●三高平防疫強化施策 夏。 梅雨が開け、うだるような暑さを伴う夏がやってきた。 この日本も例外なくやってきたそれは、同時に衛生環境の悪化や関連エリューションの跳梁跋扈をも時に引き起こしかねない。 そこで、三高平市もといアークは独自の衛生強化施策を展開することとなった。 『三高平防疫強化施策』略称『三防強』である。 そんな事があるのはさておき、三高平市より離れたある山沿いにある湖畔。 そんな場所に不自然に立っているボロガレージから響いてくるのは、バチバチとしたアーク溶接のような音。 覗いてみると男がなにやら作っているようだが、まだ上半身すら出来上がってないのかその全貌は未だ見えない。 「予定より大分進捗が遅れてしまった。おのれアーク、おのれアーーーク!!」 ――ここまで来てお気づきの方はカンが鋭い。 彼はかつて、リベリスタによって叩き壊された(自称)美少女ロボ「ねこねこハリケーン28号」を世に輩出した、ちょっとマッドが入ったお方である。 彼こと『路傍・誠作(ろぼう・せいさく)』は退院後住居を移し、新たなメカをこの地で作っているようだ。 「しかし……あつい! しかもやはり蚊が多いなここは!」 体を掻きながら溶接用マスクを外す路傍。白衣が煤けてるわボロボロだわで酷い有様だ。 元々廃棄されていたボロガレージということで入ってくる虫も多く、スキあらば蚊が、ムカデが、そして虻が容赦なく男の体を狙ってきている。 それもこれも森が近くにあるという立地が悪いのだが―― 「こうなれば私も我慢してられん。こいつの出番だ」 そう呟くと何やら大きめの工具箱からゴソゴソと何かを探し――そして掲げる。 「てんてけてーん☆ ハラドキスモークBP号カートリッジ装填済み! さぁ小童な虫どもよこのスイッチを入れたが最後オールノックアウトだ」 掲げたのは単なるメカメカしい蚊取り豚であるが、中に入っているのは蚊取り線香ではなくカセットボンベのような物が入っている。 「ガスマスク完了、スイッチオン!!」 路傍がガスマスクを顔に付け……そしてスイッチ・オン! カタカタカタ―― ぷっしゅぅ、ぴーっ!!! 「なな、なんだぁ!?」 突然の怪音と同時に路傍の手から離れるハラドキスモークBP号。 そして、メカ蚊取り豚はその目を赤く光らせたまま、ボロガレージの一部を破って外へと飛び出していった…… 「――暑さで熱暴走でもしたのか? まぁいい天才には失敗も付きものだ!」 ●森を燻すもの 「当該神秘、その性質を確認。至急の対処を要請します」 『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)の招集のもと集まったリベリスタ達。 幸いにも『三防強』実施期間中である為、集まりだけは上々である。 「それでは説明いたします。今回の発生地域は某森林内で、当該エリューションの種別はE・ゴーレム。フェーズは1が1体となっております」 フェーズ1に安堵を見せる一同。これなら簡単だと思ったのだろうが、そうは問屋が卸さない。 「ただ、エリューションの行動に問題がありまして、エリューションは森林内を縦横無尽に動き回り、内蔵されている殺虫剤を森全体に散布しようとしています」 加えて、この殺虫剤は虫だけでなく毒性から人間にも有害であることがも補足される。 森の中を高速で駆けまわり、赴くままに殺虫剤を散布しまくるエリューション。 もはや聞くからに脅威的に思えてしまう。 「あと、形状ですがおおまかに言えばメカメカしい蚊取り豚です」 ――一瞬空気が止まる。 「ですから、メカメカしい蚊取り豚……です!」 森の中を高速で駆けまわり、赴くままに殺虫剤を散布しまくるメカ蚊取り豚。 もうどういう風に撒いてるのか絵面が想像ついてしまう。 さっきまでの脅威的なイメージ総崩れである。 「エリューションの行動地域はすでに殺虫剤の汚染が酷く、長期行動は非常に危険です。 鬱陶しいとは言え、殺虫剤の撒き過ぎは良くないですからね。では宜しくお願いします」 ひとまとめ終わり、和泉は冷静に一礼する。 その内心、あまりに超常めいた事象に戸惑いを見せたことは彼女のメンツもあるのでそっとしておいておく。 「そうだ、エリューションの名前」 「あ、すみません。ええと……ハラドキスモークBP号。ですね」 はてどこかで聞き覚えのあるネーミングだな? と、一部のリベリスタはふと考えるのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:カッツェ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 4人 |
■シナリオ終了日時 2011年08月09日(火)23:38 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■サポート参加者 4人■ | |||||
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●毒霧煙る森の中へ シュコー シュコー コーホー シュー……コホー 「皆サン付けましたカ? 簡易マスクでも無いより有ったほうがマシデース」 『奇人変人…でも善人』ウルフ・フォン・ハスラー(BNE001877)の購入したガスマスクを被り、さらに一部は水中メガネや長袖シャツ、ジャージといった完全防備で立ち向かういかにも怪しい一行。 このような扮装になるのも無理は無い。現場の森では既にあちらこちらから煙が立ち上がり、余剰な殺虫剤が風に乗って飛散しているのがガスマスク越しに把握できる。 対策なしの生身での行動では命さえも奪いかねない。 「しかし生み出した物に対する責任感がないってサイテーな男ッスね、その誠作って奴は」「全くデース! あのお馬鹿だとしたら全く反省がありまセーン!」 ご自慢の兜をガスマスクにかぶり直した『守護者の剣』イーシェ・ルー(BNE002142)もやや不機嫌そうに言いながらも倒す意気を固める。 やはりどこまで言ってもリベリスタとエリューション、世界と環境を害するものは叩き壊さねばなるまい。 「まぁ、なんというか馬鹿じゃのう」 「見た目はアレでコミカルな感じですが……厳しい戦場ですね」 『鋼鉄魔女』ゼルマ・フォン・ハルトマン(BNE002425)は呆れ、『見習いメイド』三島・五月(BNE002662)は辺りを見直す。 「かといい放置するわけにも行かぬ、自然破壊を防止する面でも手短にスクラップにせねば」 そして何より、『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)の言葉通り、長々と放置してしまえ森の木々や生物に対して甚大な汚染を招きかねない。 何気に三防強の中でもかなり大掛かりなミッションになりそうな予感がして参りました。 「見つけたらポチッとして……げふげふ、シュコー」 やはりメカといえばそれを思い出しますか『ぱりんと割れる程度の代物です』姫宮・心(BNE002595)。だがそれで止まったり自爆するかはまだ分からない。 様々な思惑のまま、一行は森の中へと入っていく。 それを見送るものは―― ズ、ウゥゥン、ベキバキ…… たった今、このエリアから消え去った。 ●豚はどこだ! 「う……ここまで濃密なものが作れるのじゃったらもっと有意義に使えばいいものを」 入った瞬間咽たのは『泣く子も黙るか弱い乙女』宵咲 瑠琵(BNE000129)。 和泉から借りた迷彩が入ったガスマスクを身につけるも、やはり完全には防げない。 入る前に「蚊を滅ぼせるのなら世界を変革するのも悪くないのぅ」という食物連鎖が大変なことになりそうな発言をしていた彼女。 それでも豚さんことガラクタエリューションはしなくてはならない。リベリスタだから仕方ないね。 それにしても、ハラドキ(後略)→豚さん→ガラクタというひどい遍歴である。 「早速任務を開始する。各員足元には注意しろ」 超直感を持つものが目を光らせ、ウラジミールもまたホークアイを駆使して木々の間をくまなく探す。 足元には彼の指摘通り殺虫剤がたまってる箇所もあり、迂闊に嵌ってしまえば―― 「ぎゃっ! 敵のトラップッスかごぼっ、ごほーっ!?」 不幸にも引っかかったイーシェがガス溜まりの中で混乱のあまりジタバタもがく。 「引っかからんなと思ったら……ほれ、大丈夫かのぅ」 「この経験もまた成長の糧、ですね」 ゼルマが手を貸し、さらに五月が引き上げる。 「シュコー(ふー)、何だかやりにくいッス……」 何とかガス溜りから抜けて一段落ついたものの、この様子が続くかと思うとあまり良い気分ではない。 ひとまず、セミの抜け殻にも昆虫にも反応は見せず、豚さんは本当にやたらめったら殺虫剤を撒いていくしか能がないということが解っただけ幸いか。 「時間かけると虫どころか俺達もまずいな、あの野郎どこ行った?」 だが、『駆け出し冒険者』桜小路・静(BNE000915の持ってきた虫かごに入れていた虫達も、もはや外気に触れて全滅状態。様々な策を講じても入り込む白煙に次第に体力も奪われていく それほど濃密な殺虫剤の霧に翻弄される中、どこからともなく地面を駆ける音がする。 「あれか!」 バイクの如きエンジン音、そして草木を刈り別けるかの如き駆動音。 ウラジミールの目に留まったのは、鈍色無彩色な鉄製の蚊取り豚! 「出ましたネー! 正面から突っ込んでくるとは思っても見ませんでしたガ」 AFからそれぞれ武器を展開し、構える地上班各員。しかし、なにか様子がおかしい。 先ほどまでホークアイで視認がようやくだったほどの距離にいた豚さんが、今や、直ぐ目の前まで迫っているではないか。 「コーホ……まずは避けるの――」 「アウチ!」 「コホッ!? (速っ!?)」 瑠琵が言うまもなくウルフに直撃する豚さん。 そして、近くの木を駆け上ったかと思えば回転しながら『宵闇に紛れる狩人』仁科 孝平(BNE000933)に突っ込む! 「しまっ――」 しかし、その体当たりは地面に激突し、地面を掘りながらも尚進んでいく。 「ふざけた外見の癖にチョコマカと」 「性能がかなりピーキーじゃのぅ。うまくすれば待ってるだけで自滅するかもしれんの」 いきり立つ『我道邁進』古賀・源一郎(BNE002735)とは裏腹に、ゼルマは至って冷静に状況を読む。 「確かにアレは当たったら強烈ッス。けど倒せないことはないッスよ」 当たるも見つかるも八卦、その逆もまた然り。 その理屈に騎士道あふれるイーシェは若干やりにくい様子。 「次、来ますよ」 「ウラジミールさんは連絡を、速度には速度です」 「了解した、空中班。聞こえるか」 トランシーバーのチャンネルを素早く合わせ、空中班に連絡をとるウラジミール。 第一発見はこちらだが、もう一方の班は敵を捕捉できただろうか。 ――時は少し戻り…… 「けほっ、けほっ。気分がならないうちに飛ぶ」 一方で『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)は羽を広げ、森の上空から偵察に当たる為羽を広げる。 この広い森の中を虱潰しに探すのは骨と判断したか、雷音・心・そして『正義の味方を目指す者』祭雅・疾風(BNE001656)の3人は上空から豚さん捜索に乗り出す。 しかし、疾風だけが羽が生えていない。そこで…… 「少し居心地が悪いとは思うが、空中散歩だと思ってほしい」 「OK、これ以上汚染させはしない!」 しっかり雷音に掴まれ、ふわりと疾風の足が地から離れる。 木々を抜け、空に上がればそこは緑の森に雲のような白煙が立ち上る、なんとも奇妙な光景が広がる。 「ちょっと、私も行くデスよ!」 慌ててもったらもったらと心も登っていく。びっくりするほどの重装甲は盾にはなるが、足の速さが奪われる面では確かに慌てたくもなる。 地上に比べ、まだ新鮮な空気が漂う空中。 そこから森を見下ろして見ると、なんとなくではあるが大体の位置がつかめてくる。 「思った通り、あそこデス!」 「アレだな、思った以上にスンナリ見つかったみたいだ」 心が指さす先には、一際濃い白煙が立ち上る箇所が歩くほどの速度で移動している。 一時楽観視していた2人だが、雷音の表情は思わしくない。 「やはり早すぎる気がする。地上班、こちらも鷹の目が捕捉した。場所は――」 GPSを便りに大まかな位置を指し示す雷音。森の中ではかなり使い勝手も悪いだろうが、無いよりあったほうが幾分いい。 「こっちも確認した。今再襲撃に備えて――く…………まっ……こいつ」 とぎれとぎれに聞こえてくるウラジミールの通信。 まさか、もう戦闘が始まっているというのか。だとしたら奴はどれほどのスピードで駆け巡っているのか到底想像もつかない。 「これは急いだほうがよさそうデス。早く戻りましょう!」 シュコーシュコー言いながら慌てて提案する心、状況の切迫具合に彼女も大慌て。 それに対し、雷音は―― 「疾風」 「どうした」 「少しだけ、空中曲芸になるが我慢してほしい」 「え」 「そういう事で、一気に突撃デス!」 心の一声を皮切りに、4枚の羽が煙を斬り、相対速度のままに地上へと滑空していく。 しばしの間、疾風は必死に雷音にしがみつき――あ、木にぶち当たった。 ともあれ、2つにわかれた部隊は、加速度のままに再び交わり始める。 ●特攻蚊取り豚 弾ける銃弾、薙ぎ倒される木々、そして飛び跳ねる鉄の豚。 白煙の森は瞬時に戦場と化し、生と死を分ける場と化す。が―― 「どれだけ速いのですかこの豚は!」 「ポンコツをスクラップにするだけの簡単な――これ全然簡単な仕事じゃないッスよ!?」 「下らぬ外見の癖にまぁなんと猪口才な……」 ハイスピードをかけて追いつこうにも追いつけぬ孝平、翻弄されるイーシェにウルフに癒しの息を吹きかけるゼルマ。 豚さんの速さは恐ろしいことになっており、狭いエリアをまるで跳ね回るように爆走しながら殺虫剤をモクモク炊いてくるものだからさぁ大変! 「この速さ、上手く庇うことが出来ればいいのですが……」 五月はゼルマを気にかけながらも一撃の為に集中を絶やさない 「面目ないデース。しかしうまくすれば自爆も誘えますデース!」 この暴走とも言える速度は逆を取れば制御ができていないとも言える。 ならば、思い切って拳を突き出すのも吝かではないのかもしれない。 「コーホー。つか、見付けてしまえばこっちのものなのじゃ! かこめかこめ!」 「おう、どうとでもきやがれーっ!」 北斗七星を彩ったリボルバー『天元・七星公主』片手に発する瑠琵の声。それに静の雷撃が奮い、豚の表面を削り、纏った雷が黒く溶かす。 「まだだ、空中班は――」 「グ……まだまだッス」 「しっかりしろ、任務が終わるまで倒れるな」 外見は蚊取り豚とは言え、その実態はやはり鉄の塊。 その重い直撃を受けてふらつくイーシェを支え、合流まで耐え忍ぶウラジミール。 だが、そこに襲いかかるは鉄の豚さん。先ほどと同じ、木の進路によって再びこちらに方向を変えて襲いかかる。 「――来たか」 間一髪避けたものの、流石に鉄槌を叩き込むまで余裕はまだない。 そう、今はまだない。今は―― 「待たせた」 「おまたせしましたのデス!」 その蒼き瞳が捉えたのは、空中から滑降した雷音と心。そしてズタボロの疾風の姿。 「……あたた、これ戦闘よりダメージ酷くないか?」 「多分気のせい」 守護結界を張りつつ、疾風も呼吸を整え傷を癒す。 「私も前に出るデスよ。倒せないけど!」 「なら、その分私に任せてください……来ますよ!」 ただ守るだけが取り柄という心。守り戦い強くなろうとする五月。 それでも今の2人は、目の前の突撃する豚を2人がかりで抑えつける! 「こ、この豚さん中々やりますデスね」 「今のうちに攻撃を!」 その隙を逃すまいと、五月はその脚から斬風を生み出すもカスリに終わり、ジリジリと2人を押していく。 万事休す、2人とも力尽きようとしたその時だった。 ボンッ! という音と共に、鉄の豚のケツから火が吹く! 「女2人が耐え忍んで、我が黙ってられるか」 片方男の子だけどさておき。 「これでエンジンはブレイクデース!」 ウルフの精密射撃と源一郎の打ち抜きが、2人の僅かな間を縫って豚さんの通気口を塞いだことでオーバーヒートを起こしたのだ! 動きが鈍り出すハラドキスモークBP号。そこにトドメをかけたのは―― 「ここで、決めるッス!」 オーラ充填完了。イーシェのバスターソード『Knight's of honor』が下段から上段へと鉄の蚊取り豚を打ち上げる! イーシェのクロスが揺れ、鉄で出来た蚊取り豚がオーラと土煙を上げながら空へと消える。 そして―― 「ここがアンタの最終処分場ッス!」 空中。殺虫剤の及ばぬ場所で、ハラドキスモークBP号は轟音と共に爆発四散した。 かくして、革醒を遂げて虫どころかリベリスタすらもオールノックダウンしかけた鉄製蚊取り豚ことハラドキスモークBP号はただの鉄くずとなって空に消えた。 持参の中和剤では収集がつかないと判断したウラジミールはアークに連絡。 程なくして対策が為された事により、一連の殺虫剤は終焉を迎えたのであった―― とおもいきや、実はもう一つ物語はあるのだった。 もう少し続くのじゃよ。 ● 「このガラクタを作ったのは誰じゃぁ!!」 「……というか、なんで突入してるんでしょう。お知り合いさん?」 心だけがよく状況を飲み込めないままボロガレージへと突入する一同。 そんな彼女を除く全員の目的はただ1つ。この騒動を起こした大元凶を引っ捕えることにあった。 「毒ガス散布事件の真犯人、逮捕――アレ?」 しかし、その中は既にもぬけの殻。後に残っているのは巨大な物体がメチャクチャに動いたために生じたであろう痕と、トタン壁にあいた5m強ある大きな穴。 「……逃げられてしまいましたね」 「オーゥ、説教の一つでも飛ばそうと思ってたのに残念デス」 悔しがる一同を尻目に、別行動を取る瑠琵の姿。 仮にエリューションであればその特性によってメカの革醒が起こっているかもしれないと踏んだようで、あっちこっちにある木箱を漁る。 「このスイッチとか怪しいのぅ?」 ふと手に取った赤いスイッチをぽちっと押す瑠琵。すると―― 『……あーあー、マイクテストマイクテスト。 アークの諸君、よくもこの前は私のねこねこハリケーン――何号だったかまぁいい。破壊してくれたな』 「いや自分の作ったメカの名前ぐらい覚えとけッス!」 どこかに設置されていたであろうMP3プレイヤーから流れだすは誠作の声。 リベリスタたちが戦ってる最中に用意してたのだろうか。突っ込んでも無論返事は帰ってこない。 『この路傍誠作の明晰かつ天才的な頭脳そしてこのオーダーメイド的手法で作られたロボットが破壊されるというのはまったく気にくわん、故にいつかリベンジさせてもらおう!』 「……本当に腹の立つ御仁じゃのぅ」 「落ち着きたまえゼルマ嬢、続きを聞こう」 自信満々で語るさまに、一連の戦闘で服を汚された挙句暑い思いしたゼルマさんはご乱心寸前。 もう少しですので落ち着いてください。 だが、そんな期待を砕くように話は彼のロボに対するどうでもいい薀蓄が長々と語られ、それも尽きたのか話は佳境へと入っていく。 「ようやくか。これで爆発オチなんて安直なことは――」 『尚、この音源とガレージは再生終了後爆発する。さらだば!』 「えっ」 逃げるリベリスタ、鳴り響く爆音。 静かな湖畔に爆音が、ガレージ崩れる音響く。 どかーん どかーん どかーん…… おわれ |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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