●兵器について 「自分としては、特化こそが戦闘能力の向上に不可欠と考えます」 「E・ゴーレムに求められるのは攻撃能力であり、防御力は攻撃力を維持する為に必要……というだけではないでしょうか?」 「極端な特化は戦術の幅を狭めるかも知れませんが、逆に考えれば運用法が限られるのは使用可能な場面が限られるという事でもあります。その場面での運用は寧ろ容易と言えます」 「もう1つ。我々は故人に学ぶべきであり、兵器に新たなジャンルをわざわざ付け加える必要は無いのではと考えるのですが、如何でしょうか?」 「既存の兵器に似ていれば、その運用法も既存の兵器を参考にする事ができます」 「我々は兇姫のような天才ではない。凡人である事を自覚して事に当たるべきでしょう」 ●E・ゴーレムの艦隊 「E・ゴーレムの集団が現れます」 マルガレーテ・マクスウェル(nBNE000216)がそう言ってスクリーンに表示させたのは、幾つかの艦船だった。 大きさそのものは全長1~2m程度、大型の模型といったところだろうか。 「外見的には、二次大戦の頃の軍艦や艦艇のような形状をしています」 フェーズは全て2で、数は5隻。 「ある湖の中央付近にしばらく留まっていますが、その後は湖上を動き回りはじめます」 現状、外見通りに移動は水上のみで湖の外へは移動しないが、それでも湖を訪れる一般人等が被害を受ける可能性がある。 「ですので皆さんにE・ゴーレムたちの撃破をお願いしたいんです」 そう言ってからマルガレーテは、各艦を1種類ずつ拡大しながら説明し始めた。 5隻の内訳は、戦艦型が1隻、軽巡洋艦型が1隻、駆逐艦型が3隻である。 戦艦型の周囲を巡回するようにして他の4隻が警戒しているらしい。 敵を発見した場合、側面を向けるようにして一斉に砲撃や魚雷で攻撃を行ってくるようだ。 また、目標が水中に完全に潜っている場合、軽巡洋艦と駆逐艦は爆弾を水中に投下しての攻撃、爆雷攻撃を行ってくるらしい。 「戦艦型のE・ゴーレムは、主砲や副砲、機銃による攻撃を行ってきます」 主砲による攻撃は威力が高く、射程も超遠距離まで届くようだ。 副砲と機銃による攻撃は射程と威力は劣るものの、極めて高い命中精度を持つらしい。 「主砲の精度も高いようです。その主砲と副砲、機銃による攻撃を常に1回ずつ行ってきます」 主砲は単体攻撃となるが、副砲と機銃による攻撃は射程内の全ての対象を攻撃できるようだ。 本体の能力としては、回避力が低いが防御力と耐久度は高いという耐える事を重視した能力で、異常の効果も受け難い造りらしい。 「駆逐艦型はその逆ですね。防御力や耐久力は低めですが、回避能力が高く速度も速いみたいです」 攻撃手段は主砲や機銃等による砲撃か、魚雷による攻撃のどちらかになるようだ。 「魚雷は飛行している敵を狙うことは出来ないようです」 水面に接している事が条件らしく、低空でも飛行していれば狙えないらしい。 魚雷による攻撃、雷撃は威力も精度も高いようだ。 一方、砲撃の方は威力は劣るものの、精度はそれ以上のようである。 「駆逐艦型の場合は、雷撃も砲撃も単体攻撃のようです」 ちなみに軽巡洋艦型の方は、雷撃は単体だが砲撃はある程度の範囲を纏めて攻撃できるようだ。 「雷撃は威力は駆逐艦と変わりませんが、精度でやや劣るようです」 砲撃も精度ではやや劣るが、射程内の一範囲を掃射できるようだ。 本体の能力は戦艦と駆逐艦の間、ただしかなり駆逐艦寄り……という感じらしい。 「あと、軽巡と駆逐艦の爆雷攻撃ですが、射程はかなり短いようです」 駆逐艦は本体から5m程度、軽巡は10m程度、但し範囲内の全ての目標に対して攻撃を行えるようだ。 もっとも、こちらも魚雷と同じで飛行している目標には攻撃できない。 「E・ゴーレムたちが現れる湖は広めですが底は浅く、一番深い場所でも1mも無いようです」 大人なら腰より下、背の高い者なら膝より上くらいらしい。 岸からは超遠距離の能力でも攻撃は届かないが、飛行や水上歩行の能力が無くても湖中央のE・ゴーレムたちへと近付くことは可能なようだ。 「……この時期に半身を水に浸してというのも申し訳ないんですが……放っておく訳にはいきません」 そう言ってリベリスタたちを見回すと、宜しくお願いしますと言って。 フォーチュナの少女は頭を下げた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:メロス | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年01月17日(金)22:04 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●E・ゴーレムの艦艇 「なぁに、これ。何かの実験?」 (こんなところにこんな玩具浮かべたりして……) 「どうせ遊ぶんならもっとでかいもの用意しなさいよまったく」 不敵に呟いてから、『黒き風車と共に在りし告死天使』フランシスカ・バーナード・ヘリックス(BNE003537)は、まあいいわと付け加えた。 「放って置いても邪魔になるだけだし叩き潰してあげる」 敵の戦闘能力は高いようだが、寧ろそれは彼女を燃え上がらせる燃糧である。 軍艦、艦艇型をしたE・ゴーレム。 (故人曰く、ある種の成功に秘められた秘訣とは、『枯れた技術』の有効活用こそにあると言う) 「もっともなことだ」 しかし……と、『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)は呟いた。 「今回の敵に至ってはただの浪漫だな……まあ気持ちは分からんでも無いが」 かつて使用され、現在は使用されていない兵器……それはもう、現代では有効ではないという証明のようなものだろう。 もっともエリューションである以上、常識の外にあるというも事実。 決して油断できない相手である。 「最近、どこぞのゲームの影響で『神谷さんって実は大食いでよく寝るキャラじゃないですか?』とか言われるんです」 『局地戦支援用狐巫女型ドジっ娘』神谷 小夜(BNE001462)は今回の敵を聞いて連想した某ゲームのキャラクターたちの事を考えながら、最近の記憶を掘り返して口にした。 (睡眠時間は兎も角、食事は小食だって自覚あるんですけど……) 「……そしてホリメってそれっぽく振る舞うにしても、回復ばかりだとそれらしさが全然ないですよねぇ」 (強いて言えば補給艦なのかもしれませんけど、それも何か違う気がしますし) コスプレ巫女服っぽいのを着て言ってみるのも面白いかもしれない。 小夜はそんな事を考えた。 着るのはあまり気が進まないとか思いつつ、そういう衣装も持っているのだ。 「まあ、はい、慢心だけはしないように索敵を厳に……いえ、敵の数も場所もはっきり判ってるのであんまり意味がない気もしますが……」 台詞を真似たりしつつ、でも本当は艦船の擬人化っていうと……別の作品の方が…… 等々、小夜の思考は止まらない。 そんな姿を見つめながら。 「最近この手のものが流行ってますよね」 『荊棘鋼鉄』三島・五月(BNE002662)は素直な感想を口にした。 (軍艦とかかっこいいと思いますけど、そういう時勢なのか) 「つまりエリューション業界にもその流れが来ていると……違いますね」 エリューションに流行り廃りがあるとも思えない。 もっとも、自然発生でないとすれば…… その辺り、フランシスカも考えていた。 何らかの、何者かの痕跡が無いか? 彼女は湖周辺の捜索等を考えていたのである。 もちろん、それは戦いが終わった後の事だ。 「さておき湖に落ちてびしょ濡れは嫌ですし、さっさと片付けてしまいましょう」 思考を中断するようにそう言って、五月は湖の中央へと視線を向けた。 ●艦隊vs航空戦隊 (新年一発目の任務は戦艦沈めか) 「面白そーじゃねーか!」 擬人化してる訳じゃないから五月蝿く無さそうだ。 そんな事を考えながら緋塚・陽子(BNE003359)は呟いた。 「ヘーイ! 懐かしい敵が出てきたのデース! 確かに私も昔はやりこみました!」 怪盗のスキルを使用し、衣装も用意してそのゲームの人気キャラの格好をした『究極健全ロリ』キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)は、言葉遣いも真似しながら……別のゲームの事について語り始めた。 副砲で地上施設を焼き払ったり、波動砲で1面ボスを倒しまくってボス999回撃破の超波動砲を狙ったり……大和に最新型の防御システムをごてごて付けて46cm砲でラスボスをぼこったり。 「小型駆逐艦に連装レールガン乗せてラスボスぼこったり、巡洋艦で片舷49本の魚雷ぶっぱしてラスボスをいじめたり……ラスボスのいじめられ方が尋常じゃなかったのでーす、あれはもののあわれを感じさせたのデス……」 そこまで語ってから、しかーし時代は! ……と、本題のゲームの方へと入る。 そのネタの為だけに水上歩行を準備したとか、女の子同士でゆりゆりしたりとか、某キャラのコスプレは露出度が~等々……話題は尽きない。 そんな語り続けるキンバレイを……暫し眺めた後で。 「大御堂重工の物神特化サジタリー参上!」 『三高平の悪戯姫』白雪 陽菜(BNE002652)、『デストロイド・メイド』モニカ・アウステルハム・大御堂(BNE001150)に寄り添うようにして、何処かへ向かって指差しポーズを取ってみせた。 寄り添うようにしたのは、自分を艦に見立てた場合のイメージ故である。 攻撃法的にモニカが戦艦大和(46cm砲)で、自分が波動砲が無い某宇宙戦艦という感じに考えてみたのだ。 モニカのイメージはそれとは異なっていた。 「今回のアレを作った敵は戦時中を参考にしているようなので、それに関する薀蓄でも語りましょう」 彼方のE・ゴーレムたちを眺めるようにして、彼女は語る。 第二次世界大戦以前は艦同士の艦隊戦こそが海戦の主役だった。 そうした背景から、駆逐艦や軽巡洋艦には護衛部隊を制圧する砲と、主力部隊を漸減する水雷戦用の魚雷が多く搭載されたのである。 水雷戦隊と呼ばれる艦隊決戦支援戦隊だ。 「しかし二次大戦後は航空機や母艦の発展により事情が変わってきます」 艦隊に求められる性能は、敵航空部隊に対抗する防空能力に変化した。 それまでの火力を重視した艦船は時代遅れの代物と化したのである。 「丁度、今回の敵が今まさに直面しているのと似たような事態です」 敵の駆逐艦型と軽巡洋艦型は、水上、水中を進んでくる対象との戦闘を重視し、飛行する敵への対処は不足している。 そして、こちらには飛行する能力、手段を有する者たちがいるのだ。 「誰が作ったかは知りませんが見事な歴史の再現ですね」 既に起こった事実を説明するように、戦いの結果を宣言するかのように。 モニカは無表情のまま、いつもの調子で言い放った。 ●接近、戦闘前 小夜が全員に翼の加護を施す。 今回の戦いで最も重要な自身の役割がそれだと彼女は考えていた。 水面からは離れ、しかし体勢を維持しやすいように低空飛行を心掛ける。 そうする事で本来の力を発揮しながら、敵の魚雷による攻撃を避ける事ができるのである。 小夜に加護を施してもらう間に、陽菜はサジタリアスブレードに弓神の力を施した。 後衛に位置を取ったモニカも砲撃の精度を、威力を高めるために、集中によって動体視力を限界まで引き上げる。 小夜も後衛に位置すると周囲の魔力を取り込み始め、キンバレイも同じようにして自身の力を高めていく。 五月は後衛たちを守るように敵と後衛の間に立つように移動した。 陽子は近接戦闘を担当すべく前進し、前衛の1人として位置を取る。 「さぁ、その玩具がどれだけのものか見せて御覧なさい!」 全身から生み出した闇を武具へと転じ纏ったフランシスカは、そのまま低く飛びながらエリューションたちへと近付いた。 リベリスタ達を確認したE・ゴーレムの艦隊も、即座に戦闘行動へと移れるように転舵を繰り返しながら接近を開始する。 距離を詰めながら、ベルカは今回の戦いについて分析した。 敵の大半を占める駆逐艦型の最も強力な攻撃手段は魚雷による攻撃、雷撃である。 翼の加護を使用して飛行状態となることでその雷撃を避けるというのが今作戦の胆と言えた。 もちろん高く飛べば体勢維持が困難となる為、低空飛行を心掛ける。 (極低空で侵入し強烈な一撃を叩きつける!) 「まさしく反跳爆撃隊と言った所か」 戦況を分析しながらベルカは呟いた。 魚雷を封じた上で軽巡洋艦・駆逐艦を先に叩き、敵火力の『量』をまず減らしてゆく。 自分の役割はその援護だ。 敵艦隊より20mの位置を占めると、彼女は自分の分析した戦況を仲間たちに伝えながら、強力な攻撃を行うためのネットワークを構築した。 ●戦闘開始 戦艦型の周囲を航行していた3隻の駆逐艦が、リベリスタ達への攻撃を開始した。 砲撃ではあるものの、サイズを考えれば銃撃と呼ぶのが相応しい攻撃がリベリスタたちへと襲い掛かる。 威力は中程度とはいえ精度の高いその射撃は決して油断できない威力をもっているのだ。 その砲撃を物ともせずにフランシスカは軽巡洋艦の側へと回り込むと、纏っていた闇の一部を漆黒のオーラへと変換した。 「はっ、まとめてぶっ飛ばしてあげるわ! 張りぼての艦たち!」 言葉と同時に形を持った黒のオーラが銃弾のように、穂先のように、E・ゴーレムたちへと突き刺さる。 素早く舵を切る事で直撃を避けた軽巡洋艦型は、出来るだけ多くのリベリスタ達を巻き込むようにして砲撃を開始した。 それを妨害するために、出来るだけ後衛への攻撃を阻止するように。 五月は射線を遮るように移動しながら、鋭い蹴りによって生み出したカマイタチを軽巡洋艦へと向ける。 「一航戦の誇り、見せてあげましょう!」 結構ノリノリな感じで戦闘前と同じように、キャラクターを演じるようにアレンジした台詞を口にしながら、小夜は高位存在の力を癒しの力に変換し、仲間たちを包み込ませた。 その最中も、自分の位置には注意する。 庇ってくれる仲間が庇い易いように、なるべく敵の攻撃に身をさらさないように。 特に戦艦主砲の射線からは出来るだけ逃れるように注意しながら、小夜は自分の位置を決める。 キンバレイの方は回復に専念する形で、周囲の魔力を取り込みながら詠唱によって高位存在の力の一部を癒しの息吹として具現化させた。 まずは軽巡と駆逐艦から撃破しようと陽菜も低空飛行で敵陣形の側面に回り込み、戦艦の周囲を固めるゴーレム達へと照準を向ける。 剣型の破界器が射撃モードへと移行し、放たれた複数の光が軽巡洋艦と駆逐艦に突き刺さった。 モニカも敵の陣形を確認しながら、軽巡洋艦の位置する方角から攻めるように位置を取る。 戦艦以外の攻撃は完全に砲撃のみと断定し、彼女は殲滅式自動砲、対物ライフル・戦車砲・リヴォルヴァーカノンを継ぎ足したような物々しい形状の大型対物重火器を構えた。 次の瞬間、湖上の一角で鋼鉄の嵐が吹き荒れる。 軽巡型はもちろん機敏な動きの駆逐艦型であっても、モニカの砲撃を完全に回避する事はできなかった。 損傷を増加させてゆく軽巡に向かって更に攻撃を加えるべく、陽子も巨大な鎌を手に距離を詰める。 他の艦から狙い難いようにと接敵すると、陽子は力を拡散させ無数のカードを自身の周囲へと生み出した。 「廃艦の予告状だ、たらふく食いやがれ」 直死の大鎌を振るってカードの1つを選び、死神の力をゴーレムへと向ける。 そこでモニカの砲撃を彷彿させるかのような攻撃が、銃砲弾の嵐が、リベリスタたちへと襲い掛かった。 銃撃音に交じるようにして爆発音のような砲声が響く。 主砲の直撃を受けたのは、後衛たちを狙わせないようにと位置を取っていた五月だった。 身体の一部を抉られるような強力な砲弾を受けながらも彼は何とか体勢を維持し、銃弾の一部を弾き返しながら構えを取り直す。 回避能力で劣る、あるいは耐久力の低い者が受ければ、数発で戦えなくなる可能性のある強力な攻撃だ。 弾幕も加えれば、限界は更に近付く事だろう。 その前に撃破できるのかという問いは意味が無かった。 やるしかない、それがアークのリベリスタなのだ。 ●戦闘激化 E・ゴーレムの艦隊は戦艦の周囲を他の艦が固めるという陣形を取っていたが、各艦の間隔はそれほど広くは取られていなかった。 モニカは攻撃を行いつつ敵艦を引き付けるように動こうとしたものの、E・ゴーレムたちは前衛を警戒しているのか彼女の方には向かおうとせず、リベリスタたちの戦闘力を確認するように攻撃を行ってゆく。 「艦隊だからって集まりきってると痛い目見るぞ?」 各艦の距離が縮まるタイミングを見計らうようにして陽子は宙を舞い踊るように大鎌を振るい、連続斬撃を繰り出した。 斬撃が軽巡の、そして戦艦の船体を傷付ける。 それを物ともせずに放たれた対空砲火と主砲の直撃を受けたキンバレイは、運命の加護で攻撃を耐え抜き詠唱を続行した。 強力な攻撃が互いを打ち、一方は高い耐久力で、一方は回復の力でそれを耐え凌ぐ。 ベルカは同志たちを援護すべく、神秘の力によって生成した閃光手榴弾を駆逐艦目掛けて投擲した。 フラッシュバンは直接対象を傷付けはしないものの、光と衝撃によって目標の動きを鈍らせ、一時的に動きを封じる事も可能である。 (駆逐艦が快速を武器とするなら、その足を止めてやろう) 戦艦と比べれば駆逐艦は、その動きで攻撃を避けダメージを軽減するという戦法を取っている。 動きを鈍らせられれば攻撃力だけでなく防御力を減少させるのと同等の効果がある筈だ。 実際、駆逐艦型E・ゴーレムたちは攻撃の直撃を避けるように動いてはいたものの……完全には避け切れずダメージを蓄積させつつあった。 軽巡の方も戦闘は続けているものの被害の方は甚大と言える。 その軽巡に狙いを定めつつ、できるだけ多くの敵艦を巻き込むように。 フランシスカは闇を生み出し、黒のオーラを操ってその穂先をゴーレム達へと叩き込んだ。 五月は味方の状態に注意し、後衛を庇えるように意識しながらカマイタチを放って軽巡を攻撃し続ける。 小夜も癒しの息吹で仲間たちを回復させながら、できるだけ敵に狙われ難いようにと位置を取り続けた。 特に戦艦主砲の射線には注意し、五月の位置取りを頼りに自分の居場所を調整する。 モニカの砲撃を受けた軽巡洋艦型が船体をひしゃげさせながら沈没した十数秒後、戦艦の攻撃で傷付いたキンバレイが続く駆逐艦の射撃を受けて力尽きた。 水中へと没しかける彼女を無事に戦線離脱させる為、五月が一時的に自身の位置を変更する。 敵の陣形に穴が開いたと判断した陽菜は、そのまま戦艦を狙っての精密射撃を開始した。 ●殲滅、戦いの終わり どんな船であろうとも、船底部に穴が開けば終わりだ。 (このE・ゴーレムは再生能力なさそうだし穴が開いたら転覆するんじゃないかな?) そう考え狙撃を行う陽菜を遮るようにして、駆逐艦の1隻が彼女の射線を遮るように舵を切ってきた。 その駆逐艦に向かって彼女はサジタリアスブレードの刀身を展開させる。 「戦いは数だよって誰かが言ってたけど、人数が制限されたらやっぱり戦いは火力だと思うんだよ!」 モニカの範囲掃射によって損壊しかけていたその駆逐艦は、陽菜の放った魔弾を受けて艦首部分を失い沈み始めた。 モニカは更に掃射を続け、陽子はダメージの大きい様子の駆逐艦を狙ってひたすら攻撃を繰り返す。 「当たるも八卦当たらぬも八卦、今年の運試しといこうじゃねーか!」 空振りも気にせず、只管、自身の美学に従って。 繰り出された攻撃のひとつが転舵の瞬間を狙うようにして駆逐艦を斬り裂いた。 直後、無防備な彼女を戦艦から放たれた砲弾が直撃する。 骨を砕き身体を貫くような衝撃を、陽子は運命の加護で耐えながら翼を羽ばたかせ体勢を整えた。 敵の数は減っているが、こちらの回復も減っているのだ。 接近した味方を巻き込まぬように閃光手榴弾の投擲を一時的に止めて、ベルカは能力を使用してゴーレムたちの弱点を分析する。 分析後は素早く的確に、敵の弱点や戦法、損傷を更に拡大させる攻撃手段等を同志たちへと伝達、連絡。 小夜は味方全体を癒しつつ、敵の攻撃を見て倒されそうな味方、特に前衛たちの回復に気を配った。 もっとも、そちらに気を取られ過ぎると味方全員の負傷が蓄積してゆく。 戦艦の全体攻撃の効果が大きいのだ。 (こんな模型サイズじゃ主砲もぎもぎしてもいい武器にならなそうだよね~) 「実物大模型のアザーバイドとかだったら武装狩り出来たのに……」 呟きつつ陽菜は戦艦の船体を狙っての狙撃を開始した。 モニカの砲撃によって最後の駆逐艦が轟沈する。 陽子の攻撃に耐え抜いた戦艦の砲撃が五月を捉え、五月はそれを運命の加護によって耐え抜き、戦闘を継続した。 残るは戦艦1隻のみ。 それでもE・ゴーレムは、船体や砲塔、艦橋等に攻撃を受けながらも砲撃を行い続ける。 「こんなガラクタ程度に負けてられないのよ!」 主砲の直撃を運命の加護で凌いだフランシスカは黒の剣を注ぎ込んだ力で赤く染め上げると、命を啜る斬撃を繰り出した。 (小さいのが残念ですけれど) 「一度こういう相手って殴ってみたかったんですよ」 距離を詰めた五月が船体に向かって掌打を放ち、命中と同時に内側へと破壊の気を叩き込む。 それが、止めとなった。 破損が喫水下まで及び、船体を歪ませ動きを停止したE・ゴーレムは……そのままゆっくりと崩れつつ……全体を傾け、沈み始める。 激しかった戦いの音と水しぶきは止み、うねりや波は……徐々に静かに、弱くなっていく。 先刻までとは打って変わり、静寂に包まれた冬空の下で。 戦いを終え沈みゆく艦に向かって……それをまるで見送りでもするかのように。 ベルカは静かに、敬礼の姿勢を取ってみせた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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