●山登りのコツ 靴は履き慣れた物を選びましょう。 体調は万全に整え、急ぎすぎず一定のペースで登りましょう。 休憩は定期的に取りましょう。飲み物の摂取を忘れずに。 飴や氷砂糖などの糖分の常備が大切です。 お化けが出た場合は、寺生まれのなんとかさんとかいないので各自で対処を頑張りましょう。 長丁場になるので、全力の出しすぎはEPの枯渇に繋がりますので注意しましょう。 轢き逃げは本当に痛いので、どう被害を抑えるかを考えましょう。 面倒になったから山ごと焼き討ちしようぜ! は強制失敗な(神秘隠匿的な意味で) ●山狩りのコツ 「おい。後半おい」 リベリスタの突っ込みにうるせぇなこいつら的な顔を包み隠さず『廃テンション↑↑Girl』ロイヤー・東谷山(nBNE000227)は一言付け加え。 「マァ要はエリューション討伐山狩り編デース」 先にそう言えよ。 「某地方の地元の人が決して近づかないオカルトスポットな山デーシてね。沼から無数の手が生え、人喰い狐が出没する上に落ち武者伝説までありマス。あとジープ」 なんか聞いた覚えがある。 「以前にも一般人の救出依頼が行われた山デス。このエリューションたちは山から出ないようデスが、だからといって封鎖をいつまでも続けるわけにもいきまセンし、お盆ですからいい加減成仏して貰いまショーってことで」 E・ゴーレム、E・フォース、E・ビースト、E・アンデッドとオンパレードでしかも数が多い。そして山のボスであるジープはある程度部下が倒されなくては出てこない。長丁場になるのは間違いないだろう。 よって交代で休息も取れて防衛効果のある陣地構築が必要になる。今回は敵の数を考慮して、人員も多く駆り出されているのだ。 「皆さんはメインアタッカー。交代に備える予備戦力兼山頂に陣地を構築する役としてデュランダル2名、クロスイージス2名、スターサジタリー2名。それに陣地内のキャンプで負傷者を癒すホーリーメイガスとプロアデプトが1名ずつ」 前者はそこそこ戦えるが後者は完全に新人のため、キャンプ内にとどまっての任務となるだろう。 作戦の流れとしてはまず数台の車で山頂まで向かう。この間も襲われるだろうから注意が必要だ。 次に山頂に陣地を構築する間、エリューションを寄せ付けないように周囲でサーチ&デストロイ。 それ以降は陣地で交代で休息を取りながら襲ってくるエリューションを討伐して数を減らす。この作業は恐らく想定で3時間は戦い続ける見込みである。 最終的に現れるジープを討伐すれば他のエリューションも力を失って消え去るようだ。 「ハードスケジュールだな……」 げんなりした様子のリベリスタにロイヤーが笑いかけ。 「Youたちがリーダーですからネ。新人ヒーローたちにかっこいいとこ見せてくだサイよヒーロー」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:BRN-D | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月25日(日)22:48 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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●山登り事情 風光明媚な景色は背に流れ。本来ならば山登りを楽しむ者が多く訪れそうなこの山は、魑魅魍魎跋扈する山として立ち入りを禁止されているわけで。この日訪れた生者は2台の車に別れ乗る16名だけだった。 「うぇすちー。まかせたー」 その片方を運転する『デイアフタートゥモロー』新田・快(BNE000439)は片手で運転しながら器用に神秘を発現して。瞬間、沼に潜み不意をつかんとしていたフォースたちが引き込まれるように重なり姿を現す。 それが纏めて呑みこまれたのも一瞬。黒鎖はフォースを縛り上げ汚泥へと還していく。めんどくさげな表情でそれらを続けながら『メイガス』ウェスティア・ウォルカニス(BNE000360)はため息一つ。 「この仕事ってそれっぽい理由で山焼けばしんどい事しなくても……って嘘嘘、冗談」 胡乱な目を向けるサポートリベリスタに真面目にやるよと素敵な笑顔を見せてみたり。 「相変わらず雑多な山だこと」 生い茂る木々の影には様々な魍魎が息を潜め。かつての救出依頼に同行した蔵守 さざみ(BNE004240)は握った拳を前に突き出した。 「……今日はヒッチハイクする奴はいないのね」 それは彼女なりのユーモアだったのかもしれない。笑みの変わりに浮かび上がった紋様は青の軌跡を描いて――振り抜いた拳の先で爆炎が魍魎を焼き払った。 「魑魅魍魎が跋扈する山……まるで遠い昔を題材にした物語に出てきそう……」 ――ジープがエリューション達のボス格ってところは現代風だけど。 群がる魍魎を振り払う前方の車を眺め、『ルーンジェイド』言乃葉・遠子(BNE001069)は読み漁った膨大な本の一片を思い返し。現代風のこの物語も、いつか古の伝承として記録に綴じられるのか。 前方車両に比べ少しのんびりした後方車両。しかし決して魍魎に襲われていないわけではない。 木々の隙間から値踏みする視線。獲物をつけ狙い襲わんとするビースト。だがそれはただ一撃で粉砕される。 弾を込めれば狙いを付けて。『八咫烏』雑賀 龍治(BNE002797)は草木を揺らす音すら聞き分けて獲物を撃ち抜いた。先手必勝、必中の腕を持つ狙撃手はこの場で敵を1体も近づかせてはいない。 車内で狙撃手は狙撃に専念する。それができる状況にあった。 「な、な、龍治。喉渇いてないか? 飴もあるぞ。汗拭こうか?」 2人分の登山用品に、お揃いの鞄には食料に水分、応急処置用品。それらを当然のように用意して『銀狼のオクルス』草臥 木蓮(BNE002229)は今日も甲斐甲斐しく恋人を支えている。 その様子を微笑ましく思いながら、遠子は用意した甘いお菓子やよく冷えた飲み物を仲間に差し出した。 ●キャンプ事情 山頂に杭を打つ音が響く。突撃に備える防御柵は、簡易といえどリベリスタの膂力ならそれなりの効果を及ぼす。勿論、容赦ない日差しを遮るテントも忘れてはならない。 それらの作業に従事するサポートリベリスタに目をやって、『三高平妻鏡』神谷 小夜(BNE001462)は大きく呼吸を整えた。 「長丁場、ではありますけど。長時間キリキリ働くのはもう慣れちゃいました」 巫女である小夜は、大晦日から三が日にかけての寝る時間すらない神社の日々を幾度も経験しているのだ。 その隣で構えた30口径が連続する銃声を響かせる。その集中力は世界を小刻みに動かして。確実に捉えたエリューションを掃射で薙ぎ払い、木蓮が一息つけば。 心地よい風を感じる。ビーストに負わされた傷が塞がり、目を向ければ笑顔の小夜。 「サンキュー!」 「力加減は心得ていますから」 力を枯渇させない。傷を後に残さない。長丁場は得意分野なのだ。 「……来る」 空間を揺るがせて出現したアンデッド、その正面で一定のリズムを刻むアイドリング音。察知したと同時に駆け出した『Radical Heart』蘭・羽音(BNE001477)がその手を引けばチェーンソーは派手な音を撒き散らして。 高速の刃が落ち武者の身体に食い込み薙ぎ飛ばす! ふらつくその身を閃光が穿つ。瞬く間に4筋の光が切り払えばアンデッドは地に還り、拳を払ってさざみは呼吸を整えて。 「呼気が乱れれば、リズムも乱れる。この短い時間でも馬鹿にはできないわ」 いつものように、いつも通りに力を振るう。そのために必要なことに意識を割いて。 「大丈夫……? ここは、任せて」 頭を下げるサポートリベリスタに笑いかけ、羽音は再び臨戦態勢を取り。 突如湧き出すアンデッドは陣地構築を待ってはくれない。守り庇う、そのために。羽音は地面を蹴って新たな敵に挑み掛かる。 ●山狩り事情 築かれた陣地の入り口でまずエリューションと対峙するのはA班のリベリスタ。 「絶対無理はするなよ。フォロー中心に頼む」 掲げた意思は勇気の後押し。聖句が仲間たちの意思を支えれば、その先頭で快が一際高く咆哮を上げ。 散開していたはずの無数の手が快を押し包む。動きの早いフォースを上回る快ならばこそ、その攻撃を上手く自分に引きつけて。 ついで群がる塊を放たれた爆炎が四散させた。吹き飛んだ腕を星光の後押しが穿ち消滅させれば、ほっと息をつく射撃手たちにその調子だと快が肩を叩く。 第一陣を掃討し。薄まっていく文様を再び拳に浮き上がらせ、目線を上げたさざみの視界に次のエリューションが迫っている。 交代は10分間隔。まだまだ先は長い。 「それじゃあ、それまでを持たせるとしましょうか」 気負いはない。涼やかな表情のさざみの拳に揺らめく炎が宿った。 「っし、行くか龍治!」 交代し陣の外へ出るB班。疲労はないが、集中は敵の姿を捉え動きを予測してこそ効果を上げる。陣の内からの集中は大きな効果を及ぼさないだろう。だからなんだと木蓮は笑う。 ――俺様は龍治を知っている。 その横で、最大限にサポートする自身のことも。なら何の問題があろうか。その必中を知っているならば! 銃弾は星を象って。ビーストの突進に先んじて縫い付けるように穿つ星の軌跡。 「木蓮、追撃を」 「おう!」 龍治の射撃にビーストたちが半死の傷を受け。それでも止まらぬ突進を必死に食い止めるサポートリベリスタ、その背中越しに連続する銃声が鳴り響けば全ての敵は地に還る。 それも束の間、すぐに木々を抜けて飛び出すビーストたち。敵の出現は無尽蔵、息をつく暇もない。 「おおう、切りがないな……」 慌てて銃を構える木蓮に。 「陣地に被害が及ばぬ事が第一だ。己の仕事を果たせ」 悠然と構える龍治が隣にいる。ならば大丈夫。傍にいると思うだけで、こんなにも心強さを感じるのだから。 「ふぅ、お疲れ様……」 入れ替わりで休憩を取るA班。治療班の献身を受けながら羽音はテントの中で脚を伸ばした。 交代を挟むとはいえ、まだまだ3時間近く戦い続けなくてはならない。 「でも……こんな危ないの、放っておけない。大変だけど、頑張ろうね」 決意を笑顔で示し、羽音は仲間にお菓子を差し出す。 それを受け取ってひと齧り! 「あまーい!」と頬を緩ませてウェスティアが笑顔を返した。 「うん頑張ろ! 適度に緊張、適度にリラックスってね」 入れ替わりで戦っている他班に何かあればすぐに増援に向かわねばならない。すぐ戦えるよう、リベリスタたちは最低限の緊張を維持して。 「うぇすちー。ひざまくらー。……シュゴッ!?」 飛び膝蹴りが完全に入り快の顔が陥没した。なるほど、最低限の緊張状態は必要らしい。 そのまま宙に浮きムエタイポーズで1秒間に4回エア膝蹴りを繰り出すウェスティアに「すみません冗談です」と土下座して。スポーツドリンクで水分を補充した後は快も軽く目を閉じて身体を休める。 長期戦を制するにはしっかり心身を休めることが大切で。時に腹を打ち(快限定)、時に冗談も交えて、笑顔で時間を過ごして。 「ふふ。……あ、時間だよ」 足をもみほぐしながら仲間の会話を朗らかに楽しんでいた羽音が懐中時計に目をやって仲間に声を掛ける。 途端、テント内を薄青く染める魔力の展開。浮き出た文様を装着したガントレットに纏わせ、さざみはすでに外へと足を向け。 「さ、行くわよ」 どこまでもマイペースに先頭を行き。「おう」と言葉を重ねて仲間たちがその後を追う。 戦いは後半戦へと移り―― リベリスタたちに疲労が色濃く見える。休憩は十分に取り、遠子が仲間の精神の枯渇に気を払えばその温存も問題なく。A班と交代する際に恩恵を受ける快からの聖句もまた力となって仲間を戦場に送り出す。 それでも重なる疲労は激戦を表して。 「やらせないですよ!」 突如出現した落ち武者たちがサポートリベリスタへと組み付いていく。落ち武者の自爆に備え彼らへと小夜が上位の癒しを吹きかけ傷を癒せば、繊細に紡がれた遠子の気糸が仲間を避けて落ち武者たちの身体を削いでいく。 それらの支援を受けて必死に切り崩せば、自爆に巻き込まれることなくなんとかやり過ごし―― 「次が来ます……また、人魂……」 遠子がきゅっと唇を結ぶ。そう、B班がもっとも苦戦を強いられていたのはこのフォースだった。 その数は多く、素早い動きはB班の誰よりも先手を取って前衛へと群がって! 神秘の衝撃は複数に跨り、動きを鈍らせたところを更に新手が押し潰す。B班の前衛はサポートリベリスタたちが担当していた。その数は3名、当然敵の攻撃はその人数に集中して。 小夜が連続して練り上げる癒しの息吹はその深手をなんとか抑えるが……集中する攻撃の波に徐々に押し崩されていく。あくまでサポート、後衛に4人配置し敵を彼らだけで抑えるには荷が重すぎたのだ。 それでも支える。小夜もまた、後衛にありながらその力は前衛を支え戦線を押し戻し。 「もう少しだけ凌いでください」 交代まであと少し。この場を乗り切れば…… 希望はしかし、常に叶うとは限らない。 「――っ。また……?」 連続して浮き出たフォースたちが迫り来る。気糸で迎撃しながら遠子はAFに応援要請を投げかけた。 視線の先でサポートのデュランダルたちが地に伏せる、その様子に悔しさを噛み締めて…… 「無理しないでね……辛かったら言ってね……?」 なんとか交代までを凌ぎ、治療班と共に遠子が負傷したサポートリベリスタを気遣って。 「後は任せて、ゆっくり休憩してくださいね」 小夜も水分補給しながらパタパタと仲間の間を縫って献身を見せる。人の世話を焼いてるぐらいの方が落ち着けるのだと笑いかけ。 「まだ先は長い。お前たちも十分休んでおけ」 携帯食料をひと齧りして告げる龍治の、その横に木蓮は腰掛けて。ミネラルウォーターを差し出す木蓮にも疲労の色は濃い。 「……龍治、次は俺様が貸すから膝を借りてもいいかな。疲れた……」 そう口にして肩にもたれ掛かる婚約者に、何か言おうと口を開いて…… 「……膝を貸すのは、まあ、構わんが。こちらは借りるつもりはない」 ――人前では、な。 ごにょごにょ何か口にした。それは隣にいた木蓮にしか聞こえなかったのだけれど。 「んっ、それじゃあ俺様がするのは帰ったら部屋でな?」 へへーと笑う木蓮の表情でばればれだった。 「んーごちそうさまです」 虫除けスプレーを2人を隔離するように振り撒く小夜。遠子もくすくすと微笑んで。 「あと少し。頑張りましょうね皆さん」 少しでも楽に過ごせるように。飲み物やお菓子を配りながら見せる柔らかな微笑が仲間たちの緊張を解きほぐして。 「もーいつまで続くのかな!」 木陰に潜むビーストの熱を察知すれば、ウェスティアの展開する魔方陣から放たれた銀の魔弾が穿ち仕留めて。 それも束の間のこととわかりきるほどの持久戦。次々湧き出るエリューションを一体いかほど倒したのか。単純計算して5000体を超えるとか嫌気がする程まぢ無尽蔵。 後衛から激しい術式が敵を薙ぎ倒せば、それを支えるのが前衛たちだ。 快・さざみと共に突進を食い止めて後衛を護る。2人が倒れたB班の増援を交代で務める、羽音の身体にも疲労は蓄積し。 それでも敵を斬り倒す。前衛として、後衛を、陣地を守る、その覚悟。 「負けない、よ……」 出現したアンデッドをウェスティアの翼が巻き起こす風が切り刻めば、高速で振動するチェーンソーが疾風となってその身体を二つに切り裂いて。 A班が安全に敵を駆逐できる最たる理由はその速度。快がダメージをコントロールし、ウェスティアとさざみがビーストより早く敵を薙ぎ払う。前衛をクロスイージスを含め羽音たち4人で支えれば後衛は攻撃に専念して。 故に持久戦を上手くこなし、一息ついて癒しの歌を紡ぐ……ウェスティアの耳が、その音を確かに聞きつけて。 低空を飛んでいたその身を高く空へ! その広げた羽が大気の震えを敏感に察知して。ウェスティアがすぐに仲間へと叫んだ! 「とうとう来たよ!」 その響きは緊張にしてはどこか楽しげで、飽き飽きする単調な戦闘の終わりを期待するもので。 すぐにAFで仲間に呼びかけた羽音の目にも、猛スピードで雄叫びの如き轟音を撒き散らすジープが映っていた。 ●お盆事情 地面を抉り木々を薙ぎ倒す、ジープの重量もスピードも破格のもの。戦闘についていけないであろうサポートリベリスタたちを急ぎ陣地へと退避させ、羽音は深く息を吸い込んで。 「こんな、危険な車は……ボッコボコに、しないとね」 走り出す羽音の身体は限界を超えて。軌道を読んでボディを捉える、渾身の一閃! 派手な音を立て頑丈なボディを抉る、腕の痺れも心地よく……ついで身体に響いた恐るべき衝撃に空に投げ出された。 「――っ、ごほっ」 地に叩きつけられて呼吸を詰まらせる。慌てて紡がれたウェスティアの癒しにようやく身体を立ち上がらせて。 見れば快もその衝撃で柵へと叩きつけられていた。 「これは洒落にならないな」 快ですら、まともに受ければ3撃と持たないであろう破壊力。その速度も快を上回れば、必ず攻撃を引きつけられる保障もない。 それでも快は笑って構える。快は自身に課す役割はそれなのだから。痛かろうと怖かろうと関係ない。護れない方がずっと恐ろしいことだ。 自身の左腕を前に突き出す。それが意思。護らんとする誓い。ジープの正面に立って1人、咆哮を抱きかかえて。 「来いよジープ! 部下なんて捨ててかかってこい!」 「よくもっ!」 ウェスティアが怒りと共に生み出す黒の鎖がフロントガラスを強く叩けば、ついで降る銃弾の嵐がそのボディを激しく傷つける。 「よーし、全力でぶっ放すぜ!」 外の様子を事前に察知して、一際早く到着した木蓮の支援射撃。 「物語の最終章まで、後もう少し……」 「さあ頑張っていきましょう皆さん」 続く遠子が精神を統一して気糸で牽制すれば、その隙間を縫い魔力を循環させて小夜が仲間たちに癒しを届けて。 仲間たちの応戦を中心で。突き出した拳はジープを真っ直ぐに捉えて。 「本命の登場ね。もう遠慮はしないわよ?」 狙いをつけていたさざみが……その視界がぶれて小さく舌打ちをした。 「こんな時でも……迷惑を顧みない連中ね」 「自爆霊とか洒落にならないっての!」 さざみの舌打ちに快の叫びが重なって。湧き出る落ち武者は今なお戦場に溢れて。 組み付いて前衛の動きを制限する落ち武者たち。その身体を穿つ轟音は業炎を伴って身を焼き尽くし。 「ジープに専念しろ!」 必勝の焔弾を撃ち放った龍治の叫びに目線を動かせば、ジープは柵を滑るように後衛へと猛進する! 遠子、小夜の身体がまともに捉えられて宙を舞う。痛みに消えかける意識を、運命が奮い起こして……癒しの献身を続けんと力を紡ぐ意思! 「くぅ、これ以上やらせねーぜ!」 同様に薙ぎ払われながら、木蓮の銃弾がジープのタイヤを打ち抜いた。摩擦の音が悲鳴のように、その動きを制限して。 「一気に決めるぞ!」 快の咆哮にジープが進路を変えた。一瞬でも動きを止める、その覚悟を示し。 ジープの突進を、快が全力で押さえつける。ただその意地で! 力と力のせめぎ合うその無防備な背中に、飛び乗り叩き込まれた一撃は羽音のもの。 「決める、よ」 咆哮上げ振り回す車体が快と羽音を薙ぎ払い、快の運命を、羽音の意識を奪い取り。 代償はその止まった足。各方面より聞こえたのは音、音、音。銃弾の装填、展開された魔方陣、浮き上がる青の文様。 龍治の、ウェスティアの、さざみの必殺の一撃がジープのエリューションとしての存在力を塵に還して。 「ふぅ……お疲れ様、だよ」 遠子と小夜に抱きかかえられて、それでも羽音は微笑んで仲間を労った。皆で帰ろうと言ってから、手当てしてからねと笑いあい。 周囲を見渡して完全にエリューションたちが存在を失ったことを確認して、快が終わったんだなと座り込む。 「お盆が終わる前に成仏しろよな!」 完全に沈黙したジープの前で木蓮が別れを口にして。荷物を纏める龍治の元へと走っていった。 「他の存在は多々あれど、ジープはこの山に1台だけ。貴方は、この山に何か思い入れでもあったのかしら?」 言葉はない。ジープはもはや何も語らない。 ――廃車になった今、聞いたところで無駄だったわね。 帰還の準備ができたとサポートリベリスタに働かせていたウェスティアの声に頷いて。 そっと、車体をひと撫でして、さざみはゆっくり背を向ける。 単なる感傷。それだけのこと。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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