●物件1『貧相な家』 C県I市。 この閑静な土地にある問題を抱える住宅がありました。 NPO法人会長、財布ライダーさん。 築五十年。一人暮らしの彼が抱える問題。 それは……。 『狭すぎる入り口』 家に入ろうとしてまず目に飛び込むのはあまりに狭すぎる道。 住宅とコンクリート塀に挟まれた道は人が通る場所とは思えない狭さです。 家主がコンビニ袋を抱えて帰ってこようものならカニ歩きは必須。当然暖めて貰ったコンビニ弁当はガチ縦向きになってしまいます。あと足下にEアリ。 苦労して玄関のドアを開ければそこは……。 『乱雑な玄関』 人から貰ったものやなんとなく買ったものなどを飾っているうちにそれらが玄関を侵食。今や靴箱すらまともに開けられない状態です。 そのため脱いだ靴は置きっ放し。それでも帰るたびに靴を揃えようとする家主の姿勢だけが唯一の救いです。 家主はこう語ります。 「助けた人たちからの心がこもった贈り物なので、どうしても捨てることができないんです」 玄関を抜けた先に待っているのは次の問題。 『開かない扉』 リビングとキッチンのある部屋にこそたどり着けるものの、二階へ進もうとすれば階段へ至るドアが邪魔をします。 それだけならばいいものの、ここも贈り物である狸の置物や巨大な彫像などが廊下や階段を占領しドアが数センチしか開きません。 普通の人であれば二階の寝室に向かうことすらできないでしょう。 「超柔軟や物質透過スキルを使えば通れるからと後回しにしていたんです」 そうした問題をなんとか飲み込んだとしても……。 『使えないキッチン』 圧力鍋やら電子ジャーやらといった大量の料理道具が積み上げられたキッチンはもはや調理器具の博物館。しかし肝心のコンロや流し台は正常に機能せず、キッチンシンクに至ってはパン焼き器がはめ込まれている始末。たとえ外したとしても傷んだシンクは使い物にならないでしょう。どころか水も流せません。 コンロも動揺のありさまで、一体なんのためにガス台と水道代を払っているのか疑います。 「友人からはリサイクルショップやオークションで売りさばくようにと言われて居るのですが、これもやはり心のこもった贈り物で、どうしても手放す気にはなれないんです」 普段から人助けのために全国を回ってホテル生活をすることが多いため家に帰ってもキッチンや風呂を使わないという家主。当然キッチンの奥にある風呂場も動揺の有様を展開しており、これもまた水道代とガス代の無駄遣いです。 そして極めつけが二階の……。 『眠れない寝室』 大量の目覚まし時計や絵画、ポスター、衣装などが並んだ六畳の寝室は床に畳があったことを忘れさせるほどに物が散乱しており、とりあえず眠れればいいというように布団が敷いてあるだけの空間。 その布団も謎の抱き枕やぬいぐるみに占領され、大量に放置された時計のチクタク音はもはや嫌がらせのレベル。犬や猫ですら眠ることを拒む最悪の寝室と言えるでしょう。 「睡眠不要スキルを使えば眠らなくても平気なので、寝室の重要性も低くなってしまって」 これはもはや家ではなく古い倉庫。 いくらホテル暮らしができるからといって自らの拠点がこの有様では心の落ち着く暇がありません。 そこで彼は友人知人たちからの強い後押しをうけ、今回のリフォームに踏み切りました。 この住宅がどのように変わるのか。 予算10億。 土地の広さは東京ドーム一個分が用意されています。 さあ、アークから派遣された匠八人衆の挑戦が始まります。 ●これはね、一応戦闘要素がある依頼なんだよ? アリっていうEビーストを潰すんだ。ほら冒頭のあたりににいたでしょ? アイワ ナビ子(nBNE000228)がカエルの像を抱えていた。 よく薬局で首振ってるやつのすごく古い型で、マニアの間では割と高値で取引されるアレである。 「……説明、これ以上いるの?」 ナビ子はそう言うと、カエルちゃんにほおずりを続けた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:八重紅友禅 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月24日(木)23:41 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●リベリスタなら誰でも出来る簡単な……あっやめとこう。 「くにへかえるんだな、おまえにもかぞくがいるだろう」 「くっくっく、虫けらがぁー」 「おのれアリ怪人めなんという強大な敵。しかし今日はアンタとあたしでダブルライダーだ!」 「寒くなったので服を着ました。あと駅弁(意味深)はふたりぼっち(意味深)で食べよう(意味深)っておとーさんが言ってました。あ、アリ食べときますね」 無駄に毛を逆立てた『まごころ宅急便』安西 郷(BNE002360)。 ハイライトの無い目で足踏みする『鏡操り人形』リンシード・フラックス(BNE002684)。 アリ相手に死闘を繰り広げる『レッツゴー!インヤンマスター』九曜 計都(BNE003026)。 あと人型のモザイク。 彼らはなんか一生懸命アリを踏んでいた。 あとモザイクの中身は『健全ロリ』キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)です。有料プレミアム会員になって頂きますとモザイク無しバージョンを見ることが出来ます。あと知らないオッサンのコラム『ロリがいるなら仕事はいらない』が配信されます。 「やあアークの諸君! 来てくれてありがとう! これは僅かばかりの気持ちだ、とっていてくれたまえ」 ビジネススーツに白マントという妙なオッサンこと財布ライダーは、集まってくれたリベリスタたちに手のひらサイズの箱を渡した。 『財布ライダーソーセージ』って書いてあった。 「お、おう……」 ジト目で頷く『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)。 「中に入っている会員カードを使うと全国公共機関および舞浜のあそこや有名ドーナツチェーンが地味に安くなる」 「ありがとう!」 値上げしたばっかりやから助かるわーとか言いながら懐にしまう麻奈であった。庶民的な反応をするリベリスタって、以外とレアなんじゃなかろうか。 「まさかお土産を貰うとは思っていなかった。ではお返しに……これを」 懐に手を入れる『リング・ア・ベル』ベルカ・ヤーコヴレヴナ・パブロヴァ(BNE003829)。 そして木彫りの熊を取り出した。 どうやって入ってたんだろう。 「ありがとう! 各バリエーションを含めて今200個ほどあるんだ。大事に飾らせて貰おう!」 「木彫り熊のバリエーション? なんだそれは」 「逆に巨大鮭に食われるやつや地元特産品を加えているやつだな。埼玉のふかやねぎをなぜか大事にくわえるバージョンが地味に気に入っている」 「そうか……」 とかやっていると、『鏡花水月フルメタルクィーン』鋼・女帝皇(BNE004530)がティーカップ片手にこちらを見た。 ちょうど晒していた横顔で、視線だけこちらに向ける要領である。 っていうかよく見たら赤い絨毯の上に椅子とテーブルを置いて両側から大きなうちわで扇がれていた。なんなのこの人。っていうか鋼一族なんなの。責任を感じるわ。 「潤沢な資金と広大な土地。依頼人の要望を満たしつつ己の趣向を盛り込める案件……なるほど胸が高まりますわ」 尚、この人は作中このモーションしかしませんが、決してセル画の使い回しやスタッフの手抜きではないことを先述させて頂きたい。 なんか楽しくなっちゃったのか一緒になってうちわで仰いでいた神谷 小鶴(BNE004625)が、ぴたりと動きを止めた。 「さて、ではそろそろ作業を始めちゃいましょうか。業者さんの手でモノの運び出しは済んでるんですよね?」 「そッスね。郷さんが『荷物運びと聞いては黙っていられない』と言って今建物内で待ちガイルしてるッスけど」 「完全に沈黙してるじゃないですか」 「まあ、まずは景気づけということで」 ハイライトの消えた目(デフォルトでこの目)でぐりんと振り返るリンシード。 足下に置いた押し込み式T字スイッチを、足でもってぐいっと踏み込んだ。 「爆破」 ドゴオオオオオっていいながら崩れる家屋。 ウーアウーアとかいいながら飛んでいく郷。 匠の挑戦が、いま始まる。 ●第一章『収納』 「まずはこの辺からやね……」 麻奈は大型クレーンで移動されていく輸送コンテナを見上げて言った。 海外との輸出入などに用いる室温調整機能をもったコンテナで、電力さえ供給してやればナマモノですらそれなりの期間保存することが可能な品である。当然その辺のホームセンターには売っていない。ちなみに4~5百万する。重機もリースするだけで結構お値段が張るが、財布ライダー自身がリース会社を持っていたのでまんま持ってきた。かかるのは燃料代だけである。 「保存してなんぼのモンとか、無駄に積まれてた米とか、そういうのはしまい込んだんやけど……全部しまいっぱなしはもったいないわな」 「家具のたぐいはそんなにないな。安眠枕とかが無駄に有り余ってるようだが……」 ふうむと言いながら自分の顎を撫でるベルカ。 「財布ライダーの生活用と来客用にそれぞれあてよう。使われてこそ価値のある品も多いからな」 「調度品はどーするん?」 「そこで提案したいアイデアがある」 顔をボコボコにした郷が謎のカウンターを背負って現われた。いつまで引っ張るんだそのネタを。 「縦に長いビルを建設して、展示施設と宿泊施設を兼ねるんだ。上の方は宿泊、下の方は展示といった具合にだな」 「なるほど! それなら大学で博物館課程なんぞとって今から将来に不安視しかしていない若者が救われるな!」 「あるのか、そんな学科……?」 「博物館の知識と経営技術、並びに民族・メディア・デザイン・歴史学を習得するぞ」 「うわあ、就職先せっま!」 「地元の博物館や美術館を就職先に選ぶのがパターンだが……ふふ、ああいう所は慢性的に人手を余らせているからな……」 「一定以上は儲からないものな」 「特定の物体をかなりの長期間、不特定多数の人目にさらしつつ状態を維持し続けるというのは思いの外労力のかかるものだが、何かを生産する業務ではないからどうしても賃金を上げづらいというのが現状だ」 「なあなあ、途中から話題ズレてへん?」 いつの間にか話に加わっていた財布ライダーと一緒になってマニアックな学科を卒業しちゃった大学生の未来を心配していたが、ふと麻奈が現実に引き戻した。 ぽんと手を打つ郷。 「宿泊施設についてなんだが、人の労力がかかってる場所なんだ。少なくてもいいから料金をとれないか?」 「この土地は宿泊を必要としないから難しいな。ケアスタッフだけを常駐させつつ、近い観光地に中規模なホテルを建ててみるか。それなら必要な分だけ共通のルートで物資と人員を移せる。展示品をローテーションをすることを考えれば、ホテル側に展示スペースを設けることも可能だ」 「ここぞとばかりに設けるな……」 「富裕層から貧困層への流入ルートを作るというのが、経済救済の基本だからな。ただホームレスに札束を投げるのでは何も変わらない。目先の自己満足で金を浪費しているに過ぎん」 「なるほどな。確かにキンバレイに百万円渡しても来月には泡となって消えていそうだ……」 ●第二章『メイド』 「呼ばれた気がしました」 人型のモザイクがぬるっと現われた。 「ビル建てるならメイド雇いましょう。きっとすぐに散らかしちゃうし、いつも居ないなら管理する人が必要です。うちも、おとーさんがすぐに蒔き散らかしちゃうから定期的にお掃除しないとイカ――」 「メイドなら既に選別を終えてましてよ」 ひらひらのついた巨大なうちわが羽根のように開き、ティーカップを持った女皇帝が視線だけでこちらを見た。どうやって移動してきたのこの人。 よく見れば女皇帝の後ろにはゴシック系のメイド服を着た女性がずらりと並び、一斉に頭を下げていた。 「自己管理ができないからこその現状。組織だった管財人が必要ですわ。そして当然ながら、有能でなくてはならない。そのための選抜試験を……既に行なっております」 パチンと指を鳴らす女皇帝。 すると背後で巨大スクリーンがせりあがり、30分のドキュメンタリー番組が始まった。 大量に集められた女性たちが己の夢や情熱を競い合い、スポーツや学術テストや円柱形闘技場でのバトルロワイヤル等を経て次々にふるい落とされていくさまが描かれていた。 最終試験は女皇帝との面接試験だが、海外の古城だかなんだかに呼び出されたメイドがいきなり『紅茶を淹れなさいな』と言われるというスケール感のよくわからない試験だった。 「こうして選び出されたメイド正規メンバーが約四十八名、研究生および候補生約百二十名おりますわ。ご自由に使役なさってくださいな」 「チーッス! どーもッス! これからよろしくオナシャッス!!」 そんな中で、やたら軽装にアレンジしたメイドが敬礼のまねごとをした。 目を細める人型モザイク。 「この人がメイドですか? メイド服にしては布がなさすぎです」 「今世紀最大の『おまえがいうな』を君に」 「小銭蒔子ッス! メイドッス!」 「紅茶を淹れろと言ったら午後ティーを買ってきた娘ですわ」 「なんで雇ったんやその子」 「注文から二秒で用意したからです」 「早い!?」 「イングランドの古城なのにどうして日本製の午後ティーを用意できたのか不思議ですわ」 「海を越えて早い!?」 「こうして無駄な設定が増えていくんですねわかります」 「24時間以内に触ったものを代金と引き替えに一回だけ手元に戻せる『プレイバック百恵』というアーティファクトっす!」 「やめろ! もう設定を増やすな!」 ●第三章『やすらぎってなんだっけ』 財布ライダー宅予定地上空。 ヘリから双眼鏡で地面を見下ろすリンシードの姿があった。 「植木の迷路って、昔の遊園地には沢山あったきがします」 「あー、シャイニングで父親迷い殺したやつッスね」 隣の席でポテチ食ってた計都が一緒に下を覗き込んでくる。 「あとプールも作りましょう。流れるプール。流しそうめんし放題ですよ」 「プールの主な使用方法がそうめんって……」 そして向かい側でそうめん食ってる小鶴である。 高所でも平気でものを食える。そんなリベリスタのすごさ。 「私がつけたいのはアレですよ、ヘリポート。ヘリ自体は……予算内で足ります?」 「今乗っているものがおよそ二億だ。我が社のリース品だが、この際自家用ヘリを購入してもいいだろう。有事の際に国内を早く移動できる」 ヘリを操縦していた財布ライダーがマイク越しに応答してきた。 「じゃあステルス機は?」 「我々リベリスタがステルス機を持っていたところで何の価値もない。それに、日本のレーダー技術を甘く見ないことだ。中古のステルス機などすぐに見つかる。仮に隠れられたとしても、他の航空機に迷惑をかけるだけだ」 「空ひとつ飛ぶのに面倒がかかるんですねえ……」 「空は道路整備できないからな」 「プールはどうです?」 「必要性は感じていないが……プールはくつろぎに通じるところがある。メイドを大量に雇うことも考えて、大浴場と温水プールを併設してもいいかもしれないな。長らく一箇所で仕事をし続けるなら、相応の娯楽を用意せねばなるまい」 「なるほど。じゃあうどんもゆでられますね」 「温泉卵もいけるッスね」 なぜ食べ物前提で考えているのか? さておき。 計都が図面を広げて言った。 「財布ライダー自身の寝室やバスルームは、好きに設計してもいいんすよね?」 「ああ、任せよう。ほどほどに頼むよ」 「ほどほどに……フ」 「フフ……」 リンシードと小鶴がニヤリと笑った。 ●完成 麻奈がマイクの前にちょこんと座った。 ラジカセのスイッチを入れる。すると匠の心意気を感じるBGMが流れ始めた。 えーあー、標準語ってめんどいわ。コホン。八人の匠が趣向を凝らして建てた新しい財布ライダー宅はどうなったのでしょうか。 依頼主と一緒に見ていきましょう。 まずは玄関前。 コンビニ弁当が完全に偏るあの狭苦しい通路が……。 なんということで……ってなんやコレ!? えー、植木が巧妙な迷路と化しており、飛びでもしないかぎり自宅に直通することはできないでしょう。匠の『にひゃっ』とした笑顔が浮かぶようですね。 苦労して迷路を抜ければ巨大な玄関と大量のメイドがお出迎えをしてくれます。 あのアリくらいしかいなかった空間とはおもえません。 ちなみに人型のモザイクがモモなんとか像をパプペポン神殿の如く並べ始めたので妖怪にひゃっとさんが全て爆破しました。よそさまのNPCを勝手に持ってくることまかり成らぬという気持ちが……あ、違うわコレ爆破したかっただけだわコレ。 えー、こうした敷地が東西南北に計五つ。五角形の星形に配置されています。攻めにくく守りやすい、伝統の城構えですね。 各所にはフルプレートで武装したリベリスタメイドが配置され、仮にフィクサード組織がちょと襲撃をしかけたとしても軽く迎撃できることでしょう。ゴシックドレスに全身甲冑とか、匠の歪んだ趣味が丸出しですね。 では本邸は後回しにして、中央に聳え立つ財布ライダービルへと入っていきましょう。 ご覧ください。乱雑に積み重ねられ、ほぼ障害物になっていた調度品の数々が……なんということでしょう。ガラスケースなどに入れられ綺麗に展示されています。 それぞれ送り主のエピソードや調度品の説明などが添えられ、どれも綺麗な状態で保存されています。これらの管理を任された管理メイドは専門士の資格と学歴をもっており、匠の後ろから将来を憂う気持ちがじんわりとにじみ出ているのが分かりますね。 展示しきれない品やあえて展示するほどでもない品は専用のコンテナに収納され、巨大倉庫にそれぞれ保管されています。これで贈り物が傷む心配はありませんね。 ビルを登っていくと見えるのが複数の宿泊施設です。 それほど数は多くありませんが、見晴らしがよく、掃除の行き届いたビジネスホテルのような落ち着いた部屋が用意されています。 これで、遠路はるばるやってきた来客たちを暖かく迎えることができますね。 これと同じような建物が付近の観光地に建っており、財布ライダーホテルとして近日オープンする予定だそうです。候補生のメイドたちがスタッフとして常駐しており、人手が居る際は物資ごと流用することも可能なようです。 そして屋上に用意されたのが財布ライダー用の居住スペース。浴室と寝室、そして最低限のリビングが備わっています。 まずは浴室。あの水すら張られることのなかった部屋が……なん――なにしてくれてんねんコレェ!! ぜ、全面ガラス張りやないかい! しかもユニットバスやないかい! ちょ、しかもうちが入ってるとこやないか! 写すな! 誰やこんなの撮影したんはぁ! と……そこへ匠が大量のポスターやタペストリーなどの壁掛け調度品を持って現われました。 するとなんということでしょう。入浴中の財布ライダーをぐるりと囲むお礼の品々たち。助けた人たちの気持ちに包まれながら、日々の疲れを癒やすことが出来ますね。 そのうえ床下には若干……そのー、なんや、等身大フィギュアとか、そういうのがしまわれています。透視すれば眺めほうだいですね。ていうかうち、こんないかがわしい品の上で入浴しとったんかい……。 お次はベッドルーム。 寝るスペースもなく、大量にある時計の音で眠ることすら不可能だった部屋は……なんということでしょう。周囲は防音効果のあるガラスで囲まれ、奥には時計が大量に並んでいます。これでカチコチ音に悩まされることはありませんね。 しかし目覚めには必要です。そこで匠の粋な遊び心が発動しました。 起床時間と共に全てのガラス戸が開き、一斉に鳴り響くアラーム。 ベッドが傾き、開いた穴に財布ライダーを滑り落とします。 ビルの高さを滑り落ちる間にもふもふのついたパジャマからいつものスーツにしっかりとチェンジするギミックを搭載。一般人ならうっかり複雑骨折しててもおかしくない仕掛けですが、リベリスタなら安心ですね。ちなみに有事の際はカタパルト発射される仕組みも搭載しております。死ぬわ。 ……さて、たどり着いた先はウォークインクローゼット。 ここには財布ライダーが着替えるための様々な服が納められ、パチンと指を鳴らせば全ての服が姿を現わす仕掛けに……って全部同じスーツやん! 趣味悪っ! しかしまあ、これで毎日の仕事も安心ですね。 ビルの周囲にはそれぞれプールや人工温泉が備わっており、快適な生活を約束します。 ちなみにビルの正面に小鶴さんがカサカサ動く巨大な白スーツ像を設置しましたがこれもドゴオオオって爆破されました。よそさまのライターを勝手に……あ、違うまたこの子や! どんだけ爆破したいんやこの子! 最後にこちら。 本邸の脇にひっそりと残された……そうです、旧財布ライダー邸です。 冒頭で爆破された筈のあれがなんとそのままの形で残っていたのでした。郷さんが庇ったん? そんなシステムないと思うんやけど。 しかしこの趣向には依頼人も思わず笑みがこぼれたようです。やはりものを大事にする気持ちは必要ですね。 ――こうして財布ライダー邸は無駄にチートな建物として生まれ変わり、費用も予算内に収まりました。 財布ライダーさん、これからも人助けを頑張ってくださいね。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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