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<剣林>真夏によく出る切り裂き魔


 椅子に縛りつけられた女が居た。脅えた彼女は涙で目元を腫らしながら、顔を横に振っている。嗚呼、可哀想、きっと彼女は犠牲者なのだ。
「あ、ぁぁ、あぁぁっ、こ、来ないで、来ないで」
「斬りたい、斬りたい、斬りたい」
 泣く女の目の前には、荒れた息で日本刀を持つ女が居た。その刃を下から上へと舐め上げて、曇り無き刃に雫が流れて、流れて、ぽたりと落ちる。それはまるで、溢れ出て止まらない女の欲望を現しているかの様な……。
「斬りたい、斬りたいの、斬らせて」
「い、いや、やだ、やだああ!!!」
 しかし、女は人を斬る事に飽きていた。斬っても、いつでも同じ赤い血が出て、叫び声があって、肉塊と吐き気のする血臭が残るだけ。もう何十、何百と斬ってきたのだ。流石に同じ繰り返しは女には飽き飽きだったのだ。
 そして日本刀は天高く上がり、落とされる。犠牲の女の身体を頭の先から、足先まで縦一文字へと。
「キャキャキャキャキャキャ!! 斬っちゃったぁぁあーん!!!」
「い、い、いやーーーーーーーーーーーーんっっっ!!」
「やーんだって、可愛いわーーーーーーーー!!!! もっと、ねぇ、もっと聞かせて!!」
「やぁん、ああ、それだめぇ!! 裸になっちゃうのおお!!!」
「キャーーーーーキャキャキャキャキャ!! 替えの服は用意していないから、安心して全裸になりなさい!!」
「安心できないわ!!! ああ! やめて! それ、それはパンツの大事な所!!」
「此処が良いのね? 此処をこうして欲しいのね??」
「駄目なのおお! 其処だけは、あっあっあっあーーーーーっっ!!」
「いいよいいよ、もっと満足させて、もっと聞かせて羞恥の声を!!! 楽しいー!!」


「はい、じゃあ依頼お願いします」
 『未来日記』牧野 杏理(nBNE000211)はうちわで扇ぎながら、集まったリベリスタ達へそう言った。
 そんな事よりも気になるのは、日本刀によって斬られた女性の事だ。何故、斬られているのにも関わらず生きているのか、というか何故恥ずかしがっているのか。
「それに関してですが、あの日本刀がアーティファクトなのです。
 あれは持ち主の斬りたいものだけが斬れるアーティファクトです。刃部分が神秘で構成されています。日本刀自体に名前は特にありませんが、非常に頭の湧いた神秘グッズですね。持ち主のフィクサードはおそらく、服だけを斬りたいみたいです、非常に厄介ですね」
 つまり、先程の映像で犠牲の女は全裸にさせられて慌てただけ、というなんとも、うん、シリアス()。因みに犠牲の女の命は髪の毛程にも別状が無いので安心して良い。杏理が別働隊で保護しに行っているとかなんとか。

「さて、このフィクサードは戸部・馨(とべ・かおり)と良い、剣林所属です。剣豪と聞いていますよ。
 ですがまあ、味を占めたようで、この後嬉しそうに飛び出しては、とあるデパートに立て籠もって一般人を日本刀で斬りまくるみたいなのです。血は出ませんが、服がびりびりーで、きゃーっとなって、大事件になります。どうにかこうにかして被害を抑えてください」
 それは大変だ。
「勿論、普通の戦闘もしますよ。付け加えて言う事があるとすれば、彼女、どっちでもイケる子なので男性も全裸になるかもですが、まあ、大丈夫でしょう。力づくで抑えてもいいですし、大事にしたくないのであれば斬られてあげても良いかと思います。斬りまくって満足したいだけなので」
 なんというはた迷惑。杏理はそっと頭を下げ、ぼそっと呟いた。
「替えの服はあったほうが良いかと思います」


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:夕影  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 8人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年08月12日(月)22:58
 夕影です BNEは全年齢です

●成功条件:神秘の暴露を防ぎ、被害を最小限にする

●戸部・馨(とべ・かおり)ジーニアス×ナイトクリーク
・大きく道を踏み外した剣豪の女。普通の戦闘もします
 齢24、所属は剣林
 馨は男女問わず服を斬って全裸にさせて、いやーんな場面を眺めて満足したいだけなので、実際に人を斬る事はけしてありません
 ナイクリRANK3までのスキルを使用、物質透過、感情探査持ち
 以下のアーティファクトを持っています

●刀型アーティファクト
・持ち主の斬りたいものだけが斬れる刀で、今は服だけが斬れます
 刀部分は持ち主の精神力で構成しているため、常時EPが30ずつロストしていきます

●アンクレット型アーティファクト
・馨の足元に着いているもので、二つでひとつ
 能力はブロック無効

●場所:デパート内
・1階~8階までデパートです
 何処かの階に馨はおり、リベリスタの到着3T後に凶行開始します
 デパート内は階段、エレベーター、エスカレーターが主な移動手段です
 非常階段がありますが、特別な時以外は開かない様です

それでは宜しくお願いします
参加NPC
 


■メイン参加者 8人■
スターサジタリー
不動峰 杏樹(BNE000062)
デュランダル
結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)
ソードミラージュ
ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)
スターサジタリー
雑賀 木蓮(BNE002229)
ホーリーメイガス
神代 楓(BNE002658)
スターサジタリー
雑賀 龍治(BNE002797)
ナイトクリーク
荒苦那・まお(BNE003202)
クリミナルスタア
熾竜 ”Seraph” 伊吹(BNE004197)


 夏だからね。夏って変態が多く出るっていうしね。だからこれも……仕方が無い事なんだよね。
「通常運行だな」
 『無銘』熾竜 ”Seraph” 伊吹(BNE004197)は陽炎がチラつく何処か遠くを見ながら言った。リベリスタ達の眼前にはデパートの入口。時間が惜しい依頼だもので、その足は止まる事無く、しかしそれでも周りに不審に思われる事の無い様に早歩きで。
「開放的な時期だもんな」
 開いた自動扉の中から出て来た冷気を浴びながら、『アリアドネの銀弾』不動峰 杏樹(BNE000062)はAFに仕舞いこんだ服の数を何回も何回も頭の中で数えていた。
「でもほんっとに嫌な季節。変態が活性化するからね」
「お洋服って大事なものです。大事なものです」
「あえて2回言ったのね」
 『三高平最教(師』ソラ・ヴァイスハイト(BNE000329)は首を回して、階段の位置やエレベーターの位置を探し。『三高平最教(養』荒苦那・まお(BNE003202)はデパート案内のパンフレットを広げた。
「まったく、けしからん時期だ」
 かなり不機嫌そうな顔で『八咫烏』雑賀 龍治(BNE002797)は言う。その隣には『銀狼のオクルス』草臥 木蓮(BNE002229)が龍治をチラチラ見ながら、彼の裸は自分が護るのだと心に決めつつ。カップルめ、プレイングごしにラブラブ攻撃してくるとはやりおる。
 話は戻って、はた迷惑以外の何ものでも無いこの依頼。『Small discord』神代 楓(BNE002658)は大きく溜息をついて、「またこの手の依頼かよ! まだ女の子が脱げて目の保養になるならまだしも、男ばっかりじゃねーか! ふざけんな! なにが悲しくてカップルや男の全裸を見なきゃいけないんだよ!! おかしいだろ」……と声を大にして言えたらいいものの、それは心の中で叫び。
「んっ、どうした? 楓」
「いや、なんでもない……」
 振り返って話しかけて来た木蓮に、そう苦笑いで返した。
 例えどんな事があろうともだ。親衛隊を追い出せと言われれば追い出すのだ、一般人を助けろと言うなら助けるのだ、隕石が落ちてくると言われれば隕石撃墜するのだ。いつ、いかなる時もリベリスタは任務をこなさなければならない。それは義務である。革醒という力を得た者の責任である。そう、それがリベリスタ――!!
「なあ! みんな!!」
 最前列を歩いていた『三高平最響』結城 ”Dragon” 竜一(BNE000210)が振り返った頃には、他の7人は持ち場へ行ったのか、誰も居なかった。
 それにしても三高平ってさいきょうが多い。


 は、ハア……ハァ、いいよ……良い声、聞かせてね。嗚呼……。
 あああああもうっ、我慢できないよ。破きたい、破きたい、破かないと息ができなああああああああい!!!

 ――悲鳴が上がった。
 たまたまエレベーターが3階のフロアに止まり、扉が閉まりかけた瞬間だ。杏樹、竜一、颯、伊吹は明らかに普通では無い声を聞いて、そして伊吹がエレベーターの『開く』ボタンを咄嗟に押したのだった。
「まさか、と言う程でも無いな」
 開いた扉、ざわめきだした周囲の一般人を走り越す。時には血相を変えた一般人を見送って、その先に見えた姿――それはブリーフィングルームで見えた戸部・馨の姿だ。
「ヒューッ! よし皆行くぞ、ひゃっほおおおおい!!」
「なんで楽しそうなんだよお!!」
 笑顔で駆けていく竜一を先頭に、颯が思い切りツッコみをいれながら彼女と接触を果たした――。

 火災警報の、けたたましい音が鳴る。

『3階のレディースフロアにて、戸部馨を発見。此方へ急行して欲しい』
 杏樹の声が地下に居たリベリスタ4人の耳に入った。
「どうやらアタリは上の様だな」
「おう、3階か……よく見つけたなぁ、あいつら」
 そのまま4人の歩は3つの手段を見た。エレベーター、は5階に止まっている。おそらく降りてくるのを待っていたら遅くなる。エスカレーター、は人でいっぱいの様だ。階段、思ったより避難用の階段を使っている人が多いようで案外人が少ない、これで行こう。
「急ぐわよ、彼等の服が全てなくなる前に――」
 ソラは先頭に立ち、そして上を見つめた。その手に、何に使うのか大体察する事ができるカメラがひとつ。
「ヴァイスハイト様……」
 まおは、何も見ていないと視線を泳がせながら明後日の方向を見た。何やら不穏な雲が見えた気がした。


「キャッキャッキャッキャ! あら、これはこれはアークのリベリスタ様じゃぁないのー! なに、なんなの? こうされたいのぉ?」
「うわ、ガチで変態だ」
 颯が一瞬だけ立ちくらみを覚えた。嗚呼、倒れたい。このまま戦闘不能して我関せずをしたいと。しかし目の前だ、ガタガタ震える20代前後の女の首に刀の刃が当てられていたのだ。涙が刃を辿って、地面に落ちていき、瞳は助けてと細くなっていく。
 颯の頬に汗が流れた。普通ならまあ助けてやりたいんだが……できればフィクサードには近づきたくない、絶対に近づきたくない。
「人質なんて、卑怯だぞ!!」
「そうだ、その子に罪は無いだろ!! だが俺は止めない!! 多少の犠牲は仕方ない!!」
「竜一さんマジか」
「止めろ」
 竜一が吼える中、杏樹は彼の頭を魔銃バーニーの柄でぶっ叩き、颯は滝汗を流した。その瞬間だった、叫び声をあげた少女。刃が彼女の身体を通過し肉が裂け――ないで、服だけが裂けて、かなり恥ずかしい部分が露出した瞬間に甘い声が広がる、そんな薔薇色空間。
「貴様!!!」
「やりやがったな、許さない!!」
 竜一と颯がカッコいい台詞を吐いてみるものの、その瞳の中にはしっかり服が破けた女を捉えていたうえに、利き手がガッツポーズした。その頃、避難誘導をしていた伊吹はちょっとだけ「いいなあ」とか思ったか思ってないかは幻想の後先。
「さあ、次の犠牲者はぁぁぁあん」
 血眼に成っている間違った道を全力疾走している剣豪。その瞳が次の獲物を品定めし始めたのだ、傍では腰が抜けて動けない一般人も居る。
 男――は頼れない、と0.1秒くらいで悟った杏樹は、馨の前に立つ。その姿は何処からでもかかってこいという、雄々しく、そして自己犠牲の精神が見え隠れするような。
「次は、キャッキャッキャ、そうね、貴女ねえアリアドネエエエ!!」
「ふん、夏だから頭が沸いているぞ」
 馨の刃が杏樹へと向かった。杏樹こそ後衛の位置に居るために、最初に斬られるのは前衛たる男と思いきや、そんな事は無く。
 やはり男子は、信用できない、ていうか使えない。と改めて思った杏樹――そのまま刃が右肩から侵入して、左の腰を執着地点として斬られたのだった。痛みを覚悟したが、それは無い。それよりも、シスター服が脱げ、ちらっと見えたショーツの色。
「杏樹たああああああああああああああああああんが、やられたあーーーーーーーーーーッ!!!!」
「うわーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
「どうしたあああーーーーーーーーーーーーーッ!!!」
 叫び声をあげた竜一。颯は聖神を発動させつつも、その瞳は泳ぐ。そして避難誘導していた伊吹が超反応して走って、スライディングしながら杏樹のあられもない姿を凝視しに来たのだった。
 魔銃バーニーを脇に挟み、空いた片手で落ちるシスター服のスカート部分を上げ、少し頬が紅潮している杏樹。
 そんな時だった。
「貴様ら、何をしている……?」
 龍治の火縄銃から放たれた弾丸が、馨含め、竜一、颯、伊吹たちを掠っていく。良かった、普通の男子居た。
「貴様が馨か……」
「キャキャキャ! そうだよ、剣林所属の剣馬鹿さぁ! 今は溜まったものを解消中なの」
「……それについては、何も言わん」
 人の性癖なんて、治そうと思って直るものでは無いというのは重々理解しているのだ。龍治はそんな事を聞きに来た訳では無い。もっと、違うものを――しかしそれは、戦闘しがながら聞こうとしよう。
 まおは健気に杏樹の下に近づいて、大丈夫かと声をかけた。見た目的に大丈夫では無いが、まあ大丈夫らしい。


「切られたのに斬られてない、っていうのは背筋が冷える」
「そうか、怖かったな……!」
「戦闘しろ」
 杏樹が斬られたシスター服を結んで応急処置するも、下着がちらちら見える。それをガン見している竜一は置いておいて。
 伊吹は目にも止まらぬ早撃ちで弾丸を放つ。それを身体に掠めた馨。そしてまた、彼女の剣はリベリスタ達を斬ろうと、その銀色の刃を輝かせていたのだ。
「あれが刀型の……!」
 ソラは深刻そうな瞳でアレの動向を追っていた。しかしその手は脱げた杏樹を映すカメラがしっかり。女の子側にも敵が居たとか、むしろ敵は味方に居るだなんてなんて酷いんだ。
「気を付けろ!! あいつ、突っ込んで来るつもりだ!!」
「龍治――ッ!」
 颯が周囲を見回し、警戒を促す。木蓮は龍治の眼前に立ったその時であった、迫る刃――ッ。
「木蓮!?」
「いいんだ、龍治!! 俺様は……龍治の目であり、盾なんだぜ」

 ――あなたは、わたしが、まもるから――

 とはいえ、あんまり意味は無かった。木蓮と龍治、2人一緒に服は破け……ほぼ全裸の状態。他にもソラに、颯、伊吹にまおの服がダンシングリッパーした。ダンシングリッパーなら仕方ない。
「っく!! こうなったら……!!」
 伊吹がAFを握り締め、何かを呼び出した。出てきてくれ――金のアルパカ!! 下の服が落ちていったとしても大丈夫、伊吹の大事な部分を綺麗に隠すようにして金のアルパカは何処かを見つめていた。
 不本意だ……不本意だが手が、手が動いてしまう!! ソラは己の下着が裂けた服の間から覗いていても関係ない。そのままカメラを回し続けるのだ。これだけはやめられない。
「ククク……女の子の、ククク、今日も飯が美味い」
 颯は己の服が大破しており、朦朧とした意識でそんな事を呟いた。しっかりしろ、杏樹の白い肌は美しいぞ。焼き付けろ、木蓮の巨乳……と思ったがギロっと颯に向いた龍治の目がマジだから見るのをやめよう。だが今こそ瞬間記憶が役に立つ時――伊吹はなるべく映らないでくれ。
「キャーキャキャキャキャキャ! 楽しー!!」
 笑うフィクサード。なんてことだ、1人のフィクサードにここまでやられるなんて、服的な意味で。しかし1人、服が破けたとしても動く者がいた。
「しんみょうにお縄についてください」
 まおは警官を服を着ながら、馨の片手に手錠をかけたのだ。まおの顔は笑っていたが、馨の顔も笑った。その顔にまおは嫌な予感しか感じなかったが、それは完全に的中しているもので。
「キャキャキャ? なに服を……そう! また斬って良いって事ね!!!」
「ちがうぅううんですううううう!!!!」
 勢いだけでDAの発動した馨が、まおの服を縦に切り裂く。瞬間、まおは黒猫の衣装を身に纏い、
「止まってください、にゃー」
 なんて可愛らしい声を出した瞬間に、そのままその服も縦に千切れた。もはやこのいたちごっこに意味は無い。まおが叫べば叫ぶほど、馨は調子に乗っていくのであった。
「こ、こここんな格好でもお前を撃つことくらい出来るんだからな!」
 木蓮は涙目になりながら、片手で下を隠し、片手で胸を隠し、あ、武器が持ててない。もはやどうしたらいいか解らんが、背中で龍治を護っているのだった。
「龍治の裸は俺様だけのものだ!」←超小さい声
「木蓮、早く替えの服に着替えるんだ」
 と龍治は木蓮に言うものの、その瞳はかなり泳いでいる。何処にってどこだろうね。
 その剣の太刀筋を見ていた龍治は思考した。確かに剣豪と言うのは本当の話なのだろう、精神力で刃を構成し続けるという芸当は並みのものでは無いのだろう。しかし、それなら。
「何故この様なしょうもない事件を起こそうとしたのだ。これでは、物知らぬ子供が玩具を手に燥いでいるも同然ではないか」
 聞いてみるものの、金のアルパカが股間部分らへんに頭を倒している龍治。なんか、決まらない。なんか決まらないね。
「キャッキャッキャ、そういえばなんでこんな所に居るんだっけ、忘れちゃった!」
「そんな嘘、信じると思っているのか」
 龍治の目線を見ないで言う馨だ。彼女の言葉を信じる訳にはいかない。質問には答えない、と言われているようなものであった。
 銃声――伊吹の弾丸が馨の頬を掠った。全裸で歩いてくる彼――大丈夫、アルパカがきちんと仕事しているから。
「見る以上、見られる覚悟もまた然り。戸部馨、貴様にその覚悟はあるか?」
「女子を脱がしたいとか、セクハラなんだからねキャキャキャキャキャ!!!」


 心頭滅却すれば火もまた……なんてよく言うが、盾が無ければ死んでいた。杏樹は結局全裸にされたために背に壁を、前は盾で隠しながら行動不能になっていた。
「今後ろ向いたら、撃つからな」
 颯に竜一、そして伊吹がそわそわする心を抑えながら、股間部分を抑えた。
「一般人を全裸にするとか剣術の無駄遣いね。貴方ほどの剣の腕前があればもっと別なことに活かせるでしょ?」
「な、なにを……」
 ソラは相も変わらずカメラを回しているが、気にしない。言葉だけは真面目なものを言いながら、そしてその言葉に馨は止まった。
「考えてもみなさいよ、同じ革醒者同士で戦っている間に服を脱がせば楽しいと思わない?」
「ん、んん……」
 そうだ、こんな一般人なんて無力なものを相手にしなくても、実戦で楽しめばいいのだ。それを何故、こんな所で――。
「キャキャ、それが……それができたら苦労しないもの――ッ!!」
 つまりだ、シリアスとギャグはきっちり分けるタイプらしい。その時、馨の腹部に弾丸が命中する。それを放ったのは、尻尾をショーツの様にしてにゃんにゃんを隠している木蓮であった。そして片手で胸を抑え、空いたもう片腕で銃を持っているのだった。その姿、木蓮の目にハイライトが完全に消え失せている。
「大人しく、しろよな……これ以上は!!」
「キャッキャッキャ、良い命中だねぇ」
 そして繋がる弾丸――龍治の弾丸だ。チラりと見えたまおと、ソラの後姿に「俺は見ていないぞ」と全身に冷や汗を流してアピールしながら、決死の弾丸。
 馨は2つの弾丸に苛立ちを覚え、そのまま腹いせに竜一を裸に向いた。運がいいのか、竜一のパンツだけは無事だ。
「見たくない! 俺はもう、男の裸はいっぱいいっぱいなんだ!!」
 頭を抑え、震える颯はそのまま聖神に願う。「もう、こんなの終わらせてくれ、あと破れた服代は沙織が持ってくれるようにしてくれ――!!」と。聖神も困ったもので、その回復は完全にファンブルした。
 終わってくれと思っているのは颯だけではなく。まおも大体同じように思っていた。もはや替えの服は無いのだ、だがしかし服を着ようとすればおそらくその服ごと斬り倒してくるだろうというのは目に見えている。
「もはや、どうすれば、終わるのでしょう……戸部様のばかぁぁぁぁ」
 叫ぶまお、その願いを聞き届けたのは聖神で無ければ、なんでもなく。戦闘開始時からずーっと集中に集中を重ねて来た竜一が動いた。
「吠え猛ろ! 露草! 股間程度見えてもいいさ! なぜなら敵は、24歳のおねーさんだから!」
 露草が『竜一おまえ……おまえなぁ…・・』と呟きながら、呆れていたのが彼には解ったものの、それで止まる訳にはいかない。お前の刃だと宣言した露草ならば、アレを壊してくれるのだろうと。
「むしろ見せ……いや、あえて言うまい!」
「早くやれ」
 杏樹の弾丸が、竜一の足元に撃たれた瞬間彼は走り出した。
 狙うは馨のアンクレット型アーティファクト。せめてそれだけは、それさえ壊せば彼女を止めるには大いに役に立つだろう。
「俺の仲間を、よくもおおおお! ありがとう!!」
 竜一の一撃が――彼女の足元のソレを砕き、破壊し、
「正義のためなんだ、此処で逃がす訳にはいかな――ッ」
「き、き、きゃああああああああああ!!」
 竜一が馨に飛びつく寸前、馨の気糸が竜一を縛った――。
「変態が居るリベリスタなんて相手にしてらんないのよーーーーッ!!!」

 フィクサードは顔を真っ赤にして逃げていったという。

「なんだったんだ」
「なんだったんだろうな」
 龍治と木蓮がそんな会話をしていた。後々、男子は全員正座させられ、アリアドネの教会にて説教をくらったとかなんとか。

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
依頼お疲れ様でした
結果は上記の通りになりましたが、如何でしたでしょうか
ハードとかでまた出てきたらギャグだなあと思ってしまった
それではまた違う依頼でお会いしましょう