●大体この人がいつも何かやらかす。 その日、『SW01・Eagle Eye』紳護・S・アテニャン(nBNE000246)とその仲間のOwlEはガレージにいた。 レイジングボアと呼ばれる屈強な4WDの三号車が納車され、これまで重労働についていた1号車を休めるべく整備をしている。 「なぁ、紳護」 ボンネットを開き、エンジン周りをいじる紳護へOwlEが車の下から声を掛けた。 「どうした?」 「そのよぉ、ちょっと話があってなぁ」 紳護にとってこのフレーズは不吉でしかない。 大体、このOwlEという中年男がヘラヘラ笑いながら相談を持ちかけるときは、決まって面倒な事が多いからだ。 別に彼がトラブルメーカー……かもしれないが、そんなにしょっちゅうではない事が救いである。 「今度は何だ、お目当てのオペレーターに何かして大目玉でも食らったのか?」 「そんなこたぁしねぇよ、目の保養にしっかりと見物はするけどな。いやぁ、あのタイトスカートからすらっと伸びる白い足、たまらんなぁ」 そういう問題ではない、紳護は溜息を零す。 「そんな趣味趣向の話じゃないだろう? その話ってのは何だ?」 そうだったと呟くと、OwlEは車の下からニュッと顔を覗かせた。 「ほら、俺達って何かと金掛かったりするだろ? んで、予算的にそんなんだせるかーってなって、その時に予備資金ってので補填するよなぁ」 「あぁ、あれか」 それは紳護がここに来てから既に存在していた謎の金だ。 OwlE曰く、自分やその知り合いのコネを使って金づるを見つけ出し、それを膨らませて貯蓄しているらしい。 基本的にはOwlEが管理している為、その全容は知らないが。 「今回のレイジングボアもそこから結構出したわけよぉ」 以前、とある戦いで駆り出されたレイジングボアだが、戦いの最中1台が大破。 それは戦うにおいて考えられ、想定内に入った損失ではある。 しかし、誰よりも嘆いたのはそこで顔を出している男だ。 「んでまた貯めないとなー思ってな、海の家を幾つか経営する事にしたわけよぉ」 何故そうなった? 明らかに質問を顔に浮かべた紳護へ、OwlEがニヤリと笑る。 「わかってねぇなぁ、こういう時は稼ぎ時ってやつよぉ。あの化学調味料だけのラーメンが飛ぶように売れるんだぜ?」 「そういうお前は、どこで飲んでも同じビールに何時も以上に金を出すだろ」 確かにと笑い飛ばすOwlEは、手にしたレンチで紳護を指し示す。 「でだ、お前が調理やってくれ、めんどくせぇ事は俺がどうにかしておく」 「……分かった」 恐らく自分が頷く事を前提で話しているのだろうと、紳護は分かっていた。 断ればあの手この手で紳護にアプローチを続け、頷くまでそれは続く。 以前、身を持って経験済み。それにチームに有益な話ならば悪くは無い。 「頼もしいねぇ、我が隊長は。あ、それでよぉここからが本題でなぁ」 「何っ……!?」 ●海を前に働け 「せんきょーよほー、するよ!」 今日も元気いっぱいな『なちゅらる・ぷろふぇっと』ノエル・S・アテニャン(nBNE000223)の前口上で今日も始まる。 勿論傍には、対照的にむっつり顔の紳護の姿もあった。 「きょうはね、お兄ちゃんのお手伝いしてほしいの。ノエルはお手伝いできないから残念」 何か危険な事かと考えるものもいるだろう。紳護の表情も曇っている。 「その……単刀直入に言うと、海の家を手伝って欲しい」 夏といえば海、海といえばひと休みできる海の家。 しかし、何故アークで海の家の話が出るのやらと、状況を飲み込めていない者の方が多いだろう。 紳護は先程お願いされた内容をそのままリベリスタ達に伝えていく。 「でだ、勿論俺だけでどうにかなる筈は無いんだが……他の人員が揃わなかったらしい。そこで一時的に君達の手を借りたい」 続けて、ノエルが引っ張ってきたホワイトボードに必要な役割を記述していく。 「厨房での人員、接客の人員、あと遊具類のレンタルと整備の人員、場合によっては客引きも必要か……。ざっとそんなものだろう」 箇条書きに並べた役割というのはあくまで目安だ。 状況は変化する、場合によっては他の役割も必要になるだろう。 「本部からの支給もあると思うが、それにプラスして歩合制で追加報酬を出すとOwlEが言っていた」 そういっておけとOwlEに言われていたわけだが、果たして影響の具合はどうなのやらと紳護は思案顔である。 「あと、可能ならノエルの面倒を見てやって欲しい。一応、別のメンバーをお守りにつけるが、ずっと拘束させるのも大変だろうしな」 妹が天真爛漫ゆえに人を振り回してしまう事も重々理解している。 当の本人はきょとんと紳護を見上げているが、苦笑いを浮かべて頭を撫で、誤魔化しておいた。 こうして夏の暑いお仕事が幕を開ける。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:常陸岐路 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年09月13日(金)22:31 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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