● ここはアークの本部。 フュリエの少女、『風に乗って』ゼフィ・ティエラス (nBNE000260)はチラシを手にうろうろとしていた。近々控えたクリスマス。本部ではそれに向けたイベントが多々用意されていた。彼女の好奇心が疼くのは、当然の反応だった。 しかし、ここで問題が発生した。興味はあるが勝手の分からない行事に何をすればよいのか分からないのだ。さすがにこれではいかんともしがたい。それにみんなが当たり前のように準備しているクリスマスについて、質問するのも憚られる。 少女がそんなジレンマに置かれている、まさにその時だった。 「大方そんなことだろうと思ったぜ」 現れたのはいつものように仏頂面の『運命嫌いのフォーチュナ』高城・守生(nBNE000219)。 愛用のタブレットPCを手にした彼は、自信満々にこう言った。 「策ならある」 ● 「ま、そんな訳でこういうのも悪くないと思ってな」 クリスマス用の飾り付けの入った段ボール箱を手に守生は説明する。 企画としてはこういうことだ。 ホームパーティー的なクリスマスをみんなで送ろうということになる。 場所は三高平市内の公民館。時刻は昼。 クリスマスツリーの飾りつけをみんなでして、持ち寄ったお菓子なんかで騒ごうという趣旨だ。一応、クリスマス初心者のゼフィもいるので、それに合わせた形になる。 パーティーは自分達で準備をするから盛り上がるもの。 ムーディーなクリスマスも悪くは無いが、こうやって仲間内ではしゃぐクリスマスも良いものである。 「そんな感じだ。暇があったら寄ってくれ」 なんのかんの言いながらも、守生も守生なりに楽しんでいるのかも知れない。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:KSK | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2014年01月09日(木)22:33 |
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■メイン参加者 25人■ | |||||
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● 「こら、ミミルノ。つまみ食いはだーめ、でしょ?」 「はーい」 みんなで飾りつけをしているツリーの前ではしゃぐミミルノをたしなめるティアリア。ミミルノの手にはお菓子が握られている。皿に並べていたものをこっそり握り込んだのだ。しかし、たとえ料理の準備をしながらであっても、それを見逃す程「先生」は甘くない。 「ふぅ、ミミミルノはちゃんとやれているかしら……?」 ユーヌと壱也はパーティー用に机のセットを終えて一息つく。 「壱也が重いもの運んでくれるから助かる。流石、力仕事の時は頼りになるな」 「最近また強くなっちゃった気がするけど……き、気のせい。わたしたち普通の女の子だよねっ」 「当然だ」 フィジカル41という数値に悩む壱也に無表情で返すユーヌ。冷淡に見えるかも知れないが、これがユーヌなりの慰めなのは壱也も知っている。 「うん、ありが……」 「丁度良い。荷物運びおつかれ、壱也」 「……ふぁっ!? もぐもぐ」 開いた壱也の口に向かってユーヌが何かを放り込む。テクニック80は伊達じゃない。 「なになに、クッキー? すごいおいしい! あ、これかな?」 反射的に食べてしまった壱也は、並べていた皿を見て正体に気付く。どうやら、余ったクッキーを食べさせてきたらしい。そして、まだ余ったものがあるのを見て面白いことを閃く。 「ユーヌちゃんもあーんっ」 差し出されたクッキーを「動いた後には甘いものが良い」と口にするユーヌ。 壱也は悪戯っぽい表情で微笑んだ。 「2人でつまみ食い、内緒だねっ」 天原和泉の動きには相変わらずそつがない。アークのオペレーターとして活躍する才女にふさわしい動きだ。テーブルの準備を終えた彼女は、既にツリーの飾りつけに取りかかっていた。 (みんなで飾りつけをしていると幼稚園でのツリー飾りを思い出しますね) あの頃は一番天辺の星を誰が飾るかで友達と派手にケンカしたものだ。和泉にだってそんな頃はある。 そんな想いも最近では薄れてしまったものだ。ある意味、寂しい話である。それが大人になるということなのか。 「楽しいクリスマスパーティにしましょう」 それでも、クリスマスを楽しむことは出来るのだ。 てきぱきと指示をしながら、快は自身も会場の飾りつけを進めていた。 「実行委員会、今日だけ復活だ」 「やっぱり、こういう時は頼りになるぜ」 「あー、もうちょっと右側に雪があった方がいいな。シュスカさん、綿持ってきてくれる?」 先日の学園祭では実行委員長を務めた快だ。普段素直でない守生も正直に称賛の言葉を口にする。 「ツリーの飾りつけなんて久しぶりだわ。じゃあこれはこっちね」 暇潰しに参加したシュスタイナも、守生に軽く挨拶すると綿を手に飾りつけに加わる。 会場の準備も概ね終わったこともあり、ツリーも後は天辺の星を置くだけだ。 「うーん、踏み台が立てられる場所が無いなあ。よし、シュスカさん俺が肩車するから星の飾り付けよろしく」 「殿方に任せても良かったけど、そういうことなら」 どこか悪戯っぽく笑いながら、快に肩車されシュスタイナはツリーの上に星を置く。 「ってよく考えたらフライエンジェなんだから、飛んでもらえば解決じゃね?」 「あ!」 今更なことに気付く男達に向かって、シュスタイナは元から分かっていたとばかり笑いながら舌をぺろりと出した。 ● パーティー準備をする中には、去年までクリスマスに姿を見せなかった者達の姿があった。それは異世界の妖精、フュリエ達【フュリエパーティー】のものだ。クリスマスのことを良く分からない彼女らも、それなりにパーティーを楽しもうとしているのだ。 「何するかよくわからないけど、頑張りましょーえいえいおーっ!」 「よくわからないけど、この日は綺麗に飾ってご馳走を食べるお祭りだってことは理解した! ……ぁぅ!」 シーヴの音頭に勢い込むユーナの頭に、飛んできたジュースの蓋がぶつかる。 しかし、めげない。 ボトムへ降り立って様々なものに揉まれながらも順応してきたのだ。今日のクリスマスもやり遂げてみせる。 「ん~、ふわふわの綿……おひげ? こう使うの?」 「あ、シーヴお姉ちゃんそれ違うよっ!? サンタさんの付け髭はこっちー♪」 「ふにゃ? ちがうの? ゼフィさんも知っている?」 「それは『雪』を表現しているらしいですね、シーヴ姉さま」 「ふむふむー、雪の代わりなのかっ」 飾り用の綿を口髭っぽく付けるシーヴに、エフェメラはサンタ用の口髭を代わりに渡してくすりと笑う。この日の為にエフェメラは調べてきたのだ。 ゼフィから綿の正体を聞いたシーヴは、口髭を付けたまま、楽しそうにツリーを飾る。 「ゼフィちゃんも、一緒に飾りつけしよっ♪ はい、わっか!高いところに吊るんだってー。高いところは脚立を使うといいよっ!」 「はい、ありがとうございます」 姦しく騒ぎながら、準備を進める。皆で騒ぎながらパーティー準備をするというのは、ラ・ル・カーナでは無かったことだ。それがすごく楽しい。 だから、エフェメラは言った。 「今度ラ・ル・カーナでもやろっ!」 今の今まで飾りつけを手伝っていた魅零は、葬識の姿を見つけるやリボンを放り出して斬りかかる。 「ここで会ったが100年目ェ! 葬識先輩、今日こそ貴方を倒ォす!」 しかし、葬識はあっさり気配に気付くと、にぱーと笑いながら躱してしまった。 「はーい、黄桜ちゃんこんにちは。殺気はもっと抑えなきゃ。息をするように殺すことを狙うんだよ。殺気が出てるようじゃ気づかれちゃう☆」 「殺気出てましたか? すいません、至らない点でした、おい飾るんじゃない。違うッ! 先輩、違う、そうじゃないんです」 そして、葬識は鮮やかな手つきで魅零に飾りつけを施してしまう。雪だるまのオーナメントが可愛らしい。 「はいはい、動かないでね。かわいー。女の子は飾りつけないと。めりくりー☆」 先輩、だめ、尻尾だめっ。 駄目っ気持ちよくなっちゃ……っ。 ら、らめえぇぇ! いひゃぁぁん。 ぅ、ぃいんっ! とってぇぇ色々とってぇぇ!! 「公民館なんだから、騒いじゃだめだよ。おにーさんとの約束だ。また、別の場所で戦おうよ、約束」 「やくしょくしましゅ……」 頭を撫でてツリーにどくろを飾ろうとする葬識の後ろには、クリスマスツリーよろしくライトを光らせる魅零の姿。 全年齢、ですよ? 「すみませんです、ティアリアせんせい……ミミルノがいっつもてきとーにしちゃうのでっ」 「ふふ、気にしなくていいのよ」 皿の並べ直しを終えて謝るミミミルノ。姉のミミルノが大雑把に済ませてしまったものを直していたのだ。もっとも、ティアリアはそれ程気にもしていない。 「パーティーを楽しみましょう」 「はいっ、きょうはティアリアせんせいもいるからミミミルノもあんしんですっ」 出来た料理も上々。いよいよ、パーティーの始まりだ。 自然と足取りも軽くなる。 「おお~~~~~~すっごいキラキラしてて、あといいにおいがするのだっ!!」 ミミルノは完成したツリーの前ではしゃいでいる。 「ふふ。いい出来」 シュスタイナが満足そうな表情で、ツリーをカメラに収める。 そうこうしている間にみんなの協力の甲斐あって、準備は整ったようだ。 集まったリベリスタ達は飲み物を手にする。 そして、パーティーの始まりを告げる言葉と共に乾杯した。 「「「メリークリスマス♪」」」 ● パーティーの始まりが宣言され、目の前に料理が並んでいる。 こうなってしまえば、やることなど1つしか無い。 「おお、美味しそうなごはんも並んでおるのう♪ おにくおにく! 今日は喰い溜めておかんとのう」 「クリスマスといえばっ! ふらいどちきん! ピッツァ! ほかにもいろいろ! あーーーーんど! ケーキ!」 パーティーが始まるや否や、【団地】の狐系女子、レイラインとミーノは勢いよく食べ始める。 せっかくのクリスマス。はしゃがなくては、逆に申し訳ないと言うもの。 狐の尻尾も歓びに揺れている。 無尽蔵を思わせる気迫と食欲だ。 その横で日本には珍しい七面鳥の丸焼きを前に、疾風・悠里・レンといった男衆も舌鼓を打っていた。 「シャンパンや七面鳥もあるの? ありがとう頂くよ。美味しそうだ。」 「七面鳥って日本だとあんまり食べないからね。レンは元々イギリス生まれだからこっちのほうが馴染み深いかな?」 「七面鳥は久しぶりに食べるな。さすがに丸焼きは大きい。何かおすすめの食べ方などあるんだろうか?」 「日本で七面鳥の丸焼きよりフライドチキンの方が主流になったのは、大体某チェーン店の仕業だ」 疾風の小ネタを肴にわいわいと七面鳥をつついている。 「男子はお肉食べろー! 大きくなーれっ♪ 七面鳥の砂肝ってあるのかな? これ?」 真独楽ははしゃぎながらも、男子陣に肉を取り分けている。 「真独楽ちゃん、僕達の会話覚えて好物探してくれたんだ。なんて良い子なんだ……天使か」 「砂肝……? これか、なんかごりごりしているけどおいしいな」 独特の食感を楽しみながら、もらった肉を美味しく食べる悠里とレン。 割とグルメな竜一は、アレコレと調理された鳥を味わっている。 「塩、タレ、レモン……色々な食べ方を楽しんでこそ、だ。味の変化。それが大事」 「ま、鳥肉だわな! ん? オレは塩タレどっちも頂くぜ! 大体何でも美味ぇしな!」 ここぞとばかりにぱくつく火車。貧乏舌の彼にとっては、どちらかと言うと量の方が大事なのだ。 そして、盛り上がって来た所へクリスマスパーティーのもう1人の主役、クリスマスケーキを携えて守生がやって来る。 「おーい、ケーキ切って来たぜ」 「ケーキはべつばらっ! いくらでもおっけい!」 七面鳥を食べていたミーノは誰よりも速く、ケーキに向かっていった。 とまぁ、今回は比較的健全なノリのイベントであるわけだが、それでもまぁ【駄目大人共】はいるもんだ。 「そこそこ、斜めになってるー。えー斜めになってるのワタシー?」 真昼間から酒をかっ喰らって、海依音・鷲祐・モニカの3人は管を巻いていた。 「海依音……いい加減俺は、生き方考えるべきなんだろうか……」 「わしすけ君はねー、そのままでいいのよ。真っ直ぐに目指すもの追いかけ続けるってのが貴方でしょー」 「……この前、塩と砂糖を間違えた。衰えたもんだな、俺も……なぁモニカ、笑えよ……」 「塩と砂糖間違うような雑な料理してたらまた家が燃えますよ」 「塩と砂糖間違えるとか古典的でしょー」 テンションの上下も激しく、意味も取り留めも無く会話を続ける3人。 説教モードになってエラそうなことを語ったり、突然真面目なことを言い出すのも、全て酒のせいだ。 「大体かいね、なんでおまえそんないい体して男の一人もだなー!」 「海依音ね、超可愛いですよね、なのに彼氏できないとか、世界が狂ってるとしかおもえません!! そうでしょ? モニカ君」 「はいはい良かったですね、男にモテさえしなきゃビッチ設定捨てられますよ」 「最近のモニカはなんかエロい」 「今更口説いたってフラグは立ちません」 鷲祐にモニカの膝蹴りが決まる。 こんなクリスマスで良いのかという気もするが、まぁ飲み仲間とだらだら過ごすのも一興であろう。 3人のだらだら飲みは、海依音と鷲祐がダウンするまで続けられた。 よくつまみ出されなかったもんだ。 そして、最初の狂騒も過ぎ去り、会場の中には落ち着いた雰囲気が流れてくる。 お菓子を開けたら、勢いよく飛んで行ったお菓子がユーナにぶつかるというアクシデントやとにかく飛来物がユーナにぶつかるというアクシデントもあったが、ゼフィもクリスマスの雰囲気をのんびりと味わう余裕が生まれてきた。そこへウラジミールがやって来る。 「どうしたのかね? 楽しめているかね?」 「はい、お陰様で……ヴォロシロフさんは?」 「それなりに。自分のことは気にせずに皆は楽しむといいだろう」 ウラジミールの家族は、故郷であった事件によってこの世には無い。だからこそ、彼にしてみればこんな時間が与えられたことは素直に嬉しいのだろう。 その時、公民館の庭から声がする。火車と竜一のものだ。 「今から竜一の一芸披露があーる! 拍手拍手ー!」 「ぎゃー! なにしてんだ火車! せっかくだからテメーも燃えてけや!」 何が起きたか察しておろおろし出すゼフィ。 ウラジミールもため息をつくと、すぐさま事態の収拾に動き出した。 クリスマスの主役はやはり子供達。彼らが楽しめるようにするのが、大人である自分の役目だ。 「ミーノとレイラインともスイーツわけっこ! 甘いものは女のコの必需品だもんっ♪」 「わ~~~おいしいの~~~」 「お、まこにゃんはおすそ分けありがとうのう♪ お礼はこちらじゃ、お手製クリスマスプディング!」 先ほどの「体を張り過ぎた芸」による騒ぎも沈静化し、締めのデザートを堪能する女子達。この切り替えの早さが無くては、リベリスタなんか務まらない。 レイラインが持ち込んだのは本場イギリスのプディングだ。なんでも、半年以上熟成させるものもあるそうな。ちなみに、さっきも食べていたなどと無粋なことを言ってはいけない。別腹だ。 「よしよし、お兄ちゃんのお膝の上に座りたい子はよっといでー!」 竜一と火車も再び食べるモードに戻り、シャンパンを口にしている。 レンも火車の前でせっせと肉を食べている。目指したい身長があるのだ。 そんな中で、真独楽は何かを思い出すと、自分の荷物の中から持ってきたものをみんなに見せる。 「じゃーん、団地のみんなをイメージして作ったマスコット♪ ツリーに吊るそ?」 「だったら、俺も準備があるよ」 真独楽がマスコットを見せると、疾風もサンタクロース服を着たモルのマスコットを取り出す。 一斉に盛り上がる一同。 わいわいとクリスマスツリーに群がって行く。 そんな中、悠里はしんみりと呟く。レンも頷き返す。 「団地のみんなでこうやって遊びに来るのももう3年目かぁ……。これからもみんなで遊びに来たいね」 「こうして来年もみんなでこのツリーを見られるといいな」 明日も知れないリベリスタ達の生。 それでもまた、再びこの時間を過ごせることを信じて。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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