● 茹だる様に暑い夜。 只歩くだけで汗が噴き出す様な、嫌な湿気、気温。日本の夏はいつもこうだ。 文明の利器、クーラーに肖り涼しい部屋に引き籠る事こそ至高。そうは思えないだろうか。 けれど“彼ら”は此の季節、自ら好んで外で過ごすのだ。 それは、何も頭の中まで茹で上がったからではない。彼らは彼らの、獲物を狩るためその歩を進める。 “でーとすぽっと”なる空間に群れる子羊共よ、悔い改めよ。 ぎりりと握る拳。食い縛った牙を開いて、闘争本能を解き放ち、叫ぶ。 『リア充、爆発しろぉぉおお!!』 ● 「……ええと、要するに彼等の迷惑行為を止めて欲しいの」 節電対策で余り空調の効かない部屋の中。大きく画面に映されたのは、雄々と叫び暴れる青年達の姿。どうみても八つ当たりです、本当に以下略。 アークはいつから子供の御守りを始めたのだろうか、警察仕事しろ、等と白目になるリベリスタを前に、仕方ないと『リンク・カレイド』真白イヴ(nBNE000001)は話を続ける。 「彼らは、こう見えてフィクサードの集団なの。七派には所属していないみたいだけど、結構な実力者揃いみたいだよ」 粛々と資料の項を進め、任務の内容を説明していくイヴ。いつもより作業感の強いブリーフィング。何やら彼女なりに気に食わない事でもあるのだろうか。内容を纏めるとこう。 彼らは全部で8人。決まってデートスポットに現れ迷惑行為を働く。毎度人気のある地点に現れる為、いつか死傷者を出しかねない事。殺害までは必要無い事。そして最後に。 「今回観測した地点に彼らが現れた場合、間違いなく今夜の花火大会は延期になってしまうの。きっと沢山の人が悲しむことになるから、止めて」 瞬間、合点のいったリベリスタが数人。さっとイヴが後ろ手に団扇を隠したのを、彼らは見逃さなかった。 手を振り出ていく皆は、いつもより少しだけ頼もしい気がして。年頃の女の子の願い位、叶えてやろうぜと火が入る。 さあ、任務だ。真夏の孤狼共に、贖罪の弾丸を。 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:ぐれん | ||||
■難易度:NORMAL | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月25日(日)22:47 |
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■メイン参加者 8人■ | |||||
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◆ ――茹だる様な夏の陽が、その身をひっそり消した後。 過ぎる風が幾らか涼やかに変わる頃、静かな川岸に二つの影があった。 「今夜は、花火大会だな……」 夕焼け小焼けを見送って、のんびり歩きながら結んだ左手。前後に緩く振りながら『蒼き炎』葛木 猛(BNE002455)は隣の影へと告げる。 「そ、そうですね……」 余り揺らさないでください、と幾らか落ち着いた声で返したのは、『蒼銀』リセリア・フォルン(BNE002511)。 薄暗い畦道に二人きり。邪魔するのは幾らか響く虫の声と、川のせせらぎ。こんな“おあつらえ向き”な場所に居るのに、彼女は幾らか乗り気ではないようだった。 「花火に出店に……何と言ってもリセリアの浴衣姿か? 良いねえ、今から楽しみだ」 その間に猛は指折り数えて、屈託のない笑顔で告げる。が、振り返るその目には迷いの覗くリセリアの姿があって。 嗚呼、と合点がいった様子で歩みを止めると、不意にその身を抱き寄せる。二つの影が、重なって。 「あっ……、ちょっと」 突如消える距離、触れる肌。驚きを隠せないリセリアの耳に、猛は幾らか小さい声で。 「釣るんだったら、此れ位じゃねえと駄目かも知れねぇだろ?」 どうせ“見せ付ける”のなら、楽しんだ方が良いと言う。 ん、と小さな唸りで肯定を告げ、照れるその顔を隠すリセリア。気が進まないとはいえ、嬉しく思うのは人間の性か。 この時が続けば良いのに、などと彼女は思うのだろうか、暫しの静寂を、“餌”の足音がけたたましく汚した。 「ヒューッ! 御熱いねェお二人さん、此方が火傷しちまいそうだ」 その先頭、ぱたぱたと仰ぐような仕草と共に告げたのは、『リア充討伐軍』の軍隊長、鵜久森桂斗。その取り巻き達が、にやにやと横並びに集まり見詰める。 予定通りとはいえ、此処まで容易く網に掛かるとは。そんな苦笑を噛み潰しながら、二人は一度離れ視線を投げる。 「誰だ、お前ら……」 「よくぞ聞いてくれた、俺達ァ知る人ぞ知る恐怖の――」 「お待たせしました、まいふれーんずっ!」 緊迫感を突如破ったのは、『永遠を旅する人』イメンティ・ローズ(BNE004622)のふわりとした声。金の髪を左右に揺らして、二人と敵方の間に割って入る。ぽかんとしている両者を置いて、残るリベリスタも続いて姿を現す。 しかしその中に、『月奏』ルナ・グランツ(BNE004339)と『影の継承者』斜堂・影継(BNE000955)の姿は無かった。 「ンまッ! 此奴等、お二人だけなら未だしも集団で花火大会なんてッ…!」 「……落ち着け我が友よ、いつものおネエ口調出てんぞ」 仲間の一人を制し一歩前に出たのは軍隊副長、城谷圭悟。背に携えた大剣を引き抜き地に突き立てると、告げる。 「丁度良い、リア充を潰すのに加えてアークのリベリスタと遊べるなんざ、そうそう無いチャンスだもんなァ……」 静かに燃える熱血漢。丁度そんな様子で向ける好戦的な目線に、リベリスタ達も得物を引き抜き、臨戦態勢を展開する。 「良いぜ良いぜ、そう来なくっちゃなァオイ!」 両の拳を打ち付けて、火花を走らせ笑むのは『きょうけん』コヨーテ・バッドフェロー(BNE004561)。早く戦わせろ、と逸る気持ちに身体を震わせる。 「……殺すな、と言われてはいるのだがな」 その隣。殴った結果どうなろうと、仕方ないだろう。そんな物騒な台詞を吐くのは『Spritzenpferd』カルラ・シュトロゼック(BNE003655)。 アークからの指示は、殺害までは必要ないとの事。しかしこの二人、理由は違えどその指示を遵守する気は余りないようだ。前者は“半殺しだッけ、ナンだっけ、忘れた!!”様子。後者はこの通り。 「行くぜリベリスタ共ォお!!」 討伐軍の鬨の声と共に、闘争の火蓋は斬って落とされた。 ◆ 「本当に、暑苦しい連中だな……」 重なる火線。先陣を切ったのはカルラの高速の一撃だった。一挙に突貫、手前の目標へ勢いの儘に拳を叩き込む。 ソードミラージュ、とは良く言ったものだ。その手には手甲、十分な耐久力に加えて決闘者に迫らんとする粉砕者たる大火力。大御堂の茶次ぎの名手は、戦場では紛う事なき『フィクサード狩り』であった。 「そうですね、少々頭を冷やして貰いましょう」 続いてリセリアは猛の脇を抜け跳躍、前衛に並ぶ敵方へ氷の霧を見舞う。連中の頭を物理的に冷却せんと放った霧は確かに被害を生むも、突貫した男達を止めるには至らない。 「さあさあ、どんどん行くぜェ!!」 「ウチの姫が待ってんだ、さっさと終わらせて貰うぜ!」 霧を裂いて放たれるのは、桂斗の幻影と猛の迅雷。雄々と掛け声と共に互いを抉り、焦がし、傷付けていく。 「貴方達には寧ろ、リア充の恐ろしさを知って頂きますよ……」 最前線から一歩引いた位置。『贖いの仔羊』綿谷 光介(BNE003658)は眼鏡を闇夜に光らせながら癒しの息吹を体現する。 柔らかな雰囲気を持ち、癒し手たる今日の彼は、何処か据わった目で幾許かの決心とオーラを纏っていた。 「よしっ……捕獲完了っと!」 音符マークを携えて、先程まで姿を見せなかったルナが戦場へ合流する。この戦場より半径50Mという広大な範囲は、彼女の手に“堕ちた”のだった。 待ち受ける同族へ向けウィンクをひとつ。此処からが私達の正念場、と作戦開始を告げる。 「――桂斗ちゃん、だっけ?」 カッコ良いんだね、と魔力を練り上げながら放つは不意のお誘いの言葉。 この後の花火を一緒にどうかな、等と見た目は幼い少女が放つには十二分に過激な言葉。 「いやいや、未だ俺達一言さえ話してない処じゃねーか、よっと!」 放つ火球を避けながら断りを告げるも、夏の寂しいこの季節。相手方の居ない桂斗には多少の効き目を発した様子。それと並行して。 「副リーダーさん、強いとですねーっ」 本日は、ところによってあろーれいん。なんて零しながらイメンティが放った援護射撃。もろともしない様子で戦闘を続ける圭悟へ言い放った。 「戦闘中に賞賛等、敵方にすることではない……なっ!!」 リベリスタと刃を交えながらも、策略か、と告げる圭悟にぶぶんと顔を振って。 「イメも強くなりたいとですよ、どうやったらいいとですかー?」 “仲良ししたい”のはあくまで事実。嘘は長くは続かない、等と言うが彼女の眼には一寸の迷いもなくて。 「まぁ……、気が向いたら教えて遣るよ」 少なくとも戦いが終わったらな、等と返る言葉。この男、容易く陥落。 脇から見れば俗にいう、ただの逆ナンパ。羨まし許せん状況を前に、リベリスタは口々に『リア充討伐』の看板を笑った。 「ナンでェ、あの二人は今まさに御前ェらの敵になッてンじゃねェか!」 闇騎士が放った暗黒。その瘴気を焦がしコヨーテが振るう拳と共に、カルラの連撃が容赦なく叩き込まれる。 ぐらり、よろける程の大火力に闇騎士は膝を突き耐える、が、その体力は早くも底を着き始めていた。徹底的な単体攻撃に加え、彼らの癒し手からの支援が届いていなかったのだ。 その頃、戦場の最後衛に当たる癒し手は、揺れていた。怒りのせいだろうか、本当に聞こえているのか。頭に響く声と戦っていたのだ。 (お前達には、あの青髪カップルの前に誅罰を下すべき相手がいるはずだ!) 「――し、知った事か、僕ァ人前でいちゃラヴする輩が大ッ嫌いなんでやんす…!」 (見ろ、異世界出身、耳長合法ロリ系美少女と語らっている奴らの堕落した姿! 実に妬ましかろう!!) 「ぐぬぬ、それは確かに悔しいでやんす…」 (「大体、日頃から逆ナンされることがあるような奴を許して良いのか!?) 「そ、それは……」 「――否、断じて否だッ!!」 突如響くのは、戦場全体を揺らすほどの怒号。皆が振り返るその先で、謎の覆面を携え立つ男が一人。 すらりと高く、精悍な身体つきは間違いなく“彼”を連想させるものであった。そして先程の声の主も、後ろからそっと話しかける彼の物だったのだ。 「な、なんだ貴様、でやんすっ!」 「我が名は……リア充を爆破する者、シャドウブレイダー!」 万物をも灰塵と帰せ使む大剣斧を手に名乗ると、跳躍。桂斗の元まで一挙に距離を詰めると、迷いなく決闘者の一撃を放った。 轟と響く音と巻き上がる砂埃。なんとか一撃を受け止め睨む桂斗を背に、剣士はぐるりと辺りを見回し、告げる。 「この世に蔓延るリア充共……、全員叩き斬ってやる、神妙にせぇい!!」 ◆ リベリスタ女性陣の声掛けに加え、謎の人物シャドウブレイダーの出現によって、戦場は混沌と化していた。 リベリスタが狙うは当然『リア充討伐軍』の構成員。対して敵方は様々な想いが混ざり合い、その結果ぶつかり合う。 「何やってんだ、さっきから回復支援が……」 「僕ァ、リア充の敵でやんす」 「おま……戦闘中に何言ってやが――」 「大体、アンタ達はいっつも良い思いしてるの知ってるのよォ!!」 戦闘中に家族の話をするな、なんて言葉があるが、それは大方フラグなどではなく集中力の問題。 口々に言い合いをしながらの戦闘など以ての外。統制の取れない敵方の動きに、リベリスタ達が苦戦する要因は無かった。 「アンタ達みたいなリア充、爆発しなさいよォオオ!!」 「しまっ……」 敵方のクロスイージスが振るう全力の一撃に、猛は直撃を受け体勢を崩す、が。 「どんなに邪魔したって、リア充は爆発なんかしませんよ?」 其れまで沈黙を守っていた光介は、簡略化された独自の術式を用い癒しの神を体現し、言う。 「このニット帽は、彼女がクリスマスに編んでくれたやつなんです」 するり、頭に付けた季節外れのニット帽を外して云う。 きちんと彼の羊の角の部分が広めに取られていて、幻視しなくても大丈夫な優れものなんです。なんて緩んだ表情の儘続けて。 「あ、こっちのナイフは付き合う直前の思い出で……」 すらり、懐から出したのは輝く銀のペーパーナイフ。全身に纏うリア充オーラは、先程まで何処に隠れていたのだろう。 「そう、リア充ってやつは……こうして妬まれるほどに、己の幸せを噛みしめるんです!」 「――お前ら、悪い。此れ俺の得物だわ」 突如始まった自慢ショー、360度どの角度から見ても幸せが噴き出るこの男を、何故最初に切り伏せなかったのだろう。 怒りやら嫉妬やらが噴き上がり、一周まわって冷静になった頭。桂斗はその爪が白く染まるまで剣を握り、突貫。 「手ェ貸すぜ、リーダー」 「アタシももうダメ、この羊さんから潰すわ……!!」 「 満 場 一 致 で や ん す 」 他の敵方も、一挙に光介へと攻撃を集中。その身が巻き上がる砂埃や爆炎に包まれ、見えなくなるまで渾身の一撃を見舞う。が。 「――全部、『しょうがないよなー、ボクの彼女、こんなにかわいいんだもん』って思うためのスパイスになっちゃうんですよ……」 迷いなく運命を差出し立ち上がる光介の眼差しには、何処か彼の中に眠る“野生”が宿っていた。 「……余り、リア充の頭の沸き具合をなめないでください?」 にこ。 一挙に敵方に走る電流。戦意と勢いを確かに抉り、恐怖さえも植え付けてリベリスタ側の優勢を誘った。 「そろそろ遊戯が過ぎたろ、頃合いだ」 彼らのやり取りを一歩引いて傍観していたカルラは再度突貫。副リーダーの圭悟の眼前で小さく告げると、疾風の如き一撃を見舞う。 その綺麗な顔にサヨナラを言えよ、等と冷徹に放つと、利き手でもう一撃。 「ッちィ……、未だぁあ!!」 左右に脳を揺さぶられた圭悟は、定まらぬ視界で反撃。眼前のカルラへ渾身の一発を振るうも、その矛先は大きくぶれて。代わりに捉えたのは同じく駆けたコヨーテ。 重々しい金属同士が衝突する音。直撃を受けたと思われた彼はにィ、とキメ顔をして見せ、受け止めた剣を跳ね上げ、烈吼。 「悪くねェパンチだよな、お前。だが俺にャあ届かねェぜッ!!」 轟々と燻り燃える拳を振り抜いて。城谷圭悟を、此処に伏した。同時に。 「――御前の剣じゃ俺は斬れんよ坊主……」 「む、無念……ッ」 俺は、非リアだからな。と剣士が述べた決め台詞と共に、桂悟の身が地に伏す。 「ククク……待たせたなリア充共……」 ゆらり、緩慢とした動きで振り返るシャドウブレイダー。その兜の奥で燃える眼光は、真っ直ぐに猛とリセリアに向けられていた。それは確かに、殺意にも似た色が込められていた。 その源は嫉妬、餌の為とはいえ見せ付けてくれたじゃねえか。などと小さく呟きながら、剣士は確り握った剣斧を振り上げて。その側近(?)たる二人の姿も、それに続いて。 「僕ァシャドウの兄貴についていくでやんす……!」 「ンまッ、私もイクしかないじゃない!!」 「……負け犬の錆び付いた牙で、その首食い破ってやらァ!!」 「「「雄々ぉぉおおお!!」」」 ◆ 「……すみばぜんでじだ!!」 あれから暫くして。其処には縛り上げられ並んで座らされたリア充討伐軍(+1)の姿が。その御顔は原型をとどめない程に“お仕置き”されていて。 こんなこと、もうダメですよ。等と頬を膨らませながらのルアの治療を受ける彼らには、幾許の幸福な表情があった。 「花火大会を楽しみにしている、一人の女の子を知っています」 ぽつり、説教モードに入ったリセリアは口を開くと、溜め息と共に告げる。頭に思い描いたのは、兎の人形を携えたあの子だろうか。 「彼女の様な子を悲しませるのが楽しいですか?」 「あ、否……そういう訳では」 最低だと思います、と曖昧な否定にぴしゃりとリセリアは告げる。それから。 「そんな性根であるのなら、成程。誰も振り向かなくて当然です。私も、私でなくても――今のままな貴方達とのお付き合いなど御免被ります」 怒るのではなく、諭すように。幾らか冷めた口調で話すリセリアに、一人の隊員が顔を上げて。 「じゃ、じゃあ僕ァしゃんとしてればいつか――へぶゥッ!!」 調子に乗るな、とカルラの拳が的確に隊員の一人の顎をぶちぬいて。 「やァん、鬼畜ゥ!!」 囃す様に叫ぶ別の隊員に再び断罪の一撃が叩き込まれる最中、リーダー、副リーダーの両者は深々と頭を下げて。 「……すまなかった。正直、暑さでどうかして居たのかも知れん」 「それに、正直不毛すぎる戦いだと気付いちまってよ」 一番どうかしてんのは、幸せボケてるリア充共だしな、なんて呟きを零して。 「ってな訳で、これから花火をみんなで見るとか。どうかな?」 ぱちん、と身体の前で小さな手を合わせてルナは皆に告げる。丁度時間もそんな頃合いで、戦いも一段落ついだし、と。 もう闘争の意味もないだろう、渋々了解するもの、やっほいと飛び上がる者、どろんと姿を消すもの。それぞれに反応を見せると、暫しの休戦と場所を変える。 ひゅるるるるーん、どん。 夏の風物詩。終わると何処か寂しい、花火大会。 様々に輝く灯りの下に、幾つもの影があった。寄り添うもの、寝転ぶもの、静かに遠くを見詰める者。 「おーい、待たせたなーっ!」 一般人に混ざりまったりムードのリベリスタの元へ、姿を消した剣士と“丁度入れ替わりで”現れた影継が合流する。 どんな社長出勤だよ、なんて猛の突っ込みも、花火の轟音に呑まれて消える。まぁ、説教するの飽きたし後でいいかと手を振り歓迎して。 「副長さーん、改めてイメとりあじゅうするですよー!」 「お、異世界から来たブロンド耳長系美少女」 「じゃあ隊長さんはお姉ちゃんとリア充するのかな?」 「お、同じく合法ロリ系耳長美少女」 「ななッ、貴様らはやっぱりそっちの人間でやんs――ぶふォ!!」 「やァん、鬼畜ゥ!!」 「今度は俺が殴ッて良いかァー? 半殺しで止めッからよォー!」 「いやァあー!」 「嗚呼、シエルさんと言う名の星空に笑顔と云う名の大輪が」 「――誰か止めろ此奴、俺が剣を握る前に」 「馬鹿だよなこいつら。あと浴衣可愛い」 「……ええ。あとどさくさに紛れて言わないで下さい」 昨日の敵は、今日の友(但し例外あり)。 騒ぐ彼らを祝福する様、夏の夜空を大輪が照らして。 同じ空の下で、きっとあの少女も。目を輝かせ心に刻む。過ぎ行き巡るこの季節を。 |
■シナリオ結果■ | |||
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■あとがき■ | |||
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