● 彼は、いつも無力だった。 隅っこで膝を抱えて、一人でなんでもやっていた。当然のことながら、そんなことをやっている子供はいじめられる。殴られて、机といすを外に投げられて、いろんなものを奪われた。 そう。彼は奪われ続けてきた。虐げられ続けてきた。 彼は弱者なのだ。 しかし、彼は、ある日見た。自分を救ってくれる光を。だから彼はその光に身をゆだねた。 すると、彼は生まれ変わることができた。自分という意識を残しながら、彼は生まれ変わることができたのだ。そして、彼は思う。 (僕をいじめていたやつらは、今やもう僕には逆らえないんだ……!) ここでは彼が絶対だった。 「あはははは……」 「や、やめろおおおおお! 近づくなあああああ!」 「僕にあんなことするから……」 彼はクラスメイトだった男の子に近づいて、その子を捕まえる。楽には殺さないと思った。彼はじっくり、じっくりと痛めつけてから殺すつもりでいた。 「あはははは……」 「やめろぉ……うわあああああああああああああああああ!」 彼は叫び声を聞きながら、ゆっくりとそのクラスメイトの子を殺した。 ● 「依頼です。ブリーフィングを行うので、各自しっかり聞いておくようにしてください」 『運命オペレーター』天原 和泉(nBNE000024)が静かに言う。 「今回の標的はノーフェイスとなります。フェーズは2。ノーフェイス自体は一人です。しかし、形態は子供です。さらに、厄介なことですが、目標を一般人が下手に刺激した場合、高確率で殺害されてしまいます」 そう言いながら彼女はリベリスタたちに資料を渡した。 「その資料はノーフェイスが起こした殺人事件の資料となります。データとして持って行く分には問題ないと思われます」 和泉が資料を持って、 「ノーフェイスの殺人衝動は過去のいじめられた経験から来ているものと考えるのが妥当と思われます」 資料によれば、ここ二週間で五人が殺されている。どれも普通の何の罪もない一般人だ。その中には子供も含まれていた。 それにしても、死に方がどれも凄惨極まりない。上半身と下半身が引き裂かれたもの、全身の皮が剥ぎ取られている者……どれも想像しただけで嫌な気分になる……とリベリスタたちは思った。 「エリアの近くを偶然通りかかった時にノーフェイスの機嫌が悪かった、という簡単な理由で殺害されている者もいます……」 和泉は、ほんの少しだけ悲しそうに言った。 資料をさらに読み進めると、ノーフェイスが人を殺す場所は決まって支配エリアのすぐ傍なのだということが分かった。逆に一カ所でしか犯行を行わないのはリベリスタたちにとってはありがたい。事前の場所に関する調査がいらないのだ。 「これ以上死人を出さないよう、迅速な処置を心がけて下さい。事態は一刻を争っています」 彼女は一呼吸置いて、 「今回のノーフェイスのコードネームは『キリングボーイ』です」 リベリスタたちは全員頷き返す。 「最終確認です。今回の作戦目標はノーフェイス、フェーズ2、『キリングボーイ』の撃破。幸運を祈ります」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:河道 秒 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年10月09日(水)22:45 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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● リベリスタたちは町の近くに来ていた。そして、『覇界闘士<アンブレイカブル>』御厨・夏栖斗(BNE000004)が最初に口を開いた。 「マップは手に入れた。あとはここから広い場所を探すだけだな」 「そうだな。ついでにそろそろ強結界を張っておくぜ」 『友の血に濡れて』霧島 俊介(BNE000082)が言い、周囲に結界が張られた。これでもう一般人が近づくことはない。 「ああ、あったよ。町の中心部に大きな公園が……そこなら最適な場所だと、私は思うね」 『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)がマップを指しながら言った。 「じゃあ、ボクたちはそこの周辺で待機だね。そこまでの囮役は夏栖斗さんに任せるよ」 『黒刃』中山 真咲(BNE004687)が言った。 「じゃあ、とりあえずやるぜ。涼子、千里眼頼むよ」 「了解した」 『ならず』曳馬野・涼子(BNE003471)はそう言うと、千里眼で『キリングボーイ』の現在位置を確かめ始めた。彼女は集中して町のほぼすべてを透視している。ほどなくして、 「いた。町の住宅辺りをうろついてる。マップで言うとここ」 涼子はマップを指さして、夏栖斗に言った。 「わかったぜ。それじゃあ、行ってくる。みんなは公園に待機だ」 「頼みました。連絡はAFで取り合いましょう」 『痛みを分かち合う者』町多米 生佐目(BNE004013)が言うと、 「君に期待しているよ。早く『キリングボーイ』の頭をかち割ってやりたいものだよ」 紅・柘榴(BNE004710)が同じように夏栖斗に声を掛ける。 「今のうちに、暗視を有効にしておきましょう」 蔵守 さざみが言うと、暗視スキルを持っているリベリスタは全員それを有効にした。 「それじゃ、作戦開始だ」 夏栖斗は走り去った。『キリングボーイ』を止めに行くために。 ● 暗い路地の中。 一人の人間であったものが歩いていた。何かをぶつぶつを呟きながら、暗い路地を目的もなく歩いている。そして、そのノーフェイスが歩いている道の途中に夏栖斗が堂々と立っていた。 「君が今回の目標か」 夏栖斗が言う。 「君はさ、やりすぎたんだ。人という範疇を越えてしまった……同情しないとは言わない。でも分水嶺を超えてしまったんだよ」 「ガァァアアアアアアアアアア!」 夏栖斗のその声に反応するかのように、『キリングボーイ』は声ならぬ声を発する。 そして、次の瞬間、『キリングボーイ』は一気に距離を詰めて、タックルを繰り出す。普通ならば反応できないような速さだ。しかし―― 「ふっ……!」 夏栖斗は余裕をもってその攻撃に反応した。格闘戦を熟知している彼だからこそができる芸当だ。いったん夏栖斗は後ろに下がり、敵との距離をとる。 「そんなことだから、君はいつまでたっても弱いんだ。どんなに力を手に入れたって弱い」 「グルガァアアアアアアアアアアア!?」 その夏栖斗の的確な言葉に『キリングボーイ』は露骨に激怒した。先ほどより目の色が赤くなり、彼のことを睨みつけている。 「よし成功だ……ほら、こっちだ!」 夏栖斗が走り出すと、『キリングボーイ』も地面を抉りながら走り出した。ここからは夏栖斗と『キリングボーイ』の競争だ。夏栖斗は町の中央にある公園を目指す。そして、『キリングボーイ』は走りながらも、夏栖斗を掴もうとするが、すべての攻撃を避けられる。 走りながらでも夏栖斗は余裕の表情で敵の攻撃を回避している。 そして、そこで彼はほんの一瞬だけ油断をした。『キリングボーイ』に服を掴まれ思いっきり投げられたのだ。二回ほど地面を跳ねてから、体勢を立て直した。 「いってぇ……」 とはいっても、傷一つ見当たらないのが彼のタフさだ。 体勢を立て直した夏栖斗はそのまま、走り続け、そして――。 ● 「グルガガガガガ……」 『キリングボーイ』は辺りを見回して夏栖斗を探すが、視界内にはいない。その苛立ちからか、周囲の木を薙ぎ倒しはじめた――その時。 「くたばれ、糞野郎」 その木の間から涼子が出てきた。直線的な動きで一気に息がかかる距離まで接近し、蒼穹の拳を繰り出した。鳩尾にしっかりと入ったことを実感する涼子。 「グルアアアアアア……!」 「これで終わりじゃない」 顔面、脇腹、両腕……次々と『キリングボーイ』の身体に対して拳を放つ涼子。彼女の攻撃は一撃一撃が非常に重い。その細身の身体からは考えられないほどの威力を内包した拳が『キリングボーイ』を襲い続ける。 「ガルアアアア!」 それに負けじと『キリングボーイ』も涼子に攻撃を放つ。 しかし。 涼子はあえて避けようとしなかった。 「少しは気晴らしになった……?」 彼女は身体に走る痛みをこらえながらそう言った。 「でも、わたしが殺されるわけにはいかない」 彼女は大きく目を開き、気合を入れるように足を地面にめり込ませた。 涼子は、ふぅ、と大きく息を吐き、体重を乗せた蒼穹の拳を『キリングボーイ』に放った。『キリングボーイ』が痛みのあまり、腹をかかえながら、一歩後ずさる。 「捕まえた……!」 そして、タイミングよく生佐目が出てきて、スケフィントンの娘で敵を漆黒の霧で巻き、黒い箱に閉じ込めてダメージを与える。 しかし、敵が止まったのもたった一瞬。 『キリングボーイ』は近くにあった花壇を思いっきり生佐目に向かって蹴った。 「がっ……!」 花壇の残骸によるダメージは、最小限に抑えたものの、生佐目の身体に鈍い痛みが走った。 「シャァッ!」 二発目も同じく花壇を蹴ってきた。その速度はまるで銃弾だ。しかし、その生佐目は素早く反応し、身体を横にすることによってその攻撃を回避した。 「まだ……まだッ……!」 生佐目は『キリングボーイ』に向かって大きく踏み込み、抜刀した。抜刀した太刀には禍々しい黒い光が帯びている。そのまま、彼女は体重を乗せた重い一撃で敵の足を斬った。 「決まったか……」 「グルァ!」 しかし。それでも『キリングボーイ』は止まらない。己の黒い衝動に任せて、目の前にいる生佐目を襲う。 彼女の得物が太刀であったのが裏目に出た。『キリングボーイ』は一瞬で距離を詰め、彼女の両手をがっちりとつかみ、引き裂こうとする。 「しまった!」 「グルオオオオオオオオオオオオ!」 『キリングボーイ』が咆哮し、生佐目の手が引き裂かれようとしたとき――。 『少しでも動いたら当たるわよ』 AF回線からの声。そして、その声がしてから一瞬。『キリングボーイ』の身体に立て続けに四色の魔光が激突した。それのおかげで『キリングボーイ』の力が緩み、生佐目は脱出することができた。 「さざみさんですか!? ありがとうございます!」 『礼を言う必要はないわ。魔陣展開のおかげで四重奏の威力が上がっていたから……でもおかげで魔陣が切れちゃったのよね。だから……』 と、さざみが言うと、AF回線が切れる。 そして、物陰からさざみが素早く躍り出て、 「こうやって距離を詰めるのよ!」 さざみは残像すら残る移動スピードで一気に距離を詰める。そして、高速で移動しつつ、彼女は自らの頭上に黒い魔力の大鎌を呼び出し、それを手に取った。 彼女の移動速度についていけていない『キリングボーイ』はさざみの残像を目で追いかけている。だから、彼女の攻撃には反応できない――! 「シッ!」 敵を引き裂くように鎌を振るう。二度三度、斬りつけたあと、大鎌を投げ捨て、自らの拳で『キリングボーイ』に攻撃を加える。 「ほら、まるでいじめでしょう? 昔と同じ……こんなことが嫌だったから、今のようなものになってしまったんでしょう? さぁ、今のあなたのやりたいようにしてごらんなさい?」 さざみが『キリングボーイ』の気を言葉でひきつける。彼女は『キリングボーイ』の腹を思いっきり殴る。そして、『キリングボーイ』がよろけたところをすかさず涼子が追撃する。 殴りながら涼子が言う。 「憎いんでしょう……? わかるとは言わないけど……でも、私たちはアンタを殺さなきゃいけない」 さざみがそれに続いて言う。 「貴方はやりすぎた。だからもう貴方は被害者ではなくて、加害者なのよ。被害者のままなら、同情をしてくれる人がいたかもしれないのに……」 二人はほんの少しだけ寂しそうな表情を浮かべた。 タコ殴り。 今の『キリングボーイ』が置かれている状況を説明するならば、それが一番適切だといえるだろう。 「ガぁアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」 町全体を震わせるような叫び声。『キリングボーイ』はその声とともに、涼子とさざみを片手で掴み、公園の壁に向かって投げた。彼女たちはノークッションで壁にたたきつけられた。 「ガルァァァアッァァアアアアッ!」 『キリングボーイ』の身体からは血が蛇口の開いた水のように流れている。弱まるどころか、より一層目を鋭くさせている。 『キリングボーイ』はこの公園にいるのはまずいと考え、脱出しようとした――その刹那。 「トラップネスト。脱出なんてさせませんよ」 ● あばたが物陰からゆっくりと姿を現した。 「二人とも申し訳ありません……確実にこの技でとらえるために、『キリングボーイ』が完全に油断したところを捕える必要があったんです……」 そう言いながら彼女は自らの得物――シュレーディンガーとマクスウェルを構える。 「今やこうして人外になってしまったから、どうやっても手遅れですが……君のようにダメな奴には救いがあってほしいとも思っていますよ」 そして、あばたはマクスウェルのトリガーを引く。一発目の1¢シュート。 「こうして銃を向けているわたしには何も言う権利はありませんけど」 次はシュレーディンガーのトリガーを引いた。二発目の1¢シュート。二発の銃弾はそれぞれ『キリングボーイ』の右肩と左肩を撃ちぬいた。そして、再び容赦なく二丁の拳銃で『キリングボーイ』の身体を撃ちぬいていく。 精密に、狙ったところだけを撃ちぬく。 「そろそろとどめといきましょうか」 彼女がマクスウェルのトリガーに指を掛けた時、一つの異変があった。 『キリングボーイ』はトラップネストの糸を千切って捕獲から脱出しようとしたのだ。よく見れば、糸のほうもそろそろ限界が近い。あばたが本能的に後ろに下がる。 「まずいっ……」 「やらせないよ。君、下がるんだ」 柘榴があばたと『キリングボーイ』の間に割って入った。オフェンサードクトリンで仲間の攻撃力を強化し、同時にディフェンサードクトリンで防御力も高めた。 「他の連中もすでに包囲は完了しているみたいだね。それじゃあ――思う存分、頭をカチ割らせてもらおうか」 集中して、しっかりと相手の頭を狙い、血の付いたバールのようなものを思いっきり振りかざした。さすがの『キリングボーイ』も頭に直接衝撃を与えれば、ほんの少しでも動きが止まると思ったが――やはり敵の動きは止まらない。 柘榴はもう一度、ボールドコンバットで敵の頭を狙う。 「ああ。君は間違っていないと思うよ。いじめられたら、どこかに捌け口を求めるのは当然のことだからね。でも、この世界でそれをやるには力が必要なんだ」 ボールドコンバットで殴りながら彼は続ける。 「力があれば好きにやれる……でも、それだけの力がなければ、私が君の頭をカチ割るだけだよ」 そう言った瞬間、『キリングボーイ』の動きを制限していたトラップネストの糸が切れた。柘榴はそれにほんの少しだけ危機感を覚え、口にくわえたチュッパチャップスを咥えなおした。 自由な動きをできるようになったとは言えど『キリングボーイ』は今までのダメージが効いてきたからか、最初より動きが緩慢になっている。しかし、それでも打撃は強力だ。 ディフェンサードクトリンのおかげで多少の攻撃は大丈夫になったものの、柘榴は攻撃を避けることに精いっぱいになっていた。『キリングボーイ』の打撃は速く、重い一撃だ。 そして、ついに柘榴の鳩尾に『キリングボーイ』の打撃がめり込んだ。 「がはっ!」 柘榴の灰の中の空気がすべて吐き出される。一瞬の無防備を見逃すはずもなく、『キリングボーイ』は柘榴を掴んで、地面に思いきり叩き付けた。『キリングボーイ』はもう一度掴んで追撃しようと思ったが、それは叶わなかった。 なぜならば。 「それっ!」 トップスピードで加速した真咲の大戦斧の一撃により、『キリングボーイ』が吹き飛んだからだ。 有無を言わさずに彼女はソードエアリアルで追撃を掛ける。一回目の攻撃は『キリングボーイ』が反応して回避された。『キリングボーイ』はそのまま、公園の茂みの中の木を折ってそれを高速で駆けている真咲に向かって投げた。 それは本来、真咲に当たるはずだった――のだが。 遠方からあばたが1¢シュートでその木の軌道を逸らしたのだ。 「いくよ……!」 今度のソードエアリアルは当たった。斬撃が『キリングボーイ』の脇腹を抉った。美咲はそのまま離脱せずに踏みとどまり、連撃を掛ける。ソニックエッジだ。華麗なまでの連続攻撃が『キリングボーイ』の身体を次々と抉った。 「ガルァ!」 打撃による『キリングボーイ』の反撃も、真咲の斧によって止められる。 「こうなってしまったキミの居場所はこの世界にはもうどこにもないんだ……これ以上そんな状態でいたってつらいだけだ。だから……ボクが殺してあげる。それがボクにできる最大限」 真咲は連撃の最後に敵の腹に蹴りを一発入れて、吹き飛ばした。 「グルァ……」 「まだ、立つんだね……」 真咲が驚きながら言う。 「なら俺がやってみよう」 俊介が神秘道具――花染を手にしながら言った。 彼はエナジースティールで『キリングボーイ』の精神力を奪いながら、 「まだほんの少しでも自我が残っているなら質問タイムだ、ノーフェイス」 「霧島様、トラップネストで動きを止めます」 「ああ。ありがとな……俺の質問には答えてくれたら嬉しいんだぜ。答えられるかどうかはさておき、な。お前は、友達の皮をはいで楽しかったか? 真っ二つにして精々したか?」 彼は『キリングボーイ』に語りかけつつも、マナコントロールで周囲から魔的な力を取り込み、自らの力を高める。そして再びエナジースティールで精神力を奪う。 そうやってできるだけ殺さないようにするのは、俊介の信条ゆえか。 「弱い者いじめは、楽しかったか。自分をいじめたやつに復讐して、楽しかったか……? お前は……きっと虚しいはずなんだ。いじめっ子を嬲っているとき、そいつは助けを求めたはずだ。お前も、心の中では助けてほしかったんだろう……? でもお前は絶望してしまったんだ」 ぽつり、ぽつり、と彼の口から言葉が出てくる。彼の言葉は『キリングボーイ』に対する同情を孕んでいた。 周りのリベリスタは、いったん攻撃をやめていた。彼と『キリングボーイ』のために。 「グガ……」 彼の言葉に『キリングボーイ』が反応らしきものを見せた。 「だからさ……もう終わりにしようぜ? せめて、お前がお前でいられるうちに殺してやる。まだお前の心はほんの少しだけ生きているみたいだからな……心まで化け物になるのは嫌だろう」 そう言って、彼は背中を向けた。 「それじゃあ、やってくれ」 「……わかったよ」 俊介の横にいた真咲がうなずく。彼女は動けなくなった『キリングボーイ』の頭に向かって思いっきり斧を振りかざした。頭がつぶれ、ついに『キリングボーイ』が地面に倒れた。 「……ごちそうさま」 つぶれた彼の姿を見ながら、彼女が呟いた。 「私が頭をカチ割りたかったんだよ……まあ、今回はいいか」 柘榴が残念そうに言う。そして、リベリスタたちは『キリングボーイ』を背に、撤退を開始した。その時、俊介が一度振り返って、呟いた。 「今回の事件の最期の被害者はお前だな……」 ――町の夜が明ける。 リベリスタたちはそれを感じ、朝日に向かって手を伸ばした。明日への希望を掴むように。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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