして素晴らしいんだぞ。 そして、この時期は割れたヤツが結構大量に出回る。そりゃあもうちょと後になって時期を逃してからのほうが安いが、入手のし易さで言えばこの時期が一番だ。 そこでだな、私は毎年これを大量に買い込んで、しばらくの食料としているわけだが。 今年は、この1キロ入りのやつを、10個買おうと思ったわけだ」 「……あ、なんかオチ読めてきたのだわ」 「うむ。10個入りの箱を10箱買ってしまった」 予想通りのオチにぐったりとした梅子に、菫がからからと笑う。 「さすがにこのまま食うのは飽きるからな。他の形にしてみたいと思ったんだが」 「むしろ賞味期限とか突破しちゃう方が早そうなのだわ、それ」 「賞味期限とか気にしてものを食ってないぞ私は」 「ちょっとは気にしなさい!」 ● そんな経緯を脱線も多く語った梅子は、リベリスタに向き直って指をぴこぴこと振る。 「で、あの致命的な料理下手に誰か教えてくれる奴がいないものかって思うのよ。 どうせいっぱい教えたらところてんみたいにぬけるだろうから、今回はチョコだけでいいの。 大量に買い込んだらしいのは全部没収したから、チョコの数にだけは余裕があるのだわ。 ……て、手伝ってくれてもいいのよ?」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ももんが | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年03月04日(火)22:44 |
||
|
||||
|
||||
|
■メイン参加者 18人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|