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エリューション・授業参観でもないのにお母さんが見に来てる時のようなあの感じ

●もしくはプールの授業の時自分だけ水着にへんなアップリケついてたときみたいな感じ
「くっ、これは一体どういうことだ……まともに戦うことができぬでござる……!」
「敵の能力に呑まれてはいかん! 集中するんだ、今は戦闘中だぞ!」
 なんか厳つい侍みたいなおっさんが冷や汗を流していた。っていうか脂汗も流していた。おかげで変な顔になっていたが、今はエリューションとの戦闘中。気にしている場合ではない。
『ククク、苦労しているようだなァ。さほどお母さんが後ろで見てる時の感覚が恥ずかしいと見える……』
「な、なにをぅ! ママの前で恥をかかせるなよ! 今俺、あの、すごいクリティカルとか出すからな!」
「やめろおおおお! この状態で活躍を狙うと大抵滑るぞおおおおお!」
「止めるな! うおおおおおおおおおっ!」
『甘い、次は――持ってきた自分のリコーダーだけなんか色が赤かった時の感じだァ!』
「うっ、ウワアアアアアアアアア!」
「山田ああああああああああ!」
「かわいそうに……転校するタイミングで一斉購入していたからって、お母さんが勝手に適当な奴を買ってきたんだな……」
「ちゃんと白黒のやつにしろよおふくろおおおおお! なんか勢いで『ベートーベン』ってあだ名がついて音楽の授業中ずっと注目されてんだぞおおおおおお!」
「実体験だと!?」
『お前らもうかうかしていていいのか? 次は――上半身が裸なのは破廉恥だと言い張る母親のせいで女子スク水を着せられる感じだァ!』
「そんな親がいるわけ――ウワアアアアアア!」
「やめろおおおお俺のあだ名を地デ鹿ニスルナアアアアアアア!」
「まっ、まずい! ここは一旦撤退だ!」
「このあと黒木屋予約してあります!」
「よくやった! 撤収!」
 ……以上。雑魚だと思って殲滅しにいったらボコボコにされて帰ってきたモブリスタたちでした。

●あとあれ、なぜか自分のスニーカーが有名ブランドのやつで、でもよく見たらパチもんだったときの感じ。
「子供の頃ってなんでかちょっとした差異で注目されたり、変なあだ名とかつくじゃないですかァ」
 アイワ ナビ子(nBNE000228)は冷や麦ちゅるちゅるしながらンなことを言い出した。
「まあそういうのって大体お母さんが余計なことしたせいで、親子げんかの元になったりするんですけど、実際子供がくらった衝撃と恥ずかしさを考えたら割と妥当な怒りって気がしません?」
 ナビ子がいうには、どっかの町中にエリューションフォースが出ちゃったから、そいつを倒さにゃならんのよって話らしい。
 なんでもそいつは強力な精神攻撃波をもっていて、相手は小学生がたまにうけるやったら恥ずかしい時の感じを追体験するらしいのだ。
 そう、たとえシリアスがっちがちの過去設定であろうとも! 母親はもういないんだとかいう真面目な設定のキャラであろうとも!
 一様に!
 一人だけ体操服のたけがキツかったりする感じが襲うのだ!
 なんでだろう!
 ふしぎだなあ!
「あっ、やばっ、ワサビやばい! 鼻にきてる、きっ、ひゅん!」
 しかしこんなやつを倒せるのは柔軟性とネタ耐性に定評のあるアークリベリスタしかいない!
 そう、君だけなのだ!
 頼んだぞ!


■シナリオの詳細■
■ストーリーテラー:八重紅友禅  
■難易度:EASY ■ ノーマルシナリオ 通常タイプ
■参加人数制限: 10人 ■サポーター参加人数制限: 0人 ■シナリオ終了日時
 2013年08月08日(木)22:08
 八重紅友禅でございます。
 私はあまり頻繁にあだ名で呼ばれることは無かったのですが、小学生のころ『神様』ってあだ名が付いたことありました。
 なんであれをネタとして有効活用しなかったのか、今でも悔やんでいます。

 さて、今回のエリューションは敵全体になんかすごい電波を飛ばしてきます。
 相手は死ぬ。じゃなくて、小学校の時の恥ずかしい記憶がよみがえります。小学校通ったこと無くても、そんな記憶はじめっから無くても、なんでか知らんけど急に脳裏に浮かびます。
 もしかして:PLの記憶
 なお、エリューションじたいはくっそ弱いので最後の二行くらいで倒しましょう。
参加NPC
 


■メイン参加者 10人■
クロスイージス
白石 明奈(BNE000717)
スターサジタリー
マリル・フロート(BNE001309)
マグメイガス
イーゼリット・イシュター(BNE001996)
ソードミラージュ
レイライン・エレアニック(BNE002137)
スターサジタリー
縣・於(BNE003034)
クロスイージス
犬吠埼 守(BNE003268)
プロアデプト
御厨 麻奈(BNE003642)
ホーリーメイガス
キンバレイ・ハルゼー(BNE004455)
クリミナルスタア
虚木 蓮司(BNE004489)
インヤンマスター
神谷 小鶴(BNE004625)

●そうか相談することないと分かっているなら相談会場をファミレスにでもしておけばいいんだ!
「はいみんなお疲れ様!」
「「かんぱーい!」」
 ファミレスの大人数がけテーブルで、ドリンクバーのグラスがぶつかり合った。
 既にキンキンに冷えてやがるビールを握った『愛しておりました……』犬吠埼 守(BNE003268)がにへらにへらしながら語るには。
「いやー今日のエリューションは手強かったですなあ。あ、俺ビール頼んじゃってますけどいいですか?」
「注文してからゆーなやもう。ほら唐揚げ来たでほら、レモンはかけたからな?」
 既に全唐揚げにレモンをまんべんなく搾った後で言う『他力本願』御厨 麻奈(BNE003642)。
 身体を小さくしていた神谷 小鶴(BNE004625)がアイスコーヒーを両手で包むように持ってきょろきょろとした。
「あのぉ……私たち、エリューションと戦ったんですよね?」
「今更何言ってんだ。五万文字に渡る凄まじい攻防だったろうが」
 くしゃくしゃにしたストローに水滴こぼしてうにょーっと広げるやつをやる虚木 蓮司(BNE004489)。
 一方で謀ったようにカルピスだけ飲み始めるキンバレイ・ハルゼー(BNE004455)。
「はい。後半はもう誰の何の汁か分かりませんでした」
「よせ……誤解と警察を招く言い方はよすのじゃ……」
 そしてプルプルしながらオレンジジュースをすする『巻き戻りし残像』レイライン・エレアニック(BNE002137)。
 すると『ミサイルガール』白石 明奈(BNE000717)がメロンソーダをどすんとテーブルに置いた。
「どうでもいいんだけどさ、順番待ち表に『秋茄子』って書いたの誰?」
「あっメンゴメンゴ。あんまり書くな書くなって言うからフリかと思って」
 数種類のドリンクを無駄に混ぜたものをストローでぐるぐるかき混ぜる『ひらがな二文字の世界』縣・於(BNE003034)。
「オフ会で絶対誰かが実行するわよね……本当みんな、馬鹿なんだから」
 レモンティーに砂糖をさらさら流し込みつつほおづえをつく『敬虔なる学徒』イーゼリット・イシュター(BNE001996)。
 そんなメンツの中『ぴゅあで可憐』マリル・フロート(BNE001309)がハッと顔を上げた。
「そろそろお茶漬けいっていいですぅ?」
「「早ぇよ!」」

 一通りみなのグラスが空き始めた頃、キンバレイがおかわりですよーと言って大きなトレーにグラスを乗せて持ってきた。
 テーブルに並んだオードブル的なメニューは大体ハケてきたようで、蓮司はメニューを開きつつ店員を呼ぶのだった。
「ポテトとウィンナーの盛り合わせと卵ドリア。あと皿下げてくれ。他に頼みたい奴は? ……ああ以上で」
 空皿抱えてにこやかに去って行く店員を横目に、蓮司はコーラにストローを落とす。
「しっかし随分苦戦してたな。何がどうなったのかハタからは分からなかったんだけど……実際どんな目に遭ってたんだ?」
「わたし(キンバレイ)ですか? おとーさんから貰った透け水(スク水の類似品)でプールの授業受けたり、タッパーに給食を詰めたりしたらおとーさんが呼び出された時のことです」
「そうか……あんた、苦労してんだな……」
「わたしは苦労してないですよ? でもトイレ写真とか胸のごほーしのことを、警察の人がずっと黙って聞いててくれるのが、なんだか悪い気持ちになりました」
「どこに呼び出されてんだよお前の親父!?」
「あとはおとーさんが朝まで……」
「いや、いい。それ以上は聞きたくない。このリプレイを公開停止にしたくない」
 ですかー、と言いつつカルピスにミルクを入れる暴挙に出るキンバレイ。
「しかしアレだな……今日のことで思い出したが、小学生って残酷だよな。コンプレックスを突き刺してしまえる免罪符みたいなもんがあった」
「わかります、わかります……」
 それまで揚げ物には一切手をつけずにひたすら他人にサラダをとり続けていた小鶴が、神妙な顔つきで頷いた。
「あれは五年生の夏……誤って妹の水着を持ってきてしまったせいで、最終的には脱ぐこともできなくなって……痛さと恥ずかしさで泣きながら水着を切ってもらいました」
「えっ、切れるのか?」
「はい、ハサミで……」
「ハサミ……」
 視線が下に下がりそうになって、慌てて天井のシミを数え始める蓮司。
「わたし(キンバレイ)もよくスク水の一部をハサミで切る遊びを」
「あんたは暫く黙ってろ」
 テーブルの下から生えてくるキンバレイを押し込める。
 一方で更にうつむく小鶴。
「缶ジュースってありますよね。最初、あれは缶切りであけるものだと思っていて、軽く振ってから刃を立てたらカルピスソーダがこう、噴水のように吹き出して私に……」
「カルピスが噴水のように……」
「ええ、びしょ濡れで」
 再び天井のシミを数える蓮司。
「わたし(キンバレイ)もおとーさんのカルピ」
「黙れ」
 キンバレイの口にポテトをまとめて突っ込んでおく。
「そっちの話題はアレだな。俺は……あの、あれだ、小学生ってトイレに入ったら負けみたいな暗黙ルールあっただろ」
「あーあるある」
 にこやかにテーブルを叩く明奈。
「チキンレースになるんだよね」
「どうしてお前がそこで同意するのかはさておいてだ。当時俺は……いや飯の席だ、よそう。あだ名の話でもしようぜ。俺は昔パーマすぎて『メデューサ』って呼ばれてたんだ。縮毛矯正したら今度は長すぎて『貞子』になったがな。もう思い切って全て刈り取ったら今度は『ハゲ』だ。なんだよハゲって。神話の怪物から幽霊に降格したと思ったらハゲって!」
「あーあるある。眼鏡にするとノビタ扱いだよね」
「だからなんでお前が同意するんだよ」
「あるあるネタだと思って」
 若干気の抜けたメロンソーダを一気飲みする明奈。
「あるあるネタと言えば、クラスに一人は親と激似の奴っていたじゃん。授業参観で即バレする感じの。しかもそういうときに限って手を振ってくんのね! 違ぇよ反応欲しいわけじゃねえよっていうね!」
「あぁ、自分のことだったのね……」
 それまで優雅に一人ティータイムの世界に入っていたイーゼリットがちらりと横目で見やってくる。
「あとアレ、やたら転校ばっかしてて一人だけジャージの色違う奴とかいたよね。クラスになじもうと気合い入れてスライディングレシーブとかしちゃって、ジャージは溶け切れるわピチジャージになるわで悪目立ちするっていうね! もうやめろよ! いっそ全てのジャージを黒とかにしろよ! 参号機カラーにしろよ!」
「あぁ、それも自分のことだったのね……」
 熊の役とかふざけんなよぉーとか呻きながらテーブルに沈む明奈をよそに、イーゼリットはティーカップの中を見つめた。
 水面に映る自分の目に、遠い過去が重なった。
 そう、あれは十年前のドイツ。
 友達とのお泊まり会中、よりによって父からの電話がかかってくる。他人の家ということもあって部屋は外れるわけにもいかずその場でとってみれば、まるで親子の再会を喜ぶドラマシーンのような台詞を言い出し、ついには母にまでかわる始末。
 携帯電話の音量設定を即座にいじれない自分の不器用さがひどく憎かった。
 そしてトドメはやってきた。
 開かれた私の着替えの中に、大きく名前の書かれたパンツが入っていたのだ。
 友達は笑っていた。
 笑っていただけならいい。
 妙に気を利かせて『あっ、うん、自分のって分かって便利だよね……』と震えた声で言われた日には……。
「家族……なんてっ……!」
「お、おおう。なんだかヘビーな過去を見せられた者もいるようじゃの。いや、触れないから安心せい」
 割れんばかりにカップを握りしめるイーゼリットを、レイラインはどうどうとなだめた。
「そ、そうじゃ、おもしろい話をしてやろう!」
「…………」
 こんな前振りをしておもしろかったら、それはもうお金を貰える人だ。
 だがレイラインはちょこんと両手を膝に置くと、ほんわかした表情で頭上を見上げた。ほわんほわんと階層雲が広がる。
「あれは昼休みのバスケ中。よそ見をしていたせいで顔面にボールをくらったわらわは皆に心配された。だが思ったほどダメージもなく、当時かけていた眼鏡も見たところ無傷。わらわはハリウッドスターが空港に来日した時の如く眼鏡を外して笑顔をみせてやったのじゃ。すると……」
「パンダやったんやろ?」
「えっ……?」
「せやから、パンダやったんやろ?」
 早くもデザートのアイスに手をつけ始めた麻奈が無表情で言った。
「眼鏡の鼻当てって昔は固定式やったから、目元にめり込んで目の周りが内出血するんよ」
「くっ……ううっ……!」
 レイラインはどがっとテーブルにビールジョッキを叩き付けると、涙ながらにテーブルへ沈んだ。
「仕方ないんじゃ。わらわだって皆に溶け込んだり注目されたりしたい。でも一歩間違えばそれは注目は注目でも『晒し上げ』となってしまう。しかも大体は、自分の不注意によって……」
 授業参観で勇んで手を上げたはいいものの、見切り発車すぎて回答なぞ分かるはずも無く、勢いだけは維持すべしと元気に分かりませんと言ってみれば、周囲は押し殺した笑いと鼻での嘲笑だけを浴びせてくる。
 もう、やりたいこともやれないこんな世の中じゃ……!
「にゃぎゃああああああああああああ!」
 頭を抱えてのたうち回るレイラインを死者を看取る目で見送ると、麻奈はじっと目を閉じた。
「ならうちも語らなあかんね。やっぽあるあるネタやねんけど……子供の頃って普通親が服買うてくるやん? 特にうちのオカンはバーゲン好きで、アイラブニューヨークみたいなTシャツ山ほど持ってくるんよ。それならまだええけど、虎の顔がダイレクトにプリントされたやつとか、クジャクの柄とか、なんでどう考えても威嚇目的みたいな服よこしよるん!?」
「あー……友達が家に来た時に限って部屋に畳んで置いてあるパターンですな」
 口の周りに泡つけて虚空をみつめる守。
 麻奈は涙目になってグラスを空にした。
「着替えゆーたら、プールあるとき水着をしたにきてたら肝心の下着を忘れるとかやな。特にうちブラ必要やったから……ようネタにされたわ、オモチャにも……」
「わたし(キンバレイ)もよくオモチャにされました」
「なんやろ、わかる……リーディングせんでも危険が見える……。ブラなら買うてきたるから、な?」
「うーいー……やっぱり皆そういう思い出あるんですね、なんかシンパシーですぅ」
 小動物のようにポテトをもりもり食べていたマリルがこてんと顎をテーブルにつけた。
「あたしの学校、お掃除が給食のあとにあったですぅ。だから食べ終わらない人は問答無用で廊下に出されて、廊下組って馬鹿にされてたですぅ……うっ、うう……絶対あたしの分だけ通常の三倍あったんですぅ……国家権力の陰謀ですぅ……」
「なんか分かる気がするじぇぇ……」
 口にストローくわえてだらーっと背もたれに寄っかかってた於が遠い目をした。
「そういうのはいつもクラスのイケてない組……いわゆる負け組になる運命にあるんだじぇ」
「そうですぅ。大体あの牛乳がいけないですぅ。栄養素はわかるけど、白ご飯に牛乳があうわけないですぅ! それに微妙にぬるくてまずいですぅ! 絶対お腹壊すですぅ。お腹壊すと言えばプールが冷たすぎてすぐ体調悪くしてたですぅ。そういう生徒がいるのは当たり前なのに、早く泳げない生徒は放課後補習にするのは絶対間違ってるですぅ! 刺客による罠に違いないですぅ……!」
 ゆとり教育の必要性を今一度提唱するですぅとか言いながらずるずるとテーブルの下に沈んでいくマリル。
 於はそんな彼女をギリギリでサルベージしつつ、ふと大人な目になった。
「最近は誰でもカメラを持ってる時代。どこかでデジカメの使い方を覚えてきた爺ちゃんが、お婆ちゃんつれて授業参観に来たことがあったんだじぇ。僕のこと『あーちゃん』いうし。先生も調子に乗って『あーちゃん』いうし。その様子をひたすらに激写するし!」
 なにかのボルテージが上がったのか、於はがつんとテーブルを叩いた。
「わかるかに!? 大人な雰囲気を出したくて、源氏物語を昼ドラの情事モノみたく書いたり、漫画やアニメのごっこ遊びじゃ必ずペット役にされる僕の気持ちがわかるかに!? シロとか! でっていうとか! パピーとか! ついに付いたあだ名が高床式倉庫!」
「そのあだ名、今までの話と関係が?」
「……別に」
「どっから来たんだそのあだ名……」
「分からないじょ。そしてネット使いすぎてネチケットサイト見て回るはめになった小学生の気持ちも、きっと今のおっさんには分からないじょ……」
「うう……時代は違えどその頃から勝ち組と負け組は分別されていたんですねえ……」
 アルコールで多感になったのか、ぐすぐすと涙ぐんだ守が自分語りをはじめた。
「俺もね、昔ピアノ習ってたんです。でも親にやらされてたもので、ろくに弾けないんですけど……でも子供ってアイデンティティに飢えてるじゃないですか。だから昼休みの音楽室とかで弾いちゃうわけです。だからといって漫画みたいな出会いもないしキャラもつかないし、強いて言えば『あいつピアノやってるから』という謎の万能説が流れてくる程度のもの。そのうち気づけばギターやってる連中の方に注目されるようになって、学園祭でモテモテになってるバンド連中を遠目にみながら俺は思うわけです。うちの歴史研究会で飾った自作縄文土器なんて誰も見ねえよって。弥生時代の説明パネルなんて誰が見るんだよって。でも昔に流れた自分の万能説をふと思い出してよけいに悲しさと切なさと心苦しさとが待ちガイルしているわけです……」
「分かります。私も文学少年気取って図書室通ってたけど、正直十ページで飽きました。学園祭の日は誰も居ない屋上前の踊り場に二日間潜伏したもんです」
「おお、分かりま……誰です今の赤い人?」
「誰が悪かったわけじゃない。社会のせいじゃない。でもあの時期に皆と溶け込めていたなら今頃は……!」
「言うな! よけい悲しくなる!」
「にゃああああああ! もういやじゃあああああ!」
「普通って、なんでしょうね……」
「畜生ワタシだって、ワタシだって……!」
「学校は全部温水プールにするべきですぅ! 食事はアメリカみたいにぜんぶマックにするべきですぅ!」
「家族なんて……家族なんて……」
「まじやめろっ! 思い出したくないんだじょ!」
「あれ、色々思い出してて気づいたんやけどうち、あのエリューションにトドメさした記憶あらへんよ?」
「えっ、それってどういう……」

「……はっ、夢ですか」
 なんかの液まみれになったキンバレイががばっと身体を起こした。
 すると、周囲には頭をアスファルトに叩き付けるレイラインとか、コンクリートブロックに引っかかったまま全てを諦めた蓮司とか、そういう状態のやつばっかりになっていた。
「…………うん」
 キンバレイはとりあえずマヨネーズを取り出すと、白目を剥いて地面を転がっていた麻奈にうにょーっとかけ始める。
『あ、あの、我が輩まだ一度も描写されてないんですけど』
「邪魔しないでください。今マヨネーズで『もえもえキュン』って書いてるところなんです」
『いやあのー、戦闘中なんで一応……』
「やかましいわぁー!」
 それまで脱力していた蓮司ががばっと身体を起こし、手に持っていた銃を乱射。
 おまけに明奈に殴られマリルにビンタされイーゼリットに踏みつけられレイラインに哀れみの目を向けられ於に爆破され守に哀愁のある顔を向けられ麻奈にレモン搾られた。
『ぎゃああああああああこの我が輩の弱点がここだとなぜ』
「えい」
 後ろからそっと小太刀でざくっと刺す小鶴。
 エリューションは血を吹いて倒れた。

 ――かくして凶悪なエリューションは倒された!
 だがしかし、人々の記憶から悲しみが消えることは無く、今日もどこかで勝ち組と負け組の分別作業は続いているのだ!
 戦えリベリスタたちよ!
 負けるなリベリスタたちよ!
 主に自分の思い出とかに!

■シナリオ結果■
成功
■あとがき■
 言い忘れてましたが昔神様と呼ばれていたのはラーメンこぼしたときに『神様なんでこうなるの!?』と叫んで帰ったからです。よくわかりませんが、人生の大きな分岐点って割とあの頃にあったんじゃないかなあと思ったりします。