●望まぬ再会 「お前たち何もなければ将来再会して結婚するぜ」 冗談で親友の智明が俺に向かって口にした言葉が今でも忘れられない。 まさか十年後に本当に俺達が再会するとは思ってもみなかった。それを一緒に聞いていた美里も同じ気持ちだったはずだ。 俺と智明と美里は同じ小学校で幼馴染の関係だった。家も近所でよく放課後には一緒に遊んだりした。もちろん俺達の中で唯一性別の違った美里に対して特別な感情がなかったわけではない。だが智明も同じ気持ちを抱いていた。 「俺、卒業式のあとに美里に告白したんだ。好きな人がいるって言われてフラれた。それから美里がお前に話があるって呼んでたぜ」 智明は苦笑しながら俺に言った。 正直に言ってその時の俺は安堵していた。これで俺達の関係にヒビが入らなくて済む。このまま二人が付き合わなくてよかったと思ってしまった。 それでも美里が誰を好きなのかはずっと知らないままだった。それを考えるだけで俺は胸が苦しくなった。そうしていつしか二人のことを遠ざけるようになってしまった。 会えば気不味くなるならいっそのこと会わない方がいい。 俺たちはいつしか本当に中学校が別々になってからは会わなくなった。 お互いの新しい友人関係や部活などで忙しくなったからだ。たまに顔を合わせることもあったが長く話したりすることはなかった。 それぞれが別の大学に進学してからは全く音沙汰もなくなった。だが、一度だけ智明と美里が付き合っているという噂を聞いた。その時俺はすぐにその話から耳を逸らした。 来年から就職先が決まって久しぶりに実家に帰ってきた時のことだ。 「早く来てくれ! 美里が危ない!」 電話が鳴って聞こえてきたのは何年振りかに聞く智明の声だった。 俺は嫌な予感がしてすぐに呼ばれた近くの公園に駆けつけた。 「――智明、美里」 俺は一瞬にして目を疑った。 血まみれになって倒れた美里と智明がいた。周りには獰猛な牙を見せつける野犬の集団が襲い掛かって来ている。すでに手遅れだった。智明は美里を庇いながら死んだ。 その時だった。動かなくなったはずの智明が血を垂らしながら起き上がる。 「翔一、遅かったな。本当はお前に助けてもらいたかったんだが――このざまだ。どうせこうなった以上翔一もあの世に道連れにしてやる」 「翔一君、私本当はあなたのこと……ずっと待ってたのに許せない!」 俺は愕然とした。思わず武器を下に落としてしまった。 まさかリベリスタになった俺が親友と初恋の人に手を向けることになるなんて。 ●生前の記憶に取付かれて 「都内の緑地公園にE・ビーストの野犬の群れが現れた。すでにその場でデートしていたカップルの灰村智明と支倉美里が犠牲になってE・アンデッドになっている。その場にはかつての彼らの親友であるリベリスタ笹本翔一がいるがすでに重傷を負っている。このままではリベリスタの命があぶない。早く彼を助けてきて欲しい」 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)が端的に情報を伝えた。ブリーフィングルームに集まったリベリスタ達は一刻を争う事態に思わず息を飲み込む。 新米リベリスタの笹本翔一は戦意を喪失しているようだった。かつての親友たちとの驚くべき再会に我を失っていた。頭では生前の彼らではないと分かっていてもどうしても手を出せないようでいた。そうしているうちに攻撃を受けて瀕死の重傷を負った。 「すぐに現場に急行して笹本翔一を救ってきてほしい。まだ周りにはE・ビーストになった野犬の群れが潜んでいるから気を付けてくれ。それでは健闘を祈る」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:凸一 | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年09月02日(月)23:31 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●憂いの雨 週末の雨の残る緑地公園は家族連れや友達同士でにぎわっていた。 みんな楽しそうに笑顔を振りまいて遊んでいる。誰も木々のすぐ向こうで今にも殺し合おうとしている親友同士がいることなど知る由もない。 「選択を先延ばしにした結果がこれだ。いくら嘆こうと後悔も懺悔も最早意味はない。エリューションになった以上アレらは唯の敵で世界にとっての害悪だ。理不尽で残酷なのはこの世界の常だろう、甘い考えで生きていける程ここは甘くない」 『アウィスラパクス』天城・櫻霞(BNE000469)は腕を組みながら、傍らにいる大切な人に横眼を向けて言った。この世界では一瞬の甘えや迷いが命取りになる。 「素直に全てを伝えていればこんな事にはならなかったのかもしれません。こうなってしまった以上、殆どが手遅れでしょうけど――」 『ODD EYE LOVERS』二階堂 櫻子(BNE000438)も頷いた。大きな花柄の帽子に青の鮮やかなロングスカートを纏っている。 櫻霞がちらっと櫻子の可愛らしいオシャレをした姿を見てくれたのが何だか嬉しい。スカートと帽子の中で尻尾と猫耳がぱたぱたと大きく揺れ動いた。 「友情というのは、やはり大事だ。いくら年月が経ったとしても、それは思い出として蘇るんだからな。だからこそ、こんな所で潰えさせてはいけない」 『侠気の盾』祭 義弘(BNE000763)もアークにいる友達を思い出した。おまけに今回は昔好きな人だった者も一緒だという。もし祥子たちがそのような目にあったら俺はちゃんとやれるだろうかとふと考えてしまう。 「突然友達を殺せって言われて動揺するのはわかるけどな。あいつらが、其処らにいる一般人を殺してからじゃ遅いんだよ。覚悟が決まらないならオレがやっちまうけどいいな? 逆恨みは勘弁してくれよ」 『輝く蜜色の毛並』虎 牙緑(BNE002333)も翔一のことを気遣う。それでもリベリスタである以上は心を鬼にして挑まなければならない。 「おめェもロクでもねェ稼業えらんだなァ。やめるなら今のうちだぜ?」 『華娑原組』華娑原 甚之助(BNE003734)も同じ気持ちだ。その場にいない翔一に問いかけるように口を開く。雨の中下駄の音がやけに大きく響いた。 「理不尽ですね、何処にでもあるありふれた事件。世界は優しくなど無い。救いは無い。されど足掻くが故に人は人足りえる。貴方は人か、それとも虫か。さあ、神秘探求を始めましょう」 『原罪の蛇』イスカリオテ・ディ・カリオストロ(BNE001224)は静かに口を開く。神父姿に身を纏いながらまるで楽園に赴くように颯爽と雨の中を進む。 「せめて昼にしてくれよ、お前らのせいで幻視をかける余裕が無くなった」 『クオンタムデーモン』鳩目・ラプラース・あばた(BNE004018)は理不尽な不満を誰に向けてでもなくぶちまける。すでに暗視を搭載して準備は万端だ。 「ふっふっふ。今宵は『メアリの記憶』が疼くぜ……恋もせずリベリスタの使命に殉じて逝った記憶達。……笹本翔一クン。このまま脆くも人生を終わっていいのかね? アークには身も心も頑丈な鉄面皮ガールが掃いて捨てるほどいるぜー!」 『ふらいんぐばっふぁろ~』柳生・麗香(BNE004588)が纏めた黒髪を揺らしながら元気よく叫んだ。見た目は非常に可愛らしくてスタイルも抜群だけど、なぜか麗香はモテない。これでは死んだメアリも浮かばれない。もうアラサーになりかけていることもあってこの辺でいい男を見つけておきたかった。 リベリスタ達はそれぞれに想いを胸に秘めながらすぐに翔一たちがいる場所に向かって急ぐ。早くしなければ彼の命が危なかった。 ●成すべき事 「修羅場☆です!! み~んな逃げてっ。とばっちりが来る前にはやくはやくっ」 麗香は走りながら辺りで遊んでいる人たちに避難を呼びかける。修羅場に陥ったカップルと野犬が暴れていると叫んで回った。 突然の麗香の言葉に人々は戸惑う。それでも甚之助が作り出した警官姿の影人たちを見て緊急事態を悟った人が真っ先にその場を逃げ出した。 「はいはい、向こうにちょっと野犬が出たからねー。あぶないからねー」 甚之助は混乱が起きないように影人を操りながら巧みに避難誘導を行う。警官姿の影人に従って人々も迅速に行動を開始した。 「足場が悪いですね……ならばこうするまでですわ」 櫻子が現場の悪状況を察知してすぐに仲間に翼の加護を施す。さらに戦闘に備えてマナコントロールで自身の体力を増強して準備に入った。 「これが初めての使用になるが、そうか。このような感じなのだな――」 義弘は聖骸闘衣を身に纏って感触を確かめる。素の時よりも身体の周りが何か羽織ったように暖かく感じられる。だが、すぐに義弘は翔一の元へ割って入った。 「お前たち何しに来たんだ! 今は取り込み中だ。はやくここから去れ。さもないと無関係なお前達も容赦しないぞ」 灰村はやってきたリベリスタ達に叫んだ。側では深手を負ってぐったりしている翔一と状況を見守っている支倉や野犬がうろついていた。 イスカリオテがまず超直観で位置を確かめて遠くからピンポイントで灰村を狙い撃つ。攻撃された灰村は顔をしかめてこちらに向かって金属バットを振り被る。 牙緑が我先に敵陣の中に突っ込んで行く。灰村たちよりも先にアッパーユアハートを放って攻撃をしかけた。怒りを食らった灰村と野犬達が一斉にこちらに向かって襲い掛かってくる。櫻霞とあばたが攻撃の外れた野犬にトラップネストを放つ。 その隙に義弘が翔一の元に駆けつけて間に入って庇う。すぐに怒った野犬達が噛みついてくるが身体を挺して義弘は苛烈な牙から翔一を必死になって守る。 「お前はそのままでいいのか? このまま、守られているだけでいいのか? 愛する人たちが自分を殺そうとした、自分のせいで二人はこうなってしまった。そう思っているなら間違いだぞ!」 「俺は……どうしたらいいかわからない。智明や美里を倒せない」 義弘の言葉に翔一は動揺した。まだ目の前にいる灰村や支倉のことを敵だと見ることがどうしてもできない。傷を抑えながら青ざめた表情で蹲っている。 「笹本君は私たちが殺すの。邪魔をしないで!」 支倉がナイフを無数に投げつけてくる。麗香は突き刺されて苦痛に顔を歪めた。それでも支倉に剣を振り上げて突入していく。 「支倉ぁ~。本当に好きな方にアタックかけろや~。二股かけちゃいけん~~っ」 支倉がナイフで麗香の剣を受け止める。壮絶な鍔競り合いが始まった。 「こしゃくな真似をしやがって。これでも食らいやがれ!」 灰村は金属バットを振りかぶって牙緑に襲い掛かる。身体を叩かれた牙緑は血を吐きながら地面に突っ伏しそうになる。さらに野犬が甚之助に牙を向けた。 「ぐはっ! ってさすがに噛まれたら痛いな、オイ」 冗談を言いながら甚之助は歯を食いしばる。次第に毒がまわって来て身体の感覚がなくなってきた。このままでは地面にひれ伏してしまう。 「痛みを癒し……その枷を外しましょう」 櫻子が傷ついた牙緑や翔一に回復の息吹を施して立ち上がらせる。ようやく青ざめていた顔が元に戻ったところで櫻子は翔一に言い放った。 「貴方がリベリスタなら、成すべき事は解る筈です……」 櫻子の真剣な表情に翔一は頷いた。だが、それもつかの間、後ろから支倉が櫻子に無数のナイフを投げつけてくる。 背後から現れた支倉が鋭利なナイフで櫻子を切り刻もうとする。あばたがトラップネストで支倉を食い止めるが、すでに放たれたナイフまでは止められない。 「櫻子さん危ない!」 翔一が叫んだ。もう間に合わない。そう思った時に櫻霞が動いていた。 「櫻子!」 櫻霞が間に入って櫻子をかばって地面に倒れた。無数のナイフを背中に突き刺されながらも堪える。腕の中で無傷の櫻子が心配して上目遣いに見つめてくる。 「お怪我は大丈夫ですか? 櫻霞様」 「ああ、これしき問題ない。死体がエリューション化、つくづくこの世界は気まぐれだな。諸共ぶち抜く、簡単に終わってくれるなよ」 櫻霞は痛める身体を起こして無理に笑うと、周りに居る野犬の群れに銃をつきつけて一気に放火した。弾丸の雨に撃たれて野犬は悲鳴をあげて残らず倒れた。 ●縛り付ける小さな石 「ふん、野犬のように俺はそうは簡単には倒せないぞ!」 灰村は途端に五体に分身した。等間隔に配置して野犬とともにリベリスタ達の周りを包囲する。すかさずイスカリオテがエネミースキャンで敵を観察する。 さらに麗香も同じく敵の本体を見破って確証づけた。 「灰村ぁ~。この浮気もんがぁ。なんで支倉に手ぇだした!?」 「美里は俺のものだ。翔一よりも俺の方がふさわしい。翔一のものは俺のもの。俺のものは当然俺のものだ!」 麗香と灰村が言い合っている隙にイスカリオテが幻想纏いを取りだす。 「あれが本体の様です。集中砲火を!」 イスカリオテは灼熱の砂嵐で敵を巻き込んで焼いた。 さらにイスカリオテからの連絡にあばたが即座に反応する。銃を構えてぶっ放す。予想外の本体への集中攻撃を浴びせられた灰村は血を吐きながら後退した。 甚之助も横からナイフで本体に迫って切り刻む。しつこい分身には牙緑が間に入って渾身の一撃を食らわして後ろにノックバックさせた。 「無抵抗なヤツを殴ってもツマラナイだろ? オレが相手してやる。ついて来いよ、死に損ない」 超反射神経で敵の動きをかろうじて交しながら分身をアッパーで一気に引き付けて仲間の本体への攻撃を援助する。 「お前らの動きも見通してやる」 灰村はお返しとばかりに心の中を読もうとしてきた。だが、櫻子がジャミングを使用して妨害する。これには灰村も焦らざるをない。 「……残念ですが、それは無理です」 「何をしやがった! くそっ!」 「てめえのインチキ手品はお見通しだぜ。これでくたばりやがれ」 甚之助に身体中を切り裂かれ、灰村は血を噴きだした。それでも血濡れた金属バットを片手に近くにいたイスカリオテに気力を振り絞って戦いを挑む。 「古き絆が一転足の引っ張り合い。いや、実に滑稽ですね。この技は貴方の名前に殉じて捧げるとしましょう」 黒とも白ともつかぬ灰狼の渇望が作り出す弾丸が灰村を襲った。 「ぐああああああ――――」 灰村が絶叫しながらついに地面に崩れ落ちた。すると同時に展開していた分身たちもこの世から姿を消して見えなくなってしまう。 「私は絶対に貴方たちを許さないわ」 すぐに支倉も援護して指輪から光線を放ってきた。あばたが光線を浴びて混乱してしまう。敵味方区別なく銃をぶっ放そうとするあばたに仕方なく櫻霞がトラップネストで縛った。即座に櫻子が何とか回復を施してあばたを正気に戻させる。 「まずはそれから壊すとしよう。そんな小さな下らん石が人々を惑わす」 櫻霞は指輪を狙い撃った。精確に軌道を辿った弾丸は宝石のついた指輪を破壊した。支倉は灰村との絆の証を壊されて茫然する。 「もうお前は死んでる。笹本はこの世のもの。いや、わたしのものっ! もうお前は智明しか愛せないんじゃ。N:根の国にT:とっととR:リターン!」 一瞬の隙をついて麗香は剣で今度こそ支倉の身体を切り裂いた。絶叫に苦しむ支倉は地面に膝を突いて血を撒き散らす。あと一息で支倉は倒れそうだった。 「そこのE・アンデッドを殺しなさい。それすら出来ないならどちらにせよいずれ、貴方は殺されます」 イスカリオテは厳しい口調で後ろにいる翔一に問いかける。 「二人は、お前さんを頼りにしているから、こうしてお前さんの前にいるんだ。お前さんが応えてやらなけりゃ、だれが応えてやるんだよ? 二人は今でも、お前さんを好きなんだろうぜ。そしてお前さんも――」 もうすでに動かない灰村の気持ちをも義弘は代弁した。それまでずっと義弘に庇われていただけの翔一がやっと前に出てくる。 「俺はこれ以上美里の苦しむ姿をみたくない、だから――」 翔一は麗香に剣を借りた。手に力を込めて強く振りかぶると支倉の首筋に目がけて思いっきり切り裂いた。支倉は絶叫して血を降らせながら崩れ落ちた。 ●始まりの予感 「戦う事の意味を彼は此処で思い知るべきだ。其は英雄的所業などではなく、唯の作業なのだと、其は心安らぐ善行などではなく、唯の痛みなのだと」 イスカリオテは全ての事が終わってからそう呟いた。翔一はいまだその場所に蹲ってそこから離れようとはしない。 「櫻霞様どうします?」 「関わり続けるのか諦めるのかは笹本次第だな。終わったことに興味は無い。櫻子帰るぞ。この場所にもう用はない」 櫻霞はそう言って背を向けた。しばらく櫻子は翔一の方を心配そうに覗き込んでいたが、やがて意を決したように尻尾を振って櫻霞の背中を追い駆ける。 「笹本様。わたし達は人間を捻り殺す力を持ってる。それでも人の間で生きるには、人間様に御奉仕して無害さを示し続けるか、でなきゃ首吊るしかないんですよ」 あばたが傍によって声をかける。ようやく翔一は顔をあげた。甚之助も立ち直ろうとしている翔一にガラにもなく言葉を絞り出す。 「この先もこの稼業を続ける気なら、こんなことザラにあるぜ? 腹ァくくれや――ほんとに嫌なら、アークの後方職員でも勧めるぜ」 翔一は甚之助の言葉に頷いた。握りしめた剣を持ってようやく立ち上がる。すでにその瞳には迷いや戸惑いは一切なかった。 いつまでもこうやって閉じこもっているわけにはいかない。これからも弱きものを助けるためにリベリスタになることを決意したはずだ。 死んだ美里や智明も浮かばれないだろう。これからも甚之助たちが言うようにさらに過酷な試練が待ち受けている。こんな所で挫折するわけにはいかない。 「麗香さん、この剣ありがとう。お陰でふっ切れました」 翔一は貸して貰った麗香の剣を手渡す。お礼を言われて麗香も嬉しくなった。 「ふっ切れたの~? それはよかったよかった! 過去の恋にいつまでも拘っているなんて男らしくないわ。ねえ、わたしでよかったら相談に乗るよ」 「ぜひそうさせて貰おうかな。俺はまだリベリスタになったばかりだし。これからの心構えや生き方について先輩から教えてもらいたい」 「いやだあ、先輩だなんて。翔一くんこれからもよろしくね。メール交換しようよ」 麗香は翔一と連絡先の交換をした。自分としてはこれ以上のない大成功で思わず心の中で飛び上がってしまう。もしかしてこれが恋の予感と半ば期待する。 「そういえばさっきのわたしのものってどういう意味です?」 「えっ、そそれは……」 「麗香さんてすごい面白いひとですね」 翔一も麗香の慌てて恥じる顔を見て笑った。見た目はすごく綺麗なのに中身が意外にはっちゃけているそのギャップが受けた。こういうタイプは今まで周りにいなかったため翔一は珍しくて思わず会話が弾む。 まだ少し胸のどこかに疼くものはあるが、それでもこれからリベリスタとして生きて行けそうだった。麗香も隣で拳を作って応援してくれる。 「また一緒させてください。その時までは腕を磨いておきますから」 頼もしい先輩達に囲まれて翔一は晴れやかに頷いてみせた。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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