● ザ、ザー…………。 『うらのべ? うらのべ! いっちにっの、さーん!! どんどんぱふぱふ。さー、今夜もやってまいりましたうらのべラジオ! DJはいつものわたし、『びっち☆きゃっと』の死葉ちゃんでおとどけします!』 周波は特殊回線の123。悪ふざけのお遊びで、裏野部の構成員にとって知っておきたい情報を隠語で知らせるラジオ番組が此れだ。今日も裏野部一二三の娘である裏野部四八(死葉)の元気な声が響き渡る。 『ねねっ、皆は弾丸が降るのと矢が降るのって、どっちがいい?? わたしは……んーっ、内緒! でもどうやって防げばいいかな……まあわたしにはどうでもいい話だけどねっ』 本題は其処じゃない。ラジヲは続く。 『さーて今日の天気は晴れのち弾丸! 欲しいものがあるのなら……鳴かぬなら、殺して奪おう、ホトトギス!!ってやつだね。殺して奪うだなんて、ぞくぞくしちゃう!』 ● 「皆さん、こんにちは。今日も依頼を宜しくお願いします」 『未来日記』牧野 杏理(nBNE000211)は集ったリベリスタ達へそう切り出した。 「今回の依頼は、国内主流七派の組織のひとつ、裏野部が起こす事件を未然に食い止めて欲しいのです」 ブリーフィングルームのモニターに映されたのは、メイド姿の少女が目立つ一枚の写真。彼女の名前は、相馬佐久弥。フライエンジェのスターサジタリーである彼女は、その精密な射撃を使って無差別殺人を始めるという。 「彼女の欲しいものは、とあるフリーのリベリスタが持っている小型の銃です。そのリベリスタは『名木綾戸』という青年で、いつも懐に銃を持っています。 皆さんが手を加えなかった未来では、彼が路地に入った所で佐久弥は狙撃し、殺そうするのですが……綾戸は勘づいて弾丸を避けるのですが、そのまま大通りに逃げていきます。綾戸を追う佐久弥はハニーコムガトリング等で一般人を殺してでも捕えようとする……という惨劇が起きます」 それを未然に食い止める、つまり事件が起きる前に裏野部に接触できるという事だ。しかし時間は止まってくれる訳では無い、綾戸が戦場に来てしまう事もあり得る。 「裏野部は路地の中で身を隠して、綾戸を待っています。 彼等は革醒者が見分けられない訳ではありませんので、私達が路地に到着した瞬間に戦闘になるものと思います。接触には十分な準備をしてから臨んでください。 ああ、言い忘れましたが、佐久弥は『相方の男』が不在だと非常に臆病になる性格なので、拳銃が奪えないと判断すれば文句を言いながら退くと思いますよ」 名も知らぬ誰かが死ぬ前に、いざ――――裏野部による事件をひとつ潰しに行こう。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月19日(土)23:12 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 「んぐぎぎぎぎぎぎ……」 華奢な身体に似合わない銃器を扱う少女――相馬 佐久弥は荒れていた。 隠密で動いて、レアな銃を持ち帰って『相方』を驚かせようと思っていたら、日本のフィクサード主流七派のひとつ、裏野部のお姫様にラジヲ報道されただの理由は仕方無いものであるが、それだけでは無く。 「ぬぁぁんで、アークが、居るのっかなーっ?!」 顔は笑顔。されど、黒い笑み。つまり暗黒微笑。その表情の先には、リベリスタ達が陣取っていた。 「目的のために無差別殺人は言語同断なんだよ!」 五十川 夜桜(BNE004729)は利き手のひとさし指を佐久弥へ向けて、勇ましい一言を放った。絵に描いたような正義と悪の立ち絵に佐久弥は鬱陶しいと、 「うるさいなぁ、それが裏野部ってもんなのよ……もう」 と吐き捨てた。終いには利き手を振ってシッシッと言う始末。『アクスミラージュ』中山 真咲(BNE004687)はその行為に冷静に対処した。 「それはできないかな。お仕事という事で、貴女たちと戦いに来ました。その命、いただきます」 「命ー? あはっ、あんたらにあげる命なんか無いんだよ!!」 噛みつくような反論に真咲は怯える事は無く。異空間から出現した斧をコンクリートにずどんと着地させて、そうですかと流した。 「ふん、元気な事じゃな。すぐに尻尾を巻いて逃げればいいものを」 対極的に、『ガンスリングフュリエ』ミストラル・リム・セルフィーナ(BNE004328)。彼女は言葉さえ勇ましいものの、足が些か震えている様な震えていないような。 「ミストラル殿の場所には局地的な地震が起きているのでありまするな」 「う……うむ、そ、そそ、そうなのじゃ。これは武者震いとも言うのじゃ」 『飛行機だって殴ってみせる』嵯峨谷 シフォン(BNE001786)はミストラルへ、触れている様で触れていない言葉を投げつつ、うんうんと顔を動かしていた。 即座にシフォンの瞳は佐久弥へと移る。鮮やかな配色の鉄扇を片方敵へと向け―――その先に居る人物へ宣戦布告するのだ。 「裏野部……でありましたか? どんな特長の組織だったかは覚えていないでありますが、ぶちのめしにきたであります」 「なら、これから知ればいいのよ。身体に覚えさせるのが一番だもんね!!」 吼えられた一言に『偽悪守護者』雪城 紗夜(BNE001622)は、 「お? おお? やる? やっちゃう?」 と、久しぶりの武器の感覚をその手で思い出しながら、唇を舐めた。 「キミ達のその望み、叩いて砕いて切り刻んであげるよ」 裏野部にとっての悪はリベリスタ達なのだろう。今こそ、紗夜の偽悪は行使されるのであった―――。 「そういえば」 ふと、『soliloquy』イズル・Z・シュタイフ(BNE004727)は明後日の方向を見ながら、この場にいない二人の事を思い出す。 「あっちは大丈夫ですかねぇ」 鳴らないアクセスファンタズム。 彼方の状況は一切不明。イズルの其れは心配という二文字には値しないものなのだろうが、護るべき者は護らなければいけない。そんな十六文字に縛られていた。 「大丈夫よ」 其の大丈夫は100%という意味は込めていないけれど『心殺し』各務塚・思乃(BNE004472)はイズルの肩をぽんと叩いた。 「ぐるぐさんならなんとかしてくれるはずよ。だから私達は目の前の敵を」 ―――撃退せん。 ● という事で、所変わって。此処は戦場から少し離れた、人混みのノイズの中。 「アナタが名木綾戸サンでスカ?」 「え!? なに!? なんで名前知ってんの、うわ怖ッ」 案の定の切り替えしに、やっぱりデースかと考えつつ『ダイス教』函 ぐるぐ(BNE004700)。大丈夫、続きの文章はきっちり用意してきたのだ。 「コレは宗教への勧誘ではありまセン、少しお話を聞いて頂きたいのデス」 「お前の格好の何処に説得力があるっつーんだ……」 綾戸からの指摘を受けて、自分の格好を今一度確認したぐるぐ。束の間の謎のだんまり合戦があった後。 「アナタは片手銃をお持ちでスネ?」 「おい。今の完全に聞かなかったことにするんじゃない。おい、おい」 マイナスイオンが効いているからか、イマイチ彼も大きく怒らなかったのは利点であった。 ● 圧倒的な速度で真咲は前へと進んだ。リベリスタの狙いは回復手、つまりホーリーメイガスからという定番をなぞったものからだ。されど敵も、定番をなぞり、真咲の瞳には明らかにホーリーメイガスを護るクロスイージスの姿が見えていた。 「そんな盾があったって、意味ないんだからね」 身体を横に回転させて、斧に威力を追加する。 「邪魔だよ」 二回、三回、四回と廻って行けば、その斧はイージスの首に直撃して骨が盛大に擦れる音を奏でたのだ。しかしそれだけで倒れるイージスでは無い、即座にむくりと起き上っては――護っていたホーリーメイガスを攻撃したのだ。 「お見事! 混乱は効いているのでありまする!」 「うん、今がチャンスだよ!」 シフォンが一度手を叩き、真咲は後方に居る仲間へと告げた。 早すぎるチャンス到来に驚いたのは敵側でもある。そんな最初からクライマックスだなんて。 とはいえ集中を決め込んでしまったシフォンはそのチャンスに肖れる事はできないのは惜しまれる。次手に動けるのは、ミストラルと思乃だ。 うっかりミスりでもしたら、大勢の命が飛ぶのだと。そんな大役に肩が重い思いをしながらミストラルは手を止めない。 「ここをこうして、こうじゃったかの……ええい!!」 即座に防御を練り上げる陣を組み上げ――其れを思乃へと纏わせ、ベールとした。 「あら、なかなか良いタイミングだわ」 思乃の眼前では今まさにデュランダルが大剣を振り上げ、攻撃を仕掛けていた。其れは思乃へ直撃してしまうのだが、ミストラルの神秘は彼女を護ったといっても過言では無い。 「うむ! わらわの力はこんなものでは無いわ! 行くがよい思乃!!」 「えぇ、行ってきます」 クールな外見には似合わない、剣を持って彼女は一瞬にしてデュランダルの前から姿を消した。 次に現れた場所は――― 「なっ!?」 「遅いわよ」 ホーリーメイガスは振り向いた。死角に立っていた思乃の刃はすぐにでも直撃するだろう。 そんな割と一方的でもある戦場に、佐久弥のイライラは更に募っていた。しかし、状況は弁える。己はリベリスタの相手に余力を使う訳にも行かない。イズルこそ、いつ彼女が動いてくれるのは目の端にはいつも彼女を置いて見張っていたものの、未だに動く気配は無いのだ。 「やぁやぁ、ハジメマシテ。アークのリベリスタ雪城紗夜だよ……以後、お見知りおきを」 「うるさい」 ひたすら我慢を続ける佐久弥に紗夜は近づいた。ブォンと風を斬った大鎌を、目元すれすれで避けながら佐久弥のストレスゲージはまた上がっていく。 「やり過ぎだよね、無差別殺人しても奪い取るってさ」 「うるさい」 もう一度、風を切っては鎌が宙を走る。それは佐久弥の銃が刃を止めた。それで押し合い、押され合い、力の攻防は始まった。紗夜の刃は佐久弥の首を狙い、佐久弥の標準は紗夜を狙おうとしていた。 「アーク、忘れちゃ駄目だよね」 「うるさいうるさいうるさーーーーーーーい!!」 金属音が響き、鎌を弾かれた紗夜は少し後方に体勢がよろけたが、足でふんばり、耐え。 「弾丸一発、脳天にぶちこんだろか!!」 「その気になったのなら、いいけどね」 銃口が己の頭に向いているのは紗夜が一番よく解っている。それでも笑顔を絶やさない紗夜は、鎌を持ってして対峙するのであった。そんな二人が攻防を繰り広げている中、佐久弥の銃にイズルは目を輝かせていたのであった。 ● 「既にご存知かもしれませンガ、アナタの所有する銃は、特別命中を練り上げる事の出来る特殊な銃らしいのデス」 ぐるぐの言葉の直後に、びくりと揺れたのは綾戸の身体であった。無意識に拳銃がある場所を片手で抑えてしまったのは言うまでもなく。 「ああ……貰った時にそんなような事言われたかな……」 「そシテ、その銃をとある射的狂いがお気に召したよウデ、アナタから奪うべく襲撃を掛けるつもりのようデス」 「はぁ?! ちょっとまった、いきなり過ぎてよく解らん。その前に、えっと……なにがどうなんてんだ!?」 理解できないと頭を抱えた綾戸。されど、ぐるぐは言葉を続けた。理解されなくては、いけないのだ。 「現在、ワタシの仲間がその悪人らを撃退すべく交戦中ですノデ。暫くの間、この先に近付かぬようお願いしたいのデス」 「それ……本当だって信じたいけど、悪い、初対面にいきなりそんな事言われても、いや、疑ってないけど」 無理も無い。 ● 己も革醒した当初は混乱があった。だからこそか、綾戸の動向が気になる思乃。されど彼女の剣は緩まる事は無かった。確実にホリメの背後に回ってのは、その背中に剣を突き刺し――しかし戻ればデュランダルに狙われて、その剣を貰うのだ。 「ぐるぐさん……お願いね」 ぼそっと呟いた声は誰にも聞こえず。目の前でデュランダルが余所見をするなと吼えたのだけは思乃の耳に聞こえていた。 再びイージスは混乱を抜け出し、回復手を庇う動作を見せた。されど、やはり真咲がさせないと瞳を光らせ、ここぞとばかりに突撃してくるのだ。 「何回やっても同じだよ」 「くそ……くそっ」 イージスの憎しみをその耳で感じながらも、真咲は手を止める事は無い。打ち落とさんとする剣に、イージスはその剣を掴んででも止めようとしたが、刹那、真咲の姿は消え、逆にイージスの後頭部に大きな衝撃があったのだ。 「残念だったね、あんまりボクの速度舐めちゃ駄目だよ」 庇いが消えた瞬間、夜桜の剣は吼えた。夜桜は重たい剣を振り上げ、上から下へと落とす。それはホーリーメイガスの脳天をかち割り、ついに一人のフィクサードが息絶えた。 人を殺めた感覚がまだ手に残る中で、夜桜は言う。 「ほらもう、一つ壁が消えたよ! それにお前等が望んでる人は此処には来ないんだから!!」 「うっるせ!!」 裏野部に噛みついてやった夜桜だが、お返しとしてなのか弾丸を一つ受けて胸に痛みを感じた。その傷が燃え上がって火に包まれれば――そう、これは佐久弥のインドラの矢。 「裏野部に力無いものなんか必要ないわよ!」 死んだホリメを見る訳でもなく、佐久弥は再びトリガーを引こうとしていた。刹那、運命の光が夜桜を包み込む。死を避けて、生を与えられた夜桜に負けるという文字は考える事もなく。 「身体は傷つけられても、心までその刃は届かない!」 ただ、ひたすらに強い心だけで立ち上がった。 ともあれ、回復手がいなくなった事はリベリスタにしてみれば好都合な事だ。 「回復をお願いするのです!」 同じく火に包まれているイズルが声を荒げた。その声にびくりと身体を動かし、 「ひょわわっ、すぐに回復するのじゃ。しばし待たれ!!」 即座にミストラルは機転を利かせて、癒しを乞うた。リンクするエクスィスに力を分けて貰い、そしてミストラルの隣には祈り手で歌うフィアキィの姿が見え隠れしていた。そのフィアキィが光り輝いた時――術は完成した。 「へー、あれがフュリエとその力か」 物珍しそうにミストラルを見た佐久弥。フィクサードとしても、フュリエという存在と共存しているアークは珍しく。 「アザーバイドとか……無いわー、ボトムに関係ないのによくリベリスタなんかしてるわね」 「聞き捨てならんのじゃ」 ギッと睨んだミストラルと佐久弥の目線に火花が散った。 「二発目がくるですか! でもその前にお返しを叩きこんであげるです!」 イズルの重火器は、佐久弥を標準の中へと入れた。彼女がついに参戦してきたのだ―――此処で手を抜く訳にも行かない。信頼せし仲間の前で、弾を外すなんて、スターサジタリーであるイズルにはあってはならない事でもある。 「大人しくネンネするです!」 一瞬、イズルはブレを失くすために息を止めた。そして瞬きをする事を止めた。轟音が響いた瞬間に、高速で宙を駆けた弾丸は射線上の敵の胸や、頭、腕や、そして佐久弥の肩を弾き飛ばして闇の中へと消えていく。 肩の傷なんて痛くない、と言えばウソにはなるが。それよりも佐久弥はイズルに興味を示していた。 「同業者ね。まあ同じような武器もってればそりゃそうだけどさ」 「全員の脳天を撃ち抜く前に、撤退することをおすすめするですよ!」 「そう、何度もコケにされてたまるかってーの!!」 インドラの呪術が再び大地の上を駆けようとしていた―――されど、その前にシフォンが言う。 「ホリメの次はどれを攻撃するでありますかね」 「えーっと……適当かな」 「適当でありまするね!」 「決めておけばよかったかもしれないですね」 シフォンの呼びかけに紗夜と思乃は返した。そう、最初に回復手を倒すと決めていたが、後後は決めていなかったのは少々効率が悪かったか。各々が各々の思いの敵に攻撃を仕掛けてしまっているため、確かに敵の体力は削れているものの、確実に仕留めるに至れないのだ。複数巻き込めるスキルが多かったのであれば目を向けなくて良い点だったが、単体攻撃を主軸に置くリベリスタが多い今回の編成では、些かそれが足を引っ張る結果となった。 ともあれ時間さえ経ってしまえば、倒れない者はいないというもの。 「覚悟するで、ありますよ!」 「ひ!?」 息を切らし、よろついたプロアデプトの男を指差したシフォン。だが佐久弥に睨まれている中で、彼が逃げるという思考に至る事もできず。 片足に力をいれ、コンクリートを蹴ったシフォンは身軽にも宙に浮かび上がった。そのまま宙で身体を回転させ、放った回し蹴りから疾風が飛んでいく。 駆ける――風で構成された刃はプロアデプトの首と胴体を分かつのだ。血飛沫が飛んだ、内臓が漏れ出た。佐久弥の前に、恐怖に満ちた形相の顔が落ちたのであった。 紗夜は言う。 「どうする? また死んだよ」 「うるさい!」 「さっきからそればっかりだね」 銃口が紗夜の頭を捕えた――衝撃に、彼女の身体は吹き飛んだ。 ● ビルの壁に背を当て、隣合わせに座って人混みの雑踏を見ていたぐるぐと綾戸。それで結構な時間は経っていたようにも思える。 「アナタにも戦う力はあるでしョウが敵は六名。まともに戦エバ多勢に無勢で銃を奪われ、逃走すれば動く戦場となって、多数の無関係な人々を巻き込むことが予想されマス」 「はぁ……俺の命がかぁ……こっちの世界は怖いな」 「デス」 膝を抱え、腕の間に顔を入れて表情を見えなくした綾戸に、ぐるぐは肩を叩いて励ましとした。 「ワタシ達はその両方を防ぐ為に馳せ参じまシタ」 遂に返事は無くなった。けれど、顔が一回だけ下へ上へと頷いたのは見えた。 「中でも戦闘経験の浅いワタシがアナタを危険から遠ざけ、盾となる役目を担いアナタの前に現れたというわけデス」 「……俺よりも小さいお前がか?」 「デース」 「そっか」 綾戸はぐるぐが肩に置いていた手を握った。真っ直ぐな瞳でぐるぐを映し―――解った、ありがとう。と呟いたのであった。 ● 「貴様等あああああああああ!!!」 デュランダルである女の一人が叫んだ。それはそうだ、仲間が二人の死亡すれば怒らない仲間はいないというもの。たった一人、冷静だったのは佐久弥であり。殺してやるとデュランダルが剣を握り、シフォンを攻撃せんとした。 シフォンは身体を強張らせ、衝撃を待つ―――が、それが来ない。 更にリベリスタ達も攻撃を仕掛けていく。 「――待って!!」 しかしそれを思乃が止めたのだ。彼女の眼に見えた、銃を仕舞った佐久弥の姿。 「戦闘を、止めてくれるのね……?」 恐る恐る聞いてみれば。 「ああ、駄目だ、撤退するよ」 佐久弥の声が、響いたのであった。 「なんだ、止めちゃうんだ。大変だったけど楽しかったよ」 真咲がそう言う中、紗夜はどういう風の吹き回しだと問う。 「本来ならもう来るはずの客が来ないのよ。これ以上戦って、『私が』死ぬのも嫌なのよ。私は相方を置いて死ねない存在だからね」 「殺してでも奪い取るんじゃないのかな?」 「殺されてでも奪い取る、賭けはしないわよ。ただ―――」 言った。 「裏野部である私の顔に泥を塗った事は、いつか絶対に後悔させてやる。だから覚えておけ」 過激派裏野部。主流七派の内でも、極限にして暴力と破壊の種を撒く、最悪の組織の名前を。 夜桜の拳がぎゅっと握りしめられ、ツメが食い込んでは其処から血が流れた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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