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房総 山間の宿

●任務説明の後で
「以上です。みなさんなら大丈夫です。けど、油断は禁物ですよ?」
 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)はそう言って説明を終え、それから……と、付け加えた。
「今回は旅館を取ってあるので、任務後はのんびり一泊して疲れを癒してください、との事です」
 笑顔でそう言って、フォーチュナの少女は予約されているという宿の事についてリベリスタたちに説明した。

 旅館は依頼の目的地と同じ房総半島の南部のようで、現場から車でなら1時間と掛からない場所にあるそうだ。
「部屋は3つだけの落ち着いた雰囲気の宿みたいです。部屋は全部、小さな離れみたいな感じなのだとか」
 旅館そのものが山の斜面のような場所に建てられ、母屋のような本館の奥に、客室である離れの3件が建っているという形。
 離れは洋室と和室が1部屋ずつという造りで2~3人用になっており、各離れに1つずつ露天風呂も付いているそうだ。
 斜面から山々を見渡す事もできる。
 秋のような鮮やかはないが、寒気の中に佇む落ち着いた緑を眺めるのも悪くない。
 洗面所や手洗いもあり、食事も運んでもらう事が可能なので、到着後、出発までずっと部屋で過ごすこともできるようだ。

「食事は本館と部屋、どちらでも可能だそうです」
 部屋の場合は各部屋で、本館の場合は皆で集まってという形になる。
 夕食は簡易懐石風という感じで、焼き物や鍋の他、お刺身や天ぷら等。
「近く……といっても車で1時間……は掛からないのかな……とにかく、結構近くにある大原漁港は伊勢を抜いて伊勢海老の水揚げ全国一、勝浦の漁港ではマグロもあがるらしいですよ?」
 焼物は伊勢海老、鍋は海産物を主としたもので、1人1つずつの小鍋で食する形。
 山の幸の方は大多喜産の椎茸(しいたけ)等の天ぷらの他、昨年の保存ものになるが筍(タケノコ)等も出るようだ。
 朝食は玉子や海苔、漬物や焼き魚という内容で落ち着いた感じ。
 あと、午前2時くらいまでなら夜食でシシ蒸籠蕎麦なども頼めるそうだ。
「あ、シシっていうのはイノシシの事らしいです」
 焼目を付けたイノシシの薄切り肉の入った温かい汁で食べる、冬に合う蕎麦らしい。

「色々食べるのも良いですし、特に何もせずのんびり過ごすのも良いと思います」
 宿の敷地や其々の離れは竹の柵で囲まれ手入れされているが、その外の山地にも散策路が造られている。
 しっかりと着込めば、寒気の中で散歩というのも悪くないかも知れない。
「偶にはこういうのも良いと思うんですよ。ゆっくり、英気を養ってきてくださいね?」
 マルガレーテは笑顔でそう言って、リベリスタたちを送り出した。



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:メロス  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 6人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2014年01月30日(木)22:45
オープニングを読んで頂きありがとうございます。
メロスと申します。
今回は、田舎の旅館でのんびり過ごしませんか? というお誘いです。
任務を終えた後に宿に向かい、夕刻から翌日の午前中くらいまで、のんびり休むという内容になります。

任務で戦う敵はフェーズ1のE・フォースという設定ですが、今回は特に戦闘についてプレイングに記載する必要はありません。
(あまり強力な個体ではなく、依頼が成立する人数のリベリスタがいれば問題なく撃破できるという事で)
書かないと不安だったり文字数に余りがある方、せっかくなので話題にしようという方等は、もちろん遠慮なく書いて下さって構いません。


宿の方は房総の山地にある小さな旅館。
部屋は3部屋で、それぞれ離れになっています。
1部屋2~3名様用。
もちろん振り分けができるなら1名で泊まる方がいても構いません。
夕刻前に宿に着き、翌日のお昼前にチェックアウトする感じになります。

御膳と座椅子の和室と、テーブルと椅子が置かれベットのある、寝室を兼ねた洋室。
布団の方が落ち着ける方は和室を片して休めます。
縁側風でイスやテーブルも置けるテラスが南側にある他、各離れに露天風呂が備え付けられています。

食事は本館、各離れのどちらでも可能です。
夕食は簡易懐石風で、焼物や鍋、天麩羅や刺身、野菜の煮物等。
夜食はシシ蒸籠蕎麦、他にも簡易で用意できそうな品なら注文を受け付けてくれるようです。
朝食はご飯に味噌汁等の和風。
飲物はお茶や果汁、お酒等がいつでも頼めます。


それでは、興味を持って頂けましたら。
宜しくお願いします。

参加NPC
 


■メイン参加者 4人■
ビーストハーフクロスイージス
カイン・トバルト・アーノルド(BNE000230)
サイバーアダムクロスイージス
新田・快(BNE000439)
ビーストハーフデュランダル
ラシャ・セシリア・アーノルド(BNE000576)
メタルフレームマグメイガス
シエナ・ローリエ(BNE004839)


●山間の宿
「房総半島は初見! ラシャ知ってる?」
 携帯用シーシャを味わった後で『永久なる咎人』カイン・トバルト・アーノルド(BNE000230)は妹へ問い掛けながら腕を組んだ。
 任務の方は何事もなく終わったが、普段運動しないせいか斜面を登ると息切れするような気分になる。
 気持ちの問題なのか本当にこういったことに向いていないのかは、分からない。
 そんなカインに手を貸すような感じで、『芋女(酒)』ラシャ・セシリア・アーノルド(BNE000576)は宿への道をゆく。
「房総の味覚か。いいね」
 後へと続きながら『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)は呟いた。
 以前正月に、たまたま友人宅の新年会に呼ばれたことがあったのだ。
 友人の彼女の実家が館山で、海女さんから貰ったというイセエビの丸ごとボイルや、大きな煮アワビを御馳走になったのである。
「野菜や茸も畑や山で採れたてのを持ってきてくれてね。肉厚の椎茸は鍋だと絶品だよな」
 思い出すだけで……何とも言えない気分になり、任務後の疲労が空腹をいっそう刺激する。
 依頼も終わって、素敵なお宿。
「ちょっとだけ、普通の旅行……みたい?」
 山の斜面に建つ宿を眺めながら、『トライアル・ウィッチ』シエナ・ローリエ(BNE004839)は呟いた。

●日暮れ前
「ん、お部屋、空いてたら……1人で入らせてもらおう、かな」
 部屋と人を比べてから、シエナがそう口にした。
「荷物を下ろしたらひとっ風呂浴びちゃいますかね」
 快の方は、男は俺一人みたいだしと一部屋を提案する。
 カインの方は「和室は正義!」と言いながら、ラシャと一緒で部屋を選んだ。
 特に問題も無く4人は3部屋に分かれ、それぞれの離れに足を向ける。
 その本館から離れに向かう途中、石で舗装された道をまったりと歩きながら、カインはシエナと快に提案した。
「食事は本館で一緒にどうだい?」
 ついでに、ご飯終わったらお邪魔してもいいだろうかと伺いを立てる。
 折角だし他の離れも見たいという気持ちがあるからだが、もうひとつ……シエナは一人で寂しくないかと気になった、というのもある。
「ん。みんな、またあとで、お食事の時に……ね」
 シエナは肯定するように頷いてからそう言って、自分に割り当てられた離れへと足を向けた。
「少しお散歩してみたい、な」
 離れに着き荷物を置くと、そのまま山へと出る。
(外は寒いけど、わたし、いつもこの格好だから……あんまり気にならない、かも?)
「山の空気、キンってしてる」
 辺りを見回しながら呟いて、シエナは沈み始めた夕日の照らす散策路を歩いた。
 とても静か。でも、ちゃんと気配がする。
(木が、草が、虫が、ひっそり息してる。聞こえるよ)
「みんな生きてるんだ、ね」
 そんな言葉が自然と、くちからこぼれる。
 研究所暮らし、毎日の実験や訓練から解き放たれて。
(1人で歩き出したばかりのわたしは)
「生き方とか、生きがいとか……まだ全然、わからないから」
 いまは生きてるもの全部に、興味がある。
 教えてほしい。考えさせてほしい。
「もっといっぱい」
 静かで、でも確かに命が宿る山の中を歩きながら……少女は呟く。

 その寒気の中で、快は夕食の前に一足先に……湯を全身で味わっていた。
 身体を軽く流し湯に浸かれば、何かが染みこんでくるような気持ちになる。
 露天風呂は、冬が良い。
 外気で身体を冷やしては湯船で温め……その繰り返しが、心地好い。
 疲れが溶けていくかのような……そんな感覚を味わいながら。
 暗くなり、星や月が顔を出した空を眺めながら。
 快はのんびりと呟いた。
「決戦も近いし、英気を養いますか」

●夕餉
「もう、お腹が……ぐぎゅるるる」
(わたし、特別燃費が悪い、みたい。いつも空腹。大喰らい)
「でも、ここのご飯は、きっとじっくり味わう風情」
 運ばれてきた料理を眺めながら、シエナは呟いた。
 小鍋の方は先に運ばれ、既に火が付けられている。
 既に香りは漂い始めているが、そちらが完成するのはもう少し先のようだ。
「まあ姉も一緒にどうぞ」
「有難う、ラシャ♪ 秘儀☆お酌返し、どうぞ♪」
 ラシャからの杯を受け返してから、カインはシエナちゃんもどうぞとジュースを器に注いだ。
「それじゃ、お仕事お疲れ様でしたってことで、乾杯!」
 快がそういって地酒の入った杯を軽く掲げてみせる。
「懐石は風情があるねー」
 ほっこりしながらカインが、お酒と一緒に出されたお造りを眺めた。
(簡易懐石風か)
「日本酒と一緒に食べると良さそうだな」
 呟きつつ、ラシャはカインの空けた杯へと酒を注ぐ。
 花2人を肴にと、カインが再び杯を傾ける。
「房総も良い魚が揃ってるな、三高平港といい勝負だ!」
 刺身に続いて、殻に香ばしく焦色のついた伊勢海老を味わう。
 その間に、鍋の方も食べ頃になったようだった。
 火が消えた後も小さな鍋は、しばらくクツクツと煮え続ける。
「この伊勢海老は豪華だなあ……うまい!」
(伊勢海老なんてなかなか食べられないが、美味いものだな)
 ラシャは伊勢海老の方を味わってから、もう一杯どうぞとカインの杯に地酒を注いだ。
「蔵の数は多くないけど、千葉にも地酒があってね」
 地場の米を使って、あまりお米を削らずに美味しいお酒を作ることにチャレンジしてる蔵などもあるらしい……快は話しながら、杯を傾け箸を進める。
「鍋もいいな。冬はやっぱり鍋だなあ」
 ラシャは言いながら鍋の方へと箸を伸ばした。
(海の幸も新鮮でおいしいし、たくさん食べられる)
「そして山の幸……天ぷらだな」
 食べ終わらぬうちに料理は色々と出てきて、テーブルの上に並んでゆく。
 椎茸の天ぷらかは肉厚な感じで美味しいし、獅子唐はさくりとした食感が衣と合う。
「この筍もしゃきしゃきしていていいな」
 派手さは無いが、煮物は素朴な味わいで……安堵するような息がこぼれる。
「海鮮のお出汁……おいしい、ね」
(日本のご飯、好きになれそう)
 色々と並んだ料理に目移りしたシエナは、少し迷った末に……杯を傾ける3人に声をかけた。
「みんなのオススメ、知りたいな」

●旅の夜に
 食後に自分の離れに戻ると、快は御銚子と御猪口を持って風呂へと向かった。
 お盆を浮かべて、その上にお酒。
「露天風呂ならやっておきたいよな!」
 食事の時とはまた違う感じで……言葉通り、酒が身体に染み渡るのを実感しながら。
 快はゆったりと息を吐く。
 周囲は静かで、聞こえるのは僅かな風の音くらいだ。
 寝る前にシシ蒸籠蕎麦で〆ようと考えながら、快は零さぬようにと銚子を傾ける。

(他の部屋のみんな何してるんだろうな。ちょっと見に行くか)
「時間もあるし……突撃! 隣のお部屋!」
「突撃! 隣の離れ!」
 ラシャとカインは食事の後、シエナの離れを訪れた。
 2人とも懐中電灯で顔の下から光を当てながら訪問したものの、シエナは特に反応せず2人を出迎える。
 その辺りはまあそういうものかと気にせずに、まったりとガールズトークを楽しんでから、2人はシエナにお休みを告げて、自分たちの離れへと戻った。
 そしてそのまま露天風呂へと向かう。
(部屋に露天とは粋。疲れも癒されて極楽極楽~♪)
 背や髪を洗ってから、お湯に浸かって一杯味わって。
 お風呂からあがった2人は、夜食にとシシ蒸籠蕎麦を注文した。
「イノシシって食べたこと無いんだよな。楽しみだなあ……」
 これもお酒と一緒に食べちゃったりするんだけどね、と。ラシャは一緒にお酒も頼む。
「これがシシ蒸籠蕎麦か、まず肉から……」
 普段食べてる肉とは一味違う感じがする。
「ン? 汁に猪なのに、さっぱりしてて意外」
 カインがそう言ってから、やっぱり蒸籠だな~と蕎麦を啜った。
 自分としては濃厚な味わいで美味しいと思うが、その辺りは個人差なのだろう。
 あるいは最初に持ったイメージの違いなのかも知れない。
 つゆは、盛り蕎麦よりはかけ蕎麦に近いだろうか?
 温かいからというのもあるが、かけ蕎麦のつゆを濃くしたような味わいのように思う。
「蕎麦も夜食にいいな。軽く食べられて、また美味しい」
 そう呟くラシャの向かいで。
「オススメ料理も頼も♪」と。
 カインが更に注文を入れる。

「さて、今日はそろそろ寝るか」
 夜食も充分に堪能し、後は寝るだけとラシャは洋室と和室を見比べた。
(旅館ならやっぱり和室で布団のほうがいいなあ)
「片付けて布団敷いて寝るか」
 その言葉にカインも同意して、2人はテーブルや座布団を片づける。
 布団を敷き終えて、寝ようとしたところで。
「……ふはは、姉よ油断したな! 枕投げだてーい!」
「ぐは! 枕投げの追撃か!」
 和室に用意されていたのに加えて洋室のベッドから持っていた枕を両手に持ったラシャが、それを交互にカインへと投げつけた。
「反撃だー! これでもくらえ、枕キャノン!」
「ひぃ反撃された! 負けるかー!」
 直撃を受けたカインは自分にぶつかった枕をつかんで投げつけ、さらに自分の枕も追撃とばかりに投げつける。
 両者に当たっている間はボブボブという鈍い音が響いていただけだったものの、1発が押入れの戸にぶつかって音を立てて、2人は慌ててまくら投げを終了した。
 カインはそのまま布団に潜りこみ寝息をたて始める。
(うむ、なんか一運動した感じだな)
「やっぱり旅館でお泊りといえば枕投げだな」
 そう呟いてからラシャも和室の灯を弱くすると、自分の布団へともぐりこんだ。

●冬の朝
 朝食の前に、と……快は宿の周りを散策していた。
 土地ならではの空気を楽しみたい。
 そう考えたのである。
 寒気の漂う山々と、少し離れた所に広がる冬の水田は……三高平と比べると別世界のようだった。
 朝というものにも、どこか独特の雰囲気があるような気がする。
 冬の空気は冷たく澄んでいて、空は高く感じられて……
 遠くから鳥の鳴く声が聞こえていた。
 それは夜には聞こえなかったものだ。
 何処かには居るのだろうが姿は見えない。
 同じように鳴き声を耳に入れたカインは、その事を残念に思いながら……空を見上げた。
 雨が降らないうちに帰ろう。
 そう考えてから、気持ちを朝食へと向ける。
 ごはんにお味噌汁、玉子と海苔、漬物に焼き魚。
 やっぱ日本人はコレだという朝食を、残さずに頂いて。
「帰る前にもうひとっ風呂入ろーか♪」
 時計を眺めて時刻を確認してから、カインは妹に呼びかけた。

「ん、これ脱ぐの、いつも大変。引っかかっちゃう、の」
 夜、お風呂から出た後に着ていたバトルスーツを脱いで。
 シエナは再び露天風呂に入った。
 朝風呂というものを聞いて、試してみようと思ったのである。
 スーツを脱いで浸かれば、お湯がしっとり包んでくれる。
 気持ち良いとか。おいしいとか。
(まだ生きがいとは違うと思うけど)
「積み重ねたら……何かわかる、かな」
 同じようにお風呂に入っているけれど、昨晩とは何か違う。
 シエナはそう感じていた。
 時間が違って、見える風景も変わって……気温もきっと違うだろう。
 けれど、そういう事では無くて……何かが違うような気がするのだ。
 ハッキリ解らず、上手く表現できない。
 それでも……今の自分は、それを感じられるようになったのだ。
 なら……いつか、理解できるかも知れない。
「ぽかぽかしながら、考えてみる、よ」
 湯の温かさに浸りながら、それだけでない温もりを感じながら。
 少女は……小さく呟いた。


■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
御参加、ありがとうございました。
好い時を過ごせたと少しでも感じて頂けたら、嬉しいです。

それでは、御縁ありましたらまた。
よろしくお願いいたします。