●再び世界を越えて! 「何なんだ、アイツは?」 ロボットのような姿をしたアザーバイドが、視線の先に存在する巨大な何かを眺めながら……呟く。 一面砂地で離れた場所に海がみえるその場所には、機械で造られたサソリのような姿をした何かが蠢いていた。 それが、自分達と同じ世界から来た敵対存在であることを……呟いたアザーバイドはもちろん、その周囲にいる似たような姿をした色違いの5体も知っている。 「何であいつはあれだけの力を出せるんだ!?」 焦った様子でもう一度、赤色のロボットが声を大きくして言葉を発した。 「異世界に来たことで、俺たちの戦闘力は下がっている。だが……ヤツはそうは見えない」 「恐らく、そういう風に作られた存在なんじゃないかな?」 青いロボの言葉に、緑色をしたロボがそう答えてから……付け加えた。 「少なくとも戦闘力は落ちている。ただ……僕たち程じゃない」 「それって……不味いんじゃないの?」 「……大丈夫、だと思う」 ピンク色をしたロボの言葉に、緑色のロボはそう返した。 かすかに首を傾げて、青色が問い掛ける。 「珍しいな、グリーン? いつもと違って強気じゃないか?」 「ここは、94%の確率であの世界だよ。世界の住民と力を合わせて、僕たちの隠されていた力が覚醒した……あの世界だ」 「何!? そうだと知っていればあの時の礼にカレーを持ってきたのに!!」 「相変わらずブレないな、イエロー?」 「そう……じゃあ、魔王とかもっと凄いのが、えいっ! えぃ! ……ってやってくるのね? フフ、フフフ……」 「ブラックも相変わらずで、全然わからない……」 「分からなくても良いだろ? とにかく、なら……周りに被害を出させないようにして耐えれば良いんだな?」 頭を傾げる緑色に青色が問い掛けると、緑色はそれで大丈夫と頷いてみせた。 「よし、それじゃ気合入れて耐え凌ごうぜ!」 赤色のロボットはそう言うと、砂を撒き散らしながら動く巨大機械獣へと構えを取った。 「この世界には、頼りになる仲間(とも)がいるんだからな!」 ●鋼鉄戦士vs巨大機獣! 「以前この世界に現れたアザーバイドたちが、また現れた」 『リンク・カレイド』真白・イヴ(nBNE000001)は、そう言って、スクリーンに画像とデータを表示させた。 一面が砂地、広い砂浜か砂丘という感じの土地で、巨大な……機械のようなもので出来た、サソリ型の何かが動いている。 それに対するようにして、6体……6機と呼ぶのが相応しい外見のアザーバイドが、低空飛行しながら戦闘体勢を取っていた。 6機は大まかな外見は似ているものの細部は異なっており、それぞれメインとするカラーリングも異なっている。 「6機の方は、以前この世界に来たことがあるアザーバイド」 以前、とある森林で暴れ回ったアザーバイドを倒すためにリベリスタたちと共に戦った存在なのだと、フォーチュナの少女は説明した。 言葉を理解する能力やテレパスに似た能力を持つ個体がいた為、意思の疎通も難しくなかったのだそうである。 「6機はこの世界の住民に対して友好的で、巨大アザーバイドが暴れるのを止めようとしている……けど、力が足りない」 本来はかなりの戦闘能力を持っているが、どうも異世界では本来の力を発揮できないようである。 だが、この世界の存在と協力する事で本来の力を、あるいはそれ以上の力を発揮できるのだそうだ。 「ロボたちの力を引き出すのは簡単。協力するという意思を持って、それを相手に伝えるだけ」 それでロボットたちは皆を1人ずつ取り込み、力を発揮できる。 ロボット達の大きさは数mはあるが、中に乗り込む者たちの動きや意思をそのまま受け取って動くため、操作のような事をする必要は一切ない。 「あとは全員で力をあわせて戦えば、きっと機械獣型に勝てると思う」 金属のサソリのような巨大アザーバイドは、リベリスタ達だけで勝つのは困難な強さをもっている。 ロボ達だけで勝つのは不可能だ。 「けど、皆の力を合わせれば大丈夫」 そう言ってイヴは、6機のアザーバイド達について短く説明した。 赤のロボは窮地に強く、真っ直ぐな心の持主と合体する事で、物理と神秘両面での攻撃力が向上する。 青のロボはクールで皮肉っぽいが仲間たちの事を大切に思っており、同じ気持ちの者が搭乗すれば、命中と回避の能力が上昇する。 緑のロボはスキルを使用する力を少しずつチャージする力を持ち、仲間を想う優しい心の持ち主が乗る事で、物理と神秘両方の防御の力が上昇する。 黄色のロボは、カレー好きな人が乗った場合、物理面での攻撃と防御の力が更に高まる。 黒のロボは神秘力による遠距離攻撃が可能で、電波人が乗り込む事で神秘攻撃の値が大きく上昇するらしい。 桃色のロボは神秘の力を使って傷を癒す能力を持ち、ヒロイン属性(性別問わず)の者が共に戦う事で、異常や戦闘不能を回避する能力が向上する。 「あと緑のロボがタワー・オブ・バベルに似た力を、黒のロボがハイテレパスに似た力を持っている」 コミュニケーションを取る為の能力が無くても、その2機とならある程度の意思疎通は可能だろう。 全てのロボット達は飛行能力に加え、合体、搭乗した者の能力を再現し、自身の力と合成する力を持っている。 「難しく考えずに『ロボットに乗ってるけど、いつもと同じように戦えてスキルも使える』と思っててくれれば問題なし」 そう言って説明を終えてから最後に、イヴは前の遭遇の時は心をひとつにする事でロボ達が合体し1体の巨大ロボになったのだという事も付け加えた。 「皆が力を合わせて、心をひとつにできれば、必ず勝てる」 信じられない力を、発揮できる。 「絶対、大丈夫」 だから、がんばってきて。 そう話を締めくくって、イヴはリベリスタ達を送り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年02月07日(金)22:34 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●アザーバイドの許へ! 「ロボかよ! うわぁぁメチャ嬉しい! アガるー!」 小島 ヒロ子(BNE004871)はメチャクチャ嬉しそうに口にした。 (アーク入って早々ロボと絡めるなんて、ホント幸先イイなー) 「うへへ、熱くカッコよく勝利つかんじゃおう!」 少なくとも表面上は陽気に、ノリ良く、彼女は明るく口にする。 「異世界の友人ですか。熱いですね、燃えますね、滾りますね!」 『勇者を目指す少女』真雁 光(BNE002532)も元気にそう言って、遠くに見えるアザーバイドたちへと視線を向けた。 「……データにある。まさか、あれと戦うために……?」 同じようにアザーバイドたちを眺めながら、『神速』司馬 鷲祐(BNE000288)が呟く。 「さて……前回と同じメンバーが己だけとは……」 竜ヶ崎 恋(BNE004466)はそう呟いてから、少し考え込んで。 「……いや、これはこれでありな展開か?」 とりあえず、そんな結論を出した。 今回コンタクトを取るロボット型アザーバイドたちと、彼女は以前会った事があるのだ。 同じように出会い、力を合わせ巨大アザーバイドと戦ったのである。 その時のメンバーは今回、恋のみである。 もっとも協力し合うことになるロボは前回とは違うタイプなので、恋自身もある意味は初めてという事になるかも知れない。 ちなみに前回イエローと共に戦った彼女の今回の協力相手はグリーンの予定である。 「戦隊ヒーローのピンクって憧れだよねー。アイドル的に、ほら。色々チャンスじゃない?」 戦隊物っぽいピンクの全身スーツ姿でそう言ったのは、『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)だった。 「可愛く元気な正統派ピンク、やっちゃいます!」 元気に、自信満々に、笑顔でそう宣言して。 明奈は巨大アザーバイドと対峙するロボット達の許へと急ぐ。 「カレーが私を呼んでいる」 そう呟きながら『まだ本気を出す時じゃない』春津見・小梢(BNE000805)も、ロボたちの許へと急いでいた。 カレーの匂いにふらふらとつられるようにして、小梢はこの場に辿り着いたのである。 物理的に漂っているのかはともかくとして、彼女自身はそう感じたのだ。 黄色のロボットは自分を引き寄せる何かを発している。 そんな想いを抱きながら、小梢は……アザーバイドを眺めつつ、呟いた。 「あの黄色いアザーバイドさんとは仲良くなれそう」 ●出撃! 「それじゃ、今回もお願いしていいのかな?」 「もちろん協力します、いえ、協力させてください!」 グリーンの言葉に、光が力強く頷く。 以前にも同じような出来事があったからか、コンタクトもコミュニケーションも、簡単に短時間で完了した。 「ありがとう。みんな、大丈夫だって!」 頷き返したグリーンが、仲間のロボ達に呼びかけリベリスタたちの言葉を伝える。 ロボ達と巨大機獣は今のところ、一時的に距離を取って動きを窺っているという状態だった。 機械で出来たような巨大なサソリ型のアザーバイドは、砂を撒き散らしながら周りを見回すかのように体の向きを変える。 あまり時を空ければ、何処かに向かって動き出すだろう。 その前に。 (まずは形から!) 「これがこの世界においてロボに乗り込む正しい礼服である!」 ヘルメットを小脇に抱えて、明奈はピンク色のロボに話しかけた。 ヒロイン属性。戦隊のアイドル。 「……そう、つまりワタシ! ヒロイックさではワタシに適う相手はそうそういないんだぜ」 いずれはトップアイドル、決して諦めないハート! 「ワタシとピンクちゃんが合わされば、不撓不屈!」 「ありがとう、頼もしいわ」 元気に挨拶する明奈に、宜しくねと丁寧に挨拶を返してから。 ピンク色のロボは光を放ち、明奈を自身の内へ、搭乗席と取り込んだ。 「そうそう、今回は己がイエローではないことを説明しないとな」 「今回は私が乗せてもらうのだ、ガラムマサラ」 恋がイエローへと呼びかけ、小梢も続くようにして挨拶する。 「己は確かにカレーが好きだ。だが……彼女は言わばカレーの化身、アークのカレー神といえるほどカレーを愛している。己より遥かな高みにたどり着けるだろう」 「ほう……それほどに」 「どれくらいカレーが好きかは……私を見てくれとしか言いようがない」 「いや、確かに見ているだけで……薫りだけではない何かが漂ってくるようだ。宜しく頼む」 イエローが胸を張るように構えを取る。 小梢はカレーの香りが充満するような気分を味わいながら、黄色のロボへと乗り込んだ。 それを確認して、恋はグリーンへと話しかける。 「……と言うわけで、己は今回はこちらなんだ。何、気持ちは負けてはいないさ」 「キミも大変だね?」 「グリーンには通訳って大事な役割があるからな……頼らせてもらおう」 「ありがとう。僕も頼りにしてるよ」 「仲間を守りたいって部分では引けを取るつもりは無いからな」 そういうと、緑色のロボは目の部分の光を少し変化させた。 微笑んだのかも知れない。 そんな事を思いながら、恋はグリーンに吸い込まれる。 そうやって、皆が次々と乗り込んでいくのを眺めながら。 (私の相棒はブラックちゃん) 「正直私、電波分ないけど……」 きっと大丈夫と、ヒロ子は自分に言い聞かせた。 黒には何かと縁があるのだ。 「前の職場はブラック企業、憧れのロボにも黒い機体は多いし……」 (つか十年ちょい前迄は数々の黒歴史をですね……) 「何せ中二病治らないまま、遂に30代突入しちゃったし……」 「大丈夫よ」 遠い目をするヒロ子に、そんな言葉が掛けられる。 声、ではない。 黒いロボの想いが、直接彼女に届くのだ。 ヒロ子の想いもブラックに伝わっているのだろう。 「細かい事まではよく分からないけど、貴女には素質があるわ」 「普段は隠して生きてるけど、今日はモロ出ししてイイんでしょ!?」 「ええ、それで私を満たしてちょうだい」 そんな想いを伝えながら、ブラックはヒロ子を取り込んだ。 そうなると……先刻までとは異なり、意識を共有しているかのような一体感が両者に生まれる。 「私も長年妄想……もとい予習して、世界は何度も救ってきたよ、脳内でね」 ヒロ子はそう言って、指先でこめかみをトントンと叩いてみせた。 「今日はブラックちゃんと私とで、実践といこうじゃないか! 宜しく頼むね、相棒!」 「ええ、一緒に何処かに辿り着きましょう」 彼女の言葉に応じながら、黒のロボは巨大な重火器を具現化させる。 同じように、光を乗り込ませた赤いロボが、マフラーを風になびかせながら構えを取った。 (マフラーマントなロボは最強にカッコいいのです) 「よろしくお願いします!」 「おう、いくぜ! 出撃だ!!」 光の言葉に力強く応え、レッドがその視線をサソリ型機獣へと向ける。 (あれだけの巨大なアザーバイド、放っておいていい訳がない) 「ならば、そこの青い奴」 鷲祐はブルーに呼びかけた。 俺が――誰よりも乗りこなしてやる。 ●それぞれの力 砲台の広範囲攻撃を受け難いようにと、6機のロボは散開した。 光と明奈は巨大なアザーバイドを囲むようにと移動していく。 ヒロ子は後衛、明奈は後衛への攻撃を妨害できるようにと前衛より後方に、中衛的な場所へと位置を取った。 小梢はとにかく護りに入ろうと仲間たちの前衛に立つ。 「さて、殴り合いは好きか?」 低く飛びながら馴染みを確認すると、鷲祐はブルーに呼びかけた。 「いきなりで悪いが、フルスロットルでいく」 「大丈夫だ、任せておけ」 その言葉に応えるように、鷲祐の身体から発された雷光がブルーの全身を包み込む。 「ファンシールド展開!」 言葉と同時に明奈は自分が攻防に使っている装備を、ピンクの力で展開させた。 「攻撃する時は叫ぶのです! お腹の底から声を出すのです!」 ゆうしゃのつるぎを具現化させた光は、レッドの全身にオーラを纏わせ、巨大機獣へと斬りかかる。 (いったいどんだけの硬さになっちゃうんだろう、こわいっ!) 「インドの力が今開放される、聖・骸・闘・衣!」 英霊の魂を加護の力へと変えると、小梢はその力でイエローを覆い尽くした。 「なるほど、確かにこれは……まるで生きているカレーのような」 カレーパワーのシンクロによって、イエローの力が上昇してゆく。 (前回は力を合わせる方法を得た) 更なる力を見つけられるのだろうか? そんな事を考えながら、恋は全身から発した闘気でグリーンを包み込んだ。 ヒロ子も先ずはと集中によって感覚を研ぎ澄まし、ブラックとのシンクロ率を向上させる。 そんな彼女ら彼らに向かって、サソリ機獣は巨大な一対のハサミを振りかぶり砲塔を回転させた。 対象を切断しようと突き出されたした巨大なハサミが……次の瞬間、鈍い音を立てて動きを止める。 「ふっふっふ、カレーの力の前にそんな攻撃通じないよ」 小梢はイエローの内側で口にしながら、続くもう1回の攻撃も押さえ込んだ。 この世界の多くの物質を容易に切断し、あるいは諸共潰し尽くすような攻撃をかすり傷で済ませ、むしろ僅かとはいえハサミを損傷させながら……小梢は動じない様子で構えを取り直す。 一方で砲の先端からは光が放たれ、後衛のブラックを貫こうとした。 それを阻止するように、ピンクが展開したファンを使ってブラックを庇いながらダメージを軽減させる。 戦闘態勢を整え、互いに攻撃を繰り出し始める。 どちらもまだ、本格的な戦闘には入っていないような……そんな状態で。 (残念ながら俺は皮肉屋ではない。言葉もそう深くはない) 「その代わり――行動で示すのみ」 サソリの尾に狙いを定めた鷲祐は、一気にブルーを加速させた。 ●鋼の攻防!! 「本来素手で繰り出す技だ。行くぞッ!!」 鷲祐の言葉に応えるように、青い機体の背部のスラスターから青白い炎が発された。 速度が更に増し、一瞬で機械獣が間近に迫る。 「伴わなかろうが、甘かろうが関係ない」 鷲祐は誰に言うでもなく呟いた。 あれを壊せば、被害が減る。痛みも悲しみも、それらの未来を打ち崩せる。 「仲間も、人も。それが出来るのなら」 手が届くなら、やる他ない。 「そうだろう、蒼き機神ッ!」 「青臭い、か……悪くないな」 その言葉を後ろに残すほどに加速したブルーの腕が、鷲祐の動きをなぞる様にして、巨大な尾に向かって振るわれた。 瞬間、音を超えた刃が空気を斬り裂き、引き裂かれた空気の刃が斬撃と共に砲台へと襲い掛かる。 (そして、ブーストされた力でぶっ放す私の必殺技!) 「燃えろハート! 輝けアイドル!」 ヒロイン力(ぢから)をこの手に乗せて! 明奈は一撃に全てを籠めた。 「乾坤一擲! アキナ・ドラマティカァァ!!」 文字通り全身全霊をこめたその拳が、拳から機体へと伝わった力が、機械獣の装甲を貫くようにして、その内部を破壊する。 「戦鬼! レップゥゥゥゥジン!!」 マフラーをマントのように靡かせ、機体を、自身を回転させるようにして。 光は剣を振るって生み出した烈風で周囲を薙ぎ払いながら機械獣へと突撃した。 小梢も、一応物理的な攻撃力が上昇しているらしいからと金属製のカレー皿を振るって打撃を繰り出す。 機械獣の方は特に回避行動はせずに攻撃は命中したが、手に伝わってくる感覚はかなり重かった。 高い防御力を持っているのは間違いない……もっとも、精度はともかく威力となれば小梢とイエローの力もそれを打ち破るだけの威力は十二分に持っている。 (まあ、攻撃とかはレッドとかレッドとか赤い人とかがきっと得意だろうから) 「お任せして、防御中心で動いちゃおう、えへへ」 そう考え、小梢は相手のハサミによる攻撃に耐え、仲間たちを守る方に力を傾けた。 恋の方はというと、少し距離を取って戦況を確認するようにしながら、竜の爪を振るって生み出した真空の刃で機械獣を攻撃し続ける。 「フフフ、残念……そこは私とブラックちゃんの射程範囲だ!」 黒の機体が構えた重火器の砲口に生み出された光弾がアザーバイドに向かって次々と放たれてゆく。 「喰らえ、ダークスターライトビィーィムッ! なぁんてねっ」 「ダメ、そこで照れるように言っちゃダメ。もっとカッコつけて、後で思い出して身 悶えするくらいの方が、貴女はステキになれるわ。フフ、フフフ……」 戦いつつ、容赦ない演技指導みたいなのがヒロ子に入る。 6機は充分に本来の力を発揮していた。 もっとも、サソリ機獣は怯む様子もなく攻撃を続けてくるため、決して予断を許さない状況といえる。 鷲祐は機敏に動き回りながら、味方の損耗を確認した。 イエローが巨大なハサミによる攻撃のほとんどを受け止めているという状態である。 にも関わらず、圧倒的な防御力でイエローはその攻撃を凌いでいた。 ならば。 「――使え、俺の速さをッ!」 鷲祐は機械獣の尾の砲台を標的に攻撃を続行した。 光が腕を上げ、指を天に向かって避雷針のように伸ばしながら叫ぶ。 「チェイィィィィン」 溜めて、溜めて……溜めきったところで…… 腕を振り下ろし、指先を敵に向ける! 「ライトゥニィィィング!!」 轟音を響かせながら稲妻が空を走り、拡散しながら機械獣の体に突き刺さった。 「大丈夫か?」 息を切らしながら構えを取る光に、レッドが呼びかける。 皆の攻撃は強力ではあるが……その分だけ、力の消耗も大きかった。 「大丈夫、ボク達はまだ戦えます」 それでも、息を切らしながらも光は即答する。 諦めない限り、戦える……負けたくない、負けはしない。 「ボク達が本当の意味で力を合わせる事が出来れば、どんな強敵にだって勝つことができるはず……」 (否、絶対に勝てる!!) 「合体です、ピンチの時こそ合体ですよ!!」 彼女がレッドにそう告げたのとほぼ同じ頃。 「そろそろ合体かな?」 仲間を守るように動いていたイエローの内で、小梢が呟いた。 「皆さん、準備は良いですか?」 光が皆に呼びかける。 ピンクの力を使ってダメージを回復させていた明奈が元気に答えた。 機械獣を牽制するように、恋が竜の爪を大きく振りかぶる。 「仲間を守るために、速攻をかけることが必要なこともあるさ」 (特に己みたいな攻撃一辺倒ならなおさら) 「一気に決着をつけることで仲間の負担を減らすべきなんだと思う」 武器に集束されたエネルギーが機獣を捉え、その身の一部を砂へと沈み込ませた。 そのチャンスを逃さず。 「合体だ!」 「待ってましたぁ、合体っ!」 明奈に続くように、ヒロ子は叫んだ。 (6人の……ううん) 「12人の力合わせて、完膚無きまでにぶちのめしてあげようじゃない! ●六つの光、重ね合わせて! 「心を一つに!! 究極勇者合身!! アーク・リベリオォォォン!!」 「今こそ力をひとつに」 光の言葉に、小梢が続く。 「心をひとつに……フッ!」 微かに笑みを浮かべてから、鷲祐は叫んだ。 「合体シークェンス・スタートッ!!」 レッドとイエローがそれぞれ、頭部から肩を含む胸部と、胴体から大腿部へと変形、合体する。 ブルーは右腕に、ブラックが左腕に。 そして両脚の膝下は、右にグリーン、左足にピンク。 6機は消え去り、其処には1機の……サソリ型巨獣に劣らぬロボが立っていた。 「あとは愛や勇気や希望や根性、想いを全てぶつけるだけです!」 「行くぜ、アーク・リベリオン!」 「サソリ野郎、これでお終いだ! 覚悟しやがれぃ!」 「トドメファイナルだー」 皆の声を聞きながら。 「ヒロ子! 恋! 小梢! 明奈! 光!」 鷲祐も、叫んだ。 「決めろ、勝利のための一撃をッ!!!」 「ボクは1人じゃない……!! ボク達は一つだぁぁぁ!!」 6機の合体ロボの全身が光に包まれる。 「勇気と愛と友情のぉぉぉぉっ!!!! 全身から集束されたエネルギーが、胸部で輝きとなって…… 「アァァァルゥティメェェェットゥ!!! キャァヌゥォォォォン!!!」 放たれた六色の光が、巨大機獣を薙ぎ払った。 ●再会を願って 「ありがとう、また助けられちゃったね」 グリーンが皆の言葉を6人に伝える。 戦いが終わり分離した6機の操縦席から降りたリベリスタたちは、地に足を付けた。 (すっごい楽しかった! そう伝えなきゃね!) 「またこっちで困った事があったら、いつでも駆け付けるからね?」 そう言って、明奈は笑顔でピンクや他のロボに呼びかけた。 (やっつけられたらアザーバイドさん達も帰っちゃうんだっけ) 黄色さんにはお土産にと、小梢は特製さくらカレーをイエローへと渡す。 そういえばハーレムロボだったなと思い返しながら、鷲祐もアザーバイド達へと別れを告げた。 ロボ達もアザーバイドである以上、長時間この世界に留まるという訳にはいかない。 明奈は名刺代わりにと、サイン入りブロマイドを手渡した。 「またきてねー」 浮かび上がった6機に、イエローに向かって小梢が手を振る。 「……また、会えそうだな」 そうなったらよろしく、と。 恋は高度を上げようとするロボ達へと、呼びかけた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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