●知ってるかい。これ、リシェナの誕生日シナリオなんだぜ 「『クノイチフュリエ』リシェナ・ミスカルフォ(nBNE000256)の胸部を掴んできてください」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:どくどく | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月27日(日)00:29 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
● 「じゃあ家に帰って対処するでござるよ」 『クノイチフュリエ』リシェナ・ミスカルフォ(nBNE000256)が自分の胸部下着がエリューションした事を聞き、三高平に帰って対処する旨を連絡する。何事も無ければ夕方には三高平につく。それからでいいやと気楽に考えていたところに、 「エリューションって色々いるって知ってたつもりだけど……ほんと色々なんだねー」 依頼に同行していたカメリア・アルブス(BNE004402)が頷きながら近づいてくる。同じフュリエのカメリアは、元々動きやすい服をメインで着ているため羞恥心が薄い。 「カメリア殿、下着をかげて攻撃するとか良くないでござるっ!」 「神秘は不可解なものなの」 戦闘中、そんな会話をしていた。いやどうなんだ、これ。 ともあれそんなカメリアがリシェナにハイテレパスで伝言する。ラ・ル・カーナだと互いのつながりが強いのでこんなことしなくてもいいのに、と少しもどかしげげに。 『あのね、リシェナ。口を開かずに聞いて』 『ん?』 『あなたの胸をものすごい勢いで揉もうとする人がいるの』 『んん!?』 『具体的には『覇界闘士<アンブレイカブル>』 御厨・夏栖斗(BNE000004)と『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)と『影刃』黒部 幸成(BNE002032)と『悪童』藤倉 隆明(BNE003933)と『アスタービーストテイマー』杜若・瑠桐恵(BNE004127)と『一般的な二十歳男性』門倉・鳴未(BNE004188)と『夜明けの光裂く』アルシェイラ・クヴォイトゥル(BNE004365)が』 『ここでフルネームとID紹介!? むしろその人数は何でござるか!?』 抽選漏れを入れるとあと十二人ぐらいはいたわけですが。 『なので速やかにブラを脱いで私かアーシェか白石さんに渡して欲しいの』 『いや、ここで脱ぐのはいやでござるなぁ……』 『うん。分かってる。じゃあ私が護ってあげるね』 カメリアはにっこり微笑むとリシェナに同行する。 『え? いいのでござるか?』 『なんか相談中に色々危険だと分かって、リシェナちゃんを助けないといけないと思ったの』 『わーい、ありがとうでござる』 カメリアが仲間になった! 「アーシェの位置はなんとなくわかるけど……あ、いた」 カメリアが指差す先にアルシェイラがいた。身を隠すでもなく堂々と歩いてくる。ボトムチャンネルでの経験が浅いため、世間知らずの部分があるアルシェイラだが、ことの重要性は理解している。エリューションを討たなければ。 「リシェナ。ちょっと、胸を揉ませて」 「お断りでござる!」 「大丈夫、素手の物理攻撃力は22しかないから」 「今回メタが多いでござるな! ギャグ回だからって多用すると飽きられるでござるよ、どくどく!」 は、さーせん。 「確かにエリューション化は一大事でござるが――」 「わかってる。リシェナの下着が天を衝き、海を裂き、大地を割る勢いで何かしてどうもあれっぽい感じにどうにかこうにかなってしまう可能性がなきにしもあらず、って聞きました」 「ええええええっ!?」 「正直意味が分からないけど大変な事なんだろうな、と思いました」 「うん、拙者も分からない」 アルシェイラの言葉に素直な感想を告げるリシェナ。そのまま麓の町をフュリエたちは歩く。 「ところでわたしはその辺り実はよく分かってないんだけど、とりあえずこういう時は人に配慮した方がいいというので一応聞いておくね」 「うん?」 「胸を揉まれるなら知らない人が多い麓の町と、知ってる人が多い三高平だとどっちがいい?」 「どっちもご免でござる!」 コンマ二秒での返答。うん、と頷きアルシェイラは続けた。 「大丈夫。ボトムチャンネルの人は例え見た目が似てても発生過程も異なる別種なの。だから、恥ずかしがるとかそういうのは意味がないんじゃないかな、と思うんだけど……」 「まぁ、言いたいことは分かるでござるが……」 犬や猫に裸を見られても恥ずかしくないのと同じ事である。とはいえ、種族として別であっても、やはり意志の通じる相手で価値観も共通だ。さすがにそこまで吹っ切れないリシェナであった。 「クノイチの格好は恥ずかしくないのに?」 「クノイチはボトムの文化でござるから」 幻視使ってるとはいえ、ぽよんたゆんなクノイチコスプレはやっぱり恥ずかしいものではなかろうか。そう突っ込みを入れる常識人は、残念ながらここにはいなかった。 ● 電車に揺られて三高平に帰るリシェナ。最初に電車に乗ったときは、感動で声を上げたのも昔の話。いまやICカードを使いこなすアザーバイドである。勘違いシノビの癖に、こういう柔軟性は高い。 そんなリシェナに近づく影があった。瑠桐恵である。 「誕生日にこんなものに寄生されちゃう忍者も割りと抜けてるのね。まあその方が可愛げがあるんだけどね、フフフッ、サプライズと思って貰おうかしら」 妖艶な笑みを浮かべて、電車内を移動する。同じく電車に乗った隆明と視線を合わせる。 視線で合図しあって、頷く瑠桐恵。先ずは私の番ね、とリシェナへの距離を詰めていく。人ごみが多いこともあり、接近に気づかれた様子は無い。 (女ならではの作戦を思いついたわ。私が最初に鷲掴んであげる) 瑠桐恵はリシェナの背後にたどり着くとゆっくりと手を伸ばし、お尻と背中に手を伸ばす。そわそわとくもが這うようにそこに触れる。ぞわっと、リシェナの背筋が震えた。 「フフッ、此処で暴れたら皆に気付かれちゃうわよ」 「この人痴漢でーす」 瑠桐恵の脅しにコンマ4秒で反応して手を掴むリシェナ。 「あらま」 「って瑠桐恵殿でござるか。何してるでござるか?」 半眼で睨むリシェナ。周りの乗客は『なんだ友人同士じゃれてるだけか』と興味をなくしたようになる。 「ダメよ。こういうときは怖がって為すがままにならないと。新たな扉が開けるわよ」 「何言ってるでござるか、って胸に手を近づけようとしないで欲しいでござるー!」 「下着エリューションを退治する名目で思いっきり鷲掴みを実行したいのよ」 「ストレートでござるよ! にょわ、耳とかなぞるの反則でござるっ!」 「あら、もしかして弱いの? こうされるとどうなるのかしら?」 「わーん。やっぱりこの人痴漢でござるー」 瑠桐恵とリシェナのじゃれあいは、三高平に到着するまで続いた。 (甘いなリシェナ、瑠桐恵はオトリ! 無事に突破して弛緩した隙にこそ付け入る隙があるのだ!) 隆明はゆっくりとリシェナの背後から近づく。電車が三高平について下りるとき。そこが狙い目だ。襲撃もひと段落し、自らのホームグラウンドに着いたその瞬間。それこそがねらい目。 じわりじわりと距離をつめる隆明。シミュレートは完璧だ。這うよりも緩やかな速度だが、二秒の余裕がある。二秒あれば、胸を揉……エリューション退治には十分な時間。そう、これはエリューション退治。それを忘れてはいけないのだ。 (そうだ、心を静めろ。そしてあらゆる音を聞き分け、音の空白を見定めるんだ! この一瞬の判断ミスが悲劇を生むかもしれないんだぞ!) 世界を護るリベリスタ。相対するはエリューション。隆明は水面の如く心を清らかにする。やがてすべての音が消える。リシェナの注意が完全に駅のほうに向き、そちらに一歩踏み出した瞬間。 ――水面に波紋が広がるように、その動きは滑らかで且つ自然な動きだった。 音も無くリシェナの背後に迫る。目測でリシェナの胸の位置を定め、銃を抜き撃つような速度で両腕を動かし、その手のひらでリシェナの胸を掴む。 (社会が怖くて胸が揉めるか! 俺は今阿修羅すら凌駕する存在だぜ!) 隆明にはその覚悟があった。しかし、その覚悟すら打ち砕く感触が手のひらに伝わってくる (こ、これは……っ!) 生物の機能的面において、女性の胸が膨らんでいる必要は全く無い。そのほとんどが脂肪であり、生態的にはなんら意味を成さない部位といえよう。だがこの手のひらに伝わる感覚は、そんな理屈を凌駕していた。 水のように柔らかく、しかし押せば返す弾力。手のひらに収まりそうでこぼれそうな大きさ。布越しとはいえ手のひらから伝わる体温。掴もうとすれば逆に手にその存在を示すようにその重量がのしかかる。 これぞ、おっぱい。 逡巡はわずか。だがそのわずかの間に、隆明は周りの人間に痴漢として捕らえられていた。 「あ、危なかった……でござる」 思わず語尾を忘れるぐらいには危なかったリシェナ。動悸を抑えるために深呼吸し、隆明に向き直る。笑顔で青筋一つ。 「おつとめがんばってでござるー」 「怒るの無理は無いけど、慈悲ぐらいはお願いしまあああああす!」 ● 「おっぱい掴ませてくれ!」 三高平駅の改札を出て、いきなり夏栖斗が土下座した。行きかう人たちは沈黙と無視と半眼でそれに応じた。 夏栖斗の名誉のためにいうと、リシェナのエリューション化した胸部下着の退治が目的である。だがそんな事情を知らない人が見れば、ただのHENTAI発言だ。 「僕のこの手はなんのためにある。世界を護るためだ! たとえそれが小さな綻びだとしても潰していかないといけない。それがリベリスタだ。 だからおっぱい掴ませてくれ!」 「最後の一言がなければカッコいいんでござるが……あ、お断りでござる」 「自分の手を汚してでも理想を貫く……それができなければ戦ってはいけない……いけないんだ!」 土下座した手をバネにするように起き上がり、夏栖斗がリシェナに迫る。リシェナは盾にするように腕でガードするが、その腕に手を絡めてそのガードを解く夏栖斗。そのまま手を突き出し、リシェナの胸に手を伸ば―― 「うわぁ、足が滑った! ガラスに突っ込んだ! 後で弁償します! 時村物産につけといてください」 「……あれ?」 やられた、と思ったリシェナは突然ガラスに突っ込んだ夏栖斗を見て怪訝に思った。 「やるじゃねぇか、リシェナっ……! だがそのおっぱいだけは見逃さねぇぜ」 「えーと、もしかして夏栖斗殿――」 「こうなれば路線変更だ! うわあ! 沈まれ僕の右手ぇ! これは僕の意志じゃない……手が勝手に……!」 突如厨二チックに手を押さえ込み、ゆっくりとリシェナに手を伸ばす夏栖斗。リシェナは避けるでも無くそれをじっと見ていた。 あと数センチ。そこまで迫ったところで、夏栖斗は何かに負けたように地面を転がった。 「DT男子が女子のおっぱい掴めるわけないじゃん! 僕の意気地なし! 僕のばかっ!」 血の涙を流しながら、地面を叩く夏栖斗。 「わ、わーい。勝ちでござる……?」 頬をかきながら勝利を味わうリシェナ。勝利とはむなしいものだ。改めてそう感じるのであった。 「若いな、御厨後輩。だがその若さは何事にも変えがたき事。今はその悔しさを胸に刻むでござる」 気配を殺し、影に潜み。そしてリシェナの隙をうかがう幸成。狙い目は戦闘(?)が終わって一息ついたところ。一瞬で背後に迫り、瞬く間にエリューションの命脈を絶つ作戦だ。 リシェナこの襲撃に気づけたのは、隆明の襲撃が似たタイミングであったことが大きい。気を抜いた瞬間に背後から迫る。無垢(あんぽんたん)ではあるが、彼女も歴戦のリベリスタ。 とっさに前転し、幸成の初撃を交わす。その回転の勢いを殺さぬままに落ちていた小石を後方に投げる。あてずっぽうに投げられた石など幸成からすれば脅威にすらならない。片手で払い、距離をつめる。 「暫く振りの忍務がよもや、同胞たるクノイチをこの手にかけるものとは……」 同胞とはいえ幸成の動きに躊躇は無い。エリューションを討つのはリベリスタの務め。非情な任務だが、為さねば崩界を招きかねないのだ。突き出す貫手がリシェナの胸部に迫る。静かに迫り、速やかに穿つ。これこそ忍びの戦法也。 リシェナはクノイチとはいえ射手よりで、純粋な近接戦においては幸成の技術に劣る。もって三合。それがその場にいた者たちの推測で、そしてそれは概ね正解だった。 「こうなったら……この忍者痴漢でーす!」 「たとえこの命(フェイト)尽きようとも忍務だけは遂行するで御座る」 「ちょ、幸成殿マジすぎる!」 「きれい事ばかりで勝つことはできない。現実を見ればわかること」 やがて幸成はリシェナを追い詰め、その手が豊満な胸に迫る。 「許せとはいわぬリシェナ。これも忍務。 くのいちの武器として実に素晴らしい見事な巨乳で御座るなとか、フュリエっぱいはこれが標準なので御座ろうかとか、そんなころは一切考えぬからおとなしくもまれるで御座る」 「絶対考えてるー!」 「考えては御座らんぞ。うむ、御座らんぞ。それでは!」 「緊急回避フラバンでござる!」 リシェナの手のひらから神秘の光が迸り、幸成の目を焼いた。視力が回復したときにはリシェナの姿は無く、幸成の手の中には緑色の忍び装束だけが残っていた。 「身代わりの術とは見事也……む、ということはリシェナは今上着の無い状態……!」 「シャツぐらい着てるでござる!」 声に振り向けば、シャツを着て寒そうに震えながら声を張り上げているリシェナがいた。 そしてリシェナの逃亡劇が再開される。 ● 「きっと戦闘後だし胸を狙われ皆に追い掛けられて汗だくであると思う訳よ。 なので着替えを用意して待ってたんだけど……シャツ一枚とは予想外だった」 望遠鏡で逃げてくるリシェナを確認した明奈が呆れたように呟いた。男どもはどんな追い詰め方をしたのだ? 「おーい、リシェナ。そんな格好で走ってたら風邪引くぞー」 「好きでこんな格好で走ってるんじゃないでござる!」 うん、知ってる。しかし明奈はどこ吹く風で会話を続けた。 「よし、じゃあ服を着るためにブティック行こう。アイドル衣装やコスプレ衣装を扱うとこがあるのよ」 「その二つを一緒くたにするのは本業アイドルとしてどーなんでござるか……?」 「こまけぇことはきにするな! とにかく行くぞ、ほれ行け!」 「いや拙者追われて、ちょー!?」 ほとんど拉致寸前の誘導で店まで連れられるリシェナ。 「衣装合わせには計測が必要だからね。試着室に入って、調べるわよ」 「計測って別に服脱がなくても――」 「脱いだほうが正確な値が出るのよ。ホラ、ボディスーツとかぴっちりした服着てる忍者とかいるじゃない! あれあれ!」 持ち前の元気と強引さで試着室まで誘導される。 「つーことで、ほら、すぐ終わるんで。脱いで? 脱がないと計測できないじゃん?」 「や、えーと。明奈殿、目が怖いでござる。拙者、これにて失礼を!」 「ええい、逃げるな! ワタシはリシェナちゃんの事を考えてわざわざ店に話を通したんだよ!?」 「緊急回避フラバ……ああ、EP切れてる!?」 「必殺! アイドル☆緊縛術!」 「捕縛じゃなく緊縛!? 痛っ、縄が食い込んで……」 「エリューションを討つ。セクハラもする。両方こなさなきゃならないのがアークの辛い所だぜ、うへへへへ。 リシェナちゃんのおっぱいゲットだぜー!」 「ひゃあああああああん!」 ――かくして、エリューションは潰えた。 ● 「リシェナちゃん、誕生日おめでとう……あの、大丈夫?」 リシェナの誕生日のために店を予約していた鳴未が、やってきたリシェナを見て心配そうに声をかける。リシェナはわずかに顔を赤らめ、警戒するように胸を押さえていた。 「……鳴未殿は胸を揉まないでござるよね?」 「揉まない揉まない。エリューションが退治されたのなら揉まないから」 「……退治されなかったら揉む気だったでござるか……」 「いやまぁ、それは」 鳴未もリベリスタである。アークから報を受けてエリューションと戦えといわれれば、如何なる状況でも世界のために戦う。それに、 (……や、まあ、俺だって男ッスからね? あのおっぱいに何も思わない訳無いッス) リシェナの胸に視線を向けながら鳴未はそっと付け足す。揉む大義名分がなくなって、ほっとしたような残念なような。 (そう思えるのは、事件が終わったからっスね。平和になればへんなこと考える余裕も生まれるもんッス) 「本っっっっっ当にすいませんでしたあああああああ!」 隆明を初めとした、リシェナを強襲した男性陣がいっせいに土下座する。色々あったけど、社会的フェイトは世間の噂程度に収まりました。 「……まぁ、エリューション事件だし、仕方ないでござる」 散々な一日だったが、行動理念はエリューションを討つというリベリスタの信念だ。それを悪し様に攻めるわけにはいかない。リシェナは全てを水に流すことにした。アフターフォローとはいえ、誕生日まで祝ってくれるのだ。 「では改めて。リシェナ、誕生日おめでと――」 祝杯を挙げる直前で、幻想纏いから通信が入る。 『リシェナさんの臀部下着がエリューション化しました。正確にはバックプリントされているクマ柄が。 非常に弱いエリューションのため、革醒者の視線に十秒晒されるだけで退治できるようです』 わずかな沈黙。そして、 「臀部……つまりパンツか」 「お尻のガードも気をつけないと、ね」 「増殖性革醒現象か。まさかそちらも革醒するとは」 「いや、家に帰って処理するからちょっと待っ、きゃあー!?」 第二ラウンド、開始。 「リシェナちゃんが一人でトイレの個室とかに入って、鏡で見るとかじゃダメなんっスかね……?」 良識的な鳴未の言葉は、ドタバタにまぎれて誰にも聞こえることなかった。 |
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|