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ニンジャ・ウィズ・面接着 ~シツレイシマス!~

●メッシ・ホウコウ
 日本人は勤勉すぎるほどに勤勉な民族である。
 とある外国人がそう揶揄するように彼らは仕事に命を捧げ、仕事の為に命をも棄てる。
 そんな彼らを、ある者は日本古来のスパイこと『ニンジャ』に例えたという。
 確かに日本人の企業に対する忠誠心はまさに古来より続く封建的主従関係を彷彿させ、一国ならぬ一会社の社長は『ショーグン』と呼ぶものも――いるとか居ないとか。
 だが、そのような社会の摂理からあぶれ散った者も居る。
 哀れな犠牲者であるそんな彼らは――

 ガシャーンッ!

「シツレイシャス! オネガイシャス!!」
「オー! ジャパニーズ・ニンジャ!?」
 今、ゾンビとなって地上6階にある社長室へと、ガラスを割って乱入してきた。
 その服装はまさにこの現代社会を生きるサラリーマン。さらにその見かけはどことなくヤンキーチック。
 まさに古来より伝承されたゲドーアーミー『ワイルドニンジャ』そのものであった。
「ノー! あなた達クサッテルから無理!」
『ザケンナー!!!』
 強いて言えば、その身はすでに軽く腐敗して暑さも相まってヘドロめいた芳香を漂わせていることだろうか。

 果たして、口を滑らした外人男性は夕日の如き鮮血に身を染めてその生命を絶たれる。
 だが、そんな理不尽な諸行無常を許していいものだろうか。

●忍務
「忍者みたいなゾンビが3体。どれもフェーズ2」
 一通りの話を終えて尚、頭に疑問符を浮かべるリベリスタをよそに『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は詳細に話を切り替える。
 時刻は夕方、18時頃に大通りに面したガラス張りのビルに姿を見せる。
 現れたのは面接着を駆使して上っていくE・アンデッドの姿。いずれもフェーズ2
 彼らは6階にある社長室のガラス窓を破壊し、直接社長の命を狙いに……と思いきや最初はそのような行動を取らない。
「まずは頭を下げて、お願いするの」
 このE・アンデッド共は面接に落ちて自殺してしまったのだろうか。
 彼らは必死に頭を下げるが、断られると態度を変えて襲いかかる姿も予知している。
 リベリスタはこの凶行を止めるべく先回りし、外道ゾンビ共を成敗する。
 これが今回のミッション……もとい任務だ。

「ゾンビは3体、こんな姿」
 そういい見せたイヴは書いた絵を見せる。
 リクルートスーツを着た、程よく腐敗したゾンビ。
 クレヨンでガッシガッシ書いたリクルートスーツの3体。
 ガラス窓を、ぺたぺたと平然と登るゾンビ。
 ――スーツ姿のゾンビが3体、壁をペタペタ登っているのだ。
「でも、何でまた窓を登っているんだ?」
「鍵が開かなかっただけ。時間的にもう就業時間だし」
 ふと出たリベリスタの疑問に、付け加えるようにイヴが答える。
 さらりと重要なことを言いそびれていた気がするが、幼女に免じて許してもらいたい。
「がんばって」
 一同はどことなく納得しつつも、早速任務を遂行すべく事に当たるのであった。


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:カッツェ  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 2人 ■シナリオ終了日時
 2011年07月26日(火)21:23
面接着 ←何故か読み方に迷う
カッツェです。

●場所
大通りに面したビジネスビル6階
正面玄関はロックがかかっており、無理に入ろうとすると警備に引っかかるでしょう。

●ワイルドニンジャ(E・アンデッド/3体でフェーズ2)
リクルートスーツ(黒)を着たゲドーニンジャ――もとい人間型E・アンデッドです。
享年恐らく18歳、金髪だったりピアスを開けてたりと風貌体臭共に良くありません。
チョップ   :物理単体攻撃
自作名刺手裏剣:物理複数攻撃(ショック)
オジギ    :神秘単体攻撃(麻痺・ブレイク)
また、これとは別に全員非戦スキル『面接着(めんせっちゃく)』を所持しています。

●社長
外資系アパレル企業を経営する20代アメリカ人男性。名前はドッポ・アナーノ
予知当日は面接のため、会社に遅くまで滞在していた所を襲われる。
余談だが、趣味はニンジャマニアでこっそり買い集めること。

どう処理するかはあなた次第。
参加、お待ちしてます。
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
ホーリーメイガス
メアリ・ラングストン(BNE000075)
ナイトクリーク
ジェイド・I・キタムラ(BNE000838)
プロアデプト
阿野 弐升(BNE001158)
覇界闘士
衛守 凪沙(BNE001545)
覇界闘士
龍音寺・陽子(BNE001870)
ナイトクリーク
黒部 幸成(BNE002032)
マグメイガス
小鳥遊・茉莉(BNE002647)
ナイトクリーク
ショーゴ・フジキ(BNE002702)
■サポート参加者 2人■
インヤンマスター
朱鷺島・雷音(BNE000003)
ソードミラージュ
武蔵・吾郎(BNE002461)

●忍は情報を制す
「にんにん、面接受けたいのだけどもいつまでやっとん奈良?」
 社長ことドッポにアポイントメントを取る金髪ツインテ少女の姿あり。
 その少女ことメアリ・ラングストン(BNE000075)は、携帯電話を片手に忍々南無三然る後と話を進める。
 どうやら彼女は事前に会社の電話番号を確認し、面接を取り付けた上で問題なく乗り込む目算のようだ。

「待たせたのぅ、社長さんと連絡が……ありゃ」
 ――が、ふと視線を改めれば、他のリベリスタ達は既に現場へと向かっているのか姿が遠くに見える。
「抜かった! じゃがこれも安定雇用のため。ゾン忍撃破して社長に勤勉ジャパン忍者をプッシュするのじゃ!」
 どうやらメアリだけは依頼とは別に受ける気満々のようだが、ドッポが死んでは全てが水の泡。
 彼女は遠くへ行ったリベリスタに向かい、慌てて付いていくのであった。

●忍は天網を潜る
「警備員の姿は――はて、あれはメアリ殿で御座るか?」
 しばらくして、『ニューエイジニンジャ』黒部 幸成(BNE002032)が神経を研ぎ澄まし、施錠された扉をするりと抜けてビル内へと侵入する。
 警備員が彼女に気を取られているのは僥倖か、2人の目を盗む形で一足先へと進む。
「緊急事態ゆえ不法侵入も致し方無し、警備の手薄な所は――」
 局所で透視を使いつつ、感知式警報機の目が届かない壁の中を進む幸成。
「少々遠回りで御座るが、これも仕方なし」
 ムダのない洗練された動きで警備の編みを素早く潜り、裏口の鍵を開けた後に幸成は携帯電話で侵入経路の確保を伝える。
 それに合わせるかのように他の面々も後へと続く。一先ず自分の忍務を終えて一段落と行きたい所ではあるが、本番はこれからである。
「すごい力だなぁ……フィクサードだったらまず泥棒になるだろうね」
「この力は世の為に使う物で御座るよ」
 黒装束を纏い、依頼モードの為か冷静にツッコミを入れる黒部に対し、しーっと口元に人差し指を立てる『食堂の看板娘』衛守 凪沙(BNE001545)。
 そんな彼女を始めにこっそりと、忍ぶかのようにリベリスタの面々は歩みを進める。
 所々にある警備に引っかかれば最悪何らかの形で警備員が駆けつけてくるのは必定。それでも破壊する対処も無い故、各員は黒部を先頭に細心の注意を払っていく。

 それにしても、特筆すべきは面々の服装だ。
「現代で忍装束なんて、隠密どころか目立ってしょうがないですね」
「でもこれで喜ぶ者がいるならそれでいいのだ」
 依頼に合わせて忍装束を着ている『消失者』阿野 弐升(BNE001158)や『百の獣』朱鷺島・雷音(BNE000003)のような者達も居れば――
「ここのシャチョーと無事に生き延びて出会う事があれば、さぞ話が合うことだろう」
 恐らくこれが仕事着であろう幸成や『蒼い瞳のアフロニンジャ』ショーゴ・フジキ(BNE002702)のように普段どおり装束を着込んでいる者。
「でも、社長がニンジャマニアだからと言ってニンジャの真似事なんて。本物の忍者に失礼ですよ」
 そして、何故かスーツで臨む小鳥遊・茉莉(BNE002647)が幸成に視線を移しながら話す。彼女にとっては彼も立派な忍者にみえよう。
 このように、実に多種多様といえるラインナップはリベリスタ故だろうか。傍目から見ている分には非常に愉快な侵入者達だ。
「そもそも、今回は隠密ではないのでウケ狙いでいいでしょう」
 それを言ってはお終いである。
 だが、彼らが選んだのは茨の道。仮に侵入が露呈すれば警備員飛んでくる事も考えると行動と作業に確実さが求められてしまう。
 既に監視カメラに数度写りこんだ物の、まだ警備員が来る気配はないのはメアリの根回しによって警備員を外に出したことが公を奏した結果となった。

「それにしても忍者、ねぇ。影に生きる者、という意味では俺達と似てますね」
「似てるのはいいが根本的にどういうものか間違ってやがる。日本の文化を何だと思ってやがる」
 赤眼白髪に漆黒の忍装束が冴える弐升の言葉に対し、『チープクォート』ジェイド・I・キタムラ(BNE000838)はあまりのサブカルチャーぶりにややその顔を歪める。
「ああクソ、余計なことを考えるな。仕事だ仕事!」
 そう自分に言い聞かせ、ジェイドは機器に触れないよう気を尖らせて先に進む。
 進むったら進む、あくまで慎重にだ。

「この音、もしかして」
 一方で、面接着を駆使して外から社長室へと登るクノイチ姿の『戦うアイドル女優』龍音寺・陽子(BNE001870)は、妙な音に気づく。
 カツカツ、ぺたぺたといった複数の足音が近くから響いているのだ。
 念の為に言っておくが、陽子の立つ位置は地上3階ほどの高さがある。
「燃える展開――だけど今突っ込むのは危険過ぎるわね」
 呼吸を整えるもまだ仕掛けない。ここで仕掛けて下手に社長室に雪崩てしまえば、独歩をさらに危険へと晒してしまう。
「……皆どうしたのかな?」
 ひとまずゾンビらと鉢合わせにならないよう更に上って待つ陽子だが、途絶えた連絡に不安は隠せないのも事実であった。

●忍は迅速を尊ぶ
 あれからどれだけの時間が経っただろうか。
 ――というほど大してかかってはいないが、警備に気をとられて喜々として進まない様子に、皆の顔にも焦りの色が見え始める。
 その焦りは6階に着いた瞬間、臨界に達する。

 ガシャーンッ!

 窓を粉砕して飛び込む足音、がなる様な男の声々、リベリスタの脳裏に最悪の事態が過ぎっては消えるのを繰り返す。
 だがそうは問屋が卸さない、卸してはならない!
 彼らは身をかがめながらも全速力で監視カメラを抜け、警報機もスルーし、喧騒に包まれた事務所の前へとたどり着く。
「ナムサン! 蹴り開けるぞ」
「任せたで御座る」
「承知、イヤーッ!」
 内側から鍵のかかった扉をショーゴが蹴り開き、リベリスタはまるで雪崩を彷彿させる勢いのまま室内へ突入!
「大丈夫か」
「オー! ジャパニーズ・ニンジャ&クノイチ!?」
 興奮しているドッポを他所に、素早く強結界を展開して人を払う雷音。
 その腰は抜けているのか、中々立ち上がる気配を見せない。
「多勢に無勢、ゲドー忍者覚悟しなさい!」
 ワイルドニンジャ――ゾンビどもが破砕した窓から飛び込んだ陽子もまた、皆と合流し構えを取る。
 心身ともにすっかりクノイチになりきっている様がそこから伺える。

「オー、ゲドーニンジャ、許すまじ! 本物の忍者が如何なる物か、目にものを見るで御座る!」
 全員金髪で、着ている衣装もリクルートスーツや紫色の派手なジャケットばかり。
 加えてピアスなどを開けている様は到底忍者にも面接に望む者は見えないが、その天地を選ばぬアクションだけは忍者らしいというべきか。
 ――当たり前だが、こんなものでニンジャ呼ばわりされては真の忍者の沽券に拘る。
 幸成は構え、間合いを取る。
「よほど就活に思い入れを持ったまま死んでいったのでしょうけど、傍迷惑ですね」
 そんなに就職活動をしたいのなら、あの世に永久就職してもらいましょう。
 幻視を解いた彼女の背から翼が姿を見せ、天使の姿を敵の目に焼き付け――
「では面接を始めましょう、ここでの不採用は地獄行きです」
 スーツ姿の天使は、まさに天国から遣わされし面接官。
 何故かスーツ姿ではなく、全てはこの時のために。この面接という場を構成する為に着替えていたのであった!
「さぁお立会い、見てなシャス!」
 言葉と共に放ったメアリの神気の閃光は、開戦を知らせる狼煙の様。
 そこに居る全ての者が、戦いへと身を投じていく。

●忍は外道を祓う
「ここにいるのは危ないな、少し別の所で話をしようぜ」
「ウゥム、闇討ちはノーサンキュー。任せましたデース」
 光に圧されるゾンビの姿を確認しつつ、『首輪付きの黒狼』武蔵・吾郎(BNE002461)に言われるがまま、ドッポは抱えられながら備品倉庫へとその身を移す。
 此処から先は忍者とニンジャのぶつかり合い、いわば死合いの場。
 殺伐とした空気のままにそれぞれが武器を構え、刃を向け合う。

「登場はまずまずだな」
 近くにあったオフィスチェアに座る余裕を見せるジェイド。
 この椅子だけでも10万超えるだろう、非常に上等な代物だ。
「ザケンナー!!」
 至近距離に居たゾンビがジェイドに襲いかかるが、彼は慌てない。そのままショットガンを構えてゾンビの腹に押し付ける。
「だが、残念ながら不採用だ。受け取りな」
 轟音と共に散弾がその腹を襤褸布のように仕立て、身も心も粉々にして吹き飛ばす!
「ザケンナ!」
「おっと」
 床を蹴り、椅子についたキャスターが彼を載せたまま名刺手裏剣を回避。椅子から飛び退くと同時に、銃尻でゾンビの頭を激しく抉る。
「悪いな、俺は撃つより殴る方が得意なんだ」
(……にしても高ェんだろうなあ、きっと)
 あれぐらいの椅子があれば――ジェイドは闘いながらもそんな事を思うばかり。

「三人とも、もう就職なんてしなくてもいいんだよ、謝らなくてもいいんだよ。
 だからもうやめようよ」
「オネガイシャス!!」
「ひゃっ!? お、お願いします」
 凪沙の言葉とは裏腹に、ゾンビ達は彼女を面接官に見立てておじぎをする。
 裂帛の気合とも取れるそのオジギと挨拶は、思わず体制を崩してこちらまでやってしまうほどだ。
「彼女に手は出させない!」
 陽子がすかさず背後から魔氷を纏った爪でゾンビに一撃を加える。
「ザ、ザ……」
 魔氷の生み出す凄まじい冷気は、まるで炎が産み出す陽炎のように揺らめいてはいたぶっていく。
「ザッケンナ!」
「來々、三千世界の鴉よここに」
 邪魔はさせないとチョップを繰り出すもう一体のゾンビ。
 それを手空きであった雷音が式神で腕を貫き、目標を引きつける。
「こ・の・一・撃・で――」
「滅びなさい!」
 拳を繰り出す2つの拳。かたや裏拳、かたや正拳による強烈な一撃!
「グアァ!!」
 その上で生じた炎と氷の蝕みは満身創痍であったゾンビの体をさらに追い詰め……
「ザ、ヤ……ヤッテランネェー!」
「うわっ!?」「きゃあ!」
 まるで体内で反作用現象を引き起こしたかのように、ゾンビの身体は爆発四散!
 これには思わず2人とも顔を背けてしまう。
「これであと2人だね」
「うん。でも――就職失敗って気の毒だよね」
 これが就職に失敗した者の末路か。何気なしに凪沙がポツリと言った言葉は、そうとも感じ取れてしまうのであった。

(センセイのインストラクションを思い出せショーゴ! 戦場のただ中にあってこそゼン・マインドだ……!)
 手裏剣の連撃を受け、自慢のアフロも忍び装束も所々削れているショーゴ。それでも彼は集中を絶やさない。
 確かに彼はニュービー、リベリスタとしても新参者だ。だが、それでも必ず隙は生じる。その隙さえ見出すことが出来れば例え未熟であろうと驚異的な一撃となって敵を砕くことも出来よう。
『虻蜂の一撃は鷹をも殺す』ショーゴは針の代わりにスローイングダガーを構えてその時を静かに待つ。
「!」
 ショーゴの目がカッと開けば、そこに居たのは天地が逆さまとなったワイルドニンジャの一体。
「シェオラ!」
 その手に握られた金メッキの入ったド派手な名刺手裏剣を食らえば、間違いなく大きな隙となる!
「E・ズンビー、滅すべし」
 ショーゴが駆け、名刺手裏剣を腕でガード。
 そして勢いのままに壁を蹴り、空中でワイルドニンジャをホールド!
「ザッ――」
「イィィヤァァァーッ!」
 すかさず足を払い、重力のまま空中で縦一回転し――ワイルドニンジャは脳天から落下
 これぞ古来ニンジャが使いし体術の1つ、『イズナ・フォーリング』
 頭一つ違えれば自身の脳天を打ち付ける多角的強襲攻撃は、決してリベリスタ以外は真似できない強烈な一撃となってゾンビ1体に致命傷を与える!
「ザ、ザケンナー!」
「!?」
 だが、ゾンビはショーゴに向かって尚もチョップを繰り出そうとする。なんという生への執着か!
 ショーゴはそれをままに受け、怯む中で飛んできたのは――
「シネオラー!」
「言葉遣いがなっていませんね、不採用です」
 ゾンビによるトドメのチョップではなく、限界まで強化された茉莉の四重螺旋。
「アバババババアーッ!!?」
 先程の一撃で足りなかったダメージを補うかのように、魔力は旋律めいて叩きつけられ、もう1体も塵となって消える。
 後に残った金ピカな名刺――ゾンビが生前自作したそれが無常たる哀愁を漂わせる。
 死して屍拾う者なし。

「雷迅の術」
「ザッケグワー!」
 人間の急所を熟知した忍者組手のトドメにと、チェーンソーを胸部に突き立てて起動させる弐升。
 肉片が飛び散り、雷気がその破片を灼く。
「――とでも言えばそれっぽいですかね。まあ、殴ってるんでコレジャナイ感が漂います」
 俺、現代忍者だしと嘲笑めいた言葉を漏らしつつも、彼は容赦というものを見せない。
『万華鏡』の予知する世界ではドッポを殺害したこのゾンビも、手馴れである弐升相手には劣勢を強いられていた。
「ザッケ……オラー!」
 引きぬくもその刃はゾンビを容赦なく抉り、物理的に磨耗させていく。
「おっと」
 弐升は次の一撃で仕留めるべく再度組手を仕掛ける。が、これが不幸にも抜けられてしまい、ゾンビは急遽背中を見せて窓へと走りだす!
「逃がさんで御座る!」
 幸成が紡いだ気糸で捕獲を試みるも、集中力に欠けたか捕獲までは行かない。
 このままワイルドニンジャの逃亡を許してしまうのか。ゾンビは面接着で下のガラスに張り付き。逃げる体制を整えた。
 その時だった。

 つるっ。

「ザッ――」
 ゾンビが、滑った。
そして……
「ザケンナァァア……」
 そのまま軌道修正を出来る訳もなく、ゾンビは頭から急速落下してグシャリと音を立て、そのまま動かなくなる。
「…………え!?」
 いきなりの事に戸惑い、慌てて窓から下を覗く一同。地上6階から落ちては一溜りもないか、ゾンビはピクリとも動かない。
 と、茉莉が窓の縁にべったり何かが付着していることに気づく。
「なにこれ?」
「ワックスか。こんなもん撒いてる暇があるやつと言ったら――」
 ジェイドもそれに気づき、ある者の方を見やる。
「まさか登りにくくする筈が決定打になるとはのぅ。これも作戦のうちじゃ!」
 見やった先、メアリは驚きながらもどことなく『計画通り』といった表情をしていた。
 これが俗にいう『一事が万事』なのだろう。

 かくして、そこに残ったのは命の紐を切られたゾンビ3体(うち1体落下)とリベリスタ。そして――
「オー……オォォ――!!!」
 いつの間にか脱出を果たしていた、ドッポの姿であった。

●忍は黙して消える
「い、一体何が……!」
 騒ぎに駆けつけた警備員数名が6階の事務所に付いた頃、リベリスタの姿はそこにはなかった。
 そこにあるのは荒れた事務所と割れた窓、深き戦いの傷跡。
「ジャパニーズ・ニンジャ、実にファンタジスタでした」
 そして、歓喜のあまり滂沱の涙を流すドッポの姿――

「もう帰るのデスか……」
「任務が終われば再び闇へと還るが忍の運命故」
 事情を説明し終えた幸成が改めてドッポに告げる。
 手帳を片手に、ドッポは少し名残惜しそうだ。
 彼らは忍者でありながらも、あまりにその存在は知られすぎてしまった。神秘の秘匿という観点をさて置いても、お咎めを受けるのは個人の為にもよくない。
 だが、リベリスタとしては彼を救うことが出来、エリューションの殲滅を果たせた。それが出来れば十分だ。

「そうそう」
「オゥ、何デスか?」
「グッズを集めるのもいいですが、成り立ちや歴史なんかを調べると面白いですよ。
 忍者マスターへの道は果てしないのです」
 弐升が飄々と告げ、同じく去っていく。真正面から見てみればきっと彼の「何言ってんだろう、俺」といった表情が垣間見られたことだろう。
「ニンジャ・マスター……日本はまだまだ奥が深いデース」

 半壊滅した事務所と引換に、男は真の忍者と逢った。
 嗚呼この世は諸行無常、彼らは今日もどこかで新たな忍務に着くだろう。
 その時まで、しばしの休息を。

●忍も――
「しゃちょー、妾をバイト勤勉ニンジャにジョブチェン、シャス!」
 帰る前、渡し損ねていた『くのいち緊迫写真集』を差し出しながらお辞儀するメアリ。
 なんという袖の下、しかし――
「雇いたいのはヤマヤマですが、こうも荒れてはしばらく採用見送りデース」
「アバーッ!?」
 くのいちのピンチな場面ばかりを集めたそれをちゃっかり受け取りつつ、申し訳なさそうにやんわりと断るドッポ。
 お後がよろしいようで。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
『ニンジャ・ウィズ・面接着 ~シツレイシマス!~』でした。
劇中では触れなかったものの、プレイングで気になった点が一点ありましたのでこの場を借りて説明を。
機器遮断ですが、これの効果対象は自分になります。
つまり、『監視カメラに映らない』という状況は作れても『監視カメラを破壊する』とはなりませんので要注意です。
破壊する場合、物によってはスキルや武器で壊れはしますけどね。

ネタも戦闘も十分組み込んだ気がします。その分文字数もかなりオーバーラップ……
けど、満足行くものが書けたのならば(一先ず)それでいいんだ。
それでは機会がありましたらよろしくお願いします、カッツェでした。