●唐突 「これを付けてくれ」 ブリーフィングルームに着くや否や、『SW01・Eagle Eye』紳護・S・アテニャン (nBNE000246)がアイマスクとヘッドフォンを差し出した。 二つ返事で頷くものは少ないだろう。訝しげな視線が紳護へと向かう。 「訓練場までのルートは機密事項になっている、すまないが情報保守の為協力願いたい」 今日は紳護達属する偵察部隊スカイウォーカーの面々が考案した訓練のテストに駆り出されたのだ。 しかし、何処で何をするかまでは聞かされていない。 そして今、その場所までが更に秘密。仕方なく渋々と装着するリベリスタ達を見やり、全員しっかりと準備を終えると紳護がAFで仲間に合図を送る。 やってきた隊員達がリベリスタ達の手を取り、誘導を開始。 本部を抜け、車両に乗せられ数十分。途中から何か別のものに乗り換えさせられ、計1時間程視覚と聴覚を封じられている。 アイマスクやヘッドフォンには透視等のスキルの類の対策を施しているらしく、かなりの徹底振りだ。 何処かに到着すると、乗り物から降ろさる。足元に何かが転がる振動を感じたものもいるかもしれない。 そこから更に10分程経過、唐突にヘッドフォンの音は途切れた。 『お待たせした、アイマスクとヘッドフォンを外してくれ。それと同時に訓練開始とする』 耳を疑う様なセリフに慌てながら障害を取り除くと――森が広がっていた。 足元を見れば頑丈なナイロンで出来たポーチが一つ、そして参加者の目の前には木で作られた掲示板と一枚の張り紙がある。 『唐突だがこれから訓練を開始する。期間は募集項目にあった通り、数日間とする。訓練内容は数日間見つからず、生存し、味方が君達を回収に現れるまで耐える事だ。隊員の支給品として使われているサバイバルキットを各自一つ支給しておく。詳しい事は下記詳細情報を確認してくれ、以上。 SW01 EE』 訓練とはいえ、とんでもない実戦に放り込まれたような訓練が幕を開けた。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:常陸岐路 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月28日(水)23:31 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●1日目 唐突なスタートを迎えたリベリスタ達はとにかく行動に移った。 実戦さながらの訓練ならば、こうしている間にも何か起きる可能性があったからだ。 「まずは川辺で食料と水の確保だね、器は鍋かポーチを使えばどうにかなると思う」 『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)の言葉に全員が頷く。 薪や竿に使える木々の回収をかねて、北を抜け、そのまま中央を経由し、東の川へと進むルートが今日の道筋となった。 地図を確かめ、全員でルートを暗記するが……方角は現状分からず、地図を持ったメンバーと逸れたら大変な事になるだろう。 北の森へと到着する頃、『普通の少女』ユーヌ・プロメース(BNE001086)が皆へ何かを差し出す。 「出来たわ」 サバイバルシートを切り裂き、糸と針を使って作った地図である。簡易的ではあるが大体の位置はコレで分かるだろう。 残ったシートは自身の翼に巻きつけ、羽を残さない様に隠していた。 ついでに指先から糸でぶら下げている針は布で静電気を与え、磁気を纏わせてコンパスとして働かせている。 (「きのこはわからないですね」) 『さぽーたーみならい』テテロ ミミミルノ(BNE004222)は、キノコと睨めっこをしていた。 薪を集める最中、グレーで長細い茸を見つけたのが、彼女の愛蔵本『野外生活マニュアル』には項目がなかった。 恐らくは判別が難しいだとか、そんな理由だろう。 「何かありまして?」 『ヴァイオレット・クラウン』烏頭森・ハガル・エーデルワイス(BNE002939)がミミミルノの様子を見やり、問いかける。 「このきのこ、たべれるかどうか かんがえていたのです」 「やめた方がいいわ、分からないものを口にして自滅したら大変よ?」 リスクとリターンの差が多すぎる、ミミミルノは名残惜しそうに茸を手放すと、薪を集めに戻っていく。 パラコードを使い、薪を束ねて背負って道なき道を歩く。 自然の中を歩くのは中々疲れるものだ、滑る足元、段差、日差しに湿気、全てが体力を削ぐ。 戦いで培ったスタミナのある彼らでも、川にたどり着いた瞬間には笑みがこぼれた。 『てるてる坊主』焦燥院 ”Buddha” フツ(BNE001054)が斥候として先に進み、川辺に敵影が無いのを確かめると、大丈夫だと手招きする。 結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)は早速釣竿作りに掛かった。 武器もしまったままなので、使える道具はサバイバルキットのみだ。 ささくれた場所をナイフで削り、鑢の面で滑らかに整える。本来ならしっかりとしたしなりを作る為長い時間をかけて火を通すが、そんな暇は無い。 削り、炙り、突貫作業で作り上げた竿の先端に穴を開け、テグスを通す。軽く引っ張り、具合を確かめれば問題なし。 その間に快と烏頭森は釣り餌の準備に掛かる。 「ユーヌさん、ちょっといいかな?」 傍で水の確保に当たっていた彼女を呼び止めると、快は背中を指差す。 「羽を一枚、もらえるかな」 ユーヌはシートに隠された翼に触れると、羽を一枚引き抜き、差し出す。 「それで何をするんだ?」 「これで餌をね……?」 金具と針と羽を上手く繋ぎ合せ、簡易的なルアーを作ったのだ。 魚からすれば、水面に落ちた羽虫の様に見えるはず。 「そっちは何を?」 「あぁ、服と土や砂利でろ過装置を試してみてるんだが時間が掛かりすぎるな」 上着に自然のフィルターを載せ、その上から水をたらし、ろ過を行っているのだが綺麗な水が垂れ落ちるまでには時間が掛かる。 緩やかにステンレスを叩く音が物語っていた。 『ネメシスの熾火』高原 恵梨香(BNE000234)と『無軌道の戦姫(ゼログラヴィティ』星川・天乃(BNE000016)が見張りに立つ中、続いて食料調達が開始される。 「思っていたより釣れるな」 これで三匹目を吊り上げたフツが上機嫌に呟く。 ここに来るまでの間、人が立ち入った痕跡はなく、自然のままという状態だ。 人という天敵が想定されていない川の中は、釣竿という捕食者を理解していないのだろう。 「これで保存食に出来れば、食い物には困らないな」 竜一も更に一匹吊り上げ、順調な流れだ。 こうして昼を過ぎる頃には釣りも終わり、暑さに汗が滲む。 常人なら察知しないレベルの痕跡でも、相手が追いかける可能性がある。 「気持ち、いい」 匂い消しの水浴び。強い日差しにも関わらず、川の流水は冷たく澄んでいた。 心地よさに目を細める天乃、これが肌に張り付く衣類ではなく、水着なら鬱陶しさもなくて最高だが我侭はいえない。 「……癒される」 思わず零れた恵梨香の呟きに、鳥頭森が微笑む。 「これが訓練で無ければ最高ね……っと」 水中の大石を足を下ろすと、積み重なった石の層が崩れ、けたたましい音が響く。 「大丈夫か?」 「えぇ」 ユーヌの言葉に鳥頭森が答えかけた、まさにその瞬間。 「敵かっ!?」 慌てて戻ってきた快は天国を目撃した。 張り付いた衣類は彼女達の艶やかな姿を余すことなくあらわにし、呆気に取られて振り返った表情も美しく可愛らしい。 「何をしているのかしら?」 静かに怒りの炎が燃え上がる鳥頭森は、愚か者へと大石を掴み上げオーバースローで振りぬく。 (「服着たまま水浴びって……いや、しかしこれはこれd」) 西瓜に大石がめり込むのを浮かべてくれれば分かりやすいだろう。 口と鼻から血飛沫を撒き散らす守護神は、錐揉んで石畳に叩きつけられた。 水浴びも終われば、水の詰まったポーチを下げて洞窟へと向かう。 ひんやりと涼しい洞窟内は薄暗く、奥へ行けば行くほど光は失われてしまう。 フツが先頭を勤め、烏頭森が遭難防止に壁に印を刻みながら中ほどまで進むと、洞窟の壁から白い岩が飛び出した奇妙なポイントにたどり着く。 「これだな」 地図に記載されていた石、フツは魔槍深緋の切っ先を石の隙間に宛がい、カンッ! と内側から衝撃を叩き込む。 綺麗な断面図を見せながら零れ落ちる石を拾い、表面に付いた白い粉をひと舐め。 「調味料には困らなくなりそうだぜ?」 味蕾が感じ取ったのは、塩味。大きな報酬だ。 早速それを持ち帰り、中央の森へと向かう。 今晩の夕食は川魚の塩焼き、ここまではちょっとした冒険まじりのアウトドアである。 日が暮れて、近づく気配、ここからは逃げという戦いの時間となるだろう。 ●深夜~2日目 時間が分かれば、日付が変わる手前だと分かる事だろう。 しかし、彼らにはそんな情報は無い。 暗視装置をつけた敵役が獲物を構え、静かに森の中を歩く。 草を踏む音も僅か、体が枝に擦れる時は風に紛れて動き、自然に溶け込む。 生い茂った中央の森を通過する敵役に、ただ身を隠すだけの状態。 (「敵の数は」) 竜一と同じシートに身を隠すユーヌが隙間から敵の姿を確認する。 シートには光の反射を避ける為に泥の膜と草木のカモフラージュが施されていた。 竜一のアイディアに感謝しつつ敵をカウントすると、ハンドサインで彼に指示を出す。 (「8人、だな」) 4人グループが二組、4本指のサインが二回示される。 音を立てぬように慎重にカウントを入れていく。 ザリッと土を踏みしめるブーツ、天乃のほぼ眼前という距離だ。 逃げのいっての今、力を手に入れたあの日を思い起こす。 足音が遠ざかり、気配が遠のくと静かにフツが茂みから這い出し、慎重に慎重に体を起こしていく。 「いったぜ、大丈夫だ」 静かな声にリベリスタ達は安堵の表情でぐったりと姿を見せた。 日付は変わり二日目が始まる。 「……」 再び偵察が来る前にと恵梨香はマルチツールを広げ、作業を開始。 更にフライパンと木の枝を準備、缶は見つけることが出来なかったが、代わりに薪を短く平らに加工した物を作っていく。 紺色の空がゆっくりと白み、同じくして釣り糸を引っ張り、拠点の周囲を歩きまわる。 茂みに引っ掛けない様に、そして見つかりにくいように低く張りめぐさられた糸に、準備した物を吊り下げれば。 「出来た」 簡易的な警報装置の完成、これで敵の接近が分かりやすくなるだろう。 日も昇り、明るくなると今日を生き残るべく行動を開始する。 薪はまだ余裕があるので、水と食料の補給に川辺へ、その後は森に撹乱用の罠設置と、食べれそうな植物探しが今日のプランだ。 日が昇りきる前の川辺は寒い、冷え切った空気に冷たい水が周囲の温度を急激に下げてしまう。 「さ、寒ぃ……」 シートに包まりながら釣竿を握る竜一の手が震える。 魚もまだ目覚めきっていない所為か、中々かからない。 一層の事、ここで水の煮沸がてら温まりたいところだが、火をおこしては石に焼き後が残るし灰の処理も困難。 我慢と耐え凌ぐ最中、見張りのミミミルノが大急ぎで此方へと戻ってくるのが見えた。 「て、ていさつへいですっ!かずは6にんなのですっ」 火を起こさなくて正解だ。 「フツ、斥候を頼む、後ろは俺が持って痕跡を消す」 快の指示に、槍を構えたフツが大急ぎで森へと駆ける。 茂みにもぐり、辺りを警戒。昨日と同じであればあと二人居るはずだ。 五感を総動員し、敵を探る。新しい匂いも音も無い、大丈夫だ。 手を振り、誘導する彼の後に仲間達が続く。 (「これで……っ!」) 最後に快が続き、石にこびり付いた砂を枝葉を箒代わりに払い落としていく。 森へと続く痕跡を消し終えると、直ぐに茂みへと潜り込むのであった。 川に現れた偵察兵は周囲を警戒し、そこを動く様子が無かった。 ならばと西の森へ食料確保と罠の設置に向かう事になり、今に至る。 「これとこれはたべれるのです」 本の記憶を手繰り寄せ、野草と果実を集めるミミミルノ。 これと同じものなら大丈夫と仲間に見本を渡し、効率よく集めていく。 これは? と快が指差す草をみて、ミミミルノが慌てふためく。 「あいこ はとるのがむずかしいのですっ、いたがゆくなるのでミミミルノにまかせてくださいっ」 アイコには棘があり、蟻酸という危ないものを宿している。 棘に触らない様にナイフで採取すると、ポーチにそれをしまっていく。 「でも、ゆでるとおいしくたべれます」 何故か棘が消えるそうだ、なるほどと感嘆の言葉にミミミルノが照れ臭そうに笑った。 一方フツと恵梨香は敵を欺く仕掛け作りの最中だ。 恵梨香は黙々と枝葉を組み合わせ、テントを作り上げていく。 食糧確保に当たる仲間から離れすぎない様にしながらも、距離を保ちそれらしい寝床を並べる。 汗水垂らしながらも、今度は草を結い合わせて足を引っ掛ける単純な罠を仕掛け始めた。 こんなものでどうにかなる筈は無いが、気を取らせ、且つ守る必要があるように見せかける。 おまけに鳴る子や、小枝の山といった感知器を仕掛ければ更に信憑性が増す。 「これで騙せればいいけど……」 額の汗を拭い顔を上げれば、フツが円形に並べたテントの真ん中で焚火の後を作っていた。 マグネシウムを燃やし、枯れ枝に火がつけば焦げ目が入ったところで消していく。 食糧確保の移動にあわせ、至るところに仕掛けた偽造ポイントが敵を欺くのを祈るばかり。 恵梨香は賽銭代わりに、最後のポイントの穴へケミカルライトを投げ込むのであった ●三日目 昨晩の夕食は思っていたより豪華なものとなった。 野草のサラダにキイチゴのデザート、特に甘いキイチゴは疲れた体に染み渡る。 回収は何時に来るのか? 訓練の揺さぶりは更に激しくなるのを、このときは知る由も無かった。 (「これで3度目よ……」) 寝起き数十秒後、鳥頭森は茂みの中で丸くなっていた。 深夜を過ぎてから直ぐに偵察がやってきたのは、予想通りだが、1時間半毎に偵察兵が戻ってくるのだ。 (「確かに一度通った場所は二度通らないとは言ってないからな……」) 竜一は偵察が1回だという言葉の裏に気付く。 出撃し帰る、これが1回。だが出撃し、どれだけ時間をかけてから帰るかは明確にされていない。 何度もループする偵察ルートに、リベリスタ達の休息が削り落とされていく。 おまけに深夜からは大雨。泥に伏せ、冷気に体温を奪われてしまう。戻ってくるまでの間に身を寄せ合い、体温を保っているが繰り返されればじわじわと堪えてきた事だろう。 偽の野営地が敵の周回コースを大きくさせており、まだ間が大きいぐらいだ。 朝、眠気眼と疲労した体を引きずりリベリスタ達の三日目が始まった。 「きっちりと潰しに来てるな」 茂みに隠れるユーヌの先には川辺、フツが先行し、探りを入れているがここからでも少しは見える。 敵兵の姿、川辺をうろつき、此方がやってくるのを今か今かと探っているのだ。 人間は食い物より水分を断たれた方が早く死ぬ、今回は早く弱る事となる。 水はなるべく節約しているが、前日の回収が上手くいかなかった分、キツイ。 戻ってきたフツの結果も芳しくない。再び水源を離れ、西の森へと向かう事になった。 今日の課題はどれだけ温存できるかだ。 夜と同じく2、3、3の組み合わせで歩哨を立て、木陰に潜む。 (「少しでも体力を戻さないと」) フツと見張りを交代すると、天乃は眠り落ちる前に先日から作り続けていたパーツを組み合わせ、弓矢を完成させると浅い眠りへとつく。 眠りの途中に近づく動物の気配を待ち、静かに獲物を待ちわびる。 「……」 物音、静かに目を開くと握っていた弦を素早く引き、放つ。 突き刺さる音と小さな断末魔、捕らえたのは小さな野鳥だ。 そして傍から離れようとする長い影に、快がすかさずナイフを振り下ろした。 「意外と美味しいらしいね、これ」 蛇、臭みはあるが肉としては普通に食べれる分類とされているそうだ。 「少し早いけど、昼ごはん」 早速血抜きを施し、普段することの無い解体作業を行うとぶつ切りにされた肉にカレー粉を塗していく。 動くものは大体食えるが、匂いで食べれない事が多いそうだ。戦場の先人達が見出した知恵は、強引に匂いをねじ伏せる事だ。 あまり匂いをこぼすと感づかれてしまうので火と同じく必要最低限、塩で味付けたそれを枝に突き刺し、小型フライパンで炒め、分け合う。 「思っていたより美味いな」 一口味わい、ユーヌは目を丸くする。 これで食べるのに困る獲物だったら、最終的に自分の羽を手羽先にしてしまおうと考えていたのは内緒だ。 「敵が来ます」 見張りをしていた恵梨香が危険の知らせを届けに戻ってきた。 急いで後始末をすると、今度は中央の森へ移動。その後、エリアを点々しながら日付が変わる手前まで追い回されることとなった。 ●4日目 敵が撤退しても、日付が変われば再び緊張が必要となる。 見張りに立っても意識が落ちかける、何を考えているのか分からなくなる。 本来陥るだろうミスに沈まないのは、リベリスタたり得る証拠ということか。 そして――希望のエンジン音が目覚ましベル代わりに鳴り響いた。 「こっちだ!」 竜一の声が森に響く、野営ポイントを奇襲してきた敵を引き付け、今は逃走劇を繰り広げている。 囮となり、時間を稼ぐ中、仲間は回収ポイントへ到着。すると予想通りヘリが着陸しようとしていた。 囮とならん勢いでフツが茂みから飛び出し、ヘリの着陸ポイント付近へと駆ける。 やはり待ち伏せがいた。小銃を構えた敵が物陰から飛び出すと、彼へと狙いを定める。 「っ!」 倒せずとも武器を攻撃して妨害ぐらいは出来ると鳥頭森のカードがライフルに突き刺さる。 ずれた照準はヘリの装甲を染め上げるだけ、銃を落とした敵はインクの付いた模擬ナイフを抜くが、ヘリに搭乗した味方が援護射撃を行い、敵を茂みへと追い込む。 「竜一、皆乗り込んだ。早く来い!」 聞こえているか分からない、だが置いていくわけにも行かないとユーヌが叫ぶ。 ふわりとヘリが浮かびかかった瞬間、森の向こうからインクの嵐が吹き荒んだ。 「ぬぁっ!」 奇跡的にもインクにまみれなかった竜一が頭から飛び込み、ヘリにしがみ付く。 体を引っ張られ、引き擦り込まれるとヘリのドアが閉まり、機体は一気に宙へと浮かび上がった。 「帰ったらお風呂と美味しい食事をとりたいわ」 淡々と働き続けた恵梨香が望みの言葉と共に壁に寄りかかる。 「そうだね……ついでだし、温泉寄ってかない? 少し骨休みしたいよ」 するとヘリの運転手が愉快そうに笑い声を上げた。 「敵役の奴がよぉ、今日お前ら倒せなかったら全員に奢るって抜かしてたからよぉ、アイツのツケにしとくわ」 リベリスタ達の笑いは、勝利の証だ。 鉄のゆりかごは彼らを休息の地へと運んでいった。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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