●恐怖! 噂の『出る』学校 xx小学校―― 山奥に閉ざされ忘れ去られた廃校。 そこには怖ろしい噂がある―― そう。『出る』のだ…… ●どっこいそんなことはない 「です。色々な噂が実しやかに語られていますが、そこはただの廃墟となった学校ですぞ。皆々様にはそこに赴いて頂きます」 と、事務椅子をくるんと回し一同へ振り返った『歪曲芸師』名古屋・T・メルクリィ(nBNE000209)が言った。しかし、何故『お化け的なEフォースもEエレメントもアザーバイドもフィクサードも出ない極一般的な廃墟』にリベリスタが赴かなければならないのだろうか? 「それなんですけどね」 苦笑を浮かべるメルクリィ。が、取り出し卓上に置いたのは――ビデオカメラ? 「アーティファクト『ホラーカメラ』。一見してただのビデオカメラでございますが、『恐怖映像を撮りたい』という厄介な思念を抱えておりまして。非革醒者が触れるとその思念に支配されてしまうんですよね。しかしその欲求が満たされると、これは満足してその力を失います」 ので、リベリスタに話が回ってきたという訳だ。つまり『このアーティファクトを使って恐怖映像を撮れ』と。 「その通りですぞ。恐怖映像ならばジャンルや内容は不問、よくあるミステリー番組風でもホラー映画風でも何でも、ジャパニーズホラーから洋モノB級ホラーからSFホラーから妖怪退散ヒーローものまで好き放題にエトセトラ。皆々様のセンスに委ねますぞ!」 夏だし丁度良いのでは? なんて笑って、メルクリィは一同を送り出すのであった。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ガンマ | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月24日(土)23:30 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●ヒント:台詞縦読み 「私は幽霊など信じんよ。 目で見えぬモノは信じぬのだ……まぁ神秘が関わっているならまだしも、 リベリスタと成って以降は特にな。 1歳、2歳、3歳…… 散々言い聞かせられてきたからな。 今でもその精神は受け継がれている。まぁ、故に、かな。 プライドなどという高尚なモノでは無いが。信じぬのだよ。幽霊はな。 レンズ越しにすら見えぬモノを何故恐れねば成らぬ。仮に、いたとしてだ。 のうは認識せず、 中身なき魂だけなど、 にべもない。何が面白いのだ。 逝く先を迷ったのか? 流浪に迷い続けるとは、哀れだな。 のに出れば良いものを」 真夜中の廃墟。胡乱な気配。錆び朽ちた門より『禁断の地』に足を踏み入れた『Friedhof』シビリズ・ジークベルト(BNE003364)が溜息の様に言い放った。 「そういえばアーティファクトをどうにかせねば成らなかったな……。 しかたがない。 テンサイ殿がなにかするらしいな。フフフ良かろう。 今は協力しようではないか。早期事態収束の為にもな! ハッハッハ! ハッハッハ……」 響かせる高笑い。快活な足取り。けれど「同じく」と続かぬ仲間達の様子に振り返って。 「おいおい。何をホラーなどというモノを信じているのかね……正気か?」 前を見据えたまえよ! どこにそんな存在がいる! のきなみ怖がるとは。全く仕方のない……。 後ろにいる、等と言う事はよくあるらしいが。 ロクでも無い。 ニンゲンに害成せるのは、全て生きている者だけさ。それとも、あぁ、 いるというのかね。本当に、そんな不確かな存在が。 るろうせし。人を驚かす存在が。居る訳なかろう。 よく見てみる事だな」 シビリズさんマジ神々の黄昏。ファイナルでファンタジアン。丸ごと転載はアレかなって思ったんだけどこの感動を生で伝えたくて産地直送にしてみました。お許し下さい。鮮度抜群やで。 ●突撃! 恐怖の小学校 「心霊現象?」 馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに『家族想いの破壊者』鬼蔭 虎鐵(BNE000034)が鼻で笑った。 「そんなの全くもって怖くないでござるよ? 拙者は大人でござるからな、全くもって怖くないのでござる」 「別に怖くないですぅ~だってわたし最強だから~おばけとか居ないし~ピュ~」 吹けない口笛を声で言っちゃった『白雪姫』ロッテ・バックハウス(BNE002454)が「素早くスピーディーに急いで撮って帰るのです」と付け加える。二人共、顔色悪いよ? 「さっき知らない人にここに行ってって言われてきたんだけど、誰? 後ろの人って、何、?」 「神秘でも科学でも説明できない物って不思議な怖さがありますよね……」 顔面蒼白の『腐敗の王』羽柴 壱也(BNE002639)、以下同文で桜井 由良(BNE004629)。後者が「あ、あの」と言いかけた言葉を飲み込む。戦わないから大丈夫と聞いてやって来たのだけれど、普通の依頼よりも時間が掛かる分怖いんじゃなかろうか。 「えーと。恐怖映像を撮ればいいのよね」 対照的にいつも通りな『氷の仮面』青島 沙希(BNE004419)が『現場』をしげしげと眺め渡す。ホラー映画を見ても「あ、この特殊メイク面白いなー、本物みたい、どうやってるのかしら」とか「そこでその反応はないでしょ、演出が悪いのかしら、それとも役者の問題?」とか思ってしまうのは舞台女優故の職業病か。因みに恐怖映像のあの映り込む顔の中の人を演った事があるけれど、夏場にTシャツジーンズの上から幽霊風ローブで暑かった記憶しかない。 「やぁ~思い出すわ中学林間学校。やっぱキモ試しとかすんじゃんかぁ?」 先生が待ってる連中に怪談聴かせて煽ってさぁ、と『消せない炎』宮部乃宮 火車(BNE001845)が顎を摩る。昔からこの手のものはヘッチャラで、正直何が怖くて何が楽しいのかも分からなかったけれど。成程。これは。 (……おもしれぇなぁ?) ニヤァと良い笑顔。 そんな仲間達を見渡し、『ジーニアス』神葬 陸駆(BNE004022)は「ふむ」と頷いた。ホラーカメラとカチンコを手に。 「いいな、ロッテ! 貴様は怖がりながらレポーターだ。臨場感をゴーアヘッドだ!!」 「こ、怖くないし! クールにキメてやるのですぅ……」 「天才のエキサイティング総監督でピュリッツァー賞全部門いただきなのだ。 さぁ! シーンワン、スタートだ!」 カチコーン(←やってみたかったそうです) ●本当に出る! 怖い廃墟 「ロッテ小学校の廃墟ついたぁ~! 今日は集団自殺者の霊が出るとか出ないとか……確認しにやってきましたぁ! おしっこちびりそう!」 「だめだ! テイクツー行くぞ!」 ロッテの発言に早速、陸駆監督の声が飛ぶ。女の子のおしっこ発言はNGですか。 「ただ単にいいたかっただけだ」 だそうです。テイクツー。 「さっきから足の震えが止まりませんが、各教室に入ってみるのですぅ」 「ヒシヒシと感じるな……人でもエリューションでも無い 何かの存在を……」 ロッテに続いて火車がゴクリと唾を飲む。壱也の顔が更に白くなる。 「絶対に何も起こらない絶対に何も起こらないわかってるよわたしこーゆーところで起こりそうで起こらないの知ってるもんやめてよ何も言わないでブリーフィングルームのこと思い出させないで!!!」 くわしゃんキレッキレだったもんねぇ。心のMVPだわ。それはさておき壱也は火車と虎鐵の服の裾をフィジカル全開で掴んでいる。が、その他でもない火車が、驚愕に凍り付いた目で凝視しているのだ。壱也を――否、『その後ろ』を。 「ちょちょちょちょちょちょっと宮部乃宮くん」 「……いや なんでもない ……何も ……無いぜ?」 「ややややだちがうなにもこわくないよ! ちがうけどあのだめ近くにいて離れる許さない羽柴から離れる許さない離れないでよおおお」 そんなこんなで音楽室。 陸駆が覗き込むカメラの中、ロッテがドキドキしながら足を踏み入れる。そぉっと上げた視線の先に、ボロボロの絵が一つ。 「ヒィ! ベートーベンの目がこっち見てる気がす――」 刹那、ベートーベンの目――否、音楽室全体が光に満ちる! 「すっごい光ったああああ゛あ゛あ゛あ゛」 お次は理科室。 ロッテが足を踏み入れた、瞬間! 「ハハハ……ハーッハッハッハッハッハ!」 「ギャ! 笑い声!? お おばあちゃあああああああああああん」 ※シビリズがブレイクイービルとか高笑いで演出を頑張ってくれました! 「真夜中はテンションが上がるな! ハハハ――ぉぉお!? なんだ今何か不穏な気配が――敵かッ!?」 シビリズが振り返ったそこに。けれど。異変。 さっきまでいた由良が、いない―― 「……あ、あれ……皆さん、どこに行っちゃったんですか……?」 あれだけ歴戦のリベリスタが揃っていれば何も怖くない。と、思っていた矢先の出来事だった。周囲を警戒してキョロキョロし過ぎていた所為か、由良は殆ど前を見ていなくて。結果、迷子。生温い風が廃墟を唸らせる。辺りは暗くて不気味で――独りになると急に、一層、心細さが。 「あの」 呼びかけながら一歩。暗かった所為か、足を滑らせて転んでしまった。その拍子に眼鏡が吹っ飛ぶ。しまった。慌てて手探りで闇を探れど、直後に響き渡ったのは壮絶な高笑い――丁度理科室のシーンだがそんなこと由良は露知らず――ビクッと跳ねる肩、声にならない悲鳴を上げて無我夢中で走り出す。ただでさえ暗いのに近視の所為でほぼ見えない視界、それが余計に彼女の恐怖を煽る。 走って、走って、物陰に蹲って隠れて。心臓が早鐘。走ったのは久々で、恐怖と疲労が混ざって吐きそうで、落ち着け自分。そうだ兎に角皆を探さないと。その前に、水を飲もう。咽が渇いた。でも念の為に影に潜んでおこう。そうしておけば、幽れ――否、何かに見付からずに済むかも……しれないし……。 「ん? あれ、何? あそこ、……人影?」 ふと、壱也の視界の端に『ゆらっ』と。気の所為? もう一度見る。そして気付いてしまった。 あそこの扉、さっきまで閉まってたのに――それにこの音は、何? きゅ、きゅ、蛇口を捻る音……? 「くっ……」 息を詰まらせ、蒼褪めた顔で半歩下がったのは火車。 「ええい馬鹿馬鹿しい! 心霊現象なんざある訳ねぇだろ! オレは先に帰らせて貰う!」 「やだやだどこ行くのはなれちゃやだああああだって危ないよここ廃墟だよやめてよ何も起こらないってばいやだ宮部乃宮くんわたし達友達でしょおおおそれフラグだようわああん!!」 「うるせぇ! オレ――無事に帰ったら録画してた番組見るんだ! もうなにもこわくない!」 壱也の制止も虚しく彼は走り出す。たくさんのフラグを残して。 呆然、立ち尽くす壱也だったが。また音が聞こえた。がたがたがたがたた。それは、ロッカーの中で人が暴れるような音。 「ひっ! な、なんか変な音、聞こえた、よね? うううそつかないで聞こえたってば! うあああ大声出せば音わからな――何またなんか聞こえたやだあああああ」 やだーやだーやだー。エコーが響く。 ※仲間を探す由良が扉を開けて中を覗いていたのと、水を飲もうとしたが廃校故に水が出なくて蛇口を捻る音だけがした。 ※子供に変身した沙希がロッカーに入って中から叩いていた。 恐怖で凍りついた空気の中。不意に虎鐵が口を開く。 「そ……それでは拙者からひとつ怖い話を」 これは友達の友達から聞いた話。 この学校にはそれはそれは怖い噂があるそうな。 実はこの学校には『地下一階』がある。元々日も当たらないそこは暗く湿っていて、重苦しく息苦しい空気に包まれているという。 そして丁度、階段を降りた先の右手側に真四角の鉄扉があるのだが――その扉には何故か取っ手が無く、鍵があるだけ。肝心の鍵の所在も教師ですら分からない。 で、その扉の正体っていうのが…… その昔、戦時中に野戦病院として建てられた建物こそがこの学校の元々の姿で、件の扉は元は霊安室の入口であり、病院が学校に改修された際に封鎖されたという。 しかし改修時に回収し損ねた死体があって、夜な夜な「ワタシハココニイルヨ、ワタシハココニイルヨ」と呼びかけてくるらしい。 そして何故かその扉の前にはカギがあって、そのカギを使って開けると…… 「ワタシトイッショニココニハイッテネムリマショウ?」 けたけた笑う死者に引きずり込まれてその『仲間』にされてしまうのだ。 お わ か り い た だ け た で ご ざ ろ う か 「うああああああああああああああああああ自分で話してて怖くなったでござるううううううううオバケなんてレッドベルセルクでぶん殴って退治してやるでござるううううううう!」 「ひいいいい大きい声だしたら響く鬼蔭さんでかい声出さないでよお!! 殴っ……うぎゃああああなんかあたった手にいいい って尻尾かよ許さんぞビスハ!!!!!!」 「尻尾は! 尻尾は握らないでござ――アッー!」 そんなこんなで女子トイレ。 「女子トイレからヤバイ空気なのですぅ……行ってみましょお! ノックして、入ると出てくるって噂なのです、入ってみます!」 イエッサーと敬礼したロッテが恐る恐る女子トイレへ。 斯くしてそれはその間。陸駆はちょっと言い難そうに仲間へ振り返って。 「……トイレに行きたくなった。火車! と、トイレについてこ――いない! あいつはどこへ行った?」 「うおっ!? うおぉお! 何だテメッ……ぎゃああーっ!」 「この声は火車! うぬぅ! 全く仕方のない奴だ。だが先ず僕は颯爽とおトイレだ」 という訳で陸駆は近くの者にカメラを預けてトイレへと。用を済まして。ふと、窓から外を見てみれば。 『に げ ろ』 引っ掻く様な文字。滴る様な赤い色。広がったそれは血溜まりで。 けれどそこに、肝心の『血の主』の姿は無く……。 コレでオレは死んだワケだ。 物陰に隠れて、ケチャップを片手に火車は悪い笑みを浮かべた。そう、全ては演技だったのさ。皆の恐怖心を育てるためのな! 因みにぶちまけたケチャップはまぁ雨が降ったら綺麗になるだろう。 という訳で、火車は近くの扉に手をかけて―― ばたん! 「ヒッ!?」 大きく扉の閉まる音。女子トイレに突入したロッテは悲鳴やら大きな音やらに心臓がギュッとなる心地を覚えた。 「うう、もうやだ……陸駆様ぁ……出ていいですか……?」 と、彼女がトイレの出口へ目を遣ったその時。ぎぃいー……そんな音。軋んだ音で、閉まっていた3番目のトイレが開く。 見開いた目だけで振り返る、そこ、に、は。 「うぅ うふふふふ あそぼうよぉおおおおお」 狂った様にゲラゲラ嗤う――花子さん。悲鳴の為に息を吸い込んだロッテだったが、更に冷たい感覚が首の後ろを襲って。水? 否、これ、血だ。 「ギャアアでたああ花子さんでたああ!! フェイト使用! フェイト使用ですぅ! やだああ! くらいよせまいよこわいよー! アレ!? 誰もいない! 置いて行かれた! 皆どこおお!? ギャー! 痛ッ! 壁だこれ! ヒィィ血が! あっこれわたしの血だ」 ※花子さんは沙希の怪盗スキル。かけられた血は陸駆の仕業。 「なかなか気の利いた演出だ!」 陸駆は満足気に頷いている。因みになんか『出そう』な気がしたり怪奇現象が起きそうな気がしたがここはマジで出ないのでそんな事はなかった。 「ひどい目にあったのですぅ……髪もくしゃくしゃ、ドレスもシワシワ……合流できないし……」 はぁ。そんな事も知らずに一人きり、項垂れるロッテだったが。 「ロッテちゃん手つなごうむりだめだよここなんか気温低いしいいい」 同じく皆と逸れた壱也が泣きながら駆けて来る。うわあああああんむぎゅむぎゅ。 が。 その足元を何かがコロコロ、通り過ぎて行って―― 「え……今の、何……生首です……? やだぁ~見間違いですね! ハハ……」 「ちょっとまってほんと誰ふざけないでよばかばかうんこ斬る!!」 ロッテと共にパニックになりながらはしばぶれーどを取り出す壱也だったが、その足首に『べちゃっ』と冷たい湿ったモノが触れる! 「ひゃっ!? 何なんかつめたいのあたったあああうわああああだめこわいちびるたすけて」 「うわああん! 誰かー! もうやだあ帰る~!」 抱き合ってガタガタ震えて。 だから、気が付かなかった。這い寄る影に。 影は笑う。音もなく。嗚呼。良かった。やっと、やっと…… 『 み つ け た 』 真正面、零の距離、影からずるりと這い出した上半身。 目 が 合 っ た 。 「「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアア」」 ※コッソリ後を付けていた火車がボール転がしたり蒟蒻投げたりしてました。 ※影潜みした由良が皆を探してました。近視だから、超近距離になっちゃったのは仕方ないね。 (はぁーっ! たんのしぃ~っ!) カメラの映像残るよな? 火車は物陰から目をキラキラさせながら、泡を吹いて卒倒した壱也、ロッテ、由良を見守っていた。 ●おわかりいただけただろうか 「良し、カーット!」 陸駆の声が響き渡った。良い映像が撮れた。満足したらしい、ホラーカメラもその力を失って。 「うぅ……無事、カメラも喜んでくれて……さっさと帰りましょ……」 グスッと鼻を啜ってロッテが言う。そうだ、これ以上ここに用は無い。帰ろうか。そう、皆が踵を返した、 その視界の端、 硝子の向こうに、 こちらをじっと 見詰めている 見知らぬ、女の、姿―― 「アレは誰だー!?」 「ギャー! 見てない! 見てないですぅ! 逃げるのですぅー!」 驚く陸駆を引っ掴んで、ロッテは全身全霊で駆け出した。 後日。 「えー? 女のお化けが出た? あたし何もしてないわよ?」 そこには、しらばっくれる沙希の姿が! 『了』 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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