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小さな秋見つけた

●秋の七草

「秋の野に 咲きたる花を
  指折り かき数ふれば
  七種の花
  萩の花 尾花葛花 撫子の花
  女郎花 また藤袴 朝貌の花」
   『万葉集』山上憶良

●秋を満喫しに
「近頃は寒暖の差も大きくなってきたわよね。ちょっとずつ秋らしくなってきたかしら。紅葉にはまだ早いけど、みんなで一足先に小さな秋を見つけにいきましょう」
 『Bell Liberty』伊藤 蘭子(nBNE000271)が憶良の万葉歌を口ずさみながら、にこやかにみんなに提案した。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:凸一  
■難易度:VERY EASY ■ イベントシナリオ
■参加人数制限: なし ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年10月27日(日)00:24
こんにちは、凸一です。

秋は涼しくて気持ちがいいですね。
そんな秋を一足先に見つけにいきましょう。


●目的
小さな秋を見つけて満喫する


●場所
三高平公園、昼間~夕方頃にかけて


●内容どちらか一つ
【1】秋の七草や秋の虫を見つける
公園内を探索しながら秋の七草や秋の鳴く虫をさがす。
【2】読書あるいは食欲の秋
秋の七草や秋の虫の音を聞きながら持参した弁当を食べたり読書をして楽しむ。

【備考】
秋の七草:ハギ、キキョウ、クズ、ナデシコ、ススキ、オミナエシ、フジバカマ
秋の鳴く虫:鈴虫、コオロギ、マツムシ、クツワムシ、カンタン、ケラなど


●イベントシナリオの約束
・参加料金は50LPです。
※予約期間と参加者制限数はありません。参加ボタンを押した時点で参加が確定します。
・誰かと一緒の場合は『時村沙織(nBNE000500)』と言ったふうにIDと名前を表記してください。
【グループ名】タグで一括でも大丈夫です(タグ表記の場合はID、フルネーム表記は必要ありません)
・NPCと絡む場合はID、フルネームは必要ありません。名前をお呼びください。

●参加NPC
・伊藤 蘭子(nBNE000271)
 小型のポケット植物図鑑と昆虫図鑑を持参の予定。あとデジカメ。
蘭子は【1】で最初は一人で散策しながら秋の七草を探している。もしどれが七草かわからなかったりした場合は、蘭子に言ってくれば教えてくれたりします。

それでは、秋の訪れを楽しみましょう!
参加NPC
伊藤 蘭子 (nBNE000271)
 


■メイン参加者 9人■
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ホーリーメイガス
天城 櫻子(BNE000438)
クロスイージス
新田・快(BNE000439)
スターサジタリー
天城・櫻霞(BNE000469)
ナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
インヤンマスター
ユーヌ・結城・プロメース(BNE001086)
スターサジタリー
結城・ハマリエル・虎美(BNE002216)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
クリミナルスタア
藤倉 隆明(BNE003933)
   

●陽のあたる秋の場所
 穏やかな日差しが秋の空から零れ落ちてきている。心地よい風が吹いてくるすごしやすい気持ちのいい昼下がりだった。すでにあれほど五月蠅かった蝉たちはもういない。
 代わりに公園内で聞こえてくるのは秋の虫たちの鳴き声だった。
 草叢や木陰などに耳を澄ますと彼らは静かな音色で音楽を奏でている。ススキやハギやキキョウなど秋の草の傍らで虫達は小さく飛び跳ねていた。
「今日はいい機会になりそうだ。伊藤さん、誘ってくれてありがとね」
「どういたしまして。こちらこそ来てくれてありがとう。それじゃさっそく皆で思いも思いに散らばって秋の訪れを楽しみましょう」
 快の言葉を受けて蘭子が集まった皆に声をかける。それぞれが用意してきた弁当や飲み物などを携えて公園の中に散らばって行った。蘭子は動きやすいいつもの水色の短いワンピース姿を着ていた。まるでその後ろを金魚のフンのように竜一がくっついて回る。
「蘭子たん、なんで可愛いのにアラサーなの?」
 目を輝かせて迫る竜一に蘭子はどう答えるべきか迷う。その間にも竜一はモテない理由が性格によるものかそれとも理想が高すぎるのかを聞こうとしたが、さすがに自分が居たたまれなくなりそうで慌てて口を噤んだ。すでに蘭子は竜一を置いて先に行ってしまっている。竜一は急いで消えた蘭子を探しに猛ダッシュで駆けだした。
 ユウは公園内を一人で散策していた。すぐに大きな原っぱを見つけて一目散に走っていてその場にしゃがみ込む。頭の中はすでに七草粥のことで一杯だ。
「あ、さっそく一つ見つけたー!」
 すぐ傍らに生えていた背の高いススキを見つける。手を切らないようにして根元から優しくススキを摘み取る。先がもじゃもじゃしていてまるで猫じゃらしに使えそうだった。ユウは幸先の良いスタートに機嫌を良くする。
「お粥、お粥を作るの! ……あれ、でもなんかこのススキって食べれるの?」
 首を傾げて考え込む。ススキを調理した所が想像できない。まったく美味しそうな感じがしなかったがそれもそのはず秋の七草は食用ではなく観賞用である。
 ユウはまだその事実に気がついていなかった。疑問に思いながらもユウはまたフジバカマを見つけて次なる秋の七草にチャレンジした。
 快は蘭子と一緒に草叢に到着すると耳を澄ませた。夏の蝉は嫌でも聞こえてくるというのに秋の虫はそれに比べて物静かだ。気をつけなければつい聞き逃してしまう。
 ススキやクズなどが辺りに生えていた。その合間から小さな虫の鳴く声がわずかであるが聞こえてくる。さっそく快は草を掻き分けて声の主を見つけ出す。
 蘭子が横から虫をそっと捕まえようとしたが、すんでの所で気配に気がついた虫が大きくジャンプして逃げ出してしまった。
「ああ、もうちょっとだったのに……」
 蘭子が虫を取り逃がして悔しそうに呟いた。
「バッタの仲間の捕まえ方には、コツがあってね。何度もジャンプするうちにだんだん飛距離が短くなる。疲れて飛べなくなったところを捕まえるんだ」
 快は腕を撒くって虫が逃げた方に回った。ジャンプして逃げる虫をすぐには捕まえずに徐々に隅のほうへ追いこんで行く。虫のジャンプが小さくなったところで快は難なくその虫を捕まえることに成功した。
「わあ、新田君すごい! 貴方何でもできるのね」
 蘭子が感心して褒める。快も照れくさそうに頭を掻いて捕まえた虫を籠の中に入れた。さらに次の虫を見つけに二人は仲良く談笑しながら公園内を探索する。

●二人だけの国
 奥の草原に辿りついた櫻子と櫻霞は適当な場所でレジャーシートを広げた。周りには誰もいなくて自分達二人しかいない。足元に小さな秋の虫が音色を奏でているだけだ。
「やっぱり櫻霞様と一緒が一番幸せなのですぅ♪」
 櫻子はにぱぁと愛しい人に向けて最高の笑顔を見せた。二人きりの時しか見せない櫻子の満面の笑みだ。さっそく花柄の可愛らしいピンクのブランケットを広げる。
「ブランケットまで持ってきたのか、流石に準備が良いな」
 いそいそと準備を進める櫻子を見て櫻霞は苦笑を浮かべた。
 たまには疲れを取るためにゆっくりと息抜きをすることも大事かもしれない。櫻子が準備をしている間に今朝作ってきた茶請けのクッキーを広げた。
 櫻子は持ってきたお気に入りのバスケットの中からカップと温かい紅茶の入った水筒を取り出す。嬉しそうにカップに注いで櫻霞に手渡す。
「ふふっ、櫻霞様が焼いたクッキーには紅茶が一番合うと思うのですにゃ」
 甘えた素振りで櫻子は近寄る。頬が上気して少し赤くなっていた。何かを期待するような視線で櫻子は小さく唇を尖らせて櫻霞に迫る。
 櫻霞はすぐに意図を悟った。近寄ってくる櫻子の細い腰にさりげなく腕を回して自分の膝の上に乗せてやる。そしてクッキーを差し出した。
「チョコレート、メープル、甘いものが大半だな。まあ紅茶には合うだろう」
 久しぶりに作ったとはいえ櫻霞のクッキーは形良くできていた。香ばしい匂いが櫻子の鼻をくすぐる。一口つまんで両頬を抑えて幸せそうに満面の笑みを浮かべた。
「はぅ、はぅ~♪ 美味しいですにゃ~♪」
「いつもお前は美味そうに食うよな」
 櫻霞は膝に心地よい重みを感じながらゆっくりと櫻子の頭を優しく撫でる。
「それだけ嬉しそうだと、作り甲斐もあるってもんだ」
 櫻子は暫くして櫻霞にしなだれかかる。尻尾を振りつつ、大きな櫻霞の胸板に顔をすりすりごろごろしながらゆっくりと目を閉じる。
「美味しいクッキーでお腹一杯ですぅ~」
「甘えるのは良いが、このまま寝るなよ?」
 目を閉じて甘える櫻子を嗜めるように櫻霞はそっと顎を持ちあげて顔を近づける――。

「お茶を振舞ってくれるらしいから来たよ」
 虎美はぶっきらぼうに向かいに座ったユーヌに言った。
 二人は原っぱにシートを敷いて野点をしていた。ユーヌが影人によって運ばせた道具一式を使って秋の風情を感じながら二人でお茶会を開いている。
 そう傍目からは誰が見ても二人しかいないはずだったが……。
「ユーヌがお茶できるなんて初耳だよ。女子力で負けたような気がするけど、些細な問題だよねお兄ちゃん?」
「――ああ、やっぱりお兄ちゃんもそう思うよね。でもせっかくだし頂くとするよ。これ虎美が持ってきた栗羊羹だけどユーヌも食べる?」
「えっ?」
 ユーヌはいきなり話を振られて戸惑う。虎美が脳内でお兄ちゃんと会話しながらいきなり話題を向けてきたのでびっくりした。虎美とは付き合いは長いが、いまだにお兄ちゃんことエア竜一が会話に混入してくることにはまだ慣れていない。
 それでもユーヌは面白いと感じていた。かつての巫女やシャーマンたちがこの世ならざる者と会話する時もこのようなノリだったら愉快だなという気さえしてくる。
 袱紗の擦れる音に、茶筅の音が静かに響き渡る。そこに秋の虫たちの声が協和してハーモニーを作り上げた。侘びを体現したような世界に心が落ち着いてくる。
「……まあまあかな。お茶の良し悪しはわかんないけど、甘い物には苦い方が合うよね。お兄ちゃんの分もあるみたいだから飲もう? 何時もなら止めるけど特別に許してあげる」
 虎美はお茶をエア竜一に回して飲ませる。ぼたぼたと地面にお茶がこぼれ落ちるが満足そうに虎美はお兄ちゃんが全部飲み干したのを見て満足の笑みを浮かべた。
「ブレラヴァの調子は良いようだな?」
「うん? 虎美が食べてもいいって? それじゃ頂くよ。そのお茶も貰うね。お兄ちゃんとの間接キスペロペロ」
 ユーヌが思い切って尋ねてみたが、虎美は気にも留めない。ユーヌと虎美の会話はすでにまったくかみ合っていなかった。逆にお兄ちゃんとの会話がヒートアップして行く。
 誰もいない席に置かれた茶碗を取り上げると、虎美は嬉しそうに茶碗に口づけてべたべたと舐め回す。ユーヌは温かい目線で虎美の一挙手一投足を見守る。そんな様子に気がついた虎美は逆にユーヌに対して憐みの視線を寄越した。
「ねえねえ、蘭子たん待ってー。今日のお姉さんのパンツは何色~?」
「きゃあ、ちょっと下を覗かないでよ、エッチ!!」
 その時だった。ユーヌの後ろから誰かの声が聞こえてくる。耳慣れたそれもすごく身近な人の声のような気がしたがユーヌは表情をピクリともせずにそのまま茶を飲み続ける。
 虎美も横にいるエア竜一と楽しげに談話していて前に気づかない。やがて声の主は遠ざかって行った。ユーヌと虎美は時間が許すまで秋の風情を楽しんだ。

●終わらない歌
 公園のベンチで隆明はだらしなくベンチに一人で腰かけていた。両脚を大きく広げて身体を半分斜めにしながら半ばズレ落ちかけている。その体勢でベンチの背に手をかけながら持ってきた日本酒を上手そうにごくごくと飲み干す。
「はぁー、なんつーか、平和だ……」
 ベンチの裏側からは虫たちの鳴き声が聞こえてくる。隆明は秋の虫を肴に手酌でくつろいでいた。そこへ竜一を撒いてきた蘭子が通りかかる。
「よぉ蘭子さんも一杯どうだい? こういうのもなかなかオツなもんだぜ?」
「あら藤倉じゃない。それじゃあ私も一杯だけ頂こうかしら」
 蘭子は呼ばれて隆明の隣に行儀よく足を揃えて座る。隆明が酌をして蘭子は一口お酒を飲んで笑顔を向けた。今度は隆明にも酌をして二人で小さな秋を楽しむ。
「藤倉君は誰か好きな人とかいないの?」
「えっ、ちょっ何言ってるんだ、蘭子さん」
「貴方いつも一人だしちょっとね。気になる子の一人や二人はいるんじゃない?」
「あぁ、いや、そんなものはいねえな。まあそんな暇なかったのもあるがよ」
 蘭子のいきなりの問いかけに隆明が戸惑ったように返事する。予想していなかった蘭子の言葉に隆明はどきっとして思わずそう言ってお茶を濁した。
「今のうちに見つけておかないと後で後悔するわよ。藤倉君はただでさえ不器用なんだから。もし悩みとかあったらいつでも相談してね。私でよければ話を聞くわ」
「ありがとよ。それよりそろそろ行かなくていいのか?」
「あらいけない。アンジェリカちゃんにお弁当呼ばれてるんだった。それじゃ藤倉君も戦いの時みたいに何でも真っ直ぐにぶつかりなさい。それが貴方のいいところなんだから。私応援してるから頑張ってね」
 隆明はなんとか蘭子を見送ってベンチにようやく正しく座りなおした。自分の握った拳を見つめて苦笑しながらさらに一人で酒を飲み続ける。

 レジャーシートにはアンジェリカが作ってきたサンドイッチが並んでいた。イタリアのパン、フォカッチャにイタリア産モッツァレラとトマトを挟んである。
 もちろんトマトは大阪の高槻の三箇牧トマトだ。イタリアと大阪の意外な組み合わせが絶妙な味わいを引き出していた。
「よかったら蘭子さんや他の皆さんもどうぞ。ドリンクは牛乳だよ」
「ありがとうアンジェリカちゃん。さっそく頂くわ」
 蘭子や他に集まった快や竜一やユウもサンドイッチを頬張る。皆が美味しそうにサンドイッチを食べる姿を見てアンジェリカも満足の笑みを浮かべる。フリルの豪奢な衣装に零さないように注意しながら美少女は牛乳をたくさん飲んだ。
「あらアンジェリカちゃんはよく牛乳を飲むのね」
「ボクも蘭子さんが羨ましいよ。たくさん飲んで大きくなるように頑張る」
 蘭子はてっきり背の事だと思ったが実は胸の事だった。立派な胸に将来なれるようにアンジェリカは地道な努力していたのである。
「そういえばオレ蘭子たんのために頑張って七草取ってきた。これでお粥作ろうぜ!」
「竜一、知らなかったのか? 秋の七草は観賞用で食べれないんだ」
 快の冷静な突っ込みに竜一は言葉を失った。
これにはアンジェリカも蘭子も声を大にして笑う。ユウはひそかに汗を掻きながら最初に言い出さなくてよかったと心の中で安堵した。
 お昼を食べ終わるとアンジェリカは五線譜を取り出した。傍らには快が捕まえてきたたくさんの種類の虫が籠の中で音色を奏でている。図鑑で調べると鈴虫やコオロギやクツワムシやマツムシなどがいた。それぞれが違う鳴き声で協奏している。
「ちょっとした野外コンサート気分、だね」
 快は心地よさそうに籠の中で共演する虫達を眺める。
 アンジェリカは絶対音感でその虫たちの協奏曲を書き留めて行く。ふと、曲のアイディアが浮かんできてアンジェリカは音符を書き足して行った。
 虫の歌声を取り入れた秋の風情のある音楽を作りたい。きっと作ってみせるとアンジェリカは心の中で虫達に約束した。だから止まないで。
 あと少しだけ貴方たちの声音を聞かせてほしい――。

 秋の風に穏やかな調べが乗る。
 澄んだ綺麗な少女の歌声が虫たちのメロディーとハーモニーを奏でている。
 周りにいる者は皆目を閉じていた。まるでこの世ではないどこかを彷徨っているような感覚がしてくる。緩やかな音色の流れに身を任せてもっとどこか知らない世界へ。
 美少女は秋の小さな歌を口ずさむ。
 それに応えるように草叢の周りにいた虫達も一斉に負けじと鳴き声を大きくした。
 この場所にいるすべての虫がいまや一つになっていた。
 日も落ちてやがて辺りは暗闇に包まれた。
 リベリスタ達はすでに身支度を済ませていた。
 快はそっと籠から捕まえた虫をそっと放す。虫達は元気よく飛び出して仲間の元へと飛んでいく。まだまだ彼らの演奏はこれからが本番だとそんな予感がした。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
小さな秋の訪れを楽しむことができたでしょうか?

身近な秋を感じることが少しでも出来たら幸いです。
最近は寒暖の差も一層でてきて急に寒くなってきましたね。
これから徐々に冬に向かうわけですが、どうか皆さんも暖かくして風邪などひかないように十分に体調には気をつけてくださいね。

それでは、皆さんの今後のご活躍を期待して。