● 「友よ、最期まで貴様と一緒とは嬉しいぞ」 「あぁ、腐れ縁か……いや、運命共同体と言ってもいいだろう」 「貴様の考えている事は、手に取るように解るのだぞ」 「あぁ、ならば――――」 「「存分に暴れてやろうではないか」」 「俺は矛に、お前は盾だ」 「俺は矛だ、お前が盾だ」 「いや俺が矛だ」 「俺が矛だっつってんだろ」 「いーや、貴様が盾で俺が矛だ」 「俺が矛で貴様が盾で矛は俺以外にはない」 合わない意見に、クロスカウンターで終止符を打った二人。かの、亡霊と呼ばれた存在の残存兵だ。今は傷つき、神秘兵器も無ければ本当に身体と己と友と武器しか信頼できるものは無い。 彼等は独自のルートである時刻と場所を割り当てた。それは箱舟のリベリスタがエリューション退治に来る情報であった。文字通り、数分後には戦闘後のリベリスタ達への強襲は始まる。一矢報いるために、只で死ねないからに。 我等がアルトマイヤーは言っていた。 『総員、好きにやりたまえ』 ――――あの日終わった戦争の続きを始めよう。 ● 『―――――……助け…………親、隊………!! !!!』 ノイズ混じりの声がアクセスファンタズムから流れてくる。それに耳を傾けたのは『クレイジーマリア』マリア・ベルーシュ(nBNE000608)であった。 「亡霊の残りカスのお掃除よ。親衛隊が、一斉に動き出したわけなのよ。でもね、彼等はもう人間やめちゃってるのよ、キャハハハハハ!!」 彼等はノーフェイスとなっていた。とあるアーティファクト『エインヘリャル・ミリテーア』によって。効果は絶対者や能力強化を行ってくれるものなのだが、同時に対象者をノーフェイスにしてしまうものだ。危険過ぎる―――と使われていなかった、言わば、最期の切り札と言ってもいいだろう。 「ベンヤミンにレオンは既にノーフェイス。もはや殺す理由はそれだけで十分よ!! あいつらは殺し損ねたクロスイージスの三人を殺すために強襲を仕向けた。……まあ、これから行く所は其処ね」 遅くなったが、今、集められた8名のリベリスタは移送車の中に居た。 「攻撃方法は、各職業のものを使ってくるわよ。でもね、エインヘリャ……なんとかっていうアーティファクトのせいで絶対者や起死回生能力ができるようになってるわ。それは気を付けて頂戴。ついでに教えておいてやるけど、『バッドメディシン』をレオンが持っているわ。殺されたリベリスタを兵器に仕向けてくるっていうのは解りきっているから……メンドクサイ敵は、マリア増やしたくないわ」 車の中で響いたのはマリアの笑い声だけ。 「敵は死ぬ気だわ、もはや先は無い――――ギャハハハハハハハハハハ!! 復讐したいのは、こっちもそうよ」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月19日(土)23:15 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● 赤色の塊やら、血の香り。生きられる場所はこういう場所なのだと知らしめられたのは今、まさに。いつか顔を合わせた事がある対象に、報復せんと狙ったのは幸だったか不幸だったか。 「ひ、ひっ」 「おおおお、脅え過ぎであるぞリベリスタァ! あんときの威勢は何処ぞに消えたのか。なぁ、レオン!!」 「うるさい、黙れ、ベンヤミン。蟻を潰しても楽しくも無い」 二人が会話する中、それでも助けに来てくれるとクロスイージスの少年が信じきれたのは何故なのだろうか。きっと、きっとと願って。 ギロリと親衛隊の目線がクロスイージスを向いたものだから、もはやもう駄目かと思うのは仕方の無い事だっただろう。 「それじゃあ死ね」 「すぐに死ね」 「死んで駒になれ」 「死んで親衛隊になれ」 親衛隊のマークが入った短剣が、息絶え絶えの少年へと向けられた。狙うは首――きっと綺麗な赤色を魅せてくれるだろうと。刹那!! ガシャン!と大きな音をたてて、足音が複数入ってきた。 「久しぶりじゃのう、親衛隊」 「負け犬が、今更。何、大きな態度を取ってるの?」 「よぉ、悪いがこれ以上やる命はねぇな」 短剣は、『ふたまたしっぽ』レイライン・エレアニック(BNE002137)の腕に刺さっていた。直後、眩い審判の光がその場を埋め尽くす。 レイラインを始め、『運命狂』宵咲 氷璃(BNE002401)と『ディフェンシブハーフ』エルヴィン・ガーネット(BNE002792)はその光に焼かれたものの、口端を上に上げてこんなものかと笑う。 嗚呼、嗚呼、待っていた。レオンとベンヤミンはこみ上げて来る黒い混沌を心の中に感じながら、彼等の破滅を願ってきた。報復、復讐、千倍返し? 六十年の待機の後に噛みしめられた負けの二文字を晴らす為に。 「「来たな、この糞リベリスタァアアアア!!!」」 「うるせえ!!」 牙を向け、目は鋭くなり、それこそ人間を止めた証としては十分。しかし、エルヴィン達は怯まない。 「……好き勝手やってくれたが、ここから先は俺達の時間だ!」 もう好きにはさせないと、床を踏んだエルヴィンの足下から噴き出す聖神が周囲を包んで、癒しを行った。 「クリストフ死んじゃったの? 弱ぇなぁ、パンジャンがないと何もできねーの?」 「オィィイイイイ、誰だ今、我が最高傑作をディスったのは!!」 『刹那の刻』浅葱 琥珀(BNE004276)の一言に、ベンヤミンは超反応。ベンヤミンが後方を振り向いたときだったが、琥珀の黙示録は既に振りあがっていた。 「パンジャンなんで無いの?」 「触れるな!! これにはかくかくしかじか!!」 一瞬そう言葉を交わした瞬間、琥珀は「ふーん」と言いながら、黙示録をベンヤミンの頭の上に叩き落した。 「マリアさん、出番やで」 「むー」 『グレさん』依代 椿(BNE000728)は周囲に結界を施していた。その隣で浮かぶマリアの頭をぽんと叩けば、堕天落としが飛び出していく。 「マリアさん、頭を押せば閃光出す生き物になったらあかんよ」 「はーい、でもね椿」 マリアは小さな手の人差し指を突き出して、レオンへと向けた。 「あいつ……石化効かないのね……絶対殺す」 「せやったな」 終わっていた様で、終わっていなかった。終わってくれていれば、良かったのにと『揺蕩う想い』シュスタイナ・ショーゼット(BNE001683)は服をぎゅっと掴んだ。 そんな彼女の背中を『先祖返り』纏向 瑞樹(BNE004308)は一度だけ優しく叩いた。 「纏向さん……?」 「……」 瑞樹こそ、あの日。此のノーフェイス達を目の前にして、決死の覚悟で臨んだ子たちの思いに応えられたかというと、疑問が残る。それが今回復讐という形で回ってきた事は隠せず、否、それでも良いのだろう。 「大丈夫、終わらせる。もうこれ以上譲れるものなんか無いんだよ」 力が籠って、つい声が低くなった声で瑞樹は言った。やれる事を探すのは、今、目の前に死にかけの『決死隊』が助けられるのだ。それを助けない理由なんて無く、瑞樹は誘導へと廻る。それにつられるように、シュスカも癒しの風を施した。 「リベリスタ、新城拓真。……あの日の続きと行こうか、親衛隊」 これで揃った八人。『誠の双剣』新城・拓真(BNE000644)は両手の決意を振り回して、其れをレオンへと直撃させた。よろり、と体勢を崩しかけたレオンだがすぐに元に戻っては淀んだ瞳が拓真を映す。 「ああ、久しいな。確かに我等は箱舟に負けたが、その中でも我等に負けた貴様等がそっちから来るとは」 「うるさい、黙れ……ッ」 「少々笑わせてくれる。積まれた死体を片づけたのは楽しかったか?」 「黙れと言っている!!」 もう一度、拓真は剣を振った――。 そうして始まる、最期の戦い。レクイエムは剣と剣が擦れる音か。 ● どれだけ死んだか、あの日一日で。そんな事、思い出したくも無いって脳が叫ぶ。 「俺の相手をしてもらうぞ!!」 「うざったいな。前もこれくらいメンドクサイ奴だった」 拓真の剣がレオンの頬を傷つけ、耳を裂いていく。近づいた顔と顔、報復が色づく両者の目線。拓真が眉をしかめ、レオンがふっと笑った瞬間に眩い光は拓真の眼前で光り輝いた。 咄嗟に目を抑え、かくして防御を貫通してしまった攻撃に拓真は剣を杖に倒れまいとした。 彼の後方では―― 「こっち! 早く!!」 「よく耐え凌いだのう……さ、こっちじゃ! 今度は、あんな目には合わさんからのう」 「急いで頂戴。もたもたしてたら無駄死にするわよ」 「悪いな、あとで手当てしてやるからもうちょっと待ってくれよ」 シュスカを先頭に、レイライン、氷璃、エルヴィンが傷塗れのイージスたちを誘導していく。その光景に舌打ちしたレオンは一歩踏み出し、腕を前にして再びの閃光――― 「させるか……っ」 ―――しかし、拓真がレオンの伸ばした腕を掴んだ。させられないのだ、殺す事は。しかしレオンは拓真の行動全てを否定するように言うのだ。 「生命活動が終わるだけの、ただの自然現象に、何故其処まで固執できるかは理解できんな」 「――ッてめぇ!!」 レオンの後ろより、飛び出したのは琥珀。破滅のジョーカーのカードを持ち、それを投げるでは無く直接レオンの腕を斬り落とす勢いで切りつけた。 「お前等には心というものが無いのかよ!!」 「非科学だ」 「知るか!!」 「レオォォオン!! 話なんぞ時間の無駄である! 我らがアルトマイヤー様の力はすンばらしい事を見せつけてくれよう」 「あなたが一番、お喋りなのよ」 豪快に笑ったベンヤミンの口に、瑞樹のハンドガンの銃口が入った。一息つかせる間も無く、銃声が響いた瞬間にベンヤミンの身体は窓硝子を突き抜けて庭へと出されたのだ。 「? !?」 頭にハテナが浮かぶベンヤミンは体勢を起こしつつ、瑞樹を見た。怒りの一撃か―――それは有無を言わせぬ力の暴力か。氷がパキパキとベンヤミンを包む音を聴きながら、瑞樹は言うのだ。 「もう、貴方達には勝手をさせないよ。無念を抱えて逝くといい」 それは、彼女の確固たる意思。 「マリアさん!」 「むっ」 椿が再びマリアの頭をぽふんと叩けば、再び黒い閃光が飛び出した。窓硝子より外に居るベンヤミン一人のために送るそれは、直撃をして消えていく。 更に飛び出した―――椿。黒き鎖がチャラリと擦れて鳴り、ベンヤミンの首を捕えた。椿が鎖をぐいっと引けば、ベンヤミンの首が吊られて見事な宙ぶらりん。 見つめていたマリア。彼女との距離ができてしまったのは親衛隊のせいでもあり、だからこそか、椿の力はいつも以上に強くなる。空けた距離の罪を償わせるため、絶対絞首の刑はゆっくりとベンヤミンの首を締めあげていく。 ● 「まだ死んではダメよ? 折角、生き長らえたのだから、命を落としたあの子達の分も生きて世界を守りなさい」 「もうちょっと辛抱しなさい。絶対ここから無事脱出させてあげるから。声を殺して、体を小さくして見つからないように隠れてなさい。すぐに終わるわ」 部屋に隠す、燈火の消えそうな命。氷璃とシュスタイナの言葉に素直に頷いた三人を見て、一先ず安心はできるものの、完全に安心するには程遠く。 直後―――下階から大きな物音がした。 「なんじゃ!?」 「やばそうだな……急ぐぞ!」 「ええ」 誘導を行っていた四人は足早にその場を後にした。その後ろ姿に、残された者達はご無事でと願わずにはいられなかった。ふと、振り返ったシュスタイナ。その視線に気づいたのか、ぎこちない笑みを浮かべて言うのだ。 「本当に、もう大丈夫だからね」 時間は少しだけ戻る。 「ベンヤミンの方は、もう討伐されそうだけど?」 「……そう見えるのであれば、お気楽だな」 拓真と琥珀の攻撃を受けたとしても、自己回復できるレオンは表情一つ変えない。拓真は怪訝そうな顔で、ちらりとベンヤミンを見る。首は鎖で括られて、ぴくりとも動かないハングマン。 「おい、ベンヤミン。いつまで遊んでいるつもりだ?」 そう、レオンが一言言った瞬間だった。 「なんや!?」 椿が違和感を覚えたのが一番早い。 「流石我が友、レオンであるな」 鎖が、石化が、氷が砕けて消えた――其れはただのバッドステータス解消でいつもの事なのだが、地に足が着いたベンヤミンは先とは完全に違う面もちで。 「バァアアアアアアアアアアれてしまっては仕方が無い!! これぞエインヘリャル・ミリテーアの力だとおおおお!! 思ぃぃぃ知れええええ!!」 ベンヤミンが拳を振り上げ、シャドウボクシングの様にその拳で眼前の空を殴った。刹那、拳から放たれた通常より太すぎる気糸が、目の前の椿の胸に穴を空け、マリアの片羽を消し飛ばし、そのまま室内の瑞樹の右目から後ろの頭を抉ったのだ。 正に、起死回生が発動していると見えるだろう。突然の激痛に一斉によろけた三人は何が起きたのか解らない表情をするを得ない。 「フーーーーッアハハハハハッ! 視よ、驚け、叫ぶがいいッ!! 我が力に死ねッ!!」 「ベンヤミン、油断は―――」 レオンがそう言った時だった。 「そう……貴方達の中では、終わってないのね」 癒しの暴風は吹き荒れる。マグメイガスでありながらも、回復のスキルを持つシュスタイナ。どことなく悲しい表情をノーフェイスに向けながら、そう、静かに呟いた。 シュスタイナの祈りは、椿と瑞樹の風穴も、マリアの羽も、治し尽くせるといえばまだ力は足りないが、それでも支えになる事は確かであって。 「我慢比べしようかと思ったが、俺の我慢(怒り)が先に限界迎えそうなんだが?」 そこに加わる、エルヴィンの聖神。聖なる風に混ざって舞う、上位の神の白き翼。回復が重なり重なって、埋まっていく傷。 「初めてじゃな……ここまで頭に血が上るのは!!」 止まらず、床を駆けたその足。レイラインは一直線にベンヤミンへと駆けては、倒れているマリアのすぐ隣の床を蹴って高速で飛んだ。 「よくも……よくも!!」 待っていた。此の時を、親衛隊をこの手で殺せるこの機会を!! 「さぁ、駆除してあげるわ。駄犬崩れの野良犬共――」 彼女の後方からだった、氷璃の葬送の音色が響く。舞う、レイラインの間を綺麗に避けていく氷璃の音色はベンヤミンを突き刺し、拘束し――― 「よくも――――ッ!!」 レイラインは双鉄扇を広げず、閉じたままのそれをベンヤミンの額に突き刺して押し倒した。馬乗りになったレイラインはそのまま、頭から双鉄扇を抜いて胸、腹、腕、肩、闇雲に突き刺していく。怒りが溢れていた、その感情に支配され、流されるままにレイラインは紅く紅く染まっていく。 いつしか動かなくなった親衛隊―――否、それはもう人の形をしていなかった。 「おい!!? レイライン、もういいんだぞ!!?」 エルヴィンはレイラインの腕を掴み、遺骸から遠ざけた。その彼の腕にもべったりと着くほど付着した返り血。一瞬ぎょっとしたエルヴィンだが、レイラインの顔をそのまま視る事はできず。 「もういいのよ、レイライン」 レイラインの背中をぎゅっと、マリアは抱きしめた。残ったものは、ただ、ただ、虚しく、心がぽっかりと空いたかのような、風の通る穴のような。 「寒いのじゃ……ベル」 「ええ。温めるよ」 ● 「大義のために戦っていた貴方達が、堕ちたものね」 ベンヤミンが完全に消えた、それでもレオンは戦闘を止める事はしない。 「貴方達は運命に抗う事を止めてしまった。所詮、亡霊は亡霊のまま」 氷璃は言う。彼女の言葉こそ、何も揺らがない真実である。再び降り注ぐのはシュスタイナとエルヴィンの癒し――。 「あとは、お前だけだな」 「一般の人は勿論、駆り出される私達は大迷惑だわ。ねぇ……。叶わないものを追うのって、辛くないの?」 シュスタイナもエルヴィンも、口を揃えてレオンに問いかける。されど、返事は無い。ただ、返って来たのは審判の光のみ。 「我等は既に負けている。もはやもう、捨てるもの等無い」 「命は簡単に捨てたらいけないって、なんで解らないんだろうな」 頑固なレオンの言葉に、同じ職業でありながらも相容れないエルヴィンの拳がぎゅっと、強く握られた。無意識に強く噛んでしまった奥歯が痛む。 「まだ」 しかしまだ。 「まだ」 彼は。 「まだだ」 奥の手があった。 ―――椿のESPが告げた、危険信号。 「バッドメディシンや!! 其れはイージス三人分だけのもんやない!! ベンヤミンにも使うつもりや!!」 咄嗟に拓真と琥珀が、バッドメディシンを取り出したレオンの腕を掴んだ。 「お前等の戦いは命を失うまで終わらないのは知っている。だがな、その使命を終えた仲間の死体に鞭打つのはどうなんだ!!」 「亡霊が亡霊を呼び起こすなんて楽団並みに洒落になってねーって!!」 進ませない、投げさせない、八十秒であれ、再びあの起死回生を起こさせてはならないのだ。 「私がやるよ」 瑞樹は一言そういえば、人差し指を差し出して其処から気糸を呼び出した。彼女の命中が、小さな其れを逃すはずは無く、真っ直ぐに、それでいて破壊力をもって、注射器は粉々に砕けては中に入った液体はフローリングに落ちてシミになった。 「こ……、の!!」 「機械を動かして、好き勝手してた貴方。たった一本の気糸に意識を動かされる気分はどう?」 「……く!!」 「何本、バッドメディシンを出した所で意味無いよ。全て私が打ち落とすからね?」 瑞樹の言葉には確信がある。それで全ての『切り札』は消えただろう。能力強化されたホーリーメイガスであれ、八人の精鋭に囲まれればどうなるかはレオンの計算でも十分に解る事であろう。 「負けられない………アーリアは……負けられない………我等は、負けている……? う、受け入れたくなんか……くそっ、くそおおお!!!」 頭を抱えた、廃人になりそうだと、既にヒトを止めた彼に言えたことでは無いが。 「終わりね、歴史の闇に飲まれ、消えていきなさい」 「命を託してくれた者達に報いる為に! ―――何より、戦いで失われる命を少しでも多く減らす為に!」 その時の、氷璃の葬送の音色は鎮魂歌なんて甘いものでは無い。 その時の、拓真の剣は一切の曇り無く輝いていた。 鎖が、剣が、貫く親衛隊のマーク。 「散々、舐めてくれたお礼だ」 琥珀が魔力で紡いだダイスを投げた。それはたった一人の敵に対しては確定で直撃する―――。 爆発は響く。それも人の形を忘れて、消えてなくなった。 「おやすみ、なさい」 呟いたシュスタイナの声は、風に乗って消えていくだけ―――。 ● 「リベリスタは大変なのね」 「ああ、そりゃそうだ」 マリアのつぶやきに、琥珀は答えた。 「……正直援護が無きゃヤバかった、助かったよ。ありがとな」 「ううん、マリア、そんなに何も。頑張ったのは皆よ」 わしゃ、とマリアの頭を撫でたエルヴィン。それをぺちんと叩いて、子ども扱いした事にぷんすこ怒るマリアはまだまだ子供で。 「悪い悪い、レディに対する扱いじゃなかったな。ま、なんにせよ」 お疲れさん、マリア。 ううん。お疲れなのは貴方達の方よ。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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