● 誰もいないサーカス会場。そこに一人のピエロが突如現れた。 「はァーいッ! 皆さまお元気ですかァん!? わたくし、『グレイズ・パーティ』というサーカス団の団長をやっておりますワイズと申しますものでスはいィーッ!」 妙に甲高い声だった。そして、その声は聴いていると、なぜか不愉快になる声だった。 「というワケでェ、今回はアークの皆様をご招待したいと思いまァーすッ! え、何がというワケだって? あぁ忘れてた……悪い癖だよォ……ヒヒヒ」 不気味な笑い声を発しながら、ワイズは続ける。 「なんだかアタシ最近変なのよォ……ってカンジでェ! フィクサードになりましたァ! 素晴らしい! 100点ですねェ! 人々を怖がらせるのはいい気分ですよゥ! で。こう、いい気持ちになったはいいものの……なんだかこれを邪魔する連中がいるんですよねェ」 ワイズは声を落とした。 「それがァ! アークってやつなんですよォ! アタシが好きなことをとことんまで邪魔するクソな集団ですよォ! ンで。今回はそんなクソったれ集団をまとめて始末してやろうと考えたワケですよォ!」 つまり、アークに対する宣戦布告ということだ。 「んー……でもなんかつまんねェなこれ。あ、そうだいいこと思いついた。思いついちゃいましたヨォ! あたしって天才!」 そこでピエロが消えた。数十秒すると、再び現れた。断頭台と共に――。その断頭台は、木でできていて、なんとも古めかしさを感じさせる。 「ここに用意したのはギロチンでございまァース! 今から一人、我が団員がデモンストレーションをしてくれますッ! 皆さん、目の穴かっぽじってよく見とけでございまァス!」 そして、一瞬のうちにワイズが会場から消える。 数十秒後、ワイズが再び現れる。今度は、人間の男性も一緒に。 「我が『グレイズ・パーティ』の副団長でェす! 今からこいつが断頭台に固定され、その首をロケットのごとく飛ばしてくれるぜ! ヒャハハハハハハ!」 「や、やめて! 助けてくれぇ!」 男性が泣き叫んでいる。しかし、そんなことは知ったことではないという風にワイズは男性を掴んで断頭台に固定した。 「ンン? 嬉しさのあまり泣いているようですねェ。団長として感激デス! じゃあ準備が整いましたァ! それではいきますヨ! みなさんもご一緒に! ワン、ツー、スリー!」 ワイズがギロチンを落としたところで、サーカス会場の明かりが消えた。 「止められるなら止めてみてネ! 待ってますよォォォォォ! ヒャヒャヒャヒャ!」 モスキートトーンを思わせる、頭の中でガンガン響く笑い声を残しながらワイズの声は途絶えた。ワイズが消えても、その笑い声が響き続けているような気がした――。 ● 「緊急事態です。フィクサードが出現しました」 『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)が慌てて言う。 「ブリーフィングを開始します。サーカス団『グレイズ・パーティ』の団長がフィクサードになりました。これ自体はどうやら一週間ほど前のことのようです」 モニターにワイズの顔が写し出される。なんとも不気味だ。 「運が悪いことに、サーカスの動物が次々とエリューションになっています。増殖性革醒現象のせいと思われます。さらには団長……ワイズは人をさらっては拷問してから殺しているようです。最近、周辺の町で行方不明者が出ていますが、おそらくワイズの仕業です」 和泉はいつもより早口だ。それだけ事態は深刻なのだろう、とリベリスタは考える。 「行方不明者は増えていますので、これには迅速な対応が求められています」 和泉が一呼吸おいてから言う。 「今回の目標はフィクサード、ワイズの撃破もしくは撃退。サーカスの動物たちがエリューション化しているので気を付けてください。どれもフェーズはそこまで進行していないと考えられます。それでは健闘を祈ります」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:河道 秒 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月14日(月)23:41 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● サーカス団のテントの前にリベリスタたちは全員そろっていた。 「んじゃあ、そろそろ時間だな。行くぜ」 『やる気のない男』上沢 翔太(BNE000943)が眠そうな目をこすりながら言った。眠そうとはいっても、彼の頭の中ではちゃんと戦闘に身体が切り替わっているのだが。 「そうだな。まあ、細かくメンバーとかは分けねぇで全員でテントの中に入ったほうがいいんじゃねぇの?」 『道化師』斎藤・和人(BNE004070)が煙草に火をつけながら言った。 「そうですね。それでは早速行きましょう」 『シャドーストライカー』レイチェル・ガーネット(BNE002439)が言うと、リベリスタたちはテントの中に入った。テントの中は薄暗い。ライトはまだついていないようだ。普通のサーカス団ならば、ここでショーの準備をしているのだろう。 しかし、このサーカス団のやっている準備は死のショーのものなのだ。 「嫌な雰囲気だね……」 『不倒の人』ルシュディー サハル アースィム(BNE004550)が顔をひきつらせながら言った。リベリスタたちも彼の言ったことは理解できた。このテントの中は邪悪な雰囲気が肌にまとわりついてくる。彼らが嫌というほど味わった死の雰囲気そのものだ。 「ああ、それと、今のうちにクロスジハートをかけておくね。中で何があるかわからないから……」 彼はそう言いながら、リベリスタたちに十字の加護を与えた。 『蜜月』日野原 M 祥子(BNE003389)は暗視ゴーグルを掛けながら、 「シエルさん、あたしの後ろについててよ?」 「ありがとうございます……」 『紫苑』シエル・ハルモニア・若月(BNE00650)が慎重に歩きながら答える。彼女はウィルオウィスプの銀時計の魔術光源で視界を確保している。 と、そこで中央のステージのライトが急についた。そこで、彼らが見たものは――。 ● 「なんてことでしょうか……」 『痛みを分かち合う者』街多米 生佐目(BNE004013)が手で口を覆いながら言う。 ステージの中央にあったモノは、ギロチンが下がった断頭台と、首がなくなっている死体だった。 「趣味が悪いな……」 『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)が吐き捨てるように言った。 「いらっしゃァァァァァいアークの皆様! 今日はこれから楽しいショーを行いやがりますのでェ! その眼の穴かっぽじってよォォォォく見とけェ!」 「どこっ……」 レイチェルが目を凝らしてもワイズの姿は見当たらない。さらにワイズの声は四方から聞こえてきているので、音で位置を特定できないのだ。 「今日のイベントは名付けてェ! 『アーク血祭パーティ』ってとこデスかねェ!? それではガンばってくださいねぇ!?」 不快な音をまき散らしながら、ワイズの声が消えた。 「くっ……ワイズはどこにいるんだ……!」 生佐目が吐き出すように言う。彼女がどれだけ目を凝らしても視界内にワイズの姿はない。 「集音装置で動物を探すんだ。できるやつ全員でやるんだ!」 ユーヌがテントに上に上昇しながら言う。 「っと、さっそく反応アリだ。四つ横の客席の上に一体いるぞ!」 和人が言うと、ユーヌがそちらに向かって、 「サーカスの使えない動物ども。さあかかってこい!」 「明かりがあるのはステージ中央だけだ。いくら暗視があるとはいえ、やっぱり足場の悪い客席で戦うのは良くない! 動物どもはまとめてやるためにもステージに集めるんだ」 「了解した」 ユーヌがステージに降りる。すると、暗がりの中から、一頭の猿が出てきた。 「次はそっちだ!」 和人が集音装置を使いながら、動物の隠れているところを当てていく。そして指定された場所にユーヌがアッパーユアハートで挑発し、ステージに引きずり出していく。 そんな時、 「っ!? 不意打ちッ!?」 祥子がぎりぎりで反応し、飛びかかってきた犬をステージに向かって蹴った。 「シエルさん、大丈夫?」 「ええ」 ステージにあがった動物は全部で三体。まだ一体だけ見つかっていない……。 「シエルさんの攻撃で確実に仕留めるんですから……」 そう呟きながらレイチェルがステージに駆け、神気閃光を動物に向かって放つ。動物たちは焼かれ、ダメージを負う。 「グルァァァ!」 シマウマが奇声を発しながらレイチェルへと飛びかかる。 しかし。 「ほらよっと!」 瞬撃殺で一気に距離を詰めた翔太がシマウマを切り裂いた。 「油断するなよ?」 と、彼が言った瞬間、暗がりの中から像が突進してきた。さすがの彼も像の巨体でタックルされたらひとたまりもない。客席まで吹っ飛ぶ。 「だ、大丈夫かい、翔太君! 治療するね」 ルシュディーがすかさず吹き飛んだ翔太を治療する。 「躾がいいのかもしれんな。安全だ。掠りもしない」 ユーヌは犬の攻撃をかわしながらそう言った。彼女は動物たちを一カ所に集めている。拳銃も使いながら、シエルがやりやすそうな場所へ動物を誘導していく。 だが彼女も象だけは面倒なようで、軽く浮きながら誘導していた。 「こんなものでいいだろう……シエル、やってくれ。レイチェル、離れるぞ」 「はい」 「お任せくださいませ。それでは参りましょう」 シエルが祥子の一歩前に出て、翼を広げる。 「悲しゅうございます……サーカスの動物だちをいたぶるなど。なれど、仕方ありません」 彼女の美しい翼が一気に広がり、それを激しくはばたかせると、魔力の渦……いや、魔力の暴風が出現し、動物たちに襲い掛かる――! その威力はまさに必殺。 動物たちはその暴風にまきこまれ、動かなくなった。 ● 「アラアラァ? やられちゃいましたねぇ」 ワイズの声は――今度は上からはっきりと聞こえた。ワイズはサーカスの天井から垂らしているブランコにつかまっていた。いつのまにか、そこにいたのだ。 今までたまたま見つからなかった、というただの悪運だけなのだが。 「まったくつかえねぇクソどもだったなァ。あ、それではぁァッ! 気を取り直して二回戦!」 「させると思ったか?」 ユーヌが陰陽・星儀でワイズを狙う。ワイズが奇妙な動きでそれを回避する。 「全くゥ! 少しはお静かにステージを楽しみなさいよォ!」 そう言って空中を舞いながら、ワイズはスターライトシュートをリベリスタたちに向かって放った。光弾が次々と着弾し、ほこりが舞う。 「こうみえても、あたし結構頑丈なのよ?」 祥子が傷一つなく、ほこりの中から現れた。ワイズは一つ舌打ちをする。そして、人差し指を前に突き出すと、そこからピアッシングシュートが放たれた。貫通力を増した魔力の一撃が彼女を襲う。 「くっおおおおおおお!」 彼女がその弾丸を月読乃盾で踏ん張りながら受け止める。踏ん張るあまり、地面に足がめり込んできた。彼女の身体の骨がきしむ。全身の筋肉が悲鳴を上げる。歯ぎしりをしながらも、祥子はシエルを守るためにその弾丸を受けていた。 自分一人がダメージを受けるのならまだしも、貫通してシエルに当たってしまっては元も子もない。 「祥子さま、共に」 シエルが翔子の背中を押して、ともにワイズの弾丸を受け止め、そして――。 「跳ね返したァァッ!?」 「残念ね。あなたの自慢の弾丸はあたしがすべて受け止めてあげるわ。そして、シエルさんには傷一つ付けさせない」 「ナンテコッタイ……まあ、どうにかなるデショ! それではお次の……」 と言ったところでワイズの言葉が消えた。なぜなら、 「ダークナイトの力、とくとお見せしよう!」 生佐目がワイズの背後へ降り立ち、奇襲を成功させていたのだ。 スケフィントンの娘で、苦痛を内包する黒い箱に閉じ込めることに成功した生佐目はそのままワイズに向かって駆ける。刃渡り三尺九分の太刀を抜きながら、高速で接近する。 黒い箱が消えると同時に彼女は太刀を振るい、ワイズを一刀両断しようとする。しかし、彼女の太刀が斬ったのはワイズの髪の毛の端だけだった。ワイズはギリギリのところで回避することができたのだ。しかし、生佐目は逃げることを許さなかった。 そのまま刃を返し、逆袈裟斬りのように、ワイズを斬った。今度は当たった。ワイズの肩から血が出てくる。 「ちっ……」 舌打ちをしたワイズは近距離で生佐目に向かってピアッシングシュートを放った。彼女はそれを身をひねらせることによって回避するが、ワイズに距離をとられてしまった。 「クソどもがァァァァ……」 「悪意を司ることこそが、ダークナイトの力。なれば……貴方程度の恐怖をねじ伏せるなど、実に容易い」 ワイズは怒りの形相で歯ぎしりをする。 「たぁっ!」 ワイズがひるんだ隙に距離を詰めた祥子が拳を繰り出す。ワイズはそれを避ける。しかし、翔子の攻撃は止まらない。次々と拳と盾のコンボでワイズの体勢を崩していく。打撃の応酬。 そして彼女は見逃さなかった。ファイナルスマッシュが叩き込める、その一瞬の隙を――! 「おらぁっ!」 意志と膂力を爆発させ、圧倒的な一撃を食らわせる。ワイズは客席まで吹っ飛び、祥子を睨み付けた。 「許しませェんよ……!」 ワイズの上空に魔力によって作られた業火を帯びた矢が出現し、リベリスタたちをめがけて一気に落ちてきた。テントに火は移らなかったものの、激しい炎がリベリスタを苦しめる。 しかし。 その火から脱出し、攻撃を掛ける影が見えた――。 ● レイチェルと翔太だ。 彼女らが逆上したワイズに接近していくのが見えた。 「貴方の出番は……ここで終わりです!」 レイチェルはトラップネストを使いながら、ワイズが動ける範囲をどんどん狭くしていく。そのトラップネストが設置される位置は完全なる彼女の頭脳が導き出しているのだ。その彼女の計算からは逃れられるはずもない。 ワイズはなすすべもなく、レイチェルと翔太に接近を許したのだ。彼女はその時、ほんの少しだけ笑っていた。もうすぐ殺すことができる、と。 しかし、彼女のその予想は外れた。 「ほいっ!」 ワイズはジャンプし、空中ブランコを掴んだのだ。得意げになるワイズであったが―― 「逃がさねぇぜ」 翔太が瞬撃殺で一気に距離を詰めていた。彼はブロードソードを両手でしっかりと握って、ワイズに向かって斬りつける。その間、一秒未満。ワイズにとっては唖然としているうちに斬りつけられたような感覚だろう。 彼は生佐目が攻撃した箇所をもう一度斬りつけ、傷口を深めた。さらにもう一撃、足を浅く斬りつけた。 「ガァァァァァ! いったいなぁぁぁぁぁああああああ!」 「あー、ちくしょう。やっぱ疲れるなこれ……けどまあ、てめぇは絶対に仕留めるぜ」 「ぐっ……!」 ワイズは怒りの形相を浮かべながらスターライトキャノンを放った。先ほどのものとは比べ物にならないくらいの質量をもった光弾が翔太とレイチェルを襲う。光弾が地面に着弾すると同時に爆発音と砂埃が舞う。 ワイズは得意げな表情になる。 「ほっほっオオオオオオオオオ! まァあたしにかかりゃァこんなもんでしょウッ!」 「ったく、うるせぇ野郎だ」 和人はそう言いながら吸っていた煙草を放り投げ、銃を手に取った。 砂埃を払いながら、彼の1¢シュートがワイズの左胸めがけて発射された。しかし、ワイズはぎりぎりで反応し、ヒットする部分を強引に変え、腕を犠牲にした。1¢シュートを放った和人は外した、と心の中で毒づく。 「さて、行くか」 彼の手にしたラージシールドが鮮烈に輝いた。一気にワイズに接近し、得物でワイズを斬りつけようとする。ワイズはそれを避けようとせず、逆に素手で反撃してきた。和人はそのまま攻撃を続ける。 和人はワイズの拳を身体で受け止めきった。ワイズのほうも軽く盾でダメージを受けている。 彼は別の手段に出た。盾を持った反対の手で、改造銃を手に取り、至近距離でワイズへと放ったのだ。連続で撃った弾丸の一つがワイズの頬を掠める。 「ハァッ!」 ひるんだワイズの隙をついて、和人はそのままラージシールドでワイズの腕を切り裂こうとする。それに合わせて、ワイズも反撃をする。 二人の攻撃が交錯し、そして―― 「ぼごっ!?」 和人の腹にワイズの右腕がめり込み、客席に吹き飛ばされる。そして、和人のシールドは見事に左腕を切り裂いた。 「ふぐうッ……!」 「やってやったぜ……ははっ」 「和人くん、あんまりしゃべらないで……結構傷が深いから、治療するね」 ルシュディーがすかさず負傷した和人の治療に当たる。 「いったた……できれば、女の子に治してほしかった……」 「私は性転換ができる術は持っていないよ」 ルシュディーが呆れたように言った。 「ということデェ! 今日のショーはここまででェす! 皆さん、おつかれちゃああああああん!」 なくなった左腕を抑えながらワイズが言う。 「逃がすと思っているのか? ――来たれ、玄武。我が声を以って彼の地へ柱を落とせ!」 ユーヌがそう言いながら、符を取り出して、玄武招来で客席ごと水圧で押しつぶしていく。 「興ざめだな。ショーの最中のはずだ。もう少し滑稽な失敗を見せておくれよ。それと……貴様の不幸が何よりも足りない」 「しまっ……」 ユーヌは客席で何かが稼働する音を聞き逃さなかった。だから、彼女は客席を玄武招来で押しつぶしたのだ。 「貴様の悪運もここまでだ。――陰陽・星儀」 不吉な影がワイズを襲う。今度は完全にヒットした。 「さて覚悟してください。あなたの悪運もここまでです」 ワイズの後ろに立った生佐目が太刀に黒い呪いを帯びさせながら言う。その呪いは、此の世全ての呪い。深淵より出でた、闇の力。それは彼女の力の証明でもある。 刺突の構えをとりながら、彼女はワイズへと駆けていく。悪運の尽きたワイズはそれを避けることすらままならず、斬られた。そして、十重の苦しみがワイズを襲う。 「痛いですか? 苦しいですか? それが今まであなたが他人に与えてきた苦しみです。存分に味わうがいい」 「ぐわああああああ!」 ワイズの叫びがテント内に木霊した。 「逃がさねぇぜ。これ以上、被害が広まるのはごめんだ」 スターライトキャノンを避けきった翔太が瞬撃殺で接近し、俊足の一撃で、ワイズの残った右腕を切り落とした。ブロンドソードを横に振り、ワイズの血を飛ばす。 「こんな……バカなァ……」 よろけながらテントの出口へ向かうワイズの前に、レイチェルが立ちふさがった。 「……抵抗できない相手を一方的に嬲る。誰かさんがやっていたことと同じですよね? どうです? 嬉しさのあまり泣いちゃいそうですか?」 彼女はそう言いながら、魔性の一撃――ルーラータイムを放った。彼女のその一撃はワイズの顔面にめり込み、意識を絡めとり、ワイズの行動を支配した。 「どうしましょうか?」 レイチェルが他のリベリスタに尋ねた。 「あたしはどっちでもいいわ。みんなの好きにして」 「そうだなぁ。俺は、縛り上げてアーク本部に持ち帰ったほうがいいと思うんだ」 和人が新たに煙草に火をつけながら言う。 「そうだね。私はそれでいいと思うよ」 ルシュディーがそれに続いて言う。 「それではそう致しましょう。レイチェル様、お願いいたします」 「分かりました」 レイチェルはワイズの足を縛り上げて、祥子とともにワイズの身体を持ち上げてテントの外へと向かった。ワイズは捕獲した。これでもう、被害が広がることはなくなるだろう。 リベリスタたちは明るい太陽に照らされながら歩く。どこまでも、どこまでも。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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