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<ハロウィン2013>秋色艶やか

●やけに明るい顔した25歳児がTrick or Treat等と供述。
「Trick or Treat!」
 輝く笑顔で告げる『恋色エストント』月鍵・世恋(nBNE000234)の装いは普段とは違ったものだ。
 どこから持って来たと聞きたくなる馬の面を被り、手にはかぼちゃの入れ物を持っている。
「ハロウィンでございますことよ!」
 ――口調まで可笑しかった。
 何故、彼女は馬なのか。そして何故、お嬢様口調を気取ったりしてみちゃったのか。
 それは10月31日がハロウィンだったからだろう。

 月鍵(25)はハロウィンが大好きだ。ちなみに、魚類とか動物の類も大好きだ。
「ってなわけですね、こちら、動物園です!」
 ついでに言えば、彼女の言葉は何時も唐突だ。
 三高平市外に位置する場所にある動物園。
 何故か貸し切ってきたこの月鍵嬢は街で皆と遊ぼうとか、週刊誌の漫画を読んで奥地さん達と語っちゃおう等と考えてた『槿花』桜庭 蒐 (nBNE000252) を捕まえて動物園に強行したそうだ。
「折角の行事! 折角の遊べる日! ならば、好きな事をしたいじゃありませんこと!?」
 ――いい加減、普通の口調になるべきである。
「地元で最強の月鍵さんはですね、こう思ったんですよ……」

 \突然ですが動物園に行こう/

 落ち着きない25歳に呆れてきたのかなんだかんだで解説役になっている蒐が小さく咳払いを漏らし、リベリスタへと『えんそくのしおり』を差し出した。
「まあ、つまりはハロウィンなんだけど動物園でイベントするから一緒に行かないか?
 近くのホール貸して貰えるからそこでご飯とかお菓子とか食べても良いし、動物見ても良いし、折角の休日だから楽しく遊べると思うんだ」
 どう? と首を傾げる蒐の後ろで跳ねる馬(25)が「私、私ね、カバに跨って世界一周旅行するの!」など不思議なことを叫んでいる。
「あのさ、地元で最強の月鍵さん、30日が誕生日でさ、良ければ一緒に遊んでやってくれると嬉しかったり。
 まあ、楽しく遊ぼーぜ! 俺、すっげー楽しみなんだ! ゾウに乗りたい!」
 取り敢えず落ち着こう、男子高校生。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:椿しいな  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年11月07日(木)23:39
こんにちは、椿です。ハッピーハロウィン! ついでに世恋のお誕生日。

◆場所情報
 三高平市外にある動物園。貸し切り状態でハロウィンイベントを楽しむ事が出来ます。
 仮装をして園内を回ると、お菓子をもらえたり。ハロウィンですから。
 なんだかんだで、変な動物も沢山います。自由に遊んでいいんじゃよ。るんるん。

時刻【昼、夕方、夜】
行動【a、b、c、d】(詳細は以下)

a.動物園
普通に動物たちを見て回ろうと言う選択肢です。割と何でもいたりします。
仮装して回れば、従業員の方がお菓子を下さったりするみたいです。
スタンプラリー設置(ライオン、カバ、キリン、ゾウ、アルパカの前に在ります)

b.ふれあい動物園
兎さん、猫さん、犬さんが存在して居ます。アルパカさんとかカピバラさんもいます。アルパカに乗っても良いんじゃよ。
自由にもふってくださいませ。馬さんの乗馬コーナーもあります。餌を上げることも出来る様です。

c.ホールでご飯
動物園近くのホール、及び休憩所でご飯を食べる所です。
なんだかんだでお菓子やご飯が無料配給されてます。ジュース類、お菓子類等は様々な物が置いてます。
とりっくおあとりーと!と元気よく言うと従業員の方がお菓子をくれるかも。

d.その他(上記に当てはまらない場合)

◆イベントシナリオのお約束
・参加料金は50LPです。
※予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・誰かとご一緒の場合は『月鍵世恋(nBNE000234)』と言った風にIDと名前を表記してください。
【グループ名】タグで一括でも大丈夫です(タグ表記の場合はID、フルネーム表記は必要ありません)
 例:【カバに乗りたい】
※NPCと絡む場合はID、フルネームは必要ありません。名前をお呼びください。

◆参加NPC
・月鍵・世恋(nBNE000234) ←10/30で25歳になりました。
・桜庭 蒐 (nBNE000252)
どちらも名を呼んで頂ければお邪魔いたします。のでお気軽にお呼びくださいませ。

お気が向かれましたら、秋の楽しい遠足。
どうぞよろしくお願いいたします。
参加NPC
月鍵・世恋 (nBNE000234)
 
参加NPC
桜庭 蒐 (nBNE000252)


■メイン参加者 30人■
インヤンマスター
朱鷺島・雷音(BNE000003)
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
覇界闘士
テテロ ミーノ(BNE000011)
デュランダル
鬼蔭 虎鐵(BNE000034)
スターサジタリー
不動峰 杏樹(BNE000062)
クロスイージス
深町・由利子(BNE000103)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
マグメイガス
高原 恵梨香(BNE000234)
ナイトクリーク
斬風 糾華(BNE000390)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
クロスイージス
ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)
ナイトクリーク
五十嵐 真独楽(BNE000967)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
覇界闘士
設楽 悠里(BNE001610)
覇界闘士
祭雅・疾風(BNE001656)
覇界闘士
宮部乃宮 火車(BNE001845)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
ナイトクリーク
レン・カークランド(BNE002194)
ソードミラージュ
リンシード・フラックス(BNE002684)
クリミナルスタア
坂本 瀬恋(BNE002749)
ホーリーメイガス
エルヴィン・ガーネット(BNE002792)
ホーリーメイガス
桜咲・珠緒(BNE002928)
レイザータクト
ミリィ・トムソン(BNE003772)
ナイトクリーク
浅葱 琥珀(BNE004276)
ソードミラージュ
蜂須賀 朔(BNE004313)
覇界闘士
コヨーテ・バッドフェロー(BNE004561)
プロアデプト
椎名 真昼(BNE004591)
クロスイージス
焔藤 鉄平(nBNE000010)

粋狂堂 デス子(nBNE000240)


 三高平の郊外に位置する動物園。スタンプラリーを設置した園内は通常営業とはどことなく違った雰囲気を持っている。
「ライオンは最後に回るのだ」
 そわ、と身体を揺らす海賊衣装の雷音。大好きな『カエルさん』の次に好きなのは自分の名前と同じ『ライオン』だ。どことなく身体を揺らし瞳を輝かす娘に「いいでござるよ」と優しく微笑む虎鐡の服装はかの『相模の蝮』のコスプレか。
「トリックオアトリート、だ」
 どうぞ、と手渡されるお菓子は『魔法のアイテム』のようだ。
 ゆっくりと廻りながら、彼女たちが行き着いたのは百獣の王の檻だ。美しい毛並みに大きな緑の瞳を輝かせ、虎鐡の腕をくい、と引いた。
「ライオンだ、見るのだ!」
「しっかり見てるでござるよ!! しっかりと! ああ……やっぱ可憐で美しく麗しいでござる……
 まさに至高の芸術でござるな……ちょっと怒った顔も可愛いでござる……」
 ――怒って?
「違う、確かにボクも雷音(ライオン)だが、哺乳綱ネコ目(食肉目)ネコ科ヒョウ属のライオンだ!」
「え? あ、ライオンでござる? あちらも中々可愛いでござるな」
 うんうんと頷く虎鐡の素直な感想に雷音は頷いた。自分と同じ名前のネコ科の生物は小さく喉を鳴らして居る。
「うむ、百獣の王と言われるライオンがヒョウ属なのは少し合点がいかないな。ライオンさんは王様なのに」
 むぅ、と唇を尖らせる雷音に小さく笑い、共に押したスタンプ。次はどこに行こうか、と雷音は瞳を輝かせた。

 弓道着を思わせる姉妹のコスプレに身を包んだ糾華とリンシードはスタンプラリーシートを手にゆっくりと進んでいる。
「お姉様、ライオンが居ます」
 リンシードって意外と動物が好きなのね、と詳しいリンシードを見詰めて微笑む糾華が近寄れば大きな口を開けて欠伸をしていたライオンが牙を見せる。
「ライオンって猫って感じしないわよね。犬でも無いから、ライオンはライオンだわ」
「うさぎの仮装、じゃなくて、よかったですね……お姉様可愛いから、食べられちゃいますね……」
 がおーと、真似をするリンシードが唇を尖らせて「ライオンなんかにはあげられません……」と呟く。
「うさぎ……褒めて貰えるのは嬉しいけど、食べられるのは嫌ね」
 捕食者リンシードの唇に指先を当て小さく笑った糾華にむぅ、と唇を尖らせるリンシードへと、

 (・´ェ`・)<よぉ?

 掛けられる鳴き声一つ。
「アルパカさん……あの時、私を乗せてくれた……ウッ、頭が……パカ違いね、忘れましょう……」
 糾華さん、随分とアルパカに毒されているようだ。
 見た目だけでも華やかにします、とリンシードが瞳を輝かせ、アルパカへと近づけば、妙に切なげな表情でアンニュイなアルパカさんがリンシードと目線を合わせる。
「アンニュイですし、見た目だけでも……」

 (・´ェ`・)<悪くねぇな。

 そっと両手でアルパカさんの頭に付けたうさみみ。マントも着せられた仮装アルパカさんに糾華は小さく笑みを漏らす。
「イケパカさん、素敵よ。きらきらのパーカッションを飾ってもいいかしら? ああ、メイクも……」
「お、お姉様……」
 段々と酷くなっていくアルパカさんのコスチュームチェンジに普段表情の変わり難いリンシードが流石に笑みを漏らす。
「ヤダ……凄いシュール。もっと頑張って飾りましょう?」
「なんだか困ってませんか? この子……あ、いつも、こんな顔でしたね……」
 喜んでるのかも、と意思疎通できないアルパカさんをもっと飾ろうとアルパカを飾り付ける二人組にアルパカさんもニヒルな笑みを漏らしていた。

「エルヴィンお兄ちゃん!」
 掛けられた声に白ウサギの仮装をしたエルヴィンが優しく微笑む。アリスの服をした依頼で出会った少女、夏奈にエルヴィンは頷き「可愛いな」と笑った。
「では、お嬢さん。不思議の国へとエスコートさせて頂きましょう」
 手を取り、ウインク一つ。一生懸命に頷く夏奈が「いこう!」と跳ね上がる。
 アリスと白兎の回る不思議の国はスタンプラリーだ。様々な動物の写真を撮りながら、仮装をした従業員へと思い切ってトリックオアトリートと声をかけるエルヴィンに夏奈が目を丸くする。
「ほら、夏奈も覚悟決めて言ってこうぜ! こういうのはノッた者勝ちなんだから!」
 従業員に写真をお願いし、シャッター音、一つ。
 動物たちや従業員を巻き込んで想い出を切り取っていくエルヴィンに夏奈は少しずつ慣れてきたのはお兄ちゃん、こっちと笑っている。
「……君がそうやって、幸せそうにしてる姿を見られてよかった。最近、少し迷ってたんだけどさ。
 俺が何のために闘ってたのか、思い出せたよ」
「夏奈でいいなら、お兄ちゃんのお話し何時も聞くから」
 ほら、と手を引いてトリックオアトリートと元気よくエルヴィンへと声を掛けた。


「団地のみんなと一緒にあにまるずー!」
 はしゃぐミーノに続き、何処となく瞳を輝かせているレンは三高平団地の仲間達を振り返り、身体を揺らして居る。
「動物園は、ちゃんと来たのは初めてかもしれない。依頼とかでならあると思うんだが、やはり違うからな」
「動物園とかそりゃーもーこういう機会でもないと出向かん訳だ」
「みんなで動物園は初めてだねぇ。団地では動物飼えないし、思う存分もふっちゃうぞ!」
 ふれあい広場で楽しげに笑う悪魔コスチュームの真独楽の隣で優しく微笑んでいる由利子は団地住民たちのお母さん、保護者枠だ。
 真独楽の着ている悪魔コスチュームと似たカラーリングの魔女の格好をしている由利子だが、流石は団地妻、色気が溢れだしている。動物園って久しぶりだなあ、と笑う悠里は串刺し公の格好をしている。何とも多種多様な団地のメンバーたちだが、その中でも小さく息を吸った疾風が両足を肩幅程に広げて身構える。

 \変身ッ!/

 カボチャモチーフの特撮ヒーローに変身し、モルは居ないかなと胸を高鳴らせる疾風の隣をすり抜けて、ミーノが目をハートマークに変化させ、ふれあい広場を駆けていく。
「まこちゃん!! みんなっ! もふりほーだいっ! もふりほーだいだよっ!」
「えへへ、食べちゃうぞー♪ ……と悪魔的には行きたい所だけど、今日はもふもふに徹する!」
 可愛らしい二人が駆けていく様子を見詰めて由利子が小さく笑みを漏らす。
 彼女の手にした泡立った緑とオレンジのマーブル模様の鍋は由利子が団地の皆の為に作った弁当だ。
 南瓜のスープは皮ごと丸ごといれた特別仕様だ――美味しいのかは食べてみてのお楽しみ!
 尻尾を揺らし、団地のメンバーを見詰めながらレイラインはうんうんと頷いている。化け猫のコスプレをしたレイラインだが、普段が『猫又』なだけにぱっと見ればただの和服の様にも見える。
「そういえば、その小皿は?」
「これかえ? 化け猫が夜な夜な舐める油じゃよ……嘘嘘! ただの水じゃて」
 慌てるレイラインに小さく笑った悠里。そんな二人の前に突如登場したタイガーマスクがいた。
 その存在はどうしてだろうか、レスラーかよとでも言いたくなる様な形相である。
「がおー! 俺はタイガーだ! 肉食系男子なのだ!」
 虎マスクこと竜一の両手にはウサギが存在している。少し拗ねた様な顔の兎が足をぷらぷらとさせながら全力でもふられるシュールな光景にウラジミールは小さく頷いた。
「すっげーモフモフした兎ってなんだっけ? アンゴウラウサギ? いるかな?
 あ、猫はヒマラヤンかな? 犬は俺はサモエドがいい! ああ、もふもふもふもふ!」
「ふっかふかで可愛いのう……にゃひんっ!?」
 がしっと掴まれた尻尾にびくっと身体を揺らすレイライン。もふもふした猫又しっぽはやはり一級品だ。
「ミーノとかマコマコの尻尾とかももっふもふやで!」
「みーのもまこちゃんのちーたーしっぽとれいらいんのねこまたしっぽもふる!」
 楽しげな竜一とミーノにアルパカに乗りたいと瞳を輝かせる真独楽。抱え上げる手伝いをした疾風の足元にカピバラがてこてこと歩み寄った。
「アルパカかあ。牧場とかでもふもふしたけど、気持ちいいなー」
「よっし、真独楽をアルパカ送りにしてやるぜ!」
 ニヒルなアルパカさんの顔は火車にはお気に召されなかったようだ。

 (・´ェ`・)<魅力的だろ?

 周囲の様子に気を使うウラジミールが乗馬コーナーでそっと乗る馬。
 蹄の音が心地よく、乗り心地を確かめる彼の隣で楽しげに声を上げる真独楽(アルパカ)がいる。
「ラクダはあるが馬は乗った事がなかった。なかなか良い物だな」

 (・´ェ`・)<アルパカもラクダ科やで。

「火車のやつとか、動物園に似合わないにも程があるな。野宿とかで動物と相対してそうだ……」
 ちらりと視線を送る竜一の予測通り、悠里と火車は動物園の可愛らしい光景には似合わない事を考えて居た。
 そう、血生臭い『現実』というものを!
「いつか、この可愛い動物たちが『伝説の包丁師』に捌かれる光景を見ることになるんだろうな……」
「ああ……哺乳類達も伝説の包丁師の手に掛かって誰もの舌を唸らせる食材として血漿を輝かせるんだろうなぁ」
 ――おい! やめろ!!
 そんな二人の前で、カピバラを目にして瞳を輝かせるレンは大きい、動いているともふもふとしている。
「火車、悠里! みてくれ、これは鼠だそうだ。もこもこしている」
「良いか? レン、実はコレは鼠じゃなくてゾウの仲間なんだ(※ウソ)」
 分かり易い嘘であっても純真なレンは大きな瞳を見開いて象(カピバラ)を見詰めている。
 つん、とつつけば鼻をひくつかせるカピバラ。鼻が短いゾウ――カピバラを見詰め驚愕しているレンの所へと真独楽が大声で「みんなー!」としっぽをぴんと立てた。
「団地『動物園ばーじょん』つくって、抱っこして皆で記念写真とろうよ!」
「おお、じゃあ僕と同じ毛色となるとこのこかな?」
 悠里の抱え上げた子犬が嬉しそうに尻尾を振れば、疾風の頭の上で猫が小さく鳴き声を上げている。
「あら、可愛い猫ちゃん。毛並みがウェーブでちょっと私に似てるかもね」
「わらわとよく似て居るのぅ。猫じゃの」
 ウラジミールの足もとで尻尾を揺らす子犬は何処か聡明そうな雰囲気を湛え、火車の腕の中で勇猛に尻尾を振り続ける犬に竜一が「うひょー!」と声を上げれば、その頭の上で黒い猫が「にゃー!」と鳴いていた。
「美少女達の間に入って挟まれながら写真を撮ろう! うひょー!」
「それじゃ、撮るわよ~? タイマーをかけて……わわっ、待って待って!」
 両手に『しっぽ』のミーノやレンはうさぎとにゃんことわんこを抱え、シャッターが落ちる音を待つ。
 慌てた由利子が辛うじて列に加わった時、かしゃり、とシャッターが落ちた。
「わーい! ねー! えんないのスナックコーナーでポテトとかポップコーンとかたべるの~っ!」
「ええ、お手手ちゃんと洗ったら食べましょうね?」
 にっこりと笑った由利子に頷いてミーノは楽しげに跳ね上がった。

 撫でられる事を嫌がる動物にこっそりと「我慢してちょっとだけ協力し欲しいのじゃ」などと説得するレイラインばーちゃんの涙ぐましい努力があった事は誰も知らない――

「ちーっす、あーくん、ゾウに乗りに行こうぜ!」
「やべえ、すげー!」
 手をブンブンさせて遊びに行くとはしゃぐトンファー先輩こと夏栖斗に輝かしい笑顔を向ける蒐。
 園内を回ってきた夏栖斗からすれば『すげーでけーゾウ』に乗れるとかなんちゃってインドが楽しみでしかたない。
 ふれあい広場を歩く夏栖斗に突然告げられる宣告にぼんやりと彼は立ちつくした。
「え? のれないの……? し、しかたないから、アルパカ乗ろうぜ! アルパカ!」

 (・´ェ`・)<仕方ない……?

「うわっ! つば! くせぇ!」
「アルパカさん自己主張激しいな!」
 楽しげなトンファー男子二人がきゃっきゃとはしゃぐ中、アルパカがやれやれと腰を下ろす。
 ゆっくりと跨る夏栖斗に続き蒐も恐る恐る跨った。アルパカさんのもふもふに癒される夏栖斗がアルパカさんを撫でれば満更でも無い様にアルパカさんが首を振っている。
 何故かちゃんと乗れちゃった三高平のアルパカさんの乗り心地の良さに何となく、聞きたくなった言葉。
「なー、あーくん、競争できるんかな? アルパカ号……」

 (・´ェ`・)<走るんか、そうか。

「あ、そうそう、前もらった子犬だいぶ大きくなったぜ。うちの営業部長してくれてるよ。見においでよ」
「名前、営業部長っていうの? じゃあ、今度見に行かせて貰うな!」
 遊べるかな、と楽しげに笑う蒐に夏栖斗が頷いた所で――アルパカが走り出した。

「oh……」
 目を丸くする琥珀はアルパカに乗りたいお年頃。大人でも乗れるのか、体重に耐えられるのかと貴重なアルパカの騎乗シーンを見詰めている。
 三高平のアルパカは何か違うのか。乗れそうな気がしてくる琥珀の足元に兎ぴょこんとはねよった。
「兎もふもふ。猫ごろごろごろ。ワンちゃん、おいでおいで」
 犬猫、兎。そしてカピバラとよりどりみどりでフルコース。不思議な取り合わせではあるが可愛がって癒されて堪能するしかないだろう。
「カピバラさん、ぎゅっぎゅ」
 腕の中で微妙な鳴き声を漏らすカピバラが足でぺしぺしと琥珀を叩いていた。
「……ふむ?」
 妙な怪生物との触れ合いになれたユーヌは無表情で兎を眺めて見詰め合っている。
 首を傾げた兎に合わせてこてん、と傾げられる首。無表情なユーヌが兎を抱きかかえてもふもふする視線の先にはカピバラと見つめ合う杏樹が居た。
「流石に人慣れしてるな?」
「触っても動じないのは流石だな……」
 微笑ましい、と緩く細められる橙色に、ユーヌは小さく頷いて兎を抱えながら杏樹とカピバラを観察している。どちらも久々に友人と遊ぶ感覚に何処かしら緊張があるのだろうか。
 カピバラが鼻先で杏樹の指をつんつん、とつついた。
「杏樹、カピバラの子どもがいるぞ?」
「……よし」
 そっと手を伸ばし、抱え上げた杏樹の腕の中で鼻先を引くつかせる仔カピバラ。ユーヌの中では杏樹は火器や銃器を抱えている印象なのだが、動物を抱えていてもそう違和感はない。
「イメージとは随分変わるが、案外可愛らしい。楽しそうだし、普通に年頃の乙女っぽいな?」
「……乙女っぽいと言われると照れる」
 照れ隠しかカピバラを撫でる杏樹の腕の中でくすぐったさで身体をジタバタとさせるカピバラをユーヌはゆっくりと撫でる。
「ユーヌが撫でるとおとなしいな」
「ふむ、良い子だ。硝煙の臭いも嫌がらずに」
 悪戯心からかぐりぐりとユーヌが撫でれば更に仔カピバラが杏樹の腕の中で暴れ出す。私服であるのだから硝煙の臭いはしないだろうと小さな苦笑を漏らしながら、更に抱え上げれば腕の中でカピバラが鼻先をひくつかせ、杏樹へとすり寄った。


「あ、トリックオアおめでとー! 25歳とかぜんっぜん見えないけどおねーさんなんだよなぁ」
「地元で最強の月鍵さんは25歳でっす!」
 小さく笑う夏栖斗に礼を言いながらも胸を張る世恋。その背後を通りかかったのはスラヴ神話に登場するコシチェイの仮装に身を包んだ義衛郎だった。
 死神や魔術師を思わせるローブの上にフード付きマントを着こんだ義衛郎は、フードを目深に被っているうえに髑髏の仮面を着用している出で立ちから誰か分からない。
「月鍵さん、良ければどうですか?」
「誰だー!?」
 黒を基調にした不吉な男に思わず世恋も驚愕の表情。頭の王冠だけが明るい印象を与えている。
「ああ、すみません。須賀です」
「あ、ど、どうも……」
 乗馬に挑みたいと言う義衛郎はお高い『乗馬クラブ』ではなく気軽に出来る乗馬にチャレンジしてみたのだろう。
 ご一緒にどうですかと誘う言葉に頷いて、神話通りコシチェイは若くてきれいな女性を攫ってみる。
 ――若くてきれいと言われると流石に地元で最強の月鍵さんも「うへへ」と変な笑いを漏らしてしまうものだ。
「そういえば、月鍵さん。お誕生日おめでとうございます……ました?」
「あ、ありがとうございます!」
 えへん、と胸を張る世恋に義衛郎は気付かないで、と実に申し訳ないと頭を下げる。
「今度、ご飯でも奢りましょうかね」
「わ、わあ……いや、そんなそんな!」
 お祝いだけで嬉しいわと小さく笑う世恋の元へとミリィが「お姉様」と手を振っていた。

 ハバネロから生まれたハバネ郎(?)のコヨーテは蛇きぐるみの真昼を伴ってのんびりとふれあいコーナーへ。
「寝袋みたいで、眠くなるね……はっ、ね、寝てないよ」
 手足の出ない真昼を肩に軽々と担ぎ上げたコヨーテ。振動が妙に心地よくて眠くなる真昼は必死に睡魔と闘っているようだ。
「すっげェッ! でっけェ犬だッ! かっけェッ!」
 目をキラキラさせるコヨーテが今日触れ合うのはふれあいコーナーのどうぶつたちでは無く、ヘビ――真昼ヘビだ。オプションにトモダチこと白夜もいるのだが、不思議な光景がそこにはある。
「すげェなコレ、喰われてるみてェだな……どっか足出せるトコとかねェの?」
 ころころと転がる真昼はふれあい広場の面々と動物達を観察している。
「兎は好きだよ。犬も猫も。馬も格好いいよね。アルパカさんとカピバラさんは……よくわからないかな」
「イヌとかネコに群がられても大丈夫、オレがちゃんと護ってやんぜッ! 腹へったらおやつもあッからトリックオアトリートしろよッ!」
 ころがる真昼の隣でドヤ顔のコヨーテ。因みにそのおやつはブラックペッパーである。
 ハバネ郎にとっては『おやつ』でも他の人にとっては――いや、これ以上は言わないでおこう。
「アルパカって……顔、怖くない? オレはやっぱり蛇が一番好きだよ」
「ヘビかァ……」
「ところでコヨーテ、物騒な事考えてないよね? 考えてたら尻尾でべちべち叩く? 蹴るよ?」
 尻尾こと、足が入ってる部分を懸命に動かす真昼にけらけらと笑うコヨーテの腹が小さく鳴った。
(ヘビって結構うまかったなァ……こんだけデカいヘビいたら、腹ァいっぱい喰えそうだなッ!)

 こちら、ふれあい広場に立っていた『不思議なきぐるみ』。その中身は……いや、何も言うまい。
 何処かの鋼鉄の拳で悪を討ってる人だと思うが、実に何も言うまい。
「きぐるみ……ですね」
 アルパカに跨ったミリィの視線を受けながら『不思議なきぐるみ』――警備のきぐるみさんは手を振っている。
(誰もが皆、楽しく笑って過ごせるイベントになるならば……!)
「あれ、誰だと思いますか? お姉様」
「だ、誰かしら」
 首を傾げるミリィに世恋。きぐるみを着て居る為誰か分からない――名前? 何だっけ……?――『彼』は動物園の平和のためにアルバイトを続けている。 
 きぐるみの近くではデス子も同じくアルバイト中なのであろう。キグルミとパトロールを続ける様子はなんともシュールだ。
「ハロウィンイベントと言う事で朝から晩まで動物園には人が沢山来るだろう!」
「ああ、だが、きぐるみで話すな、変態め!」
 ――なにはともあれ、ふれあい広場の平和は『きぐるみ』とデス子によって守られているようだ。

 しかし、アルパカに跨った美少女(ミリィ)というシュールな図があることは『平和』なのであろうか。
「た、楽しい?」
「え? 何時も乗って居るし、触っているだろうって? フフッ、分かっていませんね。
 ……そこにアルパカが居る! つまりはそういうことです!」
 どういうことであろうか。首を傾げる世恋と共にアルパカを駆るミリィ。
「……コホンッ、それは兎も角、お姉様。お誕生日おめでとうございます!
 動物園、ハロウィンという事でこんなものを作ってきたのですが……」
「わあっ、素敵ね、これ、動物の形なのかしら?」
 手渡された可愛らしいラッピングの動物クッキーに瞳を輝かせる世恋へとほっと胸を撫で下ろすミリィ。
 アルパカにも餌を与えながら、「王様とは違った感じ」と頷く彼女にアルパカは微妙に首を傾げている。
「そういえば、お姉様はカバに乗って……とか言ってましたけど、頼んだら乗せてもらえたりするんですかねっ!」
「カバ……は分からないが、月鍵君じゃないか。馬に乗ってみないか?」
 ロビン・フッドを思わせる仮装で馬を駆る朔が顔を出せば世恋は興味深そうに馬を見詰めている。
 蜂須賀の実家では嗜んでいた乗馬もリベリスタとして活動してからは久々だ。
「ブリーフィングルーム以外で会うのは久しぶりだな。後ろに乗って私に捕まって居るだけで……。
 ふむ、その服が汚れるのは少々勿体ないな。折角の可愛い服だ。私のジャケットを上から羽織ると良いだろう」
 アーク制服も似合うがそれも可愛いと告げる朔にミリィ、世恋揃って「イケメン……!」と呟く。
 朔のジャケットを羽織りついていく世恋の前に居たのは大きな体躯に気性の荒い馬だ。
「では行こうか。乗馬は初めてか? しっかり捕まっているといい」
「え、いや、あの」
「無論、最初から全力で飛ばすぞ。ふふふ、風を追い越せ! 疾走れ! ブラックライトニング号!」
「ちょっ、ブラックライトニング!? って――」
 いやあああああああ、という虚しい叫びがその場所には響き渡っていた。


 水族館に寿司屋があるのは水産資源の利用を来館者に感じて貰える為だと聞いていた。
 ならばこの動物園のホールもきっと似たような趣向なのだろうと新田快(食べモノマスター)はメニューを手に悩んでいる。
「この、馬刺し定食を貰えるかな」
 馬刺しはいりまーすという声を聞きながら快の頭の中で馬肉についての知識が巡っている。

 馬肉は豚や牛の肉が常食化される以前からこの国で食用とされてきた、貴重なタンパク源だ。
 牛豚鶏などの畜種より、低カロリー、低脂肪、低コレステロール、低飽和脂肪酸、高たんぱく質という優れた肉であるとも言える。
 何より臭みのない赤身は肉本来の旨味を噛めば噛むほど感じさせてくれるし、タテガミの脂は特上の霜降りに勝るとも劣らない。

「――というわけで、折角だし、世恋さんもどうかな?」
「うん、馬だしね!」
 馬の被りモノをした女が初めて『馬』と認められた瞬間であった。

 カラミティ・ジェーンの仮装をした瀬恋が世恋の元へと手をひらひらと振りながら『月鍵チャレンジ』のお時間だ。
「よー、月鍵のネーサン。相変わらずちっちぇーな。歳上には全然見えねえ」
「むむん」
 ぷう、と頬を膨らませる世恋に瀬恋は「そういやいくつだっけ?」と頭を掻きながら聞いてみる。
 待ってましたと言わんばかりに胸を張る『地元で最強』な月鍵さんはにっこりと微笑んだ。
「25歳です!」
「25……? マジかよ……。あ、あー……ところで頼みがあるんだ」
 差し出されたのは誕生日プレゼントではなく鮭。

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「……え?」
「ん? いや、何か月鍵のネーサンに魚渡したらそりゃーもう見事な手際で捌いてくれるって噂を聞いたんだけど。
 まぁ、そんなすげー包丁持って出来ないってことはねえよな? んじゃ頼むぜ」
 すげー包丁こと『相州伝魚切之太刀』に白目を剥く世恋。最近伝説などと呼ばれる世恋と鮭は見詰めあっていた。
「あ、刺し身とか寿司が好みなんで宜しくな」
「――oh……」

 ここからは瀬恋の台詞だけでお送りしよう。
「へぇ、噂以上の手つきじゃねえか。服にも全然血がついてねえ……。
 なんか目つきもいつもとは違うしな。初めて年上に見えたぜ。見事なもんだ」
 ――以上、ダイジェストである。
 何とも言えない事だが、茫然とした世恋と血に濡れた包丁、シャケだけがその場に残されていた。

「世恋さんのお誕生日会や!」
 カボチャの橙色と黒は良く似合う――つまりは、珠緒が一番輝く時である。
 黒主体のガールズロックバンド系の衣装と小悪魔コスチュームの珠緒の隣でキーボードを抱えたとんがり帽子の魔女っ子恵梨香がホールの音響を借りて誕生日会の準備を整えている。
「あ、世恋さん、世恋さん! れっつぱーりぃ!」
 ぽかんと口を開く世恋を誘った恵梨香は幼く見える世恋を「世恋ちゃ……」と呼び掛けて慌てて月鍵さんと呼び直す。
 ついつい幼い妹分の様に扱いそうになるものの、礼儀作法を身に付けた恵梨香は目上の先輩だと自分に言い聞かせて世恋を椅子へと誘った。
「お誕生日おめでとうござます。これ、花束です」
「さぁ、みんなでHappy Birthday to You♪」
 恵梨香っち! 掛けられる声に恵梨香の指先がキーボードの上を滑る。
 ギターを奏でる恵梨香に合わせて、歌のリードを行う珠緒は流石は『三高平学園音楽愛好会』の会長だろうか。絶対音感で歌い易いように留意し、声帯変化で声が変わる様に調整している。
「わ、わわっ、あ、ありがとう!」
「ふっふっふ、そして、もうひとりのお祝いや! Happy Birthday to 恵梨香ー♪」
 おめでとう、と珠緒や世恋から掛けられる声に、黙々と『任務』をこなす様に働いていた恵梨香が眼を丸くする。
「うちの御守り、一番最初に使ってたピックを贈るで!」
 折角の誕生日だから、と笑う珠緒に恵梨香は何処か戸惑った様に、小さく頷いた。

 ――Trick or Treat!

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 おつかれさまでした。はっぴーはろうぃん!
 世恋のお誕生日のお祝いや、蒐と遊んで下さりありがとうございました。
 ハロウィンに動物園と言う何が何だかといった感じですが、楽しんで下さったなら幸いでございますっ
 
 皆様のハロウィンの想い出になります様に。
 ご参加有難うございました。また別のお話しでお会いできます事をお祈りして!