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大阪ラブストーリー~花嫁の奪還~

●結婚式をぶち壊す
 結婚式までもう時間がなかった。
 このままでは香奈子があの男と式をあげてしまう。
 香奈子は騙されているんだ。それは間違いなかった。本当ならこの式場で生涯の愛を誓うはずだったのは俺――吉村誠一のはずだった。
 それなのに直前になって別の男が現れて日高香奈子を奪われてしまった。
 香奈子は様子がおかしかった。
 俺達はすでに結婚前提で付き合っていた。それがある日とつぜん香奈子は別の男と結婚すると言って別れを切りだしてきた。彼女はそれから行方を眩ました。
 彼女は天涯孤独の身だった。家族がいなくて手がかりがなく途方にくれた。
 ようやく彼女の居場所を突き止めたがすでに遅かった。彼女は別の男――大道寺公彦とかいう男と結婚するという噂を聞きつけた。俺は耳を疑った。すぐに結婚式が行われるという場所に俺は直行した。
 まもなく結婚式が始まってしまう。はやくしなければ手遅れになる。
 俺はタクシーを飛ばして結婚式の行われる教会に辿りついた。すでに中では予定時刻が過ぎて式が始まってしまっている。俺は式をぶち壊しにするため中に入ろうとした。
「待ってるんや! 香奈子! 今助けたるで!」
 俺は扉を開けて中に入ろうとした。そのとき、何やら怪しい黒服を着たオバチャンたちが脇を固めてきた。腕を捻られてすぐに地面に組せられてしまう。
「あかん、ちょっと遅かったなあ。お兄さんにはいま入ってもらっては困るんや。うちの息子の晴れの舞台やからな」
「なんでやねん! 俺は香奈子と婚約しとったんやで!」
「あんたが誠一さんかいな。そりゃあすまんことしたな。うちの馬鹿息子がな、ずっと前から香奈子さんのこと一目ぼれしとったんや。せやから可愛い息子のためにうちらが一芝居打って香奈子さんをほれさせたんや。彼女が手にした婚約指輪には強制的に相手を惚れる能力がある。せやからもうあんたの出番はないんやで」
「そんなアホな。はやく香奈子を返せ、返すんや!」
「あんたにはもう用はない。居て貰っても邪魔なだけや。どうや、香奈子さんが他の男と結婚するのを見てから死ぬか、それとも今ここですぐ死ぬかどちらがええか選ばしたるで」

●花嫁の奪還
「大阪の日本橋の教会にフィクサード組織『大阪のオバチャン』が出現した。彼らはアーティファクトの婚約指輪を使って強引に自分たちの息子を結婚させようとしている。はやく教会に急行して彼らの結婚式をぶち壊してきてくれ」
 『駆ける黒猫』将門伸暁(nBNE000006)が端的に情報を伝えた。ブリーフィングルームに集まったリベリスタ達は一刻を争う事態に思わず息を飲み込む。
 吉村誠一と日高香奈子は婚約を誓った仲だった。だが、フィクサードの大阪のオバチャン達が香奈子を拉致した。香奈子にアーティファクトの婚約指輪を渡して強引に彼らの息子である大道寺公彦(34)との結婚を強引に決めた。
 大道寺公彦は日高香奈子が働く飲食店で一目ぼれした。強引に迫っても香奈子は言うことは聞かずに公彦は泣く泣く自分のおかんたちに取りついたという。
 『大阪のオバチャン』のメンバーである大道寺トモコは、可愛い息子のために日高香奈子を拉致した。そしてアーティファクトの指輪の効果で公彦に恋をさせた。
 ちなみに公彦は一般人であるから死なせないようにしなければならない。結婚式をぶち壊すとはいえ彼らを引きさがらせるのは説得が必要だ。『大阪のオバチャン』たちも、話せば分かる連中だからなるべく戦闘ではなく説得を試みる方がよいという。それでも聞かない場合は戦闘することもやむなしだと伸暁は言った。
「すでに結婚式は始まっているようだ。お前たちには結婚式の途中で乱入してなんとか花嫁を奪ってきてほしい。その際に彼女の左手の指輪も破壊してくるんだ。すでに恋人の吉村誠一がオバチャン達に殺されようとしている。現場には一般人も多く来ているからくれぐれも気を付けて行って来てくれ。無事に成功できるように神に祈っている」




■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:凸一  
■難易度:NORMAL ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年08月24日(土)23:31
こんにちは、凸一です。

大阪ラブストーリーです。
結婚式場に突入して花嫁を奪還してきてください。
手強い大阪のオバチャンにはくれぐれも気をつけて。

それでは以下は詳細です。
よろしくお願いします。


●任務達成条件
フィクサード組織『大阪のオバチャン』の撤退
アーティファクトの破壊
人質・日高香奈子(28)の奪還&吉村誠一(28)の無事
一般人の避難(大道寺公彦含む)


●場所
大阪の日本橋にある教会。中はすでに結婚式がクライマックスにさしかかり、愛の誓いが行われようとしている場面。周りには参列者の一般人が百人ほどいる。前方の祭壇に神父と新郎新婦がいて、他の一般人は参列席に座る。出入り口は右前方と後方の二箇所がある。


●敵詳細/フィクサード組織『大阪のオバチャン』×5
・田丸富美江(54)/ジーニアス×覇界闘士
巨漢で丸々と越えたリーダー。みんなは富美江の言うことを聞く。喋り出すと止まらなくなるくせがある。圧倒的なパワーで相手を威圧。主な攻撃スキルは焔腕と壱式迅雷。非戦スキルはハイテレパスとハイリーディング。心にまで語りかけて敵に精神攻撃する。
・村木早苗(55)/ジーニアス×覇界闘士
主な攻撃は土砕拳と業炎撃。非戦スキルは戦闘指揮およびハイバランサー。一番頭がよくて作戦を考えるのが得意な姉御肌。
・黒木由紀子(52)/フライエンジェ×ホーリーメイガス
穏便であまり表には出てこず無口。主な攻撃は翼の加護と聖神の伊吹
・柴田勝江(68)/ジーニアス×マグメイガス
とにかく切れやすく短期。主な攻撃は葬操曲・黒とマジックミサイル。非戦スキルはエネミースキャン。すぐに範囲攻撃で辺りの者を構わずに巻き込もうとする。
・大道寺トモコ(63)/ジーニアス×クロスイージス
元女優で人を騙すのが得意。主な攻撃はリーガルブレードとギガントスマッシュ。非戦スキルに影潜みと超幻影をもって相手をかく乱する。他の味方を積極的にかばう。
 とくに今回は息子の公彦が関わっているために感情の起伏が激しくすぐに暴れる。

・アーティファクト『指輪』
 日高香奈子はこの指輪の効力で公彦に愛情を抱かされている。それを解除するためには指輪の破壊が必要になる。香奈子は指輪に操られており、投げ技や殴る蹴るで攻撃をしてくるので注意が必要。またアーティファクト自体にも遠距離からの光線を放って破壊しようと近づく者を攻撃する能力を持っている。また強烈な光によって目つぶしする。


●その他補足
後方の出入り口の前で誠一がトモコに襲われている。前方の出入り口では富美江が見張り番をしており、式場内では早苗・由紀子・勝江が参列者席でなにかあったときのために即座に対応できるよう待機している状況にある。
ちなみに大阪のオバチャン達は大阪弁で語りかけたり大阪のことや息子のことを褒めまくると上機嫌になる。標準語で喋る東京もんが大嫌いで敵視している。




参加NPC
 


■メイン参加者 4人■
ナイトクリーク
アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)
プロアデプト
★MVP
御厨 麻奈(BNE003642)
ホーリーメイガス
丸田 富江(BNE004309)
ホーリーメイガス
キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)

●またえらい事
 教会内は祝福ムードに彩られていた。礼服に纏った参列者たちが笑顔で見つめている。修道女たちが讃美歌で祝福を唱える。新郎新婦は笑顔を周囲に振りまく。
 表面上は少なくとも幸せな結婚式だった。誰も今回の結婚がフィクサードの大阪のオバチャン達が仕掛けた罠であることに気がついてない。
 花婿の大道寺公彦は大阪のオバチャンの息子だ。新婦の日高香奈子は本来婚約者である吉村誠一と結婚するはずだった。それを公彦がおかん達に泣きついて奪ってしまった。
 式は予定通りに順調に進んでいた。このままではアーティファクトの力で惚れさせられてしまった香奈子が公彦と最後の愛の儀式を交してしまう。
「あのオバチャン達、また何かやらかしてるみたいだね。前回といい今回といい子供思いなのは解るけどやる事が無茶苦茶だよ、まったく」
 『愛を求める少女』アンジェリカ・ミスティオラ(BNE000759)はまるで白い陶器のような美麗な眉間の肌を歪ませた。思わずため息が漏れてしまう。
 豪奢なフリル付きのゴシックに身を包んだアンジェリカは結婚式の会場で意外によく似合っていた。もっとも今回の役割はただの参列者ではないけれども。
「またえらい事やってくれてんな。悪い人らやないんやろうけど……ま、今回も穏便にいきたいところやね」
 『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)は前回のことを思い出した。東京の日本橋で富美江たちと話しあった記憶は強烈だ。その時も息子の恋愛が上手く行っていないという話でなんとか一芝居をうって大阪に帰って貰ったのである。
 麻奈は普通の制服姿だった。会場には高校生や中学生も制服を着て参列しているため目立った格好ではない。それにホームグランウドの大阪に帰ってきたためテンションが少し高くなっていた。周りも全員大阪弁で馴染んでいる。
「ここが魔界都市オーサカ……とうとう足を踏み入れてしまいました。おとーさん先立つ不孝をお許しください。蛇が出るか妖怪がでるか、どちらにしても生きて帰れません!」
 キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)は興奮していた。夢にまで見た魔界都市オーサカに今自分が足を踏み入れていることが信じられない。すでにそのあまりに大きな胸が興奮でバクバクしていた。
 すでに色々なところがはじけてしまっているその服装は目に毒だ。キンバレイの前を通る誰もが一瞬自分の目を疑ってしまうほどのレベル。
 大阪人にとってキンバレイこそが珍獣だった。あまりに幼い容姿と爆乳のアンバランスさが逆に怪しいオーラーを作りだして誰も近づこうとはしなかった。
「さてと……この人数じゃ策を弄するってよりも正攻法でどーんと話し合ってみるしかないだろうねぇ。同じオバチャン同士。しかもアタシャ丸田富江、向こうが田丸富美江って名前らしいじゃないか。きっと心を開いて話し合えば、お互いを分かり合える気がする。そんな気がしてるのさ、アタシはねっ!」
 『遺志を継ぐ双子の姉』丸田 富江(BNE004309)はキンバレイに負けず劣らずの胸を張りだして喋った。割烹着に身を纏ったその姿はまさにオバチャン。
 今回のメンバーでもっとも相手と年齢が近い。さらに向こうのリーダーである田丸富美江とは名前も体型もそっくりだ。まるで自分が二人いるような錯覚さえしてくる。富江は自分の亡き妹である富子を不覚にも思い出した。
 思わず熱い思いがこみ上げてくる。何としても穏便に済ませるつもりだった。同じ年数を生きている者同士分かりあえる部分も多いはずだと気合いを入れる。
 いつものメンバーの三人に新たにアークのオバチャンを加えた一行は、早速正面入り口から吉村誠一を救うために突入した。

●腹を割った話し合い
「オバチャン、久し振りやな。ほら、お土産持ってきたで」
 アンジェリカがお土産に持ってきた蓬莱のアイスキャンディーの入った袋を大道寺トモコに突き出した。それを見たトモコが一瞬驚いて手を止める。
「あんたら、久しぶりやなあ。元気しとったか? アンジェリカちゃん」
 トモコは笑顔でアンジェリカに答えた。アンジェリカの後ろに見知った麻奈とキンバレイの顔を見てさらに相好が崩れる。
「これ途中で買ってきたんや、詰まらないもんやけど」
 中身は詰まってるから蹴らんといてや、と付け足してアンジェリカはトモコにアイスキャンディーのお土産を手渡した。中身を見たトモコは目を丸くする。
「気がきくなあ、アンジェリカちゃんは。あんた将来ええお嫁はんになるで」
「ともかく誠一さん襲うんやめて話聞いてや」
 トモコはすっかり上機嫌になって誠一のことは忘れていた。その隙になんとかキンバレイが誠一の安全を確保する。
「この人たちは俺の香奈子を奪おうとしているんです。お願いです。早く結婚式を止めさせて香奈子を取り戻してきてください」
 誠一がリベリスタ達に向かって訴えた。それを聞いてトモコも怒りを露わにする。ようやく本来の目的を思い出したトモコはキンバレイに迫った。
「キンバレイちゃん、そいつをこっちに渡してくれへんか。うちはそいつをシメんとあかんのや。このままにしておくとうるさいからな。それに息子のせっかくの晴れの舞台を邪魔されかねへん」
 誠一の腕を取ろうとして押し問答が始まった。そうはさせまいとキンバレイが胸を強調して誠一がトモコの方へ行かないよう魅惑する。
負けじとトモコも力を込めて誠一を引っ張った。騒ぎが起きて他の場所にいたリーダーの田丸富美江たちも現場に駆けつけてくる。
「おやまあ、またあんたら三人かい。遠いところを御苦労さんやけど、何しに来たんや? まさか公彦の結婚式を祝いに来てくれたんとはちゃうやろな」
 富美江は冗談交じりにいつもの三人に問いかける。騒動を止めに入っていた麻奈が一旦手を止めてリーダーの富美江に向き直った。
「久しぶりやね。またちょっと話聞いてんか。なんとびっくりこっちは人数もこれっぽっちや。話ぐらい聞いてくれてもええやん。とりあえずちょっと表行かへん? 式の最中に無粋な話はしたくないし、それに幸せな結婚式を真っ赤に染めたくないやろ?」
 麻奈が富美江の顔を伺いながら問いかける。対して富美江の方は麻奈の本心を探ろうとして心を読み取ろうとするが、ジャミングで妨害された。
「アタシ達が誰かも、何をしに来たかもわかってるだろう? アタシたちは無駄な争いは望まない。まずは腹を割って話がしたい、アンタかい? 田丸ってのは」
「見なれない顔やな。アンタ名前なんて言うんや?」
「丸田富江、55歳の誕生日を迎えたばかり」
「そりゃあ、おめでとう……って、うちの名前とそっくりやないか!」
 富美江は大げさに驚いた。目の前にいるオバチャンはまさに自分とそっくりの名前にそっくりの体型をしていた。あまりの偶然にこれには他のリベリスタもびっくりしてお互いを交互に比べる。
「まあ、顔はウチの方がちょっと別嬪やけどな。それにしても偶然なんてあるもんやな。あんたらそれにしてもただ話し合いにきただけとはちゃうな」
 富美江はそれでも麻奈たちが本気で止めにきたことを悟った。このままこの場所で争いをしてしまえば確かに結婚式は台無しだ。
 相手はたったの四人だ。ひいき目にみても強いという感じはない。対して大阪のオバチャンの戦闘力は粒ぞろいの強者だ。いざとなれば利はこちらにある。
 それに富美江はこの三人が結構気に入っていた。前回も自分の息子の友達ということで色々お世話になった。少なくとも話は聞いてみようという姿勢をとる。
「ニホンノケッコンシキ、ミテミタイデス。ナカ、ハイッテイイデスカ?」
 キンバレイが富美江に片言の日本語で問いかける。いろいろ突っ込みたいところは山ほどあるが今は麻奈たちと話し合う方が先決だった。
「ええよ。それじゃウチらは表に出よか。ただし話次第ではこちらも容赦せんで」
 富美江は麻奈に釘を刺して一緒に表へと出た。

●おかんの気持ち
 富美江に許可を貰ったキンバレイは早速その姿のままで結婚式会場に潜り込んだ。
 誰もが一瞬唖然とした顔でキンバレイの方を見る。堂々とヴァージンロードを一人で歩いてきたキンバレイは空いていた前列の席に座った。
「君はその姿――どうしたんだい?」
 横に座っていたオジサンが思わず声をかけてくる。
「オトーサンシゴトナイ、シャツカエナイ。デモキンバレイカナシクナイ」
 にこやかな表情で返事をする。たぷんたぷんと揺れる胸を見ていてオジサンは幻惑されてしまいそれ以上何も言えなくなってしまった。
「ドコノクニデモハナヨメサンキレイデスネ」
 キンバレイはうっとりしながら式を見つめている。そのときちょうど花婿がキンバレイの前を通りかかる。その瞬間、キンバレイは立ち上がった。
「お嫁さん……なりたいな……」
 キンバレイは全力全壊でテンプテーションを使用した。上目遣いにその巨大な張りだした胸を揺らしまくる。
 大道寺公彦はキンバレイの揺れる乳を見て幻惑された。幼い表情の美少女がとんでもない姿で誘惑してくる。その瞬間、公彦は隣にいた香奈子を突っぱねた。
「俺は、俺は……この子と結婚する!」
 公彦が大声で叫んだ。
 教会の中にいた誰もが驚きで目を疑った。
「キンバレイちゃん、俺と一緒に来てくれ。だれも来ない二人だけの国へ」
 公彦はキンバレイの手を引っ張って一緒に駆け出した。
「女の子は怖いんですよ」
 キンバレイがほくそ笑む。唖然とする参列者を置いて二人はヴァージンロードを逆走して外へと出て行った。
「おばちゃんら新喜劇好きやろ? 新喜劇でよう金や力のある人が、恋人おる人と無理やり結婚しようとする話あるやん。おばちゃんらそれ見て『なんやこいつ?」って思うんちゃう? そんで恋人の方応援するやろ? 今おばちゃんらがしてる事はそのいけ好かん奴と同じやで。そんな事すんの、ホンマの大阪人ちゃうで!」
「たしかにアンジェリカちゃんの言う通りやな。けど、今回はトモコはんがどうしてもって、うちも同情してしまったんや。せやからトモコはんを説得しくれへんか? ウチよりもあんたらの方が説得が上手いと思うで」
 アンジェリカはまずは富美江を説き伏せた。
 教会の外で富美江たち大阪のオバチャンとリベリスタ達の話し合いがすでに始まっていた。まずは井戸端会議の世間話から始まり、話が子供たちのことに触れた辺りから徐々に核心へと迫って行く。
「だがこれは違うんじゃないのかい? アンタ達が息子を想う気持ちはよくわかるよ。いくつになっても子は子、愛するわが子であるのは当然だ。でも……果たしてこれで、こんな形でほんとに幸せなまま一生終えることが出来るのかい?」
「たしかにそうや。そやけどダメな息子ほど可愛いもんやで。このまま公彦に嫁がこうへんかと思うと居ても立っていらへん。それに早く孫の顔もみたいし」
 富江の言葉にトモコが即座に反応する。だが、トモコも内心ではとても息子の心配をしているようだった。時折苦悩の表情をみせている。
「それにアンタ達自身、この結婚、本当に心から祝えるのかい? 息子におめでとうといってあげることが出来るのかい?」
 トモコは黙り込んでしまった。本当は出来れば自分の力で勝ち取って欲しいと思っていた。好きな相手くらい自分で見つけてきてほしい。
そうでないとこの先何があっても息子はいつまでも自立できない。母親はいつまでも元気でいられるわけではないのだ。
「大体やな、おばちゃんらも女やろ。好きな相手と無理やり離されるってのが辛いのはわかるよな。おまけに付き合わされる相手はマザコンやで。今日の花嫁はんの立場になって考えてみ? 嫌やろ? しかも姑はんはわけわからん力まで使うんやで可哀想すぎやろ。第一親がそこまで世話焼くからアカン男になってまうんや。公彦はん、あんたもあんたや、惚れた女振り向かせるぐらいの男気見せてみぃや!」
 キンバレイを連れてやってきた公彦に麻奈は言葉をぶつけた。
 その瞬間、公彦はその場に項垂れてしまう。先ほどから苦悩する母親のトモコを見ていて胸が苦しくなっていた。
 いつの間にこんなに親に迷惑をかけていたのだろうと後悔する。
「親が子供を想う気持ちに関西も関東も無い。そこにあるのは純粋なものだ。それをアタシはアンタ達とも共有したいだけなんだよ」
 富江の言葉についにトモコが泣き崩れた。

●息子の嫁はん
「そこの女――よくも公彦さんを奪ったわね。容赦しないわよ!」
 話し合いが終わった思った瞬間、後ろから香奈子が追い駆けてきた。その後ろから別のオバチャン達がキンバレイに向かって殴りかかってくる。
 即座にアンジェリカが面接着で壁を駆けあがり、バッドムーンフォークロアでオバチャン達をまとめて攻撃した。
 その隙に麻奈が超頭脳演算で状況を素早く把握する。オバチャン達が反撃に出る前に香奈子の指輪にむかってピンポイントを放った。
 指輪が音を立てて砕け散った。攻撃の反動で香奈子がその場に倒れそうになったところをキンバレイがすぐに受け止める。
「早苗、由紀子、勝江! 攻撃をやめるんや。もう話し合いはついたんや」
 富美江が他のオバチャンを制止する。リーダーの命令で早苗たちも攻撃をするのを止めた。香奈子も気絶しているが命に別条はなさそうだ。すぐに誠一がやってきて香奈子を安全なところに連れて行く。
「なあ、これから皆で遊びに行かへん? ウチ帰ってくるの久しぶりやねん。通天閣とか行こうや。もちろん息子さんも一緒に楽しゅうやろう」
「せやな。本当はアンタ蹴り飛ばしたいところやけど、賛成や。近くにNGKも5up吉本もあるしな。連れて行ったるで」
 麻奈の提案に即座にアンジェリカも賛同した。オバチャン達も公彦も式が台無しになって落ち込んでいた。二人の優しい気づかいを受けて嬉しく思ったオバチャン達も遊びに行くことを了承した。
「あんたええ娘やなあ。どや、うちの息子の嫁はんになってくれへん?」
 後ろで聞いていた勝江がアンジェリカに声をかける。じつはさっきの結婚式会場に勝江の息子もいたらしいがふとアンジェリカを見てしまったという。
「なんならアタシが嫁に行こうか?」
「アンタはいらへん!」
 富江の発言にその場にいた誰もが激しく突っ込む。
「まさかまだ他にも息子がおるんかいな……」
 アンジェリカは嫌な予感がした。思わずまた深いため息をつく。
 今度何かあれば必ず蹴り飛ばそうと思いながら、皆と一緒に大阪の街へと元気よく繰り出して行った。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
ご参加いただきありがとうございました。

大阪のオバチャンとは2度目の対決?でしたね。
人数的にはなかなか厳しいものでしたが、みんなが頑張った結果、今回も説得を中心に不利な戦闘を極力避けて、なんとか穏便に事を進められたと思います。

そういえば、大阪のオバチャンたちはまだ一度も本格的に戦っていませんが、
本当の実力は一体どれくらい強いのでしょうね。

MVPは、説得の核心をついて、戦闘になっても慌てず対処して後始末をした貴女に。
最後に遊びに誘われて大阪のオバチャン達もさぞや嬉しかったでしょう。

それから、アークのオバチャンは誕生日おめでとうございます。

それでは、またの機会にお会いしましょう。