●超演劇とは! 脚本も監督もなく打合せも根回しもなくアドリブと言う名のぶち壊し合いでどこまでも高みに昇って行くカオスにして高尚な演劇スタイルのことである! ●アリスってあれだよね、嫉妬に燃えたアリスがウサギ獣人を追って宇宙戦争に参加し悪の帽子帝国を波動砲で壊滅させるっていう宇宙戦艦の……。 ある日、掲示板にナビ子が黙ってポスターを貼り付けた。 『演劇やるよ』 『アリスだよ』 とだけ書いてありました。 脚本不明。 監督無人。 出演者未定。 全ての裏方スタッフだけががっちり固まったという凄まじい見切り発射状態で、それは始まった。 タイトルはそう。 『カオスの国のアリス』 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年11月27日(水)22:09 |
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●第一章 アリス死す! カメラに向かってセラフィーナがウィンクした。それも顔アップである。 「こんにちは、アリスです! 精一杯頑張って主役を務めますので、よろしくお願いします! お茶会もトランプ兵もどんと来いです。どんな無茶降りもこなしてみせますからねっ」 と、ここでカメラを引いてみたい。 でもって180度回転したい。 「で、今どういう状況ですか?」 セラフィーナはぐるぐる巻きにしてたき火の上に吊るされていた。 火かき棒をてに体育座りする紗夜。奥には『さーや』と書かれた雑な立て看板が転がっていた。 「やあ、私はチェシャネコだよ。まあそんなことはどうでもいいんだけど……この前ホワイトアルバムかましちゃってね。そのお詫びにアリスを献上することにしたんだ。でも、どこに持って行けばいいのかわからないし、まずは『おたき上げ』だよ」 アリスを食べると不老長寿になるんだよとか言いながらころころと薪を加えていった。 セラフィーナは自分の出番が終わる瞬間を確信した。 「は、はなしてー! わたし食べても美味しくないですよー! いやー!」 アリス役のセラフィーナ。略してアリフィーナの悲鳴が響く森の中。 羽柴さんが謎のポーズで立っていた。 強いて言うなら『1ラウンドじゃねえ1分だ』のポーズに近かった。 「今からわたしがアリス! つまりつよい! 今日はわたしが絶対s――」 「チームはしばはいりまーす☆」 「よっろしくーう☆」 にゅるっと背後から現われる二人の男。 察しの良い視聴者はもうお気づきだろう、葬識アンド甚内である。 羽柴アリスは瞬間的に目から光を消した。 「ところで森で迷子になったんだってぇ?」 「そんなことより遊ぼうよ。牡蠣あるよ、牡蠣」 両脇から腕をがしっと掴まれ、羽柴アリスはずるずると引きずられていった。 「い、いやああああああああああ離してやめてアリスやめるから誰かああああああ!」 かくして変な小屋に引きずり込まれる羽柴アリス。 このままカメラさんも一緒に室内へ入ってもいいのだが、その場合このリプレイを公開できるか自信が無いのでサウンドオンリーでお楽しみ頂きたい。 「はーいアリスいっちょ追加ー☆」 「弄(あそ)ぼー! ほら弄(あそ)ぼー!」 「いやあああああ! そんなの口に入らなっ……んっ、ぐっ、おう、う……けほっ、けほっ! ごっくんしちゃった……」 「こんどはガラガラであそぶよー☆」 「一緒に遊べば喧嘩にならないよねー。あ、壊しちゃだめだよ?」 「ガラガラを?」 「むしろ羽柴ちゃんをかなー」 「やめっ、やめて! 壊れちゃうー! そんな乱暴にしたら破れ……ひ、ひぃっ! ひいい! とっておいたのに、大事なものなのにっ! やめて、壊さないで! 破るから、破るからあ! ひっ、いやああああああああ!」 「やっぱり羽柴ちゃんは言い声で鳴くなー」 「ねー、今日は朝まで頑張ろうねー」 もうアリスの悲鳴しか聞こえてこない森の中。 丸太を担いだDT……いや竜一がハァハァいいながら歩いていた。 あと余談だけどアリスって書くと三回に一回くらい有栖になるが、もしそう表記されてしまっても心の目で変換して頂きたい。 「ウサギ追いだぁ。必ずあのウサギを捕まえっぺ」 「んだぁ竜さん! こげな森おらどもなら庭みてえなもんだべ」 同じく丸太を担いでハァハァいうノンケ……いや鷲祐。 「そっちは大丈夫か?」 「まかせっぺ!」 同じくハァハァするレイラ……いや西BBA。 「なしておらだけ本名言わんとや!?」 「黙っとれ西BBA!」 「捕まえたウサギさ丸太に吊るして、西BBAに汁にしてもらうべ」 「お、おうさ。しっかり汁ば作っちゃ――あっ、にぎゃあああああああ!」 端っこにいた西BBAが急な斜面で足を踏み外し、下まで転がり落ちていった。 「レイラ……いや西BBAぁー!」 「ゆらすでねえ! おらまで落ち……う、うわああああああ!」 「ノンケぇええええええええ!」 転がり落ちていく鷲祐。 が、どこでどう頑張ったのか斜面をよじ登り、再び上まで這い上がってきた。 そして口には刀をくわえ、片手にうさぎを握っていた。 うさぎっていうか魅零だった。 「今思ったけどうさぎとかアリスとか、ここにいない個人の名をどんだけ連呼する気なんだろうな」 「言うな……ほれ、うさぎだ」 そう言って魅零を掲げる鷲祐。 ここで尻尾掴んでたらみさくら魅零になっていたところだが、今回はちゃんと耳(と思われる部位)を掴んでいた。 「やめて! 魅零食べてもおいしくないよ!」 「黙ってろ! ほれ竜さん、帰って西BBAに魅零汁作らせるべ」 「おーそうすっべ」 「んだんだ、そうと決まったら急いで森でるべ」 二人は丸太に魅零をぶら下げると、えっさほいさと言いながら歩き出した。 「ところで何か忘れてねえか?」 「わっかんね」 そのころ、西BBAは森のおとしものと化しかけていた。 ●第二章 俣勝「ヤベェ! グレさんアリス喰ってる!」 なんかメカメカしいサンバイザーをつけた椿が、乾いた目で空を見上げていた。 「せやなあ、今旬やもんなあ。そういうネタ、使うわなあ……」 「ッシャー! ヤベェ! グレさん女王二分でシメた!」 『ヤバイヨヤバイヨー』 斜め後ろで翔護がガッツポーズで叫んでいた。ちなみに『わがで』と書かれた手人形をぱくぱくさせながらである。 「いやシメとらんし。グレさんちゃうし、アリスやし」 「ヤベェ、アグレスさんヤベェっす! 得苦獲狩覇隷奴っすか! 汚い花火をプラヴィッシーモっすか!?」 「ええわ、まあええわ……」 これ以上触れたら命が危ない気がしたアグレスさんは翔護にアイアンクロウかけたまま引きずっていった。 なんかさっきから歌やら音楽やらが聞こえてくるのだ。 音に寄せられてたどり着いた先には……。 「へいアリスぅ、紅茶が飲みたいネー!」 これ以上無いというキメ顔で九凪がティーカップを掲げていた。 やけにデカい帽子を被っているあたり、多分帽子屋さん的なアレなんだと思う。 「ああ、旬やもんなあ」 「あ、お菓子はクッキーでいい?」 「ほう……」 九凪から(これまた旬な)クッキーを受け取り、アグレスさんはふと思った。 「もしかして、これ食べたら『大きく』なるん?」 「多分なるね」 「それはええもんもろたわ! ありがたく食べ――」 「死ねえええええええッ!」 テーブルの下から飛び出してきたアンジェリカが、巨大な鎌を繰り出した。 「ぎゃあああああああ!」 『ヤバイヤツ! コレヤバイヤツ!』 血を吹き出してくたばる翔護と手人形。 アンジェリカは小さく舌打ちして武器を構えなおした。 「ボクは地獄の美少女死神。アリスの魂を狩りに……ううん、その『大きく』なる薬を狩りに来たよ。それを奪い取ればボクも正規空母になれるんだ! 愛宕型にだってなれるんだ!」 『よこせぇぇぇぇえ!』といって飛びかかるアンジェリカ。 「なんやて!? 横取りされるくらいなら……!」 クッキーを一口で頬張るアグレスさん。 「ヤベェ! グレさんクッキー喰ってる!」 『ヤバイヨヤバイヨー』 するとなんということか! アグレスさんはみるみるうちに小さくなっていったではないか! ついでに九九艦爆(隠語)も小さくなっていったではないか! ぽつりと呟く九凪。 「あ、逆だこれ」 「「…………」」 殺意の混じった目を向ける二人。 そんな! 殺伐としたお茶会に! 「じゃじゃーん! 猫耳海依音です☆」 BBAが! 「誰がBBAですか!」 ティーカップを明後日の方向にぶん投げる海依ネコ。 「悪いか! 28歳が猫耳つけて悪いか! 残り少ない二十代を満喫してやるんだから! やるんだから!」 小さくなったアグレスさんを掴んで振り回す海依ネコ。 そんななかで。 「………………」 ソラ鼠さんはエンドレス爆睡していたのだった。 ●第三章 アリ・ハード6 ~ラスト・ゲイ~ ニューヨーク市警のゼンジロウ巡査部長は別居中の妻と会うため羅府を訪れていた。適当なタクシーを探してうろついていると『異次元からやって来た魔王により、生まれ育った世界が滅ぼされそうになったので、親友と共に戦いを挑むも、親友は殺され自分も致命傷を負ってしまったが、既の所で時の賢者と名乗る老人に命を救われ、魔王を倒すためには仲間や経験、あらゆるものが不足していると指摘され、それらを得るためには異次元を巡る必要があるという助言を貰い、幾つかの世界を巡り数人の仲間も得る事が出来たが、魔王の片腕と呼ばれる敵の策略により仲間は散り散りになってしまい、途方に暮れるも、何処からか聞こえた魔王に殺されたはずも親友の声で再び立ち上がり、はぐれた仲間と新しい仲間を探すために、新たな異次元世界、カオスの国へとやって来た異次元勇者』を名乗る勇者の人が現われ、よく聞こえないならもう一度名乗るのですとか言い始めたので殴り倒し、路上で『アリスといったこれしかないだろ俺たち世代』と書かれた空き缶の中に突っ込んだ。ギターをかき鳴らしながら歌う快アンド烏。いやさ谷村アンド堀内。『帰れるんだこれでただの男に』というフレーズがクリスマスのロスに響く。どう考えても神戸かどこかにしか思えない町のなか、論とユーヌが影人を大量に立たせて拍手している。彼らはハッとして、なんでよりによってこんな役が被ってしまったのかと頭を抱えてうずくまった。木をやめたとたんにこれだとも言っていた。かくしてホテルのパーティ会場に訪れたがいつまでも斜め下にキーをいれてため続けるサマソの精や『アリス太郎と共に西にある天竺へ向かう三番目の家来のキジを撃ち殺す兵十』というよく考えたらただの兵十の乱入により場は一転して暴力と恐怖に包まれた。職業は提督をしていますというラヴィアンを人質にとった彼らは大金の入った金庫を前に籠城を開始。世界一不幸な男は再び事件に巻き込まれてしまう。最近扱いが悪いからと言ってベニーを宇宙に発射するキンバレイ。どう考えてもこれ優しさの表われだろと叫びながら宇宙へ飛ぶベニー。それは本当に『放射線除去装置をとりにイスカンダルへ旅立つ主人公を迎え撃つ悪の帝国』になった影継の船体へと突き刺さり、世は宇宙戦争へと発展した。彼らは生き残ることが出来るのか。それとも彼にとってのラスト・ゲイとなってしまうのか。DVDレンタル開始。 ●第四章 不思議のなんちゃらはDさんが権利もってるのでウカウカ使えない。これ豆な。 雨降りしきる江戸の町。 そこへこうもり傘ひとつで歩く女がいるとくれば、それはアリスに他ならぬ。 名を天音・アリス・クォーツといい、古き騎士の称号を継ぐ女であった。 「そこの者」 声を聞き、足を止める天音アリス。声の主はいましがたすれ違った笠被りの朔であった。 「貴君より血の臭いがしまする」 「それは異なことを」 背を向けたまま、腰の剣に手をかける天音。 背を向けたまま、腰の刀に手をかける朔。 次の瞬間、二人は同時に振り向き、同時に剣を繰り出した。 真っ二つになって落ちるこうもり傘と笠帽子。 刃を交え、二人は目の奥だけで笑った。 「女王、アリス、みな斬った。次は誰だと思っていたが……」 「ネコ、ウサギ、みな斬った。行く手を阻むならば貴様も斬るまで」 二人はつばぜりあったまま近くの民家まで押し入ると、激しい剣戟を繰り広げた。 家主の風斗は腰を抜かしてのけぞる始末。 召使いが駆け寄り、風斗を抱き起こした。 「ハーレム王! ここは危険ですハーレム王!」 「おい誰がハーレム王だ」 などという風斗の手からひらりと落ちる紙。 そこには、かつて王国最強の戦士であった謎の仮面騎士ホワイトブラック(風斗のことだよ!)が邪悪な存在に洗脳されたアリスを狙う先兵へと仕立て上げられるが度重なる戦いの中でいつしか芽生えるラァッヴ――というところで文章が終わっていた。 「……これ」 「いや、違うんだ。いま捨てようと」 「流石ですハーレム王! 新たなアリスをハーレムに加える計画書ですね! さしずめ先日白ビキニでハーレム王を蹴たぐっていた天音あたりを改めて落とす気でございましょう! 流石! その後はどこへ? 軽空母の村ですか?」 「そこはオークが行ったろうからいい」 「おいラッキースケベ野郎ぉ!」 ぴしゃーんと襖を開け放って突入してくる夏栖斗。なんか額に『じゃばおっく』と書いてあったのでたぶんジャバさんのつもりなんだと思う。 「聞いたぞ、またハーレム増やすんだって!? ここがお前の墓場だ、討伐されやがれ!」 キシャーと言って襲いかかる夏栖斗。 彼らを完全に無視して楽しく殺し合いを続ける朔と天音。 かれらの運命やいかに……! ●第五章 章タイトルが完全に意味をなくすところまでが平常運行 「目標、前方15メートル級アリス! オレが陽動を仕掛ける、トドメは任せたぞ赤いの!」 「了解!」 腰のワイヤーを拘束で引き戻し、地面から上部外壁へのラインを確保する嶺。 その間屋根から屋根へ飛び移る義衛郎。まだ出番があるはずだと言いながら殴りかかってきた巨大セラフィーナの前をギリギリのところで通過した。 「今だ!」 セラフィーナの背後をとった嶺がダブルソードを素早く繰り出し、首の後ろを一発でえぐり取った。 「……これも、まだ旬のネタ」 崩れ落ちるセラフィーナを背に、すちゃっと着地する嶺。 義衛郎と嶺は並び立ち、拳を心臓に当てて胸を反らした。 「アリスの討伐、完了しました!」 「女王陛下に敬礼!」 それを受け、女王シャルローネは優雅に足を組み替えた。 「汎用人型決戦アリス……この目覚めにより世界が終焉を迎えぬよう、立ち向かうがわが一族の役目」 でもってもう一回優雅に足を組み替えるシャルローネ。 「敵の戦力は圧倒的だ。だが……民のため、国の未来のため、世界のため……今こそ立ち上がるのだ、国民よ!」 「「ハッ!」」 一斉に跪くトランプ兵のみなさん。(※嶺と義衛郎以外は全部影人さんが担当しております) 「アリスを討ち取るのだ! 我々は必ず勝利する! 全軍――出陣!」 女王の号令をうけ、大量のトランプ兵が飛び立った。 そして流れるスタッフロール。 カメラはどんどん空へと引いていき、宇宙へとあがっていく。 これまで登場したキャラクターの横顔と共にキャスト表が流れ、最後に監督と制作会社の名前が挙がってきた……ところで。 巨大な宇宙戦艦が映り込んだ。 謎の小動物を撫で、ワイングラスをくるくると回す百獣の王こと刃紅郎。 「我が隊が全滅した、だと?」 『はっ、恐れながら。しかし第二第三のアリスを送り込み必ずや――』 「よい」 刃紅郎は撫でていた小動物をつまみ上げると、脇に存在するゲージの中へと放り込んだ。謎の肉食獣が小動物を奪い合いながら食いちぎる。 刃紅郎は仮面をゆっくりと外すと、ニヤリと笑った。 「我が直々に出よう」 『刃紅郎、さま……』 画面の向こうで部下の男が失禁して震えていた。 「待っておれ。必ず、必ずこの手で貴様の首をもらい受ける。ククク……ハハハッハ……ハーッハッハッハッハッハッハ!」 高笑いする刃紅郎。 カメラは更に引き、引き、引き、映り込んでいた宇宙戦艦と同じだけの船が何百という数で映り込んだ。 それらが一斉に後方からエネルギーを噴射し、地球へと向かって飛んでいく。 戦いは、まだ終わらない。 ――アリス第一部、完! |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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