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グリード・パンプキン。或いは、強欲なかぼちゃ大王。

●貪欲なかぼちゃ大王
 着々と、粛々と。
 その日の為に用意は進められている。ある街の、ある工場、運び込まれるのは無数のかぼちゃ。作られるのは、それを繰り抜いたジャック・オー・ランタン。
 街をあげての一大イベント、来たるハロウィーンを盛りあげる為に十数名の男女は、ここ数日、連日連夜かぼちゃを繰り抜き続けている。
 それでもまだまだ先は長い。
 いい加減、同じ作業にも飽きてきた。指先からはかぼちゃの甘い香りが染み付いて香る。
 あぁ、まったく。
 時給が良くなきゃ、やってられない。
 誰もがそう思った、その時だ。
『結局のところ、欲でしか動かないのだ、人間は。欲しいんだろう? 俺もそうなのよ』
 いつのまにそいつはそこに居たのか。
 工場の隅に浮かぶ、大きなカボチャ。顔が繰り抜かれ、中では炎が燃えている。目や口から時折火柱を拭き上げ、かぼちゃはふわりと浮き上がる。
『手始めに、部下が欲しいな』
 その一言に反応し、いくつかのジャック・オー・ランタンが浮き上がった。悲鳴をあげる男女十数名。彼らがその場を逃げ出すよりはやく、その頭にジャック・オー・ランタンが喰らい付く。
 一瞬、かぼちゃの輪郭がぼやけ……。
 男女の頭部が、かぼちゃと同化。身動きを止める。
『よしよし……。さて、次はなにが欲しいかな』
 そう呟いて、強欲かぼちゃの大王は、配下を引き連れ夕暮れの街へと出ていった。

●グリード・パンプキン
「まるでハロウィンの宣伝みたいになっているけど、アザーバイド(グリード・パンプキン)の目的は強盗、強奪。欲しい物を手に入れること」
 モニターに映っているのは、かぼちゃを頭に乗せた男女の集団が街を練り歩いている様子であった。『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は呆れた顔で溜め息を零す。
 街中には無数の一般人がいる。ジャック・オー・ランタンの集団は良くも悪くも目立っている。注目を集めずにはいられない。それゆえに、だろうか。今だにグリード・パンプキンは何を盗むわけでもなく、また人に危害を加えるような事もしていない。
 ただ、狙う獲物を探しているのだ。
「先頭を歩いている、他より幾分背の高い奴が(グリード・パンプキン)。異世界から来た強欲な男。かぼちゃを媒体に、他者を操る能力を持っているみたい」
 その能力を使い、彼は十数名の男女を支配下に置いている。
 運の悪いことに、現在街はハロウィンムード。媒体のかぼちゃには事欠かない。
「炎を使った攻撃と、相手のHP、EPを強奪する能力、かぼちゃを被せた一般人を操る能力。配下のかぼちゃ達は、炎と冷気を使用するみたい」
 現在、配下の数は13人。しかし、グリード・パンプキンが居る限り、幾らでもその数を増すことになるだろう。
「頭に被ったかぼちゃを砕けば、解放することが可能。多少の怪我は仕方ないけど、くれぐれもその命を奪ってしまわないよう気をつけて」
 そう言ってイヴは、仲間達を送り出す。
「工場内にあるDホールも破壊して来てね」
 



■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:病み月  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年10月23日(水)23:45
こんばんは、病み月です。
皆さん、いかがお過ごしですか? 今回は、異世界から来た強欲な男を捕獲するミッションです。
人目が多いので、その辺り留意してお望みくだされば幸いです。
それでは以下情報。

●場所
夕暮れの街中。(グリード・パンプキン)は配下を連れて街中を移動中。
欲深い彼がどこへ向かっているのか、分からない。なにが欲しいのかも不明。
グリードの進行方向にある施設は以下の4つ。
(博物館)(銀行)(ショッピングモール)(海辺の公園)
どこへ行っても、一定数の人気はあるが、結界などで対応できるだろう。

●ターゲット
アザーバイド(グリード・パンプキン)
強欲なかぼちゃの王。陽気な性格で、ノリが軽い。
基本的には自己中心的に物ごとを考えて、その場の勢いで行動することも。
偶然見つけたDホールからこの世界に迷い込み、せっかくなので何か遊んで帰ろう、とそう思っているようだ。
かぼちゃを被せた一般人を操る能力を持っている。
【パンプキン・ボム】→神近範[火炎][ノックB]
爆風と火炎で周囲を攻撃する。
【パンプキン・ナパーム】→神遠範[業火][ブレイク][連]
起爆するかぼちゃによる攻撃。
【グリード】→物近単[麻痺][不吉]
相手から、一定量のHP、EPを吸収する。

(かぼちゃ兵)×13
グリード・パンプキンの支配下にある一般人。
頭にかぶせられたかぼちゃを破壊することで解放することができる。
通常の人間よりも、身体能力が向上しているようだ。
【ジャック・ランタン】→神近単[隙][火炎]
炎を纏った拳による攻撃。
【ハロウィンナイト】→神近複[魅了][氷結]
氷の粉を撒き散らしながら放たれる蹴り。非常に綺麗。

以上、皆さんのご参加お待ちしています。
参加NPC
 


■メイン参加者 6人■
デュランダル
雪白 桐(BNE000185)
クリミナルスタア
晦 烏(BNE002858)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
レイザータクト
波多野 のぞみ(BNE003834)
マグメイガス
羽柴 双葉(BNE003837)
インヤンマスター
赤禰 諭(BNE004571)

●夕暮れ時に
 夕暮れの街中。赤く染まる路上を歩く、かぼちゃ頭の一団があった。ハロウィンも近づいてきたこの季節、道行人々は彼らの事を、何かのイベントの宣伝かなにかだとしか思っていないだろう。
 その先頭を歩く男だけ、この世界の人間ではない。そのことを知っている者はいない。アザーバイド(グリード・パンプキン)。強欲の名を冠するその男は、一般市民を配下に変えて、果たしてどこへ向かうのか……。

●ハロウィンの街で
 強欲かぼちゃの行く先に、あるのは以下の4つの施設。
 博物館、銀行、ショッピングモール、海辺の公園。果たして彼の欲するものは何なのか、それは彼自身にしか分からない。けれど、しかし、このまま彼を野放しにするわけにはいかない。
 だから……。
 アーク所属のリベリスタが6人。グリード・パンプキンの捕縛の為に、この街へ訪れた。
「さて、それじゃあ手分けして探しますか」
 急停車したバイクから、白い髪をなびかせ飛び降りたのは『History of a New HAREM』雪白 桐(BNE000185)だ。タンデムから、数瞬遅れて『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)が降りて来る。
 2人の視線の先には博物館。歴史的、金銭的に価値のあるものがぎっしり詰まったこの場所は、グリード・パンプキンの目的地としてかなり有力なそれである。
「うーん、何が欲しいんでしょうねー?」
 首を傾げるユウ。桐とは反対方向へ進む。強欲の名を冠するグリード・パンプキンが狙う場所としては有力である、と考えてはいるが、しかし彼が何を欲しているのか分からない。
 彼の想う強欲の対象と、我々の想う強欲の対象が、同じものだとは限らないのだ。

「やれやれだ、時期が時期だけにカボチャ頭でも見咎められないのは助かったな」
 覆面に煙草。見るからに怪しい『足らずの』晦 烏(BNE002858)ではあるが、ハロウィン一色のこの街においては異質扱いされない。
「賑やかなのとか好きそうだよねー」
 噴水や、広場、遊具を中心に捜索していた『魔法少女マジカル☆ふたば』羽柴 双葉(BNE003837)が烏に合流。お互いの得た情報を交換する。公園の端には、大学生らしき集団が仮装して集まっていたが、それだけだ。
 グリード・パンプキンの姿は見えない。
 そもそも公園に、何を欲して来るのか。皆目見当もつかないでいた。
「人は集まるだろうが……」
「配下を増やすには、丁度いいかもね」
 大学生の集団の他にも、何かの集まりだろう、次々と公園には仮装した人が集まってくる。中には、頭にかぼちゃを被った者もいる。
 その中にグリードが混ざっていないか、2人は視線を凝らして捜索を続ける。

 ショッピングモールの屋上。本来ならば立ち入り禁止のその場所に、1人の女性の姿があった。長い髪を風に踊らせ、何処か遠くを見つめている。彼女の名前は『混沌を愛する戦場の支配者』波多野 のぞみ(BNE003834)。千里眼を駆使し、モール内の様子を窺う。
 どこの店舗も、ハロウィンに向けた飾り付け、商品ラインナップが充実している。
 しかし、グリードの姿はない。
「さて、今宵のカボチャが求めるのはお菓子なのかそれとも……?」
 視線をまっすぐ、遠くへと投げる。
 のぞみの視線のその先には、すでに営業時間を過ぎ、門を閉めた銀行があった。

「好き勝手に散らかして掃除が大変です。品がないことです」
 銀行の前では警備員と、数体のかぼちゃ頭が揉めていた。辺りには、ゴミや木端、コーンポストなど転がっている。
 やれやれ、と溜め息を1つ。『落ち零れ』赤禰 諭(BNE004571)はまっすぐ前へ。
 暴れているかぼちゃ頭たちは、グリードの配下のかぼちゃ兵だろう。つまり操られているだけで、中身は普通の人間だ。
 パッと見た感じでは、かぼちゃ兵も、グリードも見分けがつかない。暴れているのなら尚更だ。諭は、ターゲットの発見を仲間に報告。懐から取り出した式符をばら撒き、影人を召喚する。
「何を求めてるか知りませんが、欲に焼かれてパンプキンパイになれば良いものを」
 召喚された影人は、一目散に駆け出した。かぼちゃ頭の兵士めがけて、その身を躍らせ、飛びかかるのだった。

「仮装行列に彩り添えるぐらいは出来るでしょう? もとより見るべき物は何もなさそうですが」
 警備員とかぼちゃ兵、それから諭の影人が入り混じり、乱闘を繰り拡げる。街中であるため、重火器の使用は厳禁だ。代わりに、かぼちゃ兵へと指を向け、その身からエネルギーを吸いとっていく。
 ガクン、と力を失いその場に膝を付くかぼちゃ兵。駆け寄っていった影人が、その頭に乗ったかぼちゃを砕く。
「のんびりと木偶のように倒れていては踏み潰されそうですしね」
 かぼちゃを破壊された者は、グリードの支配から解放される。意識を失ったその身体を、影人が戦場の外へと運び出していった。
 と、その時だ。乱戦の中で火柱があがる。かぼちゃ兵の拳が炎を纏った。警備員と影人を、まとめて殴り飛ばす。気絶した警備員。影人は消え去る。
 数体のかぼちゃ兵の中から1体、諭目がけて飛び出して来た。その脚は、炎に包まれ火の粉を撒き散らす。キラキラと舞う炎の粒子。思わず目を奪われる。
「っぐ……!?」
 足刀が諭の胸に突き刺さる。追撃、とばかりに更に2体、かぼちゃ兵が乱戦の中から飛びだしてきた。
 
「っと、状況としては最悪ですね……」
 銃声。囁く声。バイクのタンデムから銃を構えたユウが呟く。放たれた弾丸は、諭へと襲い掛かっていたかぼちゃ兵の頭部を、正確に撃ち抜いた。かぼちゃが砕け、操られていた一般人が解放される。
 ふぅ、と溜め息を零すユウ。銃社会ではないこの国で、小銃など持っていては無駄なトラブルの種となる。もっとも、それを見とがめる警備員は、すでに気絶して倒れているのだが……。
「集まってから攻撃開始……とはいきませんね」
 諭が現場に付いた頃には、すでにかぼちゃ兵が警備員と揉めていた。それを傍観しているわけにはいかない。
 バイクから飛び降りた桐が、かぼちゃ兵たちへ肉薄。炎を纏ったその拳を、剣の腹で受け止めた。狙うのは頭のかぼちゃか、操っているグリードだけでいい。不必要に怪我人を増やす必要はないのだ。
 ユウの銃弾に援護され、影人と桐はかぼちゃ兵の殲滅にかかる。
 しかし、この時点ではまだ彼らは気付いていなかった。
 この場のどこにも、グリードの姿が見えないことに……。

 異変に気付いたのはのぞみである。ショッピングモールの屋上から飛び立ち、銀行へと向かおうとしている彼女の視界、その端に、数体のかぼちゃ兵の姿が映った。
 おや? と、首を傾げるのぞみ。一見して、他の仮装している者たちと変わりは無いが、どうにもその動作に違和感を覚える。
「何か……妙な」
 奇妙に揃った動作。意思の疎通がとれた迷いない動き。機械的に、一定のペースで進む。
 まるでそういう仕様みたいだ。どこへ向かっているのか分からないが、どうやら人の流れに逆らわず、モールの中へと入っていくつもりらしい。
 遠目から、千里眼を駆使して観察。そして見つけた。かぼちゃ兵から僅かに先行した所に、ハロウィン用のお菓子を手にしてグリードが立っているのを……。
「合流前の最適化はしっかりしておかないといけませんよね」
 オフェンサードクトリンで自身を強化。グリード発見の報を、仲間達へと伝達するのであった。

 のぞみの連絡から数分後。モールに駆け付けたのは、烏と双葉の2人だけだった。諭、桐、ユウの3人はまだ銀行を襲っているかぼちゃ兵の対処に追われているらしい。
 かぼちゃ兵の数だけなら、向こうの方が多いようだ。
 陽動部隊ということだろうか。通報を受けて銀行へ向かうパトカーを、烏と双葉は此処に来るまでに見ている。もっとも、ハロウィンイベントのせいで道路が混んでいて、なかなか銀行へ辿り着けないでいるようだったが。
「まったく、なにをして遊びたいんだこのカボスケ」
 覆面を被り、結界を展開する烏。彼を先頭に、双葉、のぞみの順でモールへ足を踏み入れた。
 のぞみの千里眼を頼りにグリードを捜索。どうやら、人混みに紛れてどこかを目指して進行中らしい。
「他の人を待ってる時間はなさそうだね」
 双葉が呟く。グリードとかぼちゃ兵は、モールの地下へ。食品売り場だ。ハロウィンイベント中ということで、お菓子の類が充実している。
 グリードを筆頭に、かぼちゃ兵が売り場に散開。
「まさか……ですよね?」
 信じられない、とのぞみが唸る。
 次の瞬間、地下から悲鳴が木霊した。

『欲しいものは欲しい。金とか、宝石とか、美術品とか、そういうのも欲しいが、それよりなにより、人が多い所で、何かを大量にかっさらっていきたいんだ!』
 レジカウンターの上でグリードが吠える。手にしたかぼちゃを放り投げると、それは空中で爆発。火炎と爆風を撒き散らす。
 それに呼応し、かぼちゃ兵たちもまた炎を纏って売り場を駆けまわり始めた。
 炎は人の恐怖心を煽る。悲鳴は連鎖し、混乱は広がる。悲鳴をあげてエスカレーターに殺到する人の波を掻き分けながら、リベリスタ達は食品売り場へ飛び降りた。
「木漏れ日浴びて育つ清らかな新緑――魔法少女マジカル☆ふたば参上!」
 ワンドが旋回。かぼちゃ兵の頭部を叩く。砕けたかぼちゃが降り注ぐ中、ポーズを決めて双葉が登場。それを見て、グリードは笑い転げた。
『ははははは!! なんだ!? 楽しいな!! そうだよな。欲しいからって、簡単に手に入れたら面白くないよな!! こういうスリルも欲しかった!!』
 邪魔が入ったというのに、グリードは楽しそうだ。暴れまわるのを一旦止めて、かぼちゃ兵と共に3人に向き直る。
『よし! 一戦交えるかい?』
 その一言が、戦闘開始の合図であった。

 かぼちゃ兵が駆け出した。炎の拳、炎の蹴り。それを援護するグリードの爆弾。
「降参するまで懲らしめて半泣きにさせてやる」
 散弾銃が火を吹いた。かぼちゃ兵の頭部に弾丸が迫る。それに先んじて、グリードが爆弾を放る。空中で爆発。吹き荒れる爆風が散弾の軌道を逸らす。
 その隙に接近してくるかぼちゃ兵。爆煙の中で双葉とかぼちゃ兵が交差する。
 炎の拳が、烏の顔面を打ち抜いた。
 瞬間、閃光が瞬く。フラッシュバン。アーマーを纏ったのぞみが、空中へと飛び上がる。
「流石に操られているとはいえ一般人に使うのは抵抗がありますね」
 視界を奪われ、かぼちゃ兵の動きが鈍る。その隙に、烏の弾丸が頭のかぼちゃを撃ち砕く。
 烏とのぞみがかぼちゃ兵の相手をしているその隙に、双葉は前へ。向きあう相手はグリードだ。かぼちゃ型の爆弾を投げる。
「魔弾よ、彼の者を撃ち砕け!」
 展開する魔弾。爆弾とぶつかり、爆ぜる。吹き荒れる爆風。棚が倒れ、食品や菓子が宙を舞う。その中に紛れいつの間にかグリードは双葉の正面にまで接近していた。
『いただくぜ』
 突き出された手刀。双葉の腹を抉る。HPとEPを奪われ、双葉の全身から力が抜けた。
 ぐらり、とよろける双葉の身体。
 直後、グリードを中心に火炎と爆風が炸裂した。

 大爆発。視界が煙に覆われる。スプリンクラーが作動し、売り場が水浸しになっていく。
 双葉とグリードの姿が見えない。煙の中だろうか。
 気にしている余裕は、烏とのぞみにはない。連携、連続攻撃のラッシュに押され、防戦一方。かぼちゃ兵を殺すわけにもいかないので、全力を出し切れないのが致命的だ。
「これ以上一般人を巻き込めません!」
「魅了される可能性があるので、距離を取りたいが……」
 ギリ、と奥歯を噛みしめる。
 棚のせいで売り場が狭いのも痛い。距離を取りたくても、背後は上に回りこまれて逃げきれないのだ。炎の拳と炎の蹴りを、回避し受け止めるので精一杯。
 飛んでいたのぞみの足をかぼちゃ兵が掴み、床に叩き付けた。一斉に群がるかぼちゃ兵。のぞみの上で火柱が上がる。
 と、その時だ。
「とんだ空頭ですね。中にシチューでも詰めて出直したらどうですか?」
 火柱を突き抜け、1体の影人が戦場へ飛び込んできた。

●快楽までも欲深く
 エスカレーターを埋め尽くす無数の影。それを指揮する諭は、意地の悪い笑みを口元に張りつけていた。影人の群は、売り場に殺到。セール品を狙う主婦さながらの迫力で、かぼちゃ兵へと踊りかかる。
「欲張りさんには鉛玉をごちそうです」
 銃声が響く。ユウの弾丸が、かぼちゃ兵の頭部を撃ち抜き、かぼちゃを砕く。解放された一般人を、影人が素早く避難させる。エスカレーターを担ぎあげられて来る一般人に向かって、ユウは「お帰りこちらになりまーす」と声をかけた。
 諭とユウの加勢によって、戦況は一変。その事を悟ったかぼちゃ兵たちが、2人へと攻撃の矛先を変えた。援護されると鬱陶しいと判断したのだ。
 しかし、烏とのぞみがそれを阻む。
 狭い通路が功を相した。進路を塞ぎ、退路を断ってかぼちゃ兵を逃がさない。
 その隙に、ユウの弾丸がかぼちゃを砕く。
 影人が解放された者を運び出す。
 かぼちゃ兵が殲滅されるのも、時間の問題だろう。

 火傷が痛む。頭上を吹き抜ける爆風をやり過ごし、双葉はそっと顔を上げた。
『よう!』
 そこには、満面の笑みを浮かべたグリードの姿。かぼちゃを繰り抜いたような彼の顔、その眼と口の中で炎が渦巻いている。
 ぼんやりと、双葉の顔を赤く照らす。
「何に興味を持つかわかりませんでしたけど、お菓子でしたか」
『あ?』
 投げかけられた声に反応し、グリードは背後を振り返る。そこにいたのは、独特な形状の剣を手にした桐であった。双葉の顔に安堵の色が浮かぶ。
『はっはー? 援軍か?』
 爆弾を取り出し、グリードは背後へ飛び退る。2対1。自身の力を過信するほど、頭が悪いわけではないようだ。

 後退と同時に爆弾を投げる。追いかけてこようとした桐が、爆風に阻まれ急停止。
 桐の武器は剣だ。接近されなければどうということもない。そう判断しての遠距離攻撃。続けざまに爆弾を放る。
 地面を転がり、爆ぜる爆弾。吹き荒れる爆風。
 このままじわじわと体力を削ろう。そう思い始めた、その時だ。
「我が血よ、黒き流れとなり疾く走れ…いけっ、戒めの鎖!」
 凛とした声が響き渡る。爆煙を突き抜け、黒い波が溢れかえる。鎖だ。双葉の血で作られた黒い鎖。グリードの身体に巻き付き、締めあげる。
『う……ぐぉ?』
「さて、斬り合いましょうか」
 鎖の波に乗って、グリードの眼前まで迫って来た桐が剣を大上段に振りあげた。桐の全身から湯気が上がる。オーバーヒート。限界を超えた力を、その身に宿す。
『ま、まてまてまてまて!?』
 慌てて声をあげるグリード。鎖に囚われ逃げられない。
『あぁぁぁぁぁあ!!??』
 グリードを中心に火炎と爆風が吹き荒れた。それと同時、桐の剣がグリードへと叩きつけられた。

 床にはクレーターが生じていた。その中心には、グリードが伏している。息はあるようだが、満身創痍。朦朧とする意識の中、彼が見たのは、同じように床に伏した桐だった。
 剣を支えに、桐が立ち上がる。グリードは立ち上がる事ができない。自分の負けだとその時悟った。
「まぁ、お菓子の一つぐらいは持ち帰らせてやろうか。美味いよ?」
 近寄って来た烏が、グリードの手におはぎを乗せる。
 完全敗北。グリードは、このまま素直に元の世界へ帰る事にしたのであった。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
おつかれさまです。
グリード・パンプキンは無事元の世界へ送還されました。
人的被害は出ていません。依頼は成功です。
このたびは、ご参加ありがとうございました。
強欲かぼちゃの物語、いかがでしたでしょうか?
お楽しみいただけたなら幸いです。
それではそろそろ失礼します。縁がありましたら、また別の依頼でお会いしましょう。