● 椅子に縛りつけられた女が居た。脅えた彼女は涙で目元を腫らしながら、顔を横に振っている。嗚呼、可哀想、きっと彼女は犠牲者なのだ。 「あ、ぁぁ、あぁぁっ、こ、来ないで、来ないで」 「斬りたい、斬りたい、斬りたい」 泣く女の目の前には、荒れた息で日本刀を持つ女が居た。その刃を下から上へと舐め上げて、曇り無き刃に雫が流れて、流れて、ぽたりと落ちる。それはまるで、溢れ出て止まらない女の欲望を現しているかの様な……。 「斬りたい、斬りたいの、斬らせて」 「い、いや、やだ、やだああ!!!」 しかし、女は人を斬る事に飽きていた。斬っても、いつでも同じ赤い血が出て、叫び声があって、肉塊と吐き気のする血臭が残るだけ。もう何十、何百と斬ってきたのだ。流石に同じ繰り返しは女には飽き飽きだったのだ。 そして日本刀は天高く上がり、落とされる。犠牲の女の身体を頭の先から、足先まで縦一文字へと。 「キャキャキャキャキャキャ!! 斬っちゃったぁぁあーん!!!」 「い、い、いやーーーーーーーーーーーーんっっっ!!」 「やーんだって、可愛いわーーーーーーーー!!!! もっと、ねぇ、もっと聞かせて!!」 「やぁん、ああ、それだめぇ!! 裸になっちゃうのおお!!!」 「キャーーーーーキャキャキャキャキャ!! 替えの服は用意していないから、安心して全裸になりなさい!!」 「安心できないわ!!! ああ! やめて! それ、それはパンツの大事な所!!」 「此処が良いのね? 此処をこうして欲しいのね??」 「駄目なのおお! 其処だけは、あっあっあっあーーーーーっっ!!」 「いいよいいよ、もっと満足させて、もっと聞かせて羞恥の声を!!! 楽しいー!!」 ● 「はい、じゃあ依頼お願いします」 『未来日記』牧野 杏理(nBNE000211)はうちわで扇ぎながら、集まったリベリスタ達へそう言った。 そんな事よりも気になるのは、日本刀によって斬られた女性の事だ。何故、斬られているのにも関わらず生きているのか、というか何故恥ずかしがっているのか。 「それに関してですが、あの日本刀がアーティファクトなのです。 あれは持ち主の斬りたいものだけが斬れるアーティファクトです。刃部分が神秘で構成されています。日本刀自体に名前は特にありませんが、非常に頭の湧いた神秘グッズですね。持ち主のフィクサードはおそらく、服だけを斬りたいみたいです、非常に厄介ですね」 つまり、先程の映像で犠牲の女は全裸にさせられて慌てただけ、というなんとも、うん、シリアス()。因みに犠牲の女の命は髪の毛程にも別状が無いので安心して良い。杏理が別働隊で保護しに行っているとかなんとか。 「さて、このフィクサードは戸部・馨(とべ・かおり)と良い、剣林所属です。剣豪と聞いていますよ。 ですがまあ、味を占めたようで、この後嬉しそうに飛び出しては、とあるデパートに立て籠もって一般人を日本刀で斬りまくるみたいなのです。血は出ませんが、服がびりびりーで、きゃーっとなって、大事件になります。どうにかこうにかして被害を抑えてください」 それは大変だ。 「勿論、普通の戦闘もしますよ。付け加えて言う事があるとすれば、彼女、どっちでもイケる子なので男性も全裸になるかもですが、まあ、大丈夫でしょう。力づくで抑えてもいいですし、大事にしたくないのであれば斬られてあげても良いかと思います。斬りまくって満足したいだけなので」 なんというはた迷惑。杏理はそっと頭を下げ、ぼそっと呟いた。 「替えの服はあったほうが良いかと思います」 |
■シナリオの詳細■ | ||||
■ストーリーテラー:夕影 | ||||
■難易度:EASY | ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ | |||
■参加人数制限: 8人 | ■サポーター参加人数制限: 0人 |
■シナリオ終了日時 2013年08月12日(月)22:58 |
||
|
||||
|
■メイン参加者 8人■ | |||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
||||
|
|
■シナリオ結果■ | |||
|
|||
■あとがき■ | |||
|