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おそばさん

●『今年も年越し蕎麦を、いかがですか?』

 食堂の入口に、今年もそんな貼り紙が貼り付けられていました。





■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年01月10日(金)23:42
●このシナリオはイベントシナリオになります。
イベントシナリオについては本部利用マニュアルなどを御参照下さい。


オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回はアークの食堂で年越し蕎麦食べませんかというお誘いになります。
気軽に、あるいは色々と一年を振り返ったりしながら……お蕎麦を食べるというのは如何でしょうか?
もちろん、お蕎麦以外の飲食でも構いません。

雰囲気などが気になる方は、宜しければ自分のシナリオ『\おそば/』の方を御参照下さい。
(もちろん皆さまのプレイングで色々変わる可能性はありますが)


●食堂
余裕を持った広めのスペースがあります。
さまざまな種類のお蕎麦がメニューにあると思います。
(もちろん、お蕎麦以外も)
自分で調理する人用のキッチンもありますので、作るのも問題ありません。

●備考
・参加者が多数の場合、内容を絞ったプレイングをかける事をお勧めします。
・特定の誰かと絡みたい場合は『時村沙織 (nBNE000500)』といった風にIDと名前を全て表記するようにして下さい。
・グループでの参加の場合(絡みたい場合)は参加者全員【グループ名】というタグをプレイングに用意するようにして下さい。
(タグで括っている場合は個別のフルネームをIDつきで書く必要はありません)
・NPCに話しかける場合、ID等は必要ありません。

マルガレーテやトニオを含め、他のリベリスタたちやアークに勤めている一般の人とかも利用しています。
御希望の方はそういった参加者と絡む描写をさせて頂きます。
特に何事もなければ、背景描写以外では登場しません。


それでは、興味を持って頂けましたら。
どうぞ宜しくお願いします。

参加NPC
マルガレーテ・マクスウェル (nBNE000216)
 
参加NPC
トニオ・ロッソ (nBNE000267)


■メイン参加者 16人■
アークエンジェインヤンマスター
朱鷺島・雷音(BNE000003)
ナイトバロン覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
ハーフムーンホーリーメイガス
悠木 そあら(BNE000020)
ハイジーニアスデュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
サイバーアダムクロスイージス
新田・快(BNE000439)
ハイジーニアスクロスイージス
祭 義弘(BNE000763)
ギガントフレームデュランダル
富永・喜平(BNE000939)
アークエンジェインヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
ジーニアス覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)
ギガントフレームクロスイージス
日野原 M 祥子(BNE003389)
アークエンジェダークナイト
フランシスカ・バーナード・ヘリックス(BNE003537)
フュリエデュランダル
シーヴ・ビルト(BNE004713)
ビーストハーフ覇界闘士
翔 小雷(BNE004728)
ジーニアスナイトクリーク
鼎 ヒロム(BNE004824)
メタルフレームデュランダル
メリッサ・グランツェ(BNE004834)
フライエンジェマグメイガス
シャーロット・ウォルコット(BNE004835)

●年越し、日本の大晦日
「これが日本の年越しそばというやつね」
 実物を何となく感慨深げに眺めながら、フランシスカは呟いた。
(去年はなんだかんだで食べ損なっちゃったからなぁ)
「……今年はしっかりいただこう」
 天ぷらをのせ、玉子を落とす。
(わぁ、美味しそう)
「さーて、いただきまーす」
 日本流に食前の掛け声をかけて、彼女は蕎麦を味わい始めた。
(……今年もいろいろあったよねぇ)
 食べながら色々な事を考え、思い返す。
(楽団来て親衛隊が来てキースが来て……戦い続けだったなぁ)
 親衛隊との戦いでは三ツ池公園を奪われはしたものの、次の戦いで奪還できた。
 面白い奴とも戦えた。
「まだまだ、この後も戦いは続くけど負けないようにしないとね」
(他にもまだまだ面白い奴もいそうだし)
「おそば食べて元気養ってがんばろー!」
 気合を入れるように、フランシスカは自分に掛け声をかける。

「ふふ、これがニホンの風習というものね」
(年の暮れにはお蕎麦を食べてすごす……悪くはないわね)
 メニューと食堂の様子をかわるがわる眺めながら、シャーロットは呟いた。
「さて……このお揚げが入った蕎麦と言うのをいただきましょう」
 考えた末にメニューの内の一品を選んで注文する。
「たぬき蕎麦というの? へぇ……面白い名なのね」
 名前に首を傾げながら出てきた蕎麦を一頻り見学すると、彼女はさっそく蕎麦を食べ始めた。
「この蕎麦、コシが入ってて美味しいわね」
 年越しの蕎麦を味わいながら、シャーロットはこれから来る年に想いを馳せる。
「来年……どんな出会いがあるかしら?」
(どんな美少女が私を待ってるのかとても楽しみね)
 色々なことを考えている最中に、見知った顔を発見はしたものの……
(でも今日はそっとしておきましょう)
「やる事は食べ終わってから。うふふ」
 そう言って笑みを浮かべ、シャーロットは食事を再開した。

●初めての年越し蕎麦
「色々種類があるけど、どれが美味しいのかなぁ?」
 メニューを眺めながらシーヴが、ん~ん~と声をあげる。
「初めて食べるものなら、やはりあまり飾り気のないものに行きましょうか」
 悩んでいる様子の彼女に、メリッサはそう提案してみた。
 メリッサ自身も蕎麦を食べた事はない。
 ならば一番定番そうなものをと彼女は考えたのである。
「……あ、メリッサおねーさんと同じのでっ」
 シーヴもそう注文し、すぐに2人の前に同じ蕎麦が運ばれてきた。
「わーい、お蕎麦っ、良い香りー♪」
 シーヴが嬉しそうに箸を取る。
 初めての御蕎麦。
 そわそわしないようにとメリッサは自分を落ち着かせて、冷ましながら蕎麦を口元に運んだ。
「……美味しい。これが日本の伝統食なんですね」
 呟いてから彼女は、傍らのシーヴに声をかける。
「冷ました方が食べやすいわよ?」
 メリッサがそう言った時には既にシーヴは蕎麦をほお張っていた。
「ひゃんっ、あひゅい……っ、あっ、でも、うまうまなのですっ」
(メリッサおねーさんのチョイスで正解だったっ)
 ちょっと熱がりながらも笑顔で美味しそうに、嬉しそうに、シーヴは箸を動かしお蕎麦を食べる。
(シーヴ見てると、ついつい和んじゃうのよね)
「……気を引き締めなきゃ」
 呟きつつもメリッサは目の前の微笑ましい光景を静かに見守った。
 一方で見守られているシーヴは、ふと……瓶に入った粉状の何かを発見する。
(この赤いのもかけたら美味しいのかなぁ?)
「んーと、これぐらい?」
 無造作につかんだ瓶の中身、七味唐辛子を……彼女は勢いよく蕎麦にザーッと注ぎいれた。
「シーヴ……?」
(そんな見るからに辛そうなもの入れたら!)
 メリッサが止めようとしたものの、間に合わない。
「どんな味かなーっ」
 そう言いながら七味が絡んだ蕎麦をほお張ったシーヴは……次の瞬間。
 ……☆#$%&!?><
「大丈夫!? 速く水を飲みなさい」
「かりゃいっかりゃいっ、うーうー><」
 表現できないような声を発した。
「……うー、ちょっとだけ入れる物だったっ、失敗なのですっ」
「私のを代わりにあげましょうか」
 苦しそうにする彼女を心配しながらメリッサがそう声を掛ける。
 その言葉にシーヴは、ちゃんと全部食べるからと答えた。
「食べ物にはきちんと感謝の気持ちで残さないっ、って聞いたことあるしっ」
 そう言って、心配するメリッサに見守られながらシーヴは……なんとか……お蕎麦を食べ終える。
「口直しにデザート頼みましょうか」
 頑張ったからご褒美ね。
 表情には出さないものの内心安堵しながら、メリッサはシーヴにそう言って、デザートのメニューを広げてみせた。


●一杯のかけ蕎麦、と
「ふむ、2人で一杯のかけそばで良いのか?」
 隣に座って、何食べようかと尋ねたユーヌに向かって。
 竜一は、一杯のかけそばを食べあおう……と、提案した。
「別に大量に食べる訳ではないから良いけど、竜一は足りるのか?」
 愛では腹は膨れないと思うが。
 そう口にするユーヌに、年越しそばってのは縁起物だからねと竜一は説明する。
(大盛りテンプラそばをがつがつ食いたいところだが、ガマン)
 年の終わりにユーヌたん。
 年の初めにユーヌたん。
「それが大事」
 腹を膨らませるのは二の次なのだ。
 そう言って注文した一杯のかけそばを、先ずはとユーヌが箸で取った。
「ほら、口を開けろ」
 ふーっと冷まして、あーんと差し出すと、竜一は、あーんと言いながら口を開ける。
「はい、ユーヌたんもあーん」
 もぐもぐと食べてからお返しにと自分も蕎麦を取って差し出せば、ユーヌはぱくっと蕎麦をほお張った。
「よしよし、上手に食べれたねえ」
 そう言いながらユーヌをなでなでした後で。
 竜一はソッバーゲームなるものを提案した。
 蕎麦一本の両端をくわえて、というゲームのようである。
「繋がってると、ポッキーゲームのようだな?」
 そう言ったユーヌは、竜一の目を見詰めながら蕎麦すすり顔近づけて……
「まぁ、やらないが」
 触れる寸前で、蕎麦をぷちっと噛み切ってみせる。
「くくっ、残念そうだな?」
 噛み切られてしょんぼりしたものの、竜一はすぐに仕方ないと割り切った。
「今のところはおそばを食べるのが先決」
「キスしたら箸が進まないしな」
 竜一の言葉にそう頷いてから。
「今はこのくらいでだ」
 ユーヌはそう言って、彼の口端に付いた葱を取るために。
 竜一の顔に唇を寄せた。


●それぞれの大晦日
「てんぷらの語源はポルトガル語らしいな」
「あー何か聞いたことありますね」
 無事に月見蕎麦を手に入れた喜平は、見知りの局員と一緒に年越しの蕎麦を啜っていた。
 ちなみに局員の方は海老が2本も入った天ぷら蕎麦である。
 こういう時は奮発というのが主義だそうだ。
「まぁ如何でもいいか、如何でもいい序にその海老天くれない?」
「タダは無いんじゃないですか? ……まあ、特別サービスでそちらの月と交換なら1本くらいは」
 とりとめのない、他愛の無い雑談。
 特に何かをするという程でもない、のんびりとした時間。
 そんな如何でもいい様な、とても大事な様な、曖昧で幸せな時を過ごしながら。
 感じながら。
 喜平は年越しの蕎麦を啜る。

(日本人なら、やっぱ年越し蕎麦は食べとかないとねぇ)
「けど、一人でってのも何か寂しいよね……」
 そう呟いたヒロムは、視界の隅に誰かを捉えてそちらに顔を向けた。
「おっ、あれは……美少女発見ーっ☆」
 わざとらしく口にしてから、件の少女に声を掛ける。
「やぁ君、一人? 良かったら俺とお蕎麦食べない? 今ならお蕎麦とソフトドリンクをセットで奢っちゃうよ?」
「え? あ、その……」
「あっすみませーん、お蕎麦もりで3人前お願いしまーすっ」
「……ええと、すみません。どちら様でしたでしょうか?」
「おっと失礼、自己紹介がまだだったね。俺は鼎ヒロム」
 かるく謝ってから、ヒロムはそのまま自己紹介した。
「まだアークに入って間もない新人さんって奴、よろしくね」
「あ、はい。私はマルガレーテ・マクスウェルと申します」
「……マルガレーテちゃんか、いい名前だね」
 お蕎麦を食べた後で先輩として色々とアークの事を教えてよと頼めば、先輩と言うほどではないんですがと恥ずかしそうにしながらも、少女は時間のある時にと頷いてみせた。
 そんな話をする間に、3人前の盛蕎麦ができあがる。
「一つは友達の分さ」
 今は居ない友達のね……
 何事も無いように呟いて、ヒロムは箸立てに手を伸ばした。

 蕎麦をお腹いっぱい食べてから我に返り、申し訳なさそうにお金がないと説明した小雷は、それが無料の年越し蕎麦だったと知ると喜び、安堵し、事情を説明し始めた。
 故郷への仕送りをし過ぎてしまったのか、食料を買うお金が無くなったのである。
 不味い事に家の食料も底をついた。
 腹が減った。
 だが、食べるものが無い。
 そんなこんなで小雷は、食堂前の廊下で行き倒れたようになっていたのである。
 自分が仕送りをやめれば、故郷の兄弟と導師なにひもじい思いをさせてしまう。
(とはいえ、このままだと年を終える前にこっちが終わってしまう)
 そんな感じで進退窮まっていたものの、何とか一息つけて。
 小雷は唯々、自分をここに連れて来てくれた職員に礼を言った。
 これなら何とか年を越せそうである。
 ひと息ついた小雷は、近付いてくる新年を感じながら……故郷の家族の幸せを願った。


●去年、今年、来年
(今年も色々とあったが、祥子と出逢えたのが一番の思い出だ)
 色々考え、今年一年を振り返りながら、義弘はかき揚げを乗せた蕎麦を食べる。
「しかし、祥子から誘われてからもう一年も経つんだな……」
「もう一年たつのね」
 義弘の言葉にそう返す祥子は、冷たいたぬきそばを食べていた。
「去年初めて義弘さんを誘っておそば食べたのが懐かしいわ」
 あの時は初めて男の人をデートに誘って、緊張しすぎて頭がクラクラしていたのだ。
 でも頑張って誘ってよかった。
(おかげでこうやっていつも一緒に居られるようになったもの)
「しかしまあ、今年も今年でエラい年だったよなぁ」
 一年を振り返りながら、義弘が呟く。
 仕事ではあったが、海外にも行った。
「祥子とも一緒に依頼にもデートにも行ったが、やっぱり祥子と一緒にいるのが落ち着くよ」
 そんな話をしながら蕎麦を平らげると、義弘は祥子が食べ終わるのを待ってから声をかけた。
「もうすでに人は大勢いるかもしれないが、今から初詣に行かないか?」
 お参りをして、どこかで温かい物食べて。
「それから初日の出を見に行こう。いいだろ?」
 そんな義弘の誘いに、祥子は笑顔で頷いてみせる。
(また来年もたくさんデートして、ラブラブで過ごせたらいいな)
 一緒にお菓子作ったり、依頼で協力して頑張ったり。
 いくつもの想いを抱いて、祥子は義弘に呼びかけた。
「ひろさん、来年もよろしくね♪」


●また、きっと
 4人で揃って、蕎麦を前に。
 頂きますと声を掛ける。
 去年と同じように今年もこの4人が揃ってこの場にいれることが、うれしい。
 そう思いながら、雷音はそあらやヤミィ、マルガレーテの顔を見た。
 この一年はとても大変で、いろいろあったけれど……
 思い返そうとすると、湯気のせいではなく、何かが滲みそうになるけれど……
「……らいよんちゃん?」
「大丈夫だぞ」
 暖かいお蕎麦は心もあたためるようで……しあわせな、やさしい気持ちになれる。
「もう1年が過ぎてしまったのですねぇ」
 時間が経つのは早いのです。
 そあらも目を細めながら呟いた。
「また4人そろってお蕎麦が頂けるのがうれしいのです」
(暖かいお蕎麦が身体にしみるのです)
「とても優しい味なのです」
 温かさがこころにも染みこんでくるようで、不思議な気持ちになる。
「来年はもっと大変になるかもしれないですけれど、1年後にまたこうやってお蕎麦が食べれると嬉しいなって思うのです」
 そう言うと、ヤミィは笑顔で、マルガレーテは神妙な顔で、頷いてみせた。
 そんな皆の顔を見ながら、雷音はふと……思い出した言葉を口にした。
「年越しそばには家族の縁を長く保つという説もあるらしい」
 僕達アークの職員は、全員家族のようなものじゃないかと思う。
 そう語る雷音に頷いて。
「アークに来た人達はそれぞれ事情がある人もおおいですけれど……」
 そこで一呼吸おいてから、そあらは言った。
「皆一つの目標に向かって頑張ってる家族だってあたしも思うですよ」
 ここにきてよかったのです。
 親友ができた。家族ができた。
 運命共同体、それを家族と言わずになんというのだろう。
「だから、来年も」
 そう雷音は口にした。
 誓いと約束。
 また来年の今日、同じように、同じ時間が過ごせるように。
「今年ももう終わりだな、新しい年もよろしくなのだ」
 ハッピーニューイヤーだぞ。
 雷音の言葉に、ヤミィが、マルガレーテが、今年も大変お世話になりましたと挨拶する。
「それでは改めて、本年はお世話になりましたです」
 そあらも挨拶しながら、ヤミィの、マルガレーテの……雷音の顔を見回して、微笑んだ。
「新年もよろしくなのですよ」


●一年の終わり
「あっという間に年末だよなぁ……なんか一気に時間が進んだ感じ」
「おう今年も早かったなぁ…… 大将! 鴨南一丁! 大盛りで!」
 夏栖斗の言葉に応えながら、火車はついでに威勢よく蕎麦を注文した。
「蕎麦って言えば日本酒だろ。成年組は熱燗で一杯やろうぜ」
 快はそう言いながら蕎麦と一緒に酒を注文する。
「日本酒の別名に蕎麦前なんて言い方があってね。日本酒飲んで蕎麦で〆るってスタイルは伝統様式らしい」
 実際、蕎麦がき等は日本酒とよく合うのだという話もある。
「ほー……歩く酒蔵新田快。年の瀬で形式美に酔う前に酒に用があるってか? おっけ飲むべ」
 即決という感じで火車は快の言葉に頷いてみせた。
「火車きゅんはどう? 今年もいろいろあったなあ。ない方が不思議だけどさ」
 そんな夏栖斗の問いに、火車は少しばかり考え込む。
(今年ねぇ……一年ってのは意外でもなく超早ぇ)
「例年通りっちゃあ、その通りだけどなぁ」
「本当にあっという間の一年だった……色々あったよ」
 火車の言葉にそう続けたのは快だった。
「そう、ありすぎた」
 言ってから青年は、食堂をちらりと見回し……重たげに唇を動かした。
「去年はさ、俺、ここで宵咲の美散さんと蕎麦食ってたんだぜ」
(けど……あの闘神は、もうここにはいない)
 それ以上は口には出さなかった。
(カズトの横もスカッスカだぁらな)
 そんな事を考えた火車も、それを口にはしない。
 それでも、何か重みのあるものが漂うのは……どうしようもなかった。
「……あったけーやっぱそばはずるずるでかい音たてて食べるのが作法だよなー」
 天かすとネギを大盛りに入れた蕎麦をずるずるすすりながら、夏栖斗が呟く。
 それで間に流れる空気は少し変わった。
 薬味モリモリ落としこんだ蕎麦を啜りながら、火車は前の事を思い返す。
(……コイツそ言えば去年蕎麦食ってる女子がエロいとかなんとか)
「なんかもういっぱいいけそうだから次はとろろソバにしよう。なんかエロいし!」
「とろろ食うのがエロイとでも思ってオラァ」
 思った傍から口にした夏栖斗の頭を火車は勢いよく殴った。
「え?! また殴られるの?!」
「女子がとろろであーだこーだってならエロイっつのはまだ解るが、ああいい止めろ」
 言いながら更に、もう一発殴る。
「でもさ、去年の約束の今年も一緒にソバ食うってのを実行できてよかった」
 夏栖斗がそう言うと、火車はもう一発と振りぶっていたらしい腕を止めた。
 この先の未来は本当に……生きるか死ぬかの死線を彷徨うことになるだろう。
「はー、そんなこときにしててもしかたないか。できることをできるだけやればいいんだよな」
 自分に言い聞かせるかのように夏栖斗が呟く。
「誰も欠けてくれるな、とは言えない。俺だって、100%を約束できないからな」
 そう言ってから快は、けれどまあ……と付け加えた。
「なんだかんだで此処の連中はしぶとそうだけど、ね」
 言いはしたもののその言葉も……自分に言い聞かせるような感じがする。
 それで良いのだと思う自分もいる。
「去年の約束ねぇ……」
(新田はともかく……カズトは勝手に追い詰まるからなぁ)
「……前言った通りよ、口に出さず秘めとくモンよ」
 ココに、というように火車は夏栖斗の胸を叩いてみせた。

 口にはしない。
 けれどそれは……言葉にしない約束、という事なのだろうか?
 去年願った者たちがいて、今年願う者たちがいる。
 確とは願わずとも来る年に想いを馳せながら……それを望む者がいた。

 叶う事なら。
 きっとまた、どうか……来年も。


■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
御参加、ありがとうございました。

2013年は大変お世話になりました。
2014年も、どうぞ宜しくお願い致します。