● 皆さんクリスマスですよ。 冬イベントの頂点と言ってもいいですよね。 見て下さいよ、あのリア充共の幸せそうな顔。非常に良いと思います。きっと帰ってケーキを食べて、いちゃいちゃしやがるんでしょうね。 素晴らしい。 混ざりたい。 温もりが欲しい。 おっぱい。 いいですね、本当に。愛の波動を感じますよ。愛は世界救いますからね。 愛とは……心のオアシス? 人生に潤いがあるといいですよね。 可愛い女の子が隣にいるっていいですよね。 ……。 「首ちょんぱー!!」 カップルの頭が胴体から離れてふきとんだという。 ● 「皆さんこんにちは、本日も依頼を宜しくお願いします」 『未来日記』牧野 杏理(nBNE000211)は集まったリベリスタを一周見回して、言い放った。 世間ではクリスマスではあるようだが、世間は世間、他人は他人、うちはうち。キリキリ働くリベリスタ、ごめんね呼び出してごめんね。 「どうやらフィクサードが同時多発で事件を起こす様なので……どうにかしてください」 成程。毎年そんなものが湧き出て来る気がする。聞けば、やはりと言うべきか。独り身に耐えられなくなったフリーのフィクサードが集まって何やらやるのだとか。 「人数は十二人ですね、ほぼ男の方です。ちょっとだけ三十歳間近の女の子()が混じってます」 どうしようもねえな。 「彼等は数人で纏まって、夜景の綺麗な公園の中で……先程も言いましたが、事件を起こします。心がずたぼろになっている方々なので……その、極度の刺激は殺傷能力が発生するかもしれません」 フィクサードは各々思う場所に散らばっているようだ。班で分けるとすれば、全部で四つ。 命に関わる程に危険なフィクサードもいれば、置物になっているフィクサードもいる。迷惑なのには変わりないだろう。というか迷惑だ。 種類として、カップルを只管、必死に、全力で首を狩っていくフィクサード。 カップルをあらゆる手段で別れさせようとするフィクサード。 破壊の衝動に駆られて、周囲諸共消し去ろうとするフィクサード。 脳内彼女といちゃいちゃしているため非常に変質者気質なフィクサード。 「……と、いう感じです! 発生するであろう事件は纏めておきました。人気は多いですが、茂みの中に入ってしまえば多少はなんとかなるかと思います。割と暗いので、ちょっとした事であれば揉み消せると思いますよ」 それでは。 「お帰りをお待ちしておりますね。ケーキでも用意しておきます」 杏理は深々と頭を下げた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年01月08日(水)22:57 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 巡る聖夜に、祈りを込めて捧げて。せめて一日だけでも、世界の誰もが幸せになれる日だっていうのに――。 「んっっくしゅん!!」 『Le Penseur』椎名 真昼(BNE004591)はポケットティッシュから一枚ティッシュを取り出した。 近くで歩いていた『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)は、己が首に巻いていたマフラーを真昼の首に回してあげて満足そうな笑みひとつ零す。 今日は凍える程に寒い日。最早寒さは冷たいというより、痛いレベルだ。 『揺蕩う想い』シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)は一点の方向を見つめながら、夏栖斗の服の裾を引っ張った。 「もうそろそろ? んじゃ、シュスカよろしくね」 「ええとちょっと失礼して」 くる、と回したシュスタイナの両腕は夏栖斗の細く、そして硬い腕に絡んだ。シュスタイナが身を寄せれば、夏栖斗は少し緊張した面持ちで前へと歩き出す。 「ね。あっち何か光った気がするの。気のせいかしら」 シュスタイナは茂みの奥へと人差し指を向けた。光というものを夏栖斗は見つけられなかったものの、「それじゃあ」と夏栖斗はシュスタイナの手を引っ張った。 「人気のないところでゆっくりしようか」 進むのは茂みの奥へ。 「えぇ、そうね……今日は一緒に居てくれてありがとう」 「ううん、僕こそ。クリスマスの日に一緒にいられて嬉しいよ。寒くない?」 「寒いけど……あなたの腕が温かいから」 泡沫の様な時間であった。 初々しさとあどけなさの見える二人の繋がった手は緊張して固く、何者の侵入も拒むのだろう。嗚呼、時間さえ止まってしまえばきっと何事も起きないクリスマスでいられるのに、いられるのに、れるのに、のに(エコー) 不穏分子は見つめていた。 そりゃもう食い入るように見つめていた。 眼はギッラギラに充血しているよ。 「うわぁ、茂みの奥でナニか、ナニなのか?」 「あの、フィクサードさん」←真昼 「やめろよ、そんなうらやま……妬ましい事させるかよ!!」 「あの」←真昼 「公共の場で不純異性交友なんて断固認めないぞ、いい気になるなよ。ていうかあれ御厨夏栖斗に見えるんだけど」 「本人ですよ。ていうか公共の場で人殺しもどうかと思いますが」←真昼 「アークのトップクラスの精鋭がこんな場所にいるわけないだろ、馬鹿!」 「折角の静かな季節なんですから穏やかに過ごしましょうよ」←真昼 「「「「……」」」」 フィクサードの目線が一斉に真昼の方へ向いた。 彼は目を覆っているマスクを外し、 「いくら独り身だからって、ねえ、オイタは駄目なんですよ?」 こてん、と斜めになった怖すぎる笑顔がフィクサードの未来を予知していたのだろう。両手に絡んだ千切れそうな程に細い気糸が光輝き、闇を照らし、フィクサードの頬から謎の汗が地面に吸いこまれていく。 ● 「ッしゃオラァ! ぶっ壊すぞンダゴルァアア!!」 「オーケーィ!! バラバラさせんぞンァァアゴルゥゥァ!!」 「ンダゴルァァアダラァァァオアアアヒャッハーー!!」 「あsでぃjこcvんじゃz!!」 此方、裏野部じゃない方の過激派。 「私めの眼には、頭がいまいち足り無さそうなのが見えますな。眼科に言った方がいいですかな?」 「……奇遇だね、ボクもだよ。だから眼科には行かなくて大丈夫だね」 『怪人Q』百舌鳥 九十九(BNE001407)は仮面の奥よりフィクサードを見ていた。仮面の上から目を擦っても、見えている光景は変わらない。 『ロストワン』常盤・青(BNE004763)は立ち上がり、身体に不似合いな程に巨大な鎌を持った。どれもいい大人だというのに、全力で馬鹿げた事をしているのに青は理解が不能だろう。 「それでは始めますかな。準備はいいですかな?」 「もちろんです! いつでもいけますよ」 離宮院 三郎太(BNE003381)こそ己が眼鏡の位置を直しながら立ち上がった。 「クリスマスは大人も子供も楽しい日……ソレを邪魔するなんて許せませんっ」 三郎太は力強さを言葉に載せながら、周囲に強結界を敷いた。其れに勘付かない程、敵は馬鹿では無かったか。 「神秘的存在が居るだと!?」 「なにぃ!? 俺等の他にもクリスマス楽しめない奴等がいるってーのか!!」 此処ぞと、九十九は立ち上がった。その姿、正しく――― 「――待てい悪党。それ以上の悪事はこのファンガス九十九が許しませんぞ!」 一定の時間だけ、時が止まった。 茂みより立ち上がった九十九、否、巨大な。 「い、今起こった事をありのままに話すぜ。お、俺はクリスマスを壊しに来たんだが、突然巨大なキノコが出てきてアッパーユアハートしやがるんだ」 「なんだそりゃあ!? 日本語おかしくねえか、大丈夫かよ!?」 「季節間違えてんだよキノコォ!!」 「……残念だけど、現実だね」 フィクサードの間を駆け抜けて、青はマグメの手前で身体を回転させて傷痕と言う名の死の刻印を切刻む。其の印は呪い、其の呪いは毒として彼の身体を蝕む。 痛みに喘ぐ暇無く、四色の音色が青を縛った。アークへの勧誘の言葉でも投げてみようかと踏んでいたものの、口が赤色の光に塞がれて声が出せぬ。目線を後ろへ向けた青は三郎太をみた。 ――こくん、と頷く華やかな金髪。 「回復は、お任せをっ」 両手で開いた本がページを高速で開いて、淡く光る。我が精神力が彼の傷を埋める力とならん事を――乞うのだ! 「今日は、聖なる日なんです。皆さんの笑顔を、壊さないで下さい!」 三郎太があまりにも大声で言うものだから、声が掠れてしまう。まだ彼等には届かない。 首を捻った九十九。どうやら一個手前のアッパーは不発で終わっていたか。敵がどうにも己を狙ってはくれない。 「二度目の失敗はありませんな」 再び紡ぐ、彼等の心を手に入れるための言葉。そう、そうだ。 「荒っぽい人は嫌われますな。そなだから、恋人の一人も出来ないんだ」 刹那、ダークナイトが九十九へとクリミナルスタアが九十九へと接近。此れで良いのだと、九十九は仮面の下で笑みを浮かべた。 それだけで、終わると思うか? 利き手の銃を向けた九十九。あと一歩で敵二人の刃を受ける手前だった。 「これでももらっておくと良い」 盛大な銃声が幾重にも出た。放つ、ハニーコムガトリングのなんと精密な事か! ● 此方は女性フィクサードが二人。 彼女等のせいで最早既に痴話喧嘩が始まってしまっている所は仕方ないものの、『ふたまたしっぽ』レイライン・エレアニック(BNE002137)は惨状に溜息混じりの白い息を吐いた。 早く。できる限り早く。帰って愛しの彼の元へ走っていきたい衝動をぐっと堪えて。レイラインは拳を胸の前でぎゅっと握った。 歩き出す――革醒者だからこそ見分けられる同じ革醒者二人の所へと。一瞬だけ引き攣ったが、笑顔を作って仁王立ちしたレイライン。 「おやおや、聖夜に女性二人とは! お主等、もしかして……ひ・と・り・み?」 「アークの!?」 「なんじゃ、知っているのなら話は早いのじゃ。ほれほれ、男では無いがわらわが相手をしてやるのじゃ」 「嬉しくもない!!」 背を向け、二又の尻尾を振ってみた。其の侭スキップをしながら茂みの奥へと二人を誘い込む。 魔曲の光に、葬送曲の鎖が飛ぶ中、僅かな合間を潜り抜けてレイラインはべーっと舌を出して更に挑発していく。 レイラインとて血眼で戦闘してくる二人の気持ちが分からない訳では無い。 むしろ少し前までは同じ境遇であったからに、否、六十を超える年数の間、彼氏というものが居なかった彼女には痛い程解る。 何度でも言うが少し前までは。 「そういうわらわはって? ……ごめんのーう、らぶらぶな彼氏有りじゃ! わらわってリア充?」 「リア充なんて幻よ!!」 血鎖がレイラインの頬に傷を作り、されどレイラインは止まらない。 確信した、勝てるという事。彼女等の攻撃はレイラインの眼から見て、確実に遅いのだ。更に嫉妬に不精密になった攻撃に当たるなんて絶影の名が廃るというもの! 「お主等はわらわには勝てないのじゃ!」 身体も、心さえも傷着けてでも分からせる。 「此れが、愛の力なのじゃ!!」 早く彼の元に帰りたい。その一心でレイラインは奇跡的な数値をものにする。 「凍れ! Absolutezero(絶対零度)に抱かれてのう!!」 「ち、き、しょおおおおおおお!!!」 茂みの草が全て凍った。霜塗れとなり、踏めば折れる程に。ダイアモンドダストに巻き込まれ、二つの氷像は動きを止めた。 ● 「お馬鹿さん。妬みに力を使う暇があればもっと別な事に使えるでしょーが」 お淑やかな彼女の雰囲気から一変、リベリスタがよく見せる真剣な表情へと成ったシュスタイナ。最早、未遂とはいえ容赦も無く殺人を行うフィクサードは放る事は不可能だ。 足下から光る魔陣に命じ、織り成す鎖は四人の敵を的確に射抜いた。そして、叫ぶ。 「二人!!」 敵の覇界闘士とナイトクリークのは鎖の呪縛を避け、一目散にシュスタイナへと向かっていたのだ。強力な後衛は、何時でも先に潰しておきたいのは、嫉妬に緩んだ頭でも変わらない。 顔を顰め、衝撃に備えたシュスタイナだが、彼女の目の前に影が出来た。 「一瞬だけでも、僕の彼女に傷をつけさせる訳にはいかないんだ!!」 「もうっ、何時まで彼氏やってるつもりよっ」 言霊一つに精神力を乗せて。非リアの彼等には其の寸劇だけでも全自動アッパーユアハートであっただろうに。 「しけたツラでごきげんうるわしゅう! メリクリ!」 「うるせえ! 俺等には眩しすぎる彼氏力見せつけやがって!」 軽い挨拶を交えながら、炎の拳を右頬に受けた夏栖斗。彼の武器から舞い上がった紅蓮の炎が、業炎撃の焔を吸い取りかき消していく。 「メリクリ!? ナマ御厨だ、殺される!」 「まるで僕がナマモノで殺人鬼みたいに!」 「まだ戦闘して間もないのに形勢は極めて不利……だと!?」 ナイトクリークの刃が夏栖斗の瞳の前で止まった。動かない、否、動けないのだ。真昼の気糸が彼の全身を絡め取っていた。唯一動ける顎が悔しさをセクシーさの欠片も無い喘ぎ声で吐いた。 「クリスマスだから、頭わいてるのもいいけれど」 再び淡い光がシュスタイナの足下に発生した。紡ぐ詠唱は聖なる日らしく祝福か、それとも災厄か。 「平伏しなさいよ」 槍の如く直線の、血鎖。敵の腕を吹き飛ばし、左肩を貫通し、腹部を貫き磔刑とす。 掠ったナイトクリークが破滅のカードを放ちシュスタイナを狙う。寸前で夏栖斗がシュスタイナの腕を引き寄せ、回避させ、其の侭ナイトクリークへと接近した。 敵が弱いと知れたものの――手加減をするなんて無い。 「悪いね、クリスマスの日にこんな痛い事してさ」 「―――まだ俺等なにもしてないのに!?」 敵の顔面を掴んだ夏栖斗はそのまま地面へと叩きつけ、そのままバク宙して身体を回転させ脳震盪している敵を蹴り上げ宙へ浮かす、その間に振り上げた右拳を浮いた敵の胴へと――ズドン。 唾液と胃液とお昼に食べたラーメンを口から吐き出しながら、ナイトクリークはバウンドして着地した。 「シュスカちゃん!」 「任せなさいよ」 ――パチン。 シュスタイナが指を鳴らした瞬間、敵を追う様にして葬送曲は放たれた。 「いい? 神秘でそういう事、企んだ時点で箱舟の眼が黙ってないと知りなさいよね」 其の頃捕えられていたもう一人のデュランダルが気糸の中でもがきながら、懺悔の時間を過ごしていた。 「ごめんなさい羨ましかっただけなんです許されなくてもいいので命だけは」 「オレはオレの仕事をするまでですので」 「リベリスタになってもいいのでまだ彼女もできたことないんです」 「恥はしません。誇りもしません。ただ仕事をこなします」 「大変申し訳ございません今生きれるならなんでもしますのでなんでもしますのでぇぎゃああ!!」 「此れがオレの活きる道ですので……夏栖斗さんシュスタイナさんトドメお願いしますね、がつんと」 「う、うん」 「え、えぇ」 くん、と罠(トラップネスト)の気糸がキツく縛られ、絶叫をフィクサードの口が奏でた。他のフィクサード三人は自ら戦闘不能になり、茂みの中で歯と歯を小刻みにぶつけて震えている。 鬼だ、鬼がいる。 ● 「不景気な面だな? ああ、その顔ではもてないのも仕方ない。何もせず得られるものなど有りはしない」 『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)は入口付近でタムロしている二人の前に立った。 言葉が奏でたのは挑発の乱舞。手の平を上に指を折っては、こっちにかかって来いと妖しげな笑みを浮かべてみせた。 「俺彼女いるもん」 「脳内にだろう?」 「可愛い彼女だもん」 「其の可愛い彼女とやらに会ってみたいものだが?」 止まらないユーヌ・プロメース節。出でる言葉全てがアッパーとなり、彼等の心が土足で踏みにじられていく。もうやめてあげて、彼等の心のフェイトはもう0なのよ! もはや可哀想を通り越して、痛い二人の言動に更に溜息で応戦したユーヌは少しずつ体を茂みへとずらしていく。 「貴様等には二次元がおすすめだ。彼女らは裏切らないし、私も可愛いと思える子が多いぞ?」 「馬鹿にしやがって!!」 刹那、神気の光が周囲に充満した。一般人が其処周辺にいなかったのは幸とも言えよう。 「ユーヌ・プロメースめ!! 名をはせる彼氏がいるだけ良いじゃねーか!!」 「ああ、そうだ。自慢の彼氏だ。貴様等のような下等と比べ物にもならないな……?」 再びか。神気を放たんとしたが精神力が怒りに暴発してユーヌへと届かない。星儀が効いている事に口端が上に吊り上がって笑ったユーヌは其の侭再び星儀を重ねて敵の不運を招いた。 「不運だな? 何もかも腐らせ澱んで熟成し、負に塗れてるその様が」 クロスイージスへは影人を置き、己は敵二人を巻き込んで麻痺の光を放つ。 「くぅぅ、ユナ……もし、生きて帰れたら結婚するんだ……!!」 「はっきり言うが、気持ち悪い」 「ユナアアア!!」 敵ホリメの足下から不穏な影が巻き上がった。ユーヌの掌がぐっと拳として握られた瞬間、其の呼応した影がホリメを飲み込んで――。 ――ベキィバキバキィ!! 盛大に死亡フラグをたてた敵が悪いのか、ユーヌの命中がものを言わせてくれないのが悪いのかは知れず。 「なんだ、仲間を待つまでもないな」 闇よりも黒い、光さえ通さない彼女の瞳がクロスイージスのじろりと睨んだ。 「ど……どこが普通の少女だっていうんだ!」 「文句あるのか?」 「すいませんでした殺さないで下さい」 ● 攻撃は九十九へ集中し、其れを絶え間なく三郎太が治し続けた。 呪いを受けない九十九の回避力は並み以上だ。止まらない攻撃に――そして青も傷一つなく敵を狩れる連携は素晴らしいと言えよう。 「当たれぇぇ当たれ!!」 むしろ敵の方がムキになってきた状況に、青は冷静に対応した。狙うはマグメ、己が着けた傷痕の上に更に傷痕を残すべく大鎌を振るった。 鮮血の中で敵の顔が歪んだのが見える。絶命しそうな彼へ、手を伸ばし気まぐれかこの言葉を送ろう。 「三高平でもクリスマスや季節ごとの催しをやってます。寂しいなら遊びに来て下さい。アークの人達って綺麗な人多いし、良い出会いがあるかもしれません」 青の心の優しい部分が垣間見えよう。馬鹿な事をしている敵だが、殺さずに済むのであればそれも良しというものであろう。 「……っ」 マグメイガスの瞳から戦意というものが消え失せるのが見える。刹那、青の後方からレイザータクトが構成した刃が彼を狙った。 バックアップは三郎太の役目だ。武器を持たない方の腕を伸ばし、細やかな気糸が刃ごと飲み込み、タクトが地に伏す。死んだ訳でなく、すぐに立ち上がり睨みつける瞳が三郎太の心を射抜く。 「リベリスタ如きがァ!!」 敵の咆哮の臆する事などない。三郎太は一瞬だけ肩を揺らしたものの、攻撃では無く言葉で反撃を行う。 「貴方達は、ヤケを起こしただけ。今なら、殺さないで済むんです!!」 「今更おっせんだよ、何もかもなァ!!?」 「そんなこと、ありません!!」 三郎太の言葉にタクトの顔に焦りが生じた。いけると確信したのは何故だろうか。それでも三郎太は敵であろうと慈悲は忘れない。 どうか、彼等を殺す事なかれと必死に手を伸ばし続けているのだから。 「案外、まだ間に合うかもわかりませんがな」 九十九の銃口がタクトの心臓を捕えていた。引き金さえ引けば、敵の命を刈り取る事は可能だろう。 取捨選択は間違えるものではない。深く反省するならば命までは取らないというものの――非リア充というレッテルが、どれ程のものか理解できない訳ではないのだから。 「さあ、どうするの」 青の鎌がタクトの首にぴたりと着かれた。マグメイガスは置いておき、他の二人は仲間の危機に不用意に動けない。 さあ。 「ねえ、どうするの?」 さあ! 「お願いです。もう止めましょう……?」 さあ!! 「答えを聞きましょうかね」 「―――……わ、わかった。俺達が、悪かった」 こと、と落ちたタクトの武器。胸を撫で下ろした三郎太は、未だ緊張で強張った顔で笑顔を作って見せた。 最後まで警戒した青が大鎌を仕舞うまで時間はかかったが、此の戦い無駄な血は流さずに終わったと言うもの。 此の聖なる一夜に幸あれと、願った三郎太の願いは叶えられただろうか。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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