● 「報復だ。女ァ、貰って行くぞ」 「お兄ちゃんっ、お兄ちゃんっ!!」 ゲラゲラゲラゲラゲラ――――――――笑い声の後、扉は閉まって沈黙。其処で意識はぷつりと切れた。 十一月の風が起こしてくれたのだろう。自分の身体を抱けば傷に指が触れて、初めて其処で満身創痍である事を思い出した。何時間前の事かなんて時計を見なければ分からないが、突然押し入ってきたフィクサードがこの家を荒らして妹を攫っていった事も思い出した。親がいなかったのは幸運か、不運か、答えは見えない。 「あぁ……そういう………」 数日前の事だったが思い出してみれば、しょうもない力を駆使して銀行強盗していた数人のフィクサードを捕まえた事があった。おそらく其れの報復なのだろう。 「分かりやすいフィクサード共め……痛っ」 胸に刺さっていたナイフを抜いて、其の侭投げて。空になった拳を硝子の破片だらけのフローリングに叩きつけた。何度も、何度でも。 「くぅぅぅぅぅッそおおーーーーーーーーーっ!!」 何がいけなかったか。 フィクサードを捕まえた自分が悪いのか、こうなる事を予測できなかった事が悪いのか、妹を護れなかった自分が悪いのか、こっちの世界に関わっている事が悪いのか。 殴り続けて更に粉々になった硝子を、今度は踏みしめた。足の裏に刺さろうが、どうでもいいのだ。もはや痛みなんて感じないくらいにキレているのだから。 扉を開いて、よろりと潜れば騒ぎで通報されたか、駆けつけた警察が居た。純粋に良かったと思った。騒ぎが起きてる最中に来てしまっていたら、どうなっていたかワカラナイ。 「きみ、キミ! 大丈夫かい、何があったのかな?」 「……いや、いいです。俺一人でどうにかするんで……」 「キミ!?」 肩を掴んだ警官を振り切って――――自転車に飛び乗って必死にペダルを漕いだ。 妹の手掛かりは、あの日捕まえたフィクサードが帰ろうとしていた場所だけ。 ● 「皆さんこんにちは、今日も依頼をよろしくお願いします」 『未来日記』牧野 杏理(nBNE000211)は集まったリベリスタ達へそう切り出した。今回の依頼の相手はフィクサード組織。とはいえ、弱小の名も無き組織なので純粋戦闘すれば負ける事は無いだろう。其の組織を壊滅させて欲しいというもので、やり方は捕縛でも全滅でもそれは任せるのだという。 「ただし……彼等はどうやら人質を持っていまして、革醒もしていない十二歳の女の子が捕まっているのです。 用途はおそらくバラして売るのでしょうが……まあ、彼女も一緒に救って欲しいのです」 何故関わりも無さそうな女の子が捕まっているのか。 それは彼女の兄が此のフィクサード組織の末端を捕まえて、強盗したお金を取り返していた……というのが発端であり、それに対して報復したフィクサードが捕えて来たというのが経緯である。 「彼女の兄が、この組織のある場所を弾き出して私達より先に乗り込むのですが、まあ、力はあれど数には勝てないといいますか。元々体力が無かった事もあって、リベリスタさんたちが手を加えないと、おそらくノーフェイス化します」 組織を壊滅させる他に、やれる事はあるのかもしれない。 「場所は使われていない倉庫で中は暗いです。入口は正面と裏手に、窓からの侵入もできますので、色々考えて見て下さい。女の子はフィクサード組織のリーダー格のすぐ近くに、大型の動物でもいれる感じの檻の中で泣いています。それでは、よろしくお願いしますね」 杏理は深々と、頭を下げた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年11月27日(水)22:23 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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