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Cosmos Cosmo

●花と夜の園
 宵の帳が落ちた後、深い夜が巡る。
 草葉を揺らす風は緩やかながらも、辺り一帯に咲くコスモスの花弁を舞い上げてゆく。
 風にさらわれた花を追って視線を上げれば、空には満天の星々が広がっていた。その星の巡りは、過ぎ去った夏の夜空とは違う様相を見せている。
 頭上に広がる宇宙と、地上に咲き乱れる秋桜。
 ――其処は似て非なるふたつの世界が入り混じる、少し不思議な境界線。

●宇宙と秋桜
「秋の夜空と、その下に咲く花を見に行こうよ」
 或る日のこと、『サウンドスケープ』斑鳩・タスク(nBNE000232)は仲間達を夜の庭園に誘った。
 何でも今はコスモスが見頃らしく、庭園一面に咲き乱れているのだという。
「昼に花だけを見るのも悪くないけれど、折角だから花も星も、月だって見たいと思って」
 こんな我侭だったら君達は聞いてくれるだろ、と少年は言う。
 今宵は雲ひとつない夜空が続くらしく、月も星も綺麗に見られるはずだ。秋の月は名月と呼ばれるほど美しく、もしかしたら秋の星座を探すこともできるかもしれない。
「ふふ、そういうのも素敵よね」
「夜に出掛けるってのもわくわくするよな。俺達も一緒に行くぜ!」
 話を聞いていた『ブライアローズ』ロザリンド・キャロル (nBNE000261)と『ジュニアサジタリー』犬塚 耕太郎(nBNE000012)も頷き、誘いに乗った。
 また、空だけでなく地上の花も楽しめる。
 両方を楽しむことが出来たなら、きっと今日という日が小さな思い出になるはずだ。
「夜空……宇宙はコスモ。秋桜はコスモス。花の名前の由来は知らないけど、空と一緒に見るには良い花だよね、きっと」
 洒落だけど、とタスクは小さく口元を緩めた。
 そして、彼は仲間達を誘うように立ち上がり「早速行こうか」と手招く。

 これから過ごすのは、日常の中に訪れる少しだけ特別な時間。
 秋を象徴する花と星が織り成す光景は、どんな思い出を作ってくれるのだろう――。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:犬塚ひなこ  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年11月10日(日)22:23
●概要
 夜のコスモスと星を見に行こう!というお誘いです。

 庭園は遊歩道やベンチなどが設置された公園風のお庭。
 花壇には色とりどりのコスモスが咲いており、とても綺麗です。また、少しならお花を摘んでも大丈夫みたいです。
 まだまだ秋とはいっても夜は寒いので防寒具はお忘れなく。
 ベンチや芝生の上に座ってのんびり星座観賞も良し。夜の遊歩道をお散歩しながら花を観賞するのも良し。どうぞご自由にお過ごしください。

●ご注意
・参加料金は50LPです。
・予約期間と参加者制限はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・イベントシナリオなので全員の描写は確約できませんが、出来る限り力を尽くします。
・やりたいことを一本に絞って書くと描写率も上がります。
・公序良俗に反した行為や趣旨に著しく反するものなどは描写出来ませんので、ご了承ください。
・誰かと一緒に参加する場合はお相手さんのフルネームとIDを、グループで参加する場合はグループ名を【】で括ってプレイング冒頭に記載して下さい。

●NPC
 『ジュニアサジタリー』犬塚 耕太郎(nBNE000012)
 『サウンドスケープ』斑鳩・タスク(nBNE000232)
 『ブライアローズ』ロザリンド・キャロル (nBNE000261)が同行しています。
 それぞれ静かに過ごしています。何か御用時や、お誘いがあればお付き合いしますのでお気軽にお声掛けください。
参加NPC
犬塚 耕太郎 (nBNE000012)
 
参加NPC
斑鳩・タスク (nBNE000232)
参加NPC
ロザリンド・キャロル (nBNE000261)


■メイン参加者 13人■
覇界闘士
御厨・夏栖斗(BNE000004)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
ソードミラージュ
天風・亘(BNE001105)
インヤンマスター
九曜 計都(BNE003026)
プロアデプト
離宮院 三郎太(BNE003381)
クリミナルスタア
曳馬野・涼子(BNE003471)
ダークナイト
黄桜 魅零(BNE003845)
覇界闘士
喜多川・旭(BNE004015)
ナイトクリーク
浅葱 琥珀(BNE004276)
ソードミラージュ
殖 ぐるぐ(BNE004311)
ミステラン
ミミ・マーキス(BNE004739)
クロスイージス
ユーグ・マクシム・グザヴィエ(BNE004796)
プロアデプト
柊・雅行(BNE004801)
   

 視界いっぱいに広がる、夜空の星と地上の花。
 振り仰いだ天涯の小さな光と傍らで揺れる花々の対比は、実に美しく思えた。
「夜桜ならぬ夜秋桜も、なかなか風情があるものッスね」
 誕生日祝いに貰ったアクセサリーに触れ、計都は隣の三郎太に話しかける。似合うッスかね、と珍しく照れる彼女に対し、三郎太は良く似合うと答えて微笑む。
 互いに照れ臭さが満ちる中、計都は芝生にごろりと寝転がった。
 こうして共に見上げる空は不思議と明るく見える。本当なら今日も花見で一杯と洒落込みたくもあったが、今日ばかりはロマンティックな方向で行こう。
「だいぶ肌寒くなってきましたね」
「大丈夫ッス。ほら」
 三郎太がふと呟けば、計都はブランケットを取り出して二人を包む。魔法瓶の中には温かいココアも用意してあるゆえ、寒い夜でも平気だ。
「宇宙がコスモで花がコスモス。確かに何か、名前に必然を感じるくらいに……満天の星空の下のコスモスは神秘的に感じますっ」
 三郎太が星を見上げる中、計都はどちらがたくさん星座を見つけられるか勝負をしようと提案する。
「えーっと、あれが離宮院座で、あっちが三郎太座」
「え?」
「ふふ、そんな星座ないって顔ッスね? いま、あたしが作ったッス!」
 首を傾げた彼に対し、計都は得意気に笑った。
 その笑顔を見た三郎太はちいさな幸せを感じ、胸の奥に宿った温かな願いを噛み締める。
 ――これからも、こんな素敵な時間が過ごせますように。

「秋桜と書いてコスモスなら、さながら今夜は秋の夜桜、かな」
 芝生に寝転び、星とコスモスを眺めた快は思う。
 花は色とりどりだけれど、いつしかそれがひとつの色を成してくるような気もした。複雑な色が織りなす地面と、冬の色が深みを増し始めた夜空。そのコントラストが星空を引き立たせ、遠さを物語っているようだ。
「ロザリンドさんは、コスモスのどんなところが好き?」
「そうね、花すべてに言えることだけど……凛と咲くところかしら」
 快が傍らの少女に問えば、柔らかな答えが返ってくる。
「俺はあんまり深く考えたこと無いけな。ただ単純に、綺麗だな、って」
「まあ、純粋な感想ね。それも素敵だわ」
 笑みが重なり、静かな時が流れる。秋風はもうすっかり冷たくなっていたけれど、あたたかな心地が辺りに満ちていた。

「わぁあ、きれい……!」
 旭は視界に広がる景色に瞳を輝かせ、傍らの友人達に先を示す。
 視界の真ん中から上がお星さまで、下がコスモスの花々。きらきらでふわふわ。何だか贅沢だと旭が口にすれば、魅零もはしゃいだ様子で同意した。
「綺麗だね、素敵だね! ね、ね、タスク見て見てすっごいよ!」
「まったく、俺より子供みたいだよね」
 魅零の後ろではタスクが呆れ笑いを浮かべ、その横では亘が楽しそうににこにこしていた。
「えぇ、とても綺麗……すぎて感動すら抱きますね」
 亘もまた、公園を彩るコスモスと淡く輝く月に澄んだ星空に感嘆を零す。すべてが調和したこの場所は星座の世界のよう。もし自分が一人だったならば風に乗って飛び出してしまいそうではあったが、今は友人達が傍に居る。
 確か、花は少しなら積んでも良いのだったか。
 花に手を伸ばした旭は白い一輪をそっと手折り、そのまま魅零の髪へと挿してやった。
「みれー。ふふー、かわいい……♪」
「可愛いだなんて、そんな旭のが可愛いから!!」
 慌てる魅零に旭はにこやかに微笑む。コスモスの花言葉は、乙女の純真。旭は彼女にぴったりな言葉だと思っているからこそ、こうして花を贈ったのだ。
 そして、亘は機を察してそっとタスクに耳打ちする。「別に改めて言わなくても」と首を傾げた少年の背を押し、亘は「いいですから、はやく」と送り出す。
「ん、ええと……俺も魅零のこと、可愛いと思ってるよ」
「えっ、ええ、たたたたしゅしゅ!?」
 更に赤くなる魅零は呂律が回っていなかった。その様子を旭と亘がおかしそうに眺め、分かっていないのは少年本人のみという現状。
 少女達が花冠や花の簪を送り合う中、亘はふと呟いた。
「この風景に負けない綺麗な華達と一緒に過ごせる自分達は果報者ですよ」
「おはな? ……わたしたち? えへ。わたしもみんなと一緒でうれしーよう」
 旭は照れながらも、亘に笑みを向けた。そして、ふと思い付く。
「亘さんやタスクくんもお花かざる?」
「二人も一緒が良いね。不器用だからちょっと歪だが、うん、気にしない!」
 魅零も花を摘み、少年達に視線を向けた。
 重なる笑い声。頭上には煌めく星々。微笑ましく和やかな時間が、今日もまた過ぎてゆく。

「――きれいだ」
 涼子は心に浮かんだ言葉をそのまま言葉にする。
 イヤなことがあっても、かなしいことがあっても、花は咲くし星も巡る。それは自分が死んでも同じことなのだろう。
 特に目的があってきたわけではないので、涼子は芝生に座ってぼんやりと景色を見遣る。
 星と星にはちがいがあるし、花と花にもちがいがある。
 それをひとつずつ数えていけば、夜もいつか開けてゆく。きっと、そういうものだ。

 コスモスでいっぱいの公園で、今日楽しむのは花遊び。
「花でアイテム作りか、初の経験だなぁ。気合い入れて作るぞっ!」
 ぐっと拳を握り締め、琥珀は花の首飾りを作ってみようと決めた。その隣では夏栖斗も花を摘んでおり、立派な王冠を作るべく作業にいそしんでいる。
 ぐるぐは二人も負けない決意を固め、コスモス飾りの作成勝負への思いを強めた。
「我が群れはいつだって競争なのです!」
 緑のロザリオにコスモスのツボミをひとつ絡め、ぐるぐは実に満足気。シンプルが良いのだと自負するぐるぐは近くに居た少年を勝負の審査員として招こうと歩き出す。
 その間、琥珀は首飾り作りに思考錯誤していた。
「沢山束ねて、落ちないようにして、と。なかなか大変だなぁ」
 難しくはあったが、少しずつ丁寧に組み上げて行けばきっと何とかなるはず。ピンクに紫に白も交ぜて組み上げ、琥珀は華やかな首飾りを仕上げてゆく。
 夏栖斗もまた、カラフルで可愛い花の王冠を作り上げて満足気に頷いた。そうして、彼は花遊びに招いたロザリンドに王冠を差し出し、ちいさく笑む。
「お姫様に王冠を献上したいんだけど、受け取ってもらえるかな?」
「え、私? べ、別に貰ってあげても良いけれど」
 ロザリンドは素直になりきれなかったようだが、何処か嬉しげに花冠を受け取った。
 そして、全員の花飾りが出来上がる。
 審査員はぐるぐが連れて来たタスク。どれが優勝なのかと琥珀が問えば、少年は暫し考えた後にひとつの作品を指差す。
「ぐるぐのかな。俺、シンプルなのが好きなんだよね」
「おめでとー! って、これ?」
 自分の作った花ロザリオを指差し、ぐるぐは首を傾げた。それでも優勝は優勝だ。ぴょこんと耳を立てたぐるぐが笑うと、琥珀達もつられて口許を緩めた。
「それじゃあ、出来上がった首飾りはボス……おっとぐるぐさんに献上しよう」
 星明かりの下、咲くのは花だけではない。
 仲間達の明るい笑みも星や花に負けないほどに光り、咲き誇っている。

「似合う? もうちょっと髪の色濃い方が映えるかしら」
 白いコスモスの花を一輪、髪に飾ったミミは連れの二人に問い掛ける。
「よく似合ってますよ」
「はいはいカワイイねー」
 花を飾るミミ見惚れたユーグは思ったままを素直に答えた。しかし、雅行は気の無い返事だ。それぞれの返答を聞いたミミは、ふいっと顔を背けて雅行に告げる。
「なにそれ胡散臭いお返事。女はね、綺麗って言われたら ほんとに綺麗になるのよ?」
 わかってないわねぇ、と溜息を吐くミミだったが、雅行もまた反論する。
「えー、俺も本当に言ってんのに。まぁ、そういう乙女なお年頃ね」
 悪態を吐き合う二人だが、仲が悪い訳ではない。ユーグは二人の間で少しばかり困っていたが、続くミミの言葉に瞳を輝かせる。
「じゃ、ユーくんは綺麗なお姉さんとあっちで飲みましょ? 鶏の唐揚げ食べられる?」
「……俺、何でも食べますよ。雅さんの分も貰っちゃおうかなー」
 冗談を交えつつ、ユーグは雅行も一緒に、と誘うような仕草で彼の方を見遣った。ミミも本当に雅行を除者にする心算ではなく、更に言葉を続ける。
「とっておきのワイン、持ってきてるんでしょ。早く開けてよね」
「まぁな。はは、仕方ねーな」
 そうして、雅行はワインをグラスに注いだ。
 星の光に翳してみれば、その中にも小さな宇宙がもうひとつ生まれる。
「これを飲み干せば俺の腹にも宇宙があるってもんだ」
「満天の星と花を肴に一献、ですか。それにしても……空と地上の宇宙、か」
 ユーグが空を振り仰ぐ中、雅行とミミはグラスを傾けた。
 皆が皆、三高平に来たばかり。傍らの二人のこともまだあまり知らない。けれど、だからこそ今夜のことが皆を知る切欠になればいいと思う。
 傍らを見遣れば、共に時を過ごす仲間が居る。心地好い宵と酔いの最中、ミミはふと呟いた。
「ねえ、あたしたちこの町で出会ったばかりだけど……けっこううまくやっていけそうじゃない?」
 返事はない。きっとそれは、誰もが同じように思い、答えるまでも無いことだったからだろうけれど――。
 そのとき、返事の代わりにコスモスが風に靡いた気がした。
 どうぞよろしく、と。
 この広い宇宙で得られた縁と繋がりに感謝を覚え、彼等はひとときの夜を愉しんだ。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
ご参加ありがとうございました。
コスモスの和名、秋桜とはよく言ったものですね。犬塚もコスモスが大好きです。
花と星に抱かれたひとときの時間、皆様に楽しんで頂けたならば幸いです。