●EX粋狂堂 -Exhibition Match- 冷たき風が、冷たく抜ける冬風の。頬を撫でてゆく有様は、遠慮も躊躇もない。 太陽は、夏に頑張って疲れてしまったのか。悠長な冬の日差しを放っている。 まわりに浮かぶ雲も、ぷかぷかと呑気に漂流している。雪が降るか振らないかともつかない煮え切らなさと、抵抗する様に紅葉がチラチラと風に吹かれ、風景は一幅の絵の様にも見えた。 空のカンバスには、冬がある。雲と青色のグラデーションがある。 とにかく、長閑なものだった。 「突然だが、私と戦って欲しい」 武道館に呼び出されたリベリスタ達であったが、唐突な事を唐突に言い出したのは、呼び出した本人、『参考人』粋狂堂 デス子(nBNE000240)である。 「質問。何で?」 「理由が無ければ戦えないのか?」 眠そうな目が、今日は一層に座っている。普段ずっこけたり、残念だったりといった空気は微塵も無い。 「――まあいい。私は元々フリーの人間だ。正確には恐山派から依頼を受けていたフィクサードと言えるか。成り行きでアークに身を置く事になり、成り行きで業務の手伝いをして今に至っている。惰性の様にな」 恐山派とは、国内のフィクサード組織の一柱であり、陰謀策謀を得手とした利益追求主義の組織である。彼女は恐山派の暴力担当から雇われて、アークと交戦し今に至っている。 「最近、その惰性が非常に気に食わなく思えている。うまく言えないが、自分で自分を嫌悪しているような、このままで良いのかという感覚だ。馬鹿馬鹿しい話だが」 かつて、プロの自覚があったが故に口を閉ざそうとした。しかしある事件の情報をアークに提供してしまった。口を開かせたものは和気あいあいとした三高平の空気か。ここへ連れてきたリベリスタ達の言葉か。 「出て行くという事はないのだが、そういうモヤモヤは、全力で戦えば失せるものと相場が決まっている。先日の第一回タッグトーナメントの延長だ」 非公式のな。と付け加える。 どうも脳筋の類らしい。ともなれば二人一組で戦うという事か。 「そっちのもう一人は誰?」 「それなりの奴に声をかけてある。――それと、なるべく重傷まで追い込むつもりは無いのだが、手違いはありえるとだけは言っておく」 本気でやりたいと思っているようだ。 それも、リベリスタとフィクサードと戦う時と同じ温度感までに。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:Celloskii | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 6人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年12月26日(木)22:13 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●フィティ&光介ペア1 粋狂堂が振り上げた重火器が、フィティ・フローリー(BNE004826)の頭に下された。 フィティは愛用の槍でもって受ける。受けた瞬間に片手を離し衝撃をいなす。いなして石突きで粋狂堂の側頭部を打つ。瞬時に間合いを取る。 「『刃を交えれば判る』というのは、あながち間違いではないかな。その人が何を主眼に鍛練を積んできたのかは判る」 デス子は側頭部からの出血を意に介さず、重火器を握り直す。 「槍術は此方に来てから覚えたのか」 フィティは世界樹の子、フュリエである。 「アークの人が死ぬのを見たくないから少しでも手伝いたい、ってだけでも意外と走れるものだよ」 「崩界から守る──リアリティの無い目標より、身近な者が先に来るものだな」 「"ついで"でしかないね。別にこの世界が崩界しようがフィクサードが跳梁跋扈しようが、せっかくできた『仲間』に被害がなければ、割とどうでもよかったりする」 『贖いの仔羊』綿谷 光介(BNE003658)は、光の矢をデス子に放つ。デス子は重火器をぶつけて雲散させる。 「自分探しの殴り合い──デス子さんらしいですね」 軽口めいた言葉とは裏腹に、胸裏は真剣である。光介の気魄を察したか、デス子は。 「私のわがままにつきあってくれた事に感謝しているぞ。光介」 「良いんです。僕は、戦い自体が目的ですからね」 リュネット──眼鏡を中指で押さえる。 「驚いたな……キース・ソロモンの様な戦闘狂なのか?」 「違いますよ! 僕にとって戦いは──」 ここで光介は、思考を読み抜かれる感覚を覚えた。 誰が使ったのか。 デス子の向こう側で、パイプ椅子に座ってニヤついている朱鷺子であると知覚する。 「性悪って言われませんか? 朱鷺子さん?」 「何を今更」 デス子が首を竦める。 「まあ、色々語り合っても仕方ないし、趣旨もあれだから──」 フィティがトップスピードを纏う。さらに加速する。 「──再開しようか」 ●フィティ&光介ペア2 フィティと光介の策は持久戦であった。 デス子と朱鷺子の二人は回復を持っていない。火力源であるデス子さえ抑えてしまえば良いのだと集中攻撃を加える。 「読まれていますか」 『持久戦狙いでしょうか?』 光介の脳裏に朱鷺子の声が響く。 『ヘイヘイ! 光介ボーイ! シングルヘール! シングルヘール!』 マスターテレパスを経由して朱鷺子が煽ってくるアッパーユアハート。咄嗟にマスターテレパスを遮断する。実際、恋人はいる。 遮断した途端、朱鷺子は、フィティの周辺まで駆け足する。デス子と切り結んでいる両者の周囲を、気合の入った中腰で無表情のままちゃんちゃか鳴らして周回する。 「ヘイヘイ! 長耳お嬢さんシングルヘール! シングルヘール!」 「うるさい!」 怒りのフィティが、朱鷺子を槍で横薙にしてぶん殴る。 「ぐはー」 朱鷺子はぶっ飛ばしたものの、切り結んでいたデス子から目を離してしまう。 視線を戻した途端に、デス子の左目──血のような真っ赤な目が眼前。次に重火器の鈍い輝きが横から飛び込んで来た。重い痛みが頭部から全身に広がる。 「──っ!」 デッドオアアライブ。特に致命の付与である。回復による持久戦を想定していた光介にとって、最も使ってほしくなかったであろう技であろうか。 「フィティさん!」 光介が歯噛みする。 破邪の光が致命を解除するも、フィティに対する回復が一回潰された形である。次も使ってくるか。 「いや──使って来ますか」 朱鷺子がニヤついている。 「テレパスで対処を共有しているのかな」 フィティは広角から垂れた血を拭う。槍を握り直す。 「まだまだだよ」 光介が致命を解除する為に一手を使えば、回復の手が止まる。 矢を撃つタイミングが中々来ない。来ない上に、朱鷺子の煽りである。光介には効果が無いものの、フィティの攻撃が分散する。ここに癒し手のジレンマが存在する。結果的に勝敗の天秤は相手に傾いていく。 「流石は『粘るアークのリベリスタ』ですか」 朱鷺子がタンバリンを叩きながら無表情にフィティに言う。まるで、自身がアークの所属ではないかの様な口ぶりである。 「生憎と、諦めっていう言葉が辞書には無くてね」 「これは失礼しました長耳さん。では決着としましょう」 タンバリンは破界器だった。叩かれると痛いタンバリンの枠部分がフィティに叩きつけられようとした束の間に瞬間、フィティの攻撃が先に届いていた。 束の間の隙、束の間でフィティが槍を握り、石突で顔面を殴りつける。 「ぐはー」 ざまあみろ。 タンバリンが触れる。途端に猛毒がフィティの全身を蝕む。業炎が所々に生じて、フィティは膝をついた。 光介は一人になっても戦いつづける。 「聞き逃していたが──光介」 「何でしょうか」 「『僕にとって戦いは~』の後は、何だ?」 「贖罪です」 デス子は目を見開いて改めて問う。 「腑に落ちんな」 「唯一、生きていてもいいんだと思える瞬間。戦い自体が目的。だから正直場所にこだわりはない」 逆に。 「『偶々』身を寄せる場がここであってもいい。少しくらい居心地が良くても、出会いや日常があっても、いい。最近はそんな風にも思えるんです」 仏頂面だったデス子がフッと笑う。 「そうか、光介らしい話だ。成程、似ているものだな」 「……デス子さんはどうですか?」 「そうだな」 突如、今まで鈍器の様に使っていた重火器から、金切り音が響き渡る。 「どうも三高平の空気で丸くなってしまったようだが──悪くない」 「それは……良かったです」 爆発する凄いドリルが放たれた瞬間、回復が追いつかない程の火力を垣間見る。 程なく、光介は膝を着いた。 着くも、情報は次の戦いに活かされる。 ●シュスタイナ&壱和ペア1 「いいんじゃない? たまにはこういう、何も考えずに殴りあうって言うのも」 『揺蕩う想い』シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)がひらりと、場に降り立つ。 「シュスカさんとタッグを組める折角の機会ですから、全力でお相手します」 『番拳』伊呂波 壱和(BNE003773)が、ぴこぴこと尻尾を振って団旗を握る。団旗は破界器である。 「壱和さん、よろしくね」 「頑張りましょうね。よろしくお願いしますっ」 キラキラしている二人であるが、朱鷺子は何やら後ずさりをしている。 「この二人はどうして輝いてみえるのでしょうか……! 脅威!」 「お前が淀んでいるからだろう」 デス子は、視線を朱鷺子からシュスタイナと壱和に移し、二人ともよろしく頼むと言った。 そして戦闘が開始される。 シュスタイナはワンドを構える。次に『殺られる前に殺る』と胸裏で反芻しながら黒き魔曲を詠唱する。全霊火力。でなければこっちが持っていかれる。攻撃こそが最大の防御。 『何という力押し。恐ろしい』 シュスタイナの脳裏に朱鷺子の声が響く。 「読まれたわね」 光介の情報により、この後、精神攻撃が来るであろうから、マスターテレパスは遮断する。また、フラッシュバンも警戒していたが、『爆発する凄いドリル』で決する。壱和との互いの距離は徹底する。 壱和がデス子と切り結ぶ。 「成り行きや惰性が気に食わない。つまり、ケジメをしっかり付けて未練を断ち切りたいみたいな感じでしょうか」 「そんな所だな」 ドリルを用いたピアッシングシュートであるが、これを叩き落とし神秘の閃光弾を放つ。続いてシュスタイナが黒き奔流を解き放ち、デス子を束縛する。朱鷺子も束縛する。 「あ、不味い。完封されるパターン」 朱鷺子が言う。言った通り優勢を獲得する。 そもそも朱鷺子とデス子の二人の戦法はひたすら対応力を上げ、且つ行動不動を用いながら火力で押し切るものと見られた。生業の違いはあれど、シュスタイナと壱和の策も同タイプといえた。故に封ずるか封されるか。打ち勝つは先手を取った方である。 「ぐはー」 シュスタイナの黒き魔曲が再び降り注ぎ、朱鷺子が爆発する。 「やるな、二人とも。──くっ、動けん」 呪縛と攻撃を兼ねている葬操曲・黒は非常に強力である。 「せっかく大先輩が相手で、シュスカさんとタッグを組めるんです。言いように翻弄されるなんて無様、晒せません」 仮にシュスタイナが外しても、壱和が神秘の閃光弾を放てる。このまま押しきれば勝てる。 「ずっと私のターン」 朱鷺子が魔曲の呪縛を振り切って立ち上がる。 シュスタイナと壱和の脳裏。『変則教理』と朱鷺子の予告が聞こえた。 ●シュスタイナ&壱和ペア2 『変則教理』──速度と攻撃面の向上。 齎すものは先手の取り合いの変化であった。 「あっ」 「リミットオフ」 デス子の攻撃能力が更に上がる。そして間髪入れずに再動。低い姿勢から大きく振り上げるように繰り出される重火器に、壱和は殴り飛ばされた。華奢な身体が宙に浮く。 「けほっ! ……そう簡単に終わらせてくれませんよね」 「完封は流石に御免なのでな」 致命の付与である。 「なんてこと。回復が」 シュスタイナたちまち、神秘の閃光弾が剛速球で壱和の横を抜けて、シュスタイナに眼前で破裂する。朱鷺子のトルネード投法である。 「決まったー! ゴール! ほおむらん! ほおむらん!」 詠唱が中断され、黒き魔曲の溜めが解除される。 ブレイクしかない。この得体のしれないドクトリンを消さねばならない。 「お返しです!」 壱和が神秘の閃光弾をデス子に投げる。顔面に命中する。 「私では無いだ──がはッ!」 ブレイクが成立する。これでデス子はほぼ後手である。 「やったー! ばんざーい!」 万歳トルネード投法フラッシュバンがシュスタイナを封じる。 壱和のフラッシュバンがデス子を封じる。 これが何往復か。 時々、デス子が回避する。壱和に打撃を加える。 時々、シュスタイナが剛速球を回避する。魔曲の詠唱の溜が足かせとなる。壱和を回復せんとするも、致命が回復効果を及ぼさないが故に、四重奏へとシフトする。そこに限って、朱鷺子は回避に成功する。 「へいへいへーい! シングルヘール! シングルヘール!」 朱鷺子がちゃんちゃかちゃんちゃかとタンバリンを叩いた次に、フラッシュバンの剛速球。戦いは膠着状態へと至る。 「これは……想定外ね」 余力がいよいよ少なくなってきたシュスタイナは、エアリアルフェザードへの攻撃を検討する。 そして気がつく。朱鷺子は『インスタントチャージ』を持っている。相手は持久戦に対する耐性がある。こちらは無い。 「壱和さん、フラッシュバンを朱鷺子さんにお願い」 「分かりました、シュスカさん」 朱鷺子がニヤニヤしている。 『あら、バレました?』 「ジリ貧は御免よ。どうせなら、真っ向勝負で倒れた方が良いわ」 何度もデス子に殴られて壱和も傷だらけである。嗚呼、日本には初心貫徹という言葉があった。やはり焼き切る事が最善だ。 「無駄ですよ。今は私の方が速いのですかr──」 「それーーー!」 壱和が先じる。UFO投法で投げた閃光弾を朱鷺子の顔面にぶつける。ぶつけた途端に閃光が迸る。ブレイクの成立。麻痺の成立。 朱鷺子が音を上げる。 「Resignation──投了します。万策尽きました」 戦いは盤上に見立てているタイプであるが故。 「ここからといった所か。朱鷺子は興が覚めるから隅っこでも行ってろ」 デス子は戦いは炎の如きものと見立てているタイプであった。 対してシュスタイナが言う。 「思う存分力をふるうって、気持ちいいわよね」 「ああ、そうだな」 デス子の持つ重火器が金切り声を上げる。かの一撃が来る。 黙って見ている壱和ではない。ボールドコンバットを叩き込むも、予備動作を崩すには至らない。 シュスタイナが放つ四重の魔曲。爆発する凄いドリルがほぼ同時。 場に爆音と煙幕が生じる。 煙幕が晴れた時──壱和とシュスタイナの『ハイタッチ』は成就した。 ●ぐるぐ&エルヴィンペア1 「良くも悪くも真面目だよな、デス子さんって」 『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)がひらひらと言った。 「変態め」 いきなりであった。 「ほめ言葉だよ、そこも貴女の魅力のひとつだしな。ただ、今回はイライラする原因のひとつなんじゃないかって気はする」 「そういうものか?」 「そういうものさ」 エルヴィンは、デス子がアークに収容される事になった事件の当事者であった。決闘らしく、コインを投げて地面に着いた瞬間に開始するというエルヴィンからの提案は、すんなり受け入れられる。 一方、『灯集め』殖 ぐるぐ(BNE004311)は朱鷺子をじ~っと眺めている。今まで朱鷺子はヘイヘイヘーイとか言いながらも無表情であった。しかし焦りの色がわずかに浮かんでいた。 ぐるぐは、朱鷺子がアークに収容される事になった事件の当事者である。 「女の子がすっきりしたいって言ってるんです。思いっきりヤりましょー」 ぐるぐとエルヴィン。対する朱鷺子とデス子が最終戦である。 コインが投げられる。コインが地面に触れる。触れた途端に── 「あかんわコレ、マジしかし。詰んでるし」 ぐるぐが朱鷺子へと張り付く。朱鷺子が即座に音を上げる。 「複数戦の場合、誰かを集中攻撃して数で優位を得るのが基本ですね」 残像が残るほどのぐるぐの速さでもって、群がるぐるぐに朱鷺子は翻弄される。 デス子はペアである朱鷺子を少し見る。 「まあいい──行くぞ」 デス子のリミットオフ。再動。デス子がエルヴィンへと動く。 「悪いが、我慢比べに付き合ってもらおうか!」 「そのつもりだ。お前達と私達の相性はすこぶる悪い」 エルヴィン、ぐるぐ共にあらゆる状態異常を受け付けない『絶対者』である。この時点で朱鷺子のフラッシュバンとアッパユアハートによる妨害策が潰れているのである。 「勝算は朱鷺子が倒れる前にお前を倒して、私がぐるぐを倒すしかないからな。エルヴィン・ガーネット」 「前に戦ったときは大勢居て、真っ向勝負は出来なかったからな。望む所だ」 デス子が開幕で爆発する凄いドリルを放つ。エルヴィンは盾で受け止める。気が狂ったかのように回転して火花を散らせるドリルは、かの事件と同等か。否──爆発する。 爆発を見て朱鷺子が言う。 「まあ、状態異常が全くダメならダメで良いんですけどね」 ひょいっと一つの残像を掴む。残像かに見えたぐるぐは本体である。 「まあご存知かと思いますが、味方の支援が本命な訳ですよ。私は」 「知ってますよ。だからボクがコールドさんを真っ先に狙いに来ているんですね」 朱鷺子がぐるぐを放る。 「イレギュラードクトリン」 「あるしゃんです」 ぐるぐ達が朱鷺子を切り裂くも、朱鷺子の秘技が発動する。 「さっきより攻撃が重くなったか」 エルヴィンが二発目の爆発する凄いドリルを受け止める。こんなに飛ばすと、あっさりガス欠するのではないか。 「いや──そうか。ぐるぐにコールドマンさんを対応して貰ったのは正解だったな」 朱鷺子はインスタントチャージを持っている。 デス子がエルヴィンに言う。 「──相手がお前だ。会ったときと同じ様な感じが良いだろう?」 「ああ!」 ●ぐるぐ&エルヴィンペア2 「ちゅー」 ぐるぐが朱鷺子にダメージを重ねる。 状態異常が回復するや、ぐるぐが朱鷺子にちゅーをする。 「!??!?! 何を!?」 「では、がんばりましょう」 ぐるぐがゆるく言ったのに対して朱鷺子は。 「──しかし相手が貴女ですか。フルアーマー係長やっつける程の強さなのですので、力押しもやむを得ない」 インスタントチャージがデス子に施される。 「私が居る限り、デス子さんはドリルを撃ちまくります。エルヴィンさんが耐えれますかね?」 「はい。そのまえにコールドさんに倒れて貰いますから」 エルヴィンが倒れたなら、デス子がぐるぐに爆発する凄いドリルを撃つ事は想像に難くない。 朱鷺子が倒れたなら、ぐるぐがデス子への攻勢に加わる。また供給が止まる為、デス子に後は無い。 戦いは、短き時を且つ短く駆け抜けるが如きものと言えた。 戦局が動く。 「あ!」 ぐるぐのアルシャンパーニュによる魅了。解除されたとて、地道に朱鷺子に重ねつづけた結果、これが発動する。 朱鷺子がタンバリンでデス子をぶん殴る。同時に様々な状態異常がデス子に齎される。 「……凍イ手ぇ」 「ご、ごめんなさいね」 「仲間割れはよくありませんよー?」 張本人であるぐるぐが朱鷺子を後ろから攻撃する。 「ぐはー」 朱鷺子が倒れた瞬間、供給が途絶える。 デス子の爆発する凄いドリルは、本来一発が限度であったシロモノである。 何度も撃ちつづけて疲労困憊という顔色であった。リミットオフも蓄積している。 「さぁさ、ここからが踏ん張りどころですよ」 ぐるぐが呑気に言う。 「負けか。──いや」 「ああ、来い真っ向から」 回復が降り注ぐ。 最後の一撃である。エルヴィンに向かって放たれた最後の爆発する凄いドリルが、大きく煙幕を生じさせる。 精魂尽き果てたか。 連戦の影響か。デス子も煙幕の中で仰向けにぶっ倒れる。 尚、追い討ちにぐるぐが頭をえいっと叩いて、ここに勝敗は決したのであった。 煙幕が晴れた時。 エルヴィンが癒しの術式を施していた。 「それじゃあ、改めて。……アークに来いよ、デス子さん。貴女がぐっすり眠れる場所であるよう、俺達も頑張るからさ」 微笑を浮かべたエルヴィンは、デス子に手を差し伸べる。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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