下記よりログインしてください。
ログインID(メールアドレス)

パスワード
















リンクについて
二次創作/画像・文章の
二次使用について
BNE利用規約
課金利用規約
お問い合わせ

ツイッターでも情報公開中です。
follow Chocolop_PBW at http://twitter.com






騎士道同好会 ~白熱、異種決闘戦!~

●剣道? 柔道? 道といえば騎士道だろうが!
 某高武道場の奥には、『騎士道』という達筆な掛け軸が下がっている。
 このことからおわかりの通り、武道場は今剣道部でも柔道部でもなく騎士道部のものとなっていた。
「むろん、非道なマネをして手に入れたものではない。我ら騎士たるもの常に清く誠実でいなければならぬ」
 畳の最奥で金髪の男がそのようなことを言った。
 よく磨かれた、しかし標準的な鎧に身を包む、眼鏡をかけたハンサムな男である。
 彼の倍はあろうかという色黒の巨漢が身を乗り出す。
「ならばどうして?」
「決まっている。決闘を申し込み、正式に譲り受けたまでのこと。全国レベルの柔道家や剣道家たちは本当に手強かった。だが最後には同じ武道に身を捧げる者、つまり同志として友情を交わし、最終的には理事長に決闘を挑むことで第二第三武道場の建設を約束させるに至った。何事も、誠実に事をなせばそれなりの結果が帰ってくるというものなのだ」
「なるほど……その決闘に俺が呼ばれなかったのは?」
「なぜ分からない。お前は『勝つ決闘』に向いていないのだ。相変わらずその頭はカブトを置くための台のようだな」
 横に座っていたウェーブヘアの女性が巨漢を見やる。
 彼女は心臓を通る最低限のラインだけを防御するライトアーマーを身につけており、腰には両刃式のレイピアが差してあった。
 対して巨漢の方は、全身を黒い甲冑で覆っており、かろうじて顔の部分だけが開閉式ヘルムによって露出している。横にはこれまた巨大なハルバートが置かれていた。
「なるほど。クラッシュもルミストも頭がいいんだな。俺に分からないことを沢山知っている」
 顎に手を当て、うんうんと頷く巨漢。
 そしてふと思いついたように顔を上げた。
「では……俺たち騎士道部が三人しかいないのは?」
 クラッシュとルミストは、額を押さえてうずくまった。

●困ったときのアーク(神)だのみ
「というわけで紹介しよう、騎士道同好会・クラッシュ会長だ」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)がンなこと言いながらアーク・リベリスタたちの前に三人の男女を並べて見せた。
 若干置いていかれた感じがしてぽかーんとなるリベリスタ一同。
「安心してくれ、彼らはリベリスタで、アークにも好意的だ。そうだな?」
「いかにも。直接的にではないが、アークの勇者たちによって救われた者は星の数にも及ぶと聞く。我らはその一部だと思って欲しい。では、改めて紹介をしておこう」
 金髪のハンサム眼鏡ことクラッシュさんはコホンと咳払いすると、左右の巨漢と美女をそれぞれ示した。
「この女性はルミスト。高速機動からの高速連突を売りにしているライトアーマーだ。ソードミラージュとも言うのだったな。プライドは高いが誠実な女性だ、たまにトゲのある言葉をいうが、気にしないでやってくれ」
「よろしく」
「次にこっちの巨漢がバルクホルン。固さと重さに定評があるが、いかんせん頭が弱く動きも遅い。一度に二つのことを考えられないやつだが、どうか優しく接してやって欲しい」
「よろしく頼む」
「それで……だ」
 クラッシュは懐から蝋で閉じた封筒を出し、リベリスタたちへと差し出した。
「我々と、公開決闘式を行なって欲しいのだ」

 説明しよう!
 公開決闘式とは、騎士道部に大体受け継がれるアピールイベントのひとつである!
 約10人のメンバーが1対1の大戦カードで5戦を行なうというシステムで決闘を行なうというものなのだ!
 ただし騎士たるもの常に命を賭けるべきであるという趣旨により『フェイトがつきさえしなければ一回死ぬまでやる』というルールが存在しており、別にリベリスタでもない一般部員やあんまりフェイトの無い部員たちが悲鳴を上げて辞めていったという経緯があったのだった。
「どう考えてもこれが同好会落ちの原因だ。それは分かっているが……校内でも最も人気のあるイベントだからやめるにやめられなくて……」
 既に憔悴した顔でうつむくルミスト。
「そこで考えたのが『死んでも死なない』でおなじみのアークに助っ人を求めることだったのだ。実践的な経験や報酬は約束するつもりだ。どうか力を貸して欲しい」
 こうして、クラッシュは深く頭を下げたのだった。
 かくしてリベリスタたちは……。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年09月18日(水)22:23
 八重紅友禅でございます
 ガチ実戦のわりに勝ち負けに後腐れがない決闘シナリオでございます。

●成功条件
 「騎士道部たちと五回の試合をする」が最低成功条件です。
 もう一ランク上になると「決闘式を盛り上げる」となり、
 更に上のランクは「騎士道部の未来がどうにかなるくらいに盛り上げる」となります。
 これら全て、『いい試合をする』のが近道です。
 試合以外のことを頑張ってもいいっちゃいいですが、プレイングの文字数が圧迫して本番でスベる危険があるので気をつけましょう。

●試合(対戦カード)の組み方
 アークリベリスタ8名と騎士道部3名のうちから10人選んで対戦カードを組みます。
 イベント内容としては興業プロレスに近いものなので、誰が勝つかとかより戦い自体が盛り上がるかが大事なポイントになります。
 よりワクワクするカード。よりハラハラする試合。よりドキドキする勝利です。
 もちろん事前に試合の流れを決めておいて構いません。そういうもんです。

 メンバーの人数を見てお気づきかと思いますが、余った一人は司会役に回ります。対戦以外のことをやるメンバーです。今のところ部長のクラッシュさんが勤めることになっているようです。いいから私にやらせておけぃという人がいたら快く譲るつもりだとおもいます。

●騎士道部の戦力
・ルミスト
 中級ちょい上のソードミラージュ。
 レイピアによる高速連突が売り。
 ただ速力ばっかり上げているので回避防御が障子紙クラス。

・バルクホルン
 中級まんなかくらいのクロスイージス。
 とにかく硬い上に絶対者持ち。回復性能も高いので下手するとかすり傷すら残せない。
 しかし回避や命中が馬鹿みたいに下手なのでさりげにバランスがとられている。

・クラッシュ
 上級ダークナイト。誠実さと裏腹な闇系能力というジレンマがあるため必要以上に性格が堅い。
 実力は部内トップクラスでアークにもひけをとらないが、戦い方がえげつないのであまりイベントで戦いたがらない。

●プレイングの楽なかけかた
 プレイング冒頭に【第一試合】といったように書き込めば自動でカードを組みます。余計なプレイングの削減です。
 試合時間も限られており(あくまで目安ですが)1試合1000文字程度を目安にするとうまくはまると思います。つまり試合中に三つも四つもアクションを起こすと時間切れになって残りのプレイングが空振るリスクがあるということです。

 以上です。よろしくお願いします。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ソードミラージュ
須賀 義衛郎(BNE000465)
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
ソードミラージュ
天音・ルナ・クォーツ(BNE002212)
スターサジタリー
ユウ・バスタード(BNE003137)
クロスイージス
白崎・晃(BNE003937)
ナイトクリーク
アーサー・レオンハート(BNE004077)
デュランダル
篠塚 華乃(BNE004643)
デュランダル
瀬尾 ユキナ(BNE004673)

●異種決闘戦アーク交流エキシビションマッチ
 晴天。某高校の校庭をまるまる貸し切って行なわれたこのイベントには、多種多様な革醒者や神秘関係者が集まりちょっとしたお祭り状態になっていた。
 然様な中、視界席と書かれた長机を蹴倒す勢いでマイクを握った女が一人。
 そう、我らが――!
「革醒者のアイドル、明奈ちゃんだよー! よっろしくぅー!」
 高いところに登ってウィンクをかますギャラクティックオーバーロードアイドル白石☆明奈様である。っていうか『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)である。
「ほう、アイドルとな」
「解体不可避ですわ」
「おい誰だワタシをハズレアイドルと一緒にしてる奴は! 旬のネタだからって許されないからな! ありがとう砲食らわすぞ!」
「ノリノリじゃねえか」
「ええい黙れぃ! 今日の司会はワタシ! それじゃあ早速第一試合から紹介しちゃおっかな!」
 明奈がパチンと指を鳴らすと、ステージ上に二人の男女が入っていった。
「第一試合――
 『ファントムアップリカート』須賀 義衛郎(BNE000465)
 VS
 『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)
 速度と命中、凄腕美人スナイパーとイケメンヴァンプの対決だぁ! まずはアークリベリスタの実力を見て貰おう!」
 地面からせり上がった金網により特殊なステージへと変形。周囲は一転して異様なムードに包まれた。
 改造小銃を肩から肩から提げるユウ。
「今回のお相手は義衛郎さんでしたか」
 刀を抜いてみせる義衛郎。
「ええ。ではひとつ、よろしくどうぞ」
 ハンマーを振り上げる明奈。
 そして、開幕のゴングが鳴り響く。

●第一試合
 あえて、観客席からの視点から述べよう。
 シンバル式のゴングが鳴ったのと、義衛郎が床を蹴ったのと、ユウがバースト射撃を放ったのは全く同時だった。
 類い希なる動体視力を持っていたならばその内訳を見抜くことができただろう。
 音よりも早く飛んだ三発の弾丸。その先頭を紙一重で回避して突き進む義衛郎。しかし横薙ぐように放たれた三発の弾は義衛郎を壁端へと器用に誘導していく。義衛郎の眼球二十センチ先で回転する弾丸はしかし、彼の刀によって遮られた。回転を強制停止。真っ二つに割れ、右半分が頬をかすめて通り過ぎる。左半分は三発目の弾とぶつかって明後日の方向へ屈折。そこで義衛郎は一気に加速した。
 音より早く踏み込み光より早く五方向へ分裂。それらが金網と床にそれぞれ刀を這わせると膨大な水蒸気を生み出しつつユウの左右を通過。
 一般の兵ならばここで錯乱して辺り構わず乱射するところだが、ここは歴戦の勇士ユウである。冷静にモードチェンジ。親指でレバーを押すと体勢を低くし天に向けて連射を開始。無駄打ち? ではない。放たれた弾は炎の矢へと変化。まるで絨毯爆撃のごとく降り注いだ。
 だがそれも義衛郎のスピードをとらえるには至らない。水蒸気こそかき消されたが、その時には既にユウの真後ろに義衛郎が収束。刀を一閃していた。
「捕まえた」
「――と思いましたよ!」
 振り向きざまに銃底を叩き付けるユウ。ぶつかり合った銃から順に氷結。更に左右と頭上へと分裂した義衛郎がユウの足、脇、肩をそれぞれ切りつけて回転。今度はユウの正面へ収束。高速の連打を繰り出した。ユウは小銃での連射で対抗。
 大量の空薬莢が舞い散り大量の弾頭が二人の間で火花を散らしながら散乱。そう、刀で弾を打ち続けているのだ。だが全てとはいかない。義衛郎の身体に着々とねじ込まれていく弾丸。
 が、それもココまでだ。
 義衛郎は音よりも早く突撃。次の瞬間にはユウの背後へ移動し、一瞬遅れてユウの首から血が吹き上がった。
 うつ伏せに倒れそうになる彼女をそっと抱き留め、義衛郎は刀を納めた。
 そしてゴングが鳴り響く。

 第一試合終了!
 ×ユウ - ○義衛郎

●第二試合
「オーケーギャラリー、暖まってきた! スピードプレイでワクワクしたら今度はパワープレイがこわいってなもんだ! みんなもそうだろ? そこで第二試合のコイツらだ!
 『立ち塞がる学徒』白崎・晃(BNE003937)
 VS
 瀬尾 ユキナ(BNE004673)
 最強の剣バーサス無敵の盾、矛盾とはこのことだ。論より証拠、百聞は一戦にしかずだ、サァ――!」
 特設ステージに立ち、向かい合う晃とユキナ。
 まるで耐爆シャッターのごとく無骨な大鉄扇を開いた晃に対し、ユキナは驚くほど極太の突撃槍を突きだして見せた。左腕には最低限のバックラー。馬上にて敵歩兵を薙ぎ払い、道を切り開くための装備である。
 観客席で腕組みして唸る全身鎧の男たち。
「彼女の装備は突撃専門。対してあいては防御と受け流しに特化している。これは分が悪い勝負だな。武者篠、お前はどう思う」
「ふむ、リベリスタとしての練度も明らかに鉄扇の男が上。志騎殿の言うとおり分の悪い戦いでござる。しかしあのOL風の女には底知れぬ意地のようなものを感じる。それがどう働くか……」
 そんな彼らの視線を受けつつ、ユキナはじっと地面を踏んだ。
 くいくいと手招きする晃。
「正々堂々、全力で……行きます!」
「どうぞ」
 試合開始のゴングと共に突撃。晃はまっすぐ突っ込んできた槍を大鉄扇ですくい上げるようにかわして防御。
「守り転じて攻めとなる。これぞ白崎晃の冴えたやり方、ってな!」
 そのまま身を転じ、ユキナの背中にもう一本の大鉄扇を叩き付けた。一本にまとめ棍棒のようになった大鉄扇は、彼女の背中に酷い腫れをつくるに余りある。背骨をへし折らなかっただけまだマシといった具合だ。
 ユキナはめげずに金網スレスレの所を無理矢理カーブして再突撃。
 しかし今度は晃の大鉄扇の打ち下ろしにあい、槍はなんと地面に突き刺さってしまったのだった。
「貰った!」
 晃は彼女の槍に足を乗せ、畳んだ大鉄扇を翼の如く広げ、同時にユキナへと叩き付ける。
 X字を描いて繰り出された彼の打撃は盾ごしとはいえユキナの意識を一瞬にして空の彼方に飛ばしてしまっ――たが、しかし!
「この――」
 ユキナの目に光が戻る。
「隙を――!」
 ありえない力で地面ごと持ち上がる槍。
「待っていました!」
 晃を宙へ放ると、まっすぐ構えた槍にオーラを集中。垂直発射ミサイルの如く飛び立つと、晃の腹めがけて槍を思い切り叩き付けた。めまぐるしい勢いで連続するオーラのスパーク。
 かくしてユキナが着地した時には、晃は観客席まで吹き飛び大の字になってぶっ倒れていた。
 ぺこりと頭を下げるユキナ。
 だが彼女には分かっていた。
 晃は最後の最後で勝ちを譲ってくれていたのだ。その証拠に、まだ戦える筈なのに完全に意識を手放し。口の端でちょっぴり笑っているではないか。
「ありがとうございました」

 第二試合終了!
 ×晃 - ○ユキナ

●第三試合
「おーけーえぶばでぃ! アークリベリスタの魅力、分かってくれたかな!? それじゃあ早速お楽しみのヤツいってみよう! 第三試合は――!
 『騎士道一直線』天音・ルナ・クォーツ(BNE002212)
 VS
 『音速ロビン』ルミスト・エメラルド(OHS008131)
 女騎士対女騎士! まるで気に入ったキャラを元にデザインしたら本物が来たみたいなかぶりっぷりだよね。何がとは言わないゾ! さあ同タイプどうしの剣戟世界へご招待、それでは両者見合って――!」
 ステージ上に立った天音とルミスト。
 天音はは華やかな衣装に身を包み、一転してルミストは露出度最大の白いビキニ姿で仁王立ちしていた。一瞬遠い目をする天音。
「なぜそうなった」
「我が騎士道部の存続をかけた戦いだ。身体のひとつも張りたい」
「露出を増やせとは言ったが……まあいい。いい試合にしよう」
「そうだな」
 互いに剣を顔の前に立て、フェンシングの構えをとった。
 要するに突きの勝負である。
 開幕のゴングと同人に二人はまったく同じ速度で接近、全く同じタイミングで前足を踏み込み、突きを繰り出した。
 剣の先端を剣で弾き、その流れで突こうとした剣を更に弾く。ぶつかり合う剣の音がひとつなぎになり、まるで豪雨のように鳴り響いた。
 この間呼吸は一切しない。まさに息つく暇なき剣戟である。
 げに恐ろしいのは二人とも一切足の踏み位置を変えること無く打ち続けているということだ。
 突きの深さが徐々に増し、互いの頬や服、腕に至るまでを細かく傷付けていく。
 が、それより先には行かなかった。
 互いにぴょんと距離をとり。十メートル前後を離して構え尚した。
「観客へのアピールはこれくらいでいいか?」
「虚勢について随分とあからさまに言うんだな」
「性分でな。そろそろ決着をつけたい」
「公衆の面前で白昼堂々本気を見せたがるとは……なるほど貴様とは気が合いそうだ」
 剣を天へ立て、突きの構えをとる。
 だがフェンシングではない。
 『相手を一瞬で突き殺す』構えである。
 二人の周囲から世界が削れた。
 音は消え、光は去り、空が固まる。
 無限に引き延ばされた一瞬を超え、二人は全く同時に踏み出し……。
「「――ッッ!」」
 次の瞬間にはお互いの位置は入れ替わり、背中を向けて立っていた。
 音を立てて砕け散る天音の剣。
 一方。
 ルミストは脇腹から血を吹き出し、その場に崩れ落ちた。
 瞑目する天音。
「……実に佳い」

 第三試合終了!
 ○天音 - ×ルミスト

●第四試合
「今の見たか! 見えてたか!? ワタシにゃどこで差が付いたのかさっぱりだったね! それだけ僅差の戦いだったってことなのかな? いい勝負だったってことなのかな!? さてお次は第四試合、暴走猛牛と鉄壁騎士のバトルだ、選手――
 『チャージ』篠塚 華乃(BNE004643)
 VS
 『モンスターC』バルクホルン・ハート(OHS008155)
 入場しちゃって!」
 特設ステージへと入っていく華乃、そしてバルクホルン。
 見たままで述べるなら、十歳の少女が巨大な人型ロボットを前にするような有様である。
 しかし華乃はあくまで無邪気にぴょんぴょんとジャンプ(準備運動)すると、方をぐるぐる回して言った。
「僕、難しいこと苦手なんだ。正面からいくから、受け止めてね!」
「……分かった。俺も二つのことを一緒にはできない。俺が倒れたなら、俺の負けだ」
 バルクホルンはそう言うと、巨大なハルバートをすぐ脇の地面に叩き付けた。
 それだけで斧がずぶりと沈み、斜めに突き立ったまま固定される。
 バルクホルンは悠然と仁王立ちし、そして顔のヘルメットを閉じた。
「来い。全て受け止めてみせる」
「にひひ」
 華乃は歯を見せて笑うと、勢いよくその場からジャンプした。
 浮遊していたビットを掴み取って拳周りに魔力障壁を展開。更にオーラを漲らせると、バルクホルンのボディに連続のパンチを叩き込んだ。
 しかし微動だにしないバルクホルン。
「それなら!」
 華乃は右腕にビットを集中。巨大な障壁を展開すると、ワンテンポ遅れて強力なパンチを繰り出した。
 これには流石のバルクホルンも立ってはいられない。というか思い切り吹っ飛んで金網にめり込んだ。
「まだまだ!」
 一気に詰め寄り、パンチを叩き込みまくる華乃。
 特設ステージを覆う金網が激しく振動するほどの衝撃である。
 だが!
 だが!
 だがしかし!
「おおっとバルクホルン微動だにしてない! まさかのノーダメージか! 解説のクラッシュさんいかがでしょうか!」
「バルクホルンは頭が悪くうごきも鈍い。しかし防御力なら随一だ。この前フルアーマー部から掛け持ちを依頼されて頭を抱えていた程だからな」
「その辺の事情はわからないけど、つまり硬いってことか! 華乃選手どうする!」
 視線を向けられ、華乃はてんてんと数歩後退した。
「えっとね、押してダメなら……」
 靴を脱ぎ捨て、両足を地に着け、背負っていた槍を装備。全ての魔力障壁を槍周りに集中。螺旋状にとがらせる。そして全身から凄まじい覇気を漲らせると、徹甲弾のように飛び出した。
 徹甲弾。つまり鋼の鎧をぶち抜く弾である。
「僕に出せる全力――ぶちぬけー!」
 華乃の槍はバルクホルンの腹部装甲を見事貫通。
 しかし肉体に阻まれる。
「もっと!」
 螺旋型障壁の回転を開始。更に突く。
「もっと!」
 高速回転、逆方向にオーラを噴射しながら大地を蹴っ飛ばす。
 バルクホルンはついに金網を突き破り、観客席へと華乃ごと突っ込んでいった。
 吹き飛ぶベンチ。
 えぐれる大地。
「もっと、もっともっともっともっともっともっと――ぜんぶぶちぬけぇー!」
 彼女のオーラまで持ち出して巨大化した槍は、バルクホルンの身体をシールドマシンの如くめちゃくちゃに抉り込んだ。
 そして……!
 シールドが消失。
 華乃はぷしゅーと頭から煙を吹き出してぺたーんと脱力した。
 そんな彼女を、バルクホルンは花を摘むように優しく抱き上げた。
 顔部装甲を開放。
 無表情のまま、彼は言った。
「危ないところだった」

 第四試合終了!
 ×華乃 - ○バルクホルン

●第五試合
 ここまでで四つの試合が終了した。
 舞台の緊急修復のためにかけられた暗幕の内側で、五十過ぎの男と金髪の青年が並んで立っていた。
「……本当にいいのだろうか」
「お前の戦い方のことか」
「うむ。人に見せるようなものではない。どころか、怖がらせるだけかもしれん」
 瞑目する金髪の青年。
 男は吸っていた煙草を携帯灰皿に突っ込んで言った。
「どんなものであれ、あの二人はお前についてきている。彼らの気持ちを裏切るのか」
「そんなことは、ない」
「誠に騎士道を志すならば」
「誇りをもちて剣をとれ、か」
「その通りだ」
 取り払われる暗幕。
 ほぼ立ち見状態になった観客たちに囲まれ、二人は固く握手を交わした。
 マイクを握りしめる明奈。
「待たせたな!第五試合、騎士道部の部長とアークの渋メン絶対者の対決!
 『OME(おじさんマジ天使)』アーサー・レオンハート(BNE004077)
 VS
 『殺戮劇場』クラッシュ・ベゼルブブ(OHS005648)
 見合って見合って、よーい……!」
 鳴り響くゴング。
 その瞬間、握手をしていたアーサーの腕を漆黒の光が貫き、肩から先をもぎ取ってしまった。
 全身から闇の瘴気を膨れさせ、彼の腕を放り捨てるクラッシュ。
 アーサーは表情を変えずに肩を押さえると、放られた腕がひとりでにパチンとフィンガースナップをうった。腕から発射されるマジックアロー。
 それがクラッシュの頭部を貫通するが、彼は平気な顔で自らの剣を振り上げた。
 痛覚遮断? それだけではない。不滅覚醒で死霊術を自らにかけているのだ!
 叩き込まれる剣を、ジグザグに変形した剣で受け止めるアーサー。
 だが剣を通じて複雑に混ぜ込まれた呪術が発動。アーサーの腕から胸にかけ、悪魔の卵が産み付けられたかのようにぶくぶくとふくれて破裂した。それだけではない。更に腕ががちがちに石化したではないか。
 だがアーサーにソレは通用しない。石化した部分が瞬時に回復。つるんとした肌が露出した。
「長く持たせる試合ではなさそうだ。俺のとっておきを披露してやる」
 アーサーは一旦距離をとると、聖神の息吹を展開して引っこ抜かれた腕を瞬間復元。更に剣を複雑怪奇に変形させ多方向から連続斬撃を繰り出した。
 ナイトクリークでありながらこの多様さ。そして懐の広さ。ただ者では無い。
 対するクラッシュは彼の斬撃をよけもせずに特攻。
 腕と足が吹き飛ぶが、まるで人形のように腕と片足だけでダッシュするとアーサーの首筋へと食らいついた。動脈を正確に狙って食いちぎる。
「ふ、なるほど。たしかにえげつない」
 アーサーはにやりと笑って、その場に屈した。
「だが、誇っているのだろう。その剣を」
「……そうだ」
 腕と足を失ったクラッシュ。
 彼もまた、その場に崩れ落ちる。

 第五試合終了!
 ×アーサー - ×クラッシュ
 (引き分け!)

●特別試合!
「騎士道部とアークの壮絶な決闘試合、見てくれたかな!? これでおしまいはいサヨナラってわけじゃあないぞ!」
 明奈はマイクを握ったままステージへ飛び込むと、用意していたリングスーツへチェンジした。
「何を隠そうこの明奈ちゃんもリベリスタ! コイントスくらいの確率でドラマ復活かましてやんぜ! クラッシュ、ルミスト、バルクホルン! まとめて――」
「いいだろう。我が黒死病が火を噴くぞ!」
「――けど必殺だけは簡便な!」
 この後、一発限りのアキナ・ドラマティカで(華乃戦でかなり消耗していた)バルクホルンをぶっ飛ばし、ルミストの連続斬撃を前にギャグキャラもかくやという勢いで復活し続け、最後に容赦なくクラッシュからぶち込まれた黒死病で憤死した。

 かくして終了した異種決闘試合。
 この戦いは広く戦士たちの語りぐさとなり、騎士道部は再び栄光への道を駆け上ることになるのだが……それはまた、別の話である。

■シナリオ結果■
大成功
■あとがき■
 お疲れ様でした。
 これ以上無いくらいにもりあがり、もう書けないよぉって泣きが入るくらいに皆さんの活躍がぎゅっと詰まっておりました。
 皆さんの試合は観客たちを沸き立たせ、騎士道部の名声も飛躍的に向上。今後の運営はきっと上々なものとなるでしょう。
 よって、このシナリオは大成功判定とさせていただきます。