●彼女の事情 ほのぼのとした空間だった。涼しくなってきた秋の頭。色つき始めた山を望む、小さな寺の一角である。 地面に敷かれた赤い風呂敷。地面に影を作るのは、紺色の大きな和傘である。 野立て、と呼ばれる行為である。日陰で、おっとりとした笑みを浮かべてお茶を点てるのは綺麗な着物を着た女性であった。歳の頃は20そこそこであろうか。 どこか超然とした空気を纏う彼女は、まるで絵本から抜け出して来た大昔の貴族のようでもある。 のんびりとお茶と、それから景色を楽しむその女性。 そんな彼女から、半径5メートル程離れた位置には異様な光景が広がっている。 見えない壁に阻まれ、それでも彼女に近づこうと暴れる小さな鬼の群である。 見えない壁は、彼女の作りだしたものだろうか。鬼を一瞥し、眉間に皺を寄せる。 鬼が幾ら暴れようと、彼女の元へは辿り着けない。 彼女を傷つけるものは、彼女より半径5メートル内に近づくことができないのだ。 音を立てずに茶を啜り、ほっと小さな息を吐く。 『騒がしい……。落ち着いて、お茶も景色も楽しめませんわ』 やれやれ、と首を振り。 彼女はそっと、目を伏せた。 ●姫君と餓鬼 「野立てを楽しんでいるEフォース(姫君)と、その姫君を狙うEフォース(餓鬼)が30体ほど。寺の境内に存在している」 モニターをみながらそう告げるのは『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)だった。 どうやら餓鬼どもは、姫君を狙っているらしい。しかし、姫君の張った結界に阻まれ、悪意や敵意、攻撃の意思を持ったものは彼女の傍には近づけない。 「姫君の能力は件の【拒絶結界】と、それから時間毎に拡大している【攻勢結界】の2つ。攻勢結界の拡大スペースは、毎分10~50メートル程。範囲内の生物にダメージを与える結界ね」 攻勢結界の拡大スピードは、姫君の気分次第で代わってくる。現在姫君は、苛々しているようだ。景観を損ねる餓鬼のせいだろう。 「姫君の機嫌をとる係と、餓鬼を殲滅する係に分かれると効率がいいかも。攻勢結界がこれ以上広がると、一般人も被害を受けかねない。なるべく、急いで」 そう言ってイヴは、モニターを切り替えた。 頭上から、寺の境内を映しだしたものだろう。姫君の周囲には半径5メートル程の空間が空いている。姫君の張った結界の大きさだ。その回りには、無数の餓鬼が群れていた。 だが、餓鬼が幾ら暴れても姫君にその手が届く事はない。 「悪意や敵意、攻撃の意思を持った者は姫君に近づけない。また、姫君は山に沈む夕暮れの景色が見たいようね」 夕陽を見れば、満足して消えてくれるだろうか。 しかし、夕陽が沈むまで、残り20分もないようだ。 「日暮れまでの間に、餓鬼を全て消し去って姫君の望みを叶えてあげて」 それが今回のミッションである。 制限時間は20分以内。 餓鬼の掃討が第一の任務。 第二の任務は、姫君の望みを叶えること。 攻勢結界を広げないためには、姫君の注意を餓鬼から逸らせばいい。 「敵が多いから、気をつけてね」 そういってイヴは、仲間達を送りだした。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:病み月 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月13日(日)23:18 |
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■メイン参加者 6人■ | |||||
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●夕暮れ時の姫君 鬱陶しそうに眉をしかめ、着物の裾で口元を覆う。そっと茶器に伸ばした手はそのままに、彼女はやれやれと溜め息を零す。 E・フォース(姫君)。風情と茶の湯を愛する存在。 そんな彼女の周囲には、見えない結界が展開されている。どんな害悪からも姫君を守り通す、絶対無敵の結界だ。 その結界に阻まれ、姫君に近寄れないでいる無数の子鬼。E・フォース(餓鬼)である。 姫君を襲おうと奮起し、しかし結界に弾かれる。 『鬱陶しい子鬼ども……。なにがしたいのかしら』 それを繰り返す餓鬼どものせいで、姫君は、夕暮れの景色を楽しめないでいるのであった。 ●姫のためなら 明らかに異質な光景である。夕陽に赤く染まる境内。その隅に設えられた野点一式。座して待つのは優雅な姫君。周囲を跳ねまわる、醜い餓鬼ども。 そして、そこへ歩いていく6人の男女も、異質と言えば、異質であろう。 「夕日を愛でるつもりの姫君の野点を邪魔するなんて風情を理解しない鬼達ですね。理解できないから餓鬼というんでしたか」 飛びかかってくる餓鬼を一刀のもとに斬り伏せ『History of a New HAREM』雪白 桐(BNE000185)は盛大に溜め息を零す。 「エリューションで平和的なお姫様って珍しいわ」 一言そう呟いて、桐の切り開いた道を『氷の仮面』青島 沙希(BNE004419)はしずしずと、姫の方へ向かって歩いていく。彼女の役割は、姫の相手だ。姫の機嫌に応じて、攻勢結界の範囲が広がる。 放っておけば、結界は再現なく拡大するだろう。そうなると、一般人に被害が出る可能性も出て来る。 それだけは、なんとしてでも防ぎたい所だ。 「武装を持たずにリベリスタとしての仕事に向うのははじめてですが」 沙希に続いて、蘭堂・かるた(BNE004419)も姫君の元へと歩いていく。武器など持っていない彼女を、狙い易し、と判断したのか、数体の餓鬼が飛び出した。 一閃、まんぼうに似た形状の刀が閃く。桐の斬撃が、餓鬼を牽制。道を切り開く。 桐だけではない。後衛からは、弓を構えた『アメジスト・ワーク』エフェメラ・ノイン(BNE004345)と、重火器を構えた『落ち零れ』赤禰・諭(BNE004571)が援護射撃。飛び上がった餓鬼を、矢と弾丸が撃ち落とす。 「面白いエリューションだねっ。ある意味エリューションらしいエリューション、なのかなっ。やっぱり、エリューションでも沈む夕日の美しさは格別なんだねっ♪ とにかく、鬼さんたちには絶対に邪魔はさせないよっ!」 「やれやれゴミ屑の一つや二つ程度、勝手に脳内から削除すればいいものを。気にくわないとは面倒ですね」 はしゃぐエフェメラと、悪態を零す諭。 それぞれスタンスこそ違えど、任務に忠実なのは間違いない。確実に、餓鬼の数を減らしていく。 だが、それがいけなかった。 警戒を解く前から、暴れ過ぎたのである。 『何奴じゃ?』 その一言と共に、姫君の展開する結界が拡大した。攻勢結界。範囲内の相手にダメージを与える結界だ。餓鬼諸共、リベリスタ達の身体に痛みが走る。 顔をしかめる一同。歩みが止まる。 「ミミミルノ、せいいっぱいがんばりますですっ」 拳を握りしめ『さぽーたーみならい』テテロ ミミミルノ(BNE004222)が叫ぶ。周囲に飛び散る淡い燐光。仲間達の受けたダメージを癒す。 美しい光だ。淡く、優しい。それを見て、姫君は「ほぅ」と声を漏らした。 学習能力くらいはあるようだ。 餓鬼がその口を、大きく開く。口の中には青白い炎。轟々と燃えさかるその青白い炎の弾丸を、餓鬼数体が一斉に吐き出した。まるで炎の海である。 面としての攻撃。回避するのは至難の業か。今だ姫君までは距離がある。一時撤退か、それとも強行か。迷っていたのは一瞬だった。 駆け出したのは沙希とかるただ。 まっすぐ、餓鬼の間を突っ切って、炎に向かって駆けていく。そんな2人を追いかける淡い光の粒子は、テテロの回復術だろう。 このまま、炎の海に飛び込むか、と思ったその時だ。 「鬼退治といきましょうか」 刀が旋回。巻き起こる強風が、青い海を切り開く。刀で炎を切り裂いて、その身を呈して炎を受けるのは桐である。桐の作った道を駆け抜ける仲間達を見送り、桐は「さぁ!」と餓鬼どもへ向き直る。 当たるが幸い、とばかりに振り回される桐の刀が、餓鬼をまとめて吹き飛ばす。 そんな桐へ殺到する餓鬼。足へ、腕へ、胴体へ、と喰らい付く。それでも桐はその場を引かない。刀を振るい、餓鬼を切り裂き仲間を先へと進ませる。 桐だけではない。次々と飛んでくる弾丸や矢は、後衛のエフェメラと諭のものだ。時折、どこかから増えているのか、餓鬼の数はなかなか減らない。 それならそれで、と的が増えるだけだ。多少雑な攻撃でも、この数ならば十分当たる。 「さてお掃除の時間です。綺麗さっぱり消えてください」 諭が頭上へ撃ち出した弾丸は、空中で魔方陣を展開。氷の雨を降らせるのだった。 氷の雨が餓鬼を貫く。断末魔の悲鳴を上げて、次の瞬間には餓鬼の身体は溶けて消えていく。 地面に突き刺さった氷の弾丸。キラキラと光りを反射し、幻想的な光景を演出する。 「よしっ! 一気にやっちゃおうっ! みんなまとめて吹っ飛べっ!」 矢を弓に番え、弦を引き絞る。殺到する餓鬼を視界に捉え、その中央へと狙いを付けた。指を離すだけ。それだけで、矢が射出される。空気を切り裂き、疾駆する矢。空中に魔方陣を展開。 直後、展開された魔方陣から無数の火炎弾が、地上目がけて降り注ぎ始めた。 右往左往する餓鬼ども。しかし間に合わない。火炎弾に撃ち抜かれ、餓鬼どもは次々と消えていく。 よしっ、と拳を握りしめ、エフェメラは次の矢を番えた。 蜘蛛の子を散らすよう、とはよく言ったものだ。境内に散らばって逃げまどう餓鬼どもの様子は、まさにそれである。大騒ぎという言葉がピッタリかもしれない。時折、炎の弾丸を撃ってくるものもいる。多方向から放たれるそれを受け、桐や諭、エフェメラは着実にダメージを加算させていく。 「そっちにはいかせないですっ!」 傷ついた仲間の回復を担当しているのはテテロだ。しかし、それだけでは手が足りない。魔弾を撃って、餓鬼どもの退路を断つなどサポートにも周る。 決して戦闘が得意、とは言い難いテテロである。襲いかかる餓鬼の相手に手間取ることもある。 しかし、それでいい。 「すぐにかいふくしますですっ!」 受けた傷は癒せばいい。餓鬼の大半は、仲間達が引き付けてくれるだろう。 沙希とかるたが、姫君の所に無事辿り着けば良いのである。 姫君の元へ近づくにつれ、見えない圧力が身体を押し返そうとするような奇妙な感覚に襲われる。 攻勢結界。時折、身体の中を衝撃が駆け抜け、ダメージを残していく。 苦痛に顔をしかめながら、それでも沙希とかるたの2人は、やっとのことで姫君の元へ到着した。 『あら? ここまで辿りつけたということは、敵意はないのね』 感心したように姫君は言う。それに対し、2人は深々と礼を返した。 「お姫様、無粋な餓鬼共は私の仲間が始末いたします故、あまりお手を煩わせませぬよう」 背後を一瞥。沙希は言う。このまま姫君の機嫌を損ね続ければ、攻勢結界の範囲がひたすらに拡大していくことになる。それは避けたい、とそう考えての発言だ。 「連れが周囲を片付けている間は少々騒がしくなりますので……。場が整うまでの、お話し相手等を務めさせていただきたいのですが」 継いで、かるたが前へ。 姫君の気を逸らすための提案である。餓鬼に苛立っているのであれば、まずはその餓鬼など気にならないようにしてしまえばいい。 『ふん……。まぁ、煩い鬼よりマシか。良し。そこに座って頂戴な。お茶を淹れて差し上げる』 なんて、一言。 姫君は小さく、微笑んだ。 会話は弾む。和やかな雰囲気に満ち溢れた、茶の湯の席。 客を持て成す姫君の気づかいと、かるたや沙希の丁寧な対応。周囲で暴れまわる餓鬼や、巻き起こる戦場の空気など、結界に阻まれどこか別の世界の話しのようである。 会話の内容など、なんでもいい。天気の話し、季節の話し、或いは、リベリスタ達の仕事の話しかもしれない。 『となると、そうか……。わたしは、つまり、生者ではないのか』 自身がEフォースと呼ばれる思念体であると知ってか、姫君は少々浮かない顔。 だが、それでも彼女の目的は変わらない。 風情を楽しみ、夕暮れを見ながら茶の湯を嗜む。 そう生まれたのだ。そうあるだけだ。 と、その時、結界の外で爆風が巻き起こる。轟音が地面を揺らし、茶道具が傾く。 苛々とした表情を浮かべた姫君。また一層、攻勢結界が拡大した。 「『秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる』と詠んだ詩人もおりました、じき戦いの喧噪も収まりましょう」 慌てたように沙希が姫君のフォローに回る。それを横目に見ながら、かるたはそっとAFを通じて、仲間達へ「もう少し静かに」と指示を送った。 「少々騒がしくなりますので……」 申しわけなさそうにそう言って、かるたはそっと茶碗を取った。 刻一刻と時間が進む。そもそも夕暮れまで制限時間はさほどなかったのだ。残すところ、あと数分。それまでに餓鬼を減らし、姫君が夕陽を見れるよう環境を整えねばならない。 そんな折に「もう少し静かに」という指示。攻勢結界によるダメージに加え、数の暴力とでも言うべき餓鬼の攻撃に苦戦していた仲間たちからしてみれば、まったくもってやりにくい話である。 「まぁ確かに、出来るだけ殺伐とした物は見せたくないですし……」 水平に構えた大剣を、気合い一閃、豪快に振り回す桐である。炎の弾丸を打ち消し、そのまま周囲に居た餓鬼も、数体纏めて弾き飛ばす。 全身に負った切傷や火傷もそのままに、桐は地面を蹴って、餓鬼の群の中へと飛び込んで行った。 「とにかく全部ふっ飛ばさなきゃねっ!」 餓鬼の群の間を縫って、空中を疾駆する1本の矢。見事的中した相手は、姫君の元へと向かおうとしていた1匹の餓鬼だった。 姫君の正面、夕陽の方向に集まる餓鬼を、エフェメラを集中して狙い撃っている。 彼女の弓の腕があれば、精密な援護射撃も可能となるのであった。 そんなエフェメラの背後で、諭は懐から数枚の式符を取り出し放る。 「我が儘なお姫様の気分を害してはたまらない。やれやれ、お淑やかにしてれば口説く気も起きるのですが」 ひらりはらりと式符は舞って、地に落ちる頃には影人へと姿を変えて立っていた。 諭の指示で影人が飛び出す。手近なところにいる餓鬼から順に、跳びかかり、押し倒し、押さえつける。数には数で対抗だ。 桐が、エフェメラが、諭が、それぞれの技を十全に発揮し餓鬼を相手に戦っている。しかしそれでも、撃ち漏らしは存在する。 夕陽が地平線へと沈んで行く頃、それに気付いたのはテテロであった。 赤く照らされた境内。昼間と夜の間。濃い影と、眩い光の隙間を縫って、3体の餓鬼が姫君の正面へと回り込もうと駆けていく。 姫君に夕陽を見せる事。それが今回の目的である。 「そっちはダメですっ。こうげきも、ばっちりサポートするですっ」 魔弾を展開する時間はない。矢のように飛び出すテテロは、そのまま3体の餓鬼へと飛び付いた。餓鬼の爪が、牙が、テテロの肩や首に突き刺さる。 血の滴を撒き散らしながら、無理矢理餓鬼を、姫君の視界から押し退けた。 ●綺麗な夕陽の沈むころ 夕陽が沈む。視界を横切った小さな影は、果たして人だったか、それとも獅子であったか。 否、そんな些細な疑問などどうでもよくなる。 茶の湯を一口啜って、姫君はほぅ、と大きな溜め息を零した。 視界一杯を、赤く染め上げる夕陽。沈んで行く、遠くの山から順に、夜が訪れる。昼間が闇に浸食されるその光景を、姫君はじっと見つめていた。 あぁ、これは。 この光景の素晴らしさを知る者は、果たして今、どれだけ居るだろう。 夕陽が沈むその瞬間など、見ようと思う者などいない。そんな時代。 「夕暮れを眺める事に関しての思い入れなどおありですか?」 そう問いかけるのはかるたであった。それに対し姫君は、暫しの沈黙の後、こう答える。 『綺麗でしょう? 秋の夕暮れなんて、特に。それで十分じゃなくて』 風情、とでもいおうか。綺麗な景色。その為だけに、Eフォース(姫君)は生まれた。 「暮れる日の 稲穂を染めし あかねいろ 夜を運ぶとて 誰がいひけつか」 そう呟いたのは沙希である。その唄は、姫君の耳にも届いただろう。姫君は、何も言わず、沈む夕日を見つめていた。 夕陽がすっかり山の向こうへ沈んでしまった。辺りはすっかり暗くなり、夜が訪れる。 さて、と呟き姫君はそっと立ち上がった。いつの間にか、野点道具一式が消えている。それだけではない。姫君の姿も、次第に薄くなっている。 満足したのか、姫君の存在が消え始めているのだ。 『わたしはもう、行くけど。貴女達は、あの餓鬼どもを倒すまで帰れないのでしょう? 先ほど、身を呈して夕陽を見せてくれた娘が居たわね』 姫君はぐるりと視線を巡らせる。視界に飛び込んできたのは、数体の餓鬼に追い回されるテテロの姿であった。 『あぁ、そこの娘。ありがとう』 ふっ、と姫君は笑う。花の咲くような笑みである。穏やかで、幸に満ちた笑顔。 姫君が消えた、その瞬間。 バチン、と激しい音が響く。見ると、テテロの周囲に結界が展開され餓鬼を弾き飛ばしていた。その結界はすぐに消える。術者が消えたのだ、当然の結果である。 姫君が消えた。彼女は最後に、テテロを守って、消えたのだった。 困惑の表情を浮かべるテテロ。 そんな彼女の周囲には、地面に転がる餓鬼が居た。結界に阻まれ、弾かれた餓鬼どもだ。空から降り注いだ氷の雨と、それから業火の弾が餓鬼どもを焼き払う。 諭とエフェメラ。姫君が消えて、遠慮する必要がなくなったのだ。 まさに、一掃と言うべきか。餓鬼のほとんどが、すでに討伐完了していた。 最後に1体、テテロに向かって飛び込む餓鬼も、横合いから駆けこんできた桐によって、一刀のもとに切り捨てられる。 姫君は消えた。餓鬼の討伐も完了した。 「ここからの夕陽は綺麗に見えますね」 「きれーなゆうぐれでしたっ…ミミミルノもこのけしき、わすれないですっ」 言葉を交わす桐とテテロ。 2人はずっと、夕陽の消えた西の空を眺めていた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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