● 泣いてても笑っていてもその日は毎年やってくる。 2月14日、バレンタインデー。 決戦の日である。 「バレンタインデー、クソくらえ!」 まだ日のあるうちからグラス片手に中指たてて叫ぶのはアークのモテないフォチューナ、『まだまだ修行中』佐田 健一(nBNE000270)だ。 健一の叫びは暗黙の合い言葉となり、特設会場に集う総員の胸に刻まれていた。 ここは居酒屋「たんたん狸のチョメチョメ」。 ちょめちょめが大きな信楽焼の大狸が入口にででーんと置かれている店である。 縄のれんをくぐってずずいと店内に進めば、ほぼ男、男、男、の男祭。 だが雰囲気は暗かった。 店の壁には獲得チョコ数を書き入れる巨大なボードが設置され、来店した女性からの“義理チョコ”数が随時リボンでつけられる。 義理、人情、世俗のしきたり等々を端的に示すそのボードには、まだ1つのリボンも飾られていない。 そう、これから……、これから世の中の男女の歓喜、悲鳴、慟哭、涙、鼻水その他諸々がここに記されていくのだ。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:そうすけ | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年02月15日(土)23:05 |
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■メイン参加者 12人■ | |||||
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● 誰が連れて来たのか。ひらりひとひら。三高平の夜に残寒の雪。 「こんなところにこんな店、あったかな?」 赤ちょうちんのぼんやりした明かりを片顔に受けつつ、新城 拓真は縄のれんを腕で割って押し上げた。 「さあ? でもここで間違いないと思う」 新田・快がちらりと目を向けた先、店の入口の横にでんと置かれた焼き物のタヌキは、それはそれは立派な袋を広げていた。 赤ちょうちんに店名こそなかったが、ここがアークの新米フォチューナ、佐田健一が指定した店に違いない。 「新田酒店も知らない店か。そんなに新しくないようだが……」 ちょうど去年の今頃のこと、バロックナイツの一角である“楽団”に攻め込まれて大きな被害を出した三高平市は、復興とともに街の様子も変えていた。いや、そればかりではない。新しく街に住み着いた覚醒者や支援者のための住宅がいまも増え続けているのだ。人が集えば商いも起こる。 それにしてもバレンタインの夜に集う場所としてはなんとも奇怪な店である。 「なんていうかアレな店名だけど」 男ふたりで顔を見合わせ、「ああ、趣味が悪いな」と苦笑すれば、からりと乾いた音をたてて中から格子戸が引かれた。 暖かい空気とともに着物にタスキをかけた子タヌキがひょっこり顔を出す。 えっ、と驚くふたりに声をかけたのはテテロ ミーノだ。 「いらっしゃーい!」 ミーノは本日、拓真と快の専属「注文受付係りっ」に志願していた。こっちこっち、とふたりの手を引いて赤い鳥居の廊下をずんずん奥へ進んでいく。 ふたりを通した部屋の名は鶴の間で、ふすまで仕切られた隣の部屋は亀の間だとミーノは言った。 子タヌキが拓真の足をかすめて部屋に駆け込み、部屋の隅に積まれていたふかふか座布団を取ってテーブルの前に並べた。 ますますバレンタインデーが感じられなくなっていく。 もともと、『バレンタインちょっと向こうに置いといて。今日は新城さんとサシ飲みで』と思っていた快だったが――。 「ハッピーバレンタイン! 美味しくな~れ☆ 萌え萌えキュン」 ぱーっ、とふすまが開いて現れ出たのは、黒のホラー風キャミワンピを着て、髪や服をカウント用の花でこれでもかと飾りつけた月杜・とらだった。 「はい、これ☆ とらからのウェルカム・ドリンク、あーんどチョコレートだよ。あ、これはカウンタ外だからね」 とらの後ろに見える、ふすまの向こうは別世界。しーんと静まり返った席はまるで通夜のよう。壁のホワイトボードが目にまぶしいくらい白く輝いている。 「えっ……と……」と快。 「はい、はい、はい! あっちはあっち、こっちはこっち」 ミーノがぴしゃりとふすまを閉めた。子タヌキが拓真のズボンを引いて着席を促す。 「ほいほーい! どんどん注文いっくよ~っ!」 ● 「むむむ……おかしいのだっ。きいてたはなしとちがうのだっ!」 ひたすら待ち続けることに飽きて、ついにテテロ・ミミルノは声を上げた。 ただでチョコがもらえる日と聞いて喜び勇んで参加したのに。今のところもらえたチョコはとらのウエルカム・チョコ一粒のみ。これは詐欺ではないか?! 「思いのほか貰えないものだな」 チョコパフェにスプーンを差し入れながら、昏い声でこぼしたのは翔 小雷だ。 「今日はチョコを食べる日ではなかったのか?」 「えとえと……折角なのでチョコレートを配ろうと思うですっ」 チョコを待ちわびてよだれを垂らす姉妹を見かねたテテロ・ミミミルノが、紙袋の中から“友チョコ”を取り出した。 「……えとえとこれミミミルノから(ぎり)チョコですっ」 「!! あれっミミミルノ? でもチョコありがとなのだっ!」 両手でチョコを受け取ってにんまりするミミルノ。 ミミミルノはすっと立ち上がると部屋にいる全員にチョコを配り始めた。 ちなみに某STのそうすけは“テテロ”が名前だと思っていた模様。いままでリプにもそう書いていました。テテロ’Sの区別もはっきりついていません混乱しますごめんなさい。 「おー! サンキュな、ミミミルノ!」 大げさでなく、女の子からチョコをもらってマジ喜んだのは奥州 一悟だ。さっそく包をぺりぺりっとはがしてチョコ・フォンデュのために用意された鍋に投入する。細かく砕いてから入れるという配慮をしないところが実に男?らしい。 「ヒューヒュー、この色男~☆」 とらが服から花をひとつ取って一悟、小雷の名の下へ飾りつける。この場にいない健一と厨房にいる離宮院 三郎太の分を代わりに受け取り、やはり名前の下に花をつけた。 「あ、ミミミルノちゃん。となりの鶴の間にも配りに行く? オッケー。じゃ、ふたりにも花つけとくね」 そのままミーノの手伝いに行くといったミミミルノを見送りながら、とらは花を2つボードに追加した。 ミミミルノと入れ替わりに子タヌキが亀の間にやって来た。一悟が丸ごと友チョコを入れた鍋に火をつけると、牛乳を入れてかき混ぜはじめる。香りづけにブランディを入れたところだが、未成年もいることだしやめておこう。 「まだ足りないか? じゃあ、俺のチョコもやろう」 小雷がボール状豆チョコの入った未開封の袋を上着のポッケから取り出すと、 「げっ! お前男じゃんよ……」 一悟が呻いた。 「女性でなければ意味が無い? 俺が女になればいいのか?」 「冗談はよせ!」 「案外、イケるかもよ☆ 小雷くん、女装やってみる?」 とらがのりのりで小雷に近づく。 「えっ?」 「ミミルノもてつだうのだ」 「じゃあ、一悟くんをお願いね☆」 「え?」 「「ええーっ!!」」 ● ふすまにパラパラと何かが当たる音。 細く開いた隙間から一粒、鶴の間にチョココーティングされた豆が転がりこんできた。「豆まき?」 ようやくにぎやかになってきた隣はどうやら遅い豆まきに興じているらしい。鬼はとらとミミルノのふたりのようだ。 「おーい。ちゃんと拾って食べろよ。食べ物は粗末にするな……て、聞いちゃいない」 快はおすそ分けのチョコ豆を口に放り込むと、静かにふすまを閉じた。 こほん、と咳払いで改まって、 「聞いたぜ聞いたぜ。とうとう、結婚するんだって?」、と向かいの席の拓真へ切り出す。 「話が早いな、ちゃんと知らせようと思っていたんだが」 ああ、本当だったのか。こいつはめでたい。まずは最初にビールで乾杯だな。 タイミングよくミーノが生中2杯とお通しを持って現れた。 「それじゃ、二人の婚約に、乾杯」 ジョッキの端を軽く合わせると、二人同時に杯を傾けた。 「まあ、これまでも実質内縁関係みたいなもんだったけど……そっかあ。新城さんはもう家族を背負う覚悟、決めたんだな」 「ハッキリさせておくかと思ったんだ。大黒柱としては、まだまだだと思うが。……元々一人でやって来た訳でも無いからな」 これからも彼女に支えて貰う事にするよ、と拓真は笑みを浮かべた。 「わー、なになにけっこん? おめでとう♪」 ありがとう、と拓真。 おめでとう。おめでとう。 どうしてカップルOKにしなかったのか、と某STのそうすけは天井裏で悔やんだ。 「そんじゃ、おいわいにじゃんじゃんちゅーもんして。ミーノがはこんでくるよ」 あんきもとか、牡蠣とか、カワハギの刺身肝醤油添えとか、百合根の天ぷらとか、海老芋の煮物とか……食べ放題なんでもオーダーOKをいいことに、快がここぞとばかりに注文する。 メモをとるミーノの手が忙しく動く。 「なに、そのオーダー。おいしそう……ね」 脱いだコートを片腕にかけた星川・天乃がミーノの後ろに立っていた。 「よう! 珍しいな」 「たまには、こういうのも、悪くないかな、って」 「さ、こっちへ。コートをかして……ハンガーにかけよう」 天乃は快の出迎えに少しはにかみつつコートを手渡すと、お通しをつまむ拓真に「お疲れ様」と声をかけた。 ともに死線をくぐり抜け生きて帰ってきた仲である。 拓真も「天乃もお疲れさま」と静かに返した。 「そっちの紙袋も」 「あ……これは……」 ん、と首をひねる快に天乃は紙袋からひとつ、きれいに包装された小箱を取り出して手渡した。 「義理だし、何の変哲も無い、店で買ったもの、だけどね」 「ありがとう。これで一応、バレンタインらしくなったな」 天乃はもう一つ紙袋から小箱を取り出しながら、いつの間にか現れた子タヌキ――さっきのとは着物の柄が違う――が置いた座布団に座った。すっと腕をのばして拓真にチョコを渡す。 「ありがとう」 ミーノがミミミルノと一緒に料理と酒を運んできた。 あんきもとぷりっぷりの牡蠣、それにお銚子。 「ほう、『丹沢山 純米 阿波山田錦六十 麗峰』……か?」 快の家は酒屋を営んでいるだけあってめっぽう酒には強いし詳しい。が、今夜はあえて店にお任せで酒を出してもらっていた。 「一口飲んだだけでわかる? ……さすが、ね」 といいつつ、天乃もお猪口を傾ける。 「美味しい……」 「ああ、旨いな」 続いてミーノがカワハギの刺身肝醤油添えを、ミミミルノが百合根の天ぷらとか、海老芋の煮物を運んできた。 テーブルにずらりと料理が並ぶ。 「はうっ、おいしそうですぅ」 「ミーノたちもごいっしょしていいですか?」 「どーぞ、どーぞ」 テテロ’sが着席すると、鶴の間はいっぱいになった。 だが、誰もふすまを開いてとなりの亀の間とひとつにしようとはしなかった。なぜならそのころ隣では……。 ● 「ここはどこ?」 健一手作りのチラシを片手に雪降る中、傘をさして歩くのはナターリャ・ヴェジェルニコフだ。 ナターリャは迷子になっていた。 いや、正確には迷子にはなっていない。ちゃんとチラシに書かれている住所にたどり着いていたのだ。なんと、このとき店のほうが移動していたのである。 「寒い……」 もう帰ろう。そういえば別の場所、ここからそう遠くない場所でバレンタインのイベントが行われていたっけ? ナターリャはすっぱり気持ちを切り替えると、来た道を引き返して行った。 ● 「それにしても佐田さんはどこへ行ってしまったのでしょう?」 当日はさぞ忙しいだろう、と健一の手伝いを買って出ていた三郎太だったが、現実は違った。いや、忙しいのは忙しいのだが、それは健一の手伝いではなく2足歩行のタヌキが走り回る厨房の手伝いでだ。なにしろ主催者である健一が姿をくらましているのだから仕方がない。 「わがし屋さんはチィチの義理チョコで泣きながらみなさんにボコられるといいのだw」 三郎太の横でにしし、と笑うチコーリア・プンタレッラ。 チコーリアは厨房にチーズフォンデュの材料を取りに来ていた。 「ところで三郎太、これが『えほーまき』ですか?」 「そうです。これが恵方巻……もう節分は終わってしまいましたが」 小雷が持参したあまりものの恵方巻だけでは少ないだろう、と三郎太は食材を拝借して人数分の恵方巻を作っていた。 「チーズにつけやすいように小さく切ってほしいのだ」 「うーん。切っちゃったら恵方巻じゃなくなりますよ。あ、でも、もう終わってるし……」 ま、いいか。と三郎太は巻き終えたばかりの恵方巻に包丁を入れた。包丁がいいのか三郎太の腕がいいのか、恵方巻がきれいにすぱっすぱっと切れていく。 「でもこれ、チョコフォンデュには入れないほうがいいと思います」 「チョコ集まらないのだ。だから入れたくても入れられないのだ」 だからと言ってチーズフォンデュに合うか、と言えば微妙なところ。一応、海鮮巻にしてあるが、こればかりは食べてみないことには分からない。 三郎太は切った恵方巻を皿に盛りつけながら、あ、と声を上げた。 皿を持って厨房を出ようとしていたチコーリアを呼び止めると、ホクホクのジャガイモと一口大のゆで鳥、それにウィンナー、おいしく火を通してあるゴボウが入ったタッパを見せた。 「これはボクからのサービスですっ!」 「三郎太、すごいのだ。気が利くのだ! どれもチーズフォンデュに合います」 くぅぅぅ~~~ 「ほへ?」 鳴ったのは三郎太のお腹。 「えっと……ボクも少し頂いてもいいですか?」 「もちろん、なのだ♪ 三郎太もみんなといっしょに食べるのだ。お腹いっぱいになったらわがし屋さんを探しに行くのだ!」 わくわくした調子で探検ごっこを宣言したチコーリア。 三郎太は苦笑する。 「ほんと、佐田さんはどこへいっちゃったんだろう?」 ● 健一は逃げていた。 チコーリアの義理チョコから。 受け取ってしまえば本日の一等賞が確定し、みんなに笑顔でボコられてしまう。いやだ。てか、マジあり得ない。どうして自分で決めたルールで自分がボコられなきゃならんのだ? チョコは欲しい。でもお子さまからの義理チョコで……。 人が集まらなかった。それはすなわちチョコが集まらないということである。けっこうチラシを配ったのに、ずいぶん前から告知していたのに。 いや、別にイベントに参加してくれた男性陣がそろってモテない君であるわけではない。 イベント主催者健一の人望のなさが原因なのであるが、健一はあえてそこには目を向けようとはしなかった。したら心が折れる。泣いてしまう。 時々、天井裏から亀の間の上に這っていって小さな穴からホワイトボードの様子をうかがうが……何度見ても白い。まるで雪原のようだ。 参加してくれた女性陣からまんべんなく義理チョコが配られているのか、全男性陣の名の下に同じ数だけ花が寂しく飾られていた。 (やばい。やっぱりチコちゃんのチョコは受け取れない……てか、みんな何やってんだ?) ● 健一の下ではチョコ豆が飛び交っていた。なかなかチョコが溶けない鍋を子タヌキが一生懸命かき回している。部屋のすみでは三郎太とチコーリアがチーズフォンデュの支度に忙しい。 「……って、やめるのだ!! チーズフォンデュの鍋に豆チョコを入れるならチコもやり返します。チョコフォンデュにニンニク投下!」 「ぐぁぁっ! ヤメロ、ちびっこギャング! チョコフォンデュじゃねぇ、チョコホンデュにニンニク……うわっ、寿司も入れやがったな!」 中途半端に口紅をひかれた一悟が叫べば、溶け始めたチョコ入れられたニンニクを子タヌキがホークですくってチーズ側に投げ返す。 見事チーズの鍋に落ちたチョコニンニクは、盛大に溶けたチーズを跳ね上げた。 「わ、わわっ! 危ないです。投げないでください!」 「ん。一悟、チョコ恵方巻じゃない、恵方切りもなかなかイケるぞ」 ホークでチョコがけの恵方を食べ始めた小雷の背後から、手に店から借りた振袖をもったミミルノが近づく。 「すきあ――っ!?」 床に転がっていたチョコ豆を踏んですってんころりん。だーん、とふすまを押し倒した。 のんびりほのぼのと酒を飲み交わしていた鶴の間に衝撃がはしった。ちょうど味の濃いタイの兜煮を「鶴齢 特別純米 五百万石 生原酒」の燗酒で頂いていたところだった。 「ふ、ふふふ……」 倒れて来たふすまを押し上げて立ち上がったのは天乃だ。胸元がべっとりと、煮汁で汚れている。ちょっと……顔が怖い。 続いて守護神・新田快が、『誠の双剣』新城・拓真が拳を握ってゆらりと立ち上がる。 店内に不穏な空気が満ち満ちる中、とらがメニューを広げから揚げの写真を指さして、「ねー、とらコレ食べたぁい♪ ケンちゃん、とらも頼んでもいい?」と明るい声で言った。 「いいですよ~」 言ってしまてから手で口を塞いだ健一がもう遅い。 「わがし屋さん、みーつけたなのだ!!」 チコーリアがマジックミサイルで天井を打ち抜いた。 チョコ鍋の真上に落下する健一。 「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」 「あちちっ!」 「きゃーですぅ!!」 慌てて立ち上がった三郎太がチョコ豆に足を滑らせてひっくり返った。足の先がチーズの鍋を乗せたテーブルをひっくり返す。 「うわぁ!」 「いやーぁぁぁっ!!」 ――PIGGGGGGGZ!! 熱いチョコとチーズとドタバタと。 堪らず『たんたん狸のチョメチョメ』が身をよじる。中身、すなわち店内もよじれる。 大混乱。 三高平市の郊外。雪の積もった野原に『たんたん狸のチョメチョメ』は墜落した。 ● 「フェイトは得ていますから。大丈夫」 仕切り直しのテーブルには健一からのお詫びのチョコ大福と熱いお茶が並べられていた。 タヌキならぬアザーバイドの居酒屋ご一行は、次にD・ホールが開く日まで三高平で保護もとい営業してもらうのだという。 「どうりで。知らない店だったわけだ」 拓真がこぼした。 「やっぱり何かあったのだ。チッチは最初からおかしいと思っていたのだ」 チコーリアは健一の膝の上に座って、自ら“GIRI”のロゴが斜めに走る包装紙破り、健一への義理チョコ『ぬこぬこ☆ちょこプレッツェル』を食べている。 テーブルの端ではミーノが伝票の束を片手に電卓で、ぴぴぴっと計算中。 その間も三郎太たちが料理や飲み物を部屋にどんどん運び入れる。 「やれやれ。とんだ祝いの席になっちまったな」と快。 「いまからやりなおし☆ みんなでいっぱい食べて飲んで楽しもう」 「ですね。はぁ~、ほんとうにお腹がすきました」 狙ったようにお腹を鳴らした三郎太に、どっと場が沸いた。明るい笑い声を乾杯の合図にして再び宴会が始まった。もちろん、チョコホンデュもチーズフォンデュもちゃんとある。うまい酒においしいおつまみも。 ちょんちょん、と肩を指で叩かれて健一が振り向くと、そこに領収書を持ったテテロ姉妹の姿が。 「おかいけいはこちらまんえんになりまーすっ!」 ごちそうそうさまでしたっ><* |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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