● クリスマスソングが流れる頃に、街の飾りの輝かしさは最高潮になる。 着飾るように色とりどりのイルミネーションを纏ったビル群は、己を最も美しく魅せる夜を待っている。 その喧騒の中を、正月飾りを抱え込んだ『深謀浅慮』梅子・エインズワース(nBNE000013)が小走りに過ぎようとしていた。総務部に足りないものや、今年にしか使えない飾りの買い足しを頼まれたのだ。まったく慌ただしいものだ。10日もしない間にこうも街の雰囲気を変える必要はあるのかと唸りたくもなる。 「――協力をお願いします!」 「します!」 その中で、ふと立ち止まったのは靴紐が解けたからだったが――耳に届いた声は、子供のものだった。 「なに……って、わきゃ!?」 声のする方を伺って――ひもを結ぶのを忘れたまま足を出した梅子は梅子はそれを自分で踏んで転びそうになったのを、羽を伸ばしてバランスを取り、無理矢理持ち直す。 「……うわあ、なにそれコスプレ?」 へ、と間の抜けた表情を浮かべて顔を上げた梅子の前で、ひとりの少年が目を丸くしていた。 しまった、羽を隠しそびれたか、と考えた梅子の脳裏をふと、疑問がよぎる。 幻視、つかってるのに。どうして。 「カラスみたい」 「誰がカラスよ!」 見た目は10歳くらいだろうか。振り返って睨みつけた少年は、確かに革醒しているが――これは。 梅子はわざと羽を広げる。少年が驚きと好奇心に目を見張るのを見て、確信する。彼は革醒したばかりでまだ神秘のことをよく知らないのだと。そこまで考えて、ようやく彼が持っていた箱の存在に気がついた。 「何よソレ?」 「募金だよ。ごきょーりょく、お願いします」 箱を抱え上げて少年は笑う。その箱には、とある児童養護施設の名前が書かれていた。 ● 「……てことで、だ。養護施設、ぶっちゃけ孤児院だな。そこに行ってプレゼントを配るぞ」 いつにもまして投げやりな『まやかし占い』揚羽 菫(nBNE000243)に、いやいやいやいや、とリベリスタがツッコミを入れた。それとコレとがどうつながるというのだ。 「革醒したばかりのやつが道を違えないように、革醒するとはどういうことかを教えるのもアークの仕事の一つだろ。それだけなら少年を三高平に連れてくるのが早いんだろうが、どうもすぐにフェイトを得たわけじゃないようでね。いくつかの小物やらの革醒が確認されてる」 なんとなく読めてきたリベリスタが、菫に話を続けるように促した。 「クリスマス会があるのは、こういった施設では不自然な話じゃない。そしてたまに気が向いた気まぐれな企業がそれに手伝いを申し出ることも、な。 乗り込むのに調度良い口実がある以上、それを利用しない手はない。 ノーフェイス化した子供とかはいない。その辺り、クリスマス生まれの誰かさんもまだ、救いの手とやらを差し伸べているつもりなのかもな」 菫は妙に乱暴にがしがしと頭をかくと、眉間にしわをよせた。 「ともかくだ。革醒した物の破壊に向かう実働班と、子どもたちを集める陽動班にわかれてくれ。 原則、その二班は別行動だ。いいな?」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ももんが | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年01月10日(金)23:47 |
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■メイン参加者 28人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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