●白のフィールド 立ち込める白い空気が視界を奪う。 神秘の瞳を持ってようやく見通せる空間内。仲間同士は互いの存在を頼るように密着し、敵の襲来に備えることになる。 動きを奪うように足に水が絡みつく。敵はその水の中を自在に移動できるのだ。時に水中から、時に霧の中から。状況からして圧倒的不利な上に、相手の実力は革醒者を翻弄するほどの動きなのだ。 「やるわね……この水無瀬夕子をここまで追い詰めるなんて!」 そんな戦場の中、一人の革醒者が闘っていた。トゲトゲ鉄球を振り回し、硬いプロテクターに身を包んだ革醒者。その一撃が当たれば、エリューションといえどもただではすまないだろう。 「くっ……当たりなさい!」 しかしその一撃は当たらない。正確にはその動きを捕らえることはできるのだが、その度に霞のようになって消えてしまう。それはかつての霧の殺人者を想起させる―― そしてその動きはソードミラージュのように素早く、霧の中から迫る一撃はナイトクリークのように鋭い。クロスイージスの如く堅牢な守りとレイザータクトのような指揮系統が状況を困難にしていた。 「……しまった!?」 そしてその一撃は、如何なる守りをも砕くデュランダルのような一撃だった。防具をあっさり破壊し、ついでに服も破られて、夕子は下着姿を晒すことになる。 「ふぇええええええええ!」 さらにその下着を引っ張られ、涙ながらに岩陰に隠れる夕子。幸か不幸か白い空気が彼女を隠し、さらにこの場は服がなくとも風邪をひくような場所ではない。 温泉。 そこに現れたエリューション。そしてそれを統括する一体のEフォース。 その名を聞いて恐れ慄け。かつて魔人と呼ばれたその男の名は―― ●アーク 「名前は霧崎チャック」 『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は集まったリベリスタたちに向けて淡々と説明を開始する。 「……出オチ感が酷いよなぁ」 「かつてネット界隈で温泉魔人と呼ばれた男。ノゾキをしようとしてデジカメ片手に壁を登り、滑って転んで死亡した記録が残っている。それ以降、女湯に現れ『温泉ならではのえっちいトラブル』を発生させるエリューションとなった」 うわ、めんどくさい。 「温泉への執念なのか、正攻法で攻めると湯気となって攻撃を無効化する。さらに強い一撃がプロテクターを破壊し、こちらの防御力を削ぐ。攻撃防御共に何もできないようにされ、じわじわと追い込まれていく」 ……はい? 所詮ネタシナリオだと舐めてかかっていたリベリスタたちは、イヴの説明に認識を改める。これは難敵だ。 「だから正攻法では攻めない。相手の弱点を突く。弱点は予知済み」 「さすが『万華鏡』……で、その弱点とは?」 「チャックは温泉を覗こうとして死亡し、その怨念からエリューションになった。つまりその怨念を晴らすように動けばいい。 具体的には『女性(に見える人)が』『温泉に入る衣装で』『撮影』されればその怨念は消え去り、湯気化と防具破壊攻撃のないエリューションとなる」 「ちょっとまてえええええええ!」 最後の『撮影』ってなんですか? ああ、ピンナップのことですね。よくわかりませんが納得するリベリスタであった。 「……つまり、水着で温泉に入って、出てきたエリューションを退治しろと」 「撮影のほうはこちらで用意するから気にしないで」 要約するリベリスタにイヴが頷く。たぢまよしかづVCよろしくお願いします。 「だがこれはエリューシュン事件だ。無視するわけにはいくまい!」 「ああ、俺達も手伝いたいがそういう事情なら仕方ないな!」 「みんなの活躍は撮影を見てしっかり確認しなくちゃな!」 男性リベリスタの元気一杯な悔恨のセリフ。女性陣は半眼でそんな男達を見つめ……隣のブリーフィングルームを指差した。男性用の温泉水着シナリオがあった。あっちいけ。 「相手のフィールドで戦うことになるから大変だけど、しっかり作戦を立てれば勝てない相手じゃないから」 イヴの言うとおり、温泉という状況が面倒だ。だがその対策さえ立てれば、苦戦はしないだろう。 新春早々面倒だよなぁ。そんなことを思いながらリベリスタたちはブリーフィングルームを出た。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 10人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年01月17日(金)22:12 |
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■メイン参加者 10人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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