●足つぼマッサージシートとか買うけど結局綿棒に落ち着く現実! 「ぐあああああああ! やめろおおお! やめてくれえええええ!」 リベリスタのオッサンが頭を抱えて悶絶していた。 そう、今まさにエリューション攻撃を受けているさいちゅうなのだ。 ……関係ないけどさいちゅうとハイチュウって似てるよね。 「隊長……! お伝えしたいことが……!」 「なんだこんな時に!」 「さいちゅうとハイチュウって似てませんか?」 「本当になんでだこんな時に! 今我々は、エリューション攻撃を受けていっ……ぐああああああ!」 地面に転がってじったんばったんする隊長の人。 彼の足は、人間みたいなシルエットをした謎のおばけに掴まれていた。 おばけの手はひたすらごつごつしており……っていうかごつごつした物体が寄り集まってできていた。 『フハハハハ、貴様腎臓が悪いらしいな。ならばここを押したらどうだぁ!?』 「ぴぎゃああああああああああ!」 足の裏をぐいーって押されてじたばたする隊長の人。 他の隊員も手のひらやら肩やら背中やらをやられてぎゃーぎゃー言ってる始末。 中にはあまりの気持ちよさにうとうと寝始める奴まで出る始末! マッサージ師の肩もみとか、ほんとやばいよね! 「このままではいかん……全員ぐねぐねのすやすやにされてしまう! 総員! 総員に命令!」 隊長の人はカッと目を開くと、エリューションから緊急離脱した。 「一目散に逃げて黒木屋で打ち上げをするぞ!」 「「サーイエッサー!!」」 こうして、リベリスタの人たちはダッシュで帰り、あらかじめ予約しておいた居酒屋に向かったのだった。 ●金持ちのアイテムと言えばマッサージチェアだよね 「うあああああああうあうあうあうあうああああああ」 アイワ ナビ子(nBNE000228)がマッサージチェアにうごごごごごごっと揺すられていた。 目が糸目になり、だらしなくほへーっと開かれた口からは若干よだれが垂れていた。 「ごんがいのいらいばあばばばばばばばばば」 ナビ子が説明したことにゃ、買ったはいいがすぐに捨てちゃうマッサージ器具が寄り集まってエリューションゴーレムになってしまったので退治して欲しいという話だった。 奴らはマッサージ器具特有のごつごつした感じもさることながら、相手のツボをこれでもかといい感じにマッサージしてふにゃふにゃにしてしまう力を持っているのだ。中には足裏マッサージなどのひたすら痛気持ちい攻撃を得意とするやつもいるので要注意だぞ! 「よろしぐおねがうごごごごごごごごごごごご」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 9人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年11月23日(土)23:07 |
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■メイン参加者 9人■ | |||||
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●いつしかこのスタイルが斬新じゃなくなる不思議 「「かんぱーい!!」」 財雅ビル六階、黒木屋。 店内奥の大人数様用フロア。 みなの号令でもって沢山のグラスが打ち当てられた。 「やあやあどうもお疲れ様ですぅ」 ポン酒の瓶を持ってそそっと椅子の後ろから声をかける『愛しておりました……』犬吠埼 守(BNE003268)。 それに気づいた『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)は曖昧に頷くと、自分のグラスをぐいっと飲み干した。 「ああ、お疲れ」 「まあまあ一献」 「どうも……っと、あぶねえ」 表面張力に全てを託すかのような豪勢な注ぎっぷりに、義弘は慌ててグラスに口をつけた。 「しかし、年齢的には俺のほうが二個下なんだし敬語はいらないんじゃないか?」 「いやあそうかもしれませんな……っとと」 お返しにとビール瓶を持ち上げる義弘。頭をかく仕草をしつつも腰を低くしてグラスを出す守。 「まあ敬語は職業病みたいなもんですから。あ、年齢と言えばナビ子さん俺の一つ上なんですよね」 「ゾッとしない事実だな、それは……」 「ナビ子先輩って呼びます?」 「できれば避けたい」 週に三回はオールナイト呑みしてそうな奴が、場合によっては小学生の子供がいるやもしれない年齢だとはあまり思いたくない。逆に考えると年齢を凌駕する体力があるということだが、そういう基準で考えていい奴とも思えない。要するに深く考えたくない。 「あ、日野原さんは……アルコールだめでしたか?」 「そういうわけじゃないけど。折角リンパを流しきった後だし、デトックスしようと思って」 アルコールのないグレープフルーツジュースをちびちびやっていた『蜜月』日野原 M 祥子(BNE003389)が、さりげなくグラスの口を手で遮って言った。 些細な話やもしれないが、グラスの口を塞ぐ動作をどれだけさりげなくできるかで社会性が計れるのではないだろうか。 「あたしの分まで、ひろさんに呑んで貰ってちょうだい。いいでしょ?」 「まあ、構わんが」 平気な顔をしてハイペースに日本酒を飲み干す義弘。ストレートを水のように呑んでよく平気でいられるなあなどと、比較的人並み(アイルランド基準)な祥子は感心したものだが、実際は顔に出てないだけでナチュラルに泥酔しているっぽかった。 気にせず話を続けてみる。 「ねえ見て、行くまではキツかったブーツがほら、指が隙間にはいっちゃうくらいになったの。やるわねあのエリューション。名前は……ツボ押し君でいい?」 「実際ありそうですねそういう名前の商品」 机に上半身をのせていたゼルマ・ゼーゲブレヒト(BNE004820)が頭を傾けて言った。 この場合の『のせている』は中高生がよく机に突っ伏して寝るあの体勢とは大きく異なる。胸の辺りへたわわに実った瓜的ななにかをテーブルにのっけて背中や腰への負担を軽減させるという、ちょっぴりお行儀の悪い座り方である。 「ううむ、巨乳にのみ許される座り方ですなあ」 「まあ今は酔ってますし。アレですけど。普段はもっとこう、背筋ぴーんとさせてるんですよ!」 実際ぴーんとしてみると、胸部高角砲がぴーんと対空砲撃準備した。 「巨乳は肩がこるっていうあれかしら。本当なの、実際?」 「とんでもない! マジやばいんですって! 日常生活に支障がでるんですって! この部分だけ着脱式にできないかなっていつも思いますもん!」 再び机に上半身をのせる体勢に戻ると、パスタをからっと揚げたようなオシャレつまみを口だけでくわえた。 「うつ伏せに寝たくても胸がつかえるし、仰向けに寝ても胸が重いんですよ。言ってみればこのサイズの肉がのってるわけですからね。苦しいったら」 「分かる。横向きに寝るための抱き枕をつかうと捗るな……」 胸の下でゆるく腕組みした『黄昏の賢者』逢坂 彩音(BNE000675)が、ゆっくりと天井を眺めていた。 すごく悠然としてるが、多分これ酔ってるんだと思う。 「私も似たような理由で肩がこることもあるんだが……一番くるのは首と背中だな。マッサージされている間など、序盤は痛みしか感じなかったほどだ」 「あー、首。首ねー……あれはねー」 『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)がチョコスティックを小刻みに削り喰うという『ひとりスティックゲーム』をしながら言った。器用なしゃべり方である。 「声色変えるのに首と胸の筋肉使うから、長く喋ると硬直状態になってそのままコリになるのよね。アタシも高音域だしっぱとかにするとよく首ガッチガチになるから、わかるわ」 「うん。もはや職業病だな……」 知らない人のために説明しておくが、彩音さんの副業(?)は声優業なんだそうで、普通の人はあんまりしない運動を日常的にしているそうな。 「日本の声優業は特異だからな。技術と体力を大幅に使うが、あまり体力を使っているというような評価を貰うことがない。まあ、傍目には喋っているだけに見えるから仕方ないが……」 「分母が多いっていうのもあるんじゃね? 代わりはいくらでもいる的な。信用で仕事とってるとこあるから、仕事が少人数に集中しちゃうっていう」 水着の『緊縛系アイドル』白石 明奈(BNE000717)がオレンジジュースちゅーちゅーしながら言った。 「……今更言うのも遅いが、服は着ないのか?」 「アイドルが足つぼ押されるなら、自主的に水着にならねばならない。豚Pの言葉だよ」 「徹底したエロ目的じゃねーのよ」 エロが敵視される昨今だが、どこまでギリギリを攻めていけるかが鍵になることも多い。エロのチキンレース状態である。 「まあ、だからこそお金の貰えない脱衣はしないという鉄則が存在するわけだけども」 いそいそとロングコートを羽織る明奈。 「その理屈でいくと今回は金を貰える脱衣ってことになるのか?」 「まあなるわね」 杏はそう言ってスマホを起動した。 煙草をくわえつつ動画ファイルをいくつか眺め、そのひとつを再生した。 『ほら舐めなさいよ! 舐めろや! 何がクニだよ馬鹿にしやがってよー! (ピー)しろよオラァー!』 「…………」 「…………」 足をぐりぐりされてアヘ顔晒した守が杏に足でぐりぐりされるという、企画モノにしてもあまりにマニアックすぎる映像が流れた。 『ねえどんな気持ち? ご褒美なの? あぁん、いいわ……まるでマッサージ器になったみたい。ゾクゾクするわね』 「ねえこれもっと流すの?」 「ごめん間違えたわ。はいこれ秋茄子の」 『いだだだだだだだ! あ゛っ、づぅあ! でも痛気持ちい! これでオトナの仲間入り!? ワタシもオトナのナオンになッギャアアアアアアア! イッヅゥアアアアアア!』 水着姿の明奈が、陸揚げされた魚のようにびっちびっちしてる映像が流れた。 何を思ったのか途中から守の姿を追っかけるようになり、アラサー男が『炒飯いっちゃらめぇー』とか言ってる気の狂った映像に変わっていた。 女たちはフライドポテトを箸でつまみながら、その映像を冷静に眺めていた。 「で、他にはない?」 「ええっとね……」 ――一方その頃。 テーブルの端で黙って一人のみするおっさんがいた。着流しにくわえ煙草。そして焼酎という組み合わせである。 『OME(おじさんマジ天使)』アーサー・レオンハート(BNE004077)の、このはまりっぷり。 「思いの外、肩が軽いな……」 「そーですねー」 隣で『究極違法ロリ』禁バレイ・ロリゼー(BNE004455)が牛乳を飲んでいた。 あ、間違えた。 『究極健全ロリ』キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)が誰かの手で丁寧にしごかれたであろう白い液体を桜色の唇で受け止めていた。 なお、アーサーおじさんはスルーした模様である。 「歳のせいもあるが全身が凝っていてな。そうなるとマッサージのしようもないと思っていたが……たいしたものだ。まさかあそこまでテクニシャンだったとは」 「歳のせいかおっぱいが張ってて。そうなるとマッサージのしようもないと思ってたけど……たいしたものでした。まさかあそこまでテクニシャンだったとは」 焼酎をぐいっとあおるアーサー。 ミルクをごっくんするキンバレイ。 「俺の気持ちいい場所を的確に刺激してくるんだからな。抗わなければならないと分かってはいるが、どうしても声が漏れてしまった。力が抜けていくのを実感した」 「わたしの気持ちいい場所を的確に刺激してきました。我慢しなくちゃって分かってるのに、どうしてもミルクが漏れてしまって。力が抜けていくのを感じました」 ホッケを箸で開いていくアーサー。 アサリ貝を指でくぱぁするキンバレイ。 「いや、当然倒すつもりではいた。気持ちよすぎてもうちょっとだけ、などとは思っていない。それは本当だった」 「とうぜん外すつもりでいたんですけど、おとーさんが学校から帰るまで外すなっていうので我慢して夜までつけてたんです。レベルも最大固定にして。説明したら先生がとても優しい顔で保健室へ連れて行こうとしたんですけど、途中で教頭先生にとら――」 「あの二人を並べて喋らせるのを今すぐやめろ。なぜとは言わないがやめろ」 するめを片手に、義弘がカメラに割り込んだ。 なぜとは言わないが。 グループ魂のPVが流れる店内。 すっきりした顔のままぐったりと脱力した義弘を、祥子が肩枕していた。 「あら、もうダウンしちゃったの? 意外と早かったわね」 ビールを水のようにがばがば飲んでいた杏がジョッキ片手に寄ってきた。 「こう見えてこのひと、内側に抱え込むタイプなのよ」 「こう見えてっていうか見たまんまよね。確かツボ押し君にギシギシされてた間、近くの椅子に座ってじっと様子見てたものね。なんかハプ系の空気が流れてたわよあそこだけ」 「あそこ『だけ』……?」 ジト目で見てくる彩音。 目をそらす杏。 「あ、そうだ。唯一といってもいいくらいマトモな戦闘シーンあったから、録画しといたわよ。アンタの彼氏のやつ」 「あらそう……」 そっけない返事だが、杏のスマホを上からのぞき見てるあたり結構興味があるのかもしれない。 動画を再生する杏。 『あんっ、だめ……そんなとこ、ひろさんにも触られたこと、ないの……にっ!』 「ごめん間違えた」 停止、からの次ファイル再生。 『叩くのはお前らだけの専売特許じゃ無いんだよ! さあ、肩たたきだ!』 理想的なバッティングフォームでメイスを叩き込む義弘。 ツボ押しがごちゃごちゃにくっついたエリューションはそれを腕(?)でガードしたが、彼は相手を腕ごと粉砕してしまった。 形容しがたい悲鳴をあげてばらばらに崩壊するエリューション。 落ちてきた電動マッサージ器をキンバレイが拾い上げ、おとーさんが喜ぶ的なことを言って大事そうに抱えて帰っていた。 「これでマッサージされると、きんばれい気持ちよくなっちゃうんですよ。その後は一晩中もみほぐされちゃって、朝にはお布団が色々混ざって真っ白に――」 「誰でもいいからこいつを黙らせろ。いつかモザイクとピー音に包まれるぞこの少女は!」 「お巡りさんのお世話になるのはちょっとね」 「呼びました?」 彩音、明奈、守がさささっとスライドインしてきた。 ぐいっとグラスをからにする守。 「これ又聞きの話なんですけど、肩こりが酷いからって電動マッサージ機を買ってきたら、つい前日に見たDVDで使用されてるやつが届いて虚無を感じたっていうエピソードがあったらしいですよ。あの商品自体に違法性がないからこそのエピソードですよね」 「今の話ってキンバレイのエピソードと一切関係が無いと考えていいんだよね?」 「あの! ちょっとでいいんで話題の路線変更しませんか!」 ずがんとカクテルのジョッキをテーブルに叩き付けるゼルマ。何か危機感を覚えたらしい。 こほんと咳払い。 「以前ですねえ、空港で暇を持て余してたときのことなんですけど。ロビーをふらーっとしてたらマッサージチェアを見つけたんですよ。コインを入れて全身をマッサージしてくれるやつです。ああいうのって温泉にしかないと思ってたんですけど、意外とあるもんなんですよね」 うむ、と頷く彩音と明奈。 「最近はショッピングセンターのベンチに紛れていたりするぞ」 「あー、あのマッサージされてんだか異物を押しつけられてんだかわからない椅子のこと?」 「仮にも18歳が言う台詞ではないな……」 いつのまにか追加した日本酒をおちょこでちびちび飲み始めるアーサー。 「空港のサービス向上は年々度合いを増しているらしいな。『お・も・て・な・し(byOME)』ではないが、日本がどれだけ完成度の高いサービスをする国かというところを見せつける意図があるんだろうか」 「はあ、そういうのは分からなかったんですが、まあ飛行機乗ってたら身体ガッチガチになるので、それをほぐそうと大金突っ込んでみたんですね。三時間分くらい」 「三時間分……普通10分100円とかだから、1800円か」 「二千円札一括払いでした!」 「よく入ったな」 「で! 機械壊れたんですよね!」 「入ってないんじゃん!」 「二千円札はギルティなんでしょうか?」 「ゼルさんがギルティなんだよ、ゼルさんが!」 しばしじたばたしたあと、明奈は椅子にぐてーっと寄りかかった。 「ところで、自分がいうのもナンだと思うんだけど……」 「うん?」 顔を向けてくる皆に向けて、明奈は真顔で言った。 「マッサージした後に酒飲んだら意味なくない?」 「「あ……っ」」 虚空を見上げてハッとする一同。 そんな中でひとり、祥子だけがカメラ目線でウィンクした。 「マッサージは、『その後』が大事よ。気をつけましょうね」 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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