● 海に囲まれた孤島に一軒の屋敷が建っていた。 どこかの金持ちが所有している別荘のひとつと言われていた……が、しかし。 ある日を境に、ここは一つの巨大なエリューションと化してしまった。 そしてこう呼ばれることになる。 『茶番荘』 ● 『ようこそいらっしゃいました。 あなた様はリベリスタの……はい、伺っております』 あなたはスーツ姿の男に誘われ、クルーザーの一角へと誘われた。 『ベルトをお閉めください。海の風は強うございますから』 言われたとおりにすると、男は運転席に腰を下ろした。 あなたに背を向けたまま男は語り始める。 『これから向かう場所は茶番荘と呼ばれております。……いえ、元からそんな名前だったわけではございません。エリューションとなってからのことでございます。なにぶんそうと呼ぶのが、特性上相応しいもので……』 エンジンの音と振動。そして海特有のゆたゆたとした揺れがあなたの身体に伝わった。 あなたの返答を静かに聞いた男は、頷いて続きを述べた。 『もうお気づきでしたか? このエリューションはある条件を満たすことで自壊、消滅いたします。その条件とは……』 前から後ろへと駆け抜けていく風。 潮の香りと強い日差し。 そして遠い遠い海鳥の声。 『連続殺人事件を起こし、最後の一人までもが命を絶つ……そんな演技をすることでございます』 船は岸辺につき、あなたは島へと上陸した。 見上げるとそこには大きな屋敷。 茶番荘がそこにあった。 そしてあなたは……? |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年01月24日(金)22:10 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●推理モノの最初の序盤によくあるやつ 煙草の葉と巻紙が燃える。 そのちりちりとした音は、海鳥の遠い声にかき消えた。 追って足下から聞こえる波の音と、控えめに言っても乱暴な上下運動にさすがの彼も気分を悪くしていた。 彼。名を『渡鳥』黒朱鷺 仁(BNE004261)という。 職業は探偵である。 まあ世の中、探偵を人殺しとイコールで結びつける風習が消えなくて困るが、主な仕事は不倫調査とネコ探しである。仁もそうしたごく一般的な探偵だと、思って貰っていい。 しかし今回に限っては、人殺しと結びついた御用事である。「ふう……」 吸っていた煙草を海へ投げ捨てる。 わざわざこんな運転の荒いボートに乗っているのは、過去に起きたある島での連続殺人事件に興味がわいたから、である。 興味、である。仕事ではない。『主だたない』上に『仕事ではない』御用事だ。つまり、今も彼はごく一般的な探偵だということだった。 荒い運転に気分を悪くしていると、隣に見知らぬ男が並んだ。 線は細いが身なりが悪く、顔がごつごつとした猫背の男性、である。特別な事情でも無い限りお近づきになりたくない、そんな空気を放っていた。 男は枯れ葉を擦ったように耳障りな声で言った。 「あんたも島の『おたから』が目当てかい?」 「おたから?」 「お宝さ。あの島には茶番荘がある。つうか、それしかねえから誰も立ち入らねえ。しかし俺様は知ってるんだな、あの茶番荘には家主が隠した財宝が眠ってるって噂をよ」 これまた枯れ葉をこすり合わせたような声で笑う。 仁は鬱陶しそうに次の煙草を取り出し、ライターを擦った。すると男は二本指を突き出してニヤリと笑うでは無いか。 「俺は青島ってもんだ。もしお宝を見つけたら山分けしようぜ、な」 「……仁だ」 仁は彼の指に煙草を乗せて、丁寧に火をつけてやった。 船の反対側。 缶ビールを片手にふらふらと歩くアロハシャツの青年が居た。 歳は二十代のなかごろ。人生最後のお遊び期間を満喫している大学生といった様子だ。 「やーお姉さんがた、こんな島に観光? 珍しーねー!」 陽気に話しかけられ、二人組の女性は少し迷惑そうに振り返った。 二人とも観光というには動きやすそうな格好で、人生最後の勉強期間に挑む大学生といった様子だった。 妙に細かく手帳に文字を書いている金髪女性と、船の手すりによりかかってくつろぐ銀髪女性の組み合わせだ。 そんな二人にニコニコしながら名刺を差し出す青年。 名前に『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)とある。 どうやら総合商社の社員であるらしい。缶ビールを持ったアロハシャツの男が会社員か、と女は目を細めたが青年は聞かれてもいないのに勝手に喋り始めた。 「俺ね、この会社で働いてるの。まあ新人なんだけどさ、はは!」 何がおかしいのかカラカラと笑うと、ビールの残りを一気に飲み干す。 「今日はバカンスに無人島ツアーだよ。ま、旅は道連れ世は情けってね。ひとつよろしく! そちらさんのお名前は?」 「……『騎士道一直線』天音・ルナ・クォーツ(BNE002212)。こっちが」 「『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)です、どうも……今日は大学の研究で、ちょっと」 二人とも気の強そうな女だったが、新田という男は物怖じというものを知らないようで簡易クーラーボックスから缶ビールを三本取り出して言った。 「天音さんにベルカさんね。華の大学生かー! いいね、それじゃあ社会の先輩から奢りだ、ほら!」 突き出された缶ビールを、ルナとベルカは渋々と言った様子で受け取ったのだった。 「そういえば、さっきからしきりにメモしてたみたいだけど?」 「ああ、癖だ。いつどこで何をしたか、書きとめないと気が済まない性分でな」 「ふうん……」 新田は新しいビールを半分ほど一気のみすると、それまで言われていたことを完全に忘れたかのように『くあーうまい!』と叫んだ。 ●推理モノの序盤によくあるやつその2 「ここが茶番荘かぁ!」 両開きの扉を勢いよく開き、快は屋敷の中へと入った。 中はホコリっぽいかと思えばそんなことはなく、つい昨日まで誰かが手入れをしていたかのような清潔さがあった。 それもそのはずで、この茶番荘自体が無人島という名のコテージなのだ。不自由な気分を味わいながら贅沢をする。まるで金持ちのような発想で生まれた屋敷なのだという。こうなれば財宝の話やら殺人事件やらも眉唾のような気がしてくるし、実際に快は観光価値を高めるためのデマだと思っていた。 「おたくも茶番荘に泊まる予定だったなんてね。ま、こんな島まで来て野宿するつもりの人なんていないか! ははは!」 後から入ってきた青島の肩に腕を回し、ぽんぽんと叩く快。 青島は妙に不快そうに顔をしかめたあと、小声で『まあな』と言った。 少し遅れて屋敷に入る仁。 「喫煙室はあるのか? 無いなら吸わせて貰うが……煙がダメなやつは今のうちに言ってくれ」 「いや、私は平気だ」 「私もです。どうぞ」 担いでいた荷物を足下に下ろしたルナとベルカが、屋敷の内装に首を巡らせつつ言った。 扉を開けてすぐのロビーは充分な広さがあり、場合によってはワンルームアパートに住む大学生の家より広かった。ドア一枚隔てて更に大きな広間があり、入ってみると大人数で囲める長いテーブルが置いてあった。 どれだけ芸術的教養を受けていない者でも、この屋敷の内装が美しいことだけは分かった。 特にルナはそういった分野に詳しいらしく、入り口入ってすぐの階段の手すりを至近距離でまじまじと眺めながらしきりにため息をついてる始末である。 「天音、芸術鑑賞はほどほどにしておけ。まずは荷物を置くぞ」 そこまで言ってから、ベルカは他の面々へ振り返った。 「部屋は人数分あるようですが、どうしますか? 私たちは向かって右端の部屋をそれぞれ使いたいんですが」 「そうだな、右端は私が使う。その隣をベルカ、お前が……」 「待て、どういうことだ? 約束が違うだろう。あの部屋は」 ひそひそと、しかし若干のトゲを含んだ言い合いを始める二人。それを見かねた新田が両手を翳して笑った。 「まあまあ、そこは二人で話して貰うってことでさ。俺たちは三番目から順番に……ってことでいい? 部屋は六つあるから、全員で一つずつ使えば丁度いいよね?」 大テーブルへ綺麗に並べられた六本の鍵を翳してみせる新田。そのうち右端二本をベルカたちに渡し、残り四本を仁立ちに突きだした。 「そうだな。俺は左端でいい」 「そんじゃあ俺様は隣だ。よろしく」 左端を仁が、その隣を青島がとった。 新田は青島の隣にあたる部屋の鍵をとり、残りをすぐそばのキーボックスにしまった。 「……ん?」 「どうした」 「いや、なーんか変だなあと思ったんだけど」 「酒の飲み過ぎなんだよアンタ。船の上だけで三本以上は空けてたじゃねえかい」 首を傾げる新田。その肩を叩いて、青島は自分の部屋へ向かった。 呼び止めるように声を大きくする新田。 「あ、そうだ! 折角こうして居合わせたんだしさ、一緒に食事をしようよ。この大テーブルも使わなきゃもったいないでしょ?」 「……ま、いいか。でも俺ぁ料理できねえぞ」 「俺も料理は無理だ」 顔をしかめる青島と仁。 振り返ってみると、ルナとベルカが無言で首を振った。 「あ、うん。俺がやる……うん」 新田は頭をかいて、自分の部屋へと荷物を置きに行った。 ●推理モノの中盤によくあるやつ 部屋はそれぞれA~Fのアルファベットがふられ、先刻ルナたちがもめた入り口向かって右端の部屋がFの部屋になっている。 そんなF部屋のベッドに、ルナは一人腰掛けていた。 手帳にペンを走らせ、なにやら細かく書き付けている。暫くしてその動作を終えると、ルナは壁に手を当てた。なぞるように壁紙を撫で、所々ノックして回る。そして少しだけめくれた壁紙をつまんだ――所でドアがノックされた。 慌てて窓際に移動し、外を眺める。 「入っていいぞ」 ガラスに反射して、ドアを開けて入ってくるベルカが見えた。 ゆっくりと部屋に入り、後ろ手にドアを閉める。 「同志、何をしていたんだ?」 「見ての通りだ。外を見ていた」 「ノックの音が聞こえたが?」 「気のせいだろう」 「……そうか」 ベルカはしっかりとした足取りでルナのすぐ背後まで近づくと、肩に手を置いた。 爪が食い込むほどの力で掴む。 「分かっているんだろうな。茶番壮での発見は私が進めていた研究だ。横取りするようなマネはするなよ」 「冗談はよしてくれ。友達だろう? そんなことはしないさ」 振り向くルナ。 唇が触れあう直前の距離で、ルナは笑った。 「そんなことは」 暫く後。 A部屋を出た仁は隣のB部屋をノックした。 ドア越しに籠もった声が帰ってくる。 『おう、なんだい』 「食事ができたそうだ。出てこい」 『いや、準備がな……』 「お前のような奴にかかる準備があるか。ほら」 ドアノブを軽く捻ってやると、焦った様子で青島が顔を出した。 それもドアを少しだけ開けて顔だけをひょきっと生やす体勢である。 「女のような出方をするんだな」 「おいおい、俺様が乙女に見えたってのか? そういう趣味でもあんのかよ」 「……言い方を変えてやろう」 仁は煙草を一度深く吸い込むと、ため息のように言った。 「お前、女だな?」 「……へえ、探偵サマには全てお見通しってわけ」 それまでの深いな声ではない。鈴を転がしたような美しい声で青島は言った。 声からは怜悧さと計算高さがにじみ出ていて、それまでの粗野な男性とは真逆と言っていい様子である。 「歩き方と声の出し方でわかる。顔の骨格や身体のラインはうまく隠しているようだが、人体構造までは変わらんからな。それにさっきの質問もカマかけだ。外れていてもただの冗談ということになる」 「いけ好かない男。それで? 皆にバラす?」 「興味が無いな。どういうつもりかは知らんが、せいぜい汚らしい男の生活を楽しんでいろ」 「お言葉に甘えて。『お着替え』に時間がかかるから、皆を待たせていてくださる? それともご一緒したい?」 「汚い男の下着姿に興味は無いんでね」 「ヘヘ、助かるぜ。俺様は『氷の仮面』青島 沙希(BNE004419)ってんだ、よろしくな探偵サマよ。山分けの話、忘れないでくれよな」 青島は元の……というべきか、最初に聞いたような深いな声色で言うと、部屋の奥へ引っ込んだ。 大きなテーブルのど真ん中にぐったりとしたタコが鎮座していた。 「おまちどうさま、新田快特製ポルポ・アフォガートだよ!」 「……」 「……」 「……」 小さく手を上げるルナ。 「ポル……なんだ?」 「ポルポ・アフォガート。おぼれるタコって意味のナポリ料理だね。具体的に言うとトマトソースで煮込んだタコだよ」 ベルカは眉間をつまんでテーブルに突っ伏した。 「今後、男の『料理できる』は信頼しないことにしよう」 「ごめんね。横文字の外国っぽい料理ができればモテると思って覚えたんだ。覚えたはいいけど味が濃くて日常的には食べづらいし……こんなことなら肉じゃがとかマスターするんだったよ」 「今からでも遅くない。今後のために覚えておけ」 仁は冷静にタコを切り分けると自分の皿に盛りつけ始めた。 ふと、彼の隣の席に目をやる新田。 「お隣さんは?」 「ああ……」 テーブルの椅子は全部で六つあり、丁度部屋の配置と同じだったからか自然とそれぞれ同じ位置に座っていた。 ということで、仁の隣は青島の予定である。が、未だ空席のままだ。 仁はタコを食べながら淡々と語った。 「どうやらお化粧に時間がかかってるそうだ」 「えっ、あの人が?」 「でこぼこの顔を整えたくて必死らしいな」 「い、意外な一面ですね……」 と言いつつ、どっさりと更にもられたタコの足をどう食べたものか思案するベルカだった。 見た目はともかく味はたいした物で、食べてみるとなかなかいける。 ワインとも相性がいいようで、会食はすぐに酒盛りに変わった。 「くろちょきさーん、のんでるー?」 「おかげさまでな」 ワインの瓶を片手に腕を回してくる新田。仁はそれをうっとうしそうに振りほどいてワイングラスを傾けた。 机にべったりと突っ伏したベルカを横目に、ルナが声をかけてくる。 「ところで、青島がまだ来てないようだが……奴のお化粧とやらはそこまで時間がかかるのか?」 「え、そういえばそうだなあ……」 首を傾げて青島のB部屋を見やる新田。 今更ではあるが、大広間は吹き抜け構造になっており、半円状に二階の個室が並んでいる。その下はキッチンやバスルームだ。 なので部屋から出てくればすぐに分かるはずだが、誰もその姿を見ていなかった。 「なにかトラブルですかあ?」 むっくりと顔をあげるベルカ。 その言葉を聞いて、仁は反射的に立ち上がった。 「……どうかした?」 「俺が様子を見てくる。眠りこけている可能性もあるからな……新田、料理を残して置いてやってくれ」 「あ、ああ……それなら持って行ってやろうよ。別に個室で食べたっていいだろうしさ」 手早く更に料理を盛りつけると、新田は仁に続いて席を立った。 「……」 うっかりすれば新田に青島の正体がバレる可能性があるが……まあ、隠し立てする義理はない。どうでもいいかと思って仁は部屋へ向かった。 かくしてB部屋の前。ノックを二回。三回。四回。 何度か呼びかけてみるが、返事は無い。 試しにドアノブをひねってみると、鍵はかかっていなかった。 ドアをゆっくりとあける。 そして。 「う、うわああああああああああああああ!!」 新田の情けない叫び声と、皿と料理が床にぶちまけられる音がした。 足を踏み外したのか階段を転げ落ちてくる新田。 思わず立ち上がったルナとベルカに、新田はこう言った。 「青島が、こ……殺されてる!」 ●推理モノの中盤によくあるやつその2 それは分かりやすい他殺死体だった。 胸にナイフを突き立てられ、体中に血が吹き出たあとがある。 部屋じゅうが真っ赤にそまり、青島は部屋の奥にぐったりと寄りかかっていたのだ。 「何度も刺され失血死……といったところか。詳しい死因は調べないとわからないが」 「け、警察に電話しろよ! 殺人事件だぞ!」 慌てふためく新田に、ルナが腕組みをして答えた。 「電話はつながらない。携帯も圏外だ。船は明日の昼にならなければ来ない。実にシュールな状況だな……特にシュールなのが、他殺死体だということだ」 「どういう」 「殺した奴がいるんだよ……ここに」 ルナの一言に、その場の全員が硬直した。 椅子を蹴倒し、テーブルを叩く新田。 「誰だよ! 誰がやったんだ!?」 「……」 「ああ言うわけ無いよな! くそ! 殺人犯なんかと一緒にいられるかよ、俺は船が来るまで部屋から出ないからな! 後片付けは勝手にやってくれ!」 新田はそう言うと、酒瓶を持って自分の部屋に駆け込んでしまった。 煙草をふかす仁。 「仕方ない奴だな」 「――だ」 唇を震わせ、立ち上がるベルカ。 「茶番様の祟りだあああああああ! いやだあああもういやだあああああああああ!」 「ベ、ベルカ? おまえどうし――」 「うるさい!」 ベルカはルナの手を払いのけると、自分の部屋へ駆け込んでしまった。 がちゃんという施錠の音が大広間にむなしく響く。 「とりあえず、部屋からは出るな。鍵をかけて大人しくしていろ」 「……わかった」 ルナと仁は黙って部屋へ戻った。 部屋へ戻って……出会ってしまった。 ルナが部屋に入り、後ろ手に施錠をしたその直後。 部屋の奥に見慣れない甲冑があることに気づいた。 近づいてみる。 と、急に動いた甲冑が硬いものを叩き付けてきたではないか。 意識が遠のく。 部屋の端まで行くが、足を掴まれる。 ポケットにはペンと鍵、それにチョコレートしか入っていない。 「……くっ、殺せ!」 「そうさせてもらう」 それはベルカの声だった。 二度目の打撃。 ルナの意識は永遠に消えた。 一方仁のA部屋。 部屋の奥で首を吊っている死体に、仁はうんざりした顔で唸った。 誰のものか? そう、新田のものだ。 「自分の部屋に籠もったと思ったら、俺の部屋で首つりか……自殺か? いや、違うな」 窓を開ける。 「やはりか。窓から出て外の縁を伝えば部屋を移動できる。ということは……!」 部屋を飛び出し、新田のC部屋へ。 鍵がかかっていて開かない。構うものかと蹴破る。 そして。 「……参ったな」 仁は煙草をくわえた。 部屋には、ベルカの刺殺死体が転がっていたのだ。手にはルナの手帳。 そして。 「……そして、俺もしくじった、と……」 煙草を取り落とす。 「フィルター部分に、毒か……俺ならまず、ひっかかるな……くく」 その場に崩れ落ちる仁。 全てが消えた屋敷。 D部屋の扉が開いた。 「そして誰もいなくなった、か」 『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)はそうとだけ言うと、ナイフを広間のテーブルへと投げた。 そして彼もまた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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