●その密室にて 水音。 川のせせらぎとはまた違う、どちらかというと小規模な滝が極小さな段差を流れ落ちるときに立てる水の跳ねる音。 僅かな刺激臭が鼻をつくが、今は切羽詰まった感覚から解放されたことが、しゃがんだ女にとっては何よりもの福音。 水音が止まり、服装を整えた女が立ち上がり、ごく自然な動作で片足を突き出た鉄棒に掛け――踏み込んだ。 ……じゃばぁ 排水音が鳴り響いた後、その公衆トイレのドアが開くことはなかった。 後日、その女性には捜索届けが出ることとなる……。 ●トイレ リベリスタたちを集めた『運命オペレーター』天原和泉(nBNE000024)はとても複雑そうな顔をしていた。やるべき課題があるけれどやりたくない、学生ならよくよく対峙することのある、そういう時の顔。 「『万華鏡』によってアザーバイドの活動が予知されました。至急、対処をお願いします」 言葉少なに説明を始め、レジュメを配る和泉の様子に腑に落ちないものを感じるが、それはさておき、リベリスタたちは言葉に耳を傾ける。 「確認されたのは小規模ながら世界そのものといったアザーバイドです。その能力面から今後、そのアザーバイドを『トイレの神』と呼称します……」 トイレ? WC? え、いやそれよりもトイレってどういうことだとざわめくリベリスタ。 「かのアザーバイドは『水洗ペダルを押す』ことにより、ペダルを押した者を己の内部に取り込みます。その取り込み条件故、アザーバイドは公衆トイレに擬態、獲物が罠にかかるのを待っています」 名称や取り込み条件に比べて、その行動はかなりタチが悪い。取り込まれた一般人は自分がどこに居るかも解らないまま精神を汚染され、廃人となり、アザーバイドのエネルギーとなり最期は死亡するという。 「万華鏡の予知がかなり早期に行われたため、アザーバイドは顕現前ですので被害は出ていません。しかし顕現直後にDホールも消滅するため、送還は不可能です。撃退してください」 撃退といってもどうやって? とリベリスタたちが首を傾げる。 「直接アザーバイドの領域へ侵入、その後、アザーバイド本体を叩いてもらいます」 ここでようやくディスプレイが灯った。画面にはアザーバイドが擬態しているという公衆トイレの外観と、内部世界にいるという本体の姿。 「公衆トイレが現れる場所は大雑把ですが特定できています。この外観を頼りに捜索し、発見次第、水洗ペダルを押してアザーバイド内部へ侵入してください。 この際、アザーバイドはトイレ敷地内部で水洗ペダルに触れている人物、およびその人物と接触している生命体および装飾品全てを呑み込みます。少々手狭ですが、トイレ内部に全員が陣取り、接触した状態で誰かがペダルを踏むのが最適でしょう。 また、本体のほうは私たちには幼稚園生程度の少年に認識されますが、実力はそれなりです。油断することのないよう」 表示された本体の姿は確かに幼い少年のもの。太い眉とつぶらな瞳がどこぞのアニメキャラクターを想起させなくもない。 「本体はその……少々下品な物理攻撃の他、同じく下品な言霊を利用した精神攻撃に長けます。また、精神攻撃による精神汚染、混濁もありえますので重ねてご注意を」 ため息ひとつ。 「また、内部にはこのアザーバイドと共生関係にある軟体生物が複数棲息しています。本体の指示に従い、主に呑み込んだ生物の服を狙い、溶かしてきます。防具損傷の可能性もあるため、お気を付けて」 いつもより手早くレポートを畳み、どこか恥ずかしそうに頬を染めながら和泉はリベリスタたちを送り出した。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:Reyo | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年09月11日(水)23:05 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●水洗式ドア 「しっかしこの入り口、狭すぎない? しかも臭うし、最低だわ」 愚痴りながら公衆トイレ(和式の個室が1つだけ設置された小規模なもの)に踏み込んだ『重金属姫』雲野 杏(BNE000582)がそそくさと水洗ペダルに足をかける。 「えーと……くっついた状態で水流しゃいいんだったっけな?」 するりとその背に続いた『選ばれしバーコードバトラー』鯨塚 モヨタ(BNE000872)が遠慮がちに杏の背後にくっつき、そして続々とリベリスタたちがトイレの個室に鮨詰めになっていく。 「あれ、でも詰めすぎじゃね? うわ、そんな押すな!?」 「といってもペダルを押す人から離れないようにしなければならないので……」 困り顔で場所を詰めていく『白銀の防壁』リリウム ヘリックス(BNE004137)と杏に挟まれ、モヨタ、若干顔を赤くする。 (……よく考えれば、個室に8人って誰かに見られたら確実におまわりさん呼ばれるよね) 「服を溶かしたりするけしからんやつは、正義のリベリスタ的には自分たちが犠牲になってでも被害を抑え、倒さねばならんところだろう! なぁ、みんな! (脱ーげ、脱ーげ! ※括弧内は心の声です)」 なにやらゴツい眼鏡をクイと正しつつ皆を奮起させている(ように見える)『一人焼肉マスター』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)を見やりつつ、あらためて自分たちを客観視して溜息をつく『アークのお荷物』メイ・リィ・ルゥ(BNE003539)。 「それじゃあ、いくわね」 ――きゅっ ――ばしゃぁぁぁ ●下品男子ときどきスライム、ところにより肌色成分 ※報告書の一部にはルゥ撮影の動画が添付されています。 重心を安定させる安全靴をズン、と響かせ、まず『百花乱舞』桜乃 彩音(BNE003884)が着地する。靴底に絡みつく粘液を踏みにじり 「転んだりしないように気をつけなくちゃ。べとべとの、ねとねとだもの……ふふ」 妖しげに笑う彩音の横、べしゃぁ! と派手な音を立てながらモヨタが薄く粘液の張られた床に着地もとい射出され、その勢いで七転八倒しズボンがどこかに飛んでいく。おそらく、突入時に崩していた姿勢がそのまま反映されたのだろう。縞々ブリーフで覆われた尻をさすりながら立ち上がり、吹き飛んだズボンを探すこと数瞬、モヨタの視界に影が映った。 「ほほーい、なんかいっぱい来たゾー」 「事前説明通り、なかなかふざけたしゃべり方だな。とはいえ、甘く見ていい敵でもない、か」 トン、と爪先から華麗に着地した『無銘の剣』神威 千夜(BNE003946)がそのまま影と相対し構えを取る。 「……あれ? 作家さん亡くなられたあの作品の……」 影を見たぽつりとキンバレイ・ハルゼー(BNE004455)が呟く。それ以上はいけません。 ――影の正体は一人の少年。身長がようやく百センチに届いたかという程度の、やたら頭身の低いデフォルメされた少年姿のアザーバイドである。 「おぉーう、胸のおっきなおねーさんも一杯ダゾー」 くねくねと、まるでタコのように体をねじってアザーバイドは喜色満面。特に肌も露わなキンバレイに視線が向く。 キンバレイは少し首をかしげて 「きんばれいのおっぱい飲みません?」 と胸をわざわざ揺らして誘う。サスペンダーごと揺れた胸がぷるんぷるんと弾む。しかしこのサスペンダー、ずれそうでずれないモノである。なんという鉄壁ガード。なんでも「服を溶かされるなら着なければいいじゃないですか、難しいことじゃないですよね?」という理論でこの服を選んできたらしいが。 「ワーオおねいさんのっりのりー、でも一杯いるからオラだけじゃ手が足りないゾ?」 パンパンとアザーバイドが手拍子。ぬろぉ、と床の粘液が凝集し、ぷるんぷるんのスライムが4匹生成される。 「それじゃあ遊ぶゾー」 どこにでもいそうな顔にありふれた笑みを重ねて、アザーバイドが言う。 無事着地したリベリスタたちも戦闘用意を整え――戦端は自然と開かれていた。 胸を揺らしながら魔力を集積させるキンバレイの横を、重い足音と裏腹な軽い動きで彩音が駆ける。機先を制した動きは速度を持った踏み込みに変じ、迅雷を思わせる打撃がゼリーを吹き飛ばすようにスライムの体を蹴り飛ばした。 とはいえ、スライムの吹き飛んだ体がぺしょりと彩音の服に跳ね返り、ごく小規模とはいえその服を溶かす。 「ふふ……一体どこを溶かしたいのかしら?」 蹴りの動作から着地する。胸元や太股が露わな聖職服の臍あたりに指を這わせ、わずかに損傷した服で挑発する彩音。 「ふふーふ、スライムたちはオラの言うこと聞くんだゾ! だから主に狙うのはおっぱいらへんだゾ!」 ずびし! と口をきけぬスライムに代わり答えるアザーバイド。あけすけな発言にリベリスタ一同、苦笑。同時にこんなやつが相手なのか、と精神的疲労感も多少。 「ちなみにヤローの裸は目の毒なので男はあんまり狙わないゾ? あとついでに言えば見た目ぺったんこな女の裸も別にいらないゾ? オラが見たいのはおっきいおっぱいだものおほほほー」 「そのような言葉、通じはしませんよ……」 またもやくねくねダンス。おっぱいという単語の連呼に反論しつつも顔を染めるリリウムに、見た目ぺったんこという言葉が妙に突き刺さるルゥ。 若干気に障る言い様に (これがまさか言霊攻撃……?) とルゥは無言で神聖な閃光を放つ。蹴りで大幅に吹き飛んでいた1体のスライムがさらに容積を減らすが、アザーバイドはムーンウォークのような謎のバックステップで回避。その動きも若干煽っているようで腹立たしい。 たしかに胸ないけど、と攻撃直後に軽く胸元をさすってみる。そして周囲の女性陣を眺めてみる。たゆんたゆんなキンバレイを始め、だいたいの女性陣は胸が大きかった。 「?」 ルゥの目が千夜で止まる。なぜか同類を見るような目で見られた千夜がハテナマークを浮かべる。 「いえ、なんでもないよ」 頭を振って目の前の敵に集中。ひとまず、同類(胸のサイズ的な)がいることに安堵。 「さーていくんだゾ、オラのスライムず! おっぱい装甲を剥がすのダー!」 アザーバイドの号令にスライムたちが動き始める。狙うは、元からおっぱい露出モードのキンバレイを除いた、胸部装甲(服)のしっかりした4人の女性陣。 「くっ、間に合わないのかー(棒」 飛びかかってくるスライムを本来抑える役割のはずの竜一が、よくよく聞けば棒読み感満載で悔しそうに言う。言ってる間にもスライムはうぞうぞと女性陣に纏わりつこうとしていて 「ふふ、好きにしてごらんなさい」 言葉は誘い受け、でも迎撃は本気な彩音や 「男子は目をつむっておけよ? 見るなよ? 見るなって! ――お願い、見ないでっ!!」 「大丈夫見てないから! いま熱源視覚に切り替えたからおいら熱源しか見えてねーから! 千夜の胸が案外でかいとか見てねぇからな!」 振り払おうにも軟体生物なスライムを振り払えず、シャツごと胸のさらしを溶かされて、ギリギリセウトなラインで(年齢制限的に)デンジャーなカ所以外が露わになる千夜。残った布地を掻き寄せて、片手でなんとか胸元を隠すが、それでも「脱ぐとすごい」という謎の評判通りの胸が、そこにはあった。 なおモヨタはギリギリで熱視覚に切り替えたようだが、ばっちり見ちゃってるよねそのセリフ? 竜一はメガネをクイっと上げながらガン見である。 「うひょー、そこのおねぃさん、やっぱり案外おっきいおっぱいですなー? オラのおっぱいセンサーには隠しても無駄だゾ! なんで隠してるの?」 「うるさい、黙れ、事情があるんだよ!」 怒りと恥ずかしさを込めた千夜の言葉もなんのその、どこ吹く風でアザーバイドは嬉しそうな顔でおっぱい観賞に余念がない。ていうかおっぱいセンサーってなんだ。 リリウムと杏はなんとか服の損害を免れたようだ。なお、ルゥは外見的に最初から対象外だった模様。キンバレイはスライムに溶かされなくてもおっぱい見えるから対象外。 あ、ルゥの千夜への視線が同類を見るものからいっそ敵視するものに変わってる。 「ふっ、見るものは、見られるかもしれない覚悟が必要だ……覚悟はできてるか? 俺にはあるぜ、脱がされてもイイっていう覚悟がなぁ!」 ノリノリな様子で宝刀を構え、1匹のスライムの元へと走り出す竜一。全力全開、気合い120%(後日の本人談による)によって成された迫真の連続行動が、戦鬼のオーラを纏い上げ、直後に繰り出す必殺の気を込めた斬撃のコンボを決める。 死に際の最後の抵抗か、派手に爆散したスライムの飛沫が若干量のダメージとともに竜一の服をぼろぼろにするが、竜一には既に覚悟がある。自分がパンツ一丁寸前になろうとも、それでも構わないという覚悟が彼に戦闘を継続させる。 「まずは一体!」 ぬん、と気合を入れた決めポーズはなぜか仲間の女性陣に向けて。服が残っていればそれなりにサマになっただろうが……服がボロボロな今は裸寸前の体を見せつける変態にしか見えない。 「ああもう! 女の子の服が溶けて目のやり場に困るし、アザーバイドは下品だし!」 「オラ、男に興味はないんダゾ? ていうか邪魔でおっぱいがみえないゾ?」 半ばヤケになりつつ、鼻の血管耐久も限界に近いモヨタが全力で前へ。アザーバイドの女性陣への視界を遮るように、その懐へと飛び込む。 今を打開するには根本的な原因であるアザーバイドを倒すしかないと、自身の限界など知ったことかと全力の動き。でもズボンなしのブリーフ丸出しで、しまらないことこの上ない。 胸の部分をピンポイントに溶かされて恥ずかしげな千夜もまた前へ出てスライムの足止めへと回る。疾風居合の瞬間だけ両手を使わなければならず、構えを取った瞬間に胸が揺れるが、大事な部分は居合の軌跡がばっちりカバー。居合の剣圧がアザーバイドを斬るころには、腕はしっかり胸のカバーへと戻っていた。 残るもう一体のスライムの抑えにはリリウムが。なんとかスライムの纏わりつきを逃れ、服は未だ無事。千夜や竜一の破損具合に嫌な予感を避けえないが、リベリスタとしての働きは全うする構えだ。 「白き絶対防壁、リリウム……参ります!」 言葉とともに恐れを払う気迫が味方のバッドステータスを解除していく。 「アタシの身上は複数攻撃よ! それをアンタの安い言葉で曲げたりしないし、おっぱい連呼程度の幼稚な猥談じゃあなんともないわね! スライムもろとも、吹っ飛びなさい!」 雷翼で低空飛行しながら、杏がビシっとアザーバイドを指さした。カットイン的な視線で見ると、元から谷間ばっちりな胸がたゆん、と弾むこと数回、バチバチと帯電し、文字通り荒れ狂った雷翼はそのままアザーバイドもろともスライムを焼き尽くす雷の一撃となる。 「わーお……刺激的ィ」 スライムは真っ黒焦げで、3体とももう大きなぬいぐるみ程度のサイズでしかなく、ほぼまともに雷撃を喰らったアザーバイドはなぜかアフロヘアになりながら身をよじっている。 「かいふくーかいふくー、なのです」 身をよじるアザーバイドなど放っておいて、キンバレイの癒やしオーラ(含エロオーラ)がリベリスタの(一部精神的なささくれ含む)傷を癒やす。ルゥの巨乳勢への視線が少し和らいだ気もする。 その間にも彩音の回し蹴りが残る3体のうち、2体のスライムを纏めて吹き飛ばし、やはり最後の反撃代わりにその服を大幅に吹き飛ばして散っていく。 「あらあら、丸裸じゃないけど大変な恰好になっちゃったわ」 千夜以上に露わになってしまった胸を両手でカバー。足技主体で戦ってた影響もあり、上半身は胸がまろびでて、足は太股あたりにスライムの粘着質な残り汁が付着したとんでもない姿だが、本人はなにやら満足そうな様子。 「さぁいらっしゃいな、胸の大きな子、好きなんでしょ?」 改めてのお誘いにアザーバイドが鼻の下を伸ばす。 「じゃあオラ、おねーさんたちのほうに行くから、んじゃ!」 そしてモヨタの妨害などもろともせず、流れるような動作でケツを出したアザーバイドが跳躍。空中で姿勢を整え、プリケツ丸出し状態で杏をはじめとした巨乳女性陣の元へと降っていく。 「ハン、甘いぜ、喰らえよオラァ!」 ヒップドロップの降下軌道が一番自分に近いと見てとった杏が、軽く足を開き、構えていたギターのネック部分を迎撃するように突き出す 「アッー!」 「スパイラルフィンガー、喰らった気分はどう!?」 見事にアザーバイドのケツがそこに突き刺さった。こてん、とあまりの迎撃方法に力なくアザーバイドは床へ落下。だが、丸出しで赤くはれたお尻を手で庇いながら、つま先立ちの不可思議な動きで即座に立ち上がる。 「おねーさん酷いんだゾ? そんな尖ったのだと痔になっちゃうんだゾ!? というわけでお返しだゾー!」 迎撃されてもへこたれないスケベ心だけは認めるべきか、赤くなった尻を隠そうともせず、そして痛みを感じさせぬ素早い動作でアザーバイドが杏の背後へと回り込む。その速度、風の如し。 「必殺、スパイラルフィンガー!」 「何!?」 気持ち、尻穴より前の部分を狙って繰り出される指突。迎撃用に構えたギターを下げる暇もなかった故に、踏ん張るように軽く開いた両足はその指を防ぐ余地などない。 どすっ、という音は幻聴か。ぴっちりとしたズボン越しに臀部にめり込んだアザーバイドの指先。一瞬遅れ、片手を尻にまわして杏がへなへなとへたりこむ。どうやらクリティカルヒットだったようだ。 「ふっ、オラの指で捕らえられないオケツはないんだゾ!」 「ヤロォ……やりやがったなぁ」 ふふん、とどこか自慢げなアザーバイド。そこに、ヒップドロップを追いかけてきたモヨタが一撃をかます。 「目には目を、ケツにはケツだ! 喰らえ! ケツにオーラを乗せたオケツラッシュだ!」 どん! とアザーバイドを吹き飛ばしかねない勢いは、ダッシュによって勢いをつけたからか。ブリーフ一丁の尻が見事にアザーバイドにHITする。 「この瞬間を待っていたんダァー! ナイス、モヨタ! スパイラルフィンガーをしていいのはスパイラルフィンガーをされる覚悟をもっているものだけ、貫け、俺のスパイラァァァル!」 モヨタのヒップオーララッシュで揺らいだアザーバイドの隙を見逃すことなど、竜一はしない。オーラを纏った宝刀がアザーバイドの尻を狙い、突きだされる! 「覚悟の有無、それは神であろうと例外などなぁい!」 「アッーーーーー!」 半裸でなければこれ以上にかっこ良いセリフないだろう。 アザーバイドの丸出しな尻に、オーラを纏った宝刀がザックリ突き刺さり、勢いそのままにアザーバイドが吹き飛んでいく。 「オラ……オラ……男には掘られたくなかったゾー!」 断末魔は山彦の如く。ゾー、ゾー、ゾー……と小さくなっていく語尾を反響させながら、そのアザーバイドは散って行った。スライムも少し間をおいて崩れ去る。 「ふっ、これにて一件落着……!」 カメラをクイっと上げて決めポーズ。だから、ビシっと決めても半裸じゃ変態なだけだって、竜一。 ●顛末 アザーバイドを倒してしまえば、特殊空間も消える。説明通りの事象が起こって、リベリスタたちは服の損傷も酷いまま、公衆トイレがあった場所に放り出された。 「なんとか、無傷で済みましたね……」 あられもない恰好をした仲間をみないように視線をずらしつつ、リリウムが呟く。ルゥはルゥで、自分に被害がないのはいいとしてどことなく納得がいかない様子だ。 「さすが、子供に見せたくない作品トップなことはあるのです……」 キンバレイ、自重せず。せっかく活性化してきた絶対者が役に立つ場面がなく、どこか残念そうでもある。でも、攻撃されていればバッドステータスを受けないからすごく便利だっただろう。 「いいか、男子は今日の記憶を封印すること。今日見たことは全て忘れろよ……いいな?」 怖い顔でAFから取り出した上着を羽織り直す千夜。モヨタは視線をそらしながら必死に頷いていて、竜一はニヤニヤ笑顔で一度頷くのみ。 杏は痛む尻を抑えながらぶつくさとアザーバイドへの悪態を吐いて、彩音は胸を押しつけてあげられなかったわー、となにやら思い残すところがある様子。 「さて、無事悪は滅びた! みんな、帰るぞ!」 意味ありげにメガネをいじった竜一がそう告げて、事件は終わりを告げる。 ――竜一の隠しカメラが撮った映像は、後日「証拠物品」としてアークに押収されたと、報告書の最後の最後に記してあった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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