●そして我々は いつ、何処で目が醒めたのか覚えていない。だが『戦う事』は覚えていた。何故かは知らない。分かりもしないが、きっと『そう』なっているから『そうなって』いるのだろう。たとえ、果てが無かろうと。たとえ、果てが在ろうとも。『そう』ならば『そう』するのみ。息をするように。心の臓が止められぬように。 ●毎日が宣戦布告 「我々の常識など、ちょっと場所が違うだけで非常識になるのかもしれませんね。いやはや、十人十色とは正に」 そんな言葉と共に『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)が事務椅子をくるんと回し振り返った。サテ、本日の『運命』を話しましょう。 「アザーバイドの来訪が観測されました。皆々様にはこれとの戦闘及び送還を行って頂きますぞ! サテこのアザーバイドですが、『永遠戦争の世界』から来たとでも言いましょうか。彼らはボトムでいうEフォースやその類に近い――そうですね、言うなれば『実体のある思念体』です。 彼らの世界には『死』という概念が無く、死なない彼らは永遠に戦い続けています。何故? ボトム式に言うなら『地球が回っているから』とかですかね……それが彼らの世界の『自然』なのでしょう。アザーバイドとは遍く、我々の常識が通じない相手でございますから」 理由を求めること自体が間違っているのだろう。そして、理由を求める事は今回の任務ではない。 重要なのは、『超好戦的戦争狂のアザーバイドがボトムチャンネルに迷い込んでしまった』事だ。 「戦闘が終わる頃に付近にバグホールが出現します。アザーバイド達に関してはそこからお帰り頂くのがよろしいでしょう。ブレイクゲートをお忘れなく!」 説明は以上です、と機械男は締め括る。「では」と一間、ニッコリ微笑み。 「お気を付けて行ってらっしゃいませ! 私はいつも、リベリスタの皆々様を応援しとりますぞ!」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年09月08日(日)23:31 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ツワモノ 太陽の下。ガランと広さ。 「郷に入っては郷に……言っても無駄か」 「ところかわれば品も変わる、とは言いますけれど。息をするように戦いを求めるとはまた凄い世界がありますねえ」 全くだ。奴等の常識は此方の非常識。仕方ない。『終極粉砕機構』富永・喜平(BNE000939)は打撃系散弾銃「SUICIDAL/echo」を担ぎ直して肩を竦め、ゆるりと笑った『ミックス』ユウ・バスタード(BNE003137)も改造小銃Missionary&Doggyの冷たい身体を人差し指で一つ撫でる。 「名古屋さん、実はその世界の出身なんじゃないですか? なんちゃってー」 「まぁさておき、何時も通りの実力行使でお引取り願おうかなぁ」 ユウに応えた喜平の言葉に、同感だと『ラック・アンラック』禍原 福松(BNE003517)が頷く。 「何故戦う? 等と理由を求める事すら野暮なのだろうな。きっと、その戦いそのものにもさほど意味はないのだろう」 嗚呼まるで自然災害を相手にしているようだと、黄金拳銃オーバーナイト・ミリオネアをその手にくるり。 戦闘をし続ける者達――自分もそうは変わらないが、と『T-34』ウラジミール・ヴォロシロフ(BNE000680)は静かに怜悧な蒼い眼差しを前に向ける。その彼方にいる3つの人影。3人のアザーバイド。わくわくしながら臨戦態勢。に、コンバットナイフКАРАТЕЛЬを突き付けて。 「何であれ、この世界で勝手を許す理由にはならない。……任務を開始する」 「さあ! 往くぞ!! 貴様らの矜持を見せてみろ! 僕らも僕らの矜持をみせてやろう、絆の力こそパワーだ!」 対照的に元気一杯声を張り上げたのは『ジーニアス』神葬 陸駆(BNE004022)。己の強さを矜持にガチンコバトル。実に天晴れな心意気。 ふぅ。一方で、眠たげな目で『微睡みの眠り姫』氷雨・那雪(BNE000463)が呆れた様に小首を傾げる。 「全く……男の人っていうのは、本当に、戦いがすきなのね……まぁ、本能だっていうなら、仕方ないけれど……」 自分も睡魔が齎す心地良いお昼寝から起きられないもの。仕方ない。とはいえ、だ。 「ここで、暴れられても困るから……丁重にお帰りねがわないと、ね……」 「……面倒くせぇな……この世界に、お前達が求める戦いはそこまで多くは無いぞ……」 態々別世界までやって来てご苦労な事だと三影 久(BNE004524)がボヤく。「おい」とアザーバイドへ呼びかけてみる。言葉は通じるらしい。「何だ」と返ってきた。 「ここは戦争を放棄した国だ。お前達の居場所じゃない。生憎お前達には理解できないだろうが……ただ戦いを求め続けるお前達の事も、俺には理解できない」 幻想纏より取り出す二刀。鋭い切っ先を、構えて。 「お門違いだ、戦闘狂。失せろ」 その言葉に。アザーバイド達がキョトンと顔を見合わせる。 それから、腹を抱えてゲラゲラ笑った。 「「「屈服させたきゃ勝ってみな!!」」」 一斉に襲い掛かってくる。嗚呼――久は隠しもせずに溜息を吐いた。言葉は通じるけどやっぱり『通じない』じゃないか。 ●ダブリュー ひゅーんと風を切り裂く音。先手は飛び上がった天。広げた腕。から、壮絶な火炎弾が降り注ぐ。大空襲。大轟音。 痛み。けれど、戦闘狂にはそれすらも愛おしいのだ。 「ああ分かる。分かるぞその気持ち」 戦闘狂に、戦闘狂。闘争=呼吸。闘わねば生きられないロクデナシ。己もまた同じと『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)が歓喜に口角を吊り上げる。額から伝う一筋の血を舐め上げる。分かるのだ。渇きが止まらぬ満たされぬ。唯一のオアシスは戦場。血に塗れてこそ、この魂は満たされる。故に闘う。水を空気を求めるが如く。至極当然自然な事! 「ハッハッハッハッハ!! 充分だな! さぁ死合おうかッ!!」 一切合財を笑い飛ばし、掲げた手。さぁ聴くが良い、殲滅せよと神の声。これが己の宣戦布告<ラグナロク>。賽は投げられた! 「天才神葬陸駆! 全身全霊を持って正々堂々戦ってやろう!」 「あいや暫く異界の客人、俺の名前は富永・喜平。戦いは不可避と知るが……せめて名の一つ位は頂戴してもよろしいかな」 敵の解説を試みつ後衛を護る様に立ちはだかった陸駆、超越した破壊の気をその身に纏う喜平が、それぞれ己が名を張り上げた。特に喜平が彼らに名を問うたのは、此度の様な小ざっぱりした戦いには情緒が欲しいと思うようになったからだ。殴り合うのにアイツコイツじゃ締りが悪い。 「『エースパイロット』天ッ!」 「『十字の』進軍者である!」 「『闘士』レッカだ」 応えながら、天が張った弾幕から進軍者とレッカが吶喊を仕掛けてくる。その前に立ちはだかったのはウラジミール、シビリズ、福松。 人数差上等。歯列を向いたレッカが彼らへ怒涛の武撃で襲い掛かる。殴打音。貫く様な連打。振りぬかれた蹴りがウラジミールの腹部に突き刺さる――が、否、防御されている。鳩尾と脚の間に差し込まれた『兵士の手』で。 「その程度の連撃では引かぬよ。戦につき合ってやろう」 恐るるに足りず。鉄壁のオーラを纏う彼こそ、絶対者。 「速攻で行くぜ」 ペッと吐き捨てる血交じりの唾。福松の白いスーツに血の点々。鼻血と切れた唇と。歯が折れなくて良かった。今度はこっちが殴る番。ぎりっと握る拳骨一つ。その肩越しの遥かには、膝立ちに小銃を構えるユウの姿。 「ようこそ、そしてさようなら。恨みも怒りもありませんが、貴方がたには倒れて頂きます」 ここでは闘争を一手段に留める者が大多数。そして自分もその一人。だって喧嘩はお腹空く。 「お詫びと言ってはなんですが、せいぜい楽しんで頂ける様には努めましょう!」 引き金を押し込む。視線の彼方で、呪弾と極道拳が炸裂する。 衝撃音。 槍を構えた進軍者が、戦車の如くリベリスタを蹴散らし後衛にまで切り込んでくる。那雪は血の滲む肩を抑えつつ、しかし静かに笑みを浮かべた。 「ここまで好戦的にこられたら、返すのが流儀というものだろう?」 奔る脳回路。鋭い紫睨。撃ち放つのは罠の糸。更に攻撃せんと構えていた進軍者を絡め取る。 「ぐっ、貴様!」 「卑怯とでも何とでも言え。これも戦略、というものさ」 勝つ為ならば手段は選ばぬ。 「後衛を狙う前に前衛から届かせるのが作法だろう」 眼鏡をキラリ、進軍者の前に陸駆。解析結果、耐久順は進軍者、レッカ、天か。もっとも回避能力や運を含めれば解析以上だけれども。どっちにしても戦うべし。構える掌。少年の53万のIQが物理的奔流となり、進軍者を叩き付ける。 そんなコマ送りの風景。久は刃をぐっと構えた。運のいい奴も居るだろうが、対策法はシンプルに一つ。 「手数で攻める事だ」 振り抜いた。不可視の真空刃の嵐。襲撃の暴風。最中を縫う様に、戦気の大砲が喜平の構える「SUICIDAL/echo」より轟と放たれた。進軍者に喰らい付く。 「お返しだぜぇ!」 直後に天が再度の大空襲を決行する。火の雨。けれど痛みを負ったのはリベリスタだけではない。ラグナロクによる反射。8人分のそれが天を苛む。だが気糸を振り払った進軍者が果てなき行軍の意志を一面に輝かせて。そしてレッカが、闘気の爆華で周囲の者を焼き包む。 折角の戦いだ――もっともっと戦いを! 「宜しい、果て尽きるまで戦おうではないか!」 幻想闘衣を身に纏い、シビリズはレッカへと双鉄扇を振り上げる。しかし、死を知らぬとは勿体ない。死を感じるからこそ闘争は至上と至るのに。今の己の様に。防御を貫く相性の悪さすらも素晴らしい。 「我が敵は! 全て! 砕く!!」 膂力の限り。打ち据える。薙ぎ払う。 「貴様達の相手は自分たちだ。簡単にはやらせはせんよ」 それに合わせる様に、レッカの攻撃を往なしたウラジミールがコンバットナイフを振るい抜く。 ずっと生き続けるという事に際しては何かとあるものだが、今は戦うのみ。 レッカの熾烈な攻撃にリベリスタも無傷ではないが、集中打を浴びる彼もまた同じ。切り裂く武術に血を流しつ、福松はその懐に大きく踏み込んだ。真っ向から向かってくる拳を見据え。迎撃するように鉄拳を突き出した。それはレッカの指にぶち当たり、ぐしりと鈍い音を奏でながら勢いを殺し、逸らさせて。 「チビにはチビの戦い方ってのがあるんだよ」 舌の上でぼりんと砕く、オレンジ味。刹那にユウが放つ弾丸が、レッカの意識を刈り取った。 「やるなぁお前等! 気に入ったぜ!」 ひゅん。背後を突く様に、レッカが倒れるや否や急襲を仕掛けてきたのは天だった。 その攻撃によって齎された衝撃。だがそれは、ウラジミールが放つ破魔の光に打ち砕かれて。 「攻撃だけでなく、状態異常などの間接攻撃にも注意が必要だ」 鉄の様に冷静、砦の如く鉄壁。ギラリ、光の残滓に構えられた兵刃が輝いた。その曇りなき意志を宿すかの如く。白い頬を伝う一筋の赤は、誇り高き色。刃の切っ先を突き付けた。 「神風は起こらない」 「戦は起こせるぜ!」 加速。加速。目まぐるしいそれを狙う銃口。 「どっちが先に倒れるか、勝負ですよー!」 ユウの唇が紡ぐ言葉と、幾度目かの銃声。出来る限り最後まで立って撃ち続ける。それがオーダー。 故に『勝負』だ。 「さぁ『勝負』を続けようか、天を駆ける者よ」 これからだとシビリズが獲物を構え、アザーバイドと交差させるは好戦の笑み。砕き斃さんと振り払われる轟撃と、天が繰り出す死角攻撃がぶつかり合う。何処までも激しく。 轟音。爆音。奏でろ戦闘音楽。飛び散る血を彩って。 戦士達の想定外に戦闘時間は続いて行く。響くのは戦闘狂の笑い声。 じわりじわり。けれど、戦況はリベリスタの方へ傾いて行く――反射を恐れぬ大空襲に反動を伴うゴッドウインド。天の熾烈な攻撃は確かにリベリスタ達を削ってゆくが、倒すまでには至らない。それでも、嗚呼、彼はどこまでも楽しそうにリベリスタへ襲い掛かるのだ。 死と言う概念も無く、ただ戦い続ける―― 「その戦いの果てに何が有るんだろうな」 大空襲の炎に焼かれ、咳き込んだ後に久は呟いた。肉の焦げるにおい。運命を焼き捨てた寸の間の過去。考えたところで、恐らく理解の外だろうが。刃を振るう。不可視の斬撃は落ちる硬貨をも切り裂く精度を以て、天の肩口を切り裂いた。笑っている視線と目が合う。 「戦いがあるんじゃあないかな!」 降り注ぐ攻撃にズタズタになりながら。大きくリベリスタ達へ低空飛行で吶喊を仕掛けんとした天であったが――『ゴリッ』と。その額。零の距離で、オーバーナイト・ミリオネア。妖しい金の奥に、ドラマを求めぬ無頼の橙睨。 「ドラマティックな展開はお呼びじゃないんだよ、そのまま堕ちな」 押し込む引き金、ヘッドショットキル。有りっ丈全弾。回る弾倉。6の数。天の身体が大きく仰け反り、地面にどうと倒れ伏した。 残るは、進軍者。 陸駆が那雪が鋭い槍の攻撃に血を流し、或いは運命を削りながらも全力で足止めに励んでいた故に進軍者がもたらす被害はかなり抑えられただろう。その代価に攻撃の手が少なくなり戦闘が長引いたが、結果オーライ。誰もがかなりの疲弊状態だが倒れた者がいないのは、互いに互いを護り合った事も大きいか。そして進軍者も同一に疲弊している。仲間の定めた優先順位とは別に、喜平が進軍者へひたすら攻撃を行い続け。戦場を駆け抜ける久の刃の嵐にユウの火矢。 終わらぬ戦いには終わらぬ『黄昏』を。白夜が如く。沈まぬ太陽。相性が何だ。長期戦が何だ。 「フ、フフフ。実に宜しい……!」 シビリズは歓びに咽を震わせる。 「この逆境具合こそ私を滾らせる闘争よ!!」 嗚呼それは正しく戦闘狂。この時を祝福するかのように腕を広げ、舞い降りよラグナロク。戦う為に、戦う力を。シビリズが謳うそれは戦場を強力に支え続けた柱の一つと言っても良いだろう。 互いにボロボロ、最後の踏ん張りだからこそ。その目は戦意に燃え上がる。 幾度目か、気糸を振り払った進軍者が鋭く槍を構えた。 「最後の一兵になろうとも我は戦い抜くのみ! いざ勝負!」 駆けてくる。蹄の音。幾度となく聴いた音。那雪は氷の如く笑みを浮かべる。 「何故だろうな? 争いなど、興味はなかったんだが……こういう気持ちを楽しいというのだろうか?」 高揚感が零と言えば嘘になる。だからこそ、「まだまだ、倒れるには惜しいと思わないか?」そう言葉を言い放って。裂けた唇から伝う血を手の甲で拭い上げ、繰り出す気糸。空を裂いて。進軍者の頭部を掠める。武装が削れ、散る火花。 「ああ、己が力を存分にふるえるというのは存外気持ちのいいものだな!!」 それを視線に、声を張り上げる陸駆の息は弾んでいる。何度も進軍者に吹っ飛ばされようとも、その前に立つ事を諦めない。ボロボロになろうとも立ち上がる。何度でも。そして繰り出す、絶対零度の死の眼差し。煌めく天才眼鏡。くぐもった呻きと共に進軍者の吶喊速度が緩くなった。そこへすかさず、早撃ちの44マグナム弾が進軍者の装甲に突き刺さる。炸裂する。 「石橋は叩いても渡らない主義でね」 狙える時に確実に。福松が構えるオーバーナイト・ミリオネアより立ち上る硝煙。肩に響いた発砲の残滓。 進軍者が踏み止まった。そして。槍を持つ手に力を全てを込めて行く。陸駆の天才的洞察眼はそれが何を示しているのか容易に見抜いた。来る。間違いなく。 「大技がくるぞ! 受けて立つのだ!」 飛び下がりながらの声。それにリベリスタ達も一斉に行動を開始する。或る者は全力で離れ回避と防御の体勢を。或いは負傷度合いの大きい仲間を庇い。 そんな中、進軍者の前に臆さず立ちはだかったのはウラジミールだった。 搗ち合う視線。 踏み込んだ脚。 振り上げた刃。 勝負。 いざ勝負。 進軍者は一切の敵を滅ぼす聖戦の力を振り下ろし。 少佐は総ゆる悪と魔術を逃さぬ超越した神気の力を振り上げて。 互いの全力、ぶつかり合う。 刃同士。ぎりぎりぎり。火花と光と戦気の中で。 じり。ウラジミールの脚が僅かに押され、下がってゆく。刃が、圧されてゆく。けれど。 「まだまだ――ここからが本当の戦いだ」 しっかり、身体の全てに力を込めて。 「ここで倒れるような自分では、ないのでな!」 ぎんと撥ね上げ、一気呵成に押し返す――その刃で進軍者を切り裂きながら! 「――御美事……!」 頽れる進軍者は笑っていた。酷く酷く、楽しげに。 ●昨日の敵はいつかも敵 「ったく戦闘狂だけ有って、流石に強ぇな」 本当にデタラメな奴だ。死なない上にあんな技なんて持っているなんて……戦闘後の疲労感、倒れた彼らを見つつ久が呟く。死を恐れないのも厄介だ、けれど。思ったりよりは悪くなくて。 「……良い勉強になった。また戦える機会があるなら、やり合ってみるのも悪くない」 「うむ、楽しい試合であった、たまには異世界のものとたたかうのも面白いだろう? 貴様らは強かったぞ!」 気が付いたアザーバイド達に手を差し伸ばしつ陸駆が微笑む。那雪もそれを手伝いつ、彼らの瞳をじっと見詰め。 「楽しかった……?」 「くーっ、てめーら強ぇな。俺ぁもうボロボロだぜ」 「良き戦いであった」 「傷が治ったらもう一度戦いたいものだ」 順に、天、進軍者、レッカ。どうやら何とか満足して貰えたらしい。 「……はぁ、頭をたくさん使ったら、眠くなったのよ……?」 本能なら仕方ない。眠たい瞳を擦る那雪であった。 「さぁ、招かざる客の帰還だ」 ウラジミールの視線の先にはバグホール。彼等が彼等の世界に帰る時。それを見送りつ、福松は黙したまま帽子を軽く手に取り会釈を。自然災害の様なものとは言え、強者に敬意を表したって良いだろう。 まあ、向こうは何とも思っていないだろうが――そう思った福松の予想に反し、天は敬礼を、進軍者は槍を掲げ、レッカは一つ礼をした。 そして彼等は次元の彼方に消え果る。 「……いやこんな連中が来るゲートを破壊するなど勿体ない気もしかしこれはあくまで任務、私情に流されるなどあってはならないがやっぱりこっそり残しておいてもばれないのでは」 なんて言うシビリズであるがちゃんとブレイクでゲートしました! 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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