●お前がやりたいって言ったから 「夜倉さん、芋煮会ってなんですか?」 「……ご存知、無いのですか?」 三高平学園職員室。少女の言葉に対し、包帯で顔の幾ばくかを覆った男性(非常勤講師)は驚愕に顔を歪めた。 だがちょっと待って欲しい。芋煮会は東北辺りの行事だ。知らないと言われても仕方ないのだ。 なので、説明せざるを得なかったりもする。なんてこった、悲しい現実はここにあったのか。 「……やりませんか?」 「嫌ですよ」 「やりましょう、盛大に」 「どうしたんですかいきなり」 「分かりませんか? 私はあまつさえ『夜倉狩り部』なんて部の副部長にされているんですよ!? 青春の一ページが割とビリッビリですよ? そういう交流行事くらいやらせてくれたっていいじゃないですか!?」 「……あ、はい。すみません。まあ民俗学の研究とか誤魔化せばプレゼンテーション的にも正解なのでは……」 ●お前の手配がだいたい悪い 「という話で、芋煮会の開催を宣言……するところだったのですが」 「が?」 三高平センタービル前、早朝。『無貌の予見士』月ヶ瀬 夜倉(nBNE000202)は顔を背けた。なんかユンボとか来てるぞ。何人前作るきだったんだ。 「芋が、足りないんですよ」 「じゃがいもか」 リベリスタが一人、地雷を踏んだ。 「あァ!? 芋煮つったらサトイモでしょうがアンタ林間学校のカレーでも作る気なんですか? 肉じゃが? 海軍ですか?!」 「落ち着け、気持ちは分からないしいきなり過ぎて話が掴めない。取り敢えず、芋がないのな? サトイモな?」 何故かいきなり力説する包帯を宥めさせられるとか、リベリスタとして、どうか。 「取り敢えずですね、今日に間に合わせようとか諦めました」 「おい」 「取り敢えず里芋収穫、その後に芋煮会にしましょう。楽しいでしょう?」 なんだこの強制力。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:風見鶏 | ||||
■難易度:VERY EASY | ■ イベントシナリオ | |||
■参加人数制限: なし | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月27日(日)23:32 |
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■メイン参加者 17人■ | |||||
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●大地にありがとうしとけよ 芋煮会。 東北圏の住人にとっては年中行事の一つであり、それ以外の地域の人間には単なる野外飯ぐらいにしか思われていないイベントだが、これの源流には芋の保存と密接に関係した生活の知恵が組み込まれているのは知られていない。 加えて、単に芋煮と一括りにしても、その味付けなどには多数の派閥が存在し、同県内ですら一触即発の派閥争いが起きかねない状況と相成っている。 つまり、これはある種の戦争なのだ。一部東北人にとっては。 ……いや、まあそういうの無いんですけどね今回。 「『農作業は基礎体力を付けるのに丁度良い』と言われたので、参加してみました」 「そうですね、鍬って案外重いですから、長時間振るうだけでも大分重労働かと思います」 義衛郎の言葉に大仰に頷くクミは、既に農作業に対し万全の構えだった。麦わら帽子、その下から後頭部をヴェールの様に隠すのは手ぬぐい。タオルではない、手ぬぐいだ。 スレンダーな体を覆うのは全身用のツナギ。長靴。ゴム手袋。有り体にたとえてしまえば「芋臭い田舎少女」そのものである。どうしてこうなった。お前はどこの鉄腕ヴィレッジ・ピープルだ。 「楽しそうで何よりだ、Mr.須賀、Miss.兵藤」 そんな二人に声をかけたのは、同じく芋掘り担当のセッツァー。無論、芋掘りスタイルである。すげぇ。この『Sir』の人ですら農作業違和感ねえ。 しかも心の底から嬉しそうだ。 ……因みに、ドイツでも芋煮会は開かれているそうだが、彼のような高貴っぽい方が行ったかは知らない。なんだよ「ドイツ東北県人会」って。すき焼き風? ふざけんな豚汁風出せ。 閑話休題。 「こういう収穫体験って、した事あるー? 幼稚園とかでやるよね農家さんに畑借りてさ」 「やりますねえ」 「で、とらもバスでサツマイモ堀に行った事があるわけよ。でも現場に行ったら、農家さんが収穫した後でさー。蔓一本残ってないし掘っても掘っても、さっぱり芋が出てこないわけ」 「……普通、専用の畑とか用意された上でやるんじゃないでしたっけ、あれ……?」 手持ちタイプの鍬を手にざくざく掘り返すとらに、適当に返事を返していた夜倉はふと、その会話に違和感を覚えた。 芋掘りイベントといえば確かにさつまいもが定番であるが、とらが口にしたような問題を仮にも教師として聞いた覚えがない。教育学部でも聞こえてこないだろう。 「なんか一回収穫した後で良ければ好きに掘って持ち帰っていいって事だったらしくてー。結局、泥にまみれて頑張って、ヒモみたいな細い芋が一個掘れただけ。がっかり過ぎない?」 「それは……いや、それよりもとら君」 「あによー?」 あによってお前。よりによって担当の教員に。 「いやなんていうか。どこまで掘る気ですか」 「気の済むまで☆」 こりゃあそのうちえらいことになるな、と夜倉は思った。だが放置した。面倒だからだ。 「土埃噎せ返る広大な焦茶色の大地……畑という名の戦場だ」 「 」 夜倉は突っ込むことを辞めた。とらから視線を切ったと思ったら、拳法着に身を包んだ優希に出くわしたからだ。このボケ倒しの流れは拷問にも等しい。だが、同時にこの少年がボケだけで終わらないことも知っているだけに余計に頭がいたい。 脱ぎ捨てた。拳法着を。 着込み始めた。いそいそと農作業着を。 みないことにした。 一旦カメラ回します(メタ発言) ●調理作業員が少ないばかりにこんなことになるんだ 「醤油味でー、こんにゃくもいっしょにいれてー、味の決め手は牛肉と長ネギ! うっはー、おいしそー♪」 ……手前ェもか舞姫ェ! すき焼き風かコルァ! 「舞姫ちゃんったら、お料理上手! 女子力がマキシマム・バスター・タイフォーンね!」 「ァーィ!」 ……何か聞こえたぞ今。 「いやー、やっぱし、お料理って物理ですよね!」 「イィィヤッ!」 おいちょっと待て岬、それはエールじゃない。むしろカラテシャウトのドイツ版だ。 お前は唯でさえフェイト危ないんだから座ってろ、そして食え。 「芋煮を作って食う……んだろ? ……なんかややこい話でもあんのか?」 収穫に赴いた面子も面子だが、調理している面子も面子、ということだろうか。舞姫のとんでもないテンションもだが、火車は今回、傍らの相手のテンションに序盤から圧されていた。 「宮部乃宮さん芋煮会ですよ芋煮会! 懐かしいですね! って宮部乃宮さんはやったことないですか」 「いやまったく懐かしく無い 知らんしこんな文化」 芋煮会、と聞いてピンとくる人間は東北人である。概ねそうだ。 東北以外の人間に芋と言ってもそりゃ、ジャガイモかサツマイモが頭に浮かぶのは当然だろう。どっちも秋口から冬にかけて料理で重宝するたぐいのものだからだ。寧ろ里芋の方が影が薄い。 知らない人間が知っている側のテンションに圧されてしまうのは致し方ないが、ちょっと待って欲しい。 火車、黎子の出身を知らない。寧ろ東北圏だったのかという驚きがある。それに対する返答が乙女の秘密とくれば、まあ秘匿性も神秘性も上がる……かはちょっと分からないが。 「つまりなんだ……炊き出しと見て良いんだなコレは」 的確なようなそうでないような、微妙だけど当たりってことにしておこう。間違ってて損するもんでもなし。食べさせるって意味では間違っちゃいない。 「味付けの違い所か芋の種類ですら夜倉が突然キレる始末じゃねぇか」 「本場では味付けの違いで最悪派閥抗争ですが……気にせず作りましょう」 未知の文化を開拓するのはある種の勇気がいる。下手を打って窮地に陥るのは、火車とて避けたいものだ。それが喧嘩沙汰なら望むところだろうが、食事の場でそれもない。 なので、黎子の発言は彼にとって救いだった かも しれない。そうだ。ここは中立地帯なのだ。自由なのだ。つまり 「……芋の種類も色々あんだろ?里芋だけじゃな」 「里芋はとりあえず揺らがない基本なのです!」 「だけかそうか解った」 ここだけは譲ってもらえませんでした。まあ仕方ないよね! 調理の様子を見て「これって豚汁じゃないのか」と考えるのはいたし方無いが、結局腹に入れば同じことだと火車は割り切った。無理に派閥争いに首を突っ込みたくはない。当然の思考だ。 時に騒ぎながらも調理を進める様子をぼんやりと眺め、安堵のような感情が巡る。 (飯作れるんは黎子の数少ない、普通に良い所だしなぁ……) 普通のご飯食べられるってこう、すごく貴重なアドバンテージだよね神秘界隈。 ところで。今回は芋煮会である。里芋だけは後から後からリベリスタがとってくる。芋切れじゃなかったのか。すまんな、あれは嘘だ。 「里芋を使ったケーキの作り方を調べてきたよ……」 「安心しろって、オレはダッチオーブンの準備だけで、作るのは遠子だから味は折り紙付きだ」 「ケーキ! とーこちゃんの、手作りなら、おいしい、ね! よすか、とーこちゃんのお菓子、好きだよ!」 【お誕生日会】の面々、主賓であるよすかは、期待に目を輝かせた。何しろ遠子が作るケーキである。料理上手と(仲間内で)名高い彼女なら問題なかろう。 あと、里芋でケーキってマジかよって思ったら割とマジでレシピサイトにありました。ダッチオーブンすげえ。 「これで、山で遭難しても、生き残れるかもしれない」 それは別問題だ、よすか。 ともあれ、ケーキ作るそうです。いいんじゃね、里芋だし。誕生日だし。 「里芋の煮っ転がしを作ろうか」 ここで人手不足に気付いた琥珀が里芋料理のインターセプトだ。 ……何かすごく普通だった。素晴らしい、もっと作れ! 多分皆食べるよ! 「揚げとかイカとか一緒に煮込んでも美味いんだよな」 よだれが。 「あァ!? 芋煮つったら醤油と牛肉でしょうがアンタ炊き出しの豚汁でも作る気なんですか? 味噌田楽? モロキュウでも食べてろ?!」 オメーの芋ねーから!(迫真 ●命刈り取れ明日は我が身 「こうして大地と向き合い、会話する事でまた、人は根を張り巡らせ大地からの沢山の恩恵を吸収する芋のように大きくたくましく成長する事でその恩恵を再認識し、感謝と共に生きていくのだろう」 ほろりと。頬を伝う冷たいものを拭いもせず、セッツァーは感動に身を震わせた。いや、もっともらしいんだけど何言っちゃってんのこの人。 「では兵藤さん、お手伝いをお願いしますよ」 「分かりました。拾っていくのでどんどん掘り返して下さい」 「あとで交代ですからね」 「自身ありませんが、頑張ります……」 芋掘り用の鍬をマイク代わりに、先の感動のコメントを高らかに歌い上げ始めたセッツァーを他所に、義衛郎と宮実は芋堀りを始めていた。 淡々と掘り進めていく二人の作業は割と快調に進み、進行度は速い。流石はお役所仕事で培った単純作業が光る。いいのかそれって。 「この一時は武器は不要……道具は己の両の拳のみ」 あ、どうしよう。こいつ忘れてた。 芋掘りスタイルで拳を握り、地面へと意識を向ける優希の視線は真剣そのもの。邪魔出来ない。 「容赦は不要」 容赦て。お前それ容赦て。 拳を振り上げる。電流っぽいものと共に掘り返される。残念だったな、じめんタイプに電撃は効かぬ。でも掘り返す。 ちょっと手が届かない? よかろう、ならば弐式だ。いやそれもおかしい。 最終的に零式を使う。そうか。お前ダメ0持ってこい。今すぐにだ。 「あ゛っー!」 余波でとらがえらいことになった気がするが、あいにく彼女は自分の掘った穴の中。何ら問題はないのでごあんしんだ。わかったか。 「しかし掘り終えた後に芋煮は残ってるだろうか……」 多分残ってるよ。夜倉が慌てて見に行ったから。 「さつまいもじゃなくてさといも~ねばっこいけどほくほくしておいしいおいもっ!」 「鍋ナー熱いけどそろそろそんな季節ダワナ」 ミーノとリュミエールは芋煮を食べに来ていた。まあ、この二人に調理を任せるなら食べさせておいたほうが概ね平和ではある。 あと、リュミエールはこれで案外お節介焼き気質(ミーノのみ)なので、相性は悪いわけではないのだろう、多分。 「いもにっ♪ いもにっ♪ おいしいいもにっ♪ たくさんたべるよ~いっもっにっ♪」 「熱いカラ気いつけて食べろよ」 芋煮の前に喜びを隠しきれないミーノをやんわりと止めつつ、リュミエールも箸を進める。芋ならなんでもいいもんだと思ってたら案外違った。出汁は相変わらず、日本独自の流れを汲んでいるからか彼女には何度口にしても新しく感じもする。 コクとか、深みとか、甘み的な。俗にいう旨み、というやつだろうか。 「ああん、煮たりないから、夜倉おじさまを煮ようかしら? 三高平新名物、夜倉煮! ヒャッハー!」 「……快君」 完全にアレげな向きへ突っ込みつつある舞姫。これはマズイと駆りだされたのは、誰あろう夜倉狩りの急先鋒であるはずの快だ。何故とは聞くまい。そういうものなのだ。 「普段なら俺だって夜倉狩りでヒャッハーしているさ」 「普段からもやめて欲しいですけどね」 「しかし、だ。今日は芋煮会なんだぜ? 一部地域の方々が今日この日の為に物凄い気合を入れて来ている。この神聖な行事に水を指すような真似をすれば、俺達は東北出身の人々全員を敵に回し、煮えたぎった重機の中に放り込まれて汁物にされてしまう」 「夜倉煮とどう発想が違うのか小一時間ご教授願いたいですね、それ」 「具体的に宮美さん怖い」 これが本音だったらしい。 彼の我慢は何時まで持つだろうか。 「いもにかい! 名前には聞いていましたが、実際目にするのは初めてです」 肉じゃが祭りと勘違いしていたユウは、目の前の光景に其の認識を改めることになった。 里芋である。里芋のケーキは流石に想定外だが、里芋がごろごろと鍋に放り込まれ、名状しがたい醤油と味噌の派閥争いは地獄の釜の蓋を開いたような様相だ。 「アッハイ、サトイモだいすきです。ぬるぬる」 里芋とか掘る研修にでも参加したのだろうかこの子。大丈夫か。 「よーし、収穫の秋! 大地の恵みに感謝しつつ、いただきまーす! ガンバルゾー!」 両手を上げて何処かのブラック社員よろしくチャント(掛け声)を上げるユウ。お前食べるだけだろ。俺の神経細胞が焼け焦げるからそろそろやめてくれ。くれ。 「いつもお疲れ様です! ……夜倉先生は里芋が好きなんですか? それとも家庭料理が?」 「有難うございます。いえ、家庭料理っていうか、芋煮会は里芋が定番ってだけですよ? 特にそういう好みではないですね、ある種『習性』というか」 琥珀の問いに、夜倉はあっさりと答えるが……習性とか言っちゃったよ。だがあながち間違ってないのだ。 「そういや包帯が取れかけてるがなんか寒そうだな……巻きなおしましょうか?」 「い、いいですよこれはこういうものですから!」 油断もすきもあったもんじゃない、これがリベリスタのイクサだ。 改めまして、【お誕生日会】。 「ハッピーバースデイ! よすかもずいぶん大きくなったな!」 「よすかちゃん、お誕生日おめでとう……。今日は楽しい一日にしようね……」 物凄いほんわかとした雰囲気のお誕生日会。彼女らの目の前に鎮座するのは里芋を用いたケーキ。どうやらパウンドケーキ系は作れるらしい。あとホイップクリームは正太郎が頑張りました。 「ありがと、しょーちゃ、とーこちゃ!」 「今年でいくつになるんだっけか? 十歳くらい?」 「……よすかの方が、お姉さん、だぞ!」 主賓(よすか)、参加者を油断せずに噛みに行く。年齢差一歳。よくある話である。 生クリームを泡立てる際、正太郎があまりにもあんまりすぎて遠子が手取り足取り教えたことを考えると、彼女一人で作ったのと大差ないような気もするが、そこはお互いの気遣いの現れということで。 「ケーキ! とーこちゃんの、手作りなら、おいしい、ね! よすか、とーこちゃんのお菓子、好きだよ!」 普通のケーキを用意するというのなら、それもいい。ただ、芋煮会という状況下でケーキを出すとなれば、それに即したケーキがあってもいい。そんなわけで、気を使いきった彼女らの決断は正しかったといえるだろう。 よすか大喜び。 「ロウソクは、六本でいいんだっけ……って噛むなって!」 「後は蝋燭を十五本させば完成だね…」 微笑ましい一部の小競り合いを交えつつ、きっちり遠子が締めていくのはいいことである。よすかの笑顔が、正太郎に噛み付いていても絶えないのはそのためか。 「えへへ、お祝いありがとう、とっても、嬉しい!」 「ヒャッハー! やっときたー! ナイスだーカメラード!」 カメラードじゃねえリベリスタだ! というツッコミは敢えてしておくとして。 岬は二つのお椀を手にしていた。 かたや、舞姫が作っていたすき焼き風。かたや、火車達の豚汁風。どちらも芋煮として尊重されるべきものだ。 地域色の濃さは、それだけリベリスタ達の多様性を表すとも言えるわけだから、固定観念にとらわれるよりはよほどいい。……はずである。 変化を楽しむのもまた食事というものだ。こうやって楽しむのは、極めて健全なのである。 「今日の芋煮はどんな味ー?」 愉快な味だと思うよ。 「うん、芋煮か。こりゃ、いかにもって色をしているな」 ……テレビのリモコンどこにやったかな。いや、これリベリスタだ。竜一だこれ。 「……ほう、いいじゃないか。そうそう、こういうのでいいんだよ、こういうので。この素朴な味、いい味出てる、いい感じだ」 スゴイ。口にしてることは至極まともでやる気のあるコメントだというのに、何処と無く既視感が拭えない。素朴な芋煮を食べているはずなのに定食屋のグルメリポーターだこれ。 「これでゴハンがないだなんて、残酷すぎる……だが、ここでは青空がゴハンだ……」 いや、芋煮はご飯いらねえと思うんですよ(正論 「って大人しくしてるもんか! 酒だ、酒! 芋煮には酒だろ! な、新田!」 「今日は夜倉狩りは停戦だ。ワシントン海軍軍縮条約のように。だから飲もう」 「いや、まあ……新酒……ええ……」 あ、靡いた。新酒の響きと新田酒店の新酒っていうブランド性に靡いた。 ふらふらと芋煮片手に彼らの方へ向かう夜倉の、サングラス越しの目にやや狂気が浮かぶ。 芋掘り担当が(セッツァーのオペラをBGMに)戻ってきた時、芋煮はまだまだ残っていた。 竜一とか快とか、酔ってアレになってたけど気にしてはいけない。夜倉は目が虚ろだったけど。 で、芋煮が終わりかけた時に夜倉狩りを解禁しようとした快が、宮実の「チッ」っていう地獄の底から響いたような舌打ちにビビって一瞬動きを止めたこともきっと、気のせい。 「おいしくたべたらあとかたづけっ! らいねんもおいしーおいもができますよーにっ!」 「後片付けするって? ヘイヘイ手伝いマスヨット」 来年も? どうだろうね。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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